説明

シアニン色素

【課題】
本発明は、高密度光記録媒体において優れた記録特性を発揮する有機色素化合物とその用途を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、特定の構造、物性を有する非対称トリメチン系シアニン色素、そのシアニン色素を含んでなる光吸収剤及び光記録媒体、さらには、活性メチル基若しくは適宜の脱離基を有する3,3−ジメチル−5−ニトロインドリウム化合物又は3,3−ジメチル−5−スルホンアミドインドリウム化合物のいずれかに、活性メチル基若しくは適宜の脱離基を有する3,3−ジメチル−ベンゾインドリウム化合物を反応させる工程を経由する該シアニン色素の製造方法を提供することによって解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシアニン色素に関するものであって、詳細には、高密度光記録媒体において優れた記録特性を発揮する非対称トリメチン系シアニン色素に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マルチメディア時代の到来に伴い、CD−R(コンパクトディスクを利用する追記型メモリ)やDVD−R(デジタルビデオディスクを利用する追記型メモリ)などの光記録媒体が脚光を浴びている。光記録媒体は、テルル、セレン、ロジウム、炭素、硫化炭素などの無機物を用いて記録層を構成する無機穴あけ型光記録媒体と、有機色素化合物を主体とする光吸収剤により記録層を構成する有機穴あけ型光記録媒体に大別することができる。
【0003】
このうち、有機穴あけ型光記録媒体は、通常、シアニン色素を2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(以下、「TFP」と略記する。)などの有機溶剤に溶解し、溶液をポリカーボネートの基板に塗布し、乾燥して記録層を形成した後、金、銀、銅などの金属による反射層及び紫外線硬化樹脂などによる保護層を順次密着させて形成することによって作製される。有機穴あけ型光記録媒体は、無機穴あけ型のものと比較して、読取光や自然光などの環境光によって記録層が変化し易いという欠点はあるものの、光吸収剤を溶液にして直接基板に塗布することによって記録層を構成し得ることから、光記録媒体を低廉に作製できる利点がある。加えて、有機穴あけ型光記録媒体は、有機物を主体に構成されるので、湿気や海水にさらされる環境下でも腐食し難い利点があることと、有機穴あけ型光記録媒体の1種である熱変形型光記録媒体の出現によって、光記録媒体に記録された情報をコンパクトディスクの読取装置を用いて読み取れるようになったことから、今や廉価な光記録媒体の主流になりつつある。
【0004】
有機穴あけ型光記録媒体における緊急の課題は、マルチメディア時代に対応するためのさらなる高密度化である。現在、斯界において鋭意推進されている高密度化の研究は、主として、情報の書込に用いるレーザー光の波長をGaAlAs系半導体レーザーによる現行の775乃至795nmから660nm以下に短波長化することによって、片面当りの記録容量を4.7GB以上に増大することを目指している。しかしながら、CD−R用として開発されたシアニン色素は、DVD−Rなどの高密度光記録媒体において、その多くが波長660nm以下のレーザー光を用いて情報を適切に書き込んだり読み取ったりできないことから、現状のままでは各方面で希求されている高密度化の要請に応じられないこととなる。
【0005】
有機穴あけ型光記録媒体の高密度化を妨げる別の原因として、色素の熱分解性、耐熱性の問題がある。すなわち、有機穴あけ型光記録媒体においては、レーザー光を吸収した色素が融解し、分解し、その際に発生する熱を利用してピットを形成しているところ、公知のシアニン色素の多くは融点と分解点が互いに分離しているうえに、それらの温度差が大きいことから、レーザー光を照射したときのピットの形成が緩慢になり、融解熱や分解熱が照射点の周囲にまで伝導して既に形成されている近接ピットを変形させ易いという問題がある。さらに、公知のシアニン色素の多くは分解点が低く、その結果として、耐熱性が小さいことから、読取に際して、レーザー光に長時間露光させると、蓄積した熱によって記録面におけるピット周辺とピットが形成されていない部分が変形し易いという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
斯かる状況に鑑み、この発明の課題は、高密度光記録媒体において優れた記録特性を発揮する有機色素化合物とその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる課題を解決すべく、本発明者が鋭意研究し、検索したところ、活性メチル基若しくは適宜の脱離基を有する3,3−ジメチル−5−ニトロインドリウム化合物又は3,3−ジメチル−5−スルホンアミドインドリウム化合物のいずれかに、活性メチル基若しくは適宜の脱離基を有する3,3−ジメチルベンゾインドリウム化合物を反応させる工程を経由して得ることのできる特定の非対称トリメチン系シアニン色素(以下、単に「シアニン色素」と呼称することがある。)は、可視領域に吸収極大を有し、薄膜状態において波長650nm付近の可視光を実質的に吸収することを見出した。また、斯かるシアニン色素の多くは、公知の類縁化合物とは違って、融点と区別し難い分解点か分解点のみを有し、しかも、公知の類縁化合物と比較して、分解点が有意に高く、耐熱性が大きいうえに、分解点付近において著しく急峻に分解することを見出した。斯かるシアニン色素は、光記録媒体において、波長650nm付近のレーザー光を照射すると、記録面に安定にして微小なピットを高密度且つ迅速に形成することを確認した。この発明は新規な有機色素化合物の創製と、その産業上有用な特性の発見に基づくものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明のシアニン色素は、可視領域に吸収極大を有し、薄膜状態において波長650nm付近の可視光を実質的に吸収する。しかも、この発明のシアニン色素は、融点と区別し難い分解点か分解点のみを有することに加えて、分解点が高く、耐熱性が大きいうえに、分解点付近で急峻に分解する。したがって、この発明のシアニン色素は、DVD−Rにおけるがごとく、書込光として波長650nm付近のレーザー光を用い、情報の書込に際して、限られた記録面に安定にして微小なピットを高密度且つ迅速に形成しなければならない高密度光記録媒体の光吸収剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明によるシアニン色素と公知の類縁化合物の薄膜状態における可視吸収スペクトルである。
【図2】図2は、この発明によるシアニン色素のDTA及びTGAの結果を示す図である。
【図3】図3は、公知の類縁化合物のDTA及びTGAの結果を示す図である。
【図4】図4は、この発明のシアニン色素の示差熱量曲線を示す図である。
【図5】図5は、公知の類縁化合物の示差熱量曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、前述の課題を、一般式1又は一般式2のいずれかで表されるシアニン色素、とりわけ、薄膜状態において波長650nm付近の可視光を実質的に吸収し、かつ、融点と区別し難い分解点か分解点のみを有するシアニン色素を提供することによって解決するものである。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
一般式1及び一般式2を通じて、R1はニトロ基又はスルホンアミド基を表し、そのスルホンアミド基は水素原子の一方又は両方が、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、5−メチルヘキシル基などの直鎖状又は分岐若しくは環状構造を有する低級アルキル基で置換されるか、あるいは、スルホンアミド基における窒素原子を含んで、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、モルホリン環などの複素環を形成していてもよい。
【0014】
2及びR3は、それぞれ独立に、アルケニル基、アラルキル基、あるいは、直鎖状又は分岐を有するアルキル基を表し、それらのアルケニル基、アラルキル基及びアルキル基は置換基を1又は複数有していてもよい。R2及びR3におけるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基などが挙げられ、これらは、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基若しくはハロアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、さらには、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホニル基、アミド基、ヒドロキシ基などの置換基を1又は複数有していてもよい。
【0015】
2及びR3におけるアラルキル基としては、メチレン基の個数が5まで、通常、1乃至3の範囲にあり、かつ、その一端に、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、キシリル基、メシチル基、スチリル基、シンナモイル基、ナフチル基、アントラセニル基、アントラキノニル基、カルバゾリル基、2−ピリジル基、2−キノリル基、2−テトラヒドロピラニル基、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル基、1,3−ジオキソラン−2−イル基、3,5−ジメチル−イソオキサゾール−4−イル基、3−ピペリジニル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、1−ピペラジニル基、ピロリジン−1−イル基、1−メチル−2−ピロリジニル基、2−ベンゾイミダゾリル基、フタルイミド−1−イル基、5−ウラシル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基などの単環式若しくは多環式の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は複素環基を結合してなるものが挙げられ、これらの炭化水素基及び複素環基は、例えば、ハロゲン基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホニル基、アミド基、ヒドロキシ基などの前述のアルケニル基におけると同様の置換基か、あるいは、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、5−メチルヘキシル基などの直鎖状又は環状構造若しくは分岐を有する低級アルキル基又はハロアルキル基を1又は複数有していてもよい。
【0016】
さらに、R2及びR3におけるアルキル基としては、直鎖状又は分岐を有する、通常、炭素数12まで、望ましくは、炭素数1乃至8の、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、5−メチルペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。これらのアルキル基は置換基を1又は複数有していてもよく、個々の置換基としては、例えば、ハロゲン基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホニル基、アミド基、ヒドロキシ基などの前述のアルケニル基におけると同様の置換基か、あるいは、フェニル基、ビフェニリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、キシリル基、メシチル基、スチリル基、シンナモイル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。望ましいのは、R2及びR3が、それぞれ、Cm2m+1及びCn2n+1で表される互いに同じか異なるアルキル基(m及びnはm+n≦7である自然数)の場合であり、斯かるアルキル基を有するシアニン色素は特に融点と区別し難い分解点か分解点のみを有し、分解点付近で急峻に分解する特に優れた光吸収剤となる。
【0017】
一般式1及び一般式2を通じて、X-は対イオンを表し、R2又はR3のいずれかが負に荷電する置換基を有し、その置換基が分子内塩を形成する場合には存在しない。用途にもよるけれども、対イオンとしては、個々の有機溶剤におけるシアニン色素の溶解度や記録層における安定性などを勘案しながら適宜のものとすればよく、通常、弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、過塩素酸イオン、過沃素酸イオン、燐酸イオン、六弗化燐酸イオン、六弗化アンチモン酸イオン、六弗化錫酸イオン、硼弗化水素酸イオン、四弗硼素酸イオンなどの無機酸アニオンや、チオシアン酸シオン、ベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸イオン、アルキル硫酸イオン、トリハロアルキル硫酸イオン、ニコチン酸イオンなどの有機酸アニオン、さらには、アゾ系、ビスフェニルジチオール系、チオカテコールキレート系、チオビスフェノレートキレート系、ビスジチオール−α−ジケトン系の有機金属錯体アニオンなどから選択する。なお、一般式1及び一般式2で表されるシアニン色素において、構造上、シス/トランス異性体が存在する場合には、いずれの異性体もこの発明に包含されるものとする。また、最終用途にもよるけれども、R1としては、通常、ニトロ基が望ましい。
【0018】
この発明のシアニン色素の具体例としては、例えば、化学式1乃至化学式28で表されるものが挙げられる。これらは、いずれも、可視領域に吸収極大を有し、薄膜状態において波長650nm付近の可視光を実質的に吸収する。また、その多くは融点と区別し難い分解点か分解点のみを有するうえに、分解点が高く、しかも、分解点付近で急峻に分解する。これらのシアニン色素は、書込光として波長650nm付近のレーザー光を用いる光記録媒体、とりわけ、書込光として波長630乃至680nmのレーザー光を用いるDVD−Rなどの高密度光記録媒体における光吸収剤として極めて有用である。
【0019】
【化3】

【0020】
【化4】

【0021】
【化5】

【0022】
【化6】

【0023】
【化7】

【0024】
【化8】

【0025】
【化9】

【0026】
【化10】

【0027】
【化11】

【0028】
【化12】

【0029】
【化13】

【0030】
【化14】

【0031】
【化15】

【0032】
【化16】

【0033】
【化17】

【0034】
【化18】

【0035】
【化19】

【0036】
【化20】

【0037】
【化21】

【0038】
【化22】

【0039】
【化23】

【0040】
【化24】

【0041】
【化25】

【0042】
【化26】

【0043】
【化27】

【0044】
【化28】

【0045】
【化29】

【0046】
【化30】

【0047】
この発明のシアニン色素は諸種の方法で製造することができるけれども、経済性を重視するのであれば、活性メチル基若しくは適宜の脱離基を有する3,3−ジメチル−5−ニトロインドリウム化合物又は3,3−ジメチル−5−スルホンアミドインドリウム化合物のいずれかに、活性メチル基若しくは適宜の脱離基を有する3,3−ジメチルベンゾインドリウム化合物を反応させる工程を経由する方法が好適である。この方法によるときには、例えば、一般式1又は一般式2に対応するR1及びR2を有する一般式3で表される化合物に、一般式1又は一般式2に対応するR3を有する一般式4又は一般式5で表される化合物を反応させるか、あるいは、一般式1又は一般式2に対応するR1及びR2を有する一般式6で表される化合物に、一般式1又は一般式2に対応するR3を有する一般式7又は一般式8で表される化合物を反応させることによって、この発明のシアニン色素が好収量で生成する。
【0048】
【化31】

【0049】
【化32】

【0050】
【化33】

【0051】
【化34】

【0052】
【化35】

【0053】
【化36】

【0054】
すなわち、反応容器に一般式3で表される化合物と一般式4又は一般式5のいずれかで表される化合物か、あるいは、一般式6で表される化合物と一般式7又は一般式8のいずれかで表される化合物をそれぞれ適量とり、例えば、酢酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、クレゾール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水などの溶剤かそれらの混液に溶解し、必要に応じて、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、モルホリン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの塩基性化合物の存在下で加熱・攪拌しながら0.5乃至5時間反応させる。その後、反応混合物のまま、必要に応じて、通常の対イオン交換反応させることによって、所望の対イオンを有するこの発明のシアニン色素を得る。化学式1乃至化学式28で表されるシアニン色素は、いずれも、斯かる方法によって所望量を得ることができる。ちなみに、一般式3乃至一般式8で表される化合物は、例えば、同じ特許出願人による特開平10−316655号公報に記載された方法に準じて調製することができる。一般式3乃至一般式8において、X1-及びX2-は互いに同じか異なる適宜の対イオンであり、また、Lは適宜の脱離基であって、通常、アニリノ基、p−トルイジノ基、p−メトキシアニリノ基、p−エトキシカルボニルアニリノ基、N−アセチルアニリノ基などのアニリン又はアニリン誘導体の1価基が採用される。
【0055】
斯くして得られるこの発明のシアニン色素は、用途によっては反応混合物のまま用いられることもあるが、通常、使用に先立って、例えば、溶解、抽出、分液、傾斜、濾過、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、結晶化、昇華などの類縁化合物を精製するための通常一般の方法により精製され、必要に応じて、これらの精製方法は組合せて適用される。なお、この発明のシアニン色素をDVD−Rなどの高密度光記録媒体における光吸収剤として用いる場合には、使用に先立って、蒸留、結晶化及び/又は昇華などの方法によって精製しておくのが望ましい。
【0056】
次に、この発明のシアニン色素の用途について説明すると、この発明のシアニン色素は、既述のとおり、可視領域に吸収極大を有し、薄膜状態において波長650nm付近の可視光、とりわけ、波長630乃至680nmのレーザー光を実質的に吸収する。しかも、この発明のシアニン色素は、公知の類縁化合物とは違って、後記する実施例の方法により測定すると、分解点(熱重量分析において、被験試料としてのシアニン色素の重量が減少し始める温度)が融点(示差熱分析において、被験試料としてのシアニン色素が吸熱し始める温度)と著しく近接し(通常、融点と分解点の温度差が10℃以下)、融点と区別し難い分解点か分解点のみを有することに加えて、分解点が260℃以上、望ましくは、270乃至300℃と極めて高いうえに、分解点付近で急峻に分解する。したがって、この発明のシアニン色素は、斯かる性質を具備する有機色素化合物が必要とされる、例えば、光記録媒体、光化学的重合、太陽電池及び染色をはじめとする諸分野において多種多様の用途を有することとなり、とりわけ、波長650nm付近のレーザー光に感度を有する光吸収剤として、情報の書込・読取に斯かるレーザー光を用いるDVD−Rなどの高密度光記録媒体において極めて有用である。
【0057】
特に、この発明のシアニン色素は、DVD−Rなどの高密度光記録媒体に用いると、書込に際して、照射点のシアニン色素だけが速やかに分解して所定のピットを形成することとなり、公知の類縁化合物を用いる場合とは違って、融解熱や分解熱が照射点の周囲にまで伝導して既に形成されている近接ピットを変形することがないので、光記録媒体における限られた記録面に微小なピットを高密度且つ迅速に形成するのが極めて容易となる。融点や分解点の低いシアニン色素は、読取に際して、光記録媒体を長時間読取光に露光させると、蓄積した熱によって記録面におけるピット周辺とピットが形成されていない部分を変形させ易いという問題があるところ、この発明のシアニン色素の多くは分解点が高いので、斯かる問題を招来し難い。加えて、この発明のシアニン色素の多くは、TFPなどの光記録媒体の分野で頻用される有機溶剤において実用上全く支障のない溶解性を発揮するので、この発明のシアニン色素を光記録媒体の基板に塗布する作業の効率や製品の歩留りを上げたり、製品の品質、特性を高水準に維持するのが容易となる。
【0058】
そこで、この発明によるシアニン色素の用途に関連して、有機穴あけ型光記録媒体への適用を例に挙げて説明すると、この発明のシアニン色素は、光記録媒体に用いるに際して特殊な処理や操作を必要としないことから、この発明による光記録媒体は従来公知の光記録媒体に準じて作製することができる。例えば、光吸収剤として、この発明のシアニン色素の1又は複数に、記録層における光反射率や光吸収率を調節すべく、必要に応じて、可視光に感度を有する他の有機色素化合物の1又は複数を含有せしめたり、汎用の耐光性改善剤、バインダー、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを1又は複数添加したうえで有機溶剤に溶解し、溶液を噴霧法、浸漬法、ローラー塗布法、回転塗布法などにより基板の片面に均一に塗布し、乾燥させて記録層となる光吸収剤による薄膜を形成した後、必要に応じて、反射率が45%以上、望ましくは、55%以上になるように、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより、金、銀、銅、白金、アルミニウム、コバルト、錫、ニッケル、鉄、クロムなどの金属若しくはそれらの合金か、あるいは、汎用の有機系反射層用材による記録層に密着する反射層を形成したり、傷、埃、汚れなどから記録層を保護する目的で、難燃剤、安定剤、帯電防止剤などを含有せしめた紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂などを塗布し、光照射するか加熱して硬化させることによって反射層に密着する保護層を形成する。その後、必要に応じて、上述のようにして記録層、反射層及び記録層を形成した2枚の基板を、例えば、接着剤、粘着シートなどにより保護層同士を対向させて貼り付けるか、あるいは、保護層に対して基板におけると同様の材料、形状の保護板を貼り付ける。
【0059】
この発明のシアニン色素と組合せて用いる他の有機色素化合物としては、それが可視光に感度を有し、この発明のシアニン色素と組合せて用いることによって光記録媒体における記録層の光反射率や光吸収率を調節し得るものであるかぎり、特に制限がない。斯かる有機色素化合物としては、置換基を1又は複数有することあるモノメチン鎖、トリメチン鎖、ペンタメチン鎖又はヘプタメチン鎖の両側に、置換基を1又は複数有することある、互いに同じか異なるイミダゾリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、α−ナフトイミダゾール環、β−ナフトイミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドール環、イソインドール環、インドレニン環、イソインドレニン環、ベンゾインドレニン環、ピリジノインドレニン環、オキサゾリン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジノオキサゾール環、α−ナフトオキサゾール環、β−ナフトオキサゾール環、セレナゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、α−ナフトセレナゾール環、β−ナフトセレナゾール環、チアゾリン環、チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、α−ナフトチアゾール環、β−ナフトチアゾール環、テルラゾリン環、テルラゾール環、ベンゾテルラゾール環、α−ナフトテルラゾール環、β−ナフトテルラゾール環、さらには、アクリジン環、アントラセン環、イソキノリン環、イソピロール環、イミダキノキサリン環、インダンジオン環、インダゾール環、インドリン環、オキサジアゾール環、カルバゾール環、キサンテン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、クロマン環、シクロヘキサンジオン環、シクロペンタンジオン環、シンノリン環、チオジアゾール環、チオオキサゾリドン環、チオフェン環、チオナフテン環、チオバルビツール酸環、チオヒダントイン環、テトラゾール環、トリアジン環、ナフタレン環、ナフチリジン環、ピペラジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾロン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピリリウム環、ピロリジン環、ピロリン環、ピロール環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントレン環、フェナントロリン環、フタラジン環、プテリジン環、フラザン環、フラン環、プリン環、ベンゼン環、ベンゾオキサジン環、ベンゾピラン環、モルホリン環、ロダニン環などの環状核が結合してなるシアニン色素、メロシアニン色素、オキサノール色素、スチリル色素、アズレニウム色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素、フェナントレン色素などのポリメチン系色素に加えて、アクリジン系、アザアヌレン系、アゾ金属錯体系、アントラキノン系、インジゴ系、インダンスレン系、オキサジン系、キサンテン系、ジオキサジン系、チアジン系、チオインジゴ系、テトラピラポルフィラジン系、トリフェニルメタン系、トリフェノチアジン系、ナフトキノン系、フタロシアニン系、ベンゾキノン系、ベンゾピラン系、ベンゾフラノン系、ポルフィリン系、ローダミン系の色素が挙げられ、必要に応じて、これらは適宜配合して用いられる。なお、この発明のシアニン色素と組合せて用いる有機色素化合物としては、薄膜状態において可視領域、とりわけ、波長400乃至850nmに吸収極大を有するものが望ましい。
【0060】
耐光性改善剤としては、例えば、ニトロソジフェニルアミン、ニトロソアニリン、ニトロソフェノール、ニトロソナフトールなどのニトロソ化合物や、テトラシアノキノジメタン化合物、ジインモニウム塩、ビス[2´−クロロ−3−メトキシ−4−(2−メトキシエトキシ)ジチオベンジル]ニッケル(商品名『NKX−1199』、株式会社林原生物化学研究所製造)、ホルマザン金属錯体、アゾ系金属錯体などの金属錯体が挙げられ、必要に応じて、これらは適宜組合せて用いられる。望ましい耐光性改善剤はニトロソ化合物やホルマザン金属錯体、アゾ系金属錯体を含んでなるものであり、個々のニトロソ化合物及びホルマザン金属錯体としては、例えば、同じ特許出願人による特願平11−88983号明細書(発明の名称「フェニルピリジルアミン誘導体」)に開示されたフェニルピリジルアミン骨格を有するニトロソ化合物や、ホルマザン化合物の1又は複数を配位子とする、例えば、ニッケル、亜鉛、コバルト、鉄、銅、パラジウムなどとの金属錯体を含んでなるものである。斯かる耐光性改善剤と併用するときには、有機溶剤におけるこの発明のシアニン色素の溶解性を低下させたり、望ましい光特性を実質的に損なうことなく、読取光や自然光などの環境光への露光によるシアニン色素の劣化、退色、変色、変性などの望ましくない変化を効果的に抑制することができる。配合比としては、通常、光吸収剤としてのシアニン色素1モルに対して耐光性改善剤を0.01乃至10モル、望ましくは、0.05乃至5モルの範囲で加減しながら含有せしめる。
【0061】
耐光性改善剤は、必ずしも、この発明のシアニン色素から独立した別個の化合物である必要はなく、必要に応じて、適宜のスペーサーと、架橋剤として、例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属元素のアルコキシド若しくはシアレートか、あるいは、カルボニル化合物若しくはヒドロキシ化合物を配位子とするこれらの金属元素の錯体とを用いて、耐光性改善能を有する汎用のアゾ系、ビスフェニルジチオール系、フェニルビスジオール系、チオカテコールキレート系、チオビスフェノレートキレート系、ビスジチオール−α−ジケトン系などの有機金属錯体アニオンとこの発明のシアニン色素とを一体の塩、錯体又は複合体に形成してもよい。望ましいのはアゾ系の有機金属錯体アニオンであり、個々の有機金属錯体アニオンとしては、例えば、一般式9乃至一般式12で表されるものが挙げられる。
【0062】
【化37】

【0063】
【化38】

【0064】
【化39】

【0065】
【化40】

【0066】
一般式9乃至一般式12を通じて、R4乃至R7は、それぞれ独立に、水素原子か、あるいは、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基などの直鎖状若しくは分岐を有する低級アルキル基若しくはハロアルキル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基若しくはハロアルコキシ基、メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基若しくはハロアルコキシカルボニル基、シアノ基又はニトロ基を表す。Y及びY´は、例えば、酸素、硫黄、セレン、テルルなどの周期律表における第16族の元素から選ばれる互いに同じか異なるヘテロ原子を表す。Mは中心金属であって、通常、例えば、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、マンガン、テクネチウム、鉄、ルビジウム、コバルト、レニウム、ニッケル、パラジウム、銅、銀、亜鉛、カドミウムなどの周期律表における第3族乃至第12族の金属元素から選ばれる。
【0067】
一般式9及び一般式10を通じて、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子か、あるいは、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基若しくはハロアルコキシ基、アミノ基若しくはモノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノプロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミノ基、モノブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基、o−トルイジノ基、m−トルイジノ基、p−トルイジノ基、キシリジノ基、ピペラジニル基、ピペリジノ基、ピロリジノ基などの置換若しくは無置換の脂肪族、脂環式若しくは芳香族アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基又はスルホンアミド基を表す。これらの置換アミノ基、カルバモイル基、スルホ基及びスルホンアミド基における水素原子は、その1又は複数が、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基若しくはハロアルコキシ基、フェニル基、ビフェニリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、キシリル基、メシチル基、スチリル基、シンナモイル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基、さらには、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基などの置換基により置換されていてもよい。
【0068】
一般式11において、R10乃至R13は、それぞれ独立に、水素原子か、あるいは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの直鎖状若しくは分岐を有する低級アルキル基を表す。斯かるアルキル基は置換基を1又は複数有していてもよく、個々の置換基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基若しくはハロアルコキシ基、フェニル基、ビフェニリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、キシリル基、メシチル基、スチリル基、シンナモイル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基、さらには、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基などが挙げられる。
【0069】
一般式12において、Aは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子から選ばれるヘテロ原子を1又は複数含んでなる、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピペリジノ基、ピペリジル基、キノリル基などの五員環乃至十員環の複素環基を表し、その複素環基は、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基若しくはハロアルキル基、メトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシ基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基若しくはハロアルコキシカルボニル基、フェニル基、ビフェニリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、キシリル基、メシチル基、スチリル基、シンナモイル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基、さらには、シアノ基、ニトロ基などの置換基を1又は複数有していてもよい。
【0070】
ちなみに、上述したごとき有機金属錯体アニオンは、いずれも、汎用の方法によるか、あるいは、汎用の方法に準じて調製することができる。一般式1及び一般式2における対イオンXとして斯かる有機金属錯体アニオンを有するこの発明のシアニン色素は、自体耐光性を有することから、光記録媒体の基板に塗布するに当って、溶液状態やアモルファス状態における耐光性改善剤との相溶性などを懸念する必要がない。有機金属錯体イオンを対イオンとするこの発明のシアニン色素としては、例えば、化学式3、化学式16、化学式24乃至化学式26で表されるものが挙げられる。
【0071】
この発明のシアニン色素は諸種の有機溶剤において実用上全く支障のない溶解性を発揮するので、シアニン色素を基板に塗布するための有機溶剤にも特に制限がない。したがって、この発明による光記録媒体の作製にあっては、例えば、光記録媒体の作製に頻用されるTFPか、あるいは、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、オクタン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化物、メタノール、エタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2−メトキシエタノール(メチルセロソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセロソルブ)、2−イソプロポキシ−1−エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジアセトンアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾールなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのエーテル類、フルフラール、アセトン、1,3−ジアセチルアセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、燐酸トリメチルなどのエステル類、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミドなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリドンなどのアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫化合物をはじめとするTFP以外の汎用の有機溶剤から選択し、必要に応じて、これらを適宜混合して用いる。
【0072】
とりわけ、この発明のシアニン色素は、例えば、TFPやメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジアセトンアルコールなどの蒸発し易い有機溶剤における溶解度が大きいので、斯かる溶剤にこの発明のシアニン色素を溶解し、基板に塗布しても、乾燥後、色素の結晶が出現したり、記録層の膜厚や表面が不均一になることがない。また、この発明のシアニン色素の多くは、非ハロゲン溶剤である、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのアルコール類や、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノンなどのケトン類において良好な溶解性を発揮する。この発明のシアニン色素を斯かるアルコール類に溶解してポリカーボネートなどのプラスチック製基板に塗布するときには、溶剤によって基板を傷めたり、環境を汚染し難い実益がある。
【0073】
基板も汎用のものでよく、通常、圧縮成形法、射出成形法、圧縮射出成形法、フォトポリマー法(2P法)、熱硬化一体成形法、光硬化一体成形法などにより適宜の材料を最終用途に応じて、例えば、直径12cm、厚さ0.6mm又は1.2mmのディスク状に形成し、これを単板で用いるか、あるいは、粘着シート、接着剤などにより適宜貼合せて用いる。基板の材料としては、実質的に透明で、波長400乃至800nmの範囲で80%以上、望ましくは、90%以上の光透過率を有するものであれば、原理上、材質は問わない。個々の材料としては、例えば、ガラス、セラミックのほかに、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン(スチレン共重合物)、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート・ポリスチレン−アロイ、ポリエステルカーボネート、ポリフタレートカーボネート、ポリカーボネートアクリレート、非晶性ポリオレフィン、メタクリレート共重合物、ジアリルカーボネートジエチレングリコール、エポキシ樹脂などのプラスチックが用いられ、通常、ポリカーボネートが頻用される。プラスチック製基板の場合、同期信号並びにトラック及びセクターの番地を表示する凹部は、通常、成形の際にトラック内周に転写される。その凹部は、形状については特に制限はないものの、平均幅が0.3乃至0.8μmの範囲になるように、また、深さが70乃至200nmの範囲になるようにするのが望ましい。
【0074】
この発明による光吸収剤は、粘度を勘案しながら、前述のごとき有機溶剤における濃度0.5乃至5%(w/w)の溶液にして、乾燥後の記録層の厚みが10乃至1,000nm、望ましくは、50乃至500nmになるように基板に均一に塗布される。なお、溶液の塗布に先立って、基板の保護や接着性の改善などを目的に、必要に応じて、基板に下引層を設けてもよく、下引層の材料としては、例えば、イオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然樹脂、シリコン、液状ゴムなどの高分子物質が挙げられる。また、バインダーを用いる場合には、ニトロセルロース、燐酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、パルミチン酸セルロース、酢酸・プロピオン酸セルロースなどのセルロースエステル類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロースなどのセルロースエーテル類、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのビニル樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、無水マレイン酸共重合体などの共重合樹脂類、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂類、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンをはじめとするポリマーが単独又は組合せて、重量比で、シアニン色素の0.01乃至10倍用いられる。
この発明による光記録媒体の使用方法について説明すると、この発明によるDVD−Rなどの高密度光記録媒体は、例えば、GaN系、AlGaInP系、GaAsP系、GaAlAs系、InGaP系、InGaAsP系若しくはInGaAlP系の半導体レーザー、あるいは、第二高調波発生素子(SHG素子)と組合せたYAGレーザーなどによる波長650nm付近のレーザー光、とりわけ、630乃至680nmのレーザー光を用いて諸種の情報を高密度に書き込むことができる。読取には、書込におけると同様の波長か、あるいは、それをやや上回るレーザー光を用いる。書込、読取の際のレーザー出力について言えば、この発明のシアニン色素と組合せて用いる耐光性改善剤の種類と配合量にもよるけれども、この発明による光記録媒体においては、情報を書き込むときのレーザー出力は、ピットが形成されるエネルギーの閾値を越えて比較的強めに、一方、書き込まれた情報を読み取るときの出力は、その閾値を下回って比較的弱めに設定するのが望ましい。一般的には、5mWを上回り、50mWを越えない範囲で書き込み、読取は0.1乃至5mWの範囲で加減する。記録された情報は、光ピックアップにより、光記録媒体の記録面におけるピットとピットが形成されていない部分の反射光量又は透過光量の変化を検出することによって読み取る。
【0075】
斯くして、この発明による光記録媒体においては、波長650nm付近のレーザー光、とりわけ、630乃至680nmのレーザー光による光ピックアップを用いることによって、現行の標準的なCD−Rに採用されている1.6μmを下回るトラックピッチ(通常0.74μm)で0.834μm/ピットを下回るピット長(通常0.4μm)の安定にして微小なピットを高密度且つ迅速に形成することができる。したがって、例えば、直径12cmのディスク状基板を用いる場合には、公知のシアニン色素では容易に達成できなかった、記録容量が片面で0.682GBを遥かに越え(通常、片面当り4.7GB)、画像及び音声を約2時間分記録できる極めて高密度の光記録媒体を実現できることとなる。
【0076】
この発明による光記録媒体は、文字情報、画像情報、音声情報及びその他のデジタル情報を高密度に記録することができるので、文書、データ及びコンピュータープログラムなどを記録・管理するための民生用及び業務用記録媒体として極めて有用である。この発明による光記録媒体を用い得る個々の業種と情報の形態としては、例えば、建設・土木における建築・土木図面、地図、道路・河川台帳、アパチュアカード、建築物見取図、災害防止資料、配線図、配置図、新聞・雑誌情報、地域情報、工事報告書など、製造における設計図、成分表、処方、商品仕様書、商品価格表、パーツリスト、メンテナンス情報、事故・故障事例集、苦情処理事例集、製造工程表、技術資料、デッサン、ディテール、自社作品集、技術報告書、検査報告書など、販売における顧客情報、取引先情報、会社情報、契約書、新聞・雑誌情報、営業報告書、企業信用調査、在庫一覧など、金融における会社情報、株価記録、統計資料、新聞・雑誌情報、契約書、顧客リスト、各種申請・届出・免許・許認可書類、業務報告書など、不動産・運輸における物件情報、建築物見取図、地図、地域情報など、電力・ガスにおける配線・配管図、災害防止資料、作業基準表、調査資料、技術報告書など、医療におけるカルテ、病歴・症例ファイル、医療関係図など、塾・予備校におけるテキスト、問題集、教育用資料、統計資料など、大学・研究所における学術論文、学会記録、研究月報、研究データ、文献及び文献のインデックスなど、情報における調査データ、論文、特許公報、天気図、データ解析記録、顧客ファイルなど、法律における判例など、各種団体における会員名簿、過去帳、作品記録、対戦記録、大会記録など、観光における観光情報、交通情報など、マスコミ・出版における自社出版物のインデックス、新聞・雑誌情報、人物ファイル、スポーツ記録、テロップファイル、放送台本、官庁関係における地図、道路・河川台帳、指紋ファイル、住民票、各種申請・届出・免許・許認可書類、統計資料、公共資料などが挙げられる。とりわけ、1回のみ書き込めるこの発明の光記録媒体は、記録情報が改竄されたり消去されてはならない、例えば、カルテや公文書などの記録保存に加えて、美術館、図書館、博物館、放送局などの電子ライブラリーとして極めて有用である。
【0077】
この発明による光記録媒体のやや特殊な用途としては、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、レーザーディスク、MD(光磁気ディスクを用いる情報記録システム)、CDV(コンパクトディスクを利用するレーザーディスク)、DAT(磁気テープを利用する情報記録システム)、CD−ROM(コンパクトディスクを利用する読取専用メモリ)、DVD−RAM(デジタルビデオディスクを利用する書込可能な読取メモリ)、デジタル写真、映画、ビデオソフト、オーディオソフト、コンピューターグラフィック、出版物、放送番組、コマーシャルメッセージ、ゲームソフトなどの編集、校正、さらには、大型コンピューター、カーナビゲーション用の外部プログラム記録手段としての用途が挙げられる。
【0078】
以上においては、この発明によるシアニン色素の光記録媒体の分野における用途として、書込光として波長650nm付近のレーザー光を用いる有機穴あけ型光記録媒体への適用例を中心に説明してきた。しかしながら、光記録媒体の分野において、この発明によるシアニン色素の用途はDVD−Rなどの高密度光記録媒体だけではなく、CD−Rなどの現行の光記録媒体において、例えば、波長775乃至795nmのレーザー光に感度を有する他の有機色素化合物の1又は複数と組合せることによって、その光記録媒体における光吸収率や光反射率を調節したり補正するための材料としても有利に用いることができる。また、書込光として波長650nm付近のレーザー光を用いる有機穴あけ型光記録媒体に適用する場合であっても、この発明のシアニン色素をして基板上に直接ピットを形成せしめるのではなく、より長波長の、例えば、775乃至795nmのレーザー光に感度を有する他の有機色素化合物の1又は複数と組合せることによって、波長650nm付近のレーザー光による励起エネルギーをこの発明のシアニン色素を介してこれらの有機色素化合物に移動させ、もって、後者の化合物を分解することによって、間接的にピットを形成してもよい。さらに言えば、この発明でいう光記録媒体とは、この発明のシアニン色素が波長650nm付近の可視光を実質的に吸収するという性質を利用する記録媒体全般を意味するものであって、有機穴あけ型のもの以外に、例えば、有機色素化合物の光吸収に伴う発熱による発色剤と顕色剤との化学反応を利用する感熱発色方式や、基板の表面に設けられた周期的な凹凸パターンが斯かる発熱によって平坦化される現象を利用する、いわゆる、「蛾の目方式」のものであってもよい。
【0079】
さらに、この発明のシアニン色素は波長650nm付近の可視光を実質的に吸収することから、斯かるシアニン色素を含んでなるこの発明の光吸収剤は、光記録媒体における用途に加えて、例えば、重合性化合物を可視光に露光させることによって重合させるための材料、太陽電池を増感させるための材料、色素レーザーにおけるレーザー作用物質、さらには、諸種の衣料を染色するための材料としても有用である。また、この発明の光吸収剤を、必要に応じて、紫外領域、可視領域及び/又は赤外領域の光を吸収する他の光吸収剤の1又は複数とともに、衣料一般や、衣料以外の、例えば、ドレープ、レース、ケースメント、プリント、ベネシャンブラインド、ロールスクリーン、シャッター、のれん、毛布、布団、布団側地、布団カバー、布団綿、シーツ、座布団、枕、枕カバー、クッション、マット、カーペット、寝袋、テント、自動車の内装材、ウインドガラス、窓ガラスなどの建寝装用品、紙おむつ、おむつカバー、眼鏡、モノクル、ローネットなどの保健用品、靴の中敷、靴の内張地、鞄地、風呂敷、傘地、パラソル、ぬいぐるみ及び照明装置や、例えば、ブラウン管ディスプレー、液晶ディスプレー、電界発光ディスプレー、プラズマディスプレーなどを用いるテレビジョン受像機やパーソナルコンピューターなどの情報表示装置用のフィルター類、パネル類及びスクリーン類、サングラス、サンルーフ、サンバイザー、PETボトル、貯蔵庫、ビニールハウス、寒冷紗、光ファイバー、プリペイドカード、電子レンジ、オーブンなどの覗き窓、さらには、これらの物品を包装、充填又は収納するための包装用材、充填用材、容器などに用いるときには、生物や物品における自然光や人工光などの環境光による障害や不都合を防止したり低減することができるだけではなく、物品の色彩、色調、風合などを整えたり、物品から反射したり透過する光を所望の色バランスに整えることができる実益がある。
【0080】
以下、この発明の実施の形態につき、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0081】
<シアニン色素>
反応容器に無水酢酸を25mlとり、化学式29で表される化合物(1−エチル−2,3,3−トリメチル−5−ニトロ−3H−インドリウム=p−トルエンスルホナート)と化学式30で表される化合物(1−エチル−2−(2−アニリノビニル)−3,3−ジメチル−3H−ベンゾ[e]インドリウム=p−トルエンスルホナート)をそれぞれ4.0g及び5.1gとり、攪拌しながらピリジン2mlを加えた後、150℃に設定したオイルバスにより加熱しながら3時間反応させた。反応混合物を室温まで冷却し、イソプロピルエーテルを150ml加え、振盪し、傾斜により上澄み液を除去して得られた油状残渣をメタノール50mlに加熱溶解し、過塩素酸ナトリウム一水和物を2.0g溶解しておいた精製水を6ml加え、攪拌下、60℃で加熱しながら約30分間反応させた後、室温まで冷却した。
【0082】
【化41】

【0083】
【化42】

【0084】
その後、析出した粗結晶を吸引濾過により採取し、メタノールにより洗浄した後、20倍容のN,N−ジメチルホルムアミドに加熱溶解し、この溶液を濾過し、濾液に過剰量のメタノールを加えた。新たに析出した結晶を吸引濾過により採取し、メタノールにより洗浄した後、乾燥したところ、化学式4で表されるシアニン色素の緑色粉状結晶が1.4g得られた。
【0085】
結晶の一部をとり、300MHz 1H−核磁気共鳴分光装置(商品名『JNM−AL300FT型』、日本電子株式会社製造)を用い、常法にしたがって重クロロホルムにおける1H−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.48(3H、t、J=7.2Hz、CH3−)、1.60(3H、t、J=7.2Hz、CH3−)、1.80(6H、s、CH3−)、2.04(6H、s、CH3−)、4.20(2H、q、J=7.2Hz、−CH2−)、4.50(2H、q、J=7.2Hz、−CH2−)、6.93(1H、d、J=13.2Hz、−CH=)、7.09(1H、d、J=8.7Hz、ArH)、7.18(1H、d、J=13.2Hz、−CH=)、7.50(1H、d、J=9.0Hz、ArH)、7.57(1H、dd、J1=8.7Hz、J2=5.4Hz、ArH)、7.68(1H、dd、J1=8.7Hz、J2=5.4Hz、ArH)、8.01(1H、d、J=8.7Hz、ArH)、8.03(1H、d、J=8.7Hz、ArH)、8.14(1H、d、J=8.7Hz、ArH)、8.19(1H、d、J=2.1Hz、ArH)、8.33(1H、dd、J1=9.0Hz、J2=2.1Hz、ArH)及び8.53(1H、t、J=13.2Hz、−CH=)の位置にそれぞれピークが観察された。
【実施例2】
【0086】
<シアニン色素>
実施例1において、化学式29及び化学式30で表される化合物をそれぞれ1,2,3,3−テトラメチル−5−ニトロ−3H−インドリウム=p−トルエンスルホナート及び2−(2−アニリノビニル)−1,3,3−トリメチル−3H−ベンゾ[e]インドリウム=p−トルエンスルホナートに変更した以外は同様にして、化学式1で表されるシアニン色素の緑色粉状結晶を得た。
【実施例3】
【0087】
<シアニン色素>
実施例1において、化学式29及び化学式30で表される化合物をそれぞれ1−プロピル−2,3,3−トリメチル−5−ニトロ−3H−インドリウム=p−トルエンスルホナート及び1−プロピル−2−(2−アニリノビニル)−3,3−ジメチル−3H−ベンゾ[e]インドリウム=p−トルエンスルホナートに変更した以外は同様にして、化学式6で表されるシアニン色素の緑色粉状結晶を得た。
【実施例4】
【0088】
<シアニン色素>
実施例1において、化学式29及び化学式30で表される化合物をそれぞれ1−プロピル−2,3,3−トリメチル−5−ニトロ−3H−インドリウム=p−トルエンスルホナート)及び1−ブチル−2−(2−アニリノビニル)−3,3−ジメチル−3H−ベンゾ[e]インドリウム=p−トルエンスルホナートに変更した以外は同様にして、化学式7で表されるシアニン色素の緑色粉状結晶を得た。
【実施例5】
【0089】
<シアニン色素>
実施例1において、化学式29及び化学式30で表される化合物をそれぞれ1−ブチル−2,3,3−トリメチル−5−ニトロ−3H−インドリウム=p−トルエンスルホナート及び1−ブチル−2−(2−アニリノビニル)−3,3−ジメチル−3H−ベンゾ[e]インドリウム=p−トルエンスルホナートに変更した以外は同様にして、化学式8で表されるシアニン色素の緑色粉状結晶を得た。
【実施例6】
【0090】
<シアニン色素>
反応容器にエタノール300mlをとり、化学式2で表されるこの発明のシアニン色素3.0gと、耐光性改善能を有する化31で表されるアゾ系の有機金属錯体3.0gをそれぞれ添加し、加熱攪拌したところ、金属錯体アニオンを対イオンとする化学式3で表されるこの発明のシアニン色素の暗緑色結晶が3.0g得られた。
【0091】
【化43】

【実施例7】
【0092】
<シアニン色素>
反応容器にアセトニトリル200mlをとり、化学式22で表されるこの発明のシアニン色素1.0gと、耐光性改善能を有する化33で表されるアゾ系の有機金属錯体0.9gをそれぞれ添加し、加熱攪拌したところ、金属錯体アニオンを対イオンとする化学式26で表されるこの発明のシアニン色素の暗緑色結晶が1.0g得られた。
【0093】
【化44】

【0094】
なお、この発明のシアニン色素は、構造によって仕込条件や収率に若干の違いはあるものの、化学式1乃至化学式28で表されるものを含めて、実施例1乃至実施例7の方法によるか、あるいは、それらの方法に準じて調製することができる。
【実施例8】
【0095】
<シアニン色素の光特性>
表1に示すこの発明のシアニン色素と、化学式33及び化学式34で表される対照としての公知の類縁化合物につき、常法にしたがって、メタノール溶液にしたときと、ガラス板上に成膜したときの可視吸収スペクトルをそれぞれ測定した。そのときに得られた溶液状態及び薄膜状態における吸収極大波長を表1に纏めた。図1に示すのは、薄膜状態における化学式4で表されるこの発明のシアニン色素(実線)と化学式33で表される公知の類縁化合物(破線)の可視吸収スペクトルである。ちなみに、化学式33及び化学式34で表されるシアニン色素は、いずれも、光記録媒体における有用性が報告されている公知の類縁化合物である。
【0096】
【化45】

【0097】
【化46】

【0098】
【表1】

【0099】
表1における吸収極大波長と図1の可視吸収スペクトルは、この発明のシアニン色素が、公知の類縁化合物と同様、可視領域に吸収極大を有し、薄膜状態において波長650nm付近の可視光を実質的に吸収することを示している。ただし、試験に供したこの発明のシアニン色素のうちでも、化学式1、化学式4、化学式6、化学式7、化学式8及び化学式15で表されるものは、表1及び図1に見られるとおり、公知の類縁化合物と比較して、吸収極大が大きく長波長側にシフトしており、波長650nm付近における吸光度が有意に大きかった。これらの結果は、波長650nm付近において、この発明のシアニン色素が公知の類縁化合物と同等の光特性か、あるいは、それを上回る光特性を有することを物語っている。
【実施例9】
【0100】
<シアニン色素の溶解性>
表1に示すこの発明のシアニン色素につき、常法にしたがってTFPにおける20℃の溶解度を測定した。結果を表1に併記する。
【0101】
表1の結果に見られるとおり、測定に供したこの発明のシアニン色素は、いずれも、TFPにおいて20mg/mlを上回る溶解度を示し、化学式1及び化学式3で表されるシアニン色素以外は、実に、100mg/ml以上にも達する極めて大きな溶解度を示した。シアニン色素は、光記録媒体の基板に塗布するに当って、通常、濃度0.1乃至10%(w/w)の溶液に調製される。この発明のシアニン色素が光記録媒体の作製に頻用されるTFPにおいて斯くも大きな溶解度を示したことは、この発明のシアニン色素を用いることによって、光吸収剤を基板に塗布する作業の効率が著しく高まることを物語っている。
【実施例10】
【0102】
<シアニン色素の分解点>
被験試料として、表1に示すこの発明のシアニン色素のいずれかを適量とり、デジタル熱分析計(商品名『TG/DTA220型』、セイコー電子工業株式会社製造)を用いる通常の示差熱分析(以下、「DTA」と略記する。)及び熱重量分析(以下、「TGA」と略記する。)に供することによって、融点(TGAにおいて、被験試料としてのシアニン色素が吸熱し始める温度)及び分解点(DTAにおいて、被験試料としてのシアニン色素の重量が減少し始める温度)をそれぞれ決定した。併行して、化学式33乃び化学式34で表される公知の類縁化合物についても同様の分析をした。結果を表1に併記する。化学式4で表されるこの発明のシアニン色素と化学式34で表される公知の類縁化合物については、それぞれ、図2及び図3にTGA及びDTAの分析結果を示した。なお、DTA及びTGAにおいて、雰囲気温度は10℃/分の昇温モードに設定した。
【0103】
表1並びに図2及び図3の結果に見られるとおり、公知の類縁化合物は、いずれも、互いに分離した融点と分解点を有するうえに、分解点付近における分解が著しく緩慢であった。これに対して、試験に供したこの発明のシアニン色素は、いずれも、分解点付近で急峻に分解し、とりわけ、化学式1及び化学式4で表されるシアニン色素にいたっては、分解点に達すると瞬時に分解するほどの分解性を示した。また、化学式1、化学式4、化学式6、化学式24及び化学式27で表されるこの発明のシアニン色素は分解点が著しく高く、化学式1、化学式4及び化学式27で表されるシアニン色素にいたっては、実に、300℃近くにも達する極めて高い分解点を示した。特筆すべきは、公知の類縁化合物が融点及び分解点をそれぞれ有し、しかも、それらが互いに分離し、温度差が17乃至108℃にも達したのに対して、試験に供したこの発明のシアニン色素のほとんどが、融点と区別し難い分解点か分解点のみを有していたことである。これらの結果は、熱分解性において、この発明のシアニン色素が公知の類縁化合物を凌駕することを物語っている。また、化学式1、化学式4及び化学式6乃至化学式8で表される一連のシアニン色素にあって、化学式1、化学式4、化学式6及び化学式7で表されるシアニン色素の分解がひときわ急峻であったことは、光記録媒体のように、急峻な熱分解性が要求される用途に供するこの発明のシアニン色素としては、一般式1及び一般式2におけるR2及びR3として、それぞれ、Cm2m+1及びCn2n+1(m及びnはm+n≦7である自然数)であるアルキル基、とりわけ、メチル基及び/又はエチル基が結合しているものが望ましいことを示している。
【実施例11】
【0104】
<シアニン色素の分解速度>
化学式4、化学式6及び化学式8で表されるこの発明のシアニン色素につき、示差走査熱量計(商品名『DSC220U型』、セイコー電子工業株式会社製造)を用い、常法にしたがって、窒素気流下、昇温速度10℃/分で加熱したときの示差熱量曲線を調べた。併行して、化学式33で表される公知のシアニン色素につき、同様にして示差熱量曲線を調べた。化学式4及び化学式33で表されるシアニン色素の示差熱量曲線を、それぞれ、図4及び図5に示す。
【0105】
斯くして得られた示差熱量曲線に基づき、シアニン色素ごとに分解ピーク点における熱量の半値を求め、それぞれの分解ピーク点の両側でその半値を有する2点の温度差(以下、「半値幅」という。)を求めた。結果を表2に示す。
【0106】
【表2】

【0107】
表2並びに図4及び図5の結果から明らかなように、この発明のシアニン色素は、公知のシアニン色素と比較して、発熱量がほぼ同等であるにもかかわらず、分解が著しく急峻にして速やかであった。半値幅でみると、この発明のシアニン色素の半値幅は公知のシアニン色素の2/3以下となり、例えば、化学式4で表されるこの発明のシアニン色素の場合、半値幅は公知のシアニン色素の1/6以下となった。
【0108】
化学式33乃び化学式34で表される公知の類縁化合物のように、緩慢に分解する色素は、既述のとおり、DVD−Rなどの高密度光記録媒体において、その限られた記録面に安定にして微小なピットを高密度に形成するのが困難である。また、基板のガラス転移温度にもよるが、分解点が低い色素は、一般に、光記録媒体において光吸収剤として用いると、低出力のレーザー光で情報を書き込める利点がある半面、読取に際して、レーザー光に長時間露光すると、蓄積した熱によって記録面におけるピット周辺やピットが形成されていない部分が変形し、ジッターが大きくなったり、読取エラーが発生し易くなる。この発明のシアニン色素が薄膜状態において波長650nm付近の可視光を実質的に吸収することと、融点と区別し難い分解点か分解点のみを有し、しかも、その分解点が高く、分解点付近における分解速度が際立って大きいことは、この発明のシアニン色素を光吸収剤として用いることによって、ジッターが小さく、読取エラーが発生し難い、読取光や自然光などの環境光への露光に対して安定な高密度光記録媒体が得られることを物語っている。なお、本実施例において分解性の指標に半値幅を採用したのは、半値幅が被験試料の分解速度の評価に有効であることによる。
【実施例12】
【0109】
<光記録媒体>
光吸収剤として化学式1、化学式4、化学式6、化学式7、化学式8、化学式15、化学式23又は化学式27のいずれかで表されるシアニン色素と、化学式35で表される公知のシアニン色素とを、TFPにそれぞれ濃度2%(w/w)になるように加え、さらに、耐光性改善剤として、同じ特許出願人による特願平11−88983号明細書(発明の名称「フェニルピリジルアミン誘導体」)に開示された化学式36で表されるフェニルピリジルアミン骨格を有するニトロソ化合物を重量比でシアニン色素の1/8になるように添加した後、超音波を印加して溶解した。この溶液を、常法にしたがって、トラック内周に同期信号、トラック及びセクターの番地を表示する凹部を転写しておいたポリカーボネート製のディスク状基板(直径12cm)の片面に均一に回転塗布し、乾燥して厚さ120nmの記録層を形成した。その後、基板に金を100nmの厚さになるようにスパッタリングして記録層に密着する反射層を形成し、さらに、その反射層に公知の紫外線硬化樹脂(商品名『ダイキュアクリアSD1700』、大日本インキ化学工業株式会社製造)を均一に回転塗布し、光照射して反射層に密着する保護層を形成した後、保護層に密着させてポリカーボネート製のディスク状保護板を貼り付けることによって8種類の光記録媒体を作製した。
【0110】
【化47】

【0111】
【化48】

【0112】
本例の光記録媒体は、いずれも、4GBを越える記録容量を有し、発振波長650nm付近のレーザー素子を用いることにより、大量の文書情報、画像情報、音声情報及びその他のデジタル情報を極めて高密度に書き込むことができる。発振波長658nmの半導体レーザー素子を用いて情報を書き込んだ本例の光記録媒体の記録面を電子顕微鏡で観察したところ、1μm/ピットを下回る微小なピットが1μmを下回るトラックピッチで高密度に形成されていた。
【実施例13】
【0113】
<光記録媒体>
光吸収剤として化学式3、化学式16、化学式24又は化学式26のいずれかで表されるシアニン色素をTFPに濃度2%(w/w)になるように添加し、超音波を印加して溶解した。この溶液を、常法にしたがって、トラック内周に同期信号、トラック及びセクターの番地を表示する凹部を転写しておいたポリカーボネート製のディスク状基板(直径12cm)の片面に均一に回転塗布し、乾燥して厚さ120nmの記録層を形成した。その後、基板に金を100nmの厚さになるようにスパッタリングして記録層に密着する反射層を形成し、さらに、その反射層に公知の紫外線硬化樹脂(商品名『ダイキュアクリアSD1700』、大日本インキ化学工業株式会社製造)を均一に回転塗布し、光照射して反射層に密着する保護層を形成した後、保護層に密着させてポリカーボネート製のディスク状保護板を貼り付けることによって4種類の光記録媒体を作製した。
【0114】
本例の光記録媒体は、いずれも、4GBを越える記録容量を有し、発振波長650nm付近のレーザー素子を用いることにより、大量の文書情報、画像情報、音声情報及びその他のデジタル情報を極めて高密度に書き込むことができる。発振波長658nmの半導体レーザー素子を用いて情報を書き込んだ本例の光記録媒体の記録面を電子顕微鏡で観察したところ、1μm/ピットを下回る微小なピットが1μmを下回るトラックピッチで高密度に形成されていた。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上説明したとおり、この発明は新規な非対称トリメチン系シアニン色素の創製と、その産業上有用な特性の発見に基づくものである。この発明のシアニン色素は、可視領域に吸収極大を有し、薄膜状態において波長650nm付近の可視光を実質的に吸収する。しかも、この発明のシアニン色素は、融点と区別し難い分解点か分解点のみを有することに加えて、分解点が高く、耐熱性が大きいうえに、分解点付近で急峻に分解する。したがって、この発明のシアニン色素は、DVD−Rにおけるがごとく、書込光として波長650nm付近のレーザー光を用
い、情報の書込に際して、限られた記録面に安定にして微小なピットを高密度且つ迅速に形成しなければならない高密度光記録媒体の光吸収剤として極めて有用である。
【0116】
斯かるシアニン色素を光吸収剤として用い、波長650nm付近のレーザー光により情報を書き込むこの発明による有機穴あけ型光記録媒体は、現行のCD−Rと比較して、より微小なピットをより小さなトラックピッチで形成できることから、文字情報、画像情報、音声情報及びその他のデジタル情報を桁違いに大量且つ高密度に記録できることとなり、その結果として、情報記録に要する1ビット当りの価格を大幅に下げることができる実益がある。
【0117】
斯くも有用なシアニン色素は、活性メチル基若しくは適宜の脱離基を有する3,3−ジメチル−5−ニトロインドリウム化合物又は3,3−ジメチル−5−スルホンアミドインドリウム化合物のいずれかに、活性メチル基若しくは適宜の脱離基を有する3,3−ジメチルベンゾインドリウム化合物を反応させる工程を経由するこの発明の方法により、所望量を容易に製造することができる。
【0118】
斯くも顕著な作用効果を奏するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であるといえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式13乃至16で表されるアゾ系有機金属錯体。
【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

一般式13乃至一般式16を通じて、R4乃至R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、直鎖状若しくは分岐を有する低級アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロアルコキシカルボニル基、シアノ基、又はニトロ基を表す。Y及びY´は、周期律表における第16族の元素から選ばれる互いに同じか異なるヘテロ原子を表す。Mは中心金属であって、周期律表における第3族乃至第12族の金属元素を表す。
一般式13及び一般式14を通じて、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アミノ基、置換若しくは無置換の脂肪族、脂環式若しくは芳香族アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基又はスルホンアミド基を表す。これらの置換アミノ基、カルバモイル基、スルホ基及びスルホンアミド基における水素原子は、その1又は複数が、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、芳香族炭化水素基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、又はニトロ基により置換されていてもよい。
一般式15において、R10乃至R13は、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖状若しくは分岐を有する低級アルキル基を表し、この低級アルキル基は置換基を1又は複数有していてもよい。
一般式16において、Aは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、及びテルル原子から選ばれるヘテロ原子を1又は複数含んでなる、五員環乃至十員環の複素環基を表し、その複素環基は、直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシカルボニル基、ハロアルコキシカルボニル基、芳香族炭化水素基、シアノ基、及びニトロ基から選ばれる置換基を1又は複数有していてもよい。
【請求項2】
下記一一般式9乃至12で表される、請求項1に記載のアゾ系有機金属錯体のアニオン。
【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

一般式9乃至一般式12を通じて、R4乃至R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、直鎖状若しくは分岐を有する低級アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロアルコキシカルボニル基、シアノ基、又はニトロ基を表す。Y及びY´は、周期律表における第16族の元素から選ばれる互いに同じか異なるヘテロ原子を表す。Mは中心金属であって、周期律表における第3族乃至第12族の金属元素を表す。
一般式9及び一般式10を通じて、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、アミノ基、置換若しくは無置換の脂肪族、脂環式若しくは芳香族アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基又はスルホンアミド基を表す。これらの置換アミノ基、カルバモイル基、スルホ基及びスルホンアミド基における水素原子は、その1又は複数が、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、芳香族炭化水素基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、又はニトロ基により置換されていてもよい。
一般式11において、R10乃至R13は、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖状若しくは分岐を有する低級アルキル基を表し、この低級アルキル基は置換基を1又は複数有していてもよい。
一般式12において、Aは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、及びテルル原子から選ばれるヘテロ原子を1又は複数含んでなる、五員環乃至十員環の複素環基を表し、その複素環基は、直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシカルボニル基、ハロアルコキシカルボニル基、芳香族炭化水素基、シアノ基、及びニトロ基から選ばれる置換基を1又は複数有していてもよい。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−52218(P2011−52218A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214652(P2010−214652)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2000−611617(P2000−611617)の分割
【原出願日】平成12年4月11日(2000.4.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】