説明

シ−ル印字装置及び転写カセット

【課題】 粘着シ−ルの印字装置と印字した粘着シ−ルを転写するシ−ル転写カセットを提供する。
【解決手段】 粘着シ−ルテ−プ3を有する構成体1とインクリボン8を有するユニット部6を印字装置に装着し、粘着シ−ルの非粘着面に印字を行い粘着シ−ルテ−プを巻取る。シ−ル転写カセット11に、印字した粘着シ−ルテ−プ、巻出リ−ル13、巻取リ−ル14を組み込むことにより粘着シ−ル15を剥離機構部分12を介して剥離させ被転写材40に転写させる。すでに印刷された図柄を使用することなく自由に文字や図柄や写真画像をなどを選択し、必要枚数だけ印字することができ、携帯性、利便性にとんだシ−ル転写を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シ−ルの非粘着面に文字や図柄や写真画像などを印字する印字装置および、印字した粘着シ−ルを転写するシ−ル転写カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
文字や画像を粘着シ−ルの非粘着部分に印刷し自走式カセットで該粘着シ−ルを被転写材に転写する方法が開示されているが、事前に印刷した図柄をそのまま使用するものであり、かつ粘着面が外側にある形態であった(特許文献1参照)。
【0003】
非粘着面が外側になるようにしてラベラ−に装着して粘着テ−プ部分を被転写材に転写させる粘着テ−プラベラ−も開示されているが、基材テ−プはラベラ−本体から排出する機構となっておりカセット本体に巻き取る構造とはなっておらず、携帯性にも不便があった(特許文献2参照)。
【0004】
また、印字用のインクリボンと被印字体である粘着シ−ルテ−プを同一のテ−プカ−トリッジに入れ印字する方式も開示されているが、印字後の被印字体を被転写体に貼るためには被印字体の背面にある離型紙を手で剥がして貼る方式となっている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−191925号 公報
【特許文献2】特開平06−99963号 公報
【特許文献3】特開平06−143694号 公報など
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
文字や図柄を粘着シ−ルの非粘着部分に印刷し自走式カセットで被転写材に転写する方法が開示されているが、粘着面を外側にした構成では粘着シ−ルの非粘着面にすでに印刷された図柄などを使用することになるため図柄の自由度に欠ける点があった。また粘着面にごみなどが付着し転写不良を生じることがあった。
【0007】
非粘着面が外側になるようにしてラベラ−に装着して粘着シ−ル部分を転写させる粘着シ−ルラベラ−も開示されているが、基材テ−プはラベラ−本体から排出する機構となっているため、使用者にとって転写を行う上で利便性にかけ、携帯性にも問題があった。
【0008】
印字用のインクリボンと被印字体である粘着シ−ルテ−プを同一のテ−プカ−トリッジに入れ印字する方式も開示されているが、印字後の被印字体を被転写体に貼るためには被印字体の背面にある離型紙を手で剥がして貼る方式となっているため、印字後のラベルを貼るのに不便があり使用者が貼りたい場所に簡便に貼ることを考えると利便性に欠けていた。また、印字後の被印字体は印字装置から排出される構造となっており被印字体を巻き取る構成ではなかった。
【0009】
そこで、本発明は上記従来技術の問題に鑑みなされたものであり、粘着シ−ルの非粘着面を外側にして基材テ−プに貼着した粘着シ−ルテ−プ上の粘着シ−ルの非粘着面に印字装置により使用者が所望する文字や図柄や写真画像などを必要な枚数だけ印字し、巻取リ−ルに巻き取ったのち、被転写体に転写できるシ−ル転写カセットとその印字装置を提供することを課題とする。
【0010】
さらにシ−ル転写カセットについてはコンパクト化された形態とし、基材テ−プ自体もカセット内に巻き取る構成とすることにより転写に際しての使用者の利便性や携帯性を考慮したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は課題を解決するための手段として、請求項1では、基材テ−プ上に、複数の粘着シ−ルがその粘着層により所定間隔で連続的に貼着保持されている粘着シ−ルテ−プを、粘着シ−ルの非粘着面を外側にして巻き回した巻出リ−ルと粘着シ−ルテ−プを巻き取る巻取リ−ルとを有する粘着シ−ルテ−プ構成体に装着し、さらに該粘着シ−ルテ−プ構成体を印字装置に装着することにより粘着シ−ルの非粘着面に文字等を印字することができるようにしたことを特徴としている。
【0012】
請求項2においては請求項1を溝足する印字装置で作成された前記粘着シ−ルテ−プ構成体を基材テ−プから粘着シ−ルを剥離させる剥離機構が内部に保持されたカセットに挿入し、粘着シ−ルテ−プを剥離機構部分に接触させ粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させ被転写材に転写させるようにしたことを特徴としている。
【0013】
前記粘着シ−ルテ−プ構成体を印字装置に装着することにより文字や図柄などを印字するとき複雑な機構も必要とせず、印字装置への着脱が簡便にでき操作性に優れる。
【0014】
また、印字装置を使用することにより、使用者が印字する図柄を自由に選択することができるため、個性に富んだ粘着シ−ルを転写させることができる。
【0015】
請求項3は基材テ−プ上に、複数の粘着シ−ルがその粘着層により所定間隔で連続的に貼着保持されている粘着シ−ルテ−プを、粘着シ−ルの非粘着面を外側にして巻き回した巻出リ−ル、粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させる剥離機構、粘着シ−ルテ−プを巻き取る巻取リ−ルを有するカセットに装着し粘着シ−ルの非粘着面に文字等を印字することができるようにしたことを特徴としている。
【0016】
請求項4は請求項3に使用するカセットであることを特徴としている。
【0017】
請求項5および請求項6は、請求項1及至請求項4で使用する印字方式として単色及び写真画像のようなカラ−印字を小スペ−スで印字可能な熱転写方式もしくはインクジェット方式とする事を特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の印字装置を利用することにより、すでに印刷された図柄にこだわらず使用者が文字や図柄や写真画像など自由に印字パタ−ンを選択し、必要な枚数だけ印字することができ、携帯性に優れ、利便性や図柄の自由度にとんだシ−ル転写カセットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
図1(a)は本発明の一実施形態に係る印字装置で、熱転写方式の印字装置を使用した形態である。熱転写に使用するリボン8はリボンの巻出7と巻取10を備えたユニット部6を有し、巻取10を駆動させることにより印字に使用したリボンを巻き取る。印字される粘着シ−ルをもつ粘着シ−ルテ−プ構成体1は粘着シ−ルテ−プ3を巻き回した巻出リ−ル2と印字した粘着シ−ルテ−プを巻き取る巻取リ−ル5で構成されている。
【0020】
熱転写印字はプラテンロ−ル4、粘着シ−ルテ−プ3、熱転写リボン8をサ−マルヘッド9で押さえつけて印字に必要な印字エネルギ−を印加することにより行う。
【0021】
印字を行うときの粘着シ−ルテ−プの巻取リ−ル5の駆動はプラテンロ−ル4の駆動部分から歯車17,18,19を介して行い、スリップトルクを利用することにより印字走行時の巻取リ−ル5の回転力のバランスをとって粘着シ−ルテ−プの巻取に異常が発生しないようにする。
【0022】
印字された粘着シ−ルテ−プ3と巻出リ−ル2と巻取リ−ル5との構成体を印字装置から取り出し、印字時の巻取リ−ル5が巻出リ−ル13になり、印字時の巻出リ−ル2が巻取リ−ル14になるように粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させる剥離機構を保持したカセット11に挿入し、巻出リ−ル13と巻取リ−ル14とのあいだにベルト23を介在させて矢印のように被転写材40に沿ってカセット11を動かす。これにより図1(b)に示したようにテ−プ引出しロ−ラ16が剥離機構部分12と巻取リ−ル14の間で粘着シ−ルテ−プと接触しつつ被転写材40上を回転して粘着シ−ルテ−プが巻取リ−ル13から引出され、粘着シ−ルテ−プを剥離機構部分12に接触させて粘着シ−ル15を基材テ−プから剥離させることによって被転写材40上に粘着シ−ル15を転写させる。
【0023】
印字後の粘着シ−ルテ−プ3をカセットに装着するために粘着シ−ルテ−プ構成体の巻出と巻取部分を印字装置から取り外してカセット11に装着してもよいが、印字後印字装置から取り外した位置関係のままカセットに装着できるような交換方式として巻取や巻出を一体化して印字装置やカセットへの装脱着が簡便にできるようにしてもよい。
【0024】
印字の際に必要となるプラテンロ−ルは粘着シ−ルテ−プ構成体の機構部分に組み込むか、プリンタ−本体に設置するかは適宜印字装置設計のさいに選択すればよい。
【0025】
図2(a)は基材テ−プ上に、複数の粘着シ−ルがその粘着層により所定間隔で連続的に貼着保持されている粘着シ−ルテ−プ3を、粘着シ−ルの非粘着面を外側にして巻き回した巻出リ−ル2と粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させる剥離機構21、粘着シ−ルテ−プを巻き取る巻取リ−ル5とをはじめからカセット22に装着し粘着シ−ルの非粘着面に文字等を印字することができるようにした形態を示す。
【0026】
印字を行うときの巻取リ−ル5の駆動はプラテンロ−ル4の駆動部分から歯車17,18,19を介して行い、スリップトルクを利用して粘着シ−ルテ−プの巻取に異常が発生しないようにする。
【0027】
粘着シ−ルテ−プから粘着シ−ルを剥離するための剥離機構部分21は回転できるようにし、印字を行うときは鋭角にとがった剥離機構部分ではなく反対側の円形部分が粘着シ−ルテ−プの背面と接するように回転させ、印字走行時の走行安定性を与えるためのガイド機構をもたせるものとする。
【0028】
印字を行うときの剥離機構部分の先端は粘着シ−ルテ−プと接触しないように剥離機構部分をスライドさせるなどして印字するときに剥離機構部分で粘着シ−ルが剥離しにくいようにしたり、剥離機構部分の先端形状を丸くして印字するときに粘着シ−ルが剥れにくくするなどして印字するときには粘着シ−ルが剥れず、転写するときには剥離機構部分で剥離するよう適宜形状を選択することもできる。
【0029】
印字後のカセットは図2(b)に示すように粘着シ−ルテ−プから粘着シ−ル15を剥離するための剥離機構部分21を回転させて鋭角部分がカセットの外側に向くようにしたシ−ル転写カセット22とし、被転写材40上で剥離機構部分21を矢印方向に移動させることにより粘着シ−ル15を被転写体40に転写させる。
【0030】
上記実施の形態では印字方式として熱転写方式を使用する形態を示したが、インクジェット方式を使用してフルカラ−画像を得ることもできる。
【0031】
本発明の実施形態では、印字を行うときの巻取リ−ルの駆動はプラテンロ−ルの駆動部分から歯車を介して行う構成としたが、巻取リ−ルの駆動はプラテンロ−ルの駆動と独立させても良い。
【0032】
シ−ル転写カセットの駆動方法としては剥離機構部分を被転写体に押し当てて動かすことによって巻出リ−ル13と巻取リ−ル14とを回転させる方法としてもよいし、図3に示すように回転ダイヤル31を指先で回転させることにより巻取リ−ル14を回転させて粘着シ−ルテ−プを巻出リ−ル13から引出し剥離機構部分21で粘着シ−ル15を押出して被転写材40に押圧することによって転写させる機構にしてもよい。
【0033】
シ−ル転写カセットの駆動形態としてはベルトを使用した回転方式を最良の形態として示したが歯車を使用した回転方式なども適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】 (a)は本発明の一実施形態を示す印字装置の印字部分図。(b)は(a)による印字後の粘着シ−ルテ−プを用いたシ−ル転写カセットを使用する転写状態図。
【図2】 (a)は本発明の別の実施形態を示す印字装置の印字部分図。(b)は(a)による印字後の粘着シ−ルテ−プを用いたシ−ル転写カセットを使用する転写状態図。
【図3】 回転ダイヤルを利用したシ−ル転写カセットを使用する転写状態図。
【符号の説明】
【0035】
1 粘着シ−ルテ−プ構成体
2 粘着シ−ルテ−プ巻出リ−ル
3 粘着シ−ルテ−プ
4 プラテンロ−ル
5 粘着シ−ルテ−プ巻取リ−ル
6 熱転写リボンユニット部
7 熱転写リボン巻出
8 熱転写リボン
9 サ−マルヘッド
10 熱転写リボン巻取
11 シ−ル転写カセット
12 剥離機構部分
13 シ−ル転写巻出リ−ル
14 シ−ル転写巻取リ−ル
15 粘着シ−ル
16 テ−プ引出しロ−ラ
17 歯車
18 歯車
19 歯車
21 剥離機構部分
22 シ−ル転写カセット
23 ベルト
31 回転ダイヤル
40 被転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材テ−プ上に複数の粘着シ−ルがその粘着層により所定間隔で連続的に貼着保持されている粘着シ−ルテ−プを、粘着シ−ルの非粘着面を外側にして巻き回した巻出リ−ルと粘着シ−ルテ−プを巻き取る巻取リ−ルとを有する構成体(粘着シ−ルテ−プ構成体)に装着し、さらに該粘着シ−ルテ−プ構成体を装着することにより粘着シ−ルの非粘着面に文字等を印字することができるようにしたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
基材テ−プ上に複数の粘着シ−ルがその粘着層により所定間隔で連続的に貼着保持されている粘着シ−ルテ−プを、粘着シ−ルの非粘着面を外側にして巻き回した巻出リ−ルと粘着シ−ルテ−プを巻き取る巻取リ−ルとを有する粘着シ−ルテ−プ構成体に装着し、さらに該粘着シ−ルテ−プ構成体を印字装置に装着することにより粘着シ−ルの非粘着面に文字等を印字した後、該粘着シ−ルテ−プ構成体を印字装置から取り外し粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させる剥離機構を保持したカセットに挿入し粘着シ−ルテ−プを剥離機構部分に接触させ粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させ被転写材に転写させるようにしたことを特徴とするシ−ル転写カセット。
【請求項3】
基材テ−プ上に複数の粘着シ−ルがその粘着層により所定間隔で連続的に貼着保持されている粘着シ−ルテ−プを、粘着シ−ルの非粘着面を外側にして巻き回した巻出リ−ルと粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させる剥離機構、粘着シ−ルテ−プを巻き取る巻取リ−ルを有するカセットに装着し、さらに該カセットを装着することにより粘着シ−ルの非粘着面に文字等を印字することができるようにしたことを特徴とする印字装置。
【請求項4】
基材テ−プ上に複数の粘着シ−ルがその粘着層により所定間隔で連続的に貼着保持されている粘着シ−ルテ−プを、粘着シ−ルの非粘着面を外側にして巻き回した巻出リ−ルと粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させる剥離機構、粘着シ−ルテ−プを巻き取る巻取リ−ルを有するカセットに装着し、さらに該カセットを印字装置に装着することにより粘着シ−ルの非粘着面に文字等を印字した後、該カセットを印字装置から取り外し粘着シ−ルテ−プを剥離機構部分に接触させ粘着シ−ルを基材テ−プから剥離させ被転写材に転写させるようにしたことを特徴とするシ−ル転写カセット。
【請求項5】
請求項1及至請求項4の印字に熱転写方式を使用することを特徴とする印字装置。
【請求項6】
請求項1及至請求項4の印字にインクジェット方式を使用することを特徴とする印字装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−52006(P2006−52006A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259013(P2004−259013)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000109037)ダイニック株式会社 (55)
【Fターム(参考)】