説明

サーバ室監視装置及びサーバ室

【課題】コンテナ型のサーバ室でも効率よく異常の有無の監視ができるサーバ室監視装置及びサーバ室を提供する。
【解決手段】サーバ室監視装置は、サーバ室にサーバを収納するラックの列に沿って設置され、サーバを撮像する監視カメラと、サーバ室内の臭気を検知する臭気センサと、サーバ室内の音を集音する集音マイクと、可動支持部材を横方向に移動させる横方向駆動部と、監視カメラ、臭気センサ、及び集音マイクを可動支持部材に沿って縦方向に移動させる縦方向駆動部と、横方向駆動部及び縦方向駆動部を制御して監視カメラ、臭気センサ、及び集音マイクを移動させてサーバ室情報を入力し、異常があった場合に警報を発報する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、サーバ室監視装置及びサーバ室に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では可搬型のコンテナ装置の内部にサーバ及びサーバの周辺機器を格納し、このコンテナ装置を複数併設してデータセンタを構築することが行われる。この方法のメリットは建物を建造する必要がなく設置費用が安く済む点にある。
【0003】
しかし、サーバなどの機器に異常がないか、或いは火災が発生していないか、などの監視は人が各コンテナ内に立ち入って点検するほかはない。従って、作業効率が悪いだけでなく、異常の発見が遅れることがあるというデメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−230329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、コンテナ型のサーバ室でも効率よく異常の有無の監視ができるサーバ室監視装置及びサーバ室が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、サーバ室にサーバを収納するラックの列に沿って設置され、サーバ室の情報を収集するセンサと、センサをラックに沿って縦方向に移動させる縦方向駆動部と、センサをラックの列に沿って横方向に移動させる横方向駆動部と、サーバ室の外部に配置され、縦方向駆動部及び横方向駆動部を駆動させ、センサからの入力したサーバ室の情報に基づいてサーバ室内に異常があると判定した場合、警報を発報する制御部と、を備えるサーバ室監視装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】サーバ室の外観斜視図である。
【図2】サーバ室の平面図である。
【図3】サーバ室監視装置の外観斜視図である。
【図4】サーバ室監視装置の動作を示す図である。
【図5】サーバ室監視装置の構成を示すブロック図である。
【図6】サーバ室監視装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、サーバ室監視装置及びサーバ室の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
本実施形態のサーバ室監視装置は、サーバ室に、サーバを格納する直線的に配列されたラックの列に沿って、サーバの前面に対向して設置され、サーバ室の情報を収集するセンサと、センサをラックに沿って縦方向に移動させる縦方向駆動部と、センサをラックの列に沿って横方向に移動させる横方向駆動部と、サーバ室の外部に配置され、縦方向駆動部及び横方向駆動部を駆動させ、センサからの入力したサーバ室の情報に基づいてサーバ室内に異常があると判定した場合、警報を発報する制御部と、を備える。
【0010】
本実施形態のサーバ室は、コンテナ型のサーバ格納装置と、サーバ格納装置に隣接して設置される空調ユニットと、サーバ格納装置の内部を隔壁によって区画した副室と、副室に設置され、サーバを格納するラックと、直線的に配列されたラックの列に沿って、サーバの前面に対向して設置され、サーバ室の情報を収集するセンサと、センサを前記ラックに沿って縦方向に移動させる縦方向駆動部と、センサをラックの列に沿って横方向に移動させる横方向駆動部と、サーバ格納装置の外部に配置され、縦方向駆動部及び横方向駆動部を駆動させ、センサからの入力したサーバ室の情報に基づいて前記サーバ室内に異常があると判定した場合、警報を発報する制御部と、を備えるサーバ室監視装置と、を備える。
【0011】
図1は、本実施形態のサーバ室1の外観斜視図である。図2は、サーバ室1の平面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、サーバ室1はサーバを収納するコンテナ部2と、空調ユニット3と、を備える。コンテナ部2と空調ユニット3とは分離して搬送することが可能である。
【0013】
コンテナ部2は内部に、電力を供給する電源ユニット11と、出入り口扉13を有する隔壁13によって区画される副室と、この副室の内部に配置されるサーバ12と、サーバ12及びサーバ室1の状況を監視するサーバ室監視装置100と、を備える。
【0014】
サーバ12はラックに無停電電源装置、ネットワーク機器、外部記憶装置、及び磁気テープ装置などとともに収納される。サーバ12を収納したラックは複数台を直線的に並べて設置される。
【0015】
サーバ室監視装置100はこの複数並べられたサーバ12を収納するラックの列に沿って、サーバ12の前面に対向して配置される。
【0016】
副室には空調ユニット3から冷気を流し込む送風口と、サーバ12などの発熱する装置によって暖められた空気を排気する排気口と、が設けられる。
【0017】
図3は、サーバ室監視装置100の外観斜視図である。図3に示すように、サーバ室監視装置100は、フレーム101によって支持され、水平方向に延びる上方レール102及び下方レール111と、上方レール101に沿って配置される横方向チェーンベルト103と、横方向チェーンベルト103を駆動させる横方向駆動部104と、横方向チェーンベルト103に係止され、上方レール102及び下方レール111にそって横方向に移動可能な可動支持部材105と、可動支持部材105の縦方向の支柱に沿って配置される縦方向チェーンベルト106と、縦方向チェーンベルト106を駆動させる縦方向駆動部107と、縦方向チェーンベルト106に係止され、縦方向に移動可能な監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110と、を備える。
【0018】
サーバ室監視装置100は、移動可能な臭気センサ109、集音マイク110の代わりに他のセンサ、例えば赤外線温度センサ、煙センサ等を備えてもよい。
【0019】
可動支持部材105は、下方にローラ112を有する。ローラ112は下方レール102に接触する。
【0020】
横方向駆動部104及び縦方向駆動部107はモータとギアを備える。
【0021】
監視カメラ108はサーバ12及びサーバ12の周辺機器を撮像し、画像データを出力する。臭気センサ109はサーバ室1の臭気を検知し、臭気データを出力する。集音マイク110はサーバ室1内の音を集音し、音声データを出力する。
【0022】
縦方向駆動部107を駆動させるための電力を供給する電源ケーブル、及び画像データ、臭気データ、音声データを送信する通信ケーブルは、ケーブル束113に束ねられ、トロリー式により上方レール102に配置される。
【0023】
横方向駆動部104及び縦方向駆動部107の動作はサーバ室1の外部にある制御部501により遠隔操作される。また、画像データ、臭気データ、音声データは通信ケーブルを介して制御部501に入力される。以下、画像データ、臭気データ、音声データをまとめてサーバ室情報と言う。
【0024】
図4は、サーバ室監視装置100の動作を示す図である。図4に示すように、サーバ室監視装置100は、監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110がサーバ12に向くように、サーバ12の列に沿って配置される。
【0025】
上方レール102と下方レール111の間隔H2は、サーバ12を収納するラックの高さH1より長い。
【0026】
可動支持部材105は横方向X1に、監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110は縦方向Y1に可動である。
【0027】
制御部501は、まず横方向駆動部104を駆動させて可動支持部材105を上方レール102の一端、すなわちホームポジションに移動させる。
【0028】
次に、制御部501は縦方向駆動部107を駆動させて監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110を可動支持部材105の上端から下端に移動させてサーバ室情報を収集する。
【0029】
次に、制御部501は横方向駆動部104を駆動させて可動支持部材105を所定の幅だけ横方向に移動させ、縦方向駆動部107を駆動させて監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110を可動支持部材105の下端から上端に移動させてサーバ室情報を収集する。
【0030】
以降同様に、制御部501は横方向駆動部104と縦方向駆動部107とを駆動させ、サーバ12を収納するラックを順次一端から他端に向かって監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110を移動させ、サーバ室情報を収集することを繰り返す。
【0031】
図5は、サーバ室監視装置100の構成を示すブロック図である。図5に示すように、サーバ室監視装置100は、サーバ室1にサーバ12を収納するラックの列に沿って設置され、サーバ12を撮像する監視カメラ108と、サーバ室1内の臭気を検知する臭気センサ109と、サーバ室1内の音を集音する集音マイク110と、可動支持部材105を横方向X1に移動させる横方向駆動部104と、監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110を可動支持部材105に沿って縦方向に移動させる縦方向駆動部107と、横方向駆動部104及び縦方向駆動部107の動作を制御する駆動制御部112と、を備える。
【0032】
監視カメラ108、臭気センサ109、集音マイク110、横方向駆動部104、及び縦方向駆動部107はLANインターフェースなどの通信インターフェース(以下、インターフェースをI/Fという。)503を介してサーバ室1の外部に設置される制御装置500の制御部501に接続する。
【0033】
制御装置500は、演算装置を含む制御部501と、ROM、RAM、及びハードディスクドライブなどの記憶部502と、ディスプレイなどの表示装置504と、スピーカ505と、端末506と、を備える。
【0034】
縦方向駆動部107は端末506からの手動制御の信号により横方向駆動部104及び縦方向駆動部107を駆動させる。
【0035】
図6は、サーバ室監視装置100の動作を示すフローチャートである。図6に示すように、動作601において、サーバ室監視装置100は横方向駆動部104を駆動させて可動支持部材105をセンシング対象のサーバ12のラックの前面に移動させる。
【0036】
動作602において、サーバ室監視装置100は縦方向駆動部107を駆動させて監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110を可動支持部材105の上端から下端に移動させてサーバ室情報を収集する。
【0037】
動作603において、サーバ室監視装置100は監視カメラ108からの映像情報を入力する。
【0038】
動作604において、サーバ室監視装置100は入力した映像情報と、予め記憶部502に格納されている正常時の映像情報とを比較する画像認識を行う。
【0039】
動作605において、サーバ室監視装置100は映像情報内に異常があるかどうかを画像認識結果から判定する。サーバ室監視装置100は異常があると判定した場合、動作610に進み、異常がないと判定した場合、動作606に進む。
【0040】
動作606において、サーバ室監視装置100は臭気センサ109からの臭気情報を入力する。
【0041】
動作607において、サーバ室監視装置100は臭気情報の臭気指数が予め記憶部502に格納されている臭気指数の閾値と比較することにより異常があるかを判定する。サーバ室監視装置100は臭気情報の臭気指数が臭気指数の閾値を上回った場合、異常があると判定して動作610に進み、臭気情報の臭気指数が臭気指数の閾値以下であった場合、異常がないと判定して動作608に進む。
【0042】
動作608において、サーバ室監視装置100は集音マイク110からの音響情報を入力する。
【0043】
動作609において、サーバ室監視装置100は音響情報の騒音が予め記憶部502に格納されている騒音の閾値と比較することにより異常があるかを判定する。サーバ室監視装置100は音響情報の騒音が騒音の閾値を上回った場合、異常があると判定して動作610に進み、音響情報の騒音が騒音の閾値以下であった場合、異常がないと判定して動作601に戻る。
【0044】
動作610において、サーバ室監視装置100はディスプレイ504に警告を表示し、スピーカ505から異常を知らせる音を鳴らすことにより警報を発報する。
【0045】
動作611において、サーバ室監視装置100は端末506から監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110の位置を手動にて操作する旨の指示である手動制御指示が入力されたかを判定する。サーバ室監視装置100は端末506から手動制御指示が入力されたと判定したとき、動作612に進み、入力されていないと判定したとき、処理を終了する。
【0046】
動作612において、サーバ室監視装置100は端末506からの手動入力に従って、横方向駆動部104及び縦方向駆動部107を駆動させ、監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110の位置を変位させる。
【0047】
動作613において、サーバ室監視装置100はサーバ室情報を収集してこのサーバ室情報を表示装置504に表示し、動作611に戻る。
【0048】
以上述べたように、サーバ室監視装置100は、サーバ室1にサーバ12を収納するラックの列に沿って設置され、サーバ12を撮像する監視カメラ108と、サーバ室1内の臭気を検知する臭気センサ109と、サーバ室1内の音を集音する集音マイク110と、可動支持部材105を横方向X1に移動させる横方向駆動部104と、監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110を可動支持部材105に沿って縦方向に移動させる縦方向駆動部107と、横方向駆動部104及び縦方向駆動部107を制御して監視カメラ108、臭気センサ109、及び集音マイク110を移動させてサーバ室情報を入力し、異常があった場合に警報を発報し、端末506から手動制御指示が入力されたと判定した場合、手動制御に切り替えてサーバ室情報を収集する制御部501と、を備える。
【0049】
従って、コンテナ型のサーバ室でも遠隔監視が可能となり、効率よく異常の有無の監視ができるという効果がある。
【0050】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
サーバ室監視装置:100
横方向駆動部104
縦方向駆動部107
監視カメラ:108
臭気センサ:109
集音マイク110

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ室に、サーバを格納する直線的に配列されたラックの列に沿って、前記サーバの前面に対向して設置され、前記サーバ室の情報を収集するセンサと、
前記センサを前記ラックに沿って縦方向に移動させる縦方向駆動部と、
前記センサを前記ラックの列に沿って横方向に移動させる横方向駆動部と、
前記サーバ室の外部に配置され、前記縦方向駆動部及び前記横方向駆動部を駆動させ、前記センサからの入力した前記サーバ室の情報に基づいて前記サーバ室内に異常があると判定した場合、警報を発報する制御部と、
を備えるサーバ室監視装置。
【請求項2】
前記制御部に指示を入力する端末をさらに備え、
前記制御部は、
前記端末から手動制御指示が入力されたと判定した場合、手動制御に切り替えて前記サーバ室の情報を収集する請求項1記載のサーバ室監視装置。
【請求項3】
前記センサは、
監視カメラ、臭気センサ、及び集音マイクを含む請求項1記載のサーバ室監視装置。
【請求項4】
コンテナ型のサーバ格納装置と、
前記サーバ格納装置に隣接して設置される空調ユニットと、
前記サーバ格納装置の内部を隔壁によって区画した副室と、
前記副室に設置され、サーバを格納するラックと、
直線的に配列された前記ラックの列に沿って、前記サーバの前面に対向して設置され、前記サーバ室の情報を収集するセンサと、前記センサを前記ラックに沿って縦方向に移動させる縦方向駆動部と、前記センサを前記ラックの列に沿って横方向に移動させる横方向駆動部と、前記サーバ格納装置の外部に配置され、前記縦方向駆動部及び前記横方向駆動部を駆動させ、前記センサからの入力した前記サーバ室の情報に基づいて前記サーバ室内に異常があると判定した場合、警報を発報する制御部と、を備えるサーバ室監視装置と、
を備えるサーバ室。
【請求項5】
前記制御部に指示を入力する端末をさらに備え、
前記制御部は、
前記端末から手動制御指示が入力されたと判定した場合、手動制御に切り替えて前記サーバ室の情報を収集する請求項4記載のサーバ室。
【請求項6】
前記センサは、
監視カメラ、臭気センサ、及び集音マイクを含む請求項4記載のサーバ室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−73411(P2013−73411A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211747(P2011−211747)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(302061130)東芝ITサービス株式会社 (32)
【Fターム(参考)】