説明

サーバ、印刷設定ファイルの保存制御方法および保存制御プログラム

【課題】シンクライアントのプリントシステム等において、ハードディスク装置等の記憶装置が搭載されていないクライアント装置から、サーバを利用して印刷を行う際、毎回印刷設定をやり直さなければならない煩雑さを防止する。
【解決手段】サーバ10は、クライアント装置1〜3からの要求に応じ印刷設定を行う手段113、ユーザ情報の取得手段111、印刷ジョブを印刷装置200に送信する手段115、取得されたユーザ情報と印刷設定値が関連付けられた印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が、クライアント装置に備えられているかどうかを判断する手段115、クライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていない場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に前記印刷設定ファイルを保存させる手段115を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザの端末装置であるクライアント装置や印刷装置と接続して使用されるサーバ、該サーバで実行される印刷設定ファイルの保存制御方法、および該方法を前記サーバに実行させるための印刷設定ファイルの保存制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
1台のプリントサーバに複数のクライアント装置と印刷装置が接続される印刷システムとして、多種多様のシステムが構築されているが、近年では、クライアント装置側は必要最低限のリソースのみを有し、サーバ側のリソースを最大限に活用して、クライアント装置側の運用・管理コストを抑制可能な、いわゆるシンクライアントシステムが主流となりつつある。
【0003】
このシステムでは、サーバ側にプリンタドライバをインストールしておき、このプリンタドライバをクライアント装置側から利用することにより、各種印刷設定を行うとともに、設定された印刷設定値を含む印刷ジョブをクライアント装置の指示に基づいてサーバが前記印刷装置に送信し、印刷が行われる。
【0004】
なお、特許文献1には、複数の端末、情報処理装置、周辺機器および管理装置がネットワークで接続されたシステムにおいて、端末に対してその利用場所に適した周辺機器を自動的に割り当てるとともに、割り当てた周辺機器ドライバのインストールおよびドライバ設定情報の設定を自動的に行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−123388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなシンクライアントのプリントシステムでは、クライアント装置にはハードディスク装置(HDD)等の記憶装置が搭載されておらず各種データを保有しない場合が多く、この場合は、サーバのプリンタドライバを使用して印刷設定を行い印刷を実行したとしても、サーバとクライアント装置とのセッションが切れると、前記印刷設定がクリアされてしまう。このため、クライアント装置からサーバを利用して印刷を行う際には、毎回印刷設定をやり直さなければならず、面倒であるという問題があった。
【0007】
なお、前述した特許文献1に記載の技術は、周辺機器ドライバのインストールおよびドライバ設定情報の設定が自動で行われるものの、ドライバ設定情報をユーザが変更した場合等における変更後のドライバ設定情報の扱いについては記載されておらず、上記のような問題点を解決することはできなかった。
【0008】
この発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、シンクライアントのプリントシステム等において、ハードディスク装置(HDD)等の記憶装置が搭載されていないクライアント装置から、サーバを利用して印刷を行う際に、毎回印刷設定をやり直さなければならない煩雑さを防止できるサーバおよび該サーバで実行される印刷設定ファイルの保存制御方法を提供し、さらには前記印刷設定ファイルの保存制御方法を前記サーバに実行させるための印刷設定ファイルの保存制御プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行う印刷設定手段と、前記印刷設定の要求を行ったクライアント装置側のユーザの情報を取得するユーザ情報取得手段と、前記印刷設定手段により設定された印刷設定値を含む印刷ジョブを、クライアント装置からの要求に応じて、印刷装置に送信する送信手段と、前記印刷設定値と前記ユーザ情報取得手段により取得されたユーザ情報とが関連付けられた印刷設定ファイルを作成する印刷設定ファイル作成手段と、前記印刷設定ファイル作成手段により作成された印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が、前記クライアント装置に備えられているかどうかを判断するクライアント環境判断手段と、前記クライアント環境判断手段によりクライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていないと判断された場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に前記印刷設定ファイルを保存させる制御手段と、を備えたことを特徴とするサーバ。
(2)クライアント装置からの要求に応じて印刷設定手段が印刷設定を行う際に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に、印刷設定の要求を行ったユーザの情報と印刷設定値とが関連付けられた印刷設定ファイルがすでに保存されているか否かを判断する印刷設定ファイル有無判断手段と、前記印刷設定ファイル有無判断手段により、すでに印刷設定ファイルが保存されていると判断された場合に、該印刷設定ファイルを取得する印刷設定ファイル取得手段と、前記印刷設定ファイル取得手段により取得された印刷設定ファイルに含まれている印刷設定値を初期の印刷設定値として反映させた印刷設定画面の表示データを作成する表示データ作成手段と、を備え、前記送信手段は、前記表示データ作成手段により作成された印刷設定画面の表示データを、印刷設定を要求したクライアント装置に送信し、前記印刷設定画面の表示データに反映させた印刷設定値がクライアント装置により変更された場合は、設定値を変更した新たな印刷設定ファイルを作成する前項1に記載のサーバ。
(3)前記制御手段は、前記印刷設定ファイル作成手段により作成された新たな印刷設定ファイルを、すでに保存されている印刷設定ファイルへ上書きすることにより、印刷設定ファイルを更新する前項2に記載のサーバ。
(4)前記制御手段は、印刷設定ファイルを更新する場合は、更新日時の情報を印刷設定ファイルに保持させる前項3に記載のサーバ。
(5)印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置に対して、前記制御手段は、前記印刷設定ファイルを前記クライアント装置の保存手段に保存させる前項1〜4のいずれかに記載のサーバ。
(6)印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置であっても、前記印刷設定ファイルを、前記クライアント装置の保存手段以外の保存手段に保存させるモードを、ユーザの操作に基づいて設定するモード設定手段を備えている前項5に記載のサーバ。
(7)クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行う印刷設定ステップと、前記印刷設定の要求を行ったクライアント装置側のユーザの情報を取得するユーザ情報取得ステップと、前記印刷設定ステップにおいて設定された印刷設定値を含む印刷ジョブを、クライアント装置の要求に応じて、印刷装置に送信する送信ステップと、前記印刷設定値と前記ユーザ情報取得ステップにおいて取得されたユーザ情報とが関連付けられた印刷設定ファイルを作成する印刷設定ファイル作成ステップと、前記印刷設定ファイル作成ステップにおいて作成された印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が、前記クライアント装置に備えられているかどうかを判断するクライアント環境判断ステップと、前記クライアント環境判断ステップにおいてクライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていないと判断された場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に前記印刷設定ファイルを保存させる制御ステップと、を備えたことを特徴とするサーバにおける印刷設定ファイルの保存制御方法。
(8)クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行う印刷設定ステップと、前記印刷設定の要求を行ったクライアント装置側のユーザの情報を取得するユーザ情報取得ステップと、前記印刷設定ステップにおいて設定された印刷設定値を含む印刷ジョブを、クライアント装置の要求に応じて、印刷装置に送信する送信ステップと、前記印刷設定値と前記ユーザ情報取得ステップにおいて取得されたユーザ情報とが関連付けられた印刷設定ファイルを作成する印刷設定ファイル作成ステップと、前記印刷設定ファイル作成ステップにおいて作成された印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が、前記クライアント装置に備えられているかどうかを判断するクライアント環境判断ステップと、前記クライアント環境判断ステップにおいてクライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていないと判断した場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に前記印刷設定ファイルを保存させる制御ステップと、を、コンピュータに実行させるための印刷設定ファイルの保存制御プログラム。
(9)クライアント装置からの要求に応じて印刷設定ステップにおいて印刷設定を行う際に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に、印刷設定の要求を行ったユーザの情報と印刷設定値とが関連付けられた印刷設定ファイルがすでに保存されているか否かを判断する印刷設定ファイル有無判断ステップと、前記印刷設定ファイル有無判断ステップにおいて、すでに印刷設定ファイルが保存されていると判断された場合に、該印刷設定ファイルを取得する印刷設定ファイル取得ステップと、前記印刷設定ファイル取得ステップにおいて取得した印刷設定ファイルに含まれている印刷設定値を初期の印刷設定値として反映させた印刷設定画面の表示データを作成する表示データ作成ステップと、をさらにコンピュータに実行させ、前記送信ステップでは、前記表示データ作成ステップにおいて作成した印刷設定画面の表示データを、印刷設定を要求したクライアント装置に送信し、前記印刷設定ファイル作成ステップでは、前記印刷設定画面の表示データに反映させた印刷設定値がクライアント装置により変更された場合は、設定値を変更した新たな印刷設定ファイルを作成する処理をコンピュータに実行させる前項8に記載のプログラム。
(10)前記制御ステップでは、前記印刷設定ファイル作成ステップにおいて作成した新たな印刷設定ファイルを、すでに保存されている印刷設定ファイルへ上書きすることにより、印刷設定ファイルを更新する処理をコンピュータに実行させる前項9に記載のプログラム。
(11)前記制御ステップでは、印刷設定ファイルを更新する場合は、更新日時の情報を印刷設定ファイルに保持させる処理をコンピュータに実行させる前項10に記載のプログラム。
(12)印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置に対して、前記制御ステップでは、前記印刷設定ファイルを前記クライアント装置の保存手段に保存させる処理をコンピュータに実行させる前項8〜11のいずれかに記載のプログラム。
(13)印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置であっても、前記印刷設定ファイルを、前記クライアント装置の保存手段以外の保存手段に保存させるモードを、ユーザの操作に基づいて設定するモード設定ステップをコンピュータに実行させる前項12に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0010】
前項(1)に記載の発明によれば、サーバは、クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行い、設定された印刷設定値を含む印刷ジョブを、クライアント装置の要求に応じて、印刷装置に送信する。サーバは、前記印刷設定の要求を行ったクライアント装置側のユーザの情報を取得するとともに、取得されたユーザ情報と前記印刷設定値とが関連付けられた印刷設定ファイルを作成し、この作成された印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が、前記クライアント装置に備えられているかどうかを判断する。そして、クライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていないと判断した場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に、前記印刷設定ファイルを保存させる。従って、シンクライアントのプリントシステム等において、ハードディスク装置(HDD)等の記憶装置が搭載されていないクライアント装置から、前記サーバを利用して印刷を行う際に、一度設定された印刷設定値は印刷設定ファイルとして保存されるから、次回からはこの保存された印刷設定ファイルを利用することができ、毎回印刷設定をやり直さなければならない煩雑さを防止できる。
【0011】
前項(2)に記載の発明によれば、クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行う際に、印刷設定の要求を行ったユーザの情報と印刷設定値とが関連付けられた印刷設定ファイルがすでに保存されているか否かが判断され、既に保存されていると判断された場合には、該印刷設定ファイルを取得してそれに含まれる印刷設定値を初期の設定値として反映させた印刷設定画面の表示データが作成され、印刷設定を要求したクライアント装置に送信される。また、印刷設定値の変更があった場合は、印刷設定値を変更した新たな印刷設定ファイルが作成される。
【0012】
前項(3)に記載の発明によれば、新たに作成された印刷設定ファイルを、すでに保存されている印刷設定ファイルへ上書きすることにより、印刷設定ファイルを更新でき、常に最新の印刷設定ファイルを残しておくことができる。
【0013】
前項(4)に記載の発明によれば、印刷設定ファイルを更新する場合は、更新日時の情報が印刷設定ファイルに保持されるから、ユーザは更新日時を知ることができる。
【0014】
前項(5)に記載の発明によれば、印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置に対しては、前記クライアント装置の保存手段に印刷設定ファイルを保存させることができる。
【0015】
前項(6)に記載の発明によれば、印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置であっても、印刷設定ファイルを前記クライアント装置の保存手段以外の保存手段に保存させるモードを、ユーザの操作に基づいて設定することができる。
【0016】
前項(7)に記載の発明によれば、シンクライアントのプリントシステム等において、ハードディスク装置(HDD)等の記憶装置が搭載されていないクライアント装置から、前記サーバを利用して印刷を行う際に、一度設定された印刷設定値は印刷設定ファイルとして保存されるから、次回からはこの保存された印刷設定ファイルを利用することができ、毎回印刷設定をやり直さなければならない煩雑さを防止できる。
【0017】
前項(8)に記載の発明によれば、印刷設定の要求を行ったクライアント装置側のユーザの情報を取得するとともに、印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が前記クライアント装置に備えられているかどうかを判断し、クライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていないと判断した場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に前記印刷設定ファイルを保存させる処理を、コンピュータに実行させることができる。
【0018】
前項(9)に記載の発明によれば、クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行う際に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に、印刷設定の要求を行ったユーザの情報と印刷設定値とが関連付けられた印刷設定ファイルがすでに保存されているか否かを判断し、すでに印刷設定ファイルが保存されていると判断した場合に、該印刷設定ファイルを取得し、取得した印刷設定ファイルに含まれる印刷設定値を初期の印刷設定値として反映させた印刷設定画面の表示データを作成してクライアント装置に送信し、印刷設定値の変更があった場合は、印刷設定値を変更した新たな印刷設定ファイルを作成する処理を、さらにコンピュータに実行させることができる。
【0019】
前項(10)に記載の発明によれば、新たな印刷設定ファイルを、すでに保存されている印刷設定ファイルへ上書きすることにより、印刷設定ファイルを更新する処理をコンピュータに実行させることができる。
【0020】
前項(11)に記載の発明によれば、印刷設定ファイルを更新する場合は、更新日時の情報を印刷設定ファイルに保持させる処理をコンピュータに実行させることができる。
【0021】
前項(12)に記載の発明によれば、印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置に対して、印刷設定ファイルを前記クライアント装置の保存手段に保存させる処理をコンピュータに実行させることができる。
【0022】
前項(13)に記載の発明によれば、印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置であっても、印刷設定ファイルを、前記クライアント装置の保存手段以外の保存手段に保存させるモードを、ユーザの操作に基づいて設定するモード設定ステップをコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係るサーバが用いられたプリントシステムの構成図である。
【図2】サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】サーバの記憶部等に格納されているプリンタドライバの機能構成を示すブロック図である。
【図4】サーバおよびクライアント装置の各仕様を示す表である。
【図5】サーバの表示装置に表示された印刷設定保存モードの選択画面を示す図である。
【図6】クライアント装置からの接続がなされたサーバの動作を示すフローチャートである。
【図7】図6のモード設定処理(ステップS4)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図6の印刷設定画面表示処理(ステップS5)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図6の印刷設定保存処理(ステップS6)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】保存先に保存されたユーザ毎の印刷設定の一例を示す図である。
【図11】この発明の他の実施形態を示すものであり、クライアント装置からのセッション(接続)があったのち、印刷設定画面の表示用データをクライアント装置に送信するまでのサーバの処理を示すフローチャートである。
【図12】同じく、印刷ジョブの印刷装置への送信後における印刷設定ファイルの保存処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、この発明の一実施形態に係るサーバが用いられたプリントシステムの構成図である。
【0026】
このプリントシステムは、ネットワーク4を介して相互に接続されたサーバ10と、端末装置としての複数台(この実施形態では3台)のクライアント装置1〜3と、印刷装置200とを備えている。
【0027】
前記サーバ10はパソコンからなり、ウィンドウズ(登録商標)等のOSとともにシンクライアントとしてのクライアント装置1、2と連携するためのソフトウェア(SSともいう)や、プリンタドライバ等が搭載されており、クライアント装置からの要求に基づきプリンタドライバを起動して印刷設定を行い、クライアント装置からの要求に基づき印刷ジョブを印刷装置に送信して印刷を実行させるものである。なお、以下の説明では、クライアント装置を単にクライアントともいう。
【0028】
前記クライアント1〜3のうち、クライアント1はウィンドウズ(登録商標)等のOSを持たないコンピュータからなり、クライアント1をシンクライアントとして機能させるためのソフトウェア(SCともいう)が搭載されている。また、クライアント1は、ハードディスク装置(HDDともいう)等の記憶部を備えておらず、サーバで設定された印刷設定値を含む印刷設定ファイルを自装置に保存することができない構成となされている。
【0029】
クライアント2は、ウィンドウズ(登録商標)等のOSを有するコンピュータからなり、さらにクライアント2をシンクライアントとして機能させるための前記SCもインストールされている。さらに、クライアント2はHDD等の記憶部21を備えており、サーバで設定された印刷設定等のデータを自装置に保存することができる構成となされている。
【0030】
クライアント3は、ウィンドウズ(登録商標)等のOSを有しかつHDD等の記憶部31を有するコンピュータからなるが、クライアント3をシンクライアントとして機能させるためのSCはインストールされていない通常のコンピュータである。
【0031】
前記印刷装置200は、サーバから送信された印刷ジョブを、印刷ジョブに含まれる印刷設定に従って印刷するものであり、この実施形態ではコピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を備えた多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripherals)が用いられている。以下、この印刷装置をMFPともいう。また、このMFP200には、サーバ10で作成された前記印刷設定ファイルを保存可能なHDD等の記憶部201を備えている。
【0032】
図2は、サーバ10の電気的構成を示すブロック図である。
【0033】
サーバ10は、CPU101、ROM102、RAM103、記憶部104、表示装置105、入力装置106、ネットワークインターフェース部(ネットワークI/F部)107等を備え、システムバス108を介して互いに接続されている。
【0034】
CPU101は、ROM102や記憶部104に格納されているプログラムを実行することにより、サーバ10の全体を統括的に制御する。特に、この実施形態では、記憶部104等に格納されているプログラムとしてのプリンタドライバにより、クライアント1〜3を使用するユーザの指示に基づく印刷設定処理、印刷設定値を含む印刷設定ファイルや印刷ジョブの作成処理および印刷装置200への印刷ジョブの送信処理等を実行する。
【0035】
ROM102は、CPU101が実行するためのプログラムやその他のデータを保存する記憶媒体である。
【0036】
RAM103は、CPU101が動作用プログラムに従って動作する際の作業領域を提供する記憶媒体である。
【0037】
記憶部104は、ハードディスク等の記憶媒体からなり、各種のアプリケーションプログラムやデータ等を保存する。
【0038】
表示装置105は、CRTや液晶表示装置等からなり、各種のメッセージ及びユーザに対する入力受付画面、選択画面等を表示する。
【0039】
入力装置106は、ユーザによる入力操作に用いられるもので、キーボードやマウス等からなる。
【0040】
ネットワークインターフェース部107は、クライアント1〜3、MFP200及びその他の外部機器との間で、ネットワーク4を介して、データの送受信を行う通信手段として機能する。
【0041】
図3は、サーバ10の記憶部104等に格納されているプリンタドライバの機能構成を示すブロック図である。このプリンタドライバは、クライアント環境判断部111と、動作モード切替処理部112と、印刷設定処理部113と、UI(User Interface)制御部114と、印刷制御部115をサーバ10に実現する。
【0042】
前記クライアント環境判断部111は、クライアント1〜3とのセッション(接続)があったときに、API、SDK、DDK、ネットワークコマンド、パケット等の通信プロトコル、セッション情報等から、クライアントの情報およびクライアントを使用しているユーザの情報を取得し、クライアントがシンクライアントか、クライアントにOSが搭載されているか否か、OSの種類、クライアントにHDDが搭載されているか、クライアントを使用しているユーザ名等を判断する。
【0043】
前記動作モード切替処理部112は、前記クライアント環境判断部111の判断結果に基づいて、動作モードの切り替え処理を行うものである。具体的には、クライアント環境判断部111により、印刷設定の作成要求を行ったクライアント1〜3がシンクライアントであり、かつHDDが搭載されていると判断された場合には、前記印刷設定処理部113により設定された印刷設定値と、印刷設定の指示を行ったユーザの情報とを関連付けて印刷設定ファイルを作成するとともに、該作成した印刷設定ファイルをクライアント自身のHDDに記憶させる。また、印刷設定の作成要求を行ったクライアント1〜3がシンクライアントであり、かつHDDが搭載されていないと判断された場合には、前記印刷設定処理部113により作成された前記印刷設定ファイルを、サーバ10自身の記憶部104かあるいはサーバ10以外の保存手段、例えばMFP200の記憶部201に記憶させる。
【0044】
印刷設定処理部113は、クライアント1〜3からの要求に応じて、印刷に際しての印刷設定を行う。具体的には、デフォルトの印刷設定値を初期値として反映してクライアントに提示し、クライアントから設定値の変更があればそれを反映させる。また、設定された印刷設定値を印刷対象のデータに付加して印刷ジョブを作成したり、前記クライアント環境判断部111により判断されたユーザの情報と印刷設定値とを関連付けて印刷設定ファイルを作成する。
【0045】
前記UI制御部114は、印刷設定画面の表示データを作成したり、印刷設定画面に対してクライアントからの印刷設定値の変更等があった場合は、それを印刷設定処理部113に通知する等の処理を行う。
【0046】
前記印刷制御部115は、印刷設定処理部113により作成された印刷ジョブを印刷装置200に送信して、印刷を実行させたり、前記印刷設定処理部113で作成された印刷設定ファイルを、所定の保存先に保存させる等の役割を果たす。
【0047】
次に、図1に示したプリントシステムにおけるサーバ10の動作を説明する。以下の説明では、クライアント2、3およびMFP200の各記憶部21、31および201がHDDであるものとして説明する。
【0048】
図4は、サーバ10、クライアント1〜3の各仕様を示す表であり、それぞれ、MACアドレス、所有者であるユーザ名、OS、バージョン、シンクライアント1および2とサーバ10とを接続するための起動アプリケーション(起動アプリと記している)が示されている。なお、起動アプリケーションは前述したように、サーバ10ではシンクライアント1,2と連携するためのソフトウェア(SS)であり、クライアント1及び2ではクライアント1及び2をそれぞれシンクライアントとして機能させるためのソフトウェア(SC1およびSC2)である。クライアント3は、シンクライアント用のソフトウェアは搭載されていない。また、クライアント1には、OS及びHDDが搭載されていない。
【0049】
この実施形態では、クライアントがシンクライアントである場合に、サーバ10で作成された印刷設定ファイルの保存場所に関するモードである印刷設定保存モードを、管理者等のユーザがサーバ10により予め設定しておくことができる。
【0050】
即ち、図5に示すように、サーバ10の表示装置105に表示された印刷設定保存モードの選択画面において、「ネットワークプリント最適化設定」の項目にチェックを入れ、「シンクライアント(HDDなし)」モードである第1モードと、「シンクライアント(HDDあり)」モードである第2モードと、「常にMFP/サーバへ印刷設定保存」モードである第3モードと、「クライアント環境に応じて自動的に切り替える」モードである第4モードのいずれかを選択できるものとなされている。この選択は、例えばプリンタドライバのインストール時等に行っておけばよい。
【0051】
前記第1モードは、サーバ10に接続されているクライアントがHDDの搭載されていないクライアントであることが予めわかっている場合に選択されるものである。このモードが選択されると、印刷設定ファイルはサーバ10またはMFP200または他の保存先に保存される。
【0052】
前記第2モードは、サーバ10に接続されているクライアントがHDDの搭載されているクライアントであることが予めわかっている場合に選択されるものである。このモードが選択されると、印刷設定ファイルはそれを要求したクライアント自身のHDD21または31に保存される。
【0053】
前記第3モードが選択されると、サーバ10に接続されているクライアントにHDDの搭載されているクライアントが含まれていても、印刷設定ファイルは常にクライアント以外の保存先であるサーバ10の記憶部104、MFP200のHDD201、その他所定の保存先に保存される。
【0054】
前記第4モードが選択されると、クライアント環境換言すればクライアントにHDDが搭載されているか否かに応じて、印刷設定ファイルの保存先を自動的に切り替えるものである。即ち、クライアントにHDDが搭載されていなければ、印刷設定ファイルをサーバ10やMFP200等に保存させるモードとなり、クライアントにHDDが搭載されていれば、印刷設定ファイルをそのクライアントに保存させるモードとなる。以下、印刷設定ファイルをサーバ10やMFP200等に保存させるモードをAモードといい、印刷設定ファイルを印刷設定要求を行ったクライアントに保存させるモードをBモードという。
【0055】
OKボタンを押すと、選択されたモードが確定する。なお、デフォルトの設定として前記第4モードが設定されている。
【0056】
図6は、クライアントからの接続がなされたサーバ10の動作を示すフローチャートである。この動作は、サーバ10のCPU101が記憶部104等の記録媒体に記録されたプリンタドライバに従って動作することにより実行される。
【0057】
なお、プリンタドライバは、サーバ10へインストールされる際にもしくはその後に、サーバ10に搭載されているOSや、SS等のアプリケーションについての情報や、HDDが搭載されているか否か等の、サーバ環境に関する情報を取得している。
【0058】
ステップS1では、クライアント1〜3からのセッション(接続)があったかどうかを判断し、なければ(ステップS1でNO)、処理を終了する。セッションがあれば(ステップS1でYES)、ステップS2で、接続を行ったクライアントがシンクライアントか否かを判断する。シンクライアントでなければ(ステップS2でNO)、この実施形態ではクライアント3からの接続であるので、ステップS3で、ウィンドウズ(登録商標)OS標準のポイントアンドプリント機能による印刷処理を実行して処理を終了する。
【0059】
シンクライアントであれば(ステップS2でYES)、この実施形態ではクライアント1または2のユーザがSC1やSC2を起動して接続してきたものであり、ステップS4でモード設定処理を実行し、ステップS5で印刷設定画面表示処理を実行し、ステップS6で印刷設定保存処理を実行する。
【0060】
図7は前記モード設定処理(ステップS4)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0061】
ステップS41において、図5の画面で選択されている印刷設定保存モードの種類を判断する。印刷設定保存モードとして、第1および第3モードが選択されていると、ステップS47に進む。第2モードが選択されているとステップS46に進む。第4モードが選択されていると、ステップS42に進む。
【0062】
ステップS42では、API、SDK、DDK、ネットワークコマンド、パケット等の通信プロトコル、セッション情報等から、クライアント1、2の情報およびクライアントを使用しているユーザの情報を取得する。
【0063】
次いでステップS43で、クライアント1、2の情報およびユーザ情報の取得に成功したかどうかを判断し、成功しなければ(ステップS43でNO)、ステップS47に進む。成功すれば(ステップS43でYES)、ステップS44に進み、クライアント1、2にHDDが搭載されており、サーバ10で作成した印刷設定ファイルを保存可能な記憶領域が存在しているかどうかを判断する。
【0064】
印刷設定ファイルを保存可能な記憶領域が存在していなければ(この実施形態ではクライアント1の場合)(ステップS44でNO)、ステップS47に進む。存在していれば(この実施形態ではクライアント2の場合)(ステップS44でYES)、ステップS45で、その記憶領域に印刷設定ファイルの書き込みが可能かどうかを判断する。例えばクライアント2上で動作するウィンドウズ(登録商標)等のOSのアクセス権限により、読み書きが禁止されており、印刷設定ファイルの書き込みが不可であれば(ステップS45でNO)、ステップS47に進む。書き込み可能であれば(ステップS45でYES)、ステップS46に進む。
【0065】
ステップS46では、印刷設定ファイルの保存モードとして前述したBモード、即ちクライアント2に印刷設定ファイルを保存するモードを設定して、リターンする。一方、ステップS47では、印刷設定ファイルの保存モードとして前述したAモード、即ちMFP200のHDD201に印刷設定を保存するモードを設定して、リターンする。なお、前述したように、MFP200ではなくサーバ10の記憶部104に保存させる構成であってもよく、MFP200やサーバ10以外の外部機器に保存させる構成であってもよい。
【0066】
図8は、図6のフローチャートにおけるステップS5の印刷設定画面表示処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0067】
ステップS51で、設定された印刷設定保存モードがAモードかBモードかを判断し、AモードであればステップS52に進む。BモードであればステップS54に進む。
【0068】
ステップS52では、該当するユーザの過去の印刷設定ファイルがMFP200にすでに保存されているか否かを、MFP200に問い合わせることにより調査する。印刷設定ファイルがすでに保存されている場合は(ステップS52でYES)、ステップS53で、MFP200から読み込んだ印刷設定ファイルに含まれている印刷設定値を印刷設定画面の初期設定値に反映して、印刷設定画面の表示データを作成し、この作成された表示データをクライアント1に送信し、クライアント1の表示部に表示させたのち、リターンする。
【0069】
印刷設定ファイルが存在していない場合は(ステップS52でNO)、ステップS56で、プリンタドライバのデフォルトの印刷設定値を印刷設定画面の初期設定値に反映して、印刷設定画面の表示データを作成し、この作成された表示データをクライアント1に送信し、クライアント1の表示部に表示させたのち、リターンする。
【0070】
一方、ステップS54では、該当するユーザの過去の印刷設定ファイルがユーザの使用装置であるクライアント2にすでに保存されているか否かを、SOAPメッセージなどを用いて問い合わせることにより調査する。印刷設定ファイルがすでに保存されている場合は(ステップS54でYES)、ステップS55で、クライアント2から読み込んだ印刷設定ファイルを印刷設定画面の初期設定値に反映して、印刷設定画面の表示データを作成し、この作成された表示データをクライアント2に送信し、クライアント2の表示部に表示させたのち、リターンする。
【0071】
印刷設定ファイルが存在していない場合は(ステップS54でNO)、ステップS56で、プリンタドライバのデフォルトの印刷設定値を印刷設定画面の初期設定値に反映して、印刷設定画面の表示データを作成し、この作成された表示データをクライアント2に送信し、クライアント2の表示部に表示させたのち、リターンする。
【0072】
図9は、図6のフローチャートにおけるステップS6の印刷設定保存処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0073】
ステップS61では、クライアント1、2から印刷指示がなされたか否かを判断し、なされなければ(ステップS61でNO)、そのままリターンする。印刷指示がなされれば(ステップS61でYES)、ステップS62で印刷設定値を確定するとともに、確定した印刷設定値とユーザ情報とを関連付けて印刷設定ファイルを作成する。次いで、ステップS63で、確定した印刷設定値はプリンタドライバのデフォルトの印刷設定値かどうかを判断する。
【0074】
デフォルトの印刷設定値であれば(ステップS63でYES)、ステップS68に進む。デフォルトの印刷設定値でなければ(ステップS63でNO)、ステップS64に進む。ステップS64では、印刷設定保存モードがAモードかBモードかに従って、前記作成した印刷設定ファイルの保存先を切り替える。つまり、AモードであればMFP200のHDD201を保存先とし、Bモードであればクライアント2のHDD21を保存先とする。
【0075】
次に、ステップS65で、保存先にユーザの印刷設定ファイルがすでに保存されているかどうかを調べ、すでに保存されていれば(ステップS65でYES)、ステップS66で、その保存先に印刷設定ファイルを上書き保存して印刷設定ファイルを更新したのち、ステップS68に進む。保存されていなければ(ステップS65でNO)、ステップS67で、その保存先に新規に印刷設定ファイルを保存したのち、ステップS68に進む。
【0076】
ステップS68では、ユーザがサーバ10を用いて作成した印刷データまたは自己のクライアント2において作成した印刷データに、印刷設定値の情報を付加して印刷ジョブとし、この印刷ジョブをMFP200に送信する。
【0077】
この印刷ジョブを受信したMFP200は、前記印刷データを印刷設定値に従って用紙に印刷する。
【0078】
図10に、保存先に保存されたユーザ毎の印刷設定の一例を示す。例えばユーザ1の印刷設定では、2枚の原稿を1枚の用紙に集約して印刷する「2in1」、「両面印刷」の各設定値がそれぞれ設定され、他の設定値にはデフォルトの値が設定されていることがわかる。また、印刷設定ファイルには、その印刷設定ファイルが保存された日時が併せて保持されており、ユーザは前回の更新日時を知ることができるものとなされている。
【0079】
このように、この実施形態では、サーバ10は、印刷設定ファイルを保存可能な記憶部が、印刷設定を要求したクライアントに備えられているかどうかを判断し、備えられている判断した場合には、クライアントの記憶部に印刷設定ファイルを保存させ、備えられていないと判断した場合には、サーバ10やMFP200等の記憶部に前記印刷設定ファイルを保存させる。つまり、印刷設定ファイルを保存可能な記憶部が、印刷設定を要求したクライアントに備えられていなくても、一度設定された印刷設定値は印刷設定ファイルとして保存されるから、次回からはこの保存された印刷設定ファイルを利用することができ、毎回印刷設定をやり直さなければならない煩雑さを防止できる。
【0080】
また、印刷設定ファイルがすでに保存されている場合には、該印刷設定ファイルを取得してそれに含まれる印刷設定値を初期の設定値として反映させた印刷設定画面の表示データが作成され、印刷設定を要求したクライアントに送信される。また、印刷設定値の変更があった場合は、印刷設定値を変更した新たな印刷設定ファイルが作成され、既存の印刷設定ファイルへの上書きにより、印刷設定ファイルが更新されるから、常に最新の印刷設定ファイルを残しておくことができる。
【0081】
図11および図12は、この発明の他の実施形態を示すものであり、クライアント1または2からのシンクライアント機能による接続がなされたサーバ10の動作を示すフローチャートである。なお、図11のフローチャートはクライアントクライアント1、2からのセッション(接続)があったのち、印刷設定画面の表示用データをクライアントに送信するまでの処理を示し、図12のフローチャートは、印刷ジョブのMFP200への送信後における印刷設定ファイルの保存処理を示すものである。
【0082】
図11のステップS71において、ユーザ特定処理を実施し、セッション情報等からクライアント1または2のIPアドレスやユーザを特定した後、ステップS72で、クライアントからの印刷設定ファイルの参照先の指定があったかどうかを判断する。
【0083】
参照先の指定がなければ(ステップS72でNO)、ステップS73では、該当ユーザの印刷設定ファイルがMFP200にすでに保存されているかどうかを、MFP200への問い合わにより調べたのち、その結果に基づいてステップS74で、対応する印刷設定ファイルがMFP200にすでに保存されているかどうかを判断する。
【0084】
保存されていれば(ステップS74でYES)、ステップS75で、その印刷設定ファイルをサーバ10の記憶部104に一時保存した後、ステップS77に進む。MFP200に保存されていなければ(ステップS74でNO)、ステップS76で、ユーザの印刷設定ファイルがすでにクライアント2に保存されているかどうかを、SOAPメッセージ等によるクライアント2への問い合わにより調べたのち、その結果に基づいてステップS77で、対応する印刷設定ファイルがクライアント2に保存されているかどうかを判断する。
【0085】
保存されていれば(ステップS77でYES)、ステップS78で、その印刷設定ファイルをサーバ10の記憶部104に一時保存した後、ステップS80に進む。クライアント2に保存されていなければ(ステップS77でNO)、ステップS79で、サーバ10の記憶部104に一時保存した印刷設定ファイルがあるかどうかを調べる。
【0086】
一時保存した印刷設定ファイルがあれば(ステップS79でYES)、ステップS80で、前記一時保存した印刷設定ファイルから印刷設定値を選択する。具体的には、一時保存した印刷設定ファイルが複数存在する場合は、ファイル更新日時の最も新しいファイルの設定値を選択し、1つしか存在していないのであれば、その設定値を選択する。印刷設定値の選択後、ステップS81に進む。
【0087】
ステップS79において、一時保存した印刷設定ファイルがなければ(ステップS79でNO)、ステップS84で、プリンタドライバのデフォルトの設定値を選択したのち、ステップS81に進む。
【0088】
一方、ステップS72において、印刷設定ファイルの参照先の指定があれば(ステップS72でYES)、ステップS82に進み、指定先の印刷設定ファイルを参照し、ステップS83で、そのファイルに印刷設定値が含まれているかどうかを調べる。
【0089】
含まれていれば(ステップS83でYES)、ステップS85でその設定値を選択したのち、ステップS81に進む。含まれていなければ(ステップS83でNO)、ステップS84で、プリンタドライバのデフォルトの設定値を選択したのち、ステップS81に進む。
【0090】
ステップS81では、選択した印刷設定値をプリンタドライバの初期設定値に反映した印刷設定画面の表示データを作成し、該作成された表示データをクライアント1、2に送信し、クライアントの表示部に表示させる。
【0091】
印刷設定ファイルの保存処理は次のように行われる。
【0092】
即ち、図12のステップS91において、印刷設定値の変更がなされているかどうかを判断し、なされていなければ保存処理を終了する。変更がなされていれば(ステップS91でYES)、ステップS92で、ユーザによる印刷設定ファイルの保存先の指定があったかどうかを判断し、あれば(ステップS92でYES)、ステップS96で、印刷設定ファイルを作成し、指定先に印刷設定ファイルを保存する。
【0093】
指定がなければ(ステップS92でNO)、ステップS93で、印刷ファイルを作成し、対応するクライアント1、2に印刷設定ファイルを配信したのち、ステップS94で、クライアントから保存完了の応答があったかどうかを判断する。例えば、クライアント1が印刷設定要求を行った場合、クライアント1はHDD11を有していないので、クライアント1から保存完了の応答はない。従って、応答の有無により、サーバ10はクライアントにおける印刷設定ファイルの記憶領域の有無を判断できる。
【0094】
ステップS94で、完了の応答がない場合、換言すればクライアントにHDDが備えられていない場合は(ステップS94でNO)、ステップS95で、MFP200のHDD201に印刷設定ファイルを保存させた後、処理を終了する。完了の応答があれば(ステップS94でYES)、すでに印刷設定ファイルはクライアントのHDDに保存されたから、そのまま処理を終了する。
【0095】
この実施形態によっても、サーバ10は、印刷設定ファイルを保存可能な記憶部が、印刷設定を要求したクライアントに備えられていない場合に、サーバ10やMFP200等の記憶部に前記印刷設定ファイルが保存されるから、次回からはこの保存された印刷設定ファイルを利用することができ、毎回印刷設定をやり直さなければならない煩雑さを防止できる。
【符号の説明】
【0096】
1〜3 クライアント
21、31 ハードディスク装置(HDD)
10 サーバ
101 CPU
102 ROM
104 記憶部
105 表示装置
111 クライアント環境判断部
112 動作モード切替処理部
113 印刷設定処理部
114 UI制御部
115 印刷制御部
200 印刷装置(MFP)
201 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行う印刷設定手段と、
前記印刷設定の要求を行ったクライアント装置側のユーザの情報を取得するユーザ情報取得手段と、
前記印刷設定手段により設定された印刷設定値を含む印刷ジョブを、クライアント装置からの要求に応じて、印刷装置に送信する送信手段と、
前記印刷設定値と前記ユーザ情報取得手段により取得されたユーザ情報とが関連付けられた印刷設定ファイルを作成する印刷設定ファイル作成手段と、
前記印刷設定ファイル作成手段により作成された印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が、前記クライアント装置に備えられているかどうかを判断するクライアント環境判断手段と、
前記クライアント環境判断手段によりクライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていないと判断された場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に前記印刷設定ファイルを保存させる制御手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ。
【請求項2】
クライアント装置からの要求に応じて印刷設定手段が印刷設定を行う際に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に、印刷設定の要求を行ったユーザの情報と印刷設定値とが関連付けられた印刷設定ファイルがすでに保存されているか否かを判断する印刷設定ファイル有無判断手段と、
前記印刷設定ファイル有無判断手段により、すでに印刷設定ファイルが保存されていると判断された場合に、該印刷設定ファイルを取得する印刷設定ファイル取得手段と、
前記印刷設定ファイル取得手段により取得された印刷設定ファイルに含まれている印刷設定値を初期の印刷設定値として反映させた印刷設定画面の表示データを作成する表示データ作成手段と、
を備え、
前記送信手段は、前記表示データ作成手段により作成された印刷設定画面の表示データを、印刷設定を要求したクライアント装置に送信し、前記印刷設定画面の表示データに反映させた印刷設定値がクライアント装置により変更された場合は、設定値を変更した新たな印刷設定ファイルを作成する請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記印刷設定ファイル作成手段により作成された新たな印刷設定ファイルを、すでに保存されている印刷設定ファイルへ上書きすることにより、印刷設定ファイルを更新する請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記制御手段は、印刷設定ファイルを更新する場合は、更新日時の情報を印刷設定ファイルに保持させる請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置に対して、前記制御手段は、前記印刷設定ファイルを前記クライアント装置の保存手段に保存させる請求項1〜4のいずれかに記載のサーバ。
【請求項6】
印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置であっても、前記印刷設定ファイルを、前記クライアント装置の保存手段以外の保存手段に保存させるモードを、ユーザの操作に基づいて設定するモード設定手段を備えている請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行う印刷設定ステップと、
前記印刷設定の要求を行ったクライアント装置側のユーザの情報を取得するユーザ情報取得ステップと、
前記印刷設定ステップにおいて設定された印刷設定値を含む印刷ジョブを、クライアント装置の要求に応じて、印刷装置に送信する送信ステップと、
前記印刷設定値と前記ユーザ情報取得ステップにおいて取得されたユーザ情報とが関連付けられた印刷設定ファイルを作成する印刷設定ファイル作成ステップと、
前記印刷設定ファイル作成ステップにおいて作成された印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が、前記クライアント装置に備えられているかどうかを判断するクライアント環境判断ステップと、
前記クライアント環境判断ステップにおいてクライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていないと判断された場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に前記印刷設定ファイルを保存させる制御ステップと、
を備えたことを特徴とするサーバにおける印刷設定ファイルの保存制御方法。
【請求項8】
クライアント装置からの要求に応じて印刷設定を行う印刷設定ステップと、
前記印刷設定の要求を行ったクライアント装置側のユーザの情報を取得するユーザ情報取得ステップと、
前記印刷設定ステップにおいて設定された印刷設定値を含む印刷ジョブを、クライアント装置の要求に応じて、印刷装置に送信する送信ステップと、
前記印刷設定値と前記ユーザ情報取得ステップにおいて取得されたユーザ情報とが関連付けられた印刷設定ファイルを作成する印刷設定ファイル作成ステップと、
前記印刷設定ファイル作成ステップにおいて作成された印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が、前記クライアント装置に備えられているかどうかを判断するクライアント環境判断ステップと、
前記クライアント環境判断ステップにおいてクライアント装置に印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられていないと判断した場合に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に前記印刷設定ファイルを保存させる制御ステップと、
を、コンピュータに実行させるための印刷設定ファイルの保存制御プログラム。
【請求項9】
クライアント装置からの要求に応じて印刷設定ステップにおいて印刷設定を行う際に、自装置または自装置外に備えられた保存手段に、印刷設定の要求を行ったユーザの情報と印刷設定値とが関連付けられた印刷設定ファイルがすでに保存されているか否かを判断する印刷設定ファイル有無判断ステップと、
前記印刷設定ファイル有無判断ステップにおいて、すでに印刷設定ファイルが保存されていると判断された場合に、該印刷設定ファイルを取得する印刷設定ファイル取得ステップと、
前記印刷設定ファイル取得ステップにおいて取得した印刷設定ファイルに含まれている印刷設定値を初期の印刷設定値として反映させた印刷設定画面の表示データを作成する表示データ作成ステップと、
をさらにコンピュータに実行させ、
前記送信ステップでは、前記表示データ作成ステップにおいて作成した印刷設定画面の表示データを、印刷設定を要求したクライアント装置に送信し、前記印刷設定ファイル作成ステップでは、前記印刷設定画面の表示データに反映させた印刷設定値がクライアント装置により変更された場合は、設定値を変更した新たな印刷設定ファイルを作成する処理をコンピュータに実行させる請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記制御ステップでは、前記印刷設定ファイル作成ステップにおいて作成した新たな印刷設定ファイルを、すでに保存されている印刷設定ファイルへ上書きすることにより、印刷設定ファイルを更新する処理をコンピュータに実行させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記制御ステップでは、印刷設定ファイルを更新する場合は、更新日時の情報を印刷設定ファイルに保持させる処理をコンピュータに実行させる請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置に対して、前記制御ステップでは、前記印刷設定ファイルを前記クライアント装置の保存手段に保存させる処理をコンピュータに実行させる請求項8〜11のいずれかに記載のプログラム。
【請求項13】
印刷設定ファイルを保存可能な保存手段が備えられているクライアント装置であっても、前記印刷設定ファイルを、前記クライアント装置の保存手段以外の保存手段に保存させるモードを、ユーザの操作に基づいて設定するモード設定ステップをコンピュータに実行させる請求項12に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−3731(P2012−3731A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141096(P2010−141096)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】