説明

サーマルプリンタおよびフレームオープン機構

【課題】 カバーフレームを開くための操作性を劣化させることなく、小型化を図ったサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】 フレーム開閉部材41が、カバーフレームの閉時にカバーフレームをラッチする第1の位置と、カバーフレームに対するラッチを解除する第2の位置よりも第1の位置からの変位が大きく、カバーフレームの閉時にサーマルヘッド31がプラテン21から離間するようにヘッドブラケット32を押圧する第3の位置との間を可動である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースフレームと、ベースフレームに対して開閉可能なカバーフレームと、カバーフレームに搭載されたプラテンと、プラテンをその径方向に押圧するようにベースフレームに搭載されたライン状のサーマルヘッドとを有し、感熱ロール紙を繰り出しつつサーマルヘッドで印字を行うサーマルプリンタ、ならびに、このサーマルプリンタに適用されるフレームオープン機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のサーマルプリンタは、構造が簡素であり、小型化、ローコスト化、およびメインテナンスの簡便化に有利であるため、サイズ、コスト、およびメンテナンスの必要性の事情から他の印刷形式のプリンタは適用し難い装置をも含む多岐に亘る装置やシステム、例えば、レシートを発行するPOSや、チケットまたはクーポンの発券機などにおいて使用されている。
【0003】
一般に、この種のサーマルプリンタにおいて、サーマルヘッドは、ベースフレームに可動な状態で取り付けられたヘッドブラケットに搭載され、カバーフレームの閉時にプラテンを押圧するようにヘッドブラケットと共にコイルバネ等によって付勢されている。従来、サーマルヘッドは、プラテンの径方向、かつ、カバーフレームの開き方向に対して平行な方向に押圧するように、ヘッドブラケットと共に付勢されていた。
【0004】
このような構造のサーマルプリンタを使用する際には、最初に、可動な状態でベースフレームに取り付けられたフレーム開閉部材が操作されると、カバーフレームに対するラッチが解除される。ラッチが解除されると、カバーフレームは、サーマルヘッドの付勢力によってプラテンが付勢されることにより、謂わば自動的に押し開かれる。カバーフレームが開かれることで現われた感熱ロール紙のセット位置に感熱ロール紙がセットされ、手動で適当な量だけ繰り出された用紙先端がサーマルヘッド上に置かれる。この後、カバーフレームが閉じられ、フレーム開閉部材によってカバーフレームは閉状態に保持される。電源が投入され、印刷命令が入力されると、プラテンが回転して感熱ロール紙が繰り出されつつ、プラテンとサーマルヘッドとの間の紙面に対してサーマルヘッドによって印字が行われる。印字がなされプラテンとサーマルヘッドとの間を通過した用紙は、カバーフレーム内に形成された4分の1円弧状の軌道に沿って90度変向するように案内され、カバーフレームの主面に形成された排出口から排出される。尚、4分の1円弧状の軌道は、用紙通過の摩擦抵抗が増して用紙詰まりを起こすことがないように比較的大きい曲率を呈しているため、そのサイズも比較的大きい。
【0005】
本出願人は、従来のサーマルプリンタをさらに小型化すべく、上記4分の1円弧状の軌道を不要とする構造を開発した。この構造において、サーマルヘッドは、プラテンの径方向、かつ、カバーフレームの開き方向に対して略垂直な方向に押圧するように、ヘッドブラケットと共に付勢されている。即ち、印字がなされプラテンとサーマルヘッドとの間を通過した用紙は、当該通過方向のままで変向されずとも、カバーフレームの主面に形成された排出口に向かう。このため、従来構造においては4分の1円弧状の軌道を形成するために要していたスペースを省くことができ、小型化が達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した構造においては、感熱ロール紙をセットする際に、フレーム開閉部材を操作してカバーフレームに対するラッチを解除しても、カバーフレームは、自動的に開かれない。これは、サーマルヘッドがカバーフレームの開き方向に対して略垂直な方向に押圧するように付勢されているため、カバーフレーム(に搭載されたプラテン)はその開方向にサーマルヘッドによって付勢されないことに加え、プラテンがサーマルヘッドによって前記垂直方向に押圧されていることにより、カバーフレームが謂わば開かぬように保持されているためである。このため、ユーザは、カバーフレームを開くために、一方の手でフレーム開閉部材を操作してカバーフレームに対するラッチを解除すると共に、他方の手でカバーフレームを持って開かねばならず、使い勝手が悪い。
【0007】
この対策として、カバーフレームをそれが開かれる方向に付勢するバネを設けると共に、フレーム開閉部材の操作によって、カバーフレームに対するラッチの解除と、サーマルヘッドのプラテンに対する押圧の解除とを同時に行って、カバーフレームをフリーにして前記バネの力で自動的に開くようにした構造が考えられる。しかし、本発明者等の試作実験によれば、フレーム開閉部材を操作し始めてから一貫して大変大きな操作力を必要とし、操作性に劣ることが判明した。これは、サーマルプリンタの仕様上、サーマルヘッドに掛けられる付勢力が、およそ1.5Kgfと、大変重いことに起因している。
【0008】
それ故、本発明の課題は、カバーフレームを開くための操作性を劣化させることなく、小型化を図ったサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、ベースフレームに対して開閉可能に取り付けられたカバーフレームに搭載されたプラテンを、該ベースフレーム側からラッチすると共に、該ベースフレームに搭載されたサーマルヘッドによって押圧するサーマルプリンタにおいて、前記プラテンに対するラッチを解除する第1段階の後に、前記サーマルヘッドによる押圧を解除する第2段階を踏んで、前記カバーフレームを開くように構成されたことを特徴とするサーマルプリンタが得られる。
【0010】
本発明によればまた、ベースフレームと、前記ベースフレームに対して開閉可能に取り付けられたカバーフレームと、前記カバーフレームに搭載されたプラテンと、前記ベースフレームに可動な状態で取り付けられたヘッドブラケットに搭載され、前記カバーフレームの閉時に前記プラテンを該プラテンの径方向かつ該カバーフレームの開き方向に対して略垂直な方向に押圧するように該ヘッドブラケットと共に付勢されたサーマルヘッドと、前記カバーフレームの閉時に該カバーフレームをラッチする第1の位置と、該カバーフレームに対するラッチを解除する第2の位置との間を可動な状態で前記ベースフレームに取り付けられたフレーム開閉部材とを有し、前記ベースフレーム上に装填された感熱ロール紙を前記プラテンによって繰り出しつつ、該プラテンと前記サーマルヘッドとの間の紙面に対して該サーマルヘッドによって印字を行うサーマルプリンタにおいて、前記フレーム開閉部材は、前記第1の位置と、前記第2の位置よりも該第1の位置からの変位が大きく、前記カバーフレームの閉時に前記サーマルヘッドが前記プラテンから離間するように前記ヘッドブラケットを押圧する第3の位置との間を可動であることを特徴とするサーマルプリンタが得られる。
【0011】
前記サーマルプリンタは、前記カバーフレームの閉時に前記サーマルヘッドが前記プラテンから離間し続けるように、前記ヘッドブラケットを解除可能に係止するヘッド係止部材を有していてもよい。
【0012】
前記フレーム開閉部材は、前記カバーフレームに搭載された前記プラテンの回転軸を該プラテンの回転を許した状態でラッチするものであってもよい。
【0013】
前記カバーフレームは、開く方向に付勢されているものであってもよい。
【0014】
前記フレーム開閉部材は、前記第1の位置となるように付勢されているものであってもよい。
【0015】
前記フレーム開閉部材は、前記第1の位置にあるときに、前記ベースフレームおよび閉じられた前記カバーフレームから成るサーマルプリンタ外形からほぼ突出することがないものであってもよい。
【0016】
前記カバーフレーム、前記ヘッドブラケット、および前記フレーム開閉部材は、回動的に動作可能なものであってもよい。
【0017】
また、本発明によれば、ベースフレームに対して開閉可能に取り付けられたカバーフレームに搭載されたプラテンを、該ベースフレーム側からラッチすると共に、該ベースフレームに搭載されたサーマルヘッドによって押圧するサーマルプリンタに適用され、前記プラテンに対するラッチを解除する第1段階の後に、前記サーマルヘッドによる押圧を解除する第2段階を踏んで、前記カバーフレームを開くように構成されたことを特徴とするフレームオープン機構が得られる。
【0018】
本発明によればまた、ベースフレームと、前記ベースフレームに対して開閉可能に取り付けられたカバーフレームと、前記カバーフレームに搭載されたプラテンと、前記ベースフレームに可動な状態で取り付けられたヘッドブラケットに搭載され、前記カバーフレームの閉時に前記プラテンを該プラテンの径方向かつ該カバーフレームの開き方向に対して略垂直な方向に押圧するように該ヘッドブラケットと共に付勢されたサーマルヘッドとを有し、前記ベースフレーム上に装填された感熱ロール紙を前記プラテンによって繰り出しつつ、該プラテンと前記サーマルヘッドとの間の紙面に対して該サーマルヘッドによって印字を行うサーマルプリンタに適用され、前記カバーフレームを開くためのフレームオープン機構であって、前記カバーフレームの閉時に該カバーフレームをラッチする第1の位置と、該カバーフレームに対するラッチを解除する第2の位置との間を可動な状態で前記ベースフレームに取り付けられたフレーム開閉部材を有するフレームオープン機構において、前記フレーム開閉部材は、前記第1の位置と、前記第2の位置よりも該第1の位置からの変位が大きく、前記カバーフレームの閉時に前記サーマルヘッドが前記プラテンから離間するように前記ヘッドブラケットを押圧する第3の位置との間を可動であることを特徴とするフレームオープン機構が得られる。
【0019】
前記フレームオープン機構は、前記カバーフレームの閉時に前記サーマルヘッドが前記プラテンから離間し続けるように、前記ヘッドブラケットを解除可能に係止するヘッド係止部材を有していてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるサーマルプリンタは、カバーフレームを開くための操作性を劣化させることなく、小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明によるサーマルプリンタならびにフレームオープン機構の実施の形態を説明する。
【0022】
図1を参照すると、本発明の実施の形態によるサーマルプリンタは、POS端末装置(図示せず)に取り外し可能に搭載されるユニットの形態を呈しており、感熱ロール紙100を装填可能なベースフレーム11と、ベースフレーム11に対して回転軸14を中心に回動的に開閉可能に取り付けられたカバーフレーム12と、カバーフレーム12に回転軸22を中心に回転可能に搭載されたプラテン21と、サーマルヘッド31と、ヘッドブラケット32と、フレーム開閉部材41とを有している。本例においては、ベースフレーム11が下側に、カバーフレーム12が上側になるように、POS端末装置に搭載される。
【0023】
ヘッドブラケット32は、ベースフレーム11に対して、回転軸33を中心に回動可動な状態で取り付けられている。
【0024】
サーマルヘッド31は、ヘッドブラケット32に搭載され、カバーフレーム12の閉時にプラテン21をプラテン21の径方向、かつ、カバーフレーム12が開く方向に対して略垂直な方向に押圧するように、ヘッドブラケット32と共に、ベースフレーム11に固定されたステイ16に支持された2つのコイルバネ34によって、押し出し付勢されている。
【0025】
フレーム開閉部材41は、カバーフレーム12の閉時に、爪42によってカバーフレーム12に搭載されたプラテン21の回転軸22をプラテン21の回転を許した状態でラッチすることによってカバーフレーム12をラッチする第1の位置と、カバーフレーム12(に搭載されたプラテン21の回転軸22)に対するラッチを解除する第2の位置との間を、回転軸43を中心に回動可動な状態で、ベースフレーム11に取り付けられている。尚、フレーム開閉部材41の先端には、レバー45が取り付けられており、第1の位置にあるフレーム開閉部材41は、ユーザがレバー45を図中反時計方向に回すことによって、第2の位置に変位する。
【0026】
尚、カバーフレーム12は、開く方向に、コイルバネ15によって、引っ張り付勢されている。また、フレーム開閉部材41は、第1の位置となるように、コイルバネ44によって、引っ張り付勢されている。
【0027】
また、フレーム開閉部材41は、第1の位置にあるときに、ベースフレーム11および閉じられたカバーフレーム12から成るサーマルプリンタ外形からほぼ突出することがなく、POS端末装置において、本サーマルプリンタを内蔵するためのスペースを省スペース化できるし、本サーマルプリンタ単体を流通させる際にも梱包を小型化できる。
【0028】
そして、本サーマルプリンタは、ベースフレーム11上に装填された感熱ロール紙100をプラテン21によって繰り出しつつ、プラテン21とサーマルヘッド31との間の紙面に対してサーマルヘッド31によって感熱印字を行う。印字がなされプラテン21とサーマルヘッド31との間を通過した用紙は、当該通過方向のまま、カバーフレーム12の主面17に形成された排出口13から排出される。
【0029】
図1〜図3を参照すると、本サーマルプリンタにおいては特に、フレーム開閉部材41が、図2に示された第1の位置と、第2の位置(図示せず)よりも第1の位置からの変位が大きく、カバーフレーム12の閉時にサーマルヘッド31がプラテン21から離間するようにヘッドブラケット32を押圧する図3に示された第3の位置との間を回動可能である。
【0030】
以下、本サーマルプリンタを使用する際の動作について説明する。いま、本サーマルプリンタは、図2に示された状態にある。この状態は、本サーマルプリンタの印刷時および停止時を含む、通常状態である。このとき、フレーム開閉部材41は、第1の位置にある。カバーフレームに回転可能に搭載されているプラテン21の回転軸22は、ベースフレーム11に形成されているU字状の軸受47に支持されていると共に、第1の位置にあるフレーム開閉部材41の爪42によってラッチされている。
【0031】
ユーザが、レバー45を図2中、反時計方向に倒す。レバー45のこの操作によって、フレーム開閉部材41が回転軸43を中心にして回動し、カバーフレーム12に搭載されたプラテン21の回転軸22に対するフレーム開閉部材41の爪42によるラッチが解除され、フレーム開閉部材41は第2の位置になる。このとき、図示はしないが、フレーム開閉部材41の突起46は、ヘッドブラケット32の突起35に当接する直前である。
【0032】
ここまでの操作力、即ち、フレーム開閉部材41を第1の位置から第2の位置にまで変位させるための操作力は、フレーム開閉部材41が第1の位置に復帰するように付勢しているコイルバネ44に対する抗力のみであるため、軽い。尚、プラテン21の回転軸22に対するフレーム開閉部材41の爪42によるラッチが解除されても、カバーフレーム12は、サーマルヘッド31がプラテン21に押圧されているため、自動的に開かれることはない。
【0033】
ユーザが、第2の位置にあるフレーム開閉部材41のレバー45を反時計方向に倒すと、フレーム開閉部材41の突起46がヘッドブラケット32の突起35に当接する。次いで、ユーザが、レバー45を反時計方向にさらに倒すと、突起35に突起46が当接しているため、ヘッドブラケット32は、フレーム開閉部材41に押されて、回転軸33を中心にして回動し、図3に示された状態になる。このとき、サーマルヘッド31は、プラテン21の周面から離間している。そして、サーマルヘッド31によるプラテン21への押圧が無くなると共に、ベースフレーム11の軸受18に支持されているプラテン21の回転軸22がフレーム開閉部材41に備えられた押し出し片47によって押し出され、そして、カバーフレーム12(図3には図示せず)がコイルバネ15による引っ張り付勢によって回転軸14を中心にして自動的に開かれる。カバーフレーム12が開かれることによって、ベースフレーム11のロール紙充填部が露出し、感熱ロール紙100をベースフレーム11上に装填することが可能になる。図3に示すフレーム開閉部材41の位置が、第3の位置である。ユーザがレバー45を手離すと、第3の位置にあるフレーム開閉部材41は、ヘッドブラケット32を介したコイルバネ34による押し出し付勢とコイルバネ44による引っ張り付勢とにより、回転軸43を中心にして回動的に戻され、第1の位置に自動的に復帰する。
【0034】
フレーム開閉部材41を第2の位置から第3の位置にまで変位させるための操作力は、フレーム開閉部材41が第1の位置に復帰するように付勢しているコイルバネ44に対する抗力に、さらに、プラテン21を押圧するためにコイルバネ34によってサーマルヘッド31(ヘッドブラケット32)に掛けられる付勢力が加算されるため、重い。しかし、第1の位置から第3の位置までの一貫した操作に関しては、第1段階である第1の位置から第2の位置までの操作力が軽いため、残りの第2段階である第2の位置から第3の位置までの操作力が重くとも、操作性は良好であった。
【0035】
カバーフレーム12が自動的に開かれることで現われた感熱ロール紙のセット位置に感熱ロール紙100がセットされ、手動で適当な量だけ繰り出された用紙先端がサーマルヘッド31に対峙する位置に縦向きにセットされる。この後、カバーフレーム12が閉じられ、フレーム開閉部材41によるラッチによってカバーフレーム12は閉状態に保持される。電源が投入され、印刷命令が入力されると、プラテン21が回転して感熱ロール紙100が繰り出されつつ、プラテン21とサーマルヘッド31との間の紙面に対してサーマルヘッド31によって印字が行われる。印字がなされプラテン21とサーマルヘッド31との間を通過した用紙は、カバーフレーム12の主面17に形成された排出口13から排出される。
【0036】
本サーマルプリンタにおいて、カバーフレーム、ヘッドブラケット、およびフレーム開閉部材は、直線的に動作可能なものであってもよい。ただし、回動するものとする方が、梃の原理を利用して操作力低減に有用である。
【0037】
本サーマルプリンタはさらに、図3に示した状態、即ち、フレーム開閉部材41が第3の位置にあり、これにより、サーマルヘッド31がプラテン21から離間している状態を維持すべく、ヘッドブラケット32を係止するヘッド係止部材51を有している。
【0038】
図3〜図8を参照して、当該係止操作について説明する。フレーム開閉部材41が図3に示すように第3の位置にあるときに、ヘッド係止部材51は図4および図5に示すように、水平方向の左側に位置している。ユーザは、ヘッド係止部材51を右向きにスライドして、図7および図8に示す位置にする。ヘッド係止部材51は、図3および図6に示すように突起52を備えており、この突起52が図6に示すようにヘッドブラケット32の突起35を係止する。これにより、ユーザがレバー45から手を離して第3の位置にあるフレーム開閉部材41がコイルバネ44による引っ張り付勢によって第1の位置に自動的に復帰しても、ヘッドブラケット32に対するヘッド係止部材51による係止によって、サーマルヘッド31がプラテン21から離間し続ける。この離間状態は、カバーフレーム12を閉じても持続する。尚、カバーフレーム12は、フレーム開閉部材41の爪42によってラッチされるため、不用意に開くことはない。
【0039】
このヘッド係止構造により、サーマルヘッド31がプラテン21の周面を押圧するおよそ1.5Kgfと大変重い荷重が、例えば本サーマルプリンタの在庫時などに、長期間続くことにより、プラテン21の周面のサーマルヘッド31が当接している箇所が凹んでしまい、印刷不良を招くという問題を、回避できる。
【0040】
本発明によるヘッド係止構造は、プラテン周面上からサーマルヘッドを離間させるための構成の大部分がフレームオープン機構と兼用であり、ヘッド係止操作の大半もフレームオープン操作と共通であるため、大変簡素な構成であり、操作も大変簡便である。このことは、例えば実開平2−139752号公報に開示されたプラテン凹み防止構造の複雑な構成と比べても明らかなことである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明した実施例に限定されることなく、本発明は、当該特許請求の範囲に記載された技術範囲内であれば、種々の変形が可能であることは云うまでもない。例えば、本発明は、POSや発券機に限らず、ファクシミリ装置、計測装置、電卓、PDA、ノートパソコン等に搭載するサーマルプリンタや、スタンドアローンなサーマルプリンタへの適用の可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態によるサーマルプリンタの側面図であり、部分的に透視図となっている。
【図2】図1に示したサーマルプリンタのフレームオープン機構の動作を説明するための図であり、要部のみを示す矢視図である。
【図3】図1に示したサーマルプリンタのフレームオープン機構の動作を説明するための図であり、要部のみを示す矢視図である。
【図4】図1に示したサーマルプリンタの動作を説明するための正面図である。
【図5】図1に示したサーマルプリンタの動作を説明するための図であり、要部のみを示す平面図である。
【図6】図1に示したサーマルプリンタのフレームオープン機構の動作を説明するための図であり、要部のみを示す矢視図である。
【図7】図1に示したサーマルプリンタの動作を説明するための正面図である。
【図8】図1に示したサーマルプリンタの動作を説明するための図であり、要部のみを示す平面図である。
【符号の説明】
【0043】
11 ベースフレーム
12 カバーフレーム
13 排出口
14 回転軸
15 コイルバネ
16 ステイ
17 主面
18 軸受
21 プラテン
22 回転軸
31 サーマルヘッド
32 ヘッドブラケット
33 回転軸
34 コイルバネ
35 突起
41 フレーム開閉部材
42 爪
43 回転軸
44 コイルバネ
45 レバー
46 突起
47 押し出し片
51 ヘッド係止部材
52 突起
100 感熱ロール紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレームと、前記ベースフレームに対して開閉可能に取り付けられたカバーフレームと、前記カバーフレームに搭載されたプラテンと、前記ベースフレームに可動な状態で取り付けられたヘッドブラケットに搭載され、前記カバーフレームの閉時に前記プラテンを該プラテンの径方向かつ該カバーフレームの開き方向に対して略垂直な方向に押圧するように該ヘッドブラケットと共に付勢されたサーマルヘッドと、前記カバーフレームの閉時に該カバーフレームをラッチする第1の位置と、該カバーフレームに対するラッチを解除する第2の位置との間を可動な状態で前記ベースフレームに取り付けられたフレーム開閉部材とを有し、前記ベースフレーム上に装填された感熱ロール紙を前記プラテンによって繰り出しつつ、該プラテンと前記サーマルヘッドとの間の紙面に対して該サーマルヘッドによって印字を行うサーマルプリンタにおいて、
前記フレーム開閉部材は、前記第1の位置と、前記第2の位置よりも該第1の位置からの変位が大きく、前記カバーフレームの閉時に前記サーマルヘッドが前記プラテンから離間するように前記ヘッドブラケットを押圧する第3の位置との間を可動であることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記カバーフレームの閉時に前記サーマルヘッドが前記プラテンから離間し続けるように、前記ヘッドブラケットを解除可能に係止するヘッド係止部材を有する請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記フレーム開閉部材は、前記カバーフレームに搭載された前記プラテンの回転軸を該プラテンの回転を許した状態でラッチする請求項1または2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記カバーフレームは、開く方向に付勢されている請求項1乃至3のいずれかに記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記フレーム開閉部材は、前記第1の位置となるように付勢されている請求項1乃至4のいずれか1つに記載のサーマルプリンタ。
【請求項6】
前記フレーム開閉部材は、前記第1の位置にあるときに、前記ベースフレームおよび閉じられた前記カバーフレームから成るサーマルプリンタ外形からほぼ突出することがない請求項1乃至5のいずれか1つに記載のサーマルプリンタ。
【請求項7】
前記カバーフレーム、前記ヘッドブラケット、および前記フレーム開閉部材は、回動的に動作可能である請求項1乃至6のいずれか1つに記載のサーマルプリンタ。
【請求項8】
ベースフレームと、前記ベースフレームに対して開閉可能に取り付けられたカバーフレームと、前記カバーフレームに搭載されたプラテンと、前記ベースフレームに可動な状態で取り付けられたヘッドブラケットに搭載され、前記カバーフレームの閉時に前記プラテンを該プラテンの径方向かつ該カバーフレームの開き方向に対して略垂直な方向に押圧するように該ヘッドブラケットと共に付勢されたサーマルヘッドとを有し、前記ベースフレーム上に装填された感熱ロール紙を前記プラテンによって繰り出しつつ、該プラテンと前記サーマルヘッドとの間の紙面に対して該サーマルヘッドによって印字を行うサーマルプリンタに適用され、前記カバーフレームを開くためのフレームオープン機構であって、前記カバーフレームの閉時に該カバーフレームをラッチする第1の位置と、該カバーフレームに対するラッチを解除する第2の位置との間を可動な状態で前記ベースフレームに取り付けられたフレーム開閉部材を有するフレームオープン機構において、
前記フレーム開閉部材は、前記第1の位置と、前記第2の位置よりも該第1の位置からの変位が大きく、前記カバーフレームの閉時に前記サーマルヘッドが前記プラテンから離間するように前記ヘッドブラケットを押圧する第3の位置との間を可動であることを特徴とするフレームオープン機構。
【請求項9】
前記カバーフレームの閉時に前記サーマルヘッドが前記プラテンから離間し続けるように、前記ヘッドブラケットを解除可能に係止するヘッド係止部材を有する請求項8に記載のフレームオープン機構。
【請求項10】
ベースフレームに対して開閉可能に取り付けられたカバーフレームに搭載されたプラテンを、該ベースフレーム側からラッチすると共に、該ベースフレームに搭載されたサーマルヘッドによって押圧するサーマルプリンタにおいて、
前記プラテンに対するラッチを解除する第1段階の後に、前記サーマルヘッドによる押圧を解除する第2段階を踏んで、前記カバーフレームを開くように構成されたことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項11】
ベースフレームに対して開閉可能に取り付けられたカバーフレームに搭載されたプラテンを、該ベースフレーム側からラッチすると共に、該ベースフレームに搭載されたサーマルヘッドによって押圧するサーマルプリンタに適用され、
前記プラテンに対するラッチを解除する第1段階の後に、前記サーマルヘッドによる押圧を解除する第2段階を踏んで、前記カバーフレームを開くように構成されたことを特徴とするフレームオープン機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−76154(P2007−76154A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266709(P2005−266709)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】