説明

サービス処理装置及びサービス処理プログラム

【課題】利用者認証が必要なサービス処理の実行と利用者認証が不要なサービス処理の実行が指示されている場合に、最初に利用者認証しなくても、利用者認証が不要なサービス処理を実行することができるサービス処理装置及びサービス処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、最初に利用者が認証されていなくても指示書の実行を受け付け、その指示書に記述された複数のサービス処理が、利用者の認証を必要とする第1のサービス処理と、利用者の認証を不要とする第2のサービス処理と、を含む場合には、利用者の認証が不要な第2のサービス処理だけ実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス処理装置及びサービス処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サービスを提供するとともにサービスの利用者に対しサービスの対価を課金するサービス処理装置であって、利用者に提供するサービスを提供するサービス実行手段と、サービスの利用者が所持する非接触媒体に対して読み書き動作を行なう非接触媒体読み書き手段と、利用者にサービスを提供したときの料金に関する情報を算出する料金算出手段と、非接触媒体にチャージされている金額と前記料金算出手段により算出された料金に関する情報を確認してから前記サービス実行手段によるサービスの起動を制御するサービス起動制御手段と、を具備すること特徴とするサービス処理装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、複数のアプリケーションを実行可能な画像形成手段と、前記画像形成手段を利用するためのIDコードが記録された記録媒体から該IDコードを読み取る読取手段とを備える画像形成システムにおいて、前記読取手段に読み取られた前記IDコードを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記IDコード毎に前記画像形成手段の使用可否を識別する識別手段と、前記記憶手段に記憶された前記IDコード毎に前記画像形成手段のアプリケーションの使用を制限する制限手段と、を有し、前記記憶手段に記憶された第1の媒体に対する第1の前記IDコードに対して前記識別手段による識別及び前記制限手段によるアプリケーションの使用制限の結果としてアプリケーションの実行が許可され、該アプリケーションによるサービス処理を継続しているときに前記読取手段により第2の記録媒体が読み取られた場合に、第1の前記IDコードに基づいたアプリケーションを継続し、該アプリケーションの実行に伴って第1の前記IDコードに対応付けたアプリケーションの実行回数を増加させると共に、第2の前記記録媒体に記録された第2の前記I D コードを受け付けて前記記憶手段に記憶し、該第2の前記IDコードに基づいて前記識別手段及び前記制限手段は実行が指定されたアプリケーションの実行の可否を判断することを特徴とする画像形成システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−47853号公報
【特許文献2】特許第4027383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、利用者認証が必要なサービス処理の実行と利用者認証が不要なサービス処理の実行が指示されている場合に、最初に利用者認証しなくても、利用者認証が不要なサービス処理を実行することができるサービス処理装置及びサービス処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明のサービス処理装置は、複数のサービス処理の各々を実行する複数のサービス処理手段と、前記複数のサービス処理の少なくとも一つのサービス処理を利用する利用者を認証する認証手段と、一つの文書データに対して前記複数のサービス処理の実行の指示を受け付ける受付手段と、前記複数のサービス処理が、前記利用者の認証を必要とする第1のサービス処理と、前記利用者の認証を不要とする第2のサービス処理と、を含むと共に、前記認証手段により前記利用者が認証されていない場合には、前記第2のサービス処理だけ実行されるように、前記第2のサービス処理を実行するサービス処理手段を制御する制御手段と、を備える。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記制御手段は、前記第1のサービス処理が実行されるまでに前記認証手段により前記利用者が認証された場合には、前記第1のサービス処理が実行されるように、前記第1のサービス処理を実行するサービス処理手段を制御する。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記制御手段は、前記認証手段により前記利用者が認証された場合に、実行待ちの前記サービス処理が存在する場合には、前記認証手段により認証された利用者に関する利用者情報を、前記実行待ちのサービス処理と関連付けるのか、新たに実行を指示するサービス処理と関連付けるのか、を前記利用者に選択させる選択手段を備える。
【0009】
請求項4記載の発明のサービス処理プログラムは、一つの文書データに対して複数のサービス処理手段が各々実行する複数のサービス処理の実行の指示を受け付けるステップと、前記複数のサービス処理が、前記複数のサービス処理の少なくとも一つのサービス処理を利用する利用者を認証する認証手段による認証を必要とする第1のサービス処理と、前記認証を不要とする第2のサービス処理と、を含むと共に、前記認証手段により前記利用者が認証されていない場合には、前記第2のサービス処理だけ実行されるように、前記第2のサービス処理を実行するサービス処理手段を制御するステップと、を含む処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、利用者を認証してからでないとサービス処理の実行を受け付けない場合と比較して、複数のサービス処理が、利用者の認証を必要とする第1のサービス処理と、利用者の認証を不要とする第2のサービス処理と、を含むと共に、利用者が認証されていない場合であっても、第2のサービス処理だけ実行させることができる、という効果を有する。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、利用者を認証してからでないとサービス処理の実行を受け付けない場合と比較して、利用者認証する期間を延ばすことができる、という効果を有する。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、選択手段がない場合と比較して、利用者認証された場合にすでに実行待ちのサービス処理が存在する場合でも、どのサービス処理に利用者情報を関連付けるかを利用者に選択させることができる、という効果を有する。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、利用者を認証してからでないとサービス処理の実行を受け付けない場合と比較して、複数のサービス処理が、利用者の認証を必要とする第1のサービス処理と、利用者の認証を不要とする第2のサービス処理と、を含むと共に、利用者が認証されていない場合であっても、第2のサービス処理だけ実行させることができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置のハードウエア構成の一例を示したブロック図である。
【図2】指示書の一例を示す図である。
【図3】認証処理の流れの一例を示す図である。
【図4】指示書実行処理の流れの一例を示す図である。
【図5】サービス処理実行情報の一例を示す図である。
【図6】認証後処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
【0016】
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、利用者に提供するサービス処理として例えば原稿を読み取って画像データを取得するスキャン処理、読み取った原稿を印刷するコピー処理、読み取った原稿をファクシミリ送信する処理、読み取った原稿をメール送信する処理等、複数のサービス処理を実行する機能を有する画像形成装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0017】
図1には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成を模式的に示している。以下、当該装置100内の各部について説明する。
【0018】
CPU(Central Processing Unit)101は、当該装置100内の動作を統括的に制御する中央コントローラであり、オペレーティング・システムが提供する実行環境下でプログラムを制御し、コピーやファクシミリ送受信、ネットワーク・プリントといった各種のサービス処理などに関して主たる制御を行なう。CPU101は、バス102を介して当該装置100内の各機器と相互接続されている。
【0019】
ROM(Read Only Memory)103は、読み出し専用の半導体メモリ装置で構成され、ネットワーク・プリントといったサービス処理などを実行するための各制御プログラムや固定データなどが恒久的に書き込まれている。勿論、フラッシュ・メモリなどのように格納データを電気的に書き換えられるデバイスを用いてROM103を構成することもでき、必要に応じてプログラムや固定データの更新を行なうようにしてもよい。
【0020】
RAM(Random Access Memory)104は、データを書き換えられる半導体メモリ装置で構成され、CPU101で実行する制御プログラムをROM102からロードしたり、プログラム実行中の作業データを一時格納したりするなど、プログラム動作のためのシステム・メモリとして使用される。また、画像処理のためのページ・メモリとして、RAM104が使用される。
【0021】
NVRAM(Non−Volatile RAM)105は、フラッシュ・メモリのように無電源状態でも記憶内容を消失しない、データを書き換えられるメモリで構成され、セキュリティ・データやその他の不揮発性データ、画質調整、各種設定パラメータ、サービス処理実行時の各種履歴などを格納するために使用される。
【0022】
HDD106は、磁気記録式の固定ディスクで構成された大容量外部記憶装置であり、原稿から読み取った画像データを蓄積したり、サービス処理実行時の各種履歴を保存したり、さらにはCPU101において実行するプログラムをインストールするために使用される。
【0023】
画像処理部107は、原稿から読み取った画像データ、あるいはネットワーク経由でダウンロードした画像データなどに対し、伸張圧縮処理や、画質調整などの各種画像処理を施す。
【0024】
画像形成装置100は、ユーザ・インターフェース109として、液晶ディスプレイなどで構成された表示部110と、スタート/ストップ/テンキーなどのハードウェア・キーを備えた(あるいは表示部110を兼ねたタッチパネルを備えた)操作部111を備え、これらはUIインターフェース108を介してバス102に接続されている。但し、UIインターフェース108を介さず、CPU101がユーザ・インターフェース109を直接制御するように構成するようにしてもよい。
【0025】
また、通信インターフェース112を経由して、各種の外部装置やネットワーク・インターフェースなどがバス102に接続されている。
【0026】
LANインターフェース113は、10/1000Base−Tなど、予め定めたプロトコルに従って画像形成装置100をネットワーク接続する。無線LANを含めるようにしてもよい。
【0027】
画像形成装置100は、LAN越しにインターネットなどの外部ネットワークに接続し、所望の情報資源にアクセスする。また、画像形成装置100は、利用者が使用するパーソナル・コンピュータ(PC)や携帯端末(いずれも図示しない)から、コピーやファクシミリ送受信、コンテンツ探索やその他のコンテンツ処理、ネットワーク・プリントといった、各種のサービス処理の内容が定められた指示書データを受信し、指示に従ってサービスを実行する。また、予め定めた複数のサービス処理の内容が定められた指示書データが予めHDD106等に記憶され、記憶された指示書データの中から利用者が選択した指示書データを実行する場合もある。さらに、利用者が複数のサービス処理を指示し、指示された複数のサービス処理を一括して実行する場合もある。
【0028】
また、画像形成装置100には、ICカード130に対して非接触・近距離通信を行なうために、ICカード読み書き装置131が装備され、RS232Cあるいはその他のシリアル・インターフェース114経由でバス102に接続されている。
【0029】
ICカード130とICカード読み書き装置131間では、電磁結合、電磁誘導、あるいは電波通信などの方式による伝送路上で、予め定めた相互認証処理を経て、高い耐タンパ性を保ちながら非接触・近距離通信を行なう。但し、ICカード130を利用した非接触通信の仕組み自体は本発明の要旨に直接関係しないので、ここではこれ以上説明しない。また、ICカード130とICカード読み書き装置131間の通信は、非接触・近距離通信に限らず、ICカード読み書き装置131にICカード130の挿入口が設けられ、この挿入口にICカード130をセットすることによってICカード読み書き装置131と有線通信するものでもよい。
【0030】
本実施形態では、ICカード130は、画像形成装置100の利用者に関する情報、例えば利用者を特定するための識別符号である利用者ID等の情報が予め記録されている。そして、詳細は後述するが、利用者は、利用者認証が必要なサービス処理については、画像形成装置100のICカード読み書き装置131にICカード130をかざして利用者認証することにより、利用者認証が必要な所望のサービス処理の実行が受けられる。
【0031】
USB(Universal Serial Bus)インターフェース115は、例えばUSB1.1又はUSB2.0に準拠し、パーソナル・コンピュータなどにローカル接続する際に使用される。
【0032】
モデム116は、コンピュータ上の信号と公衆回線上の信号の相互変換を行なう変復調装置からなり、ファクシミリなどの公衆回線への接続を行ない、通常のファクシミリ送受信や、時刻指定送信、その他の各種のファクシミリ機能を提供する。
【0033】
デバイス・インターフェース118は、例えばRS422などで構成され、画像形成装置100を構成する各種機器をバス102に接続するためのインターフェース・プロトコルを実現する。
【0034】
画像形成装置100を構成する機器として、例えば原稿から画像を読み取る読取装置部119と、画像を用紙上に印刷出力する印刷装置部120が挙げられる。
【0035】
読取装置部119は、一般的には、原稿を載せるプラテンと画像読み取りを行なうスキャナの組み合わせで構成され、自動原稿読取装置であってもよい。読み取り画像は、必要に応じて画像処理部107において画像処理が施され、印刷装置部120に画像出力され、あるいはHDD106に保存される。
【0036】
印刷装置部120は、例えば電子写真方式のプリント・エンジン部を備えている。電子写真プロセスは、電子写真感光体に対する帯電、スキャンした原稿イメージの露光、現像すなわち感光体表面の静電潜像へのトナー重畳、用紙へのトナー転写及びトナー定着、感光体のクリーニングという複数のサブプロセスを含む。但し、プリント・エンジンの構成自体は本発明の要旨に直接関連しないので、ここではこれ以上説明しない。印刷装置部120によって印字された用紙は、排出用紙格納部121に排出される。
【0037】
画像形成装置100の利用者は、1つの文書データに対して複数のサービス処理の実行を指示するための指示書を実行させるサービスを受けられる。本実施形態では、サービス処理とは、文書データに対して施す処理であり、例えばプリント処理、ファクシミリ送信処理、メール送信処理、スキャン処理等があるが、これに限られるものではない。
【0038】
また、これらのサービス処理には、利用者の認証が必要な第1のサービス処理と、利用者の認証が不要な第2のサービス処理と、の二種類のサービス処理がある。
【0039】
利用者が第1のサービス処理を画像形成装置100に実行させるには、サービス処理の実行に先立って、利用者認証する必要がある。利用者認証の方法としては、前述したように、利用者IDが記録されたICカード130を用いる方法がある。この場合、例えば画像形成装置100のHDD106に利用が許可された利用者IDのリストを予め記録しておく。そして、利用者IDが記録されたICカード130がICカード読み書き装置131によって読み取られると、読み込んだ利用者IDと、HDD106に記憶された前記リストと照合し、リストに一致する利用者IDが存在する場合には、認証成功とする。
【0040】
また、操作部111を操作して利用者IDを直接入力して利用者認証するようにしてもよいし、利用者IDだけでなくパスワードも入力させて利用者認証するようにしてもよい。
【0041】
なお、利用者が第2のサービス処理を画像形成装置100に実行させるには、利用者認証する必要はない。
【0042】
指示書は、例えばXML形式のファイルで構成されている。図2には、指示書の一例を示した。同図に示す指示書140は、画像形成装置100に対して、予め定めた文書データに対してプリント処理、ファクシミリ送信処理、メール送信処理を順次実行させる場合の指示書である。
【0043】
図2に示すように、プリント処理の内容は、プリント処理を指示するためのスタートタグ<print>とエンドタグ</print>との間に記載されたパラメータ(出力の解像度等)等によって定義される。
【0044】
同様に、ファクシミリ送信処理の内容は、ファクシミリ送信処理を指示するためのスタートタグ<faxsnd>とエンドタグ</faxsnd>との間に記載されたパラメータ(送信先FAX番号等)等によって定義される。
【0045】
また、メール送信処理は、メール送信処理を指示するためのスタートタグ<mailsnd>とエンドタグ</mailsnd>との間に記載されたパラメータ(送信先メールアドレス等)等によって定義される。
【0046】
本実施形態では、一例として、ファクシミリ送信処理及びメール送信処理は利用者認証が必要な第1のサービス処理、プリント処理は利用者認証が不要な第2のサービス処理である場合について説明する。
【0047】
指示書を実行させる形態としては、例えば予め定めた複数のサービス処理が記述された指示書を複数種類用意して画像形成装置100のHDD106に記憶しておき、この中から利用者に所望の指示書を選択させて実行させる形態や、画像形成装置100とLANインターフェース113を介して接続されたパーソナルコンピュータ等の端末装置から指示書データを画像形成装置100に送信して実行させる形態等があるが、これに限られるものではない。
【0048】
前述したように、サービス処理には、利用者の認証が必要な第1のサービス処理と、利用者の認証が不要な第2のサービス処理と、の二種類のサービス処理があり、指示書には複数のサービス処理が指示される場合もあるため、第1のサービス処理の実行と第2のサービス処理の実行が混在して指示される場合がある。
【0049】
本実施形態では、図2に示す指示書140のように、利用者認証が必要な第1のサービス処理であるプリント処理と、利用者認証が不要な第2のサービス処理であるファクシミリ送信処理及びメール送信処理の実行が指示されている場合の処理について説明する。
【0050】
まず、利用者認証処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。 この処理は、実際には、画像形成装置100内のCPU101が例えばROM103又はHDD106に格納されている予め定めた制御プログラムをRAM104上にロードして実行するという形態で実現される。
【0051】
図3に示す利用者認証処理は、利用者が、利用者IDが記録されたICカード130をICカード読み書き装置131にかざした場合や、利用者が操作部111を操作して利用者認証を指示した場合に実行される。また、この処理は、画像形成装置100がプリント処理等の各種サービス処理を実行中であっても並列実行される。
【0052】
まず、ステップ200では、利用者IDを入力する。すなわち、ICカード130をICカード読み書き装置131にかざした場合には、ICカード130から利用者IDを読み込み、利用者が利用者認証を指示した場合には、操作部111から入力される利用者IDを入力する。
【0053】
ステップ202では、入力された利用者IDを、HDD106に予め記憶された利用を許可された利用者IDのリストである利用者IDリストと照合する。
【0054】
ステップ204では、入力された利用者IDが利用者IDリスト内の利用者IDと一致するか否かを判断し、一致する場合、すなわち利用が許可される場合にはステップ206へ移行し、一致しない場合、すなわち利用が拒否される場合には、ステップ208へ移行する。
【0055】
ステップ206では、利用者IDと例えばログインした時刻等の情報を関連付けてログイン情報としてHDD106に記憶して本ルーチンを終了する。
【0056】
ステップ208では、例えば表示部110に利用が拒否された旨を示すメッセージ等を表示して利用者に警告して本ルーチンを終了する。
【0057】
次に、利用者が画像形成装置100の操作部11を操作してHDD106に予め記憶された複数種類の指示書の中から図2に示す指示書140を選択して実行を指示した場合について説明する。利用者が指示書を選択すると、図4に示す処理が実行される。
【0058】
まず、ステップ300では、利用者が選択した指示書140をHDD106から読み込み、指示書の内容を解釈する。
【0059】
ステップ302では、読み込んだ指示書の解釈結果に基づいて、例えば図5に示すようなサービス処理実行情報150を生成する。同図に示すように、サービス処理実行情報150は、その指示書のファイル名、その指示書に記述されたサービス処理の種類、その指示書が処理する文書の文書名、利用者ID、実行が済んだか否かを示す実行済情報等を含むが、情報の種類はこれらに限られるものではない。実行済情報は、対応するサービス処理の実行が済んでいない場合は「未」、実行が済んでいる場合は「済」とされる。生成されたサービス処理実行情報150は、例えばHDD106に記憶される。
【0060】
ステップ304では、指示書に最初に記述されたサービス処理が利用者認証が不要なサービス処理、すなわち第2のサービス処理であるか否かを判断する。そして、指示書に最初に記述されたサービス処理が第2のサービス処理である場合には、ステップ306へ移行し、第2のサービス処理でない場合、すなわち第1のサービス処理である場合には、ステップ312へ移行する。
【0061】
本実施形態では、図2に示す指示書140で最初に実行が指示されているのはプリント処理であり、これは本実施形態においては第2のサービス処理であるので、ステップ306へ移行する。
【0062】
ステップ306では、サービス処理を実行する。すなわち、プリント処理が実行されるように、画像処理部107や印刷装置部120等を制御する。
【0063】
ステップ308では、実行したサービス処理に関するサービス処理実行情報150を更新する。すなわち、ここでは、サービス処理実行情報150のプリント処理の実行済情報を「済」に書き換える。
【0064】
ステップ310では、指示書に記述された全てのサービス処理を実行したか否かを判断し、全てのサービス処理を実行した場合には本ルーチンを終了し、未だ実行されていないサービス処理が存在する場合には、ステップ304へ戻る。
【0065】
ステップ304では、再び指示書に記述された次のサービス処理が利用者認証が不要なサービス処理であるか否かを判断する。本実施形態では、図2に示す指示書140で2番目に実行が指示されているのはファクシミリ送信処理であり、これは本実施形態においては利用者認証が必要な第1のサービス処理であるので、ステップ312へ移行する。
【0066】
ステップ312では、図3に示す利用者認証処理がすでに実行され、第1のサービス処理の利用が許可されているか否かを判断する。
【0067】
そして、利用者認証済みで利用が許可されている場合には、ステップ306へ移行してサービス処理を実行する。本実施形態においては、具体的には、指示書に従ってファクシミリ送信できるように、モデム116を制御する。そして、次のステップ308において、実行したサービス処理に関するサービス処理実行情報150を更新する。すなわち、ここでは、サービス処理実行情報150のファクシミリ送信処理の実行済情報を「済」に書き換える。また、利用者認証されているので、HDD106に記憶されたログイン情報を読み込み、ログイン情報に含まれる利用者IDをサービス処理実行情報150の利用者IDに書き込む。
【0068】
一方、利用者認証済みでなく、利用が許可されていない場合には、ステップ314へ移行する。
【0069】
ステップ314では、例えば表示部110に利用者認証がされておらず、サービス処理が実行できない旨を示すメッセージ等を表示する。
【0070】
従って、図2に示す指示書140の実行が指示された時点で利用者認証がされていなくても、ファクシミリ送信処理が実行されるまでの間に図3に示す利用者認証が実行された場合には、ファクシミリ送信処理は実行される。ファクシミリ送信処理の次のメール送信処理についても同様である。
【0071】
このように、本実施形態では、利用者認証が必要な第1のサービス処理と利用者認証が不要な第2のサービス処理が指示書に混在している場合に、利用者認証が行われていない場合でも、利用者による指示書の実行指示を受け付け、指示書で実行を指示されたサービス処理のうち、利用者認証が不要な第2のサービス処理については処理を実行する。
【0072】
また、最初に利用者認証されていない場合でも、利用者認証が必要な第1のサービス処理が実行されるまでに利用者認証されれば、第1のサービス処理が実行される。
【0073】
(第2実施形態)
【0074】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、画像形成装置100の構成は第1実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0075】
本実施形態では、画像形成装置100で利用者認証が実行された場合に、すでに実行待ちのサービス処理が存在している場合には、その実行待ちのサービス処理に利用者認証された利用者を関連付けてサービス処理を実行させるのか、新たな指示書を選択させてその指示書のサービス処理をその利用者と関連付けて実行させるのかを利用者に選択させる場合について説明する。
【0076】
図6には、図3に示した利用者認証処理の実行直後に実行される認証後処理のフローチャートを示した。
【0077】
まず、ステップ400では、現在実行待ちのサービス処理があるか否か、すなわち、すでに指示書が実行されている状態で、未だ実行されていないサービス処理があるか否かを判断する。この判断は、前述したサービス処理実行情報150を参照することにより判断する。すなわち、実行済情報が「未」のサービス処理が存在するか否かを判断する。
【0078】
そして、実行待ちのサービス処理が存在する場合には、ステップ402へ移行し、実行待ちのサービス処理が存在しない場合には、本ルーチンを終了する。この場合、その後に利用者が指示書を選択して実行を指示する操作を行った場合、図4に示す指示書実行処理が実行される。
【0079】
ステップ402では、利用者に処理を選択させるための処理選択画面を表示部110に表示させる。この処理選択画面は、例えば実行待ちのサービス処理に対して直前に利用者認証された利用者の利用者IDを関連付ける第1の処理を行うか、新たに指示書を選択して実行させる第2の処理を選択するか、その他の第3の処理を選択するか、を選択させる画面である。
【0080】
そして、利用者が何れかの処理を選択すると、ステップ404では、選択した処理が、第1の処理であるか否かを判断し、第1の処理である場合には、ステップ406へ移行する。
【0081】
ステップ406では、サービス処理実行情報150に基づいて、実行待ちのサービス処理、すなわち実行済情報が「未」のサービス処理に対応するサービス処理実行情報の一覧を表示部110に表示させ、利用者に、実行待ちのどのサービス処理にその利用者の利用者IDを関連付けするかを選択させる。
【0082】
そして、ステップ408では、利用者が選択した実行待ちのサービス処理と利用者IDとを関連付け、本ルーチンを終了する。具体的には、利用者が選択したサービス処理のサービス処理実行情報150の利用者IDの項目に、その利用者の利用者IDを書き込む。これにより、利用者が選択した実行待ちのサービス処理と利用者IDとが関連付けられる。
【0083】
一方、ステップ404で否定判断された場合は、ステップ410へ移行し、第2の処理が選択されたか否かを判断し、第2の処理が選択された場合には、ステップ412へ移行する。
【0084】
ステップ412では、HDD106に予め記憶された指示書の一覧を表示部110に表示させる。
【0085】
ステップ414では、利用者に指示書を選択させて本ルーチンを終了する。この場合、指示書の実行が指示されたので、図4に示す処理が実行される。なお、本実施形態では、ステップ412で指示書の一覧を表示して、ステップ414で指示書を選択させて実行する場合について説明したが、指示書を実行させる場合に限らず、例えば利用者が操作部111を操作してコピー処理等のサービス処理を選択した場合には、選択されたサービス処理を実行するようにしてもよい。
【0086】
また、ステップ410で否定判断された場合、すなわち第3の処理が選択された場合に、ステップ416へ移行し、その他の処理を実行する。
【0087】
このように、本実施形態では、利用者認証したときに、すでに実行待ちのサービス処理が存在する場合には、利用者に対して、実行待ちのサービス処理にその利用者の利用者IDを関連付けるか、新たな指示書の実行を指示させるか、その他の処理を実行させるか、を選択させる。
【0088】
なお、本実施形態で説明した画像形成装置10の構成(図1参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0089】
また、本記実施形態で説明した制御プログラムの処理の流れ(図3、図4、図6参照)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0090】
また、本実施形態では、画像形成装置に本発明を適用した場合について説明したが、一つの文書データに対して複数のサービス処理を実行させるものであれば、画像形成装置に限らず他の装置にも本発明は適用される。
【符号の説明】
【0091】
100 画像形成装置
101 CPU
102 バス
103 ROM
104 RAM
105 NVRAM
106 HDD
107 画像処理部
108 UIインターフェース
109 ユーザ・インターフェース
110 表示部
111 操作部
112 通信インターフェース
113 LANインターフェース
114 シリアル・インターフェース
115 USBインターフェース
116 モデム
118 デバイス・インターフェース
119 読取装置部
120 印刷装置部
121 排出用紙格納部
130 ICカード
131 ICカード読み書き装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサービス処理の各々を実行する複数のサービス処理手段と、
前記複数のサービス処理の少なくとも一つのサービス処理を利用する利用者を認証する認証手段と、
一つの文書データに対して前記複数のサービス処理の実行の指示を受け付ける受付手段と、
前記複数のサービス処理が、前記利用者の認証を必要とする第1のサービス処理と、前記利用者の認証を不要とする第2のサービス処理と、を含むと共に、前記認証手段により前記利用者が認証されていない場合には、前記第2のサービス処理だけ実行されるように、前記第2のサービス処理を実行するサービス処理手段を制御する制御手段と、
を備えたサービス処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1のサービス処理が実行されるまでに前記認証手段により前記利用者が認証された場合には、前記第1のサービス処理が実行されるように、前記第1のサービス処理を実行するサービス処理手段を制御する
請求項1記載のサービス処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記認証手段により前記利用者が認証された場合に、実行待ちの前記サービス処理が存在する場合には、前記認証手段により認証された利用者に関する利用者情報を、前記実行待ちのサービス処理と関連付けるのか、新たに実行を指示するサービス処理と関連付けるのか、を前記利用者に選択させる選択手段
を備えた請求項1又は請求項2記載のサービス処理装置。
【請求項4】
一つの文書データに対して複数のサービス処理手段が各々実行する複数のサービス処理の実行の指示を受け付けるステップと、
前記複数のサービス処理が、前記複数のサービス処理の少なくとも一つのサービス処理を利用する利用者を認証する認証手段による認証を必要とする第1のサービス処理と、前記認証を不要とする第2のサービス処理と、を含むと共に、前記認証手段により前記利用者が認証されていない場合には、前記第2のサービス処理だけ実行されるように、前記第2のサービス処理を実行するサービス処理手段を制御するステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させるためのサービス処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−120073(P2011−120073A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276564(P2009−276564)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】