説明

シアンインク、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置

【課題】 耐ガス性に優れ、発色性も良好で、長期保存が可能な記録物を作成することのできるシアンインクを提供すること。
【解決手段】 フタロシアニン系染料を用いたシアンインクであって、該シアンインク中に特定の染料がさらに含まれ、且つ、インク中のフタロシアニン系染料と特定の染料の総量との染料含有量の重量比が9.9:0.1〜7:3であるシアンインク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐ガス性等に優れ、長期保存が可能な記録物を提供し得るシアンインク及びそれを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、銀塩写真に匹敵するフルカラー画像の出力が可能となっている。このような高画質のフルカラー画像の出力には、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の3色の染料インクが用いられることが多い。
【0003】
シアン色の染料として広く用いられている銅フタロシアニン系染料は、発色性及び耐光性に優れるものの、空気中に存在するオゾン、NO、SO、HS等の酸化性ガスにより劣化し易い、即ち耐ガス性に劣るという欠点を有する。このため、前記フタロシアニン系染料を含有するインクにより形成された記録物は、室内などの通常の環境下に保存されると本来の青みを失い、赤みを帯びてくる等、経時的に変退色するという問題があり、保存性の点で未だ銀塩写真には及ばないのが実情である。
【0004】
又、画像形成ブラック(K)には、ハーフトーンの階調性と色相調整の関係から、C、M、Yによるコンポジットブラックが適用される場合が、このような場合、シアン色の変退色は、ブラック色調の赤みへのシフトを招く結果となり、カラー画像の品質を極端に低下させてしまうという問題がある。
【0005】
前記問題を解決するための手段として、フタロシアニン系染料への耐ガス性の付与を行うことが検討されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、これらはいずれも色相と耐光性及び耐ガス性を両立させるには至っていないのが現状である。
【0006】
さらに、インク組成の改良を行うことで前記問題を解決することが検討されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、水系インクに退色防止剤等を含有させると、安全性に問題が生じることがある。
【特許文献1】特開平3−103484号公報
【特許文献2】特開平4−39365号公報
【特許文献3】特開2000−303009号公報
【特許文献4】特開平8−003497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、前記問題を解決すべく鋭意検討した結果、耐ガス性の低いフタロシアニン系染料に耐ガス性を有する染料を添加することにより、フタロシアニン系染料を用いたシアンインクの耐ガス性が向上することを見出した。
【0008】
従って、本発明の目的は、耐ガス性に優れ、発色性も良好で、さらにインクジェット記録用インクとして用いてもノズル目詰まりなどの不具合を生じることのない、長期保存が可能な記録物を提供し得るシアンインクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、フタロシアニン系染料を用いたシアンインクであって、該シアンインク中に下記一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料のうち少なくとも1種類がさらに含まれ、且つ、インク中のフタロシアニン系染料と下記一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料の総量との染料含有量の重量比が9.9:0.1〜7:3であることを特徴とする。
【0010】
【化1】

(上記一般式(I)中、R、Rは各々独立的に置換もしくは未置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、少なくともR、Rのうちいずれかは1つの水酸基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。Xはカルボキシル基及びその対イオン、又はスルホン酸もしくはその対イオンを表す。lは1〜2の整数を表す。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
【0011】
【化2】

(上記一般式(II)中、R、Rは各々独立的に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルカノイルアミノ基を表し、R、Rのうちいずれかは炭素数1〜4のアルコキシ基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基、ベンゾイル基、ベンジル基を表す。Xはカルボキシル基及びその対イオン、又はスルホン酸もしくはその対イオンを表す。mは1〜2の整数を表す。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子。アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
【0012】
【化3】

(上記一般式(III)中、R、R、Rは各々独立的に炭素数1〜4のアルキル基を表す。R10は水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。Xはカルボキシル基及びその対イオン、又はスルホン酸もしくはその対イオンを表す。nは1〜2の整数を表す。p、qは0〜1の整数を表し(0の場合の置換基は水素原子)、p+qは1もしくは2である。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐ガス性に優れ、発色性が良好で、長期保存が可能な記録物を作成することのできるシアンインクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。尚、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
【0015】
本発明にかかるシアンインクは、フタロシアニン系染料を含有するシアンインクであり、さらに、前記一般式(I)、(II)及び(III)で表されるブラック染料のうち少なくとも1種類が含まれることを特徴とする。フタロシアニン系染料とブラック染料を併用することにより耐ガス性の優れた記録物を作成することのできるシアンインクとなる。
【0016】
本発明にかかるシアンインクは、記録物をGretag Spectrolino(商品名;Gretag製)によって、CIEにより規定されているL表示系におけるa、bを測定し、下記式で表される色相角(H°)が、215以上265以下となるシアンインクとして定義する。
≧0、b≧0(第一象限)では、H°=tan−1(b/a
≦0、b≧0(第二象限)では、H°=180+tan−1(b/a
≦0、b≦0(第三象限)では、H°=180+tan−1(b/a
≧0、b≦0(第四象限)では、H°=360+tan−1(b/a
以下、本発明にかかるシアンインクを構成する各成分等について説明する。
【0017】
<フタロシアニン系染料>
本発明にかかるシアンインクは、フタロシアニン系染料として、銅フタロシアニン系染料を用いることが好ましい。銅フタロシアニン系染料は、水溶性のものが好ましく、C.I.ダイレクトブルー(以下、DBと略記する)86、199等が挙げられる。これらは複数を併用することができる。
【0018】
フタロシアニン系染料と前記一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料の総量との染料含有量の重量比は、好ましくは9.9:0.1〜7:3、更に好ましくは9:1〜7:3である。インク中のフタロシアニン系染料の染料含有量の重量比が9.9を超え、前記一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料の総量との染料含有量の重量比が0.1よりも小さいインクでは、十分な耐ガス性が得られない。反対に、インク中のフタロシアニン系染料の染料含有量の重量比が7よりも小さく、前記一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料の総量との染料含有量の重量比が3よりも大きなインクでは、該インクで印字した記録物の色相角が、前記範囲を外れ、実用上シアンインクとは言えず、好ましくない。
【0019】
<一般式(I)の染料>
【0020】
【化4】

(上記一般式(I)中、R、Rは各々独立的に置換もしくは未置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、少なくともR、Rのうちいずれかは1つの水酸基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。Xはカルボキシル基及びその対イオン、又はスルホン酸もしくはその対イオンを表す。lは1〜2の整数を表す。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
上記一般式(I)中のR〜Rについて詳述すると、R、Rは各々独立的に置換もしくは未置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、R、Rのうち少なくともいずれかは1つの水酸基を有し、アルキル基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシル基、アミノ基、或いはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)等が挙げられる。Rは、例えば、水素原子、置換もしくは未置換のフェニル基等が挙げられる。フェニル基の置換基としては例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、スルホン基、若しくはこれらの塩、カルボキシル基若しくはその塩等が挙げられる。又、上記式中のXについて詳述すると、Xは、例えば、−COOMや−SOM等が挙げられる。Mとしては、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH)、有機アンモニウム(N(R11)等であるもの、R11が、メチル基或いはエチル基等であるものが挙げられる。
【0021】
以下に、本発明で用いられる一般式(I)で表される染料の具体例として例示化合物1〜5を示す。またこの他に、WO 00/43451に記載されている構造の化合物も用いることができる。ただし、本発明で使用する一般式(I)で示される染料はこれらに限定されるものではない。又、下記に例示した染料を同時に2種類以上用いてもよい。
【0022】
【化5】

<一般式(II)の染料>
【0023】
【化6】

(上記一般式(II)中、R、Rは各々独立的に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルカノイルアミノ基を表し、R、Rのうちいずれかは炭素数1〜4のアルコキシ基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基、ベンゾイル基、ベンジル基を表す。Xはカルボキシル基及びその塩、又はスルホン酸もしくはその塩を表す。mは1〜2の整数を表す。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子。アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
上記一般式(II)中のRについて詳述すると、Rとしては、例えば、水素原子、置換もしくは未置換のフェニル基等が挙げられる。フェニル基の置換基としては例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、スルホン基、若しくはこれらの塩、カルボキシル基若しくはその塩等が挙げられる。Xとしては、例えば、−COOMや−SOM等が挙げられる。但し、Mが、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH)、有機アンモニウム(N(R12)等であるもの、R12が、メチル基或いはエチル基等であるものが挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる一般式(II)で表される染料の具体例として例示化合物6〜9に示す。本発明で使用する一般式(II)で表される染料は、これらに限定されるものではない。又、下記に挙げる染料を同時に2種類以上用いてもよい。
【0025】
【化7】

<一般式(III)の染料>
【0026】
【化8】

(上記一般式(III)中、R、R、Rは各々独立的に炭素数1〜4のアルキル基を表す。R10は水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。Xはカルボキシル基及びその塩、又はスルホン酸もしくはその塩を表す。nは1〜2の整数を表す。p、qは0〜1の整数を表し(0の場合の置換基は水素原子)、p+qは1もしくは2である。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
上記一般式(III)中のR10について詳述すると、例えば、水素原子、置換もしくは未置換のフェニル基等が挙げられる。フェニル基の置換基としては、例えば、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、スルホン基若しくはこれらの塩、カルボキシル基若しくはその塩等が挙げられる。Xとしては、例えば、−COOMや−SOM等が挙げられる。但し、Mが、水素原子、アルカリ金属(例えば、Li、Na等)、アンモニウム(NH)、有機アンモニウム(N(R13)等であるもの、R13が、メチル基或いはエチル基等であるものが挙げられる。
【0027】
本発明に用いられる一般式(III)で表される染料の具体例として例示化合物10〜13に示す。本発明で使用する一般式(III)で表される染料は、これらに限定されるものではない。又、下記に挙げる染料を同時に2種類以上用いてもよい。
【0028】
【化9】

<水性媒体>
本発明にかかるシアンインクは、主溶媒として、水を含むことが好ましい。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることができる。紫外線照射又は過酸化水素添加などにより滅菌処理した水を用いることが黴やバクテリアの発生を防止してインクの長期保存を可能とする点で好ましい。水の含有量は、シアンインク全体に対して30〜95重量%が好ましい。
【0029】
<浸透促進剤>
本発明のシアンインクにおいては、更に浸透促進剤を含有させることが好ましい。浸透促進剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングルコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングルコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングルコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングルコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングルコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングルコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングルコールモノエチルエーテル、プロピレンモノ−n−プロオピレンエーテル、プロピレンモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングルコールモノメチルエーテル、ジプロピレングルコールモノエチルエーテル、ジプロピレングルコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングルコールモノ−iso−プロピルエーテルの多価アルコールのアルキルエーテル類などが挙げられる。これらの浸透促進剤は複数を併用することができる。
【0030】
浸透促進剤の含有量は、シアンインク全体に対して1〜40重量%が好ましく、さらには3〜30重量%が好ましい。
【0031】
<界面活性剤>
本発明にかかるシアンインクは、インクの浸透促進、吐出安定性、並びに高画質の画像を形成する観点から、更に界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等)及びアセチレングルコール系界面活性剤(2,4,7,9,−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1,3−オール等)が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)、サーフィノール82、104、440、485、又はTG(Air Products and Chemicals. Inc製)やオルフィンSTG及びオルフィンE1010(日信化学製)が挙げられる。これらの界面活性剤は複数を併用することができる。
【0032】
界面活性剤の含有量は、シアンインク全体に対して0.2〜5重量%が好ましく、さらには0.5〜2重量%が好ましい。
【0033】
<湿潤剤>
本発明にかかるシアンインクは、更に、高沸点有機溶剤からなる湿潤剤を含有させることが好ましい。高沸点有機溶剤からなる湿潤剤は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングルコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類;尿素;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられるが、中でも特に、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、尿素を用いることが好ましい。これらの湿潤剤は複数を併用することができる。
【0034】
湿潤剤の含有量は、シアンインク全体に対して0.1〜20重量%が好ましく、さらには3.0〜10.0重量%が好ましい。
【0035】
<水溶性有機溶媒>
本発明にかかるシアンインクは、必要に応じて、水溶性有機溶媒を含有させることができる。水溶性有機溶媒としては、インクの速乾性の観点から低沸点有機溶剤が好ましい。低沸点有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール等が挙げられるが、中でも特に、一価アルコールが好ましい。これら水溶性有機溶媒は複数を併用することができる。
【0036】
<添加剤>
更に本発明にかかるシアンインクは、必要に応じて、目詰まり防止剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、誘電率調整剤、酸素吸収剤等の添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は複数を併用することができる。
【0037】
添加剤の含有量は、記録媒体に対する浸透性の確保の観点から、その表面張力が20〜40mN/m、好ましくは25〜35mN/mとなるように添加することが好ましい。また、ヘッドからの安定的な吐出特性の観点から、その温度20℃における粘度が5mPa・s未満となるように添加することが好ましい。
【0038】
<記録媒体>
本発明にかかるシアンインクを使用して画像を形成する記録媒体としては、インクを付着して記録を行う記録媒体であればいずれのものでも使用することができる。
【0039】
<インクジェット記録方法>
本発明にかかるシアンインクを使用して、インクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法を好ましく使用することができ、特に、インクに熱エネルギーを作用させて記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法を更に好ましく使用できる。
【0040】
<記録ユニット>
本発明にかかるシアンインクを用いて記録を行うのに好適な記録ユニットとしては、これらのインクが収容されるインク収容部を有する記録ヘッドを備えた記録ユニットが挙げられ、該ヘッド部が、記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーによりインク液滴を発生させることを特徴とする記録ユニットが挙げられる。
【0041】
<インクカートリッジ>
本発明にかかるシアンインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジとしては、これらのインクが収容されるインク収容部を有するインクカートリッジが挙げられる。
【0042】
<インクジェット記録装置>
本発明にかかるシアンインクを用いて記録を行うのに好適な記録装置としては、これらのインクが収容されるインク収容部を有する記録ヘッドの室内のインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーによりインク液滴を発生させる装置が挙げられる。
【0043】
以下に、本実施形態で用いるインクジェット記録装置の機構部の概略構成を説明する。本実施形態における記録装置本体は、各機構の役割から、給紙部、用紙搬送部、キャリッジ部、排紙部、クリーニング部及びこれらを保護し、意匠性を持たす外装部から構成されている。以下、これらの概略を説明していく。
【0044】
図1は、本実施形態で適用する記録装置の斜視図である。又、図2及び図3は、記録装置本体の内部機構を説明するための図であり、図2は右上部からの斜視図、図3は記録装置本体の側断面図をそれぞれ示したものである。
【0045】
本実施形態で適用する記録装置において給紙を行う際には、まず給紙トレイM2060を含む給紙部において記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラM2080と分離ローラM2041から構成されるニップ部に送られる。送られた記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。用紙搬送部に送られた記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に送られる。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とからなるローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転され、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。
【0046】
キャリッジ部では記録媒体に画像形成する場合、記録ヘッドH1001(図4)を目的の画像形成位置に配置させ、電気基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対しインクを吐出する。記録ヘッドH1001についての詳細な構成は後述するが、本実施形態の記録装置においては、記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する記録主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成していく構成となっている。
【0047】
最後に画像形成された記録媒体は、排紙部で第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイM3160に排出される。
【0048】
尚、クリーニング部において、画像記録前後の記録ヘッドH1001をクリーニングする目的のために、キャップM5010を記録ヘッドH1001のインク吐出口に密着させた状態で、ポンプM5000を作用させると、記録ヘッドH1001から不要なインク等が吸引されるようになっている。又、キャップM5010を開けた状態で、キャップM5010に残っているインクを吸引することにより、残インクによる固着及びその後の弊害が起こらないように配慮されている。
【0049】
<記録ヘッド構成>
以下にヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段、及びインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有しており、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
【0050】
図4は、本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900を装着する様子を示した図である。本実施形態の記録装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、淡マゼンタ、淡シアン、及びグリーンインクによって画像を形成し、従ってインクタンクH1900も7色分が独立に用意されている。上記において、少なくとも一種のインクに、本発明にかかるインクを用いる。そして、図に示すように、それぞれがヘッドカートリッジH1000に対して着脱自在となっている。尚、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
【0051】
図5は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図を示したものである。図において、ヘッドカートリッジH1000は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、第2のプレートH1400、電気配線基板H1300、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などから構成されている。
【0052】
第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線は、成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路も又、フォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
【0053】
図6は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101の構成を説明するための正面拡大図である。H2000〜H2600は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下ノズル列ともいう)であり、第1の記録素子基板H1100には、イエローインクの供給されるノズル列H2000、マゼンタインクの供給されるノズル列H2100、及びシアンインクの供給されるノズル列H2200の3色分のノズル列が構成されている。第2の記録素子基板H1101には、淡シアンインクの供給されるノズル列H2300、ブラックインクの供給されるノズル列H2400、オレンジインクの供給されるノズル列H2500、及び淡マゼンタインクの供給されるノズル列H2600の4色分のノズル列が構成されている。
【0054】
各ノズル列は、記録媒体の搬送方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成され、約2ピコリットルのインク滴を吐出させる。各ノズル吐出口における開口面積は、およそ100平方μmに設定されている。又、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。
【0055】
さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持している。
【0056】
電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し記録装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有している。外部信号入力端子H1301は、タンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0057】
一方、インクタンクH1900を保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成している。
【0058】
インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。又、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0059】
さらに、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録ヘッド部H1001とを、接着等で結合することにより、ヘッドカートリッジH1000が構成されている。
【0060】
尚、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッドについて一例を挙げて述べた。
【0061】
この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長・収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましいといえる。
【0062】
又、第二の力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置の形態として、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備え、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させるオンデマンドインクジェット記録ヘッドを挙げることができる。
【0063】
又、インクジェット記録装置としては、上述のようにヘッドとインクタンクとが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いるものでもよい。又、インクタンクとしてはヘッドに対し分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して記録ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。さらに、記録ヘッドに対し好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などを採用することができる。又、記録装置としては、上述のようにシリアル記録方式を採るもののほか、記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって記録素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
【0064】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、下記実施例により限定されるものではない。尚、断りのない限り、「部」及び「%」は、それぞれ重量部及び重量%を示す。
【0065】
(実施例1〜6及び比較例1〜3)
下記表1の各成分を混合し、十分撹拌して溶解させた後、0.20μmテフロン(登録商標)フィルターを用いて加圧濾過を行い、実施例1〜6及び比較例1〜3のインクをそれぞれ調製した。
【0066】
【表1】

<評価>
実施例1〜6及び比較例1〜3の各シアンインクについて、耐ガス性、及び色相角を評価した。
【0067】
・耐ガス性
上記で得られた実施例1〜6及び比較例1〜3のシアンインクを記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置BJ F890(キヤノン製)に搭載し、Gretag Spectrolino(Gretag製)を用いて測定した光学濃度OD(Optical Density)が2.2〜2.5の範囲となる印字Dutyパターンを作成して、記録媒体GP301N(キヤノン製)にベタ印字を行い、記録物を作成した。その後、記録物を常温室内に3日間放置した。その後、該記録物を、温度45℃、相対湿度55%RH、オゾン濃度3ppmのオゾン雰囲気環境中に投入して耐ガス性試験を行った。耐ガス性試験を2時間行ったものそれぞれについて、耐ガス性試験前からの色変化(ΔE*)を次式より算出し、下記評価基準により評価した。又、試験前後のベタ部の色相変化の程度を以下の基準で、目視により評価した。結果を下記表2に示す。
ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
(式中、ΔL、Δa及びΔbは、耐ガス性試験前後におけるL表色系のL、a及びbの座標のそれぞれの差を意味する。)
A:ΔEが15未満で耐ガス性が良好なレベル
B:ΔEが15以上20未満で実用上問題がないレベル
C:ΔEが20以上で実用に堪えないレベル
・色相角
前記の耐ガス性試験と同様にして記録物を作製し、該記録物を常温室内に3日間放置した。その後、各記録物について、Gretag Spectrolino(Gretag製)を用いてL、a及びbを測定し、次式により色相角(H°)を算出して、下記評価基準により評価した。結果を下記表2に示す。
【0068】
≧0、b≧0(第一象限)では、H°=tan−1(b/a
≦0、b≧0(第二象限)では、H°=180+tan−1(b/a
≦0、b≦0(第三象限)では、H°=180+tan−1(b/a
≧0、b≦0(第四象限)では、H°=360+tan−1(b/a
○:H°が215以上265以下であり、シアンインクとして良好なレベル
×:H°が215未満、又は265より大きく、シアンインクとして劣るレベル
【0069】
【表2】

表2から明らかなように、実施例1〜6のシアンインクは、いずれも優れた耐ガス性を有し、且つ色相角も本発明が定義するシアンインクの範囲内にある。これに対し、一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料を含まない比較例1のシアンインクでは、耐ガス性は著しく低い。又、比較例2にみられるように、一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料のうち1種類以上を含んだシアンインクであっても、前記染料含有量の重量比が9.9:0.1〜7:3を外れたインクでは耐ガス性は良好であるが、色相角が前記範囲を外れ、シアンインクとして用いるには実用上問題がある。一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料以外の染料を用いた比較例3のシアンインクは、色相角は前記範囲内にあるものの、十分な耐ガス性が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態における記録装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における記録装置の機構部の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における記録装置の断面図である。
【図4】本発明の実施形態で適用したヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態示した斜視図である。
【図5】本発明の実施形態で適用したヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態で適用したヘッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。
【符号の説明】
【0071】
M2041 分離ローラ
M2060 給紙トレイ
M2080 給紙ローラ
M3000 ピンチローラホルダ
M3030 ペーパーガイドフラッパー
M3040 プラテン
M3060 搬送ローラ
M3070 ピンチローラ
M3110 排紙ローラ
M3120 拍車
M3160 排紙トレイ
M4000 キャリッジ
M5000 ポンプ
M5010 キャップ
E0002 LFモータ
E0014 電気基板
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 第1の記録素子基板
H1101 第2の記録素子基板
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 タンクホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクタンク
H2000 イエローノズル列
H2100 マゼンタノズル列
H2200 シアンノズル列
H2300 淡シアンノズル列
H2400 ブラックノズル列
H2500 グリーンノズル列
H2600 淡マゼンタノズル列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フタロシアニン系染料を用いたシアンインクであって、該シアンインク中に下記一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料のうち少なくとも1種類がさらに含まれ、且つ、インク中のフタロシアニン系染料と下記一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料の総量との染料含有量の重量比が9.9:0.1〜7:3であることを特徴とするシアンインク。
【化1】

(上記一般式(I)中、R、Rは各々独立的に置換もしくは未置換の炭素数1〜4のアルキル基を表し、少なくともR、Rのうちいずれかは1つの水酸基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。Xはカルボキシル基及びその対イオン、又はスルホン酸もしくはその対イオンを表す。lは1〜2の整数を表す。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
【化2】

(上記一般式(II)中、R、Rは各々独立的に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルカノイルアミノ基を表し、R、Rのうちいずれかは炭素数1〜4のアルコキシ基を有する。Rは水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基、ベンゾイル基、ベンジル基を表す。Xはカルボキシル基及びその対イオン、又はスルホン酸もしくはその対イオンを表す。mは1〜2の整数を表す。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子。アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
【化3】

(上記一般式(III)中、R、R、Rは各々独立的に炭素数1〜4のアルキル基を表す。R10は水素原子もしくは、置換もしくは未置換のフェニル基を表す。Xはカルボキシル基及びその塩、又はスルホン酸もしくはその対イオンを表す。nは1〜2の整数を表す。p、qは0〜1の整数を表し(0の場合の置換基は水素原子)、p+qは1もしくは2である。Mはスルホン酸基の対イオンであり、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム或いは有機アンモニウムのいずれかを表す。)
【請求項2】
フタロシアニン系染料と前記一般式(I)、(II)及び(III)で表される染料の総量との染料含有量の重量比が9:1〜7:3であることを特徴とする請求項1記載のシアンインク。
【請求項3】
インクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法において、該インクが請求項1又は2に記載のシアンインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項4】
インクに熱エネルギーを作用させて記録媒体に記録を行う請求項3に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
インクを収容したインク収容部及び該インクを吐出させるための記録ヘッドを備えた記録ユニットにおいて、該インクが、請求項1又は2に記載のシアンインクであることを特徴とする記録ユニット。
【請求項6】
インクを収容したインク収容部を備えたインクカートリッジにおいて、該インクが、請求項1又は2に記載のシアンインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項7】
インクを収容したインク収容部及び該インクを吐出させるためのヘッド部を有する記録ユニットを備えたインクジェット記録装置において、該インクが、請求項1又は2に記載のシアンインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−169289(P2006−169289A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359943(P2004−359943)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】