説明

システム起動方法、プログラム及びコンピュータシステム

【課題】システムの動作が不安定となった場合に、OSがインストールされる以前からか、アプリケーションがインストールされたことにより動作が不安定となったのかを、直ぐに判別できるようにしたシステム起動方法及びコンピュータシステムを提供する。
【解決手段】外部記憶媒体に、マスタHDDとして、複数に分割されたパーティションの内の少なくとも2つのパーティション領域にブートが可能なようにOSを記録するステップと、前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のHDDへ記録するステップと、記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのOSから見えなくなるように隠すステップと、前記HDDのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行するステップと、を備えた構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部記憶媒体に、オペレーティングシステム(OS)と共にアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクイメージを記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からコンピュータシステム内のハードディスクドライブ(HDD)へデータを展開して記録するシステム起動方法に関し、特に、システムの動作が不安定となった場合に、アプリケーションがインストールされる以前から動作が不安定であったのか、アプリケーションがインストールされたことにより動作が不安定となったのかを、直ぐに判別できるようにしたシステム起動方法及びコンピュータシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータシステムは様々な製品に備え付けられるようになってきている。例えば、従来の1つの画像処理装置では、画像処理ユニット部が発揮する画像処理機能とは異なるカテゴリの機能を発揮する情報処理ユニット部が備え付けられており、この情報処理ユニットは、汎用のOSによって制御されている(特許文献1)。
このようなシステムでは、付属のアプリケーションのバージョンアップ、もしくは付属アプリケーションの追加等が容易にできるように、DVD等の外部記憶媒体に、OSと共にアプリケーションがインストールされた状態のHDイメージとして記録しておき、当該外部記憶媒体からシステム内のHDDへデータを展開して記録するようにしている。このようにすることで、発売元が付属アプリケーションのバージョンアップや追加を行う時には、外部記憶媒体を入れ替えるだけで済み、OSやアプリケーションのインストールで複雑な処理を行う必要がなく、またインストールにかかる時間を短縮できるため、コスト削減にもなる。
なお、他の先行技術としては、特許文献2として、ブートの要求を受ける工程と、単一ドライブの署名セクタにアクセスして、第1ブートパーティションに対する第1シリアル番号と、第2ブートパーティションに対する第2シリアル番号とを確認する工程を含み、次に、この単一ドライブのスキャンを行い、第1シリアル番号を用いて第1ブートパーティションを識別するとともに、第2シリアル番号を用いて第2ブートパーティションを識別し、次に、ユーザが第1ブートパーティションもしくは第2ブートパーティションを選択するよう要求する選択ウィンドウが表示され、次に、ユーザの選択に応じて単一ドライブのブートフラグを修正する工程に進み、このブートフラグの修正は、第1ブートパーティションと第2ブートパーティションのうちの一方をコンピュータブート用のオペレーティングシステムを含むパーティションとして識別するように構成され、この方法は更に、選択されていないパーティションを隠す工程も含む技術が、特許文献3として、書換可能型情報記録媒体であって、データを書き換えながら立ち上がるOSと、書換可能型情報記録媒体用ドライブを書き込み操作するための書換可能型情報記録媒体書込用ドライバと、割り込みベクトルテーブルに格納されるディスクドライブを操作する割り込み処理プログラムの先頭アドレスを、書換可能型情報記録媒体書込用ドライバの先頭アドレスに書き換えるアドレス変換プログラムとを格納する技術が、特許文献4として、システム再起動時に画面にHDD−Mの異常を通知するか、自動的にHDD−Sに切り替えてブートさせ、BIOSからLAN又はMODEMの通信手段を用いて、管理者に装置の設置場所IDを付加して異常発生をメール等で伝達するプログラムをファイル内に追加し、メール伝達の際、リモートで復帰できるか否か判断して通知し、HDD−SをHDD−Mよりモータの回転時間を短くし、OS(APL)に、必要なユーザファイルをHDD−MからHDD−Sへコピーする技術が、特許文献5として、PARTIES(Protected Area Run Time Interface Extension Services)の仕様を満たし、OSのアクセス環境とこのOSから隠蔽された領域であるPARTIESパーティションとを有するHDDと、ユーザデータ・マネージメント・アプリケーションにおけるOSのアクセス環境にて動作するユーザモード・モジュールと隠蔽された領域に対する環境にて動作する管理モード・モジュールとの間でコミュニケーションを行うためのワークエリアを提供するCMOS/NVRAMとを有する技術が、特許文献6として、ハードディスクは、ソフトウェアを保管する第1パーティションと、上記ソフトウェアを初期状態に戻すための復元プログラム及びバックアップデータを保管する第2パーティションと、第1パーティションと第2パーティションのいずれか一方からシステム起動を行うブートブロックと、いずれのパーティションからシステム起動すべきかをブートブロックに指示する切り替えプログラムとを有し、BIOSは、電源投入時に特定の入力操作があった場合に切り替えプログラムを起動し、この時、切り替えプログラムは、第2パーティションからシステム起動すべきことをブートブロックに指示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−356822公報
【特許文献2】特開2002−7139公報
【特許文献3】特開2002−222087公報
【特許文献4】特開2002−49487公報
【特許文献5】特開2004−13563公報
【特許文献6】特開2003−280914公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては、例えば、汎用OSであるWindows(登録商標)では、アプリケーションをインストールしたことでレジストリが書き換えられ、動作が遅くなったり、不安定になったりすることがある。また、OSを含むシステム側に問題があるために、動作が遅くなったり、不安定になったりする場合も考えられる。
このような場合、アプリケーションをアンインストールすることにより、アプリケーション側の問題なのか、OSを含むシステム側の問題なのかを切り分けることができる。
しかしながら、ユーザが多数のアプリケーションをインストールしていた場合には、アプリケーションをアンインストールする作業は大変であり、その作業に時間がかかってしまう問題が生じる。
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、システムの動作が不安定となった場合に、アプリケーションがインストールされる以前から動作が不安定であったのか、アプリケーションがインストールされたことにより動作が不安定となったのかを、直ぐに判別できるようにしたシステム起動方法及びコンピュータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、外部記憶媒体に、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクをイメージとして記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からコンピュータシステム内のハードディスクドライブへデータを展開して記録するシステム起動方法であって、前記外部記憶媒体からハードディスクドライブの複数に分割されたパーティションの内の少なくとも2つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録するステップと、前記ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠すステップと、
前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行するステップと、を備えたことを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、外部記憶媒体に、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクをイメージとして記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からコンピュータシステム内のハードディスクドライブへデータを展開して記録するシステム起動方法であって、前記外部記憶媒体からハードディスクドライブの複数に分割されたパーティションの内の1つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録すると共に、少なくとも1つ以上のパーティション領域を、前記オペレーティングシステムが記録されるように予約された領域とするステップと、前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクイメージを展開して記録するステップと、前記ハードディスクドライブへ前記ハードディスクイメージを展開して記録する際に、前記予約されたパーティション領域に前記パーティション領域のオペレーティングシステムをコピーするステップと、前記ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠すステップと、前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0005】
また請求項3記載の発明は、前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する前に、前記ハードディスクドライブに予めデータが記憶されているか否かをチェックするステップを備えたことを特徴とする。
また請求項4記載の発明は、前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する際に、前記ハードディスクドライブの複数パーティションのうち、どのパーティションからブートするかを選択するステップと、前記選択されたパーティションから起動するステップと、を備えたことを特徴とする。
また請求項5記載の発明は、ハードディスクドライブとして、複数に分割されたパーティションの内の少なくとも2つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録した外部記憶媒体からコンピュータシステム内のハードディスクドライブへハードディスクをイメージとして展開して記録するステップと、ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠すステップと、前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行するステップと、を実行するためのプログラムを特徴とする。
また請求項6記載の発明は、外部記憶媒体に、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクをイメージとして記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からハードディスクドライブへデータを展開して記録するコンピュータシステムであって、前記外部記憶媒体からハードディスクドライブの複数に分割されたパーティションの内の少なくとも2つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録する手段と、前記ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠す手段と、前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また請求項7記載の発明は、外部記憶媒体に、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクをイメージとして記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からハードディスクドライブへデータを展開して記録するコンピュータシステムであって、ハードディスクドライブとして、複数に分割されたパーティションの内の1つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録し、少なくとも1つ以上のパーティション領域を、前記オペレーティングシステムが記録されるように予約された領域とした外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクイメージを展開して記録する手段と、前記ハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する際に、前記予約されたパーティション領域に前記パーティション領域のオペレーティングシステムをコピーする手段と、前記ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠す手段と、前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行する手段と、を備えたことを特徴とする。
また請求項8記載の発明は、前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する前に、前記ハードディスクドライブに予めデータが記憶されているか否かをチェックする手段を備えたことを特徴とする。
また請求項9記載の発明は、前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する際に、前記ハードディスクドライブの複数パーティションのうち、どのパーティションからブートするかを選択する手段と、前記選択されたパーティションから起動する手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、システムの動作が不安定となった場合に、アプリケーション(OS)がインストールされる以前から動作が不安定であったのか、アプリケーションがインストールされたことにより動作が不安定となったのかをすぐに切り分けることが可能となる。
また、本発明によれば、OS又はアプリケーションがインストールされているマスタHDDのパーティションを1つにすることで、HDイメージを小さくすることができる。
また、本発明によれば、システム起動時にHDDを検査して光ディスクからHDDへのデータ記録を行う必要があるか否かを判断するため、毎回HDDへのデータ記録を行わずに済む。また、後から保存されたデータを上書きしてしまうことも防ぐことができる。
また、本発明によれば、コンピュータシステムに取り付けられた選択SWにより、ブートパーティションを選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明によるコンピュータシステムの一実施形態の概略ブロック図である。
図1に示すように、このコンピュータシステムは、内部バス1を介して、CPU3と、HDD5と、BIOS ROM7と、メモリ9と、ドライブ装置11と、LAN13と、表示I/F15とが相互に接続されており、表示I/F15にはLCD(又はCRT)17が接続されている。
ドライブ装置11は、CDもしくはDVDなどの光ディスク19からデータの再生が可能となっている。このコンピュータシステムは、HDD5もしくはドライブ装置11に挿入された光ディスク19からの起動が可能であり、以下に説明するHDD5もしくは光ディスク19からの起動は、BIOSによってCPU3で制御される。
この光ディスク19は、図2に示すようにマスタHDDのイメージが記録されている。本マスタHDDには、図中に示すように、先頭セクタからMBR(マスターブートレコード)、パーティション1、パーティション2、パーティション3が記録されているものとする。また、パーティション1、パーティション2には、同一のオペレーションシステム(OS)がそれぞれ記録されており、他のパーティション3にはアプリケーションが記憶されている。光ディスク19は、これらのHDイメージデータが圧縮されて記録されている。図2は、光ディスク19にマスタHDDのイメージが記録されている状態を示す説明図である。
また、同時に、光ディスク19には、ブートプログラムも記録されており、ブータブルディスクとして作成される。当該光ディスク19からシステム起動する場合には、BIOSから当該ブートプログラムに起動処理が移され、ブートプログラムから起動処理が続行されるようになる。
【0009】
この光ディスク19が、コンピュータシステムに挿入された状態で、且つシステム起動時に当該光ディスク19からの起動であった場合には、そのブートプログラムは、コンピュータシステムにあるHDD5に、図3に示すように当該光ディスク19内に記録されているHDイメージを展開して記録し、図2のマスタHDDと同じ構成のHDDを作成する。図3は、光ディスク19に記憶されているマスタHDDのイメージがHDD5に展開される状態を示す説明図である。
つまり、ユーザによりアプリケーションプログラム等がインストールされていない状態では、HDD5に展開して記録されているパーティション1とパーティション2には同一のOSが記録されていることになる。そして、例えば、パーティション1をブートパーティションとした場合は、HDD5に展開して記録されているパーティション1のOSが起動される。
ここで、ユーザが、HDD5のパーティション1にアプリケーションプログラムをインストールしたり、データを保存したりしても、パーティション2は常に光ディスク19から展開して記録したばかりの初期状態である。従って、例えば、パーティション1で動作が不安定となった場合には、パーティション2から起動させることにより、アプリケーションがインストールされる以前から動作が不安定であったのか、もしくはアプリケーションがインストールされたことにより動作が不安定となったのかを切り分けることができる。
なお、ここでは、パーティション1をブートパーティションとした場合には、パーティション2は、コンピュータシステムのOSから見えなくする必要がある。なぜなら、パーティション2にアプリケーションがインストールされたり、データを保存されたりすると、動作が不安定となった場合にアプリケーションの不具合かOSの不具合かを切り分けることが困難となるためである。
そこで、システム起動時にHDD5のMBRに記録されるパーティションテーブルを図4に示すように、AからB、Cへ書き換えることで、パーティション2を隠すことが可能となる。なお、図4中のパーティション1〜3の情報としては、パーティションの先頭アドレスや総セクタ数、どのパーティションから起動するかを示すブートフラグ等が記録されている。図4は、パーティション2をコンピュータシステムのOSから見えなくするようにパーティションテーブルを書き換える動作の説明図である。
【0010】
また、本来パーティションテーブルは4つのパーティション情報まで持つことが可能であるが、本実施例ではパーティションを3つ持つHDDであるため、4つめのパーティション情報が記録される領域にはALL“00”が記録される。
例えば、ブートパーティションをパーティション1とした場合に、パーティション2をOSから見えなくするために、HDD5のMBRに図中Aのように記録されているパーティションテーブルを図中Bのように書き換える。パーティションテーブルからパーティション2の情報をなくすことで、パーティション2をコンピュータシステムのOSから見えなくすることが可能となる。
また、ブートパーティションをパーティション2とした場合には、図中Cのようにパーティションテーブルを書き換えることにより、パーティション1をコンピュータシステムのOSから見えなくすることが可能となる(請求項1)。
なお、マスタHDDのイメージを光ディスク19に記録する際に、予めマスタHDDのパーティション1、パーティション2の両方にOSをインストールしておくと、イメージファイルの容量が大きくなり光ディスク19に入りきらない場合がある。
そこで、パーティション1とパーティション2には同じデータが記録されるため、図5に示すように、光ディスク19においては、パーティション1にのみOSをインストールしておき、パーティション2はパーティション1と同じ大きさの予約領域としておくことで、マスタHDDのイメージファイルを小さくすることができる。そして、光ディスク19からHDD5に展開して記録する際に、パーティション2にパーティション1のデータをコピーするようにすれば、パーティション1とパーティション2を同一のデータとすることができる(請求項2)。
【0011】
図5は、光ディスク19においてパーティション1にのみインストールしたOSをHDD5に展開して記録する際に、パーティション2にパーティション1のデータをコピーする動作説明図である。
ところで、前述したような処理をシステム起動時に毎回行うと、ユーザがアプリケーションをインストールした場合、もしくはデータを保存しているような場合にも、再度光ディスク19からHDD5への記録が行われてしまい、データが上書きされてしまう。従って、ユーザがインストールしたアプリケーションや、保存していたデータをも上書きされてしまう。
そこで、システム起動時にHDD5にデータが記録されているかをチェックし、データが記録されていない場合にのみ光ディスク19からデータを展開してHDD5に記録するようにする必要がある。
図6は、システム起動時に行われるHDDチェックの処理フローチャートである。
まず、システム起動時、BIOSから起動処理が移されたら、HDD5のMBRを再生してHDD5にデータが記録されているかをチェックする(ステップA1)。MBRが正常に再生できなかった、もしくはパーティションテーブルが光ディスク19に記録されているHDイメージファイルと異なる場合にはエラーとし(ステップA2でYE)、光ディスク19からデータを展開してHDD5に記録する処理を実行する(ステップA3)。MBRが正常に再生でき、且つパーティションテーブルが光ディスク19に記録されているHDイメージファイルと同一である場合には(ステップA2でNO)、光ディスク19からHDD5への記録処理を実行せずにHDDブート処理を続行する(請求項3)。
【0012】
次に、ブートパーティションを選択するSWを持つコンピュータシステムの他の実施形態について説明する。
図7は、ブートパーティションを選択するSWを持つコンピュータシステムの他の実施形態の構成ブロック図である。
図7に示すように、このコンピュータシステムは、内部バス1を介して、CPU3と、HDD5と、BIOS ROM7と、メモリ9と、ドライブ装置11と、LAN13と、表示I/F15と、さらに選択スイッチ21とが相互に接続されており、表示I/F15にはLCD(又はCRT)17が接続されている。
次に、図8に示す処理フローに基づいて、他の実施形態におけるブートパーティション切り替え処理について説明する。図8は、他の実施形態におけるブートパーティション切り替え処理のフローチャートである。
まず、システム起動の前に図7に示す選択SW21によりブートさせるパーティションを選択する。その後、システム起動時にBIOSからブートプログラムに起動処理が移されたら、当該選択SW21により選択されたブートパーティションをチェックする(B1)。選択SW21が1に設定されていた場合は(B2でYES)、ブートパーティションをパーティション1に設定し(B4)、ブート処理を続行する。選択SW21が2に設定されていた場合は(B2でNO)、ブートパーティションをパーティション2に設定し(B3)、ブート処理を続行する。このように、図7に示す選択SW21によりブートパーティションを選択することが可能となる(請求項4)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるコンピュータシステムの一実施形態の概略ブロック図である。
【図2】光ディスク19にマスタHDDのイメージが記録されている状態を示す説明図である。
【図3】光ディスク19に記憶されているマスタHDDのイメージがHDD5に展開される状態を示す説明図である。
【図4】パーティション2をOSから見えなくするようにパーティションテーブルを書き換える動作の説明図である。
【図5】光ディスク19においてパーティション1にのみインストールしたOSをHDD5に展開して記録する際に、パーティション2にパーティション1のデータをコピーする動作説明図である。
【図6】システム起動時に行われるHDDチェックの処理フローチャートである。
【図7】ブートパーティションを選択するSW21を持つコンピュータシステムの他の実施形態の構成ブロック図である。
【図8】他の実施形態におけるブートパーティション切り替え処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0014】
1…内部バス、3…CPU、5…HDD、7…ROM、9…メモリ、11…ドライブ装置、13…LAN、19…光ディスク、21…選択スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶媒体に、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクをイメージとして記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からコンピュータシステム内のハードディスクドライブへデータを展開して記録するシステム起動方法であって、
前記外部記憶媒体からハードディスクドライブの複数に分割されたパーティションの内の少なくとも2つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録するステップと、
前記ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠すステップと、
前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行するステップと、を備えたことを特徴とするシステム起動方法。
【請求項2】
外部記憶媒体に、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクをイメージとして記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からコンピュータシステム内のハードディスクドライブへデータを展開して記録するシステム起動方法であって、
前記外部記憶媒体からハードディスクドライブの複数に分割されたパーティションの内の1つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録すると共に、少なくとも1つ以上のパーティション領域を、前記オペレーティングシステムが記録されるように予約された領域とするステップと、
前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクイメージを展開して記録するステップと、
前記ハードディスクドライブへ前記ハードディスクイメージを展開して記録する際に、前記予約されたパーティション領域に前記パーティション領域のオペレーティングシステムをコピーするステップと、
前記ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠すステップと、
前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行するステップと、を備えたことを特徴とするシステム起動方法。
【請求項3】
前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する前に、前記ハードディスクドライブに予めデータが記憶されているか否かをチェックするステップを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシステム起動方法。
【請求項4】
前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する際に、前記ハードディスクドライブの複数パーティションのうち、どのパーティションからブートするかを選択するステップと、前記選択されたパーティションから起動するステップと、を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のシステム起動方法。
【請求項5】
ハードディスクドライブとして、複数に分割されたパーティションの内の少なくとも2つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録した外部記憶媒体からコンピュータシステム内のハードディスクドライブへハードディスクをイメージとして展開して記録するステップと、ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠すステップと、前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行するステップと、を実行するためのプログラム。
【請求項6】
外部記憶媒体に、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクをイメージとして記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からハードディスクドライブへデータを展開して記録するコンピュータシステムであって、
前記外部記憶媒体からハードディスクドライブの複数に分割されたパーティションの内の少なくとも2つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録する手段と、
前記ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠す手段と、
前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行する手段と、を備えたことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項7】
外部記憶媒体に、オペレーティングシステム及び/又はアプリケーションがインストールされた状態のハードディスクをイメージとして記録しておき、システム起動時に、前記外部記憶媒体からハードディスクドライブへデータを展開して記録するコンピュータシステムであって、
ハードディスクドライブとして、複数に分割されたパーティションの内の1つのパーティション領域にブートが可能なようにオペレーティングシステムを記録し、少なくとも1つ以上のパーティション領域を、前記オペレーティングシステムが記録されるように予約された領域とした外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクイメージを展開して記録する手段と、
前記ハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する際に、前記予約されたパーティション領域に前記パーティション領域のオペレーティングシステムをコピーする手段と、
前記ハードディスクドライブの少なくとも2つのブート可能なオペレーティングシステムが記録されたパーティションの内、1つのパーティションのみ通常のブートで使用するブートパーティションとし、残りのパーティションを前記コンピュータシステムのオペレーティングシステムから見えなくなるように隠す手段と、
前記ハードディスクドライブのブートパーティションにブート処理を切り替えてシステム起動処理を続行する手段と、を備えたことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項8】
前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する前に、前記ハードディスクドライブに予めデータが記憶されているか否かをチェックする手段を備えたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記外部記憶媒体から前記コンピュータシステム内のハードディスクドライブへ前記ハードディスクをイメージとして展開して記録する際に、前記ハードディスクドライブの複数パーティションのうち、どのパーティションからブートするかを選択する手段と、前記選択されたパーティションから起動する手段と、を備えたことを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−80105(P2007−80105A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269240(P2005−269240)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】