説明

サーマルヘッドプリンター

【課題】 印画ムラの発生を防止した上で印画紙に対する印刷速度の高速化を図る。
【解決手段】 ロール状に巻回された印画紙が装填される装填部3と、印画紙を送り出して搬送する搬送部4と、印画紙を切断するカッターを有するカッター機構部7と、印画紙が排出される排出部21と、リボントレイ22と供給リール23と巻取リール24を有するリボン駆動部6と、インクリボンに押し付けられ印画紙に対する印刷を行う印画ヘッド5aとを設け、リボン駆動部における供給リールと巻取リールの間に、インクリボンに印画ヘッドが押し付けられインクリボンに供給リールから引き出される方向への力が付与されたときにインクリボンに印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向への力を付与するテンション付与部25を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサーマルヘッドプリンターについての技術分野に関する。詳しくは、印画ムラの発生を防止した上で印画紙に対する印刷速度の高速化を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターには、印画ヘッドがインクリボンに押し付けられインクリボンに塗布されたインクを昇華させて印画紙に対する印刷を行うサーマルヘッドプリンターがある。
【0003】
サーマルヘッドプリンターには、供給リールと巻取リールを有するリボン駆動部が設けられたものがあり、このようなサーマルヘッドプリンターにあっては、供給リールから供給されたインクリボンが巻取リールに巻き取られ、印刷の開始時に供給されるインクリボンに対してヘッド機構部の動作によって印画ヘッドが押し付けられる。
【0004】
上記のような印刷の開始時に印画ヘッドがインクリボンに押し付けられるサーマルヘッドプリンターにあっては、印画ヘッドがインクリボンに押し付けられたときにインクリボンが弛んでしまう場合があり、このような弛んだインクリボンに対して印刷が行われると、印画ムラによる印刷不良が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、従来のサーマルヘッドプリンターには、インクリボンの弛みを解消するために、供給リールの回転軸にトルクの制限値を変更することができるトルクリミッターを設け、供給リールに巻回されているインクリボンの径を検出し、インクリボンの径が小さくなるに従ってトルクの制限値を減少させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−062032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載されたサーマルヘッドプリンターにあっては、弛みを解消するために印刷の開始直前に供給リールを巻き戻す必要があり、この巻き戻しを行う分だけ印刷の開始までに時間がかかり、印刷速度の高速化に支障を来たすと言う問題がある。
【0008】
そこで、本発明サーマルヘッドプリンターは、上記した問題点を克服し、印画ムラの発生を防止した上で印画紙に対する印刷速度の高速化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
サーマルヘッドプリンターは、上記した課題を解決するために、ロール状に巻回された印画紙が装填される装填部と、前記装填部から前記印画紙を送り出して搬送する搬送部と、印刷された前記印画紙を切断するカッターを有するカッター機構部と、前記カッターによって切断された前記印画紙が排出される排出部と、リボントレイと前記印画紙が巻回され前記リボントレイに各別に回転自在に支持されインクリボンが巻回された供給リール及び巻取リールとを有するリボン駆動部と、前記インクリボンに押し付けられ前記インクリボンに塗布されたインクを昇華させて前記印画紙に対する印刷を行う印画ヘッドとを備え、前記リボン駆動部における前記供給リールと前記巻取リールの間に、前記インクリボンに前記印画ヘッドが押し付けられ前記インクリボンに前記供給リールから引き出される方向への力が付与されたときに前記インクリボンに前記印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向への力を付与するテンション付与部を設けたものである。
【0010】
従って、サーマルヘッドプリンターにあっては、インクリボンに印画ヘッドが押し付けられたときに、同時に、インクリボンに印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向への力が付与される。
【0011】
上記したサーマルヘッドプリンターにおいては、前記テンション付与部に、前記インクリボンに押し付けられて前記インクリボンに張力を付与するリボンガイドと、前記リボンガイドを前記印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向へ付勢する付勢バネとを設けることが望ましい。
【0012】
テンション付与部にインクリボンに張力を付与するリボンガイドとリボンガイドを付勢する付勢バネとを設けることにより、リボンガイドが付勢バネの付勢力によってインクリボンに押し付けられる。
【0013】
上記したサーマルヘッドプリンターにおいては、前記巻取リールを回転させて前記供給リールからの前記インクリボンの引出を行うリボン供給用モーターを設け、前記リボンガイドを前記供給リールと前記巻取リールの中央より前記供給リール側に配置することが望ましい。
【0014】
巻取リールを回転させるリボン供給用モーターを設け、リボンガイドを供給リールと巻取リールの中央より供給リール側に配置することにより、印画ヘッドから力を付与されたインクリボンに弛みが生じ易い側でテンション付与部からインクリボンに印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向への力が付与される。
【0015】
上記したサーマルヘッドプリンターにおいては、前記テンション付与部に、前記リボントレイに回動自在に支持され前記リボンガイドを支持するローラーガイドと、前記ローラーガイドの回動速度を制御するダンパーとを設けることが望ましい。
【0016】
テンション付与部にリボンガイドを支持するローラーガイドとローラーガイドの回動速度を制御するダンパーとを設けることにより、ローラーガイドとリボンガイドの高速での回動動作が抑制される。
【0017】
上記したサーマルヘッドプリンターにおいては、前記リボンガイドを丸軸状に形成し前記リボンガイドの外周面が前記インクリボンに押し付けられるようにすることが望ましい。
【0018】
リボンガイドを丸軸状に形成しリボンガイドの外周面がインクリボンに押し付けられるようにすることにより、リボンガイドのインクリボンに対する負荷が小さくなる。
【0019】
上記したサーマルヘッドプリンターにおいては、前記ローラーガイドに前記リボンガイドを軸回り方向へ回転自在に支持することが望ましい。
【0020】
ローラーガイドにリボンガイドを軸回り方向へ回転自在に支持することにより、インクリボンの供給時にリボンガイドが軸回り方向へ回転される。
【発明の効果】
【0021】
本発明サーマルヘッドプリンターは、ロール状に巻回された印画紙が装填される装填部と、前記装填部から前記印画紙を送り出して搬送する搬送部と、印刷された前記印画紙を切断するカッターを有するカッター機構部と、前記カッターによって切断された前記印画紙が排出される排出部と、リボントレイと前記印画紙が巻回され前記リボントレイに各別に回転自在に支持されインクリボンが巻回された供給リール及び巻取リールとを有するリボン駆動部と、前記インクリボンに押し付けられ前記インクリボンに塗布されたインクを昇華させて前記印画紙に対する印刷を行う印画ヘッドとを備え、前記リボン駆動部における前記供給リールと前記巻取リールの間に、前記インクリボンに前記印画ヘッドが押し付けられ前記インクリボンに前記供給リールから引き出される方向への力が付与されたときに前記インクリボンに前記印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向への力を付与するテンション付与部を設けている。
【0022】
従って、インクリボンに弛みが生じることがなく印画ムラが発生しないと共に即座に印刷を開始できるため印刷速度の高速化を図ることができる。
【0023】
請求項2に記載した発明にあっては、前記テンション付与部に、前記インクリボンに押し付けられて前記インクリボンに張力を付与するリボンガイドと、前記リボンガイドを前記印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向へ付勢する付勢バネとを設けている。
【0024】
従って、テンション付与部の構成が簡素であり、機構の簡素化による製造コストの低減及び小型化を図ることができる。
【0025】
請求項3に記載した発明にあっては、前記巻取リールを回転させて前記供給リールからの前記インクリボンの引出を行うリボン供給用モーターを設け、前記リボンガイドを前記供給リールと前記巻取リールの中央より前記供給リール側に配置している。
【0026】
従って、インクリボンの弛みの発生を確実に防止することができ、印画ムラの発生の防止と印刷速度の高速化を効果的に図ることができる。
【0027】
請求項4に記載した発明にあっては、前記テンション付与部に、前記リボントレイに回動自在に支持され前記リボンガイドを支持するローラーガイドと、前記ローラーガイドの回動速度を制御するダンパーとを設けている。
【0028】
従って、ローラーガイドとリボンガイドの高速での回動動作が抑制され、急激な張力の変動を抑制してインクリボンを保護することができる。
【0029】
請求項5に記載した発明にあっては、前記リボンガイドを丸軸状に形成し前記リボンガイドの外周面が前記インクリボンに押し付けられるようにしている。
【0030】
従って、インクリボンに対する負荷が小さく、インクリボンの供給動作を円滑に行うことができる。
【0031】
請求項6に記載した発明にあっては、前記ローラーガイドに前記リボンガイドを軸回り方向へ回転自在に支持している。
【0032】
従って、インクリボンの供給動作を一層円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明サーマルヘッドプリンターの実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0034】
[サーマルヘッドプリンターの構造]
サーマルヘッドプリンター1は外筐2の内外に所要の各部が配置されて成る(図1参照)。
【0035】
外筐2の内部には装填部3と搬送部4とヘッド機構部5とリボン駆動部6とカッター機構部7が配置されている。
【0036】
装填部3は外筐2の内部における下方側に配置され、装填部3にはロール状に巻回された印画紙100が装填される。装填部3に装填された印画紙100はロール部100aが装填部3に対して回転可能な状態とされる。
【0037】
搬送部4は給紙ローラー8と折返しローラー9と送りガイド10とガイド11、12とキャプスタン13とピンチローラー14とプラテンローラー15を有している。
【0038】
給紙ローラー8は、例えば、ゴム材料によって形成され、装填部3の印画紙100が引き出される引出口の近傍において図示しないモーターによって回転される。給紙ローラー8の回転によって印画紙100が装填部3から引き出されて搬送される。
【0039】
折返しローラー9は給紙ローラー8の下方において回転自在に支持され、給紙ローラー8によって送られた印画紙100をU字状に略180°折り返して搬送する機能を有している。折返しローラー9が設けられていることにより、印画紙100の搬送経路を形成するためのスペースが小さくて済み小型化を図ることができる。また、折返しローラー9が設けられていることにより、印画紙100の表裏の向きを反転することができ、装填部3や後述する排出部(排紙トレイ)を所望の向きに設定することが可能であり、設計の自由度の向上及び操作性の向上を図ることができる。
【0040】
折返しローラー9は送りガイド10に回転自在に支持されている。送りガイド10には折返しローラー9の外周面に沿って配置された複数の送りコロ16、16、・・・が回転自在に支持されている。
【0041】
ガイド11、12は折返しローラー9の上方に配置されている。ガイド11、12は対向した状態で配置され、ガイド12には印画紙100の搬送経路に沿って配置された複数の送りローラー17、17、・・・が回転自在に支持されている。
【0042】
キャプスタン13は同軸上に配置されたプーリー18の中心部に固定され、駆動モーター19の駆動力によって回転される。駆動モーター19のモーター軸19aとプーリー18の間には動力伝達ベルト20が巻回されている。従って、キャプスタン13は駆動モーター19の駆動力が動力伝達ベルト20及びプーリー18を介して伝達されて回転される。
【0043】
ピンチローラー14は印画紙100を挟んでキャプスタン13に接触されキャプスタン13の回転に伴って回転されて印画紙100をキャプスタン13と挟持して搬送する機能を有する。
【0044】
プラテンローラー15はピンチローラー14の近傍に位置されており、印画紙100に対する印刷時にヘッド機構部5が動作されたときに印画紙100が押し付けられる。
【0045】
ヘッド機構部5は先端部に設けられた印画ヘッド5aを有し、該印画ヘッド5aが印画紙100に離接する方向へ移動可能とされている。ヘッド機構部5は印画ヘッド5aの近傍に位置されたリボン用ローラー5b、5bを有している。
【0046】
リボン駆動部6は印刷時にインクリボン200を供給する機能を有している。
【0047】
カッター機構部7はカッターを有し、印刷が行われた印画紙100の所定の位置を切断する機能を有している。
【0048】
外筐2には排出部として機能する排紙トレイ21が装着されている。排紙トレイ21には印画ヘッド5aによって印刷されカッターによって切断された印画紙100が排出される。
【0049】
リボン駆動部6はリボントレイ22と該リボントレイ22に各別に回転自在に支持された供給リール23及び巻取リール24とインクリボン200に張力を付与するテンション付与部25とを有している。
【0050】
リボントレイ22は左右において対向して位置する一対の支持面部26、26と該支持面部26、26を連結し前後に離隔して位置する連結部27、27とが一体に形成されて成る(図2参照)。
【0051】
支持面部26、26にはそれぞれ上方に開口された二つずつの支持凹部26a、26a、・・・が前後に離隔して形成されている。支持面部26、26の支持凹部26a、26a、・・・には供給リール23と巻取リール24の軸方向における両端部が挿入され、支持面部26、26に供給リール23と巻取リール24が各別に回転自在に支持される。
【0052】
支持面部26、26には供給リール23が支持された側の支持凹部26a、26aの近傍に、それぞれ軸挿通孔26b、26bと配置孔26c、26cが形成されている。軸挿通孔26bは円弧状に形成されている。
【0053】
テンション付与部25は支持面部26、26に支持されている(図2及び図3参照)。テンション付与部25は支持軸28、28とローラーガイド29、29とリボンガイド30とダンパー31、31を有している。
【0054】
支持軸28、28はそれぞれ支持面部26、26の軸挿通孔26b、26bの円弧の中心となる部分に取り付けられている。支持軸28は支持面部26の内面側に突出されている。
【0055】
ローラーガイド29、29はそれぞれ支持軸28、28に支持されている。ローラーガイド29は支持軸28に中心部が組み付けられた略円板状の基部32と該基部32から突出された軸支持突部33とが一体に形成されて成る。基部32の外周面の一部にはギヤ部32aが設けられている。
【0056】
リボンガイド30はローラーガイド29、29の軸支持突部33、33間に軸回り方向へ回転自在に支持されている。
【0057】
リボンガイド30は供給リール23と巻取リール24の中央より供給リール23側においてローラーガイド29、29と一体になって回動される。リボンガイド30はそれぞれ軸方向における両端部が小径部30a、30aとして設けられ、該小径部30a、30a間の部分が小径部30a、30aより稍径の大きい大径部30bとして設けられている。
【0058】
リボンガイド30は小径部30a、30aがローラーガイド29、29に支持された状態においては、小径部30a、30aの先端部が軸挿通孔26b、26bに挿入されている。
【0059】
上記のようにリボンガイド30の両端部に小径部30a、30aを設けることにより、例えば、テンション付与部25のメンテナンス作業時等に、リボンガイド30を軸方向に移動させることによりローラーガイド29、29から容易に取り外すことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0060】
また、リボンガイド30の両端部以外の部分を大径部30bとして設けることにより、リボンガイド30の強度の向上が図られ、インクリボン200の供給動作を円滑に行うことができる。
【0061】
支持軸28、28には付勢バネ34、34が支持されている。付勢バネ34としては、例えば、捩じりコイルバネが用いられている。
【0062】
付勢バネ34は、コイル部34aが支持軸28におけるローラーガイド29と支持面部26の間に位置する部分に支持され、一端部34bが軸挿通孔26bの下方側の端縁に係合され、他端部34cがローラーガイド29の軸支持突部33に係合されている。従って、ローラーガイド29、29及びリボンガイド30は付勢バネ34、34によってリボンガイド30が上方側へ移動する回動方向A(図3参照)へ付勢されている。
【0063】
ダンパー31、31はそれぞれ支持面部26、26に取り付けられている。ダンパー31はオイル封入部31aと該オイル封入部31aに回転自在に支持されたギヤ部31bとから成り、該ギヤ部31bから側方へ突出された図示しないオイル受部がオイル封入部31aの内部に配置されている。オイル封入部31aの内部には粘性抵抗を有するオイルが封入され、該オイルによってオイル受部が抵抗を受けてギヤ部31bの回転速度が制御される。
【0064】
ダンパー31はオイル封入部31aが支持面部26の外面側に取り付けられ、ギヤ部31bが配置孔26cから支持面部26の内方へ突出されている。ダンパー31、31はギヤ部31b、31bがそれぞれローラーガイド29、29のギヤ部32a、32aに噛合されている。従って、ローラーガイド29、29はダンパー31、31によって回動速度が制御される。
【0065】
インクリボン200は供給リール23から供給され巻取リール24によって巻き取られる。インクリボン200はヘッド機構部5の動作により印画ヘッド5aが印画紙100に接近されたときにリボン用ローラー5b、5bに押圧されて印画紙100に近付く方向へ押し出され、リボン用ローラー5b、5bの間に位置する部分が印画紙100にプラテンローラー15の反対側から押し付けられる。リボン駆動部6にあっては、巻取リール24が図示しないリボン供給用モーターの駆動力によって回転されインクリボン200が供給リール23から供給される。
【0066】
[サーマルヘッドプリンターの印刷動作]
上記のように構成されたサーマルヘッドプリンター1において、給紙ローラー8の回転によって印画紙100が装填部3から取り出されて排出トレイ21へ向けて送り出されると、印画紙100は折返しローラー9によって搬送方向が反転され送りガイド10及びガイド11、12に案内され、キャプスタン13の回転によって排紙トレイ21へ向けて搬送されていく。このとき印画紙100は送りガイド10に支持された回転可能な送りコロ16、16、・・・及びガイド12に支持された回転可能な送りローラー17、17、・・・と接触しながら円滑に搬送される。
【0067】
印画紙100がプラテンローラー15上を搬送されるときには、供給リール23からインクリボン200が供給されると共にヘッド機構部5が動作されて印画ヘッド5aがインクリボン200及び印画紙100に接近する。印画ヘッド5aがインクリボン200及び印画紙100に接近して接触すると、印画ヘッド5aに設けられている複数の発熱素子が選択的に通電されて駆動しインクリボン200に塗布されているインクが昇華されて印画紙100に対する印刷が行われる。
【0068】
印刷が行われた印画紙100は引き続き排紙トレイ21へ向けて搬送され、カッター機構部7の駆動により動作されたカッターによって印画紙100が切断されて排紙トレイ21に排出される。
【0069】
[テンション付与部の動作]
上記した印刷動作が開始される前の状態において、ヘッド機構部5が印刷開始前の待機位置にあるときには、インクリボン200はリボン用ローラー5b、5bに接触されているが、ヘッド機構部5が印画紙100に近付く方向へ動作されていないため、インクリボン200と印画紙100が離隔して位置されている(図4参照)。
【0070】
印刷動作が開始されるときには、上記したように、インクリボン200はヘッド機構部5の動作により印画ヘッド5aが印画紙100に接近されたときにリボン用ローラー5b、5bに押圧されて印画紙100に近付く方向へ押し出され、リボン用ローラー5b、5bの間に位置する部分が印画紙100にプラテンローラー15の反対側から押し付けられる(図5参照)。
【0071】
このときヘッド機構部5によってインクリボン200が下方側へ押圧されインクリボン200が供給リール23から引き出される方向への力Xが付与され、リボンガイド30がローラーガイド29、29と一体になって付勢バネ34、34の付勢力に抗して回動される。
【0072】
このようにインクリボン200には供給リール23から引き出される方向への力Xが付与されるが、付勢バネ34、34の付勢力によってローラーガイド29、29とリボンガイド30が上方へ回動する方向へ付勢されているため、力Xに対して反発する力Yがリボンガイド30からインクリボン200に対して付与される。
【0073】
従って、インクリボン200にはヘッド機構部5によってインクリボン200が下方側へ押圧されたときに同時にテンション付与部25によって力Yによるテンションが付与されるため、インクリボン200に弛みが生じることがない。
【0074】
ローラーガイド29、29及びリボンガイド30が回動されるときには、ダンパー31、31によってローラーガイド29、29及びリボンガイド30の回動速度が制御され、ローラーガイド29、29及びリボンガイド30の高速での回動動作が抑制される。
【0075】
[まとめ]
以上に記載した通り、サーマルヘッドプリンター1にあっては、印画ヘッド5aによってインクリボン200に供給リール23から引き出される方向への力が付与されたときにインクリボン200に印画ヘッド5aの押付方向に対して反発する方向への力を付与するテンション付与部25が設けられている。
【0076】
従って、インクリボン200に供給リール23から引き出される方向への力Xが付与されたときに、同時に、テンション付与部25によってインクリボン200に張力が付与されるため、インクリボン200に弛みが生じることがなく印画ムラが発生しないと共に即座に印刷を開始できるため印刷速度の高速化を図ることができる。
【0077】
また、サーマルヘッドプリンター1にあっては、テンション付与部25にインクリボン200に押し付けられて該インクリボン200に張力を付与するリボンガイド30と該リボンガイド30を付勢する付勢バネ34、34とを設けている。従って、テンション付与部25の構成が簡素であり、機構の簡素化による製造コストの低減及び小型化を図ることができる。
【0078】
さらに、リボンガイド30を供給リール23と巻取リール24の中央より供給リール23側に配置しているため、印画ヘッド5aから力を付与されたインクリボン200に弛みが生じ易い側でテンション付与部25からインクリボン200に印画ヘッド5aの押付方向に対して反発する方向への力が付与される。
【0079】
従って、インクリボン200の弛みの発生を確実に防止することができ、印画ムラの発生の防止と印刷速度の高速化を効果的に図ることができる。
【0080】
また、テンション付与部25にローラーガイド29、29及びリボンガイド30の回動速度を制御するダンパー31、31を設けているため、ローラーガイド29、29とリボンガイド30の高速での回動動作が抑制され、急激な張力の変動を抑制してインクリボン200を保護することができる。
【0081】
さらにまた、リボンガイド30を丸軸状に形成し該リボンガイド30の外周面がインクリボン200に押し付けられるため、インクリボン200に対する負荷が小さく、インクリボン200の供給動作を円滑に行うことができる。
【0082】
加えて、リボンガイド30が軸回り方向へ回転されるため、インクリボン200の供給動作を一層円滑に行うことができる。
【0083】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図2乃至図5と共に本発明サーマルヘッドプリンターの実施の形態を示すものであり、本図は、サーマルヘッドプリンターの概略側面図である。
【図2】リボン駆動部の斜視図である。
【図3】テンション付与部の拡大斜視図である。
【図4】印刷が開始される前の状態を示す概略側面図である。
【図5】印刷が開始されるときの状態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0085】
1…サーマルヘッドプリンター、3…装填部、4…搬送部、5a…印画ヘッド、6…リボン駆動部、7…カッター機構部、21…排紙トレイ(排出部)、22…リボントレイ、23…供給リール、24…巻取リール、25…テンション付与部、29…ローラーガイド、30…リボンガイド、31…ダンパー、34…付勢バネ、100…印画紙、200…インクリボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された印画紙が装填される装填部と、
前記装填部から前記印画紙を送り出して搬送する搬送部と、
印刷された前記印画紙を切断するカッターを有するカッター機構部と、
前記カッターによって切断された前記印画紙が排出される排出部と、
リボントレイと前記印画紙が巻回され前記リボントレイに各別に回転自在に支持されインクリボンが巻回された供給リール及び巻取リールとを有するリボン駆動部と、
前記インクリボンに押し付けられ前記インクリボンに塗布されたインクを昇華させて前記印画紙に対する印刷を行う印画ヘッドとを備え、
前記リボン駆動部における前記供給リールと前記巻取リールの間に、前記インクリボンに前記印画ヘッドが押し付けられ前記インクリボンに前記供給リールから引き出される方向への力が付与されたときに前記インクリボンに前記印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向への力を付与するテンション付与部を設けた
サーマルヘッドプリンター。
【請求項2】
前記テンション付与部に、前記インクリボンに押し付けられて前記インクリボンに張力を付与するリボンガイドと、前記リボンガイドを前記印画ヘッドの押付方向に対して反発する方向へ付勢する付勢バネとを設けた
請求項1に記載のサーマルヘッドプリンター。
【請求項3】
前記巻取リールを回転させて前記供給リールからの前記インクリボンの引出を行うリボン供給用モーターを設け、
前記リボンガイドを前記供給リールと前記巻取リールの中央より前記供給リール側に配置した
請求項2に記載のサーマルヘッドプリンター。
【請求項4】
前記テンション付与部に、前記リボントレイに回動自在に支持され前記リボンガイドを支持するローラーガイドと、前記ローラーガイドの回動速度を制御するダンパーとを設けた
請求項2に記載のサーマルヘッドプリンター。
【請求項5】
前記リボンガイドを丸軸状に形成し前記リボンガイドの外周面が前記インクリボンに押し付けられるようにした
請求項2に記載のサーマルヘッドプリンター。
【請求項6】
前記ローラーガイドに前記リボンガイドを軸回り方向へ回転自在に支持した
請求項4に記載のサーマルヘッドプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−230304(P2011−230304A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100046(P2010−100046)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】