説明

サーバ群統合管理システム

【課題】複数のサーバにより提供されるサービスを利用するユーザの利便性を向上させることができる、サーバ群統合管理システムを提供すること。
【解決手段】サーバ群10を構成する複数の仮想サーバ11と端末装置20とに接続されるサーバ群統合管理システム30であって、複数の仮想サーバ11の各々に固有の入出力環境である固有環境と、端末装置20において複数の仮想サーバ11の各々を利用するための共通の入出力環境である共通環境との互換情報を格納する記憶部42と、複数の仮想サーバ11の各々における入出力と、端末装置20における入出力とを、記憶部42にて格納された互換情報に基づいて、相互に変換する制御部41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサーバにより構成されるサーバ群に対するユーザの利用環境を管理するためのサーバ群統合管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを介して各種のサービスを利用することができるクラウド・コンピューティングが急速に普及している。このクラウド・コンピューティングにおいて、ユーザは、自ら費用と時間をかけてサーバを構築することなく各種のサービスを利用することができ、自己のニーズに応じて各種のサービスの種類や量を容易に変更することができる。
【0003】
このようなクラウド・コンピューティングの普及に伴い、多くの事業者が各種のクラウド・コンピューティング用のサーバを有料で提供し始めており、ユーザは、このような各種のサーバの中から、自己のニーズや予算等に合致したサーバを選択して、サービスを利用することができる(例えば特許文献1の段落0023及び図1)。あるいは、ユーザによっては、自社内にクラウド・コンピューティング用のサーバを設け、このサーバを自社内の様々な部署で利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−050988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、クラウド・コンピューティングの仕様やサービス内容を統一的に管理する基準が存在しないため、事業者により提供される各種のサーバの相互間や、これら事業者により提供されたサーバとユーザが自社内に設けたサーバの相互間においては、異なるインターフェースを介してサービスが提供されている。従って、同じユーザが、これら複数のサーバによるサービスを利用したい場合には、サーバ毎に異なる複数のインターフェースを介してサーバを利用する必要がある等、ユーザの利便性を低下させていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のサーバにより提供されるサービスを利用するユーザの利便性を向上させることができる、サーバ群統合管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のサーバ群統合管理システムは、サーバ群を構成する複数のサーバの各々と、これら複数のサーバの各々によって提供されるネットワークサービスを利用するための端末装置とに対して、ネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ群統合管理システムであって、前記複数のサーバの各々に固有の入出力環境である固有環境と、前記端末装置において前記複数のサーバの各々を利用するための共通の入出力環境である共通環境との、相互の互換性に関する互換情報を格納する互換情報格納手段と、前記複数のサーバの各々における入出力と、前記端末装置における入出力とを、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、相互に変換する変換手段とを備え、前記変換手段は、前記端末装置から前記複数のサーバの中のいずれかのサーバに対する入出力が前記共通の入出力環境において行われた場合に、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、当該端末装置からの入出力を当該入出力が行われたサーバに固有の入出力環境における入出力に変換し、当該変換した入出力を当該端末装置からの入出力が行われたサーバに送信し、前記複数のサーバの中のいずれかのサーバから前記端末装置に対する入出力が当該サーバに固有の入出力環境において行われた場合に、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、当該サーバからの入出力を前記共通の入出力環境における入出力に変換し、当該変換した入出力を当該端末装置に送信する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載のサーバ群統合管理システムによれば、複数のサーバの各々における入出力と端末装置における入出力とが相互に変換されるので、端末装置を介して複数のサーバのサービスを利用するユーザは、これら複数のサーバの固有環境を意識することなく、共通化された共通環境を介してサービスを利用することができるので、各サーバの固有環境に関する知識をユーザが習得する手間や時間を省略でき、クラウド・コンピューティングを利用するユーザの利便性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るサーバ群統合管理システムを含んだネットワークシステムを機能概念的に示すブロック図である。
【図2】ユーザ基本情報の構成例を示す図である。
【図3】クラウド基本情報の構成例を示す図である。
【図4】利用状況情報の構成例を示す図である。
【図5】入出力情報の構成例を示す図である。
【図6】仮想サーバ起動処理のフローチャートである。
【図7】ユーザ情報表示用のUIのサーバページを例示する図である。
【図8】ユーザ情報表示用のUIのサービスページを例示する図である。
【図9】サーバ追加要求用のUIを例示する図である。
【図10】サービス追加要求用のUIを例示する図である。
【図11】仮想サーバ利用処理のフローチャートである。
【図12】仮想サーバ停止処理のフローチャートである。
【図13】仮想サーバ再起動処理のフローチャートである。
【図14】仮想サーバ監視処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るサーバ群統合管理システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、本実施の形態の構成について説明した後、本実施の形態の処理について説明し、最後に、本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
(構成)
最初に、本実施の形態に係るサーバ群統合管理システムを含んだネットワークシステムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るサーバ群統合管理システムを含んだネットワークシステムを機能概念的に示すブロック図である。このネットワークシステム1は、サーバ群10、端末装置20、サーバ群統合管理システム30、及び通信ネットワーク100を備えており、通信ネットワーク100を介して、端末装置20とサーバ群統合管理システム30とを相互に通信可能に接続すると共に、サーバ群10に含まれる各サーバとサーバ群統合管理システム30とを相互に通信可能に接続して構成されている。
【0012】
(構成−サーバ群)
サーバ群10は、端末装置20に対して通信ネットワーク100を介してサービスを提供するものである。このサービスの形態としては、代表的には、クラウドサービスと称されるものが該当する。クラウドサービスは、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、及びIaaS(Infrastructure as a Service)と称されるものを含む。ただし、サーバ群10により提供されるサービスは、クラウドサービスと呼ばれるサービスに限定されず、オンデマンド・コンピューティング、ユーティリティ・コンピューティング、あるいはユビキタス・コンピューティングといった、各種のコンピュータシステムにより提供されるサービスを含む。なお、以下では、クラウドサービスを提供するためのクラウド・コンピューティングシステムを、単にクラウドと称する。
【0013】
このサーバ群10は、複数のクラウドを構成する複数のクラウドサーバ(物理サーバ)を含んでおり、このクラウドサーバ上に仮想サーバ(VM:Virtual Machine、インスタンス)11が構成されている。クラウドサーバを提供するクラウドとしては、ユーザとは異なる者により提供されるクラウド(以下、パブリッククラウド)と、ユーザ自身により提供されるクラウド(以下、プライベートクラウド)があり、図1のサーバ群10は、これらの両方により提供されるクラウドサーバを含んで構成されている。つまり、サーバ群統合管理システム30は、パブリッククラウドとプライベートクラウドを統合することで構成される、さらに上位のクラウド(ハイブリッドクラウド)を提供するものである。ただし、クラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウドのいずれか一方のみによって提供されるクラウドサーバから構成してもよい。
【0014】
各仮想サーバ11は、アプリケーションアプリ制御クライアント(以下、アプリ制御クライアント)12、アプリケーションアプリ監視クライアント(以下、アプリ監視クライアント)13、複数のアプリケーション14、及び複数のアプリケーション専用データ領域(以下、専用データ領域)15を備える。
【0015】
アプリ制御クライアント12は、当該アプリ制御クライアント12がインストールされた仮想サーバ11の状態の定義及び維持を行うものであり、この仮想サーバ11に対する各アプリケーション14のインストール、設定、ユーザの追加や削除、及びアップデートを制御する。このアプリ制御クライアント12としては、公知のシステム管理ツール(例えば、Puppet)におけるクライアント(例えば、Puppetクライアント)を用いることができる。
【0016】
アプリ監視クライアント13は、当該アプリ監視クライアント13がインストールされた仮想サーバ11や当該仮想サーバ11にインストールされた各アプリケーション14の状態を監視するものであり、これら仮想サーバ11や各アプリケーション14に関する情報収集、異常検知、及び障害や復旧通知を行う。このアプリ監視クライアント13としては、公知のシステム監視ツール(例えば、Zabbix)におけるクライアント(例えば、Zabbixクライアント)を用いることができる。
【0017】
複数のアプリケーション14は、いわゆるクラウドアプリケーション層にて提供されるアプリケーションであって、Webサーバ構築用のアプリケーション、業務システムや電子商取引のサーバ構築用のアプリケーション、データベースサーバ構築用のアプリケーションオフィス文書作成用のアプリケーション、ソフトウェア開発用のアプリケーション等、様々な目的のために提供される各種のアプリケーションが該当する。
【0018】
専用データ領域15は、各アプリケーション14に関するデータを格納する領域であって、ここでは、物理サーバの記録領域上に構築される仮想Diskである。特に、専用データ領域15は、アプリケーション14の各々に専用のデータ領域として設定されている。
【0019】
(構成−端末装置)
端末装置20は、サーバ群10の各仮想サーバ11により提供されるサービスを利用するために、通信ネットワーク100を介してサーバ群統合管理システム30と通信を行う装置である。この端末装置20は、サーバ群統合管理システム30との間における通信を行うため、所定の通信プロトコル(ここでは、httpやhttps)により情報の送受信を行うためのブラウザ、各種の情報を表示するためのモニタ、各種の情報を入力するための入力部、及びネットワークインターフェース(以下、ネットワークIF)を備える。ただし、端末装置20は、公知のパーソナルコンピュータとして構成できるので、その詳細な説明は省略する。
【0020】
(構成−サーバ群統合管理システム)
サーバ群統合管理システム30は、サーバ群10のサーバを管理するシステムであり、特に、サーバ群10の仮想サーバ11の各々に固有の入出力環境(以下、固有環境)と、端末装置20において複数の仮想サーバ11の各々を利用するための共通の入出力環境(以下、共通環境)との互換処理を行うシステムである。ここで、入出力環境とは、いわゆるインターフェースであり、情報の入出力の手順や形式に関するソフトウェアインターフェースと、情報の入出力の表示方式に関するユーザインターフェースを含む。
【0021】
このサーバ群統合管理システム30は、主制御サーバ40、アプリケーション制御サーバ(以下、アプリ制御サーバ)50、アプリケーション監視サーバ(以下、アプリ監視サーバ)60、及びDNSサーバ(Domain Name Systemサーバ)70を備える。
【0022】
(構成−サーバ群統合管理システム−主制御サーバ)
最初に、主制御サーバ40の構成について説明する。この主制御サーバ40は、固有環境と共通環境との互換処理の中心的な機能を提供するサーバであり、機能概念的には、制御部41、記憶部42、及びネットワークIF43を、バスにて接続して構成されている。
【0023】
制御部41は、複数のサーバの各々における入出力と、端末装置20における入出力とを、記憶部42にて格納された互換情報に基づいて、相互に変換する変換手段である。この制御部41は、機能概念的に、起動処理部41a、利用処理部41b、停止処理部41c、再起動処理部41d、及び監視処理部41eを備えて構成されている。起動処理部41aは、後述する仮想サーバ起動処理を制御する起動処理手段である。利用処理部41bは、後述する仮想サーバ利用処理を制御する利用処理手段である。停止処理部41cは、後述する仮想サーバ停止処理を制御する停止処理手段である。再起動処理部41dは、後述する仮想サーバ再起動処理を制御する再起動処理手段である。監視処理部41eは、後述する仮想サーバ監視処理を制御する監視処理手段である。これら各部の機能については、各処理と併せて説明する。
【0024】
この制御部41は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)や、このCPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの制御プログラムや各種の処理手順などを規定したプログラム。例えば、J2EEにて記述される)、及び、所要プログラムや所要データを格納するためのキャッシュメモリを備えて構成される。このCPU上で解釈実行される各種のプログラムにはサーバ群管理プログラムが含まれ、サーバ群管理プログラムは、例えば、CD−ROMやDVDを含む任意の記憶媒体に記憶された後、インストールされて記憶部42に不揮発的に記憶され、CPUにて解釈実行されることで制御部41の実質的機能を構成する。
【0025】
記憶部42は、複数のサーバの各々に固有の入出力環境である固有環境と、端末装置20において複数のサーバの各々を利用するための共通の入出力環境である共通環境との、相互の互換性に関する互換情報を格納する互換情報格納手段である。この記憶部42は、各種処理に必要な情報やパラメータを不揮発的に格納する格納手段であり、例えば、HD(Hard Disk)にて構成される。この記憶部42は、機能概念的に、ユーザ基本情報DB42a、クラウド基本情報DB42b、利用状況情報DB42c、及び入出力情報DB42dを備える。
【0026】
図1のユーザ基本情報DB42aは、ユーザに関する基本的な情報(以下、ユーザ基本情報)を格納するユーザ基本情報格納手段である。このユーザ基本情報は、例えば、図2の構成例に示すように、項目「ユーザID」、項目「ユーザ名」、及び項目「パスワード」を含み、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「ユーザID」に対応する情報は、ユーザを一意に識別するユーザ識別情報である。項目「ユーザ名」に対応する情報は、ユーザの名称又は氏名である。項目「パスワード」に対応する情報は、ユーザがサーバ群統合管理システム30にログインする際の認証用のパスワードである。これらのユーザ基本情報は、ユーザがサーバ群統合管理システム30に利用登録を行った際、当該システムの管理者によって登録される。
【0027】
図1のクラウド基本情報DB42bは、クラウドに関する基本的な情報(以下、クラウド基本情報)を格納するクラウド基本情報格納手段である。このクラウド基本情報は、例えば、図3の構成例に示すように、項目「クラウドID」、項目「クラウド名」、項目「IPアドレス」、項目「サーバ種別」、及び項目「クラウド側サービス名」を含み、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「クラウドID」に対応する情報は、各クラウドを一意に識別するクラウド識別情報である。項目「クラウド名」に対応する情報は、各クラウドの名称である。項目「IPアドレス」に対応する情報は、各クラウドを最初に利用する際に当該各クラウドにアクセスするためのIPアドレスである。項目「サーバ種別」に対応する情報は、各クラウドにおいて利用可能なサーバの種別である。項目「クラウド側サービス名」に対応する情報は、各クラウドにおいて利用可能なサービスの名称であって、クラウド側で付与された名称である。これらのクラウド基本情報は、サーバ群統合管理システム30で利用可能なクラウドを登録する際に、当該システムの管理者によって登録される。
【0028】
図1の利用状況情報DB42cは、各クラウドによって提供されるサーバの各ユーザによる利用状況に関する情報(以下、利用状況情報)を格納する利用状況情報格納手段である。この利用状況情報は、例えば、図4の構成例に示すように、項目「ユーザID」、項目「クラウドID」、項目「クラウド側サーバ名」、項目「ユーザ側サーバ名」、項目「IPアドレス」、項目「サーバ種別」、項目「クラウド側サービス名」、項目「ユーザ側サービス名」、項目「ディスクサイズ」、及び項目「ステータス」を含み、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「ユーザID」、項目「クラウドID」、項目「サーバ種別」、及び項目「クラウド側サービス名」に対応する情報は、ユーザ基本情報又はクラウド基本情報における同一項目名に対応する情報と同じである。項目「クラウド側サーバ名」に対応する情報は、クラウドに構築された仮想サーバ11の名称であって、クラウド側で付与された名称(ホスト名)である。項目「ユーザ側サーバ名」に対応する情報は、クラウドに構築された仮想サーバ11の名称であって、ユーザ側で付与された名称である。項目「IPアドレス」、は、クラウドに構築された仮想サーバ11に対してクラウド側で付与されたIPアドレスである。項目「ユーザ側サービス名」に対応する情報は、各クラウドにおいて利用可能なサービスの名称であって、ユーザ側で付与された名称である。項目「ディスクサイズ」に対応する情報は、各クラウドによって提供されるサービスに対して割り当てられた専用データ領域15のサイズである。項目「ステータス」に対応する情報は、サーバの現在の利用状況(ステータス)である。これらのクラウド基本情報は、後述する仮想サーバ起動処理や仮想サーバ再起動処理において登録され、後述する仮想サーバ利用処理、仮想サーバ停止処理、あるいは仮想サーバ監視処理において必要により更新される。
【0029】
図1の入出力情報DB42dは、共通環境における入出力の形式や内容に関する情報と、固有環境における入出力の形式や内容に関する情報とに関する情報(以下、入出力情報)を格納する入出力情報格納手段である。この入出力情報は、例えば、図5の構成例に示すように、項目「クラウドID」、項目「ユーザ側入出力」、及び項目「クラウド側入出力」を含み、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「クラウドID」に対応する情報は、クラウド基本情報における同一項目名に対応する情報と同じである。項目「ユーザ側入出力」に対応する情報は、共通環境における入出力の形式や内容に関する情報であり、例えば、仮想サーバ11やアプリケーション14の「起動」「停止」「削除」等である。項目「クラウド側入出力」に対応する情報は、固有環境における入出力の形式や内容に関する情報であり、例えば、仮想サーバ11やアプリケーション14の「起動」「停止」「削除」等を実行するためのWeb APIを特定する情報である。これらの入出力情報は、サーバ群統合管理システム30で利用可能なクラウドを登録する際に、当該システムの管理者によって登録される。
【0030】
図1のネットワークIF43は、ネットワークを介した通信を行うための通信手段であり、例えばネットワークボードとして構成される。
【0031】
(構成−サーバ群統合管理システム−アプリ制御サーバ)
次に、図1のアプリ制御サーバ50の構成について説明する。このアプリ制御サーバ50は、仮想サーバ11の状態の定義及び維持を行うものであり、この仮想サーバ11に対する各アプリケーション14のインストール、設定、ユーザの追加や削除、及びアップデートを制御するアプリ制御手段である。このアプリ制御には、公知のアプリ制御用のソフトウェア(例えば、Puppet)を使用することができる。また、特記する場合を除いて、アプリ制御サーバ50は、通常のWebサーバと同様に構成することができるので、その説明は省略する。
【0032】
(構成−サーバ群統合管理システム−アプリ監視サーバ)
次に、図1のアプリ監視サーバ60の構成について説明する。このアプリ監視サーバ60は、仮想サーバ11や当該仮想サーバ11にインストールされた各アプリケーション14の状態を監視するものであり、これら仮想サーバ11や各アプリケーション14に関する情報収集、異常検知、及び障害や復旧通知を行うアプリ監視手段である。このアプリ監視には、公知のアプリ監視用のソフトウェア(例えば、Zabbix)を使用することができる。また、特記する場合を除いて、アプリ監視サーバ60は、通常のWebサーバと同様に構成することができるので、その説明は省略する。
【0033】
(構成−サーバ群統合管理システム−DNSサーバ)
次に、図1のDNSサーバ70の構成について説明する。このDNSサーバ70は、名前解決を行う名前解決手段である。このDNSサーバ70は、クラウド側で付与されたサーバのIPアドレスと当該サーバのURL(Uniform Resource Locator)とを相互に対応付けて構成されたデータベースを備えて構成されている。特記する場合を除いて、DNSサーバ70は、通常のDNSサーバと同様に構成することができるので、その説明は省略する。
【0034】
(構成−通信ネットワーク)
図1の通信ネットワーク100としては、WAN(Wide Area Network)であって、代表的にはインターネットであるが、専用通信線やLAN(Local Area Network)を含んでもよい。
【0035】
(処理)
次に、このように構成されたネットワークシステム1において行われる各種の処理について説明する。この処理は、仮想サーバ起動処理、仮想サーバ利用処理、仮想サーバ停止処理、仮想サーバ再起動処理、及び仮想サーバ監視処理に大別される。以下、各処理について順次説明する。ただし、以下の説明においては、特記するタイミングを除いて任意のタイミングにて各処理が行われ、特記する主体を除いて制御部41にて処理が行われるものとする。また、「ステップ」を「S」と略記する。
【0036】
(処理−仮想サーバ起動処理)
最初に、仮想サーバ起動処理について説明する。図6は、仮想サーバ起動処理のフローチャートである。この処理において、ユーザは、端末装置20において、主制御サーバ40に割り当てられた所定のURLを指定することによって当該主制御サーバ40にアクセスし、ユーザID及びパスワードを用いたログイン処理を公知の方法で行ってログインする(SA1)。主制御サーバ40の制御部41は、ユーザ基本情報DB42に格納されたユーザ基本情報を参照してログイン処理を行った後(SA2)、当該ユーザIDに対応する利用状況情報を利用状況情報DB42cから取得し、当該取得した利用状況情報に含まれる情報の一部を、共通環境における所定のUI(User Interface)に表示するためのWebページデータを生成し(例えば、Vaadinの如きWebアプリケーションフレームワークを用いて生成し)、当該生成したWebページデータを端末装置20に送信する(SA2)。端末装置20のブラウザは、送信されたWebページデータを用いてUIをモニタに表示する(SA3)(以降同様に、端末装置20と主制御サーバ40との相互間では、端末装置20から主制御サーバ40に要求が行われる毎に、主制御サーバ40がWebページデータを生成して端末装置20に送信するものとする)。
【0037】
このユーザ情報表示用のUIは、図7、8に例示するように、「サーバ」と「サービス」の2つのページをタグにより相互に切替自在として構成されている。ユーザは、「サーバ」ページにおいてサーバの起動や停止を行い、次いで、「サービス」ページにおいてサービスの追加や削除を行う。
【0038】
図7に示すように、「サーバ」ページは、ユーザが利用しているサーバに関する情報を一覧的に表示したり、サーバの起動や停止を行うためのページであり、サーバ一覧を表示する表示領域を表示する表示領域と、新しいサーバを追加するためのサーバ追加ボタンを含んでいる。サーバ一覧は、項目「ユーザ側サーバ名」、項目「IPアドレス」、項目「ステータス」、項目「ユーザ側サービス名」、及び項目「利用」を含んでおり、各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「ユーザ側サーバ名」、項目「IPアドレス」、項目「ステータス」、項目「ユーザ側サービス名」に対応する情報は、利用状況情報の同一項目名に対応する情報と同じである。項目「利用」には、サービスを利用するための操作ボタンが表示されている。このような「サーバ」ページを見ることで、ユーザは、異なるクラウドに起動させている仮想サーバ11を一元的に把握することが可能となる。
【0039】
ここで、ユーザが、端末装置20の入力部を介して、「サーバ」ページのサーバ追加ボタンを選択すると、サーバ追加要求が主制御サーバ40に送信され(SA3)、主制御サーバ40から端末装置20に、サーバ追加要求用の情報を共通環境における所定のUIに表示するためのWebページデータを送信し(SA4)、端末装置20はUIをモニタに表示する(SA5)。このサーバ追加要求用のUIは、図9に例示するように、サーバ名設定領域、クラウド選択領域、サーバ種別選択領域、及びサーバ追加ボタンを含んで構成されている。サーバ名設定領域は、当該UIにて追加するサーバのユーザ側サーバ名を入力するための領域であり、当該サーバ名設定領域に対してユーザが所望のサーバ名を入力する。クラウド選択領域は、利用したいクラウドを選択するための領域であり、ここでは、クラウド名がリスト形式で表示されており、当該表示されたクラウド名の中からユーザが所望のクラウド名を選択する。サーバ種別選択領域は、クラウド選択領域において選択されたクラウドによって提供可能なサーバの種別を表示するための領域であり、ここでは、サーバの種別がリスト形式で表示されており、当該表示された種別の中からユーザが所望の種別を選択する。
【0040】
このUIにおいて、ユーザが情報の入力や選択を行った後、サーバ追加ボタンを選択すると、当該入力又は選択された情報を含んだサーバ追加要求が主制御サーバ40に送信される(SA5)。主制御サーバ40の起動処理部41aは、端末装置20から送信されたサーバ追加要求に含まれるクラウド名に対応するIPアドレスをクラウド基本情報DB42bから取得し、当該取得したIPアドレスに対して、サーバ追加要求に含まれるサーバの種別に合致した仮想サーバ11を起動するための起動要求を送信する(SA6)。
【0041】
この起動要求に基づき、クラウドサーバは、仮想サーバ11を起動し、当該起動した仮想サーバ11に対するクラウド側サーバ名、IPアドレス、及びドメイン名を動的に付与し、当該付与したクラウド側サーバ名等を含む起動完了報告を主制御サーバ40に送信する(SA7)。起動処理部41aは、ログイン処理時に入力されたユーザIDと、端末装置20から送信されたサーバ追加要求に含まれるクラウド名に対応するものとしてクラウド基本情報から取得したクラウドIDと、クラウドから送信されたクラウド側サーバ名及びIPアドレスと、端末装置20から送信されたサーバ追加要求に含まれるサーバ種別及びユーザ側サーバ名とを、相互に関連付けて、利用状況情報として利用状況情報DB42cに格納する(SA8)。また、起動処理部41aは、クラウドから送信されたIPアドレスとドメイン名とを、相互に対応付けてDNSサーバ70に登録する(SA8)。このような処理を行うことで、DNSサーバ70を介して、当該起動された仮想サーバ11の名前解決を行うことが可能となる。
【0042】
図8に示すように、「サービス」ページは、ユーザが利用しているサービスに関する情報を一覧的に表示したり、サービスの追加や削除を行うためのページであり、サービス一覧を表示する表示領域と、新しいサービスを追加するためのサービス追加ボタンを含んでいる。サービス一覧は、項目「ユーザ側サービス名」、項目「ユーザ側サーバ名」、項目「IPアドレス」、項目「ステータス」、及び項目「利用」を含んでおり、各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。これら各項目に対応する情報は、図7の「サーバ」ページの同一項目名に対応する情報と同じである。このような「サービス」ページを見ることで、ユーザは、異なるクラウドで利用しているサービスを一元的に把握することが可能となる。
【0043】
ここで、ユーザが、端末装置20の入力部を介して、「サービス」ページのサービス追加ボタンを選択すると、サービス追加要求が主制御サーバ40に送信され(SA9)、主制御サーバ40から端末装置20に、サービス追加要求用の情報を共通環境における所定のUIに表示するためのWebページデータを送信し(SA10)、端末装置20はUIをモニタに表示する(SA11)。
【0044】
このサービス追加要求用のUIは、図10に例示するように、サービス名設定領域、サービス選択領域、ディスクサイズ設定領域、サーバ選択領域、及びサービス追加ボタンを含んで構成されている。サービス名設定領域は、当該UIにて追加するサービスのユーザ側サービス名を入力するための領域であり、当該サービス名設定領域に対してユーザが所望のサービス名を入力する。サービス選択領域は、サーバ選択領域において選択されたサーバにおいて利用可能なサービスを選択するための領域であり、ここでは、クラウド側サービス名がリスト形式で表示されており、当該表示されたサービス名の中からユーザが所望のサービスに対応するサービス名を選択する。ディスクサイズ設定領域は、当該UIにて追加するサービスに割り当てるべき専用データ領域15のサイズを設定する領域であり、当該ディスクサイズ設定領域に対してユーザが所望のサイズを入力する。サーバ選択領域は、当該UIにて追加する所望のサービスを提供する仮想サーバ11を選択するための領域であり、ここでは、左右一対の領域を含んで構成され、いずれか一方(ここでは図示左側)の領域には「サーバ」ページで起動された仮想サーバ11のユーザ側サーバ名がリスト形式で表示されており、これら仮想サーバ11の中から所望のサーバを選択して、いずれか他方(ここでは図示右側)の領域に移動させることで、ユーザが所望のサーバを選択する。このようにサーバの選択が行われる毎に、制御部41は、当該選択されたサーバにおいて利用可能なサービスのクラウド側サービス名をクラウド基本情報DB42bから取得し、当該取得したサービスをサービス選択領域に表示させる。
【0045】
このUIにおいて、ユーザが情報の入力や選択を行った後、サービス追加ボタンを選択すると、当該入力又は選択された情報を含んだサービス追加要求が主制御サーバ40に送信される(SA11)。主制御サーバ40の起動処理部41aは、端末装置20から送信されたサービス追加要求に含まれるユーザ側サーバ名に対応するIPアドレスを利用状況情報DB42cから取得し、当該取得したIPアドレスに対して、サービス追加要求に含まれるサービス及びディスクサイズに基づいて、サービスを提供するためのアプリケーション14、アプリ制御クライアント12、及びアプリ監視クライアント13のインストール要求と、専用データ領域15の設定要求を行う(SA12)。
【0046】
これらの要求に基づき、仮想サーバ11は、アプリケーション14、アプリ制御クライアント12、及びアプリ監視クライアント13をインストールし、ディスクサイズ設定領域で設定されたサイズに基づいて専用データ領域15を設定し、設定完了報告を主制御サーバ40に送信する(SA13)。起動処理部41aは、利用状況情報DB42cの利用状況情報に含まれるレコードの中で、ログイン処理時に入力されたユーザIDと、端末装置20から送信されたサービス追加要求に含まれるユーザ側サーバ名との組み合わせを含むレコードに対して、サービス名設定領域に入力されたユーザ側サービス名と、ディスクサイズ設定領域に設定されたディスクサイズと、ステータス(この時点では、起動中)をさらに関連付けて格納する(SA14)。
【0047】
また、起動処理部41aは、サービス選択領域で選択されたサービスに対応するアプリケーション14を動作させるための、仮想サーバ11のアプリケーション定義ファイル(以下、マニフェスト)を作成する(SA14)。このマニフェストは、起動させるべきアプリケーション14の種別、署名、データ用ディスクのサイズ等を含むものであり、クラウドサーバやサービスの種別毎にデフォルトで用意しておいたものをそのまま利用し、あるいはその一部のみをユーザ基本情報、クラウド基本情報、利用状況情報、あるいは図7や図8のUIにて入力された情報に基づいて修正して、作成することができる。そして、起動処理部41aは、当該作成したマニフェストをアプリ制御サーバ50に送信して登録する(SA14)。
【0048】
次いで、起動処理部41aは、当該起動した仮想サーバ11にインストールしたアプリ制御クライアント12を起動する(SA14)。具体的には、起動処理部41aは、クライアント起動用プログラム(例えば、puppetrun)を実行することで、アプリ制御クライアント12に対する起動命令(例えば、puppetキック)を送信する。このように起動されたアプリ制御クライアント12は、自己に設定されたマニフェストをアプリ制御サーバ50から公知の方法で取得し、当該取得したマニフェストに基づいて、アプリケーションファイルの取得、アプリケーションファイルの設定、データ用ディスクの準備、及びアプリケーション14の起動を行う。このような処理を行うことで、ユーザは、各仮想サーバ11の各アプリケーション14に対して個別的に設定操作を行うことなく、各アプリケーション14を起動させることができる。
【0049】
次いで、起動処理部41aは、当該起動した仮想サーバ11及びアプリケーション14をアプリ監視サーバ60に登録する(SA14)。具体的には、起動処理部41aは、当該起動した仮想サーバ11のIPアドレスと、当該起動した仮想サーバ11にインストールしたアプリケーション14の種別とを、アプリ監視サーバ60に登録する。この登録を行うことで、後述する仮想サーバ監視処理において、アプリケーション14のステータスを監視することが可能となる。
【0050】
また、起動処理部41aは、当該起動した仮想サーバ11において予想されるステータスを、利用状況情報DB42cにおける当該仮想サーバ11のIPアドレスに対応するステータスに記録する(SA14)。これにて仮想サーバ11の起動処理が終了する。
【0051】
(処理−仮想サーバ利用処理)
次に、仮想サーバ利用処理について説明する。図11は、仮想サーバ利用処理のフローチャートである。この処理において、ユーザは、上述した仮想サーバ起動処理と同様の手順で端末装置20に図8のUIの「サービス」ページを表示させた後(SB1−SB3)、この「サービス」ページにおいて、利用したいユーザ側サービス名及びユーザ側サーバ名に対応する項目「利用」に表示されている利用ボタンの中から、所望の利用内容に合致する利用ボタンを選択する。
【0052】
ユーザが利用ボタンを選択すると、端末装置20から主制御サーバ40にサービス利用要求が送信される(SB3)。主制御サーバ40の利用処理部41bは、このサービス利用要求に含まれるユーザ側サービス名に対応するIPアドレスを利用状況情報DB42cから取得し、当該取得したIPアドレスに対して、サービス利用要求に基づく利用要求を行う(SB4)。具体的には、利用処理部41bは、サービス利用要求に含まれるユーザ側サーバ名に対応するクラウドIDを利用状況情報DB42cから取得し、当該取得したクラウドIDと、サービス利用要求に含まれる利用内容(ユーザ側入出力)に対応するクラウド側入出力を入出力情報DB42dから取得し、当該取得したクラウド側入出力に基づいて、利用要求を行う。例えば、利用内容=データの追加である場合、データの追加を示すWeb APIであって、サービス利用要求に含まれるユーザ側サービス名に対応するIPアドレスによって特定される仮想サーバ11に合致したWeb APIにより、利用要求を行う。また、利用処理部41bは、この利用要求を行った結果として予想されるステータスを、利用状況情報DB42cにおける当該クラウドIDに対応するステータスに記録すると共に(SB6)、このステータスをUIにおける項目「ステータス」に表示する(SB7)。一方、利用要求を受けた仮想サーバ11のアプリケーション14は、当該送信された利用要求に基づいて利用処理を行う(SB5)。
【0053】
以降同様に、仮想サーバ11への利用要求と、処理結果の表示を行うことで、仮想サーバ11のアプリケーション14により提供されるサービスを利用することが可能となる。このような処理を行うことにより、ユーザは、各仮想サーバ11の固有環境を意識することなく、共通環境における利用操作のみを行うことで、各仮想サーバ11を利用することが可能となる。これにて仮想サーバ利用処理が終了する。
【0054】
(処理−仮想サーバ停止処理)
次に、仮想サーバ停止処理について説明する。図12は、仮想サーバ停止処理のフローチャートである。この処理において、ユーザは、上述した仮想サーバ起動処理と同様の手順で端末装置20に図7のUIの「サーバ」ページを表示させた後(SC1−SC3)、この「サーバ」ページにおいて、利用を停止したいサーバのユーザ側サーバ名を選択した状態で、サーバ削除ボタンを選択する。
【0055】
ユーザがサーバ削除ボタンを選択すると、端末装置20から主制御サーバ40にサーバ停止要求が送信される(SC3)。主制御サーバ40の停止処理部41cは、このサーバ停止要求に含まれるユーザ側サーバ名に対応するIPアドレスを利用状況情報DB42cから取得し、当該取得したIPアドレスに対して、サーバ停止要求を行う(SC5)。また、停止処理部41cは、サーバ停止要求に先立って、当該IPアドレスに対して、その時点におけるサーバ構成情報と、起動されている各アプリケーション14の各専用データ領域15の記憶内容との送信要求を行い、この送信要求に基づいて仮想サーバ11から送信されたサーバ構成情報及び専用データ領域15の記憶内容を、ユーザID及びユーザ側サーバ名に関連付けて記憶部42に格納する(SC4)。また、停止処理部41cは、このサーバ停止要求を行った結果として予想されるステータスを、利用状況情報DB42cにおける当該クラウドIDに対応するステータスに記録すると共に(SC7)、このステータスをUIにおける項目「ステータス」に表示する(SC8)。一方、サーバ停止要求を受けた仮想サーバ11は、当該サーバ停止要求に基づいて仮想サーバ11の動作を停止し、サーバ構成情報及び専用データ領域15の記憶内容を削除する(SC6)。これにて仮想サーバ停止処理が終了する。
【0056】
(処理−仮想サーバ再起動処理)
次に、仮想サーバ再起動処理について説明する。この処理は、仮想サーバ起動処理にて仮想サーバ11を起動し、仮想サーバ停止処理にて仮想サーバ11を停止した後、当該仮想サーバ11を再度起動するための処理である。一般に、仮想サーバ11を停止した場合には、仮想サーバ11の構成情報が消去されてしまうため、同一の仮想サーバ11を再度起動(復旧)させることが困難である。この問題を解決するため、本実施の形態においては、仮想サーバ11の構成情報を保存しておき、この構成情報を用いて、仮想サーバ11を再度起動することを可能としている。図13は、仮想サーバ再起動処理のフローチャートである。
【0057】
この処理においては、基本的には、上述した仮想サーバ起動処理と同様に、仮想サーバ11の起動、アプリケーション14の設定、アプリ監視サーバ60への登録、及びステータスの記録等を行う(SD1−SD8及びSD12−SD17)。ただし、この処理において、主制御サーバ40の再起動処理部41dは、サーバ追加要求をクラウドサーバに送信して仮想サーバ11を起動した後、当該起動した仮想サーバ11と同一の仮想サーバ11が、同一のユーザによって過去に起動され停止されていたか否かを判定する(SD9)。ここでは、当該再起動処理においてユーザによって指定されたユーザID及びユーザ側サーバ名が、上述した仮想サーバ停止処理において、記憶部42にサーバ構成情報及び専用データ領域15の記憶内容と共に記憶させたユーザID及びユーザ側サーバ名に合致する場合には、当該起動した仮想サーバ11と同一の仮想サーバ11が過去に起動され停止されていたものと判定する。同一の仮想サーバ11が過去に起動され停止されていた場合(SD9、Yes)、記憶部42に記憶させた当該サーバ構成情報及び専用データ領域15の記憶内容を、当該再起動処理で起動させた仮想サーバ11に送信する(SD10)。仮想サーバ11は、当該仮想サーバ11のサーバ構成情報を主制御サーバ40から送信されたサーバ構成情報により更新すると共に、当該仮想サーバ11の専用データ領域15を主制御サーバ40から送信された専用データ領域15の記憶内容により更新する(SD11)。このことにより、過去に起動させ停止させた仮想サーバ11を、再起動(復旧)することが可能となる。
【0058】
なお、ここでは、説明の明確化のため、仮想サーバ起動処理と仮想サーバ再起動処理を異なる処理として説明したが、仮想サーバ再起動処理を仮想サーバ起動処理に統合してもよく、この場合には、仮想サーバ起動処理を行う毎に、当該起動した仮想サーバ11と同一の仮想サーバ11が、同一のユーザによって過去に起動され停止されていたか否かを判定し、同一の仮想サーバ11が過去に起動され停止されていた場合にのみ、上記のようなサーバ構成情報及び専用データ領域15の記憶内容の更新を行う。また、この場合には、再起動処理部41dを省略することができる。
【0059】
(処理−仮想サーバ監視処理)
最後に、仮想サーバ監視処理について説明する。図14は、仮想サーバ監視処理のフローチャートである。アプリ監視サーバ60は、仮想サーバ起動処理、仮想サーバ利用処理、仮想サーバ停止処理、若しくは、仮想サーバ再起動処理が行われる毎に、あるいは、所定間隔又は所定タイミングで、仮想サーバ監視処理を起動する。
【0060】
具体的には、アプリ監視サーバ60は、仮想サーバ起動処理又は仮想サーバ再起動処理で当該アプリ監視サーバ60に登録された仮想サーバ11のIPアドレスに対して、ステータス報告要求を送信する(SE1)。ステータス報告要求を受けた仮想サーバ11のアプリ監視クライアント13は、ステータス報告要求に含まれるアプリケーション14の種別によって特定される各アプリケーション14のその時点のステータスを取得し、当該取得したステータスを含むステータス報告をアプリ監視サーバ60に送信する(SE2)。アプリ監視サーバ60は、このステータス報告を主制御サーバ40に送信する(SE3)。
【0061】
主制御サーバ40の監視処理部41eは、利用状況情報DB42cの利用状況情報の各レコードの中から、ステータス報告に含まれるIPアドレスを含むレコードを特定し、当該特定したレコードのステータスを、ステータス報告に含まれるステータスに更新する(SE4)。このことにより、仮想サーバ11の実際のステータスが、主制御サーバ40で予期したステータスと異なっていた場合でも、実際のステータスを利用状況情報に反映させることができ、ユーザが実際のステータスに合致した情報の提示等を行うことが可能となる。
これにて仮想サーバ監視処理が終了する。
【0062】
(効果)
このように本実施の形態によれば、複数のサーバの各々における入出力と端末装置20における入出力とが相互に変換されるので、端末装置20を介して複数のサーバのサービスを利用するユーザは、これら複数のサーバの固有環境を意識することなく、共通化された共通環境を介してサービスを利用することができるので、各サーバの固有環境に関する知識をユーザが習得する手間や時間を省略でき、クラウド・コンピューティングを利用するユーザの利便性を大幅に向上させることができる。
【0063】
また、ユーザ側サーバ名とサーバ側サーバ名とが相互に変換され、あるいは、ユーザ側サービス名とサーバ側サービス名とが相互に変換されるので、ユーザにとって覚えにくいサーバ側サーバ名やサーバ側サービス名が付与された場合でも、ユーザは自分が覚えやすいユーザ側サーバ名やユーザ側サービス名を用いてサーバの指定等を行うことができるので、クラウド・コンピューティングを利用するユーザの利便性を一層向上させることができる。
【0064】
また、アプリケーション定義ファイルが自動的に作成されてアプリケーション14に設定されるので、ユーザが各アプリケーション14の設定を行う手間を省くことができ、クラウド・コンピューティングを利用するユーザの利便性を一層向上させることができる。
【0065】
また、予想されるサーバのステータスが、実際のサーバのステータスによって更新されるので、予想されるステータスと実際のステータスとが何らかの原因によって相違する場合であっても、実際のステータスに基づいてサーバの利用や管理等を行うことができる。
【0066】
また、サーバを停止する際に取得された当該サーバの構成情報に基づいて、当該サーバを再起動することができるので、サーバを停止した場合にその構成情報が直ちに削除されてしまうようなクラウドを利用する場合であっても、サーバを容易かつ迅速に復旧させることが可能となる。
【0067】
(変形例)
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0068】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0069】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、アプリ制御サーバ50やアプリ監視サーバ60の機能を、主制御サーバ40に統合することもできる。また、記憶部42に記憶された各DBについても、任意に分散・統合することが可能である。
【0070】
(付記)
以下、本発明の構成及び効果の一部を示す付記である。
付記1に記載のサーバ群統合管理システムは、サーバ群を構成する複数のサーバの各々と、これら複数のサーバの各々によって提供されるネットワークサービスを利用するための端末装置とに対して、ネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ群統合管理システムであって、前記複数のサーバの各々に固有の入出力環境である固有環境と、前記端末装置において前記複数のサーバの各々を利用するための共通の入出力環境である共通環境との、相互の互換性に関する互換情報を格納する互換情報格納手段と、前記複数のサーバの各々における入出力と、前記端末装置における入出力とを、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、相互に変換する変換手段とを備え、前記変換手段は、前記端末装置から前記複数のサーバの中のいずれかのサーバに対する入出力が前記共通の入出力環境において行われた場合に、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、当該端末装置からの入出力を当該入出力が行われたサーバに固有の入出力環境における入出力に変換し、当該変換した入出力を当該端末装置からの入出力が行われたサーバに送信し、前記複数のサーバの中のいずれかのサーバから前記端末装置に対する入出力が当該サーバに固有の入出力環境において行われた場合に、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、当該サーバからの入出力を前記共通の入出力環境における入出力に変換し、当該変換した入出力を当該端末装置に送信する。
付記2に記載のサーバ群統合管理システムは、付記1に記載のサーバ群統合管理システムにおいて、前記互換情報格納手段は、前記複数のサーバを前記共通の入出力環境において特定するためのユーザ側特定情報と、前記複数のサーバを前記固有の入出力環境において特定するためのサーバ側特定情報とを、相互に対応付けて構成された特定互換情報を、前記互換情報の一部として格納し、前記変換手段は、前記端末装置から前記サーバに対する入出力が前記ユーザ側特定情報に基づいて行われた場合には、前記互換情報格納手段にて格納された特定互換情報に基づいて、当該ユーザ側特定情報をサーバ側特定情報に変換し、当該変換したサーバ側特定情報に基づく入出力を当該サーバに送信し、前記サーバから前記端末装置に対する入出力が前記サーバ側特定情報に基づいて行われた場合には、前記互換情報格納手段にて格納された特定互換情報に基づいて、当該サーバ側特定情報をユーザ側特定情報に変換し、当該変換したユーザ側特定情報に基づく入出力を当該端末装置に送信する。
付記3に記載のサーバ群統合管理システムは、付記1又は2に記載のサーバ群統合管理システムにおいて、前記互換情報格納手段は、前記サーバ上でアプリケーションを動作させるためのアプリケーション定義ファイルに設定すべき定義情報を、サーバ毎及びアプリケーション毎に含み、前記変換手段は、前記端末装置から前記サーバにおけるアプリケーションの起動要求が行われた場合には、前記互換情報格納手段にて格納された当該サーバ及び当該アプリケーションに対応する定義情報に基づいて、アプリケーション定義ファイルを作成し、当該作成したアプリケーション定義ファイルを当該アプリケーションに設定する所定の処理を行う。
付記4に記載のサーバ群統合管理システムは、付記1から3のいずれか一つに記載のサーバ群統合管理システムにおいて、前記サーバのステータスに関するステータス情報を格納するステータス情報格納手段を備え、前記変換手段は、前記サーバに関する処理を行った後、当該処理により予想される当該サーバのステータスに関するステータス情報を前記ステータス情報格納手段に格納し、前記サーバの実際のステータスを所定タイミングで取得し、当該取得した実際のステータスに基づいて、前記ステータス情報格納手段のステータス情報を更新する。
付記5に記載のサーバ群統合管理システムは、付記1から4のいずれか一つに記載のサーバ群統合管理システムにおいて、前記サーバの構成情報を格納するサーバ構成情報格納手段を備え、前記変換手段は、前記サーバを停止した場合には、当該サーバの構成情報を当該サーバから取得して前記サーバ構成情報格納手段に格納し、前記停止したサーバを再起動する場合には、前記サーバ構成情報格納手段に格納した当該サーバの構成情報に基づいて、当該サーバを再起動する。
付記1に記載のサーバ群統合管理システムによれば、複数のサーバの各々における入出力と端末装置における入出力とが相互に変換されるので、端末装置を介して複数のサーバのサービスを利用するユーザは、これら複数のサーバの固有環境を意識することなく、共通化された共通環境を介してサービスを利用することができるので、各サーバの固有環境に関する知識をユーザが習得する手間や時間を省略でき、クラウド・コンピューティングを利用するユーザの利便性を大幅に向上させることができる。
付記2に記載のサーバ群統合管理システムによれば、ユーザ側特定情報とサーバ側特定情報とが相互に変換されるので、ユーザにとって覚えにくいサーバ側特定情報が付与された場合でも、ユーザは自分が覚えやすいユーザ側特定情報を用いてサーバの指定等を行うことができるので、クラウド・コンピューティングを利用するユーザの利便性を一層向上させることができる。
付記3に記載のサーバ群統合管理システムによれば、アプリケーション定義ファイルが自動的に作成されてアプリケーションに設定されるので、ユーザが各アプリケーションの設定を行う手間を省くことができ、クラウド・コンピューティングを利用するユーザの利便性を一層向上させることができる。
付記4に記載のサーバ群統合管理システムによれば、予想されるサーバのステータスが、実際のサーバのステータスによって更新されるので、予想されるステータスと実際のステータスとが何らかの原因によって相違する場合であっても、実際のステータスに基づいてサーバの利用や管理等を行うことができる。
付記5に記載のサーバ群統合管理システムによれば、サーバを停止する際に取得された当該サーバの構成情報に基づいて、当該サーバを再起動することができるので、サーバを停止した場合にその構成情報が直ちに削除されてしまうようなクラウドを利用する場合であっても、サーバを容易かつ迅速に復旧させることが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1 ネットワークシステム
10 サーバ群
11 仮想サーバ
12 アプリ制御クライアント
13 アプリ監視クライアント
14 アプリケーション
15 専用データ領域
20 端末装置
30 サーバ群統合管理システム
40 主制御サーバ
41 制御部
41a 起動処理部
41b 利用処理部
41c 停止処理部
41d 再起動処理部
41e 監視処理部
42 記憶部
42a ユーザ基本情報DB
42b クラウド基本情報DB
42c 利用状況情報DB
42d 入出力情報DB
43 ネットワークIF
50 アプリ制御サーバ
60 アプリ監視サーバ
70 DNSサーバ
100 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ群を構成する複数のサーバの各々と、これら複数のサーバの各々によって提供されるネットワークサービスを利用するための端末装置とに対して、ネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ群統合管理システムであって、
前記複数のサーバの各々に固有の入出力環境である固有環境と、前記端末装置において前記複数のサーバの各々を利用するための共通の入出力環境である共通環境との、相互の互換性に関する互換情報を格納する互換情報格納手段と、
前記複数のサーバの各々における入出力と、前記端末装置における入出力とを、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、相互に変換する変換手段とを備え、
前記変換手段は、
前記端末装置から前記複数のサーバの中のいずれかのサーバに対する入出力が前記共通の入出力環境において行われた場合に、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、当該端末装置からの入出力を当該入出力が行われたサーバに固有の入出力環境における入出力に変換し、当該変換した入出力を当該端末装置からの入出力が行われたサーバに送信し、
前記複数のサーバの中のいずれかのサーバから前記端末装置に対する入出力が当該サーバに固有の入出力環境において行われた場合に、前記互換情報格納手段にて格納された互換情報に基づいて、当該サーバからの入出力を前記共通の入出力環境における入出力に変換し、当該変換した入出力を当該端末装置に送信する、
サーバ群統合管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−238073(P2011−238073A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109656(P2010−109656)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000131201)株式会社CSK (53)
【Fターム(参考)】