説明

サービス提供装置、情報処理プログラム、情報配信装置、情報配信プログラム、及び情報配信システム

【課題】 ユーザに広告等の情報を配信する情報配信システムにおいて、配信先の情報管理に係るセキュリティを向上させる。
【解決手段】 本発明は、情報配信装置と、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置とを備える情報配信システムに関する。そして、情報配信装置は、配信先に配信する配信情報を、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置に与える手段を有することを特徴とする。また、サービス被提供装置は、情報配信装置から配信先に配信する配信情報を取得する手段と、取得した配信情報を配信先へ向けて送出する手段と、配信情報を送出する配信先に係る配信先識別情報を記憶する手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サービス提供装置、情報処理プログラム、情報配信装置、情報配信プログラム、及び情報配信システムに関し、例えば、広告情報を配信するシステムに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
電子メール等を用いて、ユーザに広告情報を配信するシステムとしては、従来、特許文献1に記載のシステムがある。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、広告情報を含むメールを配信するASPサーバが、配信先のユーザ個人を特定する識別情報として、電子メールアドレスなどを保持し、その個人情報を使って広告情報を送信していた。また配信先のユーザ個人の好みやプロフィールに合った広告情報を配信する場合、過去に保持した配信先のユーザ個人の好みやプロフィールを元に好みやプロフィールに合ったジャンルや内容の広告情報を送信していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−157264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、広告情報の配信を行うためには例えば電子メールアドレスというような、配信先のユーザの個人情報を保持しなければならず、保持した個人情報の漏洩防止等、セキュリティ上の問題点があった。
【0006】
そのため、所定のユーザに広告等の情報を配信する情報配信システムにおいて、配信先の情報管理に係るセキュリティを向上させることができるサービス提供装置、情報処理プログラム、情報配信装置、情報配信プログラム、及び情報配信システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置において、(1)外部の情報配信装置から、配信先に配信する配信情報を取得する配信情報取得手段と、(2)上記配信情報取得手段が取得した配信情報を、配信先へ向けて送出する配信情報送出手段と、(3)上記配信情報送出手段が配信情報を送出する配信先に係る配信先識別情報を記憶する配信先識別情報記憶手段とを有することを特徴とする。
【0008】
第2の本発明の情報配信装置は、(1)配信先に配信する配信情報を記憶する配信情報記憶手段と、(2)上記配信情報記憶手段が記憶している配信情報を、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置を介して、配信先に配信する配信情報送信手段とを有することを特徴とする。
【0009】
第3の本発明の情報処理プログラムは、(1)所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置に搭載されたコンピュータを、(2)外部の情報配信装置から、配信先に配信する配信情報を取得する配信情報取得手段と、(3)上記配信情報取得手段が取得した配信情報を、配信先へ向けて送出する配信情報送出手段と、(4)上記配信情報送出手段が配信情報を送出する配信先に係る配信先識別情報を記憶する配信先識別情報記憶手段として機能させることを特徴とする。
【0010】
第4の本発明の情報配信プログラムは、(1)情報配信装置に搭載されたコンピュータを、(2)配信先に配信する配信情報を記憶する配信情報記憶手段と、(3)上記配信情報記憶手段が記憶している配信情報を、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置を介して、配信先に配信する配信情報送信手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
第5の本発明は、情報配信装置と、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置とを備える情報配信システムであって、(1)上記情報配信装置として、台2の本発明の情報配信装置を適用し、(2)上記サービス提供装置として、第1の本発明のサービス提供装置を適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザに広告等の情報を配信する情報配信システムにおいて、配信先の情報管理に係るセキュリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の情報配信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態の広告メッセージ記憶部の内容例について示した説明図である。
【図3】実施形態の広告メッセージリスト記憶部の内容例について示した説明図である。
【図4】実施形態の装置情報記憶部の登録内容の例について示した説明図である。
【図5】実施形態の情報配信システムの動作について説明したシーケンス図である。
【図6】実施形態の広告メッセージリスト記憶部の内容の変形例について説明したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)主たる実施形態
以下、本発明によるサービス提供装置、情報処理プログラム、情報配信装置、情報配信プログラム、及び情報配信システムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態のサービス提供装置は、PBXであるものとして説明する。
【0015】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態の情報配信システム10の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
情報配信システム10は、情報配信装置20、PBX30、情報受信端末40、電話機50を有している。
【0017】
情報配信装置20は、PBX30を介して、情報受信端末40へ、広告等の情報(以下、「配信情報」という)を配信するための装置である。
【0018】
図1においては、情報配信装置20及びPBX30は、ネットワークNを介して接続し、PBX30と情報受信端末40とは直接接続されるように図示しているが、情報配信システム10における装置間の接続形態や接続方式は限定されないものである。また、図1においては、情報配信装置20及び情報受信端末40は、それぞれ1つずつであるものとして図示しているが、数は限定されないものである。
【0019】
情報受信端末40は、配信情報を配信する配信対象となる者(以下、「配信対象者」という)が利用する端末である。配信対象者は、特に限定されないものであるが、例えば、PBX30の所有者、管理者、保守運用者、配下の電話端末の利用者等、PBX30に関係する者が該当する。
【0020】
PBX30から配信先(例えば、配信対象者や、情報受信端末40)への配信情報の配信方法は、例えば、情報受信端末40に直接アクセスして配信情報を送信するようにしても良いし、配信対象者の電子メールアドレスを宛先として、配信情報を有する電子メールを送信するようにしても良い。この実施形態においては、例として、PBX30からは、配信対象者の電子メールアドレスを宛先として、配信情報を有する電子メールを送信し、配信対象者が情報受信端末40を操作して、その電子メールを受信することにより、PBX30から配信先へ配信情報が配信されるものとして以下の説明を行う。
【0021】
情報配信装置20は、制御部21、通信部22、広告メッセージリスト記憶部23、広告メッセージ記憶部24を有している。
【0022】
情報配信システム10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクなどのプログラムの実行構成、及び、他の通信装置と通信をするためのインタフェースを有する情報処理装置(1台に限定されず、複数台を分散処理し得るようにしたものであっても良い。)に、実施形態の情報配信プログラム等をインストールすることにより構築されるものであり、機能的には上述の図1のように示すことができる。
【0023】
制御部21は、情報配信装置20全体の動作を制御する機能を担っている。
【0024】
通信部22は、情報配信装置20が他の装置やネットワークと接続するための通信インタフェースの機能を担っている。通信部22が対応する通信方式は、有線LANインタフェースや無線LANインタフェース等限定されないものである。
【0025】
広告メッセージ記憶部24は、情報配信装置20が、PBX30を介して、情報受信端末40に配信する配信情報に係る情報を記憶する手段である。
【0026】
この実施形態においては、広告メッセージ記憶部24には、配信情報として、文字で表された広告に係るメッセージ情報(以下、「広告メッセージ」という)が記憶されているものとして説明するが、広告メッセージリスト記憶部23に記憶される配信情報は、メッセージ(文字情報)に限定されず、音声や静止画、動画等他のメディアを用いたデータや、複数メディアの組み合わせであっても良い。また、この実施形態において、広告メッセージ記憶部24には、例として、PBXに関連する広告メッセージが登録されているものとして説明する。
【0027】
図2は、広告メッセージ記憶部24に記憶される内容について示した説明図である。
【0028】
広告メッセージ記憶部24には、図2に示すように、少なくとも、6つの広告メッセージM1〜M6が、メッセージの識別子(広告メッセージID)に対応付けて記憶されているものとするが、記憶される広告メッセージの数や内容は限定されないものである。
【0029】
広告メッセージIDが「001」の広告メッセージM1には、「モバイル端末の紹介」に関する広告メッセージが登録されているものとする。広告メッセージM1には、例えば、PHSや携帯電話のようなモバイル端末を利用していない利用者(PBXにモバイル端末のデータ設定がされていない利用者)への配信に適した、モバイル端末の機動性のメリットとモバイル端末のラインナップを記載した広告メッセージが登録されているものとする。
【0030】
広告メッセージIDが「002」の広告メッセージM2には、「最新機種の電話機の紹介」に関する広告メッセージが登録されているものとする。広告メッセージM2には、例えば、使っている電話機のタイプが古くなっている利用者(PBXの設定で電話機の種類が古いものを使っている利用者)への配信に適した、最新機種の電話機の紹介のメッセージが登録されているものとする。
【0031】
広告メッセージIDが「003」の広告メッセージM3には、「ボイスメールの録音時間拡張の紹介」に関する広告メッセージが登録されているものとする。広告メッセージM3には、例えば、ボイスメールの利用率が高い利用者(ボイスメールの録音量が多い利用者)への配信に適した、ボイスメールの録音時間を拡大できる増設ボードの紹介のメッセージが登録されているものとする。
【0032】
広告メッセージIDが「004」の広告メッセージM4には、「電話会議の会議室数増加の紹介」に関する広告メッセージが登録されているものとする。広告メッセージM4には、例えば、電話会議の利用率が高い利用者(電話会議を頻繁に使用している利用者)への配信に適した、電話会議の会議室数を増加できる会議トランクの増設ボードを紹介するメッセージが登録されているものとする。
【0033】
広告メッセージIDが「005」の広告メッセージM5には、「外線数拡張の紹介」に関する広告メッセージが登録されているものとする。広告メッセージM5には、例えば、外線への電話発信が多く外線電話の使用率が高い利用者(外線が通話中である割合が高い利用者)への配信に適した、外線数を拡張できる外線拡張ボードの紹介をするメッセージが登録されているものとする。
【0034】
広告メッセージIDが「006」の広告メッセージM6には、「電話機増設の紹介」に関する広告メッセージが登録されているものとする。広告メッセージM6には、例えば、電話機の使用率が高い利用者(電話機の使用中の時間帯が多い利用者)への配信に適した、電話機を増設する場合の増設ボードと電話機ラインナップを紹介するメッセージが登録されているものとする。
【0035】
広告メッセージリスト記憶部23は、広告メッセージ記憶部24に記憶されている広告メッセージの広告メッセージIDに対応付けて、それぞれの広告メッセージを配信する条件(以下、「配信条件」という)が設定された広告メッセージリストを記憶する手段である。
【0036】
図3は、広告メッセージリスト記憶部23に記憶される広告メッセージリストの内容例について示した説明図である。広告メッセージリスト保持部36に記憶される広告メッセージリストの詳細については後述する。
【0037】
PBX30は、電話機50を収容して、電話機50に対して所定のサービス(例えば、外線接続や電話交換サービス等)を提供する装置である。また、PBX30は、情報配信装置20から、配信情報(広告メッセージ)を取得して、その配信情報(広告メッセージ)を配信先(図1の例では、情報受信端末40)への送出も行う。
【0038】
PBX30は、制御部31、通信部32、配信元情報記憶部33、配信先情報記憶部34、装置情報記憶部35、広告メッセージリスト保持部36、情報配信部37を有している。なお、図1においては、図示を省略しているが、PBX30は、他にも電話交換処理を行う手段や、回線インタフェース等、既存のPBXが有している他の構成も備えているものとするが、ここでは説明を省略する。
【0039】
ここで、PBX30は、例えば、ハードウェア的な通信部の他は、通信処理やデータ処理(回線交換処理等を含む)等を実行するためのCPU、ROM、RAM等を有しており、CPUが実行するプログラム(実施形態の情報処理プログラムを含む)がインストールされている。上述したプログラムを含め、PBX30の機能的構成を示すと図1に示すようになる。
【0040】
制御部31は、PBX30全体の動作を制御する機能を担っている。
【0041】
通信部32は、PBX30が他の装置やネットワークと接続するための通信インタフェースの機能を担っている。通信部32が対応する通信方式は、上述の通信部22と同様に限定されないものである。
【0042】
配信元情報記憶部33は、PBX30からネットワークNを介して情報配信装置20にアクセスするための識別情報(以下、「配信元識別情報」という)を記憶する機能を担っている。配信元識別情報は、PBX30と情報配信装置20との間の通信方式に応じた識別情報が登録される。例えば、PBX30と情報配信装置20との間の通信がIP通信により行われる場合には、配信元識別情報としては、IPアドレスや、ドメイン名、URL(Uniform Resource Locator)等を適用するようにしても良い。
【0043】
配信先情報記憶部34は、当該PBX30が、配信情報(広告メッセージ)を配信する配信先の識別情報(以下、「配信先識別情報」という)を記憶する機能を担っている。
【0044】
配信先識別情報は、PBX30と情報受信端末40との間の通信方式に応じた識別情報が登録される。例えば、PBX30と情報受信端末40との間の通信がIP通信により直接行われる場合には、配信先識別情報としては、IPアドレスや、ドメイン名、URL等を適用するようにしても良い。この実施形態においては、上述の通り、PBX30から情報受信端末40へは、電子メールを用いて配信情報(広告メッセージ)が送信されるので、配信先識別情報としては、情報受信端末40を利用する配信対象者の電子メールアドレスが適用される。
【0045】
装置情報記憶部35は、PBX30の装置に係る情報(以下、「装置情報」という)を記憶する機能を担っている。なお、装置情報記憶部35が記憶する装置情報は、制御部31により更新されるものとする。制御部31は、例えば、PBX30に係る仕様、PBX30の利用状況、PBX30の利用履歴等の情報を保持し、その情報を用いて、装置情報を更新するようにしても良い。
【0046】
図4は、装置情報記憶部35に記憶される情報の内容例について示した説明図である。
【0047】
図4に示すように、装置情報記憶部35に記憶される装置情報は、上述の図3に示す広告メッセージリスト記憶部23における配信条件と同じ項目の情報で構成されている。
【0048】
広告メッセージリスト保持部36は、情報配信装置20から、広告メッセージリストを読込んで保持する機能を担っている。
【0049】
情報配信部37は、装置情報記憶部35の装置情報と、広告メッセージリスト保持部36の広告メッセージリストとを利用して、情報受信端末40に配信する広告メッセージの広告メッセージIDを取得する。情報配信部37は、例えば、装置情報記憶部35の装置情報に一致する配信条件を、広告メッセージリスト保持部36の広告メッセージリストから検索し、該当する配信条件の広告メッセージIDを、配信先に配信する広告メッセージの広告メッセージIDとして検出する。
【0050】
また、情報配信部37は、検出した広告メッセージIDの広告メッセージ本体を情報配信装置20から保持して、配信先識別情報により示される配信先に向けて送出する。この実施形態においては、上述の通り、配信先識別情報は、配信対象者の電子メールアドレスであるので、情報配信部37は、図示しないメールサーバを介して、広告メッセージを含む電子メールを送信し、情報受信端末40では、配信対象者の操作に応じて、図示しないメールサーバからその電子メールが取出されると、配信対象者に広告メッセージが到達することになる。
【0051】
次に、広告メッセージリスト及び装置情報の内容の具体例について図3、図4を用いて説明する。
【0052】
図3、図4に示すように、広告メッセージリストの配信条件、及び、装置情報には、PBX30に係る仕様、PBX30の利用状況、PBX30の利用履歴等に係る項目の情報が設定される。
【0053】
図3に示すように、広告メッセージリストには、「広告メッセージID」、「対象型式」、「対象バージョン」、「導入時期」、「対象データ」、「対象機能」、「対象サービス」、「対象カテゴリ」、「対象電話機」の項目の情報が登録されているものとする。また、図4に示すように、装置情報としては、広告メッセージリストから「広告メッセージID」の情報を省略した情報、すなわち、広告メッセージリストにおける配信条件に対応する項目の情報が登録されているものとする。
【0054】
図3、図4に示す広告メッセージリスト及び装置情報に登録される情報の項目の組み合わせは、あくまで例であり、これに限定されないものである。また、広告メッセージリスト及び装置情報に登録される情報としては、例えば、図3、図4に示す項目の一部を適用しても良いし、それ以外の項目を付加するようにしても良い。
【0055】
以下、図3、図4に示す各項目の情報の詳細について説明する。
【0056】
「広告メッセージID」の項目は、上述の図2に示す広告メッセージ記憶部24における「広告メッセージID」に対応するものである。
【0057】
「対象型式」の項目の条件は、PBXのハードウェアの型式を示している。なお、図3、図4においては、説明を簡易にするため対象型式を「M1」、「M2」などの形式で示しているが、表示する形式は限定されないものである。
【0058】
「対象バージョン」の項目は、PBXにインストールされている、ソフトウェア(例えば、オペレーティングシステム等)のバージョンに係る配信条件を示している。なお、図3、図4においては、説明を簡易にするため対象バージョンを「V1」、「V2」などの形式で示しているが、表示する形式は限定されないものである。
【0059】
「導入時期」は、PBXが導入された時期に係る配信条件を示している。導入時期の項目は、PBXが導入された時期の範囲を示すようにしても良い。例えば、図3では「導入時期」について「−2004/01/01」と記載されているがこれは、装置情報において、導入時期が、2004年1月1日以前の場合には、導入時期の項目に係る配信条件を満たすことを示すものとする。図3においては、導入時期の項目は、導入時期の終期だけを指定しているが、始期についても指定するようにしても良いし、範囲ではなく特定の日付で指定するようにしても良い。
【0060】
「対象データ」は、PBXにおいて設定されているデータの内容に係る情報を示す項目である。図3、図4では、対象データの項目の情報は、さらに3つのデータA1〜A3という小項目に分かれており、データA1〜A3のそれぞれには、「0」又は「1」の情報が登録される。例えば、当該PBXにおいてデータA1について設定が「ON」になっていれば、データA1の情報として「1」が登録され、「OFF」になっている場合には、データA1には「0」が登録されるようにしても良い。なお、データA1〜A3のそれぞれには、「0」又は「1」の情報が登録されるものとして説明したが、具体的な設定データの内容(パラメータ)を設定するようにしても良い。
【0061】
なお、図3、図4においては、データA1は、「モバイル端末」に係る設定の状況を示し、当該PBXにおいてモバイル端末を収容するデータ設定がされている場合には「1」が設定され、モバイル端末を収容するデータ設定がされていない場合には「0」が設定されるものとする。
【0062】
「対象機能」は、PBXにおいて良く使われる機能に係る配信条件を示している。図3、図4では、対象機能の項目の情報は、さらに4つの機能B1〜B4という小項目に分かれており、機能B1〜B4のそれぞれには、「0」又は「1」の情報が登録される。例えば、当該PBXにおいて機能B1についてよく使われる機能であれば、「1」が登録され、そうではない機能である場合には、「0」が登録されることになる。
【0063】
なお、図3、図4においては、機能B1は、「ボイスメール」の機能を示し、当該PBXにおいてボイスメール機能を所定以上利用している場合に「1」が設定されるものとする。ボイスメール機能を所定以上利用されている場合とは、例えば、録音して保持しているボイスメールの合計時間やボイスメール登録件数の最大値が閾値以上となった場合等が挙げられる。
【0064】
なお、図3、図4においては、機能B2は、「電話会議」の機能を示し、当該PBXにおいて電話会議機能を所定以上利用している場合に「1」が設定されるものとする。なお、図1においては図示を省略しているが、この実施形態においては、PBX30自体が電話会議サーバとして機能するものとする。電話会議機能を所定以上利用されている場合とは、例えば、単位時間あたりに設定される電話会議の数や、電話会議が設定されていた合計時間等が挙げられる。
【0065】
また、図3、図4においては、機能B3は、「外線使用」の機能を示し、当該PBXにおいて、収容している電話機からの外線発信が所定以上使用されている場合に「1」が設定されるものとする。外線発信が所定以上使用されている場合とは、例えば、外線の使用率の平均(例えば、それぞれの外線の使用率を外線数で割った値)や、トラヒック量(例えば、単位時間あたりの外線発信の合計時間)の最大が閾値以上となった場合等が挙げられる。
【0066】
また、図3、図4においては、機能B4は、「電話機使用」の機能を示し、当該PBXにおいて、収容している電話機が所定以上使用されている場合に「1」が設定されるものとする。収容している電話機が所定以上使用されている場合とは、例えば、単位時間あたりの電話機ごとの使用率(=使用時間/単位時間)を算出し、さらに全ての電話機の使用率の平均を算出する。そして、その使用率の平均についての最大値が、閾値以上であった場合に電話機が所定以上使用されていると判定する場合等が挙げられる。
【0067】
「対象サービス」は、当該PBXにおいて良く使われるサービスに係る情報を示す項目である。図3、図4では、対象サービスの項目の情報は、さらに3つのサービスC1〜C3という小項目に分かれており、サービスC1〜C3のそれぞれには、「0」又は「1」の情報が登録される。例えば、当該PBXにおいてサービスC1についてよく使われるサービスであれば、「1」が登録され、そうではないサービスである場合には、「0」が登録されることになる。
【0068】
「対象カテゴリ」は、例えば、配信対象者の興味のあるカテゴリに係る情報を示す項目である。図3、図4では、対象カテゴリの項目の情報は、さらに3つのサービスD1〜D3という小項目に分かれており、カテゴリD1〜D3のそれぞれには、「0」又は「1」の情報が登録される。例えば、配信対象者がカテゴリD1について興味がある場合には、PBX30の装置情報において、カテゴリD1の情報として「1」が登録され、特に興味がない場合には、カテゴリD1には「0」が登録されることになる。例えば、カテゴリD1がネットワーク機器(例えば、ルータやスイッチ等の機器)に関するカテゴリを示す項目である場合には、配信対象者がネットワーク機器に関して興味があり、広告メッセージの配信を希望する場合には、配信対象者の操作に応じて、PBX30の装置情報のカテゴリD1の項目が1に設定される。PBX30の装置情報において、対象カテゴリに関する項目の設定は、配信対象者がPBX30をコンソール等により直接操作して設定しても良いし、他の端末(例えば、情報受信端末40や電話機50)から遠隔で設定するようにしても良い。
【0069】
「対象電話機」は、当該PBXにおいて収容されている電話機の型式に係る情報を示す項目である。なお、図3、図4においては、説明を簡易にするため対象電話機の項目を「P1」、「P2」などの形式で示しているが、表示する形式は限定されないものである。
【0070】
この実施形態では、図3に示す広告メッセージリストにおいて、対象電話機の項目に示す型式、もしくはそれよりも古い電話機の型式が、PBX30の装置情報に含まれている場合に、対象電話機の項目に関する配信条件を満たすものとする。なお、図4においては、説明を簡易にするために、対象電話機の項目には、一つの型式しか記載されていないが、複数を記載するようにしても良い。
【0071】
なお、図3、図4等では図示を省略しているが、電話機の型式を古い方又は新しい方から順番に並べた、電話機型式のリストを、情報配信装置20が、広告メッセージリストと共に、PBX30に配信して、PBX30では、そのリストを用いて、広告メッセージリストの配信条件の内容と装置情報の内容とを照合するようにしても良い。
【0072】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の情報配信システム10の動作を説明する。
【0073】
ここでは、情報配信装置20側で広告メッセージリスト記憶部23に登録された広告メッセージリストの内容は、図3に示す内容であるものとする。また、PBX30側で、装置情報記憶部35に登録された装置情報の内容は、図4に示す内容であるものとする。
【0074】
まず、PBX30から、情報配信装置20へ、広告メッセージリストの配信要求があり(S101)、PBX30(広告メッセージリスト保持部36)により最新の広告メッセージリストが保持されたものとする(S102)。
【0075】
ステップS101における、PBX30から情報配信装置20への広告メッセージリストの配信要求が発生するタイミングは、限定されないものであるが、例えば、定期的に要求するようにしても良いし、ユーザが手動で操作するようにしても良い。
【0076】
そして、PBX30(情報配信部37)では、広告メッセージリスト保持部36に保持した広告メッセージリストから、装置情報記憶部35の配信情報の内容と、配信条件が一致する広告メッセージIDの検索が行われる(S103)。
【0077】
上述のステップS103では、図3、図4に示すように、広告メッセージリストにおいて、装置情報と一致するのは、広告メッセージID「001」(広告メッセージM1)となる。
【0078】
そして、PBX30(情報配信部37)では、上述のステップS103において検出した広告メッセージID「001」の本体(広告メッセージM1)を、情報配信装置20に要求して保持し(S104、S105)、配信先識別情報が示す電子メールアドレスを宛先とした電子メールを生成して送出し、情報受信端末40では配信対象者の操作に応じてその電子メールが取出される(S106)。
【0079】
なお、上述のステップS103において複数の広告メッセージIDが検出されていた場合には、ステップS104〜S106において、複数の広告メッセージを保持して配信先に送信するようにしても良い。その場合、ステップS106において、複数の広告メッセージを含む電子メールを生成するようにしても良い。
【0080】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0081】
上述のように、情報配信装置20から、PBX30を介して広告メッセージ(配信情報)を配信することにより、情報配信装置20には一切電子メールアドレス等の個人情報を保持する必要がない。例えば、情報配信装置20をPBX30のメーカが所有し、PBX30の所有者に、広告メッセージ(配信情報)を配信する場合、メーカ側ではPBX30の所有者に関する個人情報を一切保有せずに、広告メッセージ(配信情報)を配信することができるため、個人情報を漏洩することがなく、情報配信システム10の運用においてセキュリティ性能を向上させることができる。
【0082】
また、情報配信システム10では、PBX30の最新の装置情報と、配信条件が一致する広告メッセージだけを、配信先(例えば、配信対象者や情報受信端末40等)に配信するので、常に、PBX30の設定データや操作履歴や利用履歴の状況等に合わせて、最適な広告メッセージを配信することができる。
【0083】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0084】
(B−1)上記の実施形態においては、装置情報を全てPBX30側で保持する例について説明したが、一部を情報配信装置20側で、PBX30に係る識別子と対応付けて保持するようにしても良い。その場合、情報配信装置20側で保持する情報としては、PBX30の利用者等の個人に係る情報を除くことがセキュリティ管理上は望ましい。
【0085】
(B−2)上記の実施形態においては、配信情報は、広告メッセージであるものとして説明したが、広告メッセージだけでなくメンテナンス情報や天気予報などのその他の情報を配信情報として適用しても良い。
【0086】
また、装置情報及び広告メッセージリストの項目として、PBX30周辺環境情報(例えば、気温や湿度や明るさなど)他の情報を適用するようにしても良い。
【0087】
(B−3)上記の実施形態においては、装置情報記憶部35の配信情報の内容と、配信条件が一致する広告メッセージIDの検索(図5のステップS103参照)を行う際に、装置情報と配信条件で全ての項目について照合しているが、一部の項目についてのみ照合するようにしても良い。例えば、広告メッセージリストの配信条件の一部の項目(1又は複数の項目)について、具体的な値ではなく、ワイルドカードを用いた表記を行うことが挙げられる。ワイルドカードを用いた項目については、ここでは、例として「*」を適用するものとして説明するが、ワイルドカードの表現方式は限定さないものである。
【0088】
図6は、配信条件にワイルドカードを用いた場合の広告メッセージリストの内容例について示した説明図である。
【0089】
図6では、広告メッセージID「001」の配信条件としては、対象型式が「M1」で、対象データのA1の項目が「1」であること以外はすべて「*」となっている。すなわち、PBX30の装置情報において、対象型式が「M1」で、対象データのA1の項目が「1」であれば、その他の項目の内容に関わらず、PBX30では、広告メッセージID「001」を配信対象として検出することになる。言い換えると、上述の通り、PBX30に、モバイル端末が1台も収容されていない場合に対象データのA1の項目には「0」が登録されるので、対象型式とモバイル端末のデータ設定の有無のみに応じて、広告メッセージID「001」を配信対象とするかどうかが判定されることになる。
【0090】
また、図6では、広告メッセージID「002」の配信条件としては、対象電話機の項目が「P3」で、対象型式が「M1」であること以外は、全て「*」となっている。すなわち、PBX30の装置情報において、対象型式が「M1」で、対象電話機の項目が「P3」よりも古い型式の電話機を示す内容が含まれていれば、その他の項目の内容に関わらず、PBX30では、広告メッセージID「002」を配信対象として検出することになる。例えば、PBX30の装置情報において、対象型式が「M1」で、対象電話機の項目の内容が「P1」となっており、「P1」は「P3」よりも古い型式のものである場合には、PBX30において広告メッセージID「002」について配信対象と判定されることになる。
【0091】
さらに、図6では、広告メッセージID「003」の配信条件としては、対象型式が「M1」で、対象機能のB1の項目が「1」であること以外はすべて「*」となっている。すなわち、PBX30の装置情報において、対象型式が「M1」で、対象機能のB1の項目が「1」であれば、その他の項目の内容に関わらず、PBX30では、広告メッセージID「003」を配信対象として検出することになる。言い換えると、上述の通り、PBX30では、対象機能のB1の項目は、ボイスメール機能を所定以上利用している場合に「1」が設定されるので、型式とボイスメール機能の利用状況のみに応じて、広告メッセージID「003」を配信対象とするかどうかが判定されることになる。
【0092】
このように、図6では、広告メッセージID「003」の配信条件は、対象型式と対象機能のB1の項目のみで判定されており、同様に、広告メッセージID「004」〜「006」も、それぞれ、対象機能のB2〜B4と対象型式のみで判定されるように設定されている。
【0093】
(B−4)上記の実施形態においては、情報受信端末40と電話機50とは、別装置であるものとして説明しているが、一つの装置として構築するようにしても良い。特に、電話機50がパソコン等の情報処理装置を利用したソフトフォンとして構築されている場合には、情報受信端末40としての構成も付加することは容易となる。
【0094】
(B−5)上記の実施形態においては、本発明のサービス提供装置を、PBXに適用した例について説明したが、例えば、IP−PBX、SIPサーバ、プロキシサーバ、会議サーバ等、他のサービス提供装置(所定のサービスをサービス被提供装置に提供する装置)に適用するようにしても良い。他のサービス提供装置に適用する場合には、広告メッセージリストや装置情報(図3、図4参照)については、そのサービス提供装置に適した項目の情報を設定するようにしても良い。
【0095】
(B−6)上記の実施形態において、PBX30(情報配信部37)は、上述の図5のステップS105、S106において、該当する配信条件の広告メッセージだけを、情報配信装置20から取得して配信先に配信しているが、その都度取得せずに、PBX30側で予め全ての広告メッセージを保持しておいて、該当する広告メッセージだけを配信先に配信するようにしても良い。又は、PBX30側で、1度取得した広告メッセージは保持して、2度同じ広告メッセージを取得しないようにしても良い。これにより、PBX30からの配信先の数が多い場合には、広告メッセージを情報配信装置20から保持する処理について処理量を軽減することができる。
【0096】
(B−7)上記の実施形態においては、PBX30は、装置情報に一致する配信条件を、広告メッセージリストから検索し、該当する配信条件の広告メッセージIDに係る広告メッセージだけを配信先に配信しているが、情報配信装置20から配信される広告メッセージを、選別せずに全て配信先に向けて送出するようにしても良い。この場合、情報配信装置20、PBX30において、広告メッセージリストや装置情報に係る処理を行う手段を省略するようにしても良い。
【符号の説明】
【0097】
10…情報配信システム、20…情報配信装置、21…制御部、22…通信部、23…広告メッセージリスト記憶部、24…広告メッセージ記憶部、30…PBX(サービス提供装置)、31…制御部、32…通信部、33…配信元情報記憶部、34…配信先情報記憶部、35…装置情報記憶部、36…広告メッセージリスト保持部、37…情報配信部、40…情報受信端末、50…電話機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置において、
外部の情報配信装置から、配信先に配信する配信情報を取得する配信情報取得手段と、
上記配信情報取得手段が取得した配信情報を、配信先へ向けて送出する配信情報送出手段と、
上記配信情報送出手段が配信情報を送出する配信先に係る配信先識別情報を記憶する配信先識別情報記憶手段と
を有することを特徴とするサービス提供装置。
【請求項2】
当該サービス提供装置に係る装置情報を保持する装置情報保持手段と、
配信情報ごとの配信条件の情報を含む配信情報リストを、上記情報配信装置から取得する配信情報リスト取得手段と、
上記配信情報リスト取得手段が取得した配信情報リストの配信条件と、上記装置情報保持手段が保持している装置情報とを照合し、その装置情報と配信条件が一致する配信情報を検出する配信情報検出手段とをさらに備え、
上記配信情報送出手段は、上記配信情報検出手段により検出された配信情報を、上記配信先へ向けて送出する
ことを特徴とする請求項1に記載のサービス提供装置。
【請求項3】
上記配信情報リストの配信条件、及び、上記装置情報には、少なくとも、サービス提供装置に係る仕様、サービス提供装置の利用状況、又は、サービス提供装置の利用履歴のいずれかに係る項目が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のサービス提供装置。
【請求項4】
配信先に配信する配信情報を記憶する配信情報記憶手段と、
上記配信情報記憶手段が記憶している配信情報を、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置を介して、配信先に配信する配信情報送信手段と
を有することを特徴とする情報配信装置。
【請求項5】
配信情報ごとの配信条件の情報を有する配信情報リストを記憶する配信情報リスト記憶手段と、
上記配信情報リスト記憶手段が記憶している配信情報リストを、上記サービス提供装置に与える配信情報リスト送信手段と
をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の情報配信装置。
【請求項6】
所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置に搭載されたコンピュータを、
外部の情報配信装置から、配信先に配信する配信情報を取得する配信情報取得手段と、
上記配信情報取得手段が取得した配信情報を、配信先へ向けて送出する配信情報送出手段と、
上記配信情報送出手段が配信情報を送出する配信先に係る配信先識別情報を記憶する配信先識別情報記憶手段と
して機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項7】
情報配信装置に搭載されたコンピュータを、
配信先に配信する配信情報を記憶する配信情報記憶手段と、
上記配信情報記憶手段が記憶している配信情報を、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置を介して、配信先に配信する配信情報送信手段と
して機能させることを特徴とする情報配信プログラム。
【請求項8】
情報配信装置と、所定のサービスをサービス被提供装置に提供するサービス提供装置とを備える情報配信システムであって、
上記情報配信装置として、請求項4に記載の情報配信装置を適用し、
上記サービス提供装置として、請求項1に記載のサービス提供装置を適用した
ことを特徴とする情報配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−43965(P2011−43965A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191123(P2009−191123)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】