説明

システム内の音響伝達経路解析方法

【課題】
音源と受音側との間の系における音響伝達経路の正確な解析が可能な解析方法を提供する。
【解決手段】
最初に音源から受音側までの全ての音経路が識別される方法。音経路には、構造伝播音経路と空気伝播音経路の両方がある。各経路から受音側への伝達関数は、粒子速度センサによって粒子速度ベクトルを測定する、又はマイクロフォン・アレイを用いて1組の音圧を測定する。各経路での負荷は、直接測定されるか、又は実際の音源動作時に間接的に評価される。受け取り量として粒子速度ベクトルが使用されるとき、受音側での粒子速度ベクトルへの各経路の寄与は、三次元ベクトル法によって解析される。受け取り量として音圧分布又は、1組の音圧値が使用されるとき、受音側への各経路の寄与は、三次元面分布手法により解析される。両方の場合、受音側での音の大きさだけでなく方向を解析して各経路の寄与を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音源から受音側までの系における音響伝達を解析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝達経路解析(TPA)は、音源から受音側までのシステム内の音響伝達経路を比較する技術である。TPAは、特に、自動車用途では、エンジンやトランスミッションなどの様々な音源と、受音側(典型的には乗員室内の乗員の耳)との間の音響伝達経路を比較するのに役立つ。
【0003】
自動車システム向けのTPAの典型的な例では、最初に、音源と受音側との間の各音経路を識別する。音響伝達経路は、更に、構造伝播音経路と空気伝播音経路に分けられる。例えば、構造伝播音経路は、エンジン(音源)から、エンジン・マウントの経路を介して、シャーシ以降に伝わる。これに対して、空気伝播音経路は、エンジン(音源)からそのエンジンのある表面の領域から空気(音源からの直接音放射による)を介して、受音側まで伝わる。
【0004】
受音側で生成される全音圧は、各経路寄与に分解され、全ての構造伝播経路による音圧の和と全ての空気伝播経路による音圧の和との合計で表される。各構造伝播経路による音圧は、音源動作時の経路にかかる力に経路から受音側への(構造的)伝達関数を掛けたものによって見積もられる。各空気伝播経路による音圧は、音源動作時の音源構造物のある表面経路からの体積加速度に経路から受音側への(音響学的)伝達関数を掛けたものによって見積もられる。
【0005】
そのようなシステム、特に自動車システムで利用された既知の伝達経路解析の欠点の一つは、音響伝達経路の解析に受音側における騒音(音圧)の大きさしか使用していないことである。逆に言うと、それぞれ音経路の受音側での音の方向を考慮することができない。その結果、音源と受音側との間の系における音響伝達経路の解析が不正確又は少なくとも不完全になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、音源とその受音側との間の系における音響伝達経路の正確な解析が可能な解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、既知の方法の不便性と欠点を克服する、音響系における音響伝達経路を周波数領域で解析する方法を提供する。
【0008】
要するに、本発明は、システム内の音源と受音側との間の音響伝達経路を解析するための、受音側への放射音の三次元解析を含む改善された方法を提供する。そのような音響伝達経路には、構造伝播音経路(例えば、自動車のエンジンからエンジン・マウントを通り乗客の耳までの音経路)と、空気伝播音経路(例えば、エンジン表面領域の空気中への直接放射音から乗客の耳までの音経路)の両方がある。
【0009】
最初に、各音経路に関して、受音側にある粒子速度を測定できるセンサを使用することによって、各音経路の粒子速度の伝達関数を測定する。従来の音圧のみを用いた伝達経路解析と異なり、粒子速度ベクトルを用いるので、受音側での音圧の大きさだけでなく、粒子速度ベクトルで表した受音側での音圧の大きさと音の方向の両方が測定される。構造伝播音経路に関して、粒子速度の伝達関数ベクトルは、受音側での粒子速度ベクトルを構造伝播音経路での力で割ったものである。空気伝播経路に関して、粒子速度の伝達関数ベクトルは、受音側での粒子速度ベクトルを空気伝播音経路での体積加速度で割ったものである。
【0010】
しかしながら、多くの場合、力は測定しにくいので、代わりに経路での力を間接的に評価してもよい。従来、間接的な評価は、以下のように行われる。音源構造体(例えば、エンジン)を取り外した後で、全ての構造伝播経路の間のアクセレランス(加振力から加速度応答への伝達関数)を測定し、これにより、アクセレランス行列が得られる。経路における力は、経路での加速度にアクセレランス行列の逆関数を前から乗算したものによって評価される。過剰決定の場合は、逆行列の代わりに疑似逆行列が使用される。
【0011】
経路から受音側への粒子速度(ベクトル)伝達関数に、音経路での力、又は体積加速度を掛けたものは、受音側での粒子速度(ベクトル)へのその経路の寄与を示し、したがって、これにより、受音側で受け取った粒子速度(ベクトル)の支配的な音経路と方向を識別することができる。
【0012】
あるいは、受音側に放射された(音放射面の)音分布を測定するために、受音側に設置したマイクロフォン・アレイが利用される。粒子速度ベクトルと放射された音分布は両方とも、音の大部分がどこから(受音側に)来たかを明らかにする。マイクロフォン・アレイの場合、マイクロフォン・アレイの各マイクロフォンに関して音圧の標準的な伝達経路解析が実行される。次に、受音側への音放射分布(寄与)が識別される。
【発明の効果】
【0013】
音源と受音側との間の系における音響伝達経路の正確な解析が可能な解析方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る音響伝達解析方法の第1の実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る音響伝達解析方法の第2の実施形態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の動作を示すフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の動作を示すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の更なる理解は、以下の詳細な説明を参照し、添付図面と共に読むときに得られ、幾つかの図全体にわたって類似の参照文字は類似の部分を指す。
【0016】
最初に図1を参照すると、自動車などの音響伝達系が図で示される。図1のシステムは自動車両20として示されているが、本発明が、自動車両の音響解析に限定されず、むしろ複数の音響伝達経路を有する任意の音響システムに適用されることを理解されたい。したがって、図1に示された自動車両20は、例示に過ぎない。
【0017】
自動車両20は、動作中に騒音(音)を発生する車両エンジンなどの音源22を含む。その騒音は、乗員室26内の受音側24(例えば、車両乗客)によって受け取られる。受音側24が受け取った騒音(音)の最小化(又は、少なくとも減少)が望ましい。
【0018】
本発明の音響伝達解析法では、最初に、音源22から受音側24までの各音経路が識別される。音経路には、構造伝播音経路と、空気伝播音経路との両方がある。
【0019】
例えば、更に図1を参照すると、音源22は、エンジン・マウント30及び32によって自動車シャーシ28に取り付けられている。したがって、そのようなエンジン・マウントは、音源22と受音側24の間の構造伝播音経路を構成する。
【0020】
音経路には、音源22から受音側24までの空気伝播音経路がある。そのような空気伝播音経路には、例えば、エンジンのある表面領域(エンジン表面34及び36)がある。音源22であるエンジン表面34及び36は、振動による空気中への放射音が受音側24に辿り着くが、その放射音面が空気伝播音経路となる。一方、構造伝播音経路は、音源構造が直接発する音の経路ではなく、音源構造の振動がエンジン・マウント30及び32を介して、シャーシ28を通って、乗員室26での放射音となる点で、空気伝播音経路と異なる。
空気伝播音経路:(エンジン(音源22))−(エンジン表面34及び36)−空気−(乗員室26)−空気−(乗客24)
構造伝播音経路:(エンジン(音源22))−(エンジン・マウント30及び32)−(シャーシ28)−(乗員室26)−空気−(乗客24)
図1に示されたこの例では、2つの構造伝播経路と2つの空気伝播経路が検討されているが、本発明は、経路の数を限定しない。更に、本発明には、乗員室(26)も音源室(外部)も存在する必要がない。
【0021】
受音側での粒子速度ベクトルへの各音経路の寄与を表わす三次元粒子速度ベクトルが決定される。換言すると、受音側での粒子速度ベクトルは、次にように、各周波数での各経路の寄与に分解される。
【0022】
【数1】

【0023】
ここで、上付き文字Opは、音源の動作状態での値を明示的に示す。例えば、粒子速度ベクトル40は、エンジン表面34の音経路に対応し、三次元粒子速度ベクトル42、44及び46はそれぞれ、表面36、エンジン・マウント30及びエンジン・マウント32の音経路に対応する。更に、各ベクトルの40〜46は、受音側24に寄与する音の大きさ(粒子速度)だけでなく、受音側24に寄与する音の方向(粒子速度)も含む。
【0024】
三次元音ベクトルである40〜46を得るために、受音側24に三次元の粒子速度センサ50が配置されることが好ましい。そのような粒子速度センサは、受け取った粒子速度ベクトルの大きさだけでなく、その方向も測定する。
【0025】
更に図1を参照すると、各音経路の三次元粒子速度(ベクトル)の伝達関数を測定するために、構造伝播音経路では、空気伝播音経路と異なる方法を使用しなければならない。例えば、各構造伝播音経路において、かかっている力を測定(又は、評価)し、その力にその経路から受音側への構造伝播伝達関数を掛けなければならない。
【0026】
【数2】

【0027】
ここで、
【0028】
【数3】

【0029】
は、2つの異なる測定によって得られる。
【0030】
【数4】

【0031】
は、音源動作なしに測定された経路nから受音側までの構造伝播伝達関数を粒子速度ベクトルで表したものである。他の測定は、実際の音源動作時の力
【0032】
【数5】

【0033】
(n=3及び4)を得ることである。音源22と、エンジン・マウント30及び32などの構造支持体との間には、力センサ64及び66が、音経路と直列に機械的に接続されることが好ましい。多くの場合、力センサ64又は66を構造伝播音経路(マウント)と直列に取り付けることは可能ではない。そのような場合、加速度センサを構造伝播音経路と並列に取り付けることによって、逆行列法や剛性法などの従来の代替方法によって経路に掛かる力が見積もられる。(各経路の)力は、一般に、三次元ベクトルである。さらに、一般的に、各経路における三次元モーメント(トルク)ベクトルも考慮する必要がある。構造伝播音経路の力とモーメントの合計6つの次元のうちの1つだけが示されているが、他の5つの次元も、無視できないときは考慮される。
【0034】
【数6】

【0035】
ここで、Nは、構造伝播経路のモーメント(トルク)である。
【0036】
各構造伝播音経路の伝達関数
【0037】
【数7】

【0038】
は、(モーダル実験用)加振シェーカ又はインパクトハンマーを使用して各音経路を加振させるような任意の従来の方法で決定される。
【0039】
【数8】

【0040】
ここで、FPath nは、経路nでのシェーカ又はハンマーによる加振力であり、
【0041】
【数9】

【0042】
は、受音側における粒子速度ベクトルである。空気伝播経路からの粒子速度の寄与を得るために、音源の音放射面からの体積加速度が使用される。
【0043】
【数10】

【0044】
ここで、
【0045】
【数11】

【0046】
は、音源動作なしに別のプロセスで測定された、経路nから受音側への空気伝播伝達関数を粒子速度ベクトルで表したものである。音源動作時の体積加速度QPath n(n=1及び2)は、理想的には、エンジン表面34及び36近くに取り付けられた体積加速度センサによって測定される。しかしながら、これは困難なことが多いので、代わりに加速度センサが、エンジン表面34に36に取り付けられ、各加速度センサは、表面の加速度を示す。体積加速度は、測定された加速度と表面の面積を掛けたものとして得られる。
【0047】
各空気伝播音経路の伝達関数ベクトル
【0048】
【数12】

【0049】
は、体積加速度源(スピーカ)を使用して各音経路を加振させるような任意の従来の方法で決定される。
【0050】
【数13】

【0051】
ここで、QPath nは、経路nでのスピーカによる加振体積加速度であり、
【0052】
【数14】

【0053】
は、受音側で得られる粒子速度である。
【0054】
次に図3を参照すると、図1に対応し、粒子速度センサを利用して各音経路の三次元粒子速度ベクトルを測定する本発明の方法を示すフローチャートが示される。段階100で、音源22から受音側24までの各音経路が識別される。音経路には、構造伝播音経路と空気伝播音経路の両方がある。次に、段階100は、段階102に進む。
【0055】
段階102で、
【0056】
【数15】

【0057】

【0058】
【数16】

【0059】
である粒子速度ベクトルで表した伝達関数が、音源動作なしに測定される。必要に応じて、(逆行列法によって)力
【0060】
【数17】

【0061】
を評価するために、構造伝播経路間の伝達関数(APath n'/FPath n)も音源動作なしに測定される。次に、段階102は、段階104に進む。
【0062】
段階104で、音源が実際の動作条件で稼動され、応答
【0063】
【数18】

【0064】
【数19】

【0065】
及び
【0066】
【数20】

【0067】
(及び/又は、必要に応じて、経路の力を評価するために
【0068】
【数21】

【0069】
)が測定される。次に、段階104は、段階106に進む。
【0070】
段階106で、音源稼動時の各経路の応答に、各経路の伝達関数をそれぞれ掛けて、その総和を取り、音源稼動時の受音側での実際の音と比べる。総和における項を比較して、各周波数での各経路の寄与を順序付ける。
【0071】
【数22】

【0072】
最初に、支配的経路を識別するために、次の粒子速度ベクトルの大きさが比較されてもよい。
【0073】
【数23】

【0074】
伝達経路解析モデルと測定精度を確認するために、受音側で測定された粒子速度
【0075】
【数24】

【0076】
を、経路の全ての寄与の合計と比較しなければならない。
【0077】
【数25】

【0078】
上式の誤差(相等性)が許容できない場合は、音響伝達経路比較の結論を出す前に、識別された音源−経路−受音側モデル(段階100)及び/又は実験的測定(段階102及び104)を改良しなければならない。
【0079】
その後で音経路への音の寄与を比較することによって、支配的な音経路と方向が識別される。その結果を基にして、支配的な経路に対策を施す事によって、受音側へ伝わる音を効率良く減少(改良)させる事が出来る。
【0080】
次に図2を参照すると、受音側のまわりの三次元音圧分布を測定するために、粒子速度センサ50の代わりにマイクロフォン・アレイ52が使用されてもよい。マイクロフォン・アレイの測定面は、図2では受音側のまわりの円として示されていが、実際には球体(又は、球体の一部分)である。例えば、マイクロフォン・アレイ52を使用するとき、エンジン・マウント32からの構造的音経路に対応する主要音圧分布が、54で示される。換言すると、音源#1から経路4を通って受音側24への音は、主に領域54を通る。同様に、音圧分布56は、エンジン・マウント30による音経路に対応し、音圧分布58及び60はそれぞれ、音源22のエンジン表面36及び34からの空気伝播音経路に対応する。それぞれの場合に、各音経路の音圧分布は、受け取った音の大きさだけでなく、受け取った音の方向も含む情報を含む。
【0081】
次に図4を参照すると、図2に対応し、マイクロフォン・アレイを利用して三次元音圧分布を決定する本発明の方法を示すフローチャートが示される。段階200で、音源22から受音側24までの各音経路が識別される。更に、マイクロフォン・アレイによって空間音圧分布を求める面(又は、球面)が識別される。音経路には、構造伝播音経路と空気伝播音経路の両方がある。次に、段階200は、段階202に進む。
【0082】
段階202で、マイクロフォン・アレイの各マイクロフォンによって測定された音圧に関する伝達関数(PReceiver|m/FPath n)と(PReceiver|m/QPath n)が、音源動作なしに測定される。ここで、下付き文字m(=1...M)は、マイクロフォン・アレイのマイクロフォン番号を示し、Mは、アレイ内のマイクロフォンの総数である。必要に応じて、力FOpPath nを(逆行列法によって)評価するために、構造伝播経路間の伝達関数が音源動作なしに測定される。次に、段階202は、段階204に進む。
【0083】
段階204で、音源が、実際の動作条件で動作され、応答
【0084】
【数26】

【0085】
【数27】

【0086】
及び
【0087】
【数28】

【0088】
(及び/又は、必要に応じて、経路に掛かる力の評価用に
【0089】
【数29】

【0090】
)が測定される。次に、段階204は、段階206に進む。
【0091】
段階206で、音源動作時の各経路での各応答に、対応する伝達関数を掛ける。受音側の各マイクロフォンに対し、その総和を取り、各マイクロフォンで実際に測定された音圧と比べる。総和における各項を比較して、各周波数での経路を順序付する。
【0092】
【数30】

【0093】
最初に、M個のマイクロフォンによって測定された音圧の平均を比較して、支配的経路を識別してもよい。
【0094】
伝達経路解析モデルと測定精度を確認するには、受音側で測定された音圧
【0095】
【数31】

【0096】
(m=1,...,M)を、経路の全ての寄与の合計と比較しなければならない。これは、M個の各マイクロフォンにおいて別々に行われる。
【0097】
【数32】

【0098】
上記の式の誤差が許容できない場合は、識別された音源−経路−受音側モデル(段階200)及び/又は実験の測定(段階202及び204)を改良しなければならない。M個の音圧値から、54、56、58、60などの主要な音放射領域が決定される。
f(P1,...,PM
ここで、f=音圧マッピング関数
P=音圧(受音側での)
M=マイクロフォン数である。
【0099】
以上のことから、本発明が、受音側での音の大きさだけでなく音の方向も考慮する、自動車両などの音響伝達系の伝達経路解析を改善できることが分かる。したがって、支配的音経路の識別だけでなく受音側での音の方向も識別され、その結果、必要に応じて受音側への音響伝達を減少させる適切な処置を取ることができる。
【0100】
また、任意の特定の音経路に沿った音響伝達が周波数に依存することを理解されよう。したがって、音響システムの解析には、高速フーリエ変換などの数学的手法を使用する周波数解析が必要である。
【0101】
我々の発明について述べてきたが、添付の特許請求の範囲によって定義されたような本発明の趣旨から逸脱することなく多くの修正が当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0102】
20 自動車両
22 音源
24 受音側
26 乗員室
28 シャーシ
30,32 エンジン・マウント
34,36 エンジン表面
40 粒子速度ベクトル
42,44,46 三次元粒子速度ベクトル
50 粒子速度センサ
64,66 力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源から受音側の粒子速度センサまでのシステム内の音響伝達解析方法であって、
前記音源から前記受音側までの全ての音経路を識別する段階と、
粒子速度ベクトルで表した各経路から前記受音側までの伝達関数を測定する段階と、
各音経路の動作負荷を測定する段階と、
前記経路の前記動作負荷に前記経路から前記受音側までの伝達関数を掛けて、前記受音側での前記粒子速度ベクトルへの前記経路の寄与を表わす段階と、
前記計算した各経路の寄与から、粒子速度ベクトルで表した支配的音経路を決定する段階と、を含む音響伝達解析方法。
【請求項2】
前記音経路が、空気伝播音経路及び/又は構造伝播音経路を含む、請求項1に記載の音響伝達解析方法。
【請求項3】
前記構造伝播音経路の寄与を評価する段階が、前記経路から前記受音側まで構造伝播伝達関数を測定する段階と、前記音源動作時の前記経路での前記負荷を測定又は評価する段階とを含む、請求項2に記載の音響伝達解析方法。
【請求項4】
前記空気伝播音経路の寄与を評価する段階が、各経路から前記受音側への前記空気伝播伝達関数を測定する段階と、前記音源動作時の各経路の前記負荷を測定又は評価する段階と、を含む、請求項2に記載の音響伝達解析方法。
【請求項5】
前記構造伝播音経路の前記伝達関数を測定する段階が、衝撃ハンマー試験を実施する段階又は加振シェーカ試験を実施する段階と、前記経路から前記受音側への前記構造伝播伝達関数を粒子速度ベクトルに関して評価する段階と、を含む、請求項3に記載の音響伝達解析方法。
【請求項6】
前記構造伝播音経路での前記動作負荷を測定する段階が、前記構造伝播音経路内に力センサを取り付け、前記力センサから出力を読み取る段階、又は前記構造伝播音経路内に加速度センサを取り付け、前記加速度センサから出力を読み取り、各前記構造伝播音経路に関して前記加速度センサ出力からの力を評価する段階とを含む、請求項3に記載の音響伝達解析方法。
【請求項7】
前記空気伝播音経路の前記伝達関数測定段階が、各空気伝播音経路に体積加速度センサと共にスピーカを取り付ける段階と、前記経路から前記受音側までの前記空気伝播伝達関数を粒子速度ベクトルに関して評価する段階とを含む、請求項4に記載の音響伝達解析方法。
【請求項8】
前記空気伝播音経路での前記動作負荷を測定する段階が、前記空気伝播音経路内に体積加速度センサを取り付け、前記体積加速度センサから出力を読み取る段階と、前記空気伝播経路内に加速度センサを取り付け、前記加速度センサから出力を読み取り、前記加速度センサ出力と各前記空気伝播音経路の表面積から体積加速度を評価する段階とを含む、請求項4に記載の音響伝達解析方法。
【請求項9】
前記粒子速度ベクトル測定段階が、前記受音側に粒子速度センサを配置する段階を含む、請求項2に記載の音響伝達解析方法。
【請求項10】
前記システムが、自動車両を含む、請求項1に記載の音響伝達解析方法。
【請求項11】
前記車両が、乗員室を含み、前記受音側が、前記乗員室内に位置決めされた、請求項10に記載の音響伝達解析方法。
【請求項12】
音源から受音側マイクロフォン・アレイまでのシステム内の音響伝達経路解析方法であって、
前記音源から前記受音側までの全ての音経路を識別する段階と、
前記マイクロフォン・アレイの各マイクロフォンでの音圧で表した前記各経路から前記受音側までの伝達関数を測定する段階と、
各音経路の動作負荷を測定する段階と、
前記経路の前記動作負荷に前記経路から前記受音側までの前記伝達関数を掛けて、各受音側マイクロフォンでの前記音圧への前記経路の寄与を表わす段階と、
計算した各経路の寄与から、音圧分布又は、1組の音圧で表した支配的音経路を決定する段階と、を含む音響伝達解析方法。
【請求項13】
前記音経路が、空気伝播音経路及び/又は構造伝播音経路を含む、請求項12に記載の音響伝達解析方法。
【請求項14】
前記構造伝播音経路の寄与を評価する段階が、各経路から各受音側マイクロフォンまでの構造伝播伝達関数を測定する段階と、前記音源動作時の各経路での負荷を測定又は評価する段階とを含む、請求項13に記載の音響伝達解析方法。
【請求項15】
前記空気伝播音経路の寄与を評価する段階が、各経路から各受音側マイクロフォンまでの空気伝播伝達関数を測定する段階と、前記音源動作時の各経路での負荷を測定又は評価する段階とを含む、請求項13に記載の音響伝達解析方法。
【請求項16】
前記構造伝播音経路の前記伝達関数を測定する段階が、インパクトハンマー試験を実施する段階又は前記加振シェーカ試験を実施する段階と、各経路から各受音側マイクロフォンへの構造伝播伝達関数を音圧に関して評価する段階とを含む、請求項14に記載の音響伝達解析方法。
【請求項17】
前記構造伝播音経路での前記動作負荷を測定する段階が、前記構造伝播音経路に力センサを取り付け、前記力センサから出力を読み取る段階、又は前記構造伝播音経路内に加速度センサを取り付け、前記加速度センサから出力を読み取り、各前記構造伝播音経路の前記加速度センサ出力からの力を評価する段階を含む、請求項14に記載の音響伝達解析方法。
【請求項18】
前記空気伝播音経路の前記伝達関数を測定する段階が、各空気伝播音経路に体積加速度センサと共にスピーカを取り付ける段階と、各経路から各受音側マイクロフォンへの空気伝播伝達関数を音圧に関して評価する段階とを含む、請求項15に記載の音響伝達解析方法。
【請求項19】
前記空気伝播音経路での前記動作負荷を測定する段階が、前記空気伝播音経路内に体積加速度センサを取り付け、前記体積加速度センサから出力を読み取る段階、また前記空気伝播音経路内に加速度センサを取り付け、前記加速度センサから出力を読み取り、前記加速度センサ出力と各前記空気伝播音経路の表面積から体積加速度を評価する段階と含む、請求項15に記載の音響伝達解析方法。
【請求項20】
前記システムが、自動車両を含む、請求項12に記載の音響伝達解析方法。
【請求項21】
前記車両が、乗員室を含み、前記受音側が、前記乗員室内に配置された、請求項20に記載の音響伝達解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−79953(P2013−79953A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−211659(P2012−211659)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】