説明

サーバに接続されるプリンタ及びサーバ

【課題】 サーバが未実行印刷枚数を知ることができないという事象が発生するのを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】 プリンタ10は、印刷実行部17、データ取得部32、許可情報取得部34、印刷処理部36、プリンタ側送信部38を備える。印刷実行部17は、印刷媒体に対して印刷を実行する。データ取得部32は、印刷されるべき印刷データを取得する。許可情報取得部34は、サーバ50から、2以上の印刷許可枚数を示す許可情報を取得する。印刷処理部36は、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、印刷データに従って、1枚以上の印刷媒体に対する印刷を印刷実行部17に実行させる。プリンタ側送信部38は、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行される毎に、消費通知をサーバ50に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、サーバに接続されるプリンタ、及び、当該サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、サーバとプリンタとを備えるシステムが開示されている。このシステムでは、プリンタは、印刷枚数の借り入れ要求をサーバに送信する。サーバは、借り入れ要求に応じて、2以上の印刷枚数をプリンタに貸し出す。プリンタは、サーバから得られた印刷枚数を、残りの印刷可能枚数として自身の不揮発性記憶領域に記憶させる。プリンタは、1枚の印刷媒体に対する印刷を実行する毎に、不揮発性記憶領域内の残りの印刷可能枚数から「1」を減算する。プリンタは、印刷が完了すると、不揮発性記憶領域内の残りの印刷可能枚数をサーバに返却する。この結果、サーバは、自身が貸し出した印刷枚数と、プリンタから返却される印刷可能枚数と、に基づいて、自身が貸し出した印刷枚数のうちの印刷が実行されなかった印刷枚数(以下では「未実行印刷枚数」と呼ぶ)を知ることができる。なお、特許文献1の技術では、印刷が完了する前にプリンタの電源がオフされることを考慮して(特許文献1の図16参照)、残りの印刷可能枚数を不揮発性記憶領域に記憶する構成を採用している。これにより、印刷が完了する前にプリンタの電源がオフされ、その後に、プリンタの電源がオンされる場合に、プリンタは、不揮発性記憶領域内の残りの印刷可能枚数をサーバに返却することができる。この構成によると、印刷が完了する前にプリンタの電源がオフされても、サーバは、未実行印刷枚数を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−30190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1の技術では、サーバが未実行印刷枚数を知るための構成として、プリンタが自己の不揮発性記憶領域内で残りの印刷可能枚数を管理する構成を採用している。このために、プリンタは、1枚の印刷媒体に対する印刷を実行する毎に、不揮発性記憶領域にアクセスして残りの印刷可能枚数を書き換える必要がある。即ち、プリンタは、頻繁に不揮発性記憶領域にアクセスする必要がある。仮に、プリンタが不揮発性記憶領域にアクセスしている間(情報の書き換え等の間)に、プリンタの電源がオフされると、不揮発性記憶領域内の情報(即ち残りの印刷可能枚数)が破損する可能性がある。この場合、プリンタが残りの印刷可能枚数をサーバに返却することができず、サーバが未実行印刷枚数を知ることができない。即ち、特許文献1の技術では、プリンタが頻繁に不揮発性記憶領域にアクセスする必要があることから、サーバが未実行印刷枚数を知ることができないという事象が発生する可能性が高い。
【0005】
本明細書では、サーバが未実行印刷枚数を知ることができないという事象が発生するのを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、サーバに接続されるプリンタとして具現化される。このプリンタは、印刷実行部と、データ取得部と、許可情報取得部と、印刷処理部と、プリンタ側送信部と、を備える。印刷実行部は、印刷媒体に対して印刷を実行する。データ取得部は、印刷されるべき対象データを取得する。許可情報取得部は、サーバから、2以上の印刷許可枚数を示す許可情報を取得する。印刷処理部は、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、対象データに従って、1枚以上の印刷媒体に対する印刷を印刷実行部に実行させる。プリンタ側送信部は、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行される毎に、第1種の通知をサーバに送信する。この構成によると、プリンタは、1枚の印刷媒体に対する印刷(以下では「1枚の印刷」と簡単に記載する)が実行される毎に、第1種の通知をサーバに送信する。従って、サーバは、プリンタから送信される第1種の通知に基づいて、プリンタにおいて実際に1枚の印刷が実行されたことを知ることができる。このために、サーバは、上記の許可情報が示す印刷許可枚数と、プリンタから送信される第1種の通知と、に基づいて、印刷許可枚数のうちの実際に印刷が実行されなかった印刷枚数(即ち未実行印刷枚数)を知ることができる。本明細書によって開示される技術では、サーバが未実行印刷枚数を知るための構成として、プリンタが自己の不揮発性記憶領域内で残りの印刷可能枚数を管理するという構成を採用せずに済む。従って、サーバが未実行印刷枚数を知ることができないという事象が発生するのを抑制することができる。
【0007】
許可情報取得部は、さらに、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、対象データの全てに対応する印刷が完了しない場合に、サーバから、新たに、許可情報を取得してもよい。印刷処理部は、さらに、新たに取得される許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、対象データに従って、1枚以上の印刷媒体に対する印刷を印刷実行部に実行させてもよい。プリンタ側送信部は、さらに、新たに取得される許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行される毎に、第1種の通知をサーバに送信してもよい。この構成によると、プリンタは、対象データの全てに対応する印刷に必要な印刷枚数が、許可情報が示す印刷許可枚数より多い場合に、新たな許可情報に基づいて、対象データに従った印刷を実行することができる。
【0008】
プリンタ側送信部は、さらに、対象データに従った印刷が終了する場合に、印刷の終了を示す第2種の通知をサーバに送信してもよい。この構成によると、サーバは、プリンタにおいて印刷が終了したことを知ることができる。
【0009】
プリンタ側送信部は、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、対象データの全てに対応する印刷が完了する場合に、第2種の通知をサーバに送信してもよい。
【0010】
プリンタ側送信部は、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、対象データの全てに対応する印刷が完了する前に、プリンタの電源がオフされ、その後に、プリンタの電源がオンされる場合に、第2種の通知をサーバに送信してもよい。
【0011】
許可情報取得部は、最大の許容枚数を記憶するサーバから、最大の許容枚数よりも小さな印刷許可枚数を示す許可情報を取得してもよい。
【0012】
サーバは、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザに許容される最大の許容枚数と、が対応づけられた組合せ情報を記憶してもよい。データ取得部は、さらに、対象データに従った印刷を指示する特定のユーザを識別するための特定のユーザ識別情報を取得してもよい。許可情報取得部は、特定のユーザ識別情報をサーバに送信することによって、サーバから、特定のユーザ識別情報に対応づけられている特定の最大の許容枚数よりも小さな印刷許可枚数を示す許可情報を取得してもよい。この構成によると、プリンタは、印刷の実行を望むユーザ毎に、当該ユーザに対応する最大の許容枚数よりも小さな印刷許可枚数を示す許可情報を取得することができる。
【0013】
許可情報は、許可情報を識別するための識別情報を含んでもよい。第1種の通知及び第2種の通知は、それぞれ、許可情報に含まれる識別情報を含んでもよい。この構成によると、サーバは、第1種の通知又は第2種の通知に含まれる識別情報に基づいて、当該通知がどの許可情報に対応する通知であるのかを知ることができる。
【0014】
本明細書によって開示される技術は、対象データに従って印刷媒体に対する印刷を実行するプリンタに接続されるサーバとしても具現化することができる。このサーバは、サーバ側送信部と、受信部と、を備える。サーバ側送信部は、2以上の印刷許可枚数を示す許可情報をプリンタに送信する。受信部は、プリンタにおいて、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、対象データに従って、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行される毎に、プリンタから送信される第1種の通知を受信する。この構成によると、サーバは、プリンタから送信される第1種の通知に基づいて、プリンタにおいて実際に1枚の印刷が実行されたことを知ることができる。従って、サーバは、上記の許可情報が示す印刷許可枚数と、プリンタから送信される第1種の通知と、に基づいて、未実行印刷枚数を知ることができる。
【0015】
受信部は、さらに、対象データに従った印刷が終了する場合に、プリンタから、印刷の終了を示す第2種の通知を受信してもよい。この構成によると、サーバは、プリンタにおいて印刷が終了したことを知ることができる。
【0016】
許可情報は、許可情報を識別するための識別情報を含んでいてもよい。第1種の通知及び第2種の通知は、それぞれ、許可情報に含まれる識別情報を含んでいてもよい。この構成によると、サーバは、第1種の通知又は第2の通知に含まれる識別情報に基づいて、当該通知がどの許可情報に対応する通知であるのかを知ることができる。
【0017】
サーバは、最大の許容枚数を記憶するためのメモリと、メモリ内の記憶内容を変更する変更部と、をさらに備えてもよい。変更部は、許可情報がプリンタに送信される場合に、メモリ内の第1の最大の許容枚数を、第2の最大の許容枚数に変更してもよい。第2の最大の許容枚数は、上記の第1の最大の許容枚数から許可情報が示す印刷許可枚数を減算することによって得られる値に等しくてもよい。受信部は、さらに、対象データに従った印刷が終了する場合に、プリンタから、印刷の終了を示す第2種の通知を受信してもよい。上記の変更部は、さらに、第2種の通知が受信される場合に、メモリ内の上記の第2の最大の許容枚数を、第3の最大の許容枚数に変更してもよい。第3の最大の許容枚数は、許可情報が示す印刷許可枚数から許可情報が送信されてから第2種の通知を受信するまでの間に受信された第1種の通知の数が減算された値を、上記の第2の最大の許容枚数に加算することによって得られる値に等しくてもよい。この構成によると、許可情報がプリンタに送信される場合に、メモリ内の記憶内容が、第1の最大の許容枚数から許可情報が示す印刷許可枚数を減算することによって得られる値に等しい第2の最大の許容枚数に変更される。また、第2種の通知が受信される場合(プリンタにおいて印刷が終了する場合)に、メモリ内の記憶内容が、未実行印刷枚数を第2の最大の許可枚数に加算することによって得られる値に等しい第3の最大の許可枚数に変更される。サーバは、最大の許容枚数を正確に管理することができる。
【0018】
なお、変更部は、上記の許可情報が送信された後に、最後の第1種の通知が受信されてから所定期間が経過する場合に、メモリ内の上記の第2の最大の許容枚数を、第3の最大の許容枚数に変更してもよい。この場合、第3の最大の許容枚数は、許可情報が示す印刷許可枚数から許可情報が送信された後に受信された第1種の通知の数が減算された値を、上記の第2の最大の許容枚数に加算することによって得られる値に等しくてもよい。この構成によると、最後の第1種の通知が受信されてから上記の所定期間が経過する場合(即ちプリンタにおいて印刷が終了したことが推察される場合)に、メモリ内の記憶内容が、未実行印刷枚数を第2の最大の許可枚数に加算することによって得られる値に等しい第3の最大の許可枚数に変更される。この構成によっても、サーバは、最大の許容枚数を正確に管理することができる。
【0019】
なお、上記のプリンタを実現するための制御方法及びコンピュータプログラムも新規で有用である。また、上記のサーバを実現するための制御方法及びコンピュータプログラムも新規で有用である。また、上記のプリンタとサーバとを備えるシステムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】印刷管理システムの構成の一例を示す。
【図2】プリンタ処理のフローチャートを示す。
【図3】図2の続きのフローチャートを示す。
【図4】サーバ処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
(システムの構成)
図面を参照して実施例を説明する。図1は、本実施例の印刷管理システム2の概略図を示す。印刷管理システム2は、LAN4と、プリンタ10と、サーバ50とを備える。プリンタ10及びサーバ50は、LAN4に接続され、LAN4を介して相互に通信可能である。
【0022】
(プリンタ10の構成)
プリンタ10の構成について説明する。プリンタ10は、操作部12と、電源スイッチ14と、ネットワークインターフェイス16と、印刷実行部17と、ROM18と、不揮発性RAM22と、揮発性RAM26と、制御部30と、を備える。操作部12は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をプリンタ10に入力することができる。電源スイッチ14は、いわゆるハードスイッチであり、プリンタ10の電源をオン又はオフするためのスイッチである。ネットワークインターフェイス16は、LAN4に接続されている。印刷実行部17は、インクジェットヘッド方式、レーザ方式、LED方式等の印刷機構を備え、制御部30からの指示に従って印刷を実行する。ROM18は、プログラム20を記憶する。不揮発性RAM22は、許可情報ID24を記憶する。許可情報ID24は、後述の許可情報を識別するためのIDである。揮発性RAM26は、枚数カウンタC及び許可情報ID24を記憶する。枚数カウンタCは、プリンタ10が実行可能な残りの印刷枚数を示す。なお、揮発性RAM26は、プリンタ10が印刷すべき印刷データ(図示省略)も記憶する。制御部30は、ROM18内のプログラム20に従って処理を実行する。制御部30がプログラム20に従って処理を実行することによって、各部32〜38の機能が実現される。
【0023】
(サーバ50の構成)
続いて、サーバ50の構成について説明する。サーバ50は、ネットワークインターフェイス52と、操作部54と、ROM56と、不揮発性RAM60と、制御部70と、を備える。ネットワークインターフェイス52は、LAN4に接続されている。操作部54は、例えばキーボード、マウス等である。ユーザは、操作部54を操作することによって、様々な指示をサーバ50に入力することができる。ROM56は、プログラム58を記憶する。不揮発性RAM60は、グループテーブル62と、許容枚数テーブル64と、IDテーブル66と、を記憶する。制御部70は、ROM56内のプログラム58に従って処理を実行する。制御部70がプログラム58に従って処理を実行することによって、各部72〜76の機能が実現される。
【0024】
グループテーブル62は、グループID62a(例えば「G1」等)と、ユーザID62b(例えば「userA,userB・・・」等)と、が対応づけられた情報を含む。グループID62aは、プリンタ10を使用する複数のユーザによって構成されるグループ(以下「ユーザグループ」と呼ぶ)を識別するための識別情報である。ユーザID62bは、ユーザを識別するための識別情報である。例えば、印刷管理システム2の管理者は、サーバ50の操作部54を操作することによって、グループIDと、複数のユーザIDと、をサーバ50に入力する。これにより、サーバ50は、入力されたグループIDと、入力された複数のユーザIDと、が対応づけられた情報を、グループテーブル62内に書き込む。
【0025】
許容枚数テーブル64は、グループID64a(例えば「G1」等)と、最大の許容枚数64b(例えば「2500」等)と、が対応づけられた情報を含む。グループID64aは、上記のグループID62aと同様の情報である。最大の許容枚数64bは、グループID64aが示すユーザグループに対して、現在許容されている最大の印刷枚数を示す。図1の例では、グループID「G1」のユーザグループには、最大で2500枚の印刷媒体に対する印刷を実行することが許容される。例えば、印刷管理システム2の管理者は、サーバ50の操作部54を操作することによって、グループIDと、最大の許容枚数と、をサーバ50に入力する。これにより、サーバ50は、入力されたグループIDと、入力された最大の許容枚数と、が対応づけられた情報を、許容枚数テーブル64内に書き込む。なお、許容枚数テーブル64内の最大の許容枚数は、例えば、所定期間毎(例えば1ヶ月毎)に、所定値に変更されてもよい。
【0026】
上述したように、グループテーブル62では、グループID62aと、ユーザID62bと、が対応づけられている。また、許容枚数テーブル64では、グループID64aと、最大の許容枚数64bと、が対応づけられている。従って、2つのテーブル62、64を合わせると、ユーザIDと、最大の許容枚数と、が対応づけられていることとなる。即ち、サーバ50は、ユーザIDと、最大の許容枚数と、が対応づけられている組合せ情報を記憶している。
【0027】
IDテーブル66は、複数の対応情報67、68を含む。各対応情報67、68は、グループID66a(例えば「G1」等)と、枚数情報66b(例えば「5」等)と、許可情報ID66c(例えば「ID1」等)と、が対応づけられた情報である。グループID66aは、上記のグループID62a、64aと同様の情報である。枚数情報66bは、ユーザグループに対して許可された印刷枚数の残数(未実行印刷枚数)を示す。許可情報ID66cは、許可情報を識別するための識別情報である。なお、許可情報は、上記のユーザグループに対して許可された印刷枚数(以下「印刷許可枚数」と呼ぶ)をプリンタ10に通知するためにサーバ50から送信される情報である。詳しくは後述するが、サーバ50は、上記の印刷許可枚数(例えば「10」等)と、当該許可情報を識別するための許可情報ID(例えば「ID2」等)と、含む許可情報を生成する。本実施例では、サーバ50は、許可情報を作成する時点の日時を含む許可情報IDを生成する。これにより、サーバ50は、ユニークな許可情報IDを生成することができる。なお、上記の許可情報ID24は、この許可情報ID66cと同様の情報である。
【0028】
(プリンタ10が実行する処理)
続いて、図2及び図3を参照して、プリンタ10の制御部30が実行する処理について詳しく説明する。プリンタ10の電源がオンされると、プリンタ10の制御部30は、まず、不揮発性RAM22に許可情報ID24が記憶されているか否かを判断する(S10)。S10でYESの場合は、前回の電源オンの間にS20の処理で取得された印刷データの全てに対応する印刷が完了する前に、プリンタ10の電源がオフされたことを意味する。このような状況は、例えば、印刷中にユーザが電源スイッチ14を強制的に操作した場合、印刷中に停電が起こった場合等に発生する。S10でYESの場合、S12に進み、S10でNOの場合、S16に進む。
【0029】
S12では、プリンタ側送信部38(図1参照)は、不揮発性RAM22から許可情報ID24を読み出す。次いで、プリンタ側送信部38は、読み出した許可情報ID24を含む解放通知をサーバ50に送信する。解放通知は、プリンタ10において印刷が終了したことをサーバ50に知らせるための通知である。S12を終えると、制御部30は、不揮発性RAM22に記憶されている許可情報ID24を消去する(S14)。S14を終えると、S16に進む。
【0030】
S16では、制御部30は、印刷指示が入力されることを監視する。例えば、PC等の外部装置(図示省略)がLAN4に接続されている。ユーザは、外部装置の操作部を操作することによって、所望のデータの印刷を実行する旨の指示と、自己のユーザIDと、を当該外部装置に入力する。上記の外部装置は、上記の指示が入力される場合に、入力されたユーザIDと、上記のデータと、を含む印刷指示をプリンタ10に送信する。プリンタ10のネットワークインターフェイス16によって上記の印刷指示が受信されると、制御部30は、S16でYESと判断する。以下では、外部装置から受信される印刷指示のことを「外部データ印刷の印刷指示」と呼ぶ。また、例えば、ユーザは、プリンタ10にUSBメモリ等のデータ記憶媒体を接続する。ユーザは、プリンタ10の操作部12を操作することによって、データ記憶媒体内のデータを印刷するための印刷指示をプリンタ10に入力する。この場合も、制御部30は、S16でYESと判断する。以下では、データ記憶媒体内のデータを印刷するための印刷指示のことを「ダイレクト印刷の印刷指示」と呼ぶ。
【0031】
外部データ印刷の印刷指示が入力された場合には、データ取得部32(図1参照)は、当該印刷指示に含まれるユーザID(例えば「userC」)を読み出すことによって、ユーザIDを取得する(S18)。また、ダイレクト印刷の印刷指示が入力された場合には、データ取得部32は、ユーザIDを入力することを促す画面を、プリンタ10の表示部(図示省略)に表示させる。ユーザは、操作部12を操作することによって、自己のユーザIDをプリンタ10に入力する。これにより、データ取得部32は、ユーザIDを取得する(S18)。次いで、データ取得部32は、印刷されるべき印刷データを取得する(S20)。例えば、外部データ印刷の印刷指示が入力された場合には、データ取得部32は、当該印刷指示に含まれるデータを読み出すことによって、印刷データを取得する。また、ダイレクト印刷の印刷指示が入力された場合には、データ取得部32は、データ記憶媒体からデータを読み出すことによって、印刷データを取得する。
【0032】
S20を終えると、許可情報取得部34(図1参照)は、S18で取得されたユーザIDを含む印刷要求を生成し、当該印刷要求をサーバ50に送信する(S22)。サーバ50は、印刷要求に応じて、許可情報をプリンタ10に送信する(図4のS76、S78参照)。これにより、許可情報取得部34は、サーバ50から許可情報を取得する(S24)。S24で取得される許可情報は、印刷許可枚数(例えば「10」)と、許可情報ID(例えば「ID2」)と、を含む。
【0033】
次いで、制御部30は、S24で取得された許可情報に含まれる許可情報IDを、不揮発性RAM22及び揮発性RAM26の両方に記憶させる(S25)。これにより、図1に示されるように、不揮発性RAM22及び揮発性RAM26の両方に許可情報ID24が記憶される。次いで、制御部30は、S24で取得された許可情報に含まれる印刷許可枚数(例えば「10」)を、揮発性RAM26内の枚数カウンタCに加算する(S26)。なお、S26が実行される前の枚数カウンタCはゼロを示す。従って、S26が実行されると、枚数カウンタCの値は、上記の印刷許可枚数を示す。
【0034】
次いで、制御部30は、枚数カウンタCの値がゼロであるか否かを判断する(S28)。S24で取得される許可情報が示す印刷許可枚数がゼロより大きい値である場合には、枚数カウンタCの値がゼロより大きい値を示す。この場合、制御部30は、S28でNOと判断する。一方において、例えば、サーバ50内の最大の許容枚数がゼロである場合には、サーバ50は、印刷許可枚数としてゼロを含む許可情報をプリンタ10に送信し得る(図4のS78参照)。この場合、枚数カウンタCの値がゼロを示し、制御部30は、S28でYESと判断する。S28でYESの場合には、制御部30は、エラー処理を実行する(S30)。例えば、外部データ印刷の印刷指示が入力された場合には、制御部30は、当該印刷指示の送信元の外部装置にエラーを示す情報を送信する。また、例えば、ダイレクト印刷の印刷指示が入力された場合には、制御部30は、プリンタ10の表示部(図示省略)に所定のエラー画面を表示させる。S30を終えると、制御部30は、S16に戻り、他の印刷指示が入力されることを監視する。
【0035】
一方、S28でNOの場合には、図3のS40へ進む。S40では、制御部30は、枚数カウンタCの値がゼロより大きいか否かを判断する(S40)。S28でNOと判断されてS40に進んだ時点では、枚数カウンタの値はゼロより大きいため(例えば「10」)、制御部30は、S40でYESと判断する。S40でYESの場合、印刷処理部36(図1参照)は、1枚の印刷媒体に対する印刷処理を印刷実行部17に実行させる(S42)。具体的には、印刷処理部36は、図2のS20で取得された印刷データのうちの1ページ分のデータを印刷実行部17に供給する。これにより、印刷実行部17は、1ページ分のデータに従って、1枚の印刷媒体に対する印刷処理を実行する。次いで、プリンタ側送信部38は、揮発性RAM26から許可情報ID24を読み出し、読み出した許可情報ID24を含む消費通知を生成する。なお、プリンタ側送信部38は、不揮発性RAM22から許可情報ID24を読み出さない。不揮発性RAM22に対して頻繁にアクセスするのを抑制するためである。これにより、不揮発性RAM22に対するアクセス中に電源がオフされるという事象が発生するのを抑制することができる。プリンタ側送信部38は、生成した消費通知をサーバ50に送信する。消費通知は、プリンタ10において、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行されたことをサーバ50に知らせるための通知である。
【0036】
S44を終えると、制御部30は、揮発性RAM26内の枚数カウンタCから「1」を減算する(S46)。次いで、制御部30は、図2のS20で取得された印刷データの全てに対応する印刷が完了したか否かを判断する(S48)。即ち、制御部30は、ユーザが意図する印刷が完了したか否かを判断する。S48でYESの場合、S54に進む。一方において、S48でNOの場合、S40に戻る。このS40では、制御部30は、枚数カウンタCの値がゼロより大きいか否かを再び判断する。S40で再びYESと判断された場合には、印刷処理部36は、図2のS20で取得された印刷データのうちの1ページ分のデータであって、前回のS42の処理と異なる1ページ分のデータを印刷実行部17に供給する(S42)。次いで、プリンタ側送信部38が消費通知をサーバ50に再び送信し(S44)、制御部30が枚数カウンタCから「1」を減算する(S46)。この説明から明らかなように、プリンタ側送信部38は、1ページ分の印刷処理が実行される毎に、消費通知をサーバ50に送信する。制御部30は、枚数カウンタCの値が「ゼロ」になるまで(もしくは印刷データの全てに対応する印刷が完了するまで)、S40〜S46の処理を繰り返し実行する。即ち、印刷処理部36は、図2のS24で取得される許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、1枚以上の印刷媒体に対する印刷処理を印刷実行部17に実行させる。
【0037】
図2のS24で取得される許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、図2のS20で取得される印刷データの全てに対応する印刷が完了しない場合には、S40でNOと判断され、S50に進む。S50では、プリンタ側送信部38は、サーバ50に解放通知を送信する。プリンタ側送信部38がサーバ50に解放通知を送信する手法は、図2のS12とほぼ同様である。ただし、S50では、プリンタ側送信部38は、不揮発性RAM22ではなく揮発性RAM26から許可情報ID24を読み出し、当該許可情報ID24を含む解放通知を生成する。不揮発性RAM22に対して頻繁にアクセスするのを抑制するためである。S50を終えると、制御部30は、不揮発性RAM22及び揮発性RAM26の両方から許可情報ID24を消去する(S52)。S52を終えると、図2のS22に戻る。このS22では、許可情報取得部34は、続きの印刷を実行するための新たな印刷要求(S18で取得されたユーザIDを含む)をサーバ50に送信する。この結果、許可情報取得部34は、サーバ50から新たな許可情報を取得し(S24)、新たな許可情報が示す印刷許可枚数を枚数カウンタCに加算する(S26)。これにより、図3のS40〜S48の処理が再び実行される。即ち、印刷処理部36は、新たな許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、1枚以上の印刷媒体に対する印刷処理を印刷実行部17に実行させる(S42)。また、プリンタ側送信部38は、新たな許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、1ページ分の印刷処理が実行される毎に、消費通知をサーバ50に送信する(S44)。
【0038】
S48でYESの場合、S54に進む。S54では、プリンタ側送信部38は、上記のS50と同様の手法で、サーバ50に解放通知を送信する。S54を終えると、制御部30は、S52と同様に、不揮発性RAM22及び揮発性RAM26の両方から許可情報ID24を消去する(S56)。さらに、制御部30は、枚数カウンタCをクリアする(S58)。S58を終えると、図2のS16に戻る。制御部30は、新たな印刷指示が入力されることを監視する。
【0039】
(サーバ50が実行する処理)
続いて、図4を参照して、サーバ50の制御部70が実行する処理について詳しく説明する。制御部70は、プリンタ10から送信される印刷要求を受信することを監視する(S70)。図2のS22でプリンタ10から送信される印刷要求が受信されると、制御部70は、S70でYESと判断する。
【0040】
S70でYESの場合、制御部70は、上記の印刷要求に含まれるユーザID(例えば「userC」)に対応づけられている最大の許容枚数(例えば「1000」)を特定する(S72)。具体的には、制御部70は、まず、グループテーブル62(図1参照)から、上記の印刷要求に含まれるユーザID(例えば「userC」)に対応づけられているグループID62a(例えば「G2」)を特定する。次いで、制御部70は、許容枚数テーブル64から、特定されたグループID(例えば「G2」)に対応づけられている最大の許容枚数(例えば「1000」)を特定する。なお、以下では、S72で特定される最大の許容枚数のことを「第1の最大の許容枚数」と呼ぶ。
【0041】
S72を終えると、制御部70は、上記の第1の最大の許容枚数(例えば「1000」)が所定数(本実施例では「10」)より大きいか否かを判断する(S74)。S74でYESの場合、S76に進む。S76では、サーバ側送信部72は、まず、上記の所定数(即ち「10」)を印刷許可枚数として決定する。次いで、サーバ側送信部72は、現在の日時を含むユニークな許可情報IDを生成する。続いて、サーバ側送信部72は、生成した許可情報IDと、決定した印刷許可枚数と、を含む許可情報を生成し、当該許可情報をプリンタ10に送信する。S76を終えると、S80に進む。
【0042】
一方、S74でNOの場合(即ち上記の第1の最大の許容枚数が上記の「10」未満である場合)、S78に進む。S78では、サーバ側送信部72は、S72で特定された第1の最大の許容枚数を「2」で除算する(なお小数点以下は切り上げる)。サーバ側送信部72は、上記の計算によって得られる値を印刷許可枚数として決定する。サーバ側送信部72は、S76と同様に、許可情報IDを生成する。サーバ側送信部72は、生成した許可情報IDと、決定した印刷許可枚数と、を含む許可情報をプリンタ10に送信する。S78を終えると、S80に進む。
【0043】
S80では、制御部70は、IDテーブル66に情報を書き込む。具体的には、制御部70は、上記のS72で特定されたグループID(例えば「G2」)と、上記のS76又はS78で決定された印刷許可枚数(例えば「10」)と、上記のS76又はS78で生成された許可情報ID(例えば「ID2」)と、が対応づけられた新たな対応情報を生成する。制御部70は、生成した新たな対応情報を、IDテーブル66内の各欄66a〜66c内に書き込む。
【0044】
S80を終えると、変更部76(図1参照)は、許容枚数テーブル64内の記憶内容を変更する(S82)。具体的には、変更部76は、上記の第1の最大の許容枚数(例えば「1000」)から、上記のS76又はS78で決定された印刷許可枚数の値(例えば「10」)を減算する。変更部76は、許容枚数テーブル64内の上記の第1の最大の許容枚数を、上記の計算によって得られる値(例えば「990」)に変更する。なお、以下では、変更後の値のことを「第2の最大の許容枚数」と呼ぶ。
【0045】
制御部70は、さらに、プリンタ10から送信される消費通知を受信することを監視する(S84)。図3のS44でプリンタ10から送信される消費通知は、サーバ50のネットワークインターフェイス52を介して、受信部74(図1参照)によって受信される。この場合、制御部70は、S84でYESと判断する。S84でYESの場合、変更部76は、IDテーブル66の記憶内容を変更する(S86)。具体的には、変更部76は、まず、S84で受信された消費通知に含まれる許可情報IDを特定する。次いで、変更部76は、IDテーブル66から、特定した許可情報IDに対応づけられている枚数情報66bを特定する。変更部76は、特定した枚数情報66bから「1」を減算する。上述したように、プリンタ10は、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行される毎に、消費通知を送信する。変更部76は、消費通知が受信される毎に、IDテーブル66内の枚数情報66bから「1」を減算する。
【0046】
制御部70は、さらに、プリンタ10から送信される解放通知を受信することを監視する(S88)。図2のS12、図3のS50、又は、図3のS54でプリンタ10から送信される解放通知は、サーバ50のネットワークインターフェイス52を介して、受信部74によって受信される。この場合、制御部70は、S88でYESと判断する。S88でYESの場合、変更部76は、許容枚数テーブル64内の記憶内容を変更する(S90)。具体的には、変更部76は、まず、S88で受信された解放通知に含まれる許可情報IDを特定する。次いで、変更部76は、IDテーブル66から、特定した許可情報IDに対応づけられているグループID66aと、枚数情報66b(例えば「5」枚)と、を特定する。続いて、変更部76は、許容枚数テーブル64から、特定したグループID66aに対応づけられている最大の許容枚数64bを特定する。これにより、S82で変更された第2の最大の許容枚数が特定される。次いで、変更部76は、特定した第2の最大の許容枚数(例えば「990」)に、特定した枚数情報66b(例えば「5」枚)を加算する。変更部76は、許容枚数テーブル64内の上記の第2の最大の許容枚数を、上記の計算によって得られる値(例えば「995」)に変更する。なお、以下では、変更後の値のことを「第3の最大の許容枚数」と呼ぶ。
【0047】
S90を終えると、制御部70は、IDテーブル66から情報を消去する(S92)。具体的には、制御部70は、S88で受信された解放通知に含まれる許可情報ID(例えば「ID2」)を含む対応情報(例えば対応情報68)を、IDテーブル66から消去する。
【0048】
第1実施例について詳しく説明した。図3のS44に示されるように、プリンタ10は、印刷が1枚実行される毎に消費通知をサーバ50に送信する。従って、サーバ50は、プリンタ10から送信される消費通知に基づいて、プリンタ10において実際に1枚の印刷が実行されたことを知ることができる。このために、サーバ50は、許可情報が示す印刷許可枚数と、プリンタ10から送信される消費通知と、に基づいて、印刷許可枚数のうちの実際に印刷が実行されなかった印刷枚数(即ち未実行印刷枚数)を知ることができる。本実施例では、サーバ50が未実行印刷枚数を知るための構成として、プリンタ10が自己の不揮発性RAM22内で残りの印刷可能枚数を管理するという構成を採用せずに済む。従って、サーバ50が未実行印刷枚数を知ることができないという事象が発生するのを抑制することができる。
【0049】
図3のS54に示されるように、プリンタ10は、印刷データの全てに対応する印刷が完了する場合に、印刷の終了を示す解放通知をサーバ50に送信する。また、図2のS12に示されるように、プリンタ10は、許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、印刷データの全てに対応する印刷が完了する前に、プリンタ10の電源がオフされ、その後に、プリンタ10の電源がオンされる場合に、上記の解放通知をサーバ50に送信する。このため、サーバ50は、プリンタ10において印刷が終了したことを知ることができる。
【0050】
図2のS18〜S22に示されるように、プリンタ10は、印刷の実行を望むユーザのユーザIDを含む印刷要求をサーバ50に送信する。これにより、プリンタ10は、サーバ50から、当該ユーザIDを含むユーザグループのグループIDに対応する最大の許容枚数よりも小さな印刷許可枚数を示す許可情報を取得する。なお、サーバ50が最大の許容枚数よりも小さな印刷許可枚数を示す許可情報をプリンタ10に送信するのは、以下の理由による。仮に、サーバ50が、印刷要求に含まれるユーザIDを含むユーザグループのグループIDに対応する最大の許容枚数の全部を印刷許可枚数として設定すると、当該グループIDに対応する最大の許容枚数が一時的に「0」になる。この状態において、同じユーザグループに含まれる他のユーザIDを含む印刷要求がプリンタ10からサーバ50に送信されると、サーバ50は、印刷許可枚数として「0」を示す許可情報をプリンタ10に送信する。この場合、プリンタ10は、印刷を実行することができない。即ち、仮に、サーバ50が最大の許容枚数の全部を印刷許可枚数として設定すると、同じユーザグループに属する複数のユーザによって複数の印刷指示(例えば外部データ印刷の印刷指示)が同時的にプリンタ10に入力される場合に、プリンタ10が、上記の複数の印刷指示のうちの後で入力された印刷指示に従って、印刷を実行することができない可能性がある。このような観点に鑑みて、本実施例では、サーバ50が最大の許容枚数よりも小さな印刷許可枚数を示す許可情報をプリンタ10に送信する構成を採用している。この構成によると、同じユーザグループに属する複数のユーザによって複数の印刷指示が同時的にプリンタ10に入力されても、プリンタ10は、上記の複数の印刷指示のそれぞれに従って、印刷を実行し得る。
【0051】
図4のS82に示されるように、許可情報がプリンタ10に送信される場合に、不揮発性RAM60内に記憶されている第1の最大の許容枚数が、上記の第1の最大の許容枚数から許可情報が示す印刷許可枚数を減算することによって得られる値に等しい第2の最大の許容枚数に変更される。また、図4のS90解放通知が受信される場合(プリンタ10において印刷が終了する場合)に、不揮発性RAM60内の第2の最大の許容枚数が、未実行印刷枚数を上記の第2の最大の許可枚数に加算することによって得られる値に等しい第3の最大の許可枚数に変更される。サーバ50は、最大の許容枚数を正確に管理することができる。
【0052】
上記の実施例の各要素と本発明の各要素との対応関係を記載しておく。消費通知、解放通知が、それぞれ、「第1種の通知」、「第2種の通知」の一例である。印刷データが、「対象データ」の一例である。許可情報ID24、66c、ユーザID62bが、それぞれ、「許可情報を識別するための識別情報」、「ユーザ識別情報」の一例である。
【0053】
(第2実施例)
第2実施例について説明する。本実施例では、プリンタ10が解放通知をサーバ50に送信しない。上述のように、制御部70は、特定の許可情報をプリンタ10に送信する場合に(図4のS76又はS78参照)、上記の特定の許可情報に含まれる特定の許可情報IDと、グループIDと、が対応づけられた特定の対応情報をIDテーブル66に記憶させる(S80)。さらに、制御部70は、許容枚数テーブル64内の第1の最大の許容枚数を、第1の最大の許容枚数から上記の特定の許可情報が示す印刷許可枚数を減算することによって得られる値に等しい第2の最大の許容枚数に変更する(S82)。本実施例では、さらに、制御部70は、上記の特定の許可情報を送信した際に、上記の特定の対応情報に対応づけられている特定のタイマをスタートさせる。
【0054】
制御部70は、上記の特定のタイマが所定時間に達する前に、上記の特定の許可情報IDを含む消費通知を受信した場合(S84:YES)に、上記の特定のタイマをリセットし、上記の特定のタイマをリスタートする。この処理を終えると、制御部70は、S86へ進む。本実施例では、制御部70は、解放通知を受信することを監視する代わりに(S88の処理の代わりに)、上記の特定のタイマが上記の所定時間に達することを監視する。上記の特定のタイマが上記の所定時間に達すると、制御部70は、第1実施例と同様の手法でS90及びS92の処理を実行する。
【0055】
なお、上記の所定時間は、プリンタ10において印刷が終了(全ての印刷データに対応する印刷の完了、電源OFF等)したことが推察できる程度の時間(例えば1時間)に設定される。この場合、上記の特定のタイマが上記の所定時間に達する場合には、プリンタ10において印刷が終了(全ての印刷データに対応する印刷の完了、電源OFF等)と推察することができる。従って、本実施例によると、上記の特定の許可情報IDを含む最後の消費通知がサーバ50によって受信されてから、上記の特定のタイマが上記の所定時間に達すると、サーバ50は、S90及びS92の処理を実行する。解放通知を利用しなくても、サーバ50は、適切なタイミングでS90及びS92の処理を実行することができる。なお、本実施例では、上記の特定の許可情報IDを含む消費通知が1回も受信されずに、上記の特定のタイマが上記の所定時間に達した場合(例えばプリンタ10において1枚の印刷も実行されずに電源OFFされた場合)にも、サーバ50は、S90及びS92の処理を実行することができる。
【0056】
本実施例では、プリンタ10が解放通知を送信する必要がないことから、プリンタ10の不揮発性RAM22に許可情報ID24を記憶させない。即ち、プリンタ10の制御部30は、図2のS25において、許可情報IDを不揮発性RAM22に記憶させない。従って、制御部30は、図3のS52及びS56において、不揮発性RAM22から許可情報IDを消去しない(即ち不揮発性RAM22にアクセスしない)。さらに、制御部30は、図2のS10〜S14の処理も実行しない。本実施例によると、制御部30が不揮発性RAM22にアクセスする頻度をより低減させることができる。
【0057】
上記の各実施例の変形例を以下に列挙する。
(1)サーバ50は、特定の許可情報をプリンタ10に送信した後に、上記の特定の許可情報に含まれる特定の許可情報IDと同じ許可情報IDを含む消費通知の受信回数をカウントしてもよい。この場合、サーバ50は、上記の特定の許可情報IDを含む解放通知が受信された後(第1実施例)、又は、上記の特定の許可情報IDを含む最後の消費通知を受信してから所定期間の経過後(第2実施例)に、上記の特定の許可情報に含まれる印刷許可枚数から上記のカウント数を減算してもよい。次いで、サーバ50は、上記の計算によって得られる値を、上記の第2の最大の許容枚数に加算することによって、上記の第3の最大の許容枚数を算出してもよい。
【0058】
(2)上記の各実施例では、サーバ50は、グループID62aとユーザID62bとを対応づけて記憶しているとともに、グループID64aと最大の許容枚数64bとを対応づけて記憶している。即ち、サーバ50は、ユーザIDと最大の許容枚数とを間接的に対応づけて記憶している。これに代えて、サーバ50は、グループIDを用いずに、ユーザIDと最大の許容枚数とを直接的に対応づけて記憶してもよい。
【0059】
(3)サーバ50は、許容枚数テーブル64(図1参照)において、複数のプリンタのそれぞれについて、当該プリンタの識別情報と、最大の許容枚数と、を対応づけて記憶してもよい。この場合、プリンタ10は、図2のS22において、自身の識別情報を含む印刷要求をサーバ50に送信してもよい。サーバ50は、図4のS72において、許容枚数テーブル64から、上記の印刷要求に含まれる上記のプリンタ10の識別情報に対応づけられている最大の許容枚数(第1の最大の許容枚数)を特定してもよい。
【0060】
(4)サーバ50は、1個のプリンタ10の専用のサーバであってもよい。即ち、サーバ50は、プリンタ10の最大の許容枚数のみを記憶してもよい。この場合、サーバ50は、不揮発性RAM60内にグループテーブル62(図1)を記憶しない。また、許容枚数テーブル64内(図1参照)では、グループID64aと対応づけることなく、プリンタ10のための最大の許容枚数64bのみが記憶される。プリンタ10は、ユーザIDを含まない印刷要求(図2のS22参照)をサーバ50に送信してもよい。印刷要求を受信したサーバ50は、IDテーブル66に枚数情報66b及び許可情報ID66cのみを対応づけて記憶させてもよい。
【0061】
(5)プリンタ10が印刷を行う対象データは、PC等の外部装置からプリンタ10に送信される印刷データ(PDLデータ)に限られず、スキャンデータ、FAXデータ等であってもよい。即ち、プリンタ10は、コピー機であってもよいし、ファクシミリであってもよい。プリンタ10は、印刷機能と、印刷機能以外の少なくとも1つの機能と、を実行可能な多機能機であってもよい。プリンタ10にコピー機能を実行させる場合、ユーザは、プリンタ10の操作部12を操作することによって、コピー指示を入力する。コピー指示が入力された場合には、データ取得部32は、上述したダイレクト印刷の場合と同様に、ユーザIDを入力することを促す画面を、プリンタ10の表示部(図示省略)に表示させる。ユーザは、操作部12を操作することによって、自己のユーザIDをプリンタ10に入力する。これにより、データ取得部32は、ユーザIDを取得する(図2のS18参照)。プリンタ10は、スキャンを実行することによってスキャンデータを生成し、当該スキャンデータ(即ち「対象データ」)に従って、上記の各実施例と同様の手法で印刷を実行する。また、プリンタ10は、外部から受信したFAXデータを蓄積する構成を採用してもよい。この場合、ユーザは、プリンタ10の操作部12を操作することによって、蓄積されたFAXデータの印刷指示を入力する。データ取得部32がユーザIDを取得する手法は、コピーの場合と同様である。プリンタ10は、FAXデータ(即ち「対象データ」)に従って、上記の各実施例と同様の手法で印刷を実行する。
【0062】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0063】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0064】
2:印刷管理システム、4:LAN、10:プリンタ、12:操作部、14:電源スイッチ、16:ネットワークインターフェイス、17:印刷実行部、18:ROM、20:プログラム、22:不揮発性RAM、24:許可情報ID、26:揮発性RAM、30:制御部、32:データ取得部、34:許可情報取得部、36:印刷処理部、38:プリンタ側送信部、50:サーバ、52:ネットワークインターフェイス、54:操作部、56:ROM、58:プログラム、60:不揮発性RAM、62:グループテーブル、62a:グループID、62b:ユーザID、64:許容枚数テーブル、64a:グループID,64b:最大の許容枚数、66:IDテーブル、66a:グループID、66b:枚数情報、66c:許可情報ID、67、68:対応情報、70:制御部、72:サーバ側送信部、74:受信部、76:変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバに接続されるプリンタであって、
印刷媒体に対して印刷を実行する印刷実行部と、
印刷されるべき対象データを取得するデータ取得部と、
前記サーバから、2以上の印刷許可枚数を示す許可情報を取得する許可情報取得部と、
前記許可情報が示す前記印刷許可枚数の範囲内で、前記対象データに従って、1枚以上の印刷媒体に対する印刷を前記印刷実行部に実行させる印刷処理部と、
前記許可情報が示す前記印刷許可枚数の範囲内で、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行される毎に、第1種の通知を前記サーバに送信するプリンタ側送信部と、を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記許可情報取得部は、さらに、前記許可情報が示す前記印刷許可枚数の範囲内で、前記対象データの全てに対応する印刷が完了しない場合に、前記サーバから、新たに、前記許可情報を取得し、
前記印刷処理部は、さらに、新たに取得される前記許可情報が示す印刷許可枚数の範囲内で、前記対象データに従って、1枚以上の印刷媒体に対する印刷を前記印刷実行部に実行させ、
前記プリンタ側送信部は、さらに、新たに取得される前記許可情報が示す前記印刷許可枚数の範囲内で、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行される毎に、前記第1種の通知を前記サーバに送信する、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記プリンタ側送信部は、さらに、前記対象データに従った印刷が終了する場合に、印刷の終了を示す第2種の通知を前記サーバに送信する、請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記プリンタ側送信部は、前記許可情報が示す前記印刷許可枚数の範囲内で、前記対象データの全てに対応する印刷が完了する場合に、前記第2種の通知を前記サーバに送信する、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記プリンタ側送信部は、前記許可情報が示す前記印刷許可枚数の範囲内で、前記対象データの全てに対応する印刷が完了する前に、前記プリンタの電源がオフされ、その後に、前記プリンタの電源がオンされる場合に、前記第2種の通知を前記サーバに送信する、請求項3又は4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記許可情報取得部は、最大の許容枚数を記憶する前記サーバから、前記最大の許容枚数よりも小さな前記印刷許可枚数を示す前記許可情報を取得する、請求項1から5のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記サーバは、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザを識別するためのユーザ識別情報と、当該ユーザに許容される最大の許容枚数と、が対応づけられた組合せ情報を記憶し、
前記データ取得部は、さらに、前記対象データに従った印刷を指示する特定のユーザを識別するための特定のユーザ識別情報を取得し、
前記許可情報取得部は、前記特定のユーザ識別情報を前記サーバに送信することによって、前記サーバから、前記特定のユーザ識別情報に対応づけられている特定の最大の許容枚数よりも小さな前記印刷許可枚数を示す前記許可情報を取得する、請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記許可情報は、前記許可情報を識別するための識別情報を含み、
前記第1種の通知及び前記第2種の通知は、それぞれ、前記許可情報に含まれる前記識別情報を含む、請求項3から5のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項9】
対象データに従って印刷媒体に対する印刷を実行するプリンタに接続されるサーバであって、
2以上の印刷許可枚数を示す許可情報を前記プリンタに送信するサーバ側送信部と、
前記プリンタにおいて、前記許可情報が示す前記印刷許可枚数の範囲内で、前記対象データに従って、1枚の印刷媒体に対する印刷が実行される毎に、前記プリンタから送信される第1種の通知を受信する受信部と、を備えるサーバ。
【請求項10】
前記受信部は、さらに、前記対象データに従った印刷が終了する場合に、前記プリンタから、印刷の終了を示す第2種の通知を受信する、請求項9に記載のサーバ。
【請求項11】
前記許可情報は、前記許可情報を識別するための識別情報を含み、
前記第1種の通知及び前記第2種の通知は、それぞれ、前記許可情報に含まれる前記識別情報を含む、請求項10に記載のサーバ。
【請求項12】
最大の許容枚数を記憶するためのメモリと、
前記メモリ内の記憶内容を変更する変更部と、をさらに備え、
前記変更部は、前記許可情報が前記プリンタに送信される場合に、前記メモリ内の第1の最大の許容枚数を、第2の最大の許容枚数であって、前記第1の最大の許容枚数から前記許可情報が示す前記印刷許可枚数を減算することによって得られる値に等しい前記第2の最大の許容枚数に、変更し、
前記受信部は、さらに、前記対象データに従った印刷が終了する場合に、前記プリンタから、印刷の終了を示す第2種の通知を受信し、
前記変更部は、さらに、前記第2種の通知が受信される場合に、前記メモリ内の前記第2の最大の許容枚数を、第3の最大の許容枚数であって、前記許可情報が示す前記印刷許可枚数から前記許可情報が送信されてから前記第2種の通知を受信するまでの間に受信された前記第1種の通知の数が減算された値を、前記第2の最大の許容枚数に加算することによって得られる値に等しい前記第3の最大の許容枚数に、変更する、
請求項9から11のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項13】
最大の許容枚数を記憶するためのメモリと、
前記メモリ内の記憶内容を変更する変更部と、をさらに備え、
前記変更部は、前記許可情報が前記プリンタに送信される場合に、前記メモリ内の第1の最大の許容枚数を、第2の最大の許容枚数であって、前記第1の最大の許容枚数から前記許可情報が示す前記印刷許可枚数を減算することによって得られる値に等しい前記第2の最大の許容枚数に、変更し、
前記変更部は、さらに、前記許可情報が送信された後に、最後の前記第1種の通知が受信されてから所定期間が経過する場合に、前記メモリ内の前記第2の最大の許容枚数を、第3の最大の許容枚数であって、前記許可情報が示す前記印刷許可枚数から前記許可情報が送信された後に受信された前記第1種の通知の数が減算された値を、前記第2の最大の許容枚数に加算することによって得られる値に等しい前記第3の最大の許容枚数に、変更する、
請求項9から11のいずれか一項に記載のサーバ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−76235(P2011−76235A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225010(P2009−225010)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】