説明

サーバールーム内に設置される放熱ケージ

【課題】サーバー収納ラックの背面側の通路を不要とすることにより、ケージを小型化して省スペース化を図り、サーバールーム内に、より多くのケージを設置しうるようにした放熱ケージを提供する。
【解決手段】床面に立設した平面視方形をなすフレーム2における前面を、開閉可能なドアパネル11と通気性のパネル群3により、かつ後面を、通気性のパネル群により、それぞれ閉塞するとともに、フレーム2における左右両側面を、引き違い式の複数の可動パネル20により閉塞することにより、フレーム2の前後左右の4側面を、ドアパネル11と通気性のパネル群3及び引き違い式の複数の可動パネル20により閉塞した放熱ケージ1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデータセンター等のサーバールーム内に設置され、サーバーに代表される情報処理機器を収納する複数の収納ラックを収容するための放熱ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、データセンター等においては、サーバーを収納可能な複数の収納ラックを備えるサーバールームを貸し出したり、大きなサーバールーム内に、平面視方形をなす複数のケージを構築し、このケージを、その中に収容した複数のサーバー収納ラックと共に貸し出すサービスが行われている。
このようなサーバールームの中には、その内部の多数の収納ラックに収納したサーバーより排気される熱により、サーバールーム内の温度が上昇しないように、サーバールーム内を、空調設備により適温に冷却するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−107188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の図4及び図6に記載されているように、サーバールームの中に多数の収納ラックを収容する際には、各収納ラックに収納したサーバーの前面及び背面へのアクセスやメンテナンス作業等を容易に行いうるように、互いに向かい合わせて設置された複数の収納ラックの対向面間と背面側とに、サーバーの利用者が通行可能で、かつメンテナンス作業に必要な幅の通路を設けておくのが一般的である。このような通路は、大型のサーバールーム内に複数構築して設置されるケージにも、同様に設けられるのが一般的である。
【0005】
しかし、このように、収納ラックの対向面間の通路の外に、収納ラックの背面側にも、サーバーの利用者が通行可能な通路を設けると、この背面側の通路の幅分だけ、サーバールームやケージが大型化するため、それらを設置するための大きなスペースが必要となる。特に、ケージが大型化すると、サーバールーム内に設置可能なケージの数が制限されるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、サーバー収納ラックの背面側の通路を不要とすることにより、ケージを小型化して省スペース化を図り、サーバールーム内に、より多くのケージを設置しうるようにした、サーバールーム内に設置される放熱ケージを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次の各項のようにして解決される。
(1)サーバールーム内に設置され、内部に、サーバーを収納する複数の収納ラックを、通路を挟んで対向するように収容するようにした放熱ケージであって、
床面に立設した平面視方形をなすフレームにおける前記通路と向かい合って互いに対向する2側面の少なくともいずれか一方の面を、開閉可能なドアパネルと通気性のパネル群により、かつ他方の面を、通気性のパネル群により、それぞれ閉塞するとともに、前記フレームにおける前記複数の収納ラックの背面側の互いに対向する他方の2側面を、引き違い式の複数の可動パネルにより閉塞することにより、前記フレームの4側面を、ドアパネルと通気性のパネル群及び引き違い式の複数の可動パネルにより閉塞する。
【0008】
このような構成とすると、フレームにおける複数のサーバーラックの背面側の互いに対向する2側面を、引き違い式の複数の可動パネルにより閉塞してあるので、構築された放熱ケージの対向する2側面を、可動パネルをスライドさせて開放することができる。従って、各収納ラックに収納したサーバーの背面へのアクセスやメンテナンス作業等を、放熱ケージの外側から行うことができるようになるので、各収納ラックの背面側に、サーバー使用者が通行可能な通路を設ける必要がなく、その分、放熱ケージが小型化して、放熱ケージを設置するサーバールームの省スペース化が図れ、その中により多くの放熱ケージを構築して設置することができる。
【0009】
(2)上記(1)項において、複数の収納ラックの背面と複数の可動パネルとの対向面間に、サーバー使用者が通行不能、かつ空気が通過しうるだけの空間を設ける。
【0010】
このような構成とすると、収納ラックの背面と複数の可動パネルとの対向面間の空間を最小限としうるので、各収納ラックに収納したサーバーの背面へのアクセスやメンテナンス作業等を、放熱ケージの外側から容易に行うことができる。
また、収納ラックの背面と複数の可動パネルとの対向面間の空間を空気が通過することにより、サーバーの背面から排気される空気が効果的に拡散されるので、サーバーの温度上昇を抑えることができる。
【0011】
(3)上記(1)または(2)項において、パネル群を、方形枠内に金網を張設して形成された複数の金網パネルよりなるものとする。
【0012】
このような構成とすると、放熱性の高い放熱ケージを提供しうるとともに、パネル群が軽量化するので、放熱ケージを容易に構築することができる。
【0013】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、可動パネルを、中央部に金網パネルを嵌め込むことにより、通気性を有するものとする。
【0014】
このような構成とすると、前項と同様に、放熱性の高い放熱ケージを提供しうるとともに、可動パネルが軽量化するので、放熱ケージを容易に構築することができる。
【0015】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、フレームを、床面に立設された前後左右方向に並ぶ複数の支柱と、この支柱の上端同士を連結する上部横連結材と、同じく下端部同士を連結する下部横連結材とを備えるものとし、前記互いに隣接する支柱と、上下の横連結材とにより囲まれた複数の空間部に、通気性のパネル群を装着する。
【0016】
このような構成とすると、フレームの構造が簡単であるので、その組立てや分解作業が容易となるとともに、通気性のパネル群を小型化して、複数の空間部に容易に装着することができる。
【0017】
(6)上記(5)項において、互いに隣接する支柱を、対向面の一方の縁部に上下方向を向く保持片を内向き突設した支柱本体と、この支柱本体における前記保持片と反対側の側面に着脱可能にねじ止め可能な上下方向のパネル保持板とからなるものとし、前記両支柱の対向面間に、通気性のパネル群を、その両側端部が前記保持片と当接するまで嵌合し、この状態で、前記支柱本体の側面にパネル保持板をねじ止めし、パネル群の両側端部を保持することにより、前記通気性のパネル群を、互いに隣接する支柱間に着脱自在に装着する。
【0018】
このような構成とすると、支柱を立設したままの状態で、互いに隣接する支柱間に、通気性のパネル群を、放熱ケージの外側または内側より簡単に着脱しうるので、放熱ケージの組立てや分解作業が容易となる。
【0019】
(7)上記(5)または(6)項において、上部横連結材の下面に、長手方向を向く上部ガイドレールを設け、この上部ガイドレールにより、複数の引き違い式可動パネルの上端に設けた複数の垂直ローラを転動可能に吊支し、前記上部ガイドレールと対向する下部横連結杆を、上面に長手方向を向くガイド凹溝を有する下部ガイドレールとして、このガイド凹溝に、前記可動パネルの下端に設けた複数の水平ローラを、転動可能に嵌合する。
【0020】
このような構成とすると、引き違い式の複数の可動パネルを、上下のガイドレールにより案内して、円滑に、かつ安定よく開閉することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、可動パネルをスライドさせて放熱ケージの側面を開放することができるので、各収納ラックに収納したサーバーの背面へのアクセスやメンテナンス作業等を、放熱ケージの外側から行うことができる。その結果、各収納ラックの背面側に、サーバー使用者が通行可能な通路を設ける必要はなく、その分、放熱ケージを小型化して、放熱ケージが設置されるサーバールームの省スペース化を図り、その中に、より多くの放熱ケージを構築して設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の放熱ケージの一実施形態を示す外観図である。
【図2】放熱ケージの概略平面図である。
【図3】放熱ケージの正面図である。
【図4】放熱ケージの後面図である。
【図5】放熱ケージの側面図である。
【図6】図3のVI−VI線拡大横断平面図である。
【図7】図5のVII−VII線拡大横断平面図である。
【図8】同じくVIII−VIII線拡大縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、データセンター等の図示しない大型のサーバールーム内に複数設置される本発明の放熱ケージの外観図で、放熱ケージ1は、前後方向(以下、図1の左手前を前として説明する)に長い平面視方形枠状をなすフレーム2と、その前後左右の4側面を閉塞するパネル群3とを備えている。
【0024】
図2の概略平面図、図3の正面図、図4の後面図、及び図5の側面図にも示すように、フレーム2は、サーバールームの床面と天井間に立設された前後左右方向に並ぶ複数の支柱4と、各支柱4の上端同士を連結している4本の上部横連結材5と、前後の各支柱4の上部と中央部との対向面同士を連結している複数の中間横連結材6と、同じく前後の各支柱4の下端部の対向面同士を連結している複数の下部横連結材7と、左右の各支柱4の上部の対向面同士を連結している長寸の中間横連結材8、8とからなっている。フレーム2の各コーナー部と左右両側の中央には、それぞれ、左右2本ずつの支柱4、4が互いに近接して立設されている。
【0025】
図3に示すように、フレーム2の前面のパネル群3は、方形枠内に金網を張設して形成された複数の金網パネル9と、中央に位置する左右2本の支柱4、4と上部の中間横連結材6とにより囲まれた門型の出入り口10に設けられた、金網付きの通気性のドアパネル11と、それより幅の小さな板状のドアパネル12とからなっている。通気性のドアパネル11は、その左側端を、左方の支柱4に、図示しないヒンジをもって連結することにより、前方に開くことができ、かつ施錠装置13により施解錠しうるようになっている。
板状のドアパネル12は、その右側端が右方の支柱4に、図示しないヒンジにより連結され、出入り口10を大きく開放したいときには、床面と中間横連結材6とに回動不能に係止されている係止手段(図示略)を外して、前方に開くことができるようになっている。
【0026】
上記各金網パネル9は、互いに左右に隣接する支柱4、4と、上部横連結材5と、互いに上下に隣接する中間横連結材6、6及び下部横連結材7とにより囲まれた複数の空間部に装着されている。すなわち、金網パネル9の上下の端部は、上部横連結材5と、互いに上下に隣接する中間横連結材6、6及び下部横連結材7とのそれぞれの対向面に形成された左右方向の嵌合溝(図示略)に、けんどん方式で嵌め外しできるように嵌合することにより保持されている。
また、各金網パネル9の左右両端部は、互いに隣接する左右の支柱4の対向面により、次のようにして保持されている。
図6の拡大横断平面図に示すように(全て共通につき、一部の左右2枚のパネルのみ図示する)、互いに隣接する左右の支柱4、4は、平面視方形断面の角管よりなる支柱本体14の前面に、上下方向のパネル保持板15を、複数のねじ16により着脱可能に固定した分割構造とされている。
【0027】
支柱本体14の後側の両側縁部と、パネル保持板15の両側端とには、保持片17、17が対角線方向に向かって突設され、互いに隣接する保持片17、17間には、外方と上下両方向に開口する上下方向の4個の保持溝18が形成されている。なお、各保持溝18の幅は互いに等しく、かつ保持溝18の幅と金網パネル9の左右の縦フレーム9a、9aの前後寸法とを、ほぼ等しくしてある。
【0028】
金網パネル9の両側端部を左右の支柱4の対向面により保持するには、まず、図6の2点鎖線に示すように、パネル保持板15を取り外した状態で、金網パネル9を、左右の支柱本体14、14の対向面間に挿入し、金網パネル9の上下両端部を、上下に隣接する横連結材5、6、8の対向面に、上述したけんどん方式により嵌合して保持する。
【0029】
ついで、金網パネル9の縦フレーム9a、9aの後面を、左右の支柱本体14の対向する保持片17に当接させつつ、左右のパネル保持板15を、左右の支柱本体14の前面に、ねじ16により固定する。これにより、金網パネル9の左右の縦フレーム9a、9aが、左右の支柱4の対向面の保持溝18により安定よく保持されるため、金網パネル9が上下及び前後左右方向にがたつくのを防止することができる。
また、上述のように、支柱4を分割構造として、支柱本体14よりパネル保持板15を取り外し可能とすると、支柱4を立設した状態で、金網パネル9を前面側より簡単に着脱しうるので、放熱ケージ1の組立てや分解作業が容易となる。なお、金網パネル9を上下寸法の長い1枚のものとした際には、けんどん方式によらずに、その左右の縦フレーム9aのみを、分割構造とした左右の支柱4により着脱可能に支持することができる。
支柱4を前後反対向きとして、各金網パネル9を、放熱ケージ1の室内側より着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
金網パネル9を保持していない他の保持溝18には、支柱4の見栄えをよくするためのカバー19が着脱可能に嵌合されている。
【0030】
図4に示すように、フレーム2の後面のパネル群3は、上記と同様の複数の金網パネル9よりなっている。なお、後面側の各金網パネル9における支柱4、上部横連結材5、中間横連結材6、6及び下部横連結材8への取付構造は、上記前面側の金網パネル9と同一構造であるので、その詳細な説明は省略する。
【0031】
フレーム2の左右両側面のパネル群3は、図1及び図5に示すように(左右同一構造につき、右側面のパネル群のみ図示する)、前後(図5においては、左側が前)の中間横連結材8、8の下方において、前後3本の支柱4間に配設された4枚ずつの引き違い式の可動パネル20と、中間横連結材8、8と上部横連結材5との間に取付けられた金網よりなる複数の金網パネル21とからなっている。
各可動パネル20は、中央部に形成した長方形の開口部22に、金網パネル23を嵌め込むことにより、通気性を有するものとしてある。
【0032】
各金網パネル21は、天井の梁材R(図8参照)に固定された上部横連結材5と、中間横連結材8、各支柱4の上端部、及び上部横連結材5と中間横連結材8の対向面に取付けられた前後複数の短寸の補助支柱24により囲まれた複数の開口部25に、けんどん方式により嵌め込まれている。
【0033】
図7及び図8に示すように、前後の中間横連結材8の下面中央には、内方に開口する正面視内向きコ字状断面の前後方向を向く上部ガイドレール26と、外方に開口する正面視外向きコ字状断面の前後方向を向く上部ガイドレール27とが、背中合わせにねじ止めされている。両ガイドレール26、27の底片26a、27aの先端には、ガイド突条26b、27bが上向きに突設されている。
【0034】
中間横連結材8の下方の床面F、すなわち、互いに近接して並ぶ左右の支柱4、4の下端部の対向面間には、前後方向を向く下部ガイドレール28が、上部ガイドレール26、27と対向状に固定されている。この下部ガイドレール28の上面には、上方に開口する左右2列のガイド凹溝29、29が、長手方向に沿って形成されている。なお、この下部ガイドレール28は、前後の支柱4、4の下端部同士を連結する下部横連結材を兼ねている。
【0035】
各可動パネル20の上面に固着されたL字状断面のブラケット30の上端部には、左右方向を向く軸回りに回転する複数(例えば前後2個)の溝付き垂直ローラ31が取付けられている。
また、各可動パネル20の下面中央に下向き突設された左右1対の支軸32の下端部には、水平ローラ33が回転自在に取り付けられている。
【0036】
前後の支柱4間の4枚の可動パネル20における溝付き垂直ローラ31を、上部ガイドレール26、27のガイド突条26b、27bにより左右交互に支持するとともに、下部の水平ローラ33を、下部ガイドレール28の左右のガイド凹溝29、29に交互に嵌合することにより、各可動パネル20は、上部ガイドレール26、27により吊支され、この状態で引き違い式に前後両方向に移動させることができる。従って、放熱ケージ1の左右両側面を、複数の引き違い可動パネル20をもって開閉することができる。
図7に示すように、内外の可動パネル20の両側面が当接する左右の支柱4、4の対向面には、合成樹脂等よりなる緩衝材34が止着されている。
【0037】
各可動パネル20は、外側に位置する可動パネル20に取付けた施錠装置35により、放熱ケージ1の外側から全て施解錠しうるようになっている。
中間横連結材8における左右両端部の下面には、前後方向を向く左右1対のカバー板36、36が取り付けられ、上部ガイドレール26、27や各可動パネル20の上端に設けたブラケット30、及び溝付き垂直ローラ31等が目隠しされている。
【0038】
上記のようにして構築された放熱ケージ1の内部には、図2に示すように、サーバーが収納される複数の収納ラック37が、サーバー使用者が通行可能な、前後のパネル群3、3と向かい合う通路38を挟んで互いに対向するように、かつ各収納ラック37の背面が左右のパネル群3、すなわち複数の可動パネル20と対向するようにして収容される。
【0039】
以上説明したように、上記実施形態の放熱ケージによると、放熱ケージ1の左右両側面のパネル群3を、複数の引き違い式の可動パネル20により構成し、放熱ケージ1の両側面を開閉しうるようにしてあるので、各収納ラック37の背面と可動パネル20との対向面間には、サーバー使用者が通行不能な最小限の空間、すなわち、図示しない空調装置よりの冷気が通過しうる通風路またはサーバーより排気される空気の通風路となる、例えば20〜30cm程度の幅の空間を設けるのみでよい。
これは、各収納ラック37に収納したサーバーの背面へのアクセスやメンテナンス作業等を、放熱ケージ1の外側から各可動パネル20をスライドさせて、放熱ケージ1の両側面を開くことにより、その外側から行いうるためである。
【0040】
このように、互いに対向する各収納ラック37の背面側に、サーバー使用者が通行可能な通路を設ける必要がなくなると、その分、放熱ケージ1の左右幅が小さくなって、それが小型化するので、放熱ケージ1を設置するサーバールームの省スペース化が図れ、その中により多くの放熱ケージ1を構築して設置することができる。
【0041】
また、放熱ケージ1の両側面を開閉しうるので、例えばサーバールーム内に、複数の放熱ケージ1を、左右方向に隣接させて、かつ互いに隣接する放熱ケージ1間に、通路が形成されるようにして設置した際に、この通路を、左右に隣接する放熱ケージ内の収納ラックに収納したサーバーの背面の点検通路として、共用することができる。
【0042】
なお、上記実施形態においては、放熱ケージ1の前後面のパネル群3を、上下複数の金網パネル9よりなるものとしたが、中間横連結材6を省略し、互いに隣接する支柱4、4間に、上下方向に長い1枚の金網パネルを装着したり、上部横連結材5と最上部の金網パネル9を省略して、ドアパネル11と同じ高さの1枚の金網パネルを装着したりしてもよい。
【0043】
また、放熱ケージ1の両側面のパネル群3については、中間横連結材8、補助支柱24、及び上部の複数の金網パネル9を省略して、上下方向に長い引き違い式の可動パネル20のみとしたり、上部横連結材5、補助支柱24、及び上部の複数の金網パネル9を省略して、可動パネル20のみとしたりしてもよい。この際には、上部横連結材5または中間横連結材8の下面に、上部ガイドレール26、27を設ければよい。
【0044】
さらに、上記実施形態においては、全ての可動パネル20を通気性を有するものとしたが、図2に示すように、例えば収納ラック37と近接する放熱ケージ1内に、大きな支柱Sを立設したり、大型の什器等を設置したりした際には、例えば通路38等より吹き出された冷気の流れが支柱Sや什器等により妨げられ、支柱S等と対向する可動パネル20側に向かって流れないので、支柱S等と対向する可動パネル20を、金網パネル23のない安価な非通気性の可動パネル20としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 放熱ケージ
2 フレーム
3 パネル群
4 支柱
5 上部横連結材
6 中間横連結材
7 下部横連結材
8 中間横連結材
9 金網パネル
9a縦フレーム
10 出入り口
11 ドアパネル
12 ドアパネル
13 施錠装置
14 支柱本体
15 パネル保持板
16 ねじ
17 保持片
18 保持溝
19 カバー
20 可動パネル
21 金網パネル
22 開口部
23 金網パネル
24 補助支柱
25 開口部
26 上部ガイドレール
26a底片
26bガイド突条
27 上部ガイドレール
27a底片
27bガイド突条
28 下部ガイドレール(下部横連結材)
29 ガイド凹溝
30 ブラケット
31 溝付き垂直ローラ
32 支軸
33 水平ローラ
34 緩衝材
35 施錠装置
36 カバー板
37 収納ラック
F 床面
R 梁材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバールーム内に設置され、内部に、サーバーを収納する複数の収納ラックを、通路を挟んで対向するように収容するようにした放熱ケージであって、
床面に立設した平面視方形をなすフレームにおける前記通路と向かい合って互いに対向する2側面の少なくともいずれか一方の面を、開閉可能なドアパネルと通気性のパネル群により、かつ他方の面を、通気性のパネル群により、それぞれ閉塞するとともに、前記フレームにおける前記複数の収納ラックの背面側の互いに対向する他方の2側面を、引き違い式の複数の可動パネルにより閉塞することにより、前記フレームの4側面を、ドアパネルと通気性のパネル群及び引き違い式の複数の可動パネルにより閉塞したことを特徴とするサーバールーム内に設置される放熱ケージ。
【請求項2】
複数の収納ラックの背面と複数の可動パネルとの対向面間に、サーバー使用者が通行不能、かつ空気が通過しうるだけの空間を設けてなる請求項1記載のサーバールーム内に設置される放熱ケージ。
【請求項3】
パネル群を、方形枠内に金網を張設して形成された複数の金網パネルよりなるものとした請求項1または2記載のサーバールーム内に設置される放熱ケージ。
【請求項4】
可動パネルを、中央部に金網パネルを嵌め込むことにより、通気性を有するものとした請求項1〜3のいずれかに記載のサーバールーム内に設置される放熱ケージ。
【請求項5】
フレームを、床面に立設された前後左右方向に並ぶ複数の支柱と、この支柱の上端同士を連結する上部横連結材と、同じく下端部同士を連結する下部横連結材とを備えるものとし、前記互いに隣接する支柱と、上下の横連結材とにより囲まれた複数の空間部に、通気性のパネル群を装着してなる請求項1〜4のいずれかに記載のサーバールーム内に設置される放熱ケージ。
【請求項6】
互いに隣接する支柱を、対向面の一方の縁部に上下方向を向く保持片を内向き突設した支柱本体と、この支柱本体における前記保持片と反対側の側面に着脱可能にねじ止め可能な上下方向のパネル保持板とからなるものとし、前記両支柱の対向面間に、通気性のパネル群を、その両側端部が前記保持片と当接するまで嵌合し、この状態で、前記支柱本体の側面にパネル保持板をねじ止めし、パネル群の両側端部を保持することにより、前記通気性のパネル群を、互いに隣接する支柱間に着脱自在に装着してなる請求項5記載のサーバールーム内に設置される放熱ケージ。
【請求項7】
上部横連結材の下面に、長手方向を向く上部ガイドレールを設け、この上部ガイドレールにより、複数の引き違い式可動パネルの上端に設けた複数の垂直ローラを転動可能に吊支し、前記上部ガイドレールと対向する下部横連結杆を、上面に長手方向を向くガイド凹溝を有する下部ガイドレールとして、このガイド凹溝に、前記可動パネルの下端に設けた複数の水平ローラを、転動可能に嵌合してなる請求項5または6記載のサーバールーム内に設置される放熱ケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate