説明

システムキッチン

【課題】部品点数を増大させることなくシンク回りに収納部を形成し、当該収納部内のキッチン用具の隠蔽性を向上させるとともに、排水口蓋を同時にカバーすることのできる隠蔽部材を備えたシステムキッチンを提供すること。
【解決手段】排水口28の後部に位置するシンク12外周面部分に凹み部20を設けて収納部21が形成されている。凹み部20の前部には、隠蔽部材として作用するカバー23が着脱自在に配置される。このカバー23は、立ち上がり部35と、これに連設された排水口蓋36とを含む。立ち上がり部35は、カバー23の装着状態において、収納部21内のキッチン用具Gの前面側を隠蔽し、排水口蓋36は、排水口28と連通する状態で排水口28をカバーするようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシステムキッチンに係り、更に詳しくは、シンクの外周面部分に設けられた収納部の隠蔽性を向上させることができるとともに、隠蔽を行うための部材に排水口蓋を兼用させることのできるシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンにおいては、シンクの外周側に洗剤やスポンジ等、キッチン用具の収納部を備えたものが知られている。この収納部は、シンクの外周面部分を後方に凹ませた凹み部と、当該凹み部に配置される篭状の収納装置とにより構成することができ、これにより、シンクの洗い場面積を狭めることなくキッチン用具の収納が可能とされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−65556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された構成にあっては、線材を組み合わせて篭状に構成された収納装置を前記凹み部に配置する構成であるため、線材間に生ずる隙間の存在により隠蔽性がなく、収納対象物となるキッチン用具が殆ど見えてしまう、という不都合がある。しかも、収納部は、前記収納装置を必須部品として構成されるものであり、部品点数も増大する。
また、特許文献1は、凹み部の側方上部に形成されたデッキ部分に係合ピンを設け、当該係合ピンに収納装置を係合させる構成であるため、係合ピン回りに水垢等の汚れが付着し易くなる他、清掃性も低下する、という問題もある。
更に、前記収納装置は、シンク底部の排水口との関連性についての配慮がなされておらず、排水口蓋を取り外す際には、汚れた部分に直接触れなければならない、という不都合がある。
【0004】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、部品点数を増大させることなくシンクの外周面側に収納部を形成できるとともに、当該収納部に収納されるキッチン用具の隠蔽性を向上させることのできるシステムキッチンを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、収納部を隠蔽するための部材を多機能型とし、当該部材の一部を排水口蓋として利用可能にして排水口蓋に直接手を触れることなく清掃を行うことのできるシステムキッチンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、シンクの外周面部分に凹み部を設けて収納部を形成するとともに、当該凹み部の前部に隠蔽部材を着脱自在に設ける、という構成を採っている。
【0006】
また、本発明は、排水口の側方に位置するシンク外周面部分に凹み部を設けて収納部を形成するとともに、当該凹み部の前部に、前記排水口に連通する連通孔を有する排水口蓋を一体に備えた隠蔽部材を着脱自在に設ける、という構成を採ることが好ましい。
【0007】
更に、前記隠蔽部材は側面視略L形に設けられ、その立ち上がり部に着脱操作部が設けられる、という構成を採ることができる。
【0008】
また、前記凹み部の底部は、段部を介してシンクの底部よりも上方に設定するとよい。
【0009】
更に、前記隠蔽部材を装着したときに、当該隠蔽部材の前面とシンク外周面とが平坦に連なるように構成することが好ましい。
【0010】
また、前記排水口蓋の上面は、前記シンクの底部上面と平坦に連なるように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、収納部を形成する凹み部の前部に隠蔽部材を着脱自在に設けたことにより、キッチン用具を収納したときに、当該キッチン用具の正面側を隠蔽することができる。しかも、隠蔽部材を取り外すことで、凹み部内の清掃も難なく行うことができる。
また、隠蔽部材が排水口蓋を一体に備えた構成では、排水口蓋の部分に直接手を触れることなく当該排水口蓋の清掃を行うことができる他、排水口蓋を専用に設けた場合に比べて部品点数を削減することが可能となる。
更に、隠蔽部材に着脱操作部を設けた場合には、隠蔽部材の着脱操作を一層容易に行うことができる。
また、前記凹み部の底部をシンク底部よりも上方に設定した構成では、収納部に収納されたキッチン用具の上部を掴み易くすることができ、当該キッチン用具の頻繁な出し入れが必要となる場合の使い勝手を良好に維持することができる。
更に、隠蔽部材の前面とシンク外周面が平坦に連なる構成、或いは、排水口蓋の上面とシンクの底部上面とが平坦に連なる構成では、美観すなわち意匠性の改善を図るばかりでなく、食材屑等の詰まりを生じ難くする機能上の改善を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1には本実施形態におけるシステムキッチンの概略斜視図が示されている。この図において、システムキッチン10は、内部に一定の収容空間を備えたキャビネット本体11と、このキャビネット本体11の上部に配置されるとともに、一部の領域にシンク12が配置されたカウンター13とを含んで構成されている。キャビネット本体11には、前方を出し入れ口として引き出し15及び扉16が設けられる。
【0014】
前記シンク12及びカウンター13は、特に限定されるものではないが、本実施形態では樹脂材料による一体成形品が採用されており、好ましくは、人工大理石が用いられている。シンク12の外周面部分、すなわち、システムキッチン10を正面に見た場合の後部側中央部には凹み部20(図2参照)が形成されている。この凹み部20は、シンク12の外周面12Aを後方に凹ませた外観をなし、この凹み部20により、洗剤やスポンジ等のキッチン用具Gの収納部21が構成されている。
【0015】
前記凹み部20の前部にはシンク12との間を仕切る隠蔽部材としてのカバー23が着脱自在に設けられている。また、凹み部20の左右両側は、上面位置が前記カウンター13の上面位置よりも低く設けられた水平台部25とされており、一方の水平台部25には水栓26が配置されている。なお、シンク12において、後部中央、すなわち、凹み部20の前部には排水口28(図2参照)が形成され、当該排水口28の外周側は、シンク12の底部12B上面より低い段落ち部29が形成されている。
【0016】
図2に示されるように、前記凹み部20の底部20Aは、上面に滑り止め或いは補強として作用するリブ20Bが形成されているとともに、段部30を介してシンク12の底部12Bよりも上方に位置する高さに設定されている。段部30の高さは、例えば、図3中二点鎖線で示されるように、キッチン用具Gとしての市販の洗剤容器等を収納部21内に収納したときに、その上部が前記水平台部25の上面位置より上方に突出して出し入れが容易となる程度に設定されている。なお、凹み部20の底部20Aは、排水口28側に向かって面位置が低くなる勾配を設けるとよい。
【0017】
前記カバー23は、図2及び図3に示されるように、側面視略L形に設けられている。このカバー23は、前記凹み部20の前部に位置して隠蔽作用をなす立ち上がり部35と、立ち上がり部35の下端に一体に連なるとともに当該立ち上がり部35の面と略直交する方向に向けられて前記排水口28上に位置する排水口蓋36とを備えて構成されている。立ち上がり部35は、カバー23を装着したときに、立ち上がり部35の上端が前記水平台部25の上面に略一致する高さ(上下方向長さ)に設定されている。また、カバー23は、排水口蓋36を排水口28の外周側に形成された段落ち部29に受容して立ち上がり部35が凹み部20の前部に位置するように装着されたときに、立ち上がり部35の前面がシンク12の外周面すなわち水平台部25の前面と平坦に連なり、また、排水口蓋36の上面もシンク12の底部12A上面と平坦に連なるようになっている。
【0018】
前記排水口蓋36は、略かまぼこ形の平面形状を備え、カバー23を装着したときに、前記段落ち部29に略ぴったり収まる大きさに設けられている。また、排水口蓋36の面内には、前記排水口28に連通する連通孔36Aが設けられている。本実施形態では、単一の連通孔36Aを設けているが、複数の連通孔を排水口蓋36の面内に設けることを妨げない。また、連通孔36Aの形成位置は、排水口28への通水が可能であれば任意に設定することができる。
【0019】
本実施形態におけるシステムキッチン10は、図1に示されるように、カバー23を装着した状態で、凹み部20の前部に立ち上がり部35が位置する一方、排水口蓋36が段落ち部29に受容される。これにより、収納部21は、立ち上がり部35によって上部を出し入れ口とする状態となり、当該出し入れ口を通じてキッチン用具Gの出し入れが可能となっている。なお、カバー23の装着状態では、排水口蓋36が段落ち部29に受容された状態となるため、キッチン用具Gの出し入れに際して立ち上がり部35の面を前方に押し出すような力が加えられても、カバー23は装着位置を保って脱落が防止されることとなる。
【0020】
従って、このような実施形態によれば、収納部21内に収納されたキッチン用具Gの正面側を隠蔽することができるとともに、前記立ち上がり部35の面を摘んでカバー23を取り外すことができるので、排水口蓋36に直接触れることなく当該排水口蓋36を清掃することができる、という効果を得る。
【0021】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0022】
例えば、図4(a)に示されるように、カバー23の立ち上がり部35の上端に着脱操作部としての屈曲部35Aを設けた構成を採用することができる。このような屈曲部35Aを設けた構成では、当該屈曲部35Aに指先を引っ掛けることでカバー23の着脱操作を容易に行うことができる。
【0023】
また、図4(b)に示されるように、前記屈曲部35Aに代えて、指掛け孔35Bを形成し、当該指掛け孔35Bを着脱操作部とすることもできる。
【0024】
更に、前記実施形態では、凹み部20がシンク12の後部中央に位置する外周面12Aに設けられた場合を図示、説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シンク12の後部コーナー側や、左右方向の側部となる外周面部分に設けることでもよい。
【0025】
また、前記隠蔽部材は立ち上がり部35と排水口蓋35とを一体に備えたものに限らず、立ち上がり部35に相当する一枚の板材によって構成することができる。この場合、板材の脱落を防止するスライド溝等を水平台部25、25の相対面に形成することが好ましい。但し、前記実施形態の構成を採用すれば、排水口蓋を直接触ることなく清掃できる点で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係るシステムキッチンの概略斜視図。
【図2】カバーを取り外した状態を示す図1と同様の概略斜視図。
【図3】収納部を含む周辺の拡大側断面図。
【図4】(A)及び(B)は、それぞれカバーの変形例を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0027】
10…システムキッチン、12…シンク、12A…外周面、12B…底部、20…凹み部、20A…底部、21…収納部、23…カバー(隠蔽部材)、28…排水口、30…段部、35…立ち上がり部、35A…屈曲部(着脱操作部)、35B…指掛け孔(着脱操作部)、36…排水口蓋、36A…連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクの外周面部分に凹み部を設けて収納部を形成するとともに、当該凹み部の前部に隠蔽部材を着脱自在に設けたことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項2】
排水口の側方に位置するシンク外周面部分に凹み部を設けて収納部を形成するとともに、当該凹み部の前部に、前記排水口に連通する連通孔を有する排水口蓋を一体に備えた隠蔽部材を着脱自在に設けたことを特徴とするシステムキッチン。
【請求項3】
前記隠蔽部材は側面視略L形に設けられ、その立ち上がり部に着脱操作部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のシステムキッチン。
【請求項4】
前記凹み部の底部は、段部を介してシンクの底部よりも上方に設定されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のシステムキッチン。
【請求項5】
前記隠蔽部材を装着したときに、当該隠蔽部材の前面とシンク外周面とが平坦に連なることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のシステムキッチン。
【請求項6】
前記排水口蓋の上面は、前記シンクの底部上面と平坦に連なることを特徴とする請求項2記載のシステムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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