説明

サービス網、機器制御監視装置

【課題】インターネットのような開放型ネットワークへの接続環境を利用して遠隔にて機器を制御できるサービス網、機器制御監視装置を実現する。
【解決手段】サービス網は、利用者が限定されない開放型ネットワーク1に専用線23を介して接続された利用者が限定された限定型ネットワーク2に接続され、遠隔の携帯端末からの操作により機器を制御又は監視する機器制御監視装置と、上位ポートが開放型ネットワーク1に接続され、複数の下位ポートのうち少なくとも1つが宅内の情報コンセント11に接続された集線装置9と、開放型ネットワーク1又は限定型ネットワーク2に接続された機器制御監視装置との間で機器を制御するための情報を送受するサーバ4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターネットを利用してマンションや分譲団地の入居者にサービスを提供するサービス網、機器制御監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図17は従来の一般的なマンションにおけるインターネットの利用形態を示している。図中、A〜Dは住戸、TELは電話機、PCはパソコン、27は公衆回線(電話回線)、28はダイアルアップ接続のインターネット接続業者(プロバイダ)、1はインターネットである。各住戸A,B,C,D,…には、公衆回線27が引き込まれている。図示された例では、1つの住戸Bでパソコンを用いてダイアルアップIP接続により公衆回線27を介してプロバイダ28のアクセスポイントに電話を掛けることにより公衆回線27を経由してインターネット1に接続している。この場合、プロバイダ28に支払う接続料のほかに、電話料金が別途必要となる。また、住戸B以外の他の住戸A,C,D,…でもインターネットを利用可能とするには、それぞれの世帯で個別にパソコンを購入し、プロバイダと契約する必要がある。
【0003】
このような従来の一般的なマンションにおけるインターネットの利用形態では、基本的にパソコンユーザのみが利用可能であり、残りの圧倒的多数の入居者はユーザとなり得ない。すなわち、パソコンの使用法が分からない、使いたくない、ソフトのセッティングが分からない、パソコンが高価で手が出ない等の理由で、電子商取引(EC)の顧客は無数に存在するのに、サービスを利用できないという課題があった。
【0004】
図18は各住戸でインターネットに接続するために用いる端末の利用形態を示している。図18(a)はパソコン3からモデム29を経由して情報コンセント30に接続する形態であり、図18(b)はテレビ受像機12からセットトップボックス(STB)13を経由して情報コンセント30に接続する形態である。テレビ受像機12又はセットトップボックス13はリモコン14によりワイヤレスで制御することが一般的である。図18(b)の利用形態では、テレビ受像機12を用いて、チャンネルが1つ増えたぐらいの軽い気持ちでインターネットを利用することができる。ところが、このような利用形態であっても、インターネットのポータルサイトから希望の商品を展示販売しているモールに到達するまでには時間も手間もかかるという問題があった。すなわち、インターネットは世界中に接続できる特徴を有するがゆえに、自己の生活環境に密着した情報を収集したり自宅の周辺からサービスを受けようとすると、かえって遠回りになる場合がある。また、テレビ受像機とリモコンを用いた場合でも、初期投資費用がパソコンを用いる場合に比べて若干安くなるに過ぎず、利用料金についてはパソコンを用いる場合と変わらない。すなわち、プロバイダに支払う接続料のほかに、電話料金が別途必要となる。これでは、日常的な地域サービスにインターネットを利用するには経費がかかりすぎる。
【0005】
そこで、近年、マンション市場において、棟内LAN配線と専用線サービスによるインターネット定額つなぎ放題のインターネット接続環境を提供しようという動きがある。その一例を図19に示す。これは「インターネットマンション」と呼ばれるもので、マンション棟内に10BASE−TのようなLANを予め敷設し、各住戸にLAN接続用の情報コンセントを設けて、LANカード付きのパソコンを接続できるようにしたものである。この場合、公衆回線(電話回線)を介してインターネットに接続するのではなく、マンションの共用部分に設置されたルータ6を介して、高速大容量の専用線23を用いてプロバイダ24まで接続し、そこからインターネット1に接続するので、24時間つないだままにしても電話料金は不要である。また、高速大容量の専用線そのものは高価であるが、集合住宅の場合、入居者の戸数が多いので、1戸当たりの負担額は十分に安くすることができる。このインターネットマンションと同様のインターネット接続環境は、戸建て住宅の分譲団地でも実現可能である。そこで、住宅メーカ各社、マンションデベロッパー各社は、単なるインターネット接続環境を提供するにとどまらず、差別化のための付加価値を模索しているところである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】10BASE−T(LANの規格)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、近年の共稼ぎ世帯の増加、高齢者世帯の増加に鑑みて、インターネットマンションに求められる付加価値として、図6に示すように、共稼ぎ世帯生活支援型、高齢者世帯生活支援型のネットサービスが今後益々必要となると考えた。具体的には、生活に密着したサービス、地域に密着したサービスとして、図7に例示されるような、ネットデリバリーサービス(食材調達、クリーニング、ハウスクリーニング、日用品雑貨調達、育児用品調達、高齢者介護、食事、健康管理、薬、化粧品、銀行)、ネットコミュニケーションサービス(回覧板、管理人連絡、サークル連絡、Eメール)、ネットインフォメーションサービス(掲示板、おすすめ献立、施設予約)などを提供することが望ましいと考えた。
【0008】
このような生活に密着し、地域に密着したサービスをインターネットを利用して提供しようとすると、上述のように、世界中にアクセスできるというインターネットの長所が逆に地域に限定されたサービスへの入り口を遠くしてしまうという問題があった。具体的には、インターネットのポータルサイトから所望のネットサービスの画面に到達するまでに時間と手間がかかるという問題があった。また、サービスを提供する側も全国展開しようとすると、不可能ではないものの各地の運送会社と個別に業務提携契約を結ぶ必要が生じるなど、宅配にコストがかかり過ぎるという問題があり、出来れば宅配サービス地域を限定したいという要請があった。さらに、共稼ぎ世帯や高齢者世帯では、生鮮食料品等の生活必需品の宅配が強く望まれるが、鮮度を保つには宅配できる地域を限定せざるを得ないし、近くのスーパーなどから配達してもらう方が安心できる。しかもこの種のユーザはリピーターとなることが圧倒的に多いと考えられるので、店舗の近くに立地するマンションや分譲団地の入居者を地域固有のネットサービスで囲い込めば、効率的に営業でき、広告費用も節約できると考えられる。
【0009】
本発明はインターネットのような開放型ネットワークへの接続環境を利用して遠隔にて機器を制御できるサービス網、機器制御監視装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るサービス網は、利用者が限定されない開放型ネットワークに専用線を介して接続された利用者が限定された限定型ネットワークに接続され、遠隔の携帯端末からの操作により機器を制御又は監視する機器制御監視装置と、上位ポートが前記開放型ネットワークに接続され、複数の下位ポートのうち少なくとも1つが宅内の情報コンセントに接続された集線装置と、前記開放型ネットワーク又は前記限定型ネットワークに接続された前記機器制御監視装置との間で前記機器を制御するための情報を送受するサーバとを備えたものである。
【0011】
本発明に係るサービス網は、前記機器制御監視装置が、前記機器制御監視サービスの契約者認証手段を備えたものである。
【0012】
本発明に係るサービス網は、前記機器制御監視装置が、前記機器の電力使用状態を監視するものである。
【0013】
本発明に係るサービス網は、前記機器制御監視装置が、利用者の健康管理情報を健康管理センターに送信するものである。
【0014】
本発明に係るサービス網は、上記の何れかに記載のサービス網に用いられる。
【発明の効果】
【0015】
本願各請求項に係る発明によれば、インターネットのような開放型ネットワークへの接続環境を利用して遠隔にて機器を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網の対象となるインターネットマンションの概略構成を示す説明図である。
【図2】図1のインターネットマンションの各住戸内に設置される宅内マルチメディアポートの一例を示す説明図である。
【図3】図1のインターネットマンションの各住戸内に設置される宅内マルチメディアポートの他の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網の全体構成を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網の対象となる戸建て分譲団地の概略構成を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網のサービス内容を概略的に示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網のサービス内容を具体的に示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための初期画面を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための第1の画面を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための第2の画面を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための第3の画面を示す説明図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための第4の画面を示す説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための第5の画面を示す説明図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための第6の画面を示す説明図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための第7の画面を示す説明図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る地域限定サービス網によるサービス提供のための第8の画面を示す説明図である。
【図17】従来のマンションにおけるインターネット利用環境を示す説明図である。
【図18】従来のマンションにおけるインターネット接続機器の概要を示す説明図である。
【図19】従来のインターネットマンションにおけるインターネット利用環境を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の一実施形態の全体構成を示す説明図である。図中、1はインターネット、2はインターネットマンションの棟内LAN、3はインターネットマンションの各住戸A〜Dに設けられた端末、4はインターネット1に接続されて地域限定サービスを提供するためのサーバである。マンションの共用部分Kに設けられたラック5には、ルータ6、HUB7、ジャックパネル8が装備されており、ここから棟内の各住戸A〜Dにツイストペア線などを用いてLAN配線が敷設されている。各住戸A〜D内には、宅内マルチメディアポート9が設けられており、これに内蔵されたHUB10から複数の情報コンセント11にLAN配線が分岐されている。このHUB10は、たとえば10BASE−Tのマルチポートリピータであり、上位ポートを棟内LAN配線に接続され、複数の下位ポートは宅内の情報コンセント11に接続されている。
【0018】
図1の例では、情報コンセント11には、LANカードを有するパソコンが端末3として接続されている場合が示されているが、たとえば図2に示すように、宅内マルチメディアポート9にネットワークコンピュータNCを内蔵して専用線を介して情報コンセント11に接続しておけば、テレビ受像機12を端末として利用するためのアダプタ13を接続するだけで利用できる。例えば、リビングルームでは、テレビ受像機12とリモコン14を用いてインターネットに接続し、他の部屋では、パソコン3を用いてインターネットに接続するということが可能となる。
【0019】
さらに、図3(a)に示すように、宅内マルチメディアポート9に複数のネットワークコンピュータNCを内蔵し、専用線を介して宅内の各情報コンセント11に接続しておけば、宅内のどの部屋でもテレビ受像機またはパソコンを用いてインターネットに接続することが可能となる。この情報コンセント11の詳細を図3(b)に示し説明すると、中央にはマンションの共同視聴設備につながる高周波プラグが2個配置されていて、その左側には、テレビ受像機をインターネット端末として使用するための端子が上段に、パソコンのLANカードに接続される10BASE−Tのモジュラージャックが中段に、電話やFAXに接続されるモジュラージャックが下段に配置されている。
【0020】
なお、右側にはACコンセントが3個配置されている。
【0021】
図1に戻って、マンションの共用部分Kには、メインのHUB7を介して複数の専用サーバ15,17,19が接続されている。各サーバは、Webカメラ16、宅配ボックス18、インターホン機器20にそれぞれ接続されている。Webカメラ16はマンションの共用部分や敷地内の公園などを撮影しており、子供の様子を見守ったり、防犯用途に利用することができる。すなわち、共用部の映像をWebで監視できるので、管理会社による遠隔監視を活用することによりセキュリティを高めつつ管理コストを削減できる。例えば高齢者が倒れても、管理会社に見守られているので、早期に発見することができる。また、共稼ぎ世帯等では、仕事が遅くなって深夜に帰宅してもエレベータを安心して利用することができる。
【0022】
宅配ボックス18は、部屋番号入力装置と暗証コード入力装置を備えており、宅配業者が入居者に商品を届けたが不在であった場合に、宅配ボックスに商品を収納して、入居者の部屋番号を入力することにより、その部屋番号に対応する入居者のメールアドレスに不在配達通知の電子メールが自動送信される。入居者は電子メールを帰宅後又は外出先で読むことにより留守中に商品の宅配があったことを知ることができ、帰宅時に宅配ボックスに立ち寄って暗証コードを入力することにより、商品を取り出すことができる。電子メールには、商品を収納した宅配ボックスの番号と、その宅配ボックスを解錠するための暗証コードを付加してもよい。または、暗証コードは予め入居者の部屋番号と対応するコードを宅配ボックスに設定しておいてもよい。
【0023】
インターホン機器20は、マンション玄関のオートロックシステムと連動しており、来客が部屋番号を押すと、その部屋番号の端末ではインターホン機器のテレビカメラを用いて撮影された来客の映像を見ることができる。したがって、集合住宅用のテレビインターホンの機能をWeb又はLANの画像送信機能により代用することが出来る。また、共稼ぎ世帯等で不在であった場合でも、来客がインターホン機器に接続された入力装置を用いてメッセージを入力すれば、部屋番号に対応する入居者のメールアドレスに電子メールとして自動送信されることにより、来客の用件が何であったのかを帰宅後または外出先で知ることができる。この場合、インターホン機器の入力装置としては、不特定話者識別が可能な音声認識装置を用いても良いし、音声信号を圧縮してデジタル化する装置を用いてもよい。前者の場合、来客の用件は電子メールのテキストデータとして送信され、後者の場合、電子メールの添付ファイルとして来客の音声を圧縮したデータが送信される。この種の設備は個人で購入するには高価なものとなるが、インターネットマンションでは、入居者の世帯数で割れば一戸当たりの分譲価格にはさほど影響しない。むしろ、利便性の向上による付加価値の増加の方が大きいと言える。
【0024】
このほか、高齢者世帯では、Web対応健康管理端末を設置することにより、血圧、体温データなどをWeb経由で健康管理センターなどへ転送し、日々の健康アドバイスが受けられる。さらに、希望する世帯には、照明その他の機器制御監視装置をオプションで提供することにより、照明器具の点灯状態、電力使用状態がWebで監視できる。また、特定機器については遠隔にて点滅制御が出来るようにする。たとえば、帰宅30分前に携帯端末からの操作でホームこたつやエアコンをONにしたり、湯沸かし器を操作して浴槽にお湯をはっておく、というようなことが可能となる。また、遠方に出張しているような場合でも自宅周辺の天気予報をWeb上でチェックして、ベランダの洗濯物を取り込むとか、長期間留守にしている場合に、ベランダの植物に灌水するとか、ペットに給餌するといった応用も可能となる。
【0025】
そのほか、火災警報、防犯警報の情報をセットトップボックス経由でテレビに表示できるようにする。これにより、例えば隣戸の異常を強制的にテレビ画面に表示し、すばやい対応が出来る。
【0026】
また、従来、電気、ガス、水道等の利用料金は検針員が各戸のメータを確認して利用明細をポストに投函しているが、棟内LANに接続可能な検針器を電気、ガス、水道の各事業者が開発することにより、利用明細をサーバから電子メールで各戸に送信することができる。この場合、マンションのサーバから電気、ガス、水道の各事業者に全棟の検針結果が一括して送信されるので、検針員は不要となり、人件費を節約できる。
【0027】
以上の説明では、1棟のマンション内で地域限定ネットワークが完結している例を説明したが、図4に示すように、インターネットマンションを核にして、近隣の戸建て住宅の分譲団地、既築戸建て住宅、既築マンション・アパートの世帯にも次々にサービスを展開していくことも可能である。戸建て住宅の分譲団地の場合には、図5に示すように、地域内に同軸ケーブル21等を敷設して、各々の戸建て住宅a,b,…にケーブルを引き込むことにより、図1のインターネットマンションの各住戸A,B,…と同等の機能を実現することができる。この場合、インターネットマンションの共用部分Kに相当する機能は、地域のコミュニティーセンター22に設けて、インターネット1のプロバイダー24との間は専用の光ファイバー23で接続する。団地の入居者に対する情報提供等のサービスを実施するためのサーバー4は、地域のコミュニティーセンター22に設けても良いし、別の場所に設けても良い。サーバー4のバックアップやソフトのアップデート、コンテンツの更新については、インターネットに接続される別のサーバーからリモートメンテナンスすれば良い。25は不動産開発会社、26はシステム支援会社であり、それぞれリモートメンテナンス用のサーバを運用している。
【0028】
図5に示した戸建て住宅の分譲団地内のLANと、図1に示したインターネットマンションの棟内LANは、図4に示すように、インターネットを介して接続されている。また、図4に示すように、近隣の既築戸建て住宅の一部の世帯、あるいは既築マンション・アパートの一部の世帯が、公衆回線等を介してインターネットに接続することにより、同じ町内で情報を共有するようなことも可能となる。なお、既築マンションでは、無線LANなどを活用することにより、大規模な配線工事を必要とすることなく、希望者のみが無線LANを介してインターネットに常時接続できる環境を整えることも可能である。また、ケーブルテレビ局がプロバイダとなる場合には、CATVのケーブルを利用することにより既築戸建て住宅でもインターネットに常時接続できる環境が実現できる。
【0029】
次に、各住戸内で用いられる端末について説明する。各住戸には、テレビ受像機に接続して利用できるセットトップボックス(STB)を標準装備させる。これにより、パソコンユーザーでなくても使用可能であり、面倒な操作やソフトのインストール作業などはいっさい不要となる。このセットトップボックス(STB)は、マンションや戸建て住宅を分譲する際に、標準装備として各世帯に1台ずつ提供する。もちろん、パソコンユーザーのなかにはセットトップボックス(STB)は無用と考える人もいるから、物件によってはオプション扱いとしても良い。セットトップボックス(STB)には、個人認証用のICカードスロットを標準装備し、利用者の個人情報(利用者コード、パスワード、ホーム画面のカスタマイズ情報など)の面倒な入力作業をすること無く、サービス用認証サーバとやり取りできる。
【0030】
従来、パソコンによる決裁では、このような利用者コード、パスワードなどの入力作業が面倒で、利用を敬遠されることが多かった。本システムでは、一般のパソコンユーザの場合にも、モールを利用できるようにする。その場合にはユーザIDとパスワードの入力が必要となる。または、個人認証用CD−ROMにより認証させる。
【0031】
利用の場所としては、基本的には入居住宅内での使用を原則とするが、パスワード入力もしくは専用ソフト、もしくは個人認証用CD−ROMを利用することにより、勤務先のパソコンや、モバイル端末からも回覧板のチェック、デリバリーサービスの申込が出来るようにする。また、地域の集会場などにある共用セットトップボックスを利用する場合にも、個人カードで認証が可能になる。
【0032】
本システムにおいては、基本的に入居者以外の利用を制限することにより、マンション・団地オリジナルのホームページを用いて地域限定サービスを提供できる。ここでの地域限定サービスとは、図6に示すように、生活密着型・地域密着型・共稼ぎ世帯生活支援型・高齢者世帯生活支援型のネットサービスを提供するものであり、より具体的には、図7に示すように、ネットデリバリーサービスとして、食材調達、(衣類)クリーニング、ハウスクリーニング、日用品雑貨調達、育児用品調達、高齢者介護、食事、健康管理、薬、化粧品、銀行など、また、ネットコミュニケーションサービスとして、回覧板、管理人連絡、サークル連絡、Eメールなど、さらに、ネットインフォメーションサービスとして、掲示板、おすすめ献立、施設予約などのサービスを提供するものである。その詳細を以下に述べる。
【0033】
図8はマンション・団地独自のホームぺージのトップ画面である。テレビ受像機に付加されたセットトップボックスまたはパソコンで個人認証を行なった後、図8のホームページが立ち上がる。基本的構成は、回覧板、伝言板(掲示板)、チャット広場(おしゃべり広場)、施設予約、管理人連絡、献立、宅配サービス、メール、カレンダ(予定表)、番組表から構成する。各機能を利用するには画面に表示されたメニューボタンを操作することにより、各サービスを提供する画面(図9〜図16)が表示される。また、メール、カレンダ(予定表)、番組表はリモコンの専用ボタンを押せば画面に現れる。
【0034】
このように、マンション・団地独自のホームぺージ(入居者ホーム画面)を個別に提供することにより、地域や管理形態、マンション・団地のコンセプト、主なターゲットにマッチした内容にすることができ、使い勝手が向上できる。従来のポータルサイトのトップ画面は、あくまで万人向けのデザインで、特定の人には使いづらい、見にくい内容である場合がある。オリジナル画面の場合、ローカル情報の掲載が可能である。たとえば、テナント企業の特売情報をトップ画面に表示させると、従来の紙媒体より簡単かつリアルタイムに情報授受が行える。また、マンションの掲示板として利用すれば、地域情報、マンションのメンテナンス情報などのやりとりが簡単に早く行える。
【0035】
次に、各機能について説明する。まず、図9は回覧板の画面であり、「目を通したらボタンを押して下さい」と表示されており、「未読」と表示された連絡事項を読んで確認ボタンを押すと、表示が「既読」に切り換わり、確認ボタンが消えて「確認済」の表示になる。これにより、管理人が紙媒体で行っていた従来の回覧板に比べると、リアルタイムに、かつ一斉に情報発信ができる。また、長期不在者を気にすることなく配信ができる。また、閲覧者のログを残すことにより、見ていない入居者の確認が容易に行える。したがって、管理業務も簡素化できる。また、定例的行事などの情報と、定型文の組み合わせをプログラムしておくと、自動的に入居者に情報発信される。これにより、入力の手間削減と、確実な情報伝達が期待できる。
【0036】
図10は伝言板(掲示板)の画面であり、ここでは「情報募集」、「お得な情報」、「サークル連絡・仲間募集」、「リサイクル」などのコーナーを設けてあり、メニューを選択して開くことにより、伝言板を読むことができる。マンションの管理情報、地域情報、住人同士のサークル活動の情報発信、リサイクル情報など、管理人、住人とも比較的自由に書き込める掲示板として運用する。伝言板に書き込むには、画面下の「トピックスをつくる」の欄で、自己の氏名と部屋番号を入力し、カテゴリーを選択し、タイトルを書き込んで、簡単なコメントを添える。そして、「新規投稿」のボタンを押すと、伝言板に書き込まれる。
【0037】
図11はチャット広場(おしゃべり広場)の画面であり、地域住民同士が自由に会話を楽しみながら情報を交換できる場を提供するものである。たとえば、育児に関する悩みや、体調に関する心配事などに、多くの人から意見を求め、アドバイスを受けることにより、相談相手がいないとされる新興住宅地でも住民同士の交流が深まり、孤立感の解消に役立つ。
【0038】
図12は施設予約の画面であり、マンション(団地)の共用施設、たとえば会議室、集会場、テニスコート、来客用駐車スペースなどの予約をネット上での扱いにするとわざわざ管理人にお願いしなくても宅内で利用状況のチェックや予約が完了する。また、管理人の業務効率化が図られる。
【0039】
図13は管理人連絡の画面であり、共用施設補修のお願いや、掃除の欠席連絡など管理人ダイレクトに通信事項のやり取りが行われる。管理人が常駐していなくても、連絡がつけられるメリットがある。これは他の住人からは見えないメールベースで行なうものである。
【0040】
図14は献立の画面であり、献立レシピを集めたものである。料理のジャンルを選択すると、お勧めメニュー、摂取カロリー、簡単な作り方と共に閲覧が可能となっている。また、発注ボタンを用意し、好みのレシピの材料が注文できるようにする。利用者は日々マンネリ化しがちなメニュー選びから開放されるばかりでなく、一品一品材料を確認しながら入力する手間が省けて便利である。また、テナント企業では、売りたい商品を使ったレシピを掲載することで販売促進効果も高まる。また、消費者の嗜好の傾向がつかめ、販売計画の役に立つ。
【0041】
入力方法は、好みの料理ジャンルから一品ずつ選択し、家族構成(年齢、人数)、日数(1日単位か、週単位)及び食事回数(お昼はいらないとか)、留意事項(好みの方向性、糖尿病メニュー、ダイエットメニュー、人参は嫌いなど)の条件設定の後、検索ボタン押し込みにより、特定日数分のお任せメニューが表示される。内容は日々のカロリー計算もされた内容になっている。上記レシピで満足であれば、発注ボタンで材料発注ができる。人数、日数にあわせた標準材料表が画面に現れるが、すでに家にあるなどして発注を変更したい場合には編集も可能にする。注文後は指定日に材料が到着し、作り方はサーバに保存されているものをいつでも閲覧できる。また、メニューによっては、電子レンジをサーバから遠隔制御することにより自動調理を実現することもできる。
【0042】
図15は宅配サービスの画面であり、図7のネットデリバリーサービスを提供するものである。この宅配サービスのページは基本的に店舗毎の設計になっている。これはデリバリーの仕方が違うなどで店舗毎の特長を活かすためである。好みの店舗のページでは、図16に示すように、基本的に商品番号の入力による発注方法とする。従来の入力方法では、大量の商品をモールに納めてしまうと、商品分類のリンクを作成するため、商品イメージにたどり着くのに時間がかかってしまい、結局買い物されないことになってしまう。そこで、商品カタログからの入力を原則とする。テナント企業側はカタログ作成コストがかかるが、予め商品カタログを配布(週1回〜月1回程度:商品によって異なる)しておく。または、データベースにカタログをPDFファイル等として蓄積し、利用者が自由にダウンロードして閲覧可能とする。利用者はカタログの商品番号と数量をインプットし、確認ボタンで商品内容、数量、合計金額、在庫切れ状況を表示する。店舗によっては商品イメージの表示がある。表示された内容で良ければ確定ボタンで発注する。発注内容は受発注サーバを経由してテナント企業(フランチャイズ店舗)の受発注システムに入る。または、中小店舗など受発注システムを持たない店舗にはFAX、メールなどで注文が入る。テナント企業からは在庫確認後、受注確認メールを返送する。その後、定められた日程でユーザー宅にデリバリーされる。不在の場合には、予め決められた手段で配達(管理人に委託、持ち帰り、宅配ボックス入れ)される。決済日に確認書が郵送され、決裁がされる。また、利用明細は電子メールで利用者に送信すれば、利用者は家計簿ソフトなどにデータを取り込むことができる。
【0043】
この種の宅配サービスを行う場合、インターネットモールに参加するテナント企業は、独自の宅配機能を持つのはコストがかかる、決裁のシステムが無い、コンテンツの更新がおぼつかない、露出度が低い割に高価な広告費が必要となる、待ちの営業となる、等の問題を抱えていたが、本システムによれば、利用地域が限定されているので、独自の宅配機能を持ったとしても軽トラックやバイクで配達可能な範囲であるから低コストで済み、特にマンションや分譲団地での展開であれば、集中して配送することができ、効率的である。したがって、全国展開している場合に比べると、最終ユーザーに余分な配送コスト負担を掛けないというメリットも生じる。また、決裁のコンピュータシステムが無くても、モールの決裁システムで決裁が可能であり、コンテンツの更新も代行でリアルタイムに行なえる。さらに、インターネットマンションとして囲い込んだ顧客に対し、トップ画面からテナント店舗が利用できるので、個別の広告活動が少なくて済む。したがって、少ない広告費でリピーターを囲い込むことができる。
【0044】
一方、入居者の立場から見た場合、一般的に欲しい商品のインターネットモールを探すのに苦労する、生活必需品(特に生鮮品)についてはネット上の取り扱いが極めて少ない、生鮮品については、通販で購入するには鮮度などが心配(見て買いたい)という問題を抱えていたが、本システムによれば、地元の信頼できる店舗(いつも購入していたスーパー等)から配達にくるので、生鮮品でも安心して購入できる。すなわち、テナント企業は地域の有力店で構成するので、商品は直接見て買えないが、反復販売を前提として馴染みの店舗から配達されるものであるから、比較的安心できる。これにより、従来は取り扱い量が少なかった生鮮食料品や日常雑貨など生活必需品のデリバリーサービスを定着させることができ、日常の買い物行動を効率化させることができる。また、テレビに接続したセットトップボックスの使用と相まって、いつでも好きなときにショッピングができる。しかも、テレビの画面を立ち上げるとすぐに毎日の生活に必要な買い物ができるので、商品をネット上で探し回る煩わしさが無く、利便性が向上する。買い物に出るのがおっくうな高齢者でも、使用方法が簡便なセットトップボックスで比較的簡単に入力作業が行える。また、オプションの家計簿ソフトと組み合わせることにより、生鮮食料品や日常雑貨などの購入明細、衣類のクリーニング、ハウスクリーニングの利用代金、さらには電子メールで送信される電気、ガス、水道料金などを家計簿に自動的に記入することもできるから、共稼ぎ世帯でも家計の管理がおろそかにはならない。
【0045】
その他のWebサ一ビスとして、「住人スキル互助活動」と「シニアクラブ」などを追加しても良い。「住人スキル互助活動」とは、住人の固有スキルをデータベースに登録し、住人は毎月一定金額を支払い、何かある場合にはそれを原資にスキルのある住人がお手伝いをするシステムである。だれもが何がしか、地域の役に立つコミュニティーとなり、地域交流につながる。「シニアクラブ」は高齢者にインターネットを通じて趣味、生活支援に役立てるシステムであり、会員相互にパソコンを教えあったり、同好会の情報発信をしたりするサークル活動をネットサービスの一環として提供するものである。
【符号の説明】
【0046】
1 インターネット
2 棟内LAN
3 端末
4 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が限定されない開放型ネットワークに専用線を介して接続された利用者が限定された限定型ネットワークに接続され、遠隔の携帯端末からの操作により機器を制御又は監視する機器制御監視装置と、
上位ポートが前記開放型ネットワークに接続され、複数の下位ポートのうち少なくとも1つが宅内の情報コンセントに接続された集線装置と、
前記開放型ネットワーク又は前記限定型ネットワークに接続された前記機器制御監視装置との間で前記機器を制御するための情報を送受するサーバと
を備えたサービス網。
【請求項2】
前記機器制御監視装置は、前記機器制御監視サービスの契約者認証手段を備えた請求項1に記載のサービス網。
【請求項3】
前記機器制御監視装置は、前記機器の電力使用状態を監視する請求項1又は請求項2に記載のサービス網。
【請求項4】
前記機器制御監視装置は、利用者の健康管理情報を健康管理センターに送信する請求項1又は請求項2に記載のサービス網。
【請求項5】
前記の請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のサービス網に用いられる機器制御監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−109999(P2010−109999A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286861(P2009−286861)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【分割の表示】特願2008−120401(P2008−120401)の分割
【原出願日】平成11年12月22日(1999.12.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】