説明

サーマルプリンタ

【課題】 圧力を電気信号に変換する圧電素子を複数配置してヘッド圧のバランス調整を行うことのできるサーマルプリンタの提供。
【解決手段】 サーマルプリンタ1は、装置本体に回転自在に支持されたプラテンローラ2と、このプラテンローラ2に揺動圧接自在に、装置本体に取り付けられたヘッドブラケット3と、このヘッドブラケット3に固定支持され、前記プラテンローラ2に当接するサーマルヘッド4と、前記ヘッドブラケット3を常時前記プラテンローラ2に付勢してこのプラテンローラ2と前記サーマルヘッド4とで用紙を挟持するスプリング5と、前記ヘッドブラケット3とサーマルヘッド4との間に、前記プラテンローラ2の軸方向に離間して少なくとも2箇所に設けられ、圧力を電気信号に変換して出力する圧電素子6,7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルプリンタ等に使用するサーマルプリンタに関し、特にその印字圧(ヘッド圧)の調整方式に関する。
【背景技術】
【0002】
印字ヘッドと印字面とのギャップを測定し、印字時及び用紙搬送時に印字ヘッドと印字面とのギャップを最適な距離に自動的に設定するようにした印字装置が、例えば特許文献1により知られている。
【特許文献1】特開平11−348325号公報
【0003】
しかしながら、上記特許文献1はドットインパクト方式のプリンタに関するもので、現在主流のサーマル印字方式のプリンタに関するものではない。
従来のサーマルプリンタは、常に同じ圧力でサーマルヘッドを用紙を介してプラテンに接触させて印字を行っており、サーマルヘッドの押圧力のばらつきや用紙の厚さの差異によって接触圧力の変動が生じ、このため、接触圧力の低い所では印字濃度か薄くなり、接触圧力の高い所では印字濃度か濃くなったり、用紙に皺が生じたりする欠点を有していた。
【0004】
特にラベルプリンタでは、用紙種毎に異なるサイズの台紙に異なるサイズの粘着ラベルが剥離可能に貼付(仮着)されているため、用紙を変更するとその用紙に適正な印字圧に再度調整しなければならない場合が生じていた。
【0005】
かかる場合、従来のサーマルプリンタでは、印字濃度を頼りに目視で確認しながらヘッド圧調整を行っていたため、この調整作業が煩雑となり、用紙を無駄に消費するという問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、本発明は、圧力を電気信号に変換する圧電素子を複数配置してヘッド圧のバランス調整を行うことのできるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明が採用する手段の特徴は、装置本体に回転自在に支持されたプラテンローラと、このプラテンローラに揺動圧接自在に取り付けられたヘッドブラケットと、このヘッドブラケットに固定支持され、前記プラテンローラに当接するサーマルヘッドと、前記ヘッドブラケットを常時前記プラテンローラに付勢してこのプラテンローラと前記サーマルヘッドとで用紙を挟持する付勢手段と、前記ヘッドブラケットとサーマルヘッドとの間に、前記プラテンローラの軸方向に離間して少なくとも2箇所に設けられ、圧力を電気信号に変換して出力する圧電素子とを備えることにある。
【0008】
ここで、前記少なくとも2箇所に設けられた圧電素子の出力を比較し、この少なくとも2箇所の圧力を等しくするように、制御手段より前記圧電素子に電気信号を加え、圧電素子を電気-機械トランスデューサとして使用することができる。
【0009】
また、前記少なくとも2箇所に設けられた圧電素子の出力を、この少なくとも2箇所の圧力を示す指標として印字出力することもできる。
【発明の効果】
【0010】
サーマルヘッドの押圧力のばらつきや用紙を変更した際の厚みの差異により接触圧の変動が生じても、常にそれに対応する電気信号が出力されるので、これを補正するように自動制御したり、目視で理解可能な指標の印字による出力を見ながら適切な印字圧に手動で調整するのが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。なお、図1は実施の形態に係るサーマルプリンタの主要部外観図、図2は図1のサーマルプリンタの動作を説明するフロー図、図3は第二の実施の形態に係るサーマルプリンタの主要部外観図である。
【0012】
図1において、サーマルプリンタ1は、装置本体(不図示)に回転自在に支持されたプラテンローラ2と、このプラテンローラ2に揺動圧接自在に、装置本体に取り付けられたヘッドブラケット3と、このヘッドブラケット3に固定支持され、前記プラテンローラ2に当接するサーマルヘッド4と、前記ヘッドブラケット3を常時前記プラテンローラ2に付勢してこのプラテンローラ2と前記サーマルヘッド4とで用紙を挟持するスプリング5と、前記ヘッドブラケット3とサーマルヘッド4との間に、前記プラテンローラ2の軸方向に離間して少なくとも2箇所に設けられ、圧力を電気信号に変換して出力する圧電素子6,7とを備えている。
【0013】
上述のように構成されたサーマルプリンタ1の印字動作は、まずモータ(不図示)でプラテンローラ2を回転させることによって用紙を所定の位置まで搬送し、ヘッドブラケット3に支持されたサーマルヘッド4をスプリング5によってプラテン2に接触させる。このとき、ヘッドブラケット3とサーマルヘッド4との間に配置されている圧電素子6,7は、サーマルヘッド1のプラテン2に対する押圧力を検出し、それを電気信号に変換して制御部8に送る。
【0014】
制御部8は、圧電素子6,7からの電気信号を入力すると、最適な押圧力(基準圧力)を示す基準電圧と比較し、押圧力が基準圧力よりも高い場合は、圧電素子6,7に対して押圧力を下げる電気信号を送出するように制御し、押圧力が基準圧力よりも低い場合は、圧電素子6,7に対して押圧力を上げる電気信号を送出して制御する(図2)。
【0015】
このような制御により、用紙の変更等によるサーマルヘッド4の押圧力のばらつきや用紙の厚さの差異によって接触圧力の変動が生じても、常にそれに対応する適切な印字を行うことが可能となるため、印字濃度の濃淡や用紙の皺の発生を防止することが可能となる。
【0016】
次に、図3は第二の実施の形態を示し、本実施の形態の説明では上述した第一の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施の形態の特徴は、前記少なくとも2箇所に設けられた圧電素子の出力を比較し、この少なくとも2箇所の圧力を示す指標を印字出力する手段を備え、この指標に基づいて手動で印字圧バランスの調整を行えるようにした点にある。
【0017】
図3中のヘッド圧バランス調整ネジ9は、ヘッドブラケット3とサーマルヘッド4間の押圧力を加減するもので、ヘッドブラケット3の左右に設けてもよいが、簡便のために1個としている。
【0018】
以上の構成を備えたサーマルプリンタ10は、ヘッド圧調整時には、用紙11に2箇所に設けられた圧電素子6,7の出力から、この少なくとも2箇所の圧力を示す指標を印字出力する(例えば、L:0 R:+2)。そして、この指標に基づいて手動で印字圧バランスが釣り合うように調整ネジ9を回転させて調整することができる。
【0019】
なお、本発明の技術的範囲は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第一の実施の形態を示すサーマルプリンタの主要部外観図
【図2】図1のサーマルプリンタの動作を説明するフロー図
【図3】第二の実施の形態を示すサーマルプリンタの主要部外観図
【符号の説明】
【0021】
1、10…サーマルプリンタ、2…プラテンローラー、3…ヘッドブラケット、4…サーマルヘッド、5…スプリング(付勢手段)、6、7…圧電素子、8…制御装置、9…調整ネジ、11…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に回転自在に支持されたプラテンローラと、このプラテンローラに揺動圧接自在に取り付けられたヘッドブラケットと、このヘッドブラケットに固定支持され、前記プラテンローラに当接するサーマルヘッドと、前記ヘッドブラケットを前記プラテンローラに付勢してこのプラテンローラと前記サーマルヘッドとで用紙を挟持する付勢手段と、前記ヘッドブラケットとサーマルヘッドとの間に、前記プラテンローラの軸方向に離間して少なくとも2箇所に設けられ、圧力を電気信号に変換して出力する圧電素子とを備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記少なくとも2箇所に設けられた圧電素子の出力を比較し、この少なくとも2箇所の圧力を等しくするように、制御手段より前記圧電素子に電気信号を加え、圧電素子を電気-機械トランスデューサとして使用する請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記少なくとも2箇所に設けられた圧電素子の出力を、この少なくとも2箇所の圧力を示す指標として印字出力する請求項1に記載のサーマルプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−179006(P2009−179006A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22104(P2008−22104)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】