説明

サンプル容器ラック

【課題】サンプル容器ラックに収容した状態でサンプル容器を回転させる。
【解決手段】サンプル容器ラック10は、複数の容器収容部12と複数の容器回転部14を備えている。各容器回転部14には、サンプル容器の外表面に設けられた凸状形態に対応した凹状形態が設けられ、サンプル容器の凸状形態部分が各容器回転部14の凹状形態部分に嵌め合わされた状態で各容器回転部14が回転することにより、各容器収容部12に起立状態で収容されたサンプル容器がその円筒状の軸を中心として回転する。各容器回転部14には歯車16が設けられている。複数の歯車16は、一列に並べて配置されており、隣接する歯車16が互いに噛み合っている。回転駆動部20が端の歯車16を回転させることにより、一列に並べて配置された複数の歯車16が互いに連動して回転し、各歯車16と共にそれに対応した容器回転部14も回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル容器ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
サンプル容器には、試験管、採血管などがある。サンプル容器はラックに起立収容されてラック単位で複数のサンプル容器が搬送される。例えば、バーコード読み取りユニットにラックごと複数のサンプル容器が搬送されて各サンプル容器に設けられたバーコードが読み取られる。また、例えば、液体検査ユニットにラックごと複数のサンプル容器が搬送されて各サンプル容器内の液体の検査処理が行われる。
【0003】
サンプル容器に設けられたバーコードを読み取る場合や、サンプル容器内の液体を検査する場合には、例えば、バーコードを所定方向から読み取れるように、あるいは、バーコードが設けられた部分を避けて液体を検査できるように、サンプル容器が所定の方向へ向くように調整できることが望ましい。特許文献1には、それを実現することができる技術が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された技術では、例えば、マニピュレータ回転機構の動作により採血管の回転位置が調整され、バーコードの読み取り処理や検体の分析処理が行われてから、採血管が採血管ラックに戻される。
【0005】
【特許文献1】特開2004−28963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者らは、特許文献1に記載された画期的な技術を踏まえたうえで、採血管などのサンプル容器を回転させる改良技術について研究開発を重ねてきた。
【0007】
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、サンプル容器ラックに収容した状態でサンプル容器を回転させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様であるサンプル容器ラックは、サンプル容器を収容するサンプル容器ラックであって、全体として実質的に円筒状に形成されたサンプル容器を起立状態で収容する容器収容部と、前記容器収容部に収容されたサンプル容器をその円筒状の軸を中心として回転させる容器回転部と、を有し、前記容器回転部は、サンプル容器の外面上に設けられた基準形態部分に適合した適合形態部分を備え、基準形態部分が適合形態部分に嵌め合わされた状態でサンプル容器を回転させることを特徴とする。
【0009】
望ましい態様において、前記容器回転部は、当該サンプル容器ラックの底部に設けられ、起立状態で収容されたサンプル容器をその下端部から支え、サンプル容器の下端部には前記基準形態部分として機能する凸状部が設けられ、前記容器回転部は、前記適合形態部分として、前記凸状部に嵌め合わされる凹状部を備えることを特徴とする。
【0010】
望ましい態様において、前記容器回転部は、複数のサンプル容器に対応して複数設けられ、複数の容器回転部が一列に並べて配置されて互いに連動して回転することを特徴とする。
【0011】
望ましい態様において、前記複数の容器回転部の各々に歯車が設けられ、隣接する容器回転部の歯車が互いに噛み合うことにより、複数の容器回転部が互いに連動して回転することを特徴とする。
【0012】
望ましい態様において、前記複数の容器回転部の各々に歯車が設けられ、隣接する容器回転部の歯車の間に設けられた仲介歯車を介して、複数の容器回転部が互いに連動して回転することを特徴とする。
【0013】
望ましい態様において、前記複数の容器回転部の各々に歯車が設けられ、複数の容器回転部の歯車が共通の駆動棒によって一斉に駆動されることを特徴とする。
【0014】
望ましい態様において、前記容器回転部は、バーコード読み取りユニットが制御する回転駆動部によって駆動され、サンプル容器に設けられたバーコードが所定の回転方向へ向くように当該サンプル容器を回転させることを特徴とする。
【0015】
望ましい態様において、前記容器回転部は、液体検査ユニットが制御する回転駆動部によって駆動され、サンプル容器内の液体が複数の回転方向から検査されるように当該サンプル容器を回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、サンプル容器ラックに収容した状態でサンプル容器を回転させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明に係るサンプル容器ラックの好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す斜視図である。図1(A)は、サンプル容器ラック10を上方から見た図であり、図1(B)は、サンプル容器ラック10を下方から見た図である。
【0019】
サンプル容器ラック10は、採血管や試験管などのサンプル容器を複数本収容するラックである。採血管や試験管などのサンプル容器は全体的に円筒状に形成されている。サンプル容器ラック10には、その円筒状のサンプル容器を起立状態で収容するために、円筒状に内部を刳り貫いた容器収容部12が設けられている。図1に示すサンプル容器ラック10には、10個の容器収容部12が設けられており、各容器収容部12にサンプル容器が1本ずつ収容される。つまり、図1に示すサンプル容器ラック10は10本のサンプル容器を収容することができる。なお、容器収容部12は10個より多くてもよいし10個より少なくてもよい。
【0020】
また、各容器収容部12には、図の前面側に矩形状の開口部が設けられている。この開口部から、各容器収容部12に収容されたサンプル容器の外面に設けられたバーコードの読み取りやサンプル容器内の液体の光学的な検査が行われる。なお、各容器収容部12の図の前面側に加えて背面側にも開口部が設けられてもよい。
【0021】
サンプル容器ラック10の底部には、収容されたサンプル容器を回転させる複数の容器回転部14が設けられる。つまり、円筒状に内部を刳り貫いた各容器収容部12の底に、各容器回転部14が設けられる。そして、サンプル容器が収容された場合に、各容器収容部12によってサンプル容器の側面が支えられ、各容器回転部14によってサンプル容器の底部が支えられる。
【0022】
後に説明するように、各容器回転部14には、サンプル容器の外表面に設けられた凸状形態に対応した凹状形態が設けられる。そして、サンプル容器の凸状形態部分が各容器回転部14の凹状形態部分に嵌め合わされた状態で各容器回転部14が回転することにより、各容器収容部12に起立状態で収容されたサンプル容器がその円筒状の軸を中心として回転する。
【0023】
各容器回転部14には歯車16が設けられている。歯車16は、図1(B)に示すように、サンプル容器ラック10の底面側に設けられる。複数の歯車16は、一列に並べて配置されており、隣接する歯車16が互いに噛み合っている。そして、端の歯車16に回転駆動部20が噛み合わされており、この回転駆動部20が端の歯車16を回転させることにより、一列に並べて配置された複数の歯車16が互いに連動して回転し、各歯車16と共にそれに対応した容器回転部14も回転する。
【0024】
図2は、図1のサンプル容器ラック10に収容されるサンプル容器を示す図である。図2に示すサンプル容器は採血管である。
【0025】
図2において、(A)には採血管の垂直断面が示されており、(B)には採血管の底面図が示されている。採血管は大別して本体30と栓32とで構成される。栓32は本実施形態においてゴム栓であるが、シール栓などであってもよい。また、本発明はそのような栓が設けられていない一般のサンプル容器に適用し得るものである。
【0026】
本体30は、全体として実質的に円筒形状を有している。その上端部には開口が形成され、その開口が上記の栓32によって塞がれている。そして、本体30の下端部は丸みを帯びており、その下端部に凸状の基準形態部分であるフィン36が設けられている。
【0027】
図2に示す採血管がサンプル容器ラック(図1の符号10)に収容されると、採血管の円筒面17がサンプル容器ラックの容器収容部(図1の符号12)によって囲まれるようにして支えられ、採血管の底面がサンプル容器ラックの容器回転部(図1の符号14)によって下から支えられる。
【0028】
サンプル容器ラックの容器回転部の上面側には、採血管の下端部に設けられたフィン36に対応した溝が形成される。そして、サンプル容器ラックに図2の採血管が収容されると、採血管に設けられたフィン36が、サンプル容器ラックの容器回転部に設けられた溝に嵌め合わされ、フィン36と溝が噛み合った状態で容器回転部が回転する。これにより採血管と容器回転部が互いに滑ることなく回転する。
【0029】
なお、フィン36は、図2のように一枚形状のものであってもよいし、例えば、二枚の板状のフィン36が十字状あるいはL字状に配置されてもよい。もちろん、サンプル容器ラックの容器回転部に設けられる溝もフィン36の形状に合わせて適宜変更される。
【0030】
ちなみに、本体30は例えばプラスチック、ガラス、その他の材料によって構成される。透明の材料で構成されるのが望ましい。本体30の内部には予め分離剤34が収容されている。この分離剤34は遠心分離において血液を血漿と血球に分離するためのものである。また、本体30の円筒面17にバーコード等が記されたラベルを貼付することも可能である。そして、ラベルが貼付されていない円筒面17の部分から採血管内部を光学的に観測することが可能である。光学的な観測は液面検出、血漿と分離剤34との界面検出、吸光度測定、その他である。
【0031】
図3は、サンプル容器の変形例を示す図である。図3に示すサンプル容器は採血管であり、図2の採血管と異なるのは、図2におけるフィン36に換えて、図3では円柱状の突起37を設けた点である。図3において、(A)には採血管の垂直断面が示されており、(B)には採血管の底面図が示されている。図3の採血管も、大別して本体30と栓32とで構成される。そして、本体30の丸みを帯びた下端部に円柱状の突起37が設けられている。
【0032】
また、図3の採血管が収容されるサンプル容器ラックの容器回転部の上面側には、採血管の突起37に対応した円筒状の孔が形成される。そして、サンプル容器ラックに図3の採血管が収容されると、採血管に設けられた突起37が、サンプル容器ラックの容器回転部に設けられた孔に嵌め合わされ、突起37と孔が噛み合った状態で容器回転部が回転し、採血管と容器回転部が互いに滑ることなく回転する。
【0033】
図4は、サンプル容器ラック10の底部に設けられた回転機構を説明するための図である。図4(A)は、図1のサンプル容器ラック10の底面を示す模式図である。図1を利用して説明したように、サンプル容器ラック10は、サンプル容器を底から支える容器回転部14を備えている。そして、複数の容器回転部14の各々に対応して、図4に示すように、サンプル容器ラック10の底面側に複数の歯車16が設けられている。
【0034】
図4(A)では、隣接する歯車16が互いに噛み合うように、複数の歯車16が一列に並べて配置されている。また、端に位置する歯車16に回転駆動部(図1の符号20)の駆動歯車22が噛み合うように配置される。そのため、駆動歯車22が回転することにより、端に位置する歯車16が回転し、さらに、次々に隣接する歯車16を回転させて、複数の歯車16が連動して回転する。なお、容器回転部も対応する歯車16と共に回転し、さらに、容器回転部の溝や孔にフィンや突起が嵌め合わされたサンプル容器(採血管)も回転する。
【0035】
こうして、サンプル容器ラック10に収容したまま、サンプル容器を所定の回転位置まで回転させて、例えば矢印42で示す方向から、サンプル容器ラックの側面に設けられた開口(図1の各容器収容部12に設けられた矩形状の開口部)を介して、バーコードの読み取りが行われる。また、例えば矢印44で示す方向からラック側面の開口を介して液体の光学的な観測が行われる。
【0036】
図4(B)には、サンプル容器ラック10の回転機構の変形例が示されている。図4(B)においては、隣接する歯車16の間に仲介歯車18が設けられている。そして、駆動歯車22が回転することにより端に位置する歯車16が回転し、それに噛み合わされた仲介歯車18が回転し、さらにその仲介歯車18に噛み合わされた歯車16が回転する。こうして、仲介歯車18を介して次々に隣接する歯車16を回転させて、複数の歯車16が連動して回転する。図4(B)に示す回転機構では、仲介歯車18が設けられているため、複数の歯車16を全て同じ方向に回転させることができる。
【0037】
図5は、複数の歯車を共通の駆動棒によって一斉に駆動する回転機構を説明するための図である。図4と同様に、図5にはサンプル容器ラック10の底面が模式的に示されている。
【0038】
図5(A)には、歯竿24によって複数の歯車16を一斉に回転させる機構が示されている。棒状の歯竿24には、直線に沿って並んだ複数の歯が設けられている。また、歯車16に設けられた歯が、歯竿24に設けられた溝(歯と歯の間)と噛み合うように、複数の歯車16が一列に並んで配置されている。そして、歯竿24が図の左右方向に移動することにより、歯竿24によって複数の歯車16が回転駆動される。
【0039】
歯竿24は、回転駆動部によって駆動され、図4において説明したのと同様に、図5においても、サンプル容器ラック10に収容したまま、サンプル容器を所定の回転位置まで回転させて、例えば矢印42で示す方向から、サンプル容器ラックの側面に設けられた開口を介して、バーコードの読み取りが行われる。また、例えば矢印44で示す方向からラック側面の開口を介して液体の光学的な観測が行われる。
【0040】
図5(B)には、シャフト26によって複数の歯車16を一斉に回転させる機構が示されている。図5(B)に示す回転機構は、送りネジによる回転機構である。棒状のシャフト26の表面には螺旋状に溝が形成されている。また、歯車16に設けられた歯が、シャフト26に設けられた溝と噛み合うように、複数の歯車16が一列に並んで配置されている。そして、シャフト26が軸を中心として回転することにより、各歯車16の歯がシャフト26に設けられた螺旋状の溝に沿って移動し、複数の歯車16が回転駆動される。
【0041】
図1から図5を利用して説明したサンプル容器ラック10は、採血管などのサンプル容器を収容する。採血管を収容するサンプル容器ラック10は、例えば検体処理システムで利用される。検体処理システムは、例えば、遠心分離ユニット、バーコード読み取りユニット、液面界面測定ユニット、開栓ユニット、分注ユニットなどによって構成される。本発明に係るサンプル容器ラック10は、採血管などのサンプル容器を起立状態で収容したまま回転させることができるため、例えば、サンプル容器ラック10内で採血管を所望の方向に向けて、採血管のバーコードを読み取ることや、採血管内の液体などを光学的に観測することなどが可能になる。
【0042】
図6は、本発明に係るサンプル容器ラック10を利用したバーコード読み取り処理を説明するためのフローチャートである。サンプル容器ラック10は、例えば図1に示すものであり、バーコード読み取りユニットによって回転駆動部20が制御される。サンプル容器ラック10には、例えば図2に示す採血管が複数本だけ収容されている。そして、各採血管の本体30の円筒面17にバーコードが記されたラベルが貼付されている。以下、図6のフローチャートにおける各ステップの処理を説明する。
【0043】
まず、複数の採血管を収容したサンプル容器ラック10がバーコード読み取りユニット内のバーコード読み取り位置に搬送される(S601)。そして、そのバーコード読み取り位置でサンプル容器ラック10が保持される(S602)。次に、サンプル容器ラック10と回転駆動部が連結される(S603)。つまり、図1や図4(A)に示すように、サンプル容器ラック10の底面側に設けられた複数の歯車16のうちの端に位置する歯車16に、回転駆動部20の駆動歯車22が噛み合うように連結される。
【0044】
そして、バーコード読み取りユニットが、回転駆動部20を制御してサンプル容器ラック10に収容された採血管を回転させ、採血管を回転させながら、あるいは、採血管を所定の方向に向けてから、採血管に貼付されたラベルの情報をバーコードリーダーで読み取る(S604)。なお、複数のバーコードリーダーの各々が対応する採血管のバーコードを読み取ることにより、複数の採血管の情報を一斉に読み取る構成としてもよい。
【0045】
バーコード情報の読み取りが終了すると、サンプル容器ラック10と回転駆動部の連結が解除され(S605)、さらにサンプル容器ラック10の保持が解除されて(S606)、サンプル容器ラック10が次の工程を行うユニットへ搬送される(S607)。
【0046】
図7は、本発明に係るサンプル容器ラック10を利用した液面界面測定処理を説明するためのフローチャートである。サンプル容器ラック10は、例えば図1に示すものであり、液面界面測定ユニットによって回転駆動部20が制御される。サンプル容器ラック10には、例えば図2に示す採血管が複数本だけ収容されている。各採血管内には、遠心分離処理された血液が収容されている。つまり、各採血管内において、分離剤を間に挟んで血清と血餅が分離されている。遠心分離後において、分離剤は起立状態の採血管に対して水平ではなく傾いている場合が多い。血漿の量をより正確に把握するためには、血漿と分離剤との界面を多方向から測定する方式が望ましい。図7に示す液面界面測定処理もこの方式に基づいている。以下、図7のフローチャートにおける各ステップの処理を説明する。
【0047】
まず、複数の採血管を収容したサンプル容器ラック10が液面界面測定ユニット内の測定位置に搬送される(S701)。そして、その測定位置でサンプル容器ラック10が保持される(S702)。次に、サンプル容器ラック10と回転駆動部が連結される(S703)。つまり、図1や図4(A)に示すように、サンプル容器ラック10の底面側に設けられた複数の歯車16のうちの端に位置する歯車16に、回転駆動部20の駆動歯車22が噛み合うように連結される。
【0048】
次に、液面界面測定ユニットが、4方向から測定を行うために、測定回数(方向)をカウントするカウントIの値を1に設定する(S704)。そして、液面界面センサで採血管内の液面と界面を測定する(S705)。例えばセンサによって、血清の界面を検出する。なお、複数の液面界面センサの各々が対応する採血管を測定することにより、複数の採血管の測定を一斉に行う構成としてもよい。
【0049】
次に、カウントIの値が確認され(S706)、I=4でなければ、液面界面測定ユニットが、回転駆動部20を制御してサンプル容器ラック10に収容された採血管を90度だけ回転させ(S707)、S708でカウントIの値に1を加えた後、再びS705に戻り液面界面センサで採血管内の液面と界面を測定し、その後、S706でカウントIの値が再び確認される。
【0050】
S705からS708の処理が繰り返し実行されてS706においてI=4と判定されると、つまり、採血管を90度ずつ回転させて0度、90度、180度、270度の4方向からの測定が終了すると、それら4方向からの情報がメモリなどに記憶され、採血管の形状情報なども考慮されて、採血管内の血清量などのデータが算出される(S709)。
【0051】
データの算出が終了すると、サンプル容器ラック10と回転駆動部の連結が解除され(S710)、さらにサンプル容器ラック10の保持が解除されて(S711)、サンプル容器ラック10が次の工程を行うユニットへ搬送される(S712)。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。上述した実施形態によれば、サンプル容器を回転させるためにサンプル容器をサンプル容器ラックから取り出す必要がないため、例えば検体処理が高速化される。特に、複数のサンプル容器をサンプル容器ラックに収容した状態で一斉に測定するとさらに処理が高速化される。また、サンプル容器を回転させるためにサンプル容器をサンプル容器ラックから取り出す掴み機構などを必要としないため、検体処理を行うシステムのコストダウンやシステムの小型化が可能になる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態やその効果は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るサンプル容器ラックの斜視図である。
【図2】サンプル容器ラックに収容されるサンプル容器を示す図である。
【図3】サンプル容器の変形例を示す図である。
【図4】サンプル容器ラックに設けられた回転機構を説明するための図である。
【図5】複数の歯車を共通の駆動棒によって一斉に駆動する回転機構を説明するための図である。
【図6】本発明に係るサンプル容器ラックを利用したバーコード読み取り処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明に係るサンプル容器ラックを利用した液面界面測定処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
10 サンプル容器ラック、12 容器収容部、14 容器回転部、16 歯車、20 回転駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル容器を収容するサンプル容器ラックであって、
全体として実質的に円筒状に形成されたサンプル容器を起立状態で収容する容器収容部と、
前記容器収容部に収容されたサンプル容器をその円筒状の軸を中心として回転させる容器回転部と、
を有し、
前記容器回転部は、サンプル容器の外面上に設けられた基準形態部分に適合した適合形態部分を備え、基準形態部分が適合形態部分に嵌め合わされた状態でサンプル容器を回転させる、
ことを特徴とするサンプル容器ラック。
【請求項2】
請求項1に記載のサンプル容器ラックにおいて、
前記容器回転部は、当該サンプル容器ラックの底部に設けられ、起立状態で収容されたサンプル容器をその下端部から支え、
サンプル容器の下端部には前記基準形態部分として機能する凸状部が設けられ、
前記容器回転部は、前記適合形態部分として、前記凸状部に嵌め合わされる凹状部を備える、
ことを特徴とするサンプル容器ラック。
【請求項3】
請求項1に記載のサンプル容器ラックにおいて、
前記容器回転部は、複数のサンプル容器に対応して複数設けられ、
複数の容器回転部が一列に並べて配置されて互いに連動して回転する、
ことを特徴とするサンプル容器ラック。
【請求項4】
請求項3に記載のサンプル容器ラックにおいて、
前記複数の容器回転部の各々に歯車が設けられ、隣接する容器回転部の歯車が互いに噛み合うことにより、複数の容器回転部が互いに連動して回転する、
ことを特徴とするサンプル容器ラック。
【請求項5】
請求項3に記載のサンプル容器ラックにおいて、
前記複数の容器回転部の各々に歯車が設けられ、隣接する容器回転部の歯車の間に設けられた仲介歯車を介して、複数の容器回転部が互いに連動して回転する、
ことを特徴とするサンプル容器ラック。
【請求項6】
請求項3に記載のサンプル容器ラックにおいて、
前記複数の容器回転部の各々に歯車が設けられ、複数の容器回転部の歯車が共通の駆動棒によって一斉に駆動される、
ことを特徴とするサンプル容器ラック。
【請求項7】
請求項1に記載のサンプル容器ラックにおいて、
前記容器回転部は、バーコード読み取りユニットが制御する回転駆動部によって駆動され、サンプル容器に設けられたバーコードが所定の回転方向へ向くように当該サンプル容器を回転させる、
ことを特徴とするサンプル容器ラック。
【請求項8】
請求項1に記載のサンプル容器ラックにおいて、
前記容器回転部は、液体検査ユニットが制御する回転駆動部によって駆動され、サンプル容器内の液体が複数の回転方向から検査されるように当該サンプル容器を回転させる、
ことを特徴とするサンプル容器ラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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