説明

シミュレ―ションゲ―ム機のシ―ト揺動機構

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遊技者がシートに座り、モニタ画面を見ながら競争、戦闘ゲーム等を行なうゲーム機のシート揺動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】シートに座りモニタ画面を見ながら操作を行なうゲーム機において、従来、そのシートはゲーム機本体と分離して設置されるか、あるいはゲーム機本体と一体的に固定される場合が多く、いずれにしてもこれらのシートは動くことが無いため、遊技者にとっては臨場感に欠けるという問題があった。
【0003】そこで、シート一体式のゲーム機を架台に載せ、この架台にX−Yテーブルやエアーシリンダー等を設けて、展開されるゲーム内容に応じてスライドや昇降可能にするものが提案されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このゲーム機においては、その移動、昇降、また傾斜を実現するためにX−Yテーブル、多数のエアーシリンダー、及びこれらを制御する制御部等が必要となるため構造が複雑で大型化せざるを得なかった。
【0005】本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構造で臨場感を醸し出せるシミュレーションゲーム機のシート揺動機構の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、ゲーム機本体の下部に位置する架台に対向して、遊技者が着座するシートを有するシミュレーションゲーム機のシート揺動機構において、上記シートに一体固定され、前方に突出する支持軸と、上記支持軸を回動可能であって、前後方向にスライド可能に支持する上記架台に設けられた支持部材と、上記シートと一体的に回動する揺動部材と、この揺動部材と上記架台との間に介設され、シートを水平姿勢かつ前後方向所定位置に戻すべく揺動部材を付勢する付勢部材とを備える構成としたものである。
【0007】請求項2に係る発明は、上記揺動部材の回動角度を規制する規制部材が設けられる構成としたものである。
【0008】請求項3に係る発明は、上記付勢部材が上記揺動部材と架台の少なくとも1方に取り付けられる構成としたものである。
【0009】請求項4に係る発明は、上記付勢部材をスプリングで構成したものである。
【0010】請求項5に係る発明は、ゲーム機本体の下部に位置する架台に対向して、遊技者が着座するシートを有するシミュレーションゲーム機のシート揺動機構において、上記シートに固定され、前方に突出する支持軸と、上記支持軸を回動可能であって、前後方向にスライド可能に支持する上記架台に設けられた支持部材と、上記シートと一体的に回動する揺動部材と、上記支持軸の外周に設けられ上記スライド可能長にほぼ等しい軸方向長を有するギヤと、駆動源と、上記駆動源からの駆動力を上記ギアの回動力として伝達する伝達部と、ゲーム状況に応じて上記駆動源を駆動させる制御部とを備える構成としたものである。
【0011】
【作用】請求項1記載の発明によれば、シートは揺動したり前後方向にスライドしたりされるので、ゲームに応じて遊技者に、より臨場感が付与される。シートはスライド可能でありながら、付勢部材が揺動部材に付与する付勢力に抗してシート上の遊技者の重心移動等により、支持軸回りに揺動される。また、シートは架台側の部材に作用力を与えるとその反作用によりスライドする。作用を止めると元の位置までスライドして戻る。
【0012】請求項2記載の発明によれば、遊技者の重心移動等によりシートが大きく揺動された場合には、揺動部材と規制部材とが当接することにより、シートの揺動が規制される。
【0013】請求項3記載の発明によれば、上記付勢部材は揺動部材、または架台のいずれかに固定されて、両者間で付勢力を発生する。
【0014】請求項4記載の発明によれば、シート上の遊技者の重心移動等により回動支持軸回りに生じる揺動する力を、スプリングが揺動部材を介して弾力的に抑制することにより、シートが滑らかに揺動される。
【0015】請求項5記載の発明によれば、制御部がゲーム状況に応じてシートを揺動させる信号を発生し、この信号に基づき駆動源が伝達部とギヤとを介して回動支持軸を回動させることにより、シートがゲーム状況に応じて揺動される。また、ギアの軸方向長がスライド長にほぼ一致しているので、スライドしても揺動動作に影響を与えることはない。
【0016】
【実施例】本発明に係るシミュレーションゲーム機のシート揺動機構の第1実施例を図1,2に基づいて説明する。本ゲーム機は、後述する疑似操作部材を備えた本体部1と、この本体部1を上部に安定取付けする架台2と、シート部3(シート)とから構成されている。
【0017】上記本体部1には、例えば自動車の運転を模擬的に行なわせるドライビングゲームが表示されるCRT,LCDパネル等からなるモニタ表示部11と、このモニタ表示部11に表示されるキャラクター(ここでは自動車11aとする)の進行方向を変えるハンドル12、上記自動車11aを加速するアクセルペダル13、上記自動車11aを減速するブレーキペダル14、上記自動車11aの変速機(図示省略)を切り替えるシフトノブ15、及びゲーム開始のためのスタートボタン16等が設けられている。そして、上記本体部1の内部には、ハンドル12の操舵状態を検出する検出部、アクセルペダル13の踏み込み量を検出する検出部、ブレーキペダル14の操作の有無、乃至は踏み込み量を検出する検出部、シフトノブ15のシフト位置を検出する検出部が設けられている。これら検出部は、ポテンショメータや各種スイッチ等で構成されて、所望の検出が行なえるようになっている。
【0018】なお、以上の説明ではシミュレーションゲーム機のゲーム内容としてカーレースの場合を示したが、ゲーム内容がボートレース、その他戦闘機による戦闘ゲーム等の場合にはそれぞれのゲーム内容に応じて必要な疑似操作部材が設けられ、また、これらの疑似操作部材にもそれぞれ検出部が設けられるものである。
【0019】上記架台2は、図2に示すように構成されている。この架台2は箱状に形成され、前壁21、底板22、後壁23、天板24、両側壁25等で充分な機械的強度を有するように構成されている。なお、この天板24と両側壁25とは共に必要に応じて設けられるものである。そして、この架台2内には、スプリング8,9、第1軸支部71、第2軸支部72、及び回動支持軸4等が備えられている。
【0020】上記第1軸支部71と第2軸支部72は、架台2の底板22に設けられており、これら第1、第2軸支部71,72には、上記回動支持軸4の直径よりも僅かに大径に形成された軸孔71a,72aがそれぞれ設けられている。第2軸支部72は底板22の後壁23近傍に固設され、一方第1軸支部71は底板22の前方側に固定され、これら第1,第2軸支部71,72の間には所要の距離が設けられている。
【0021】上記回動支持軸4は、大きな径で充分な剛性を有する棒状部材からなり、上記軸孔71a及び軸孔72aの嵌合部分ではその断面が円形に形成されている。そして、この回動支持軸4は上記軸孔71a及び軸孔72aに挿通され、第1軸支部71と第2軸支部72とで回動可能に、しかも軸方向にスライド可能に支持されるようになっている。
【0022】また、この回動支持軸4には第1、第2軸支部71,72の間で、径方向に突出したスライド規制部材41が装着されている。そして、上記回動支持軸4が図2に示す矢印W1の方向にスライドされても、このスライド規制部41が第1軸支部71の側面に当接することにより、回動支持軸4の後端42が軸孔72aから抜けないようにこのスライド規制部41の装着位置が設定されている。
【0023】底板22にはスプリング8,9が対構造で設けられており、その一端にはフック状の係止部81,91が形成され、他端には該他端をそれぞれ底板22に固定するためのスプリング取付部材73,74が固設されている。スプリング取付部材73,74は後述する揺動部材5,6の係止溝51,61の下方で底板22に固定されている。一方、スプリング8,9の係止部81,91は各係止溝51,61にそれぞれ係止されるようになっている。
【0024】また、スプリング8,9のバネ定数や長さは共に等しく、かつ平均的体重を有する成人の重心移動によりシート部3が揺動されても、後述する揺動部材5,6が揺動範囲規制部(規制部材)21d,21eに当接しない程度に設定されている。こうして、スプリング8,9は遊技者が着座していないフリーの状態でシート部3を略水平に維持するようになされている。
【0025】上記前壁21には、1つの第1孔部21aと2つの第2孔部21b,21cとが形成されており、この第1孔部21aは円形に形成されて上記回動支持軸4が貫通されるようになっている。一方、第2孔部21b,21cは第1孔部21aに対して点対称の位置に円弧状に形成され、その径方向の幅は後述する揺動部材5,6の直径より若干大きく形成され、揺動部材5,6が遊嵌されてその揺動がスムーズに行なわれるようになっている。
【0026】また、この第2孔部21b,21cの円弧角は、シート部3が大きく揺動された場合、揺動部材5,6が第2孔部21b,21cの周方向の両揺動範囲規制部21d,21eに当接することにより、シート部3が過度に揺動されるのを規制して遊技者が着座部31から滑り落ちるのを防止し得るようになっている。
【0027】上記シート部3は、遊技者が座る着座部31と、この着座部31が取り付けられる着座取付部32とで構成され、この着座取付部32の幅方向の中心付近で上記回動支持軸4の先端部に固定されている。更に、この着座取付部32には、この回動支持軸4を挾んで2つの揺動部材5,6が回動支持軸4と平行に固定され、この揺動部材5,6が上記第2孔部21b,21cにそれぞれ挿通されている。
【0028】この揺動部材5,6は、金属等の充分な剛性を有する棒状部材からなり、架台2側の先端付近の外周には、所定の深さと幅で環状の係止溝51,61が形成され、上記付勢部材8,9が係止されるようになっている。
【0029】次に、本発明に係るシミュレーションゲーム機のシート揺動機構の作用について、図1,2,3に基づいて説明する。まず、遊技者がゲームを行なう場合、シート部3の着座部31に座り、モニタ表示部11を見ながら、手でハンドル12を操作すると共に足でペダル類13,14を操作する。そして、遊技者は画面に映し出される道路11bや障害物等の状況に応じてハンドル12を左右に操舵することになる。
【0030】この際、遊技者はハンドル操作に伴って上半身をハンドル操舵方向へ傾斜すると、遊技者の重心が回動支持軸4に対して左や右の一方に移動し、これによりシート部3は重心が移動された方向へ揺動されることになる。普通、上記身体の傾斜度合いは、モニタ表示部11上において高速で急カーブを走行する場合、あるいは走行中に障害物等を回避する場合には特に大きくなり、この場合には重心移動も大きく行なわれてシート部3の揺動角も大きくなる。
【0031】ここで、例えば遊技者が身体を左に傾斜したとすると、シート部3には回動支持軸4を中心として回動する力が発生し、図3に示すようにこの力はシート部3に固定されている揺動部材5,6を介して第1スプリング8を圧縮すると共に、第2スプリング9を伸長させ、この変位量に応じた復元方向への付勢力をスプリング8,9に発生させる。そして、この付勢力と揺動部材5,6に生じた回動力とが平衡する状態となるまでシート部3の揺動が行なわれ、その結果図3の一点鎖線で示す状態で停止する。なお、遊技者の身体が右に傾斜された場合にはシート部3が右方向に揺動され、シート部3は図3の一点鎖線と逆方向に揺動した状態となって停止する。
【0032】また、上記ゲーム中に遊技者がアクセルペダル13やブレーキペダル14を足で強く操作した場合には、着座部31は遊技者を介して図1の矢印A方向に反作用力を受けることになる。このため、回動支持軸4は、2つのスプリング8,9の撓み復元力に抗して図2の矢印W1方向にスライドされる。そして、遊技者が足の力を緩める等により、図1の矢印A方向への反作用力がなくなると、2つのスプリング8,9の後方への付勢力によりシート部3は、揺動部材5,6を介して図2の矢印W2の方向に引き戻されて元の位置に戻ることになる。
【0033】ところで、図1の矢印A方向への力が極端に強い場合には、上記スライド規制部材41が第1軸支部71の側面に当接することにより、回動支持軸4の図2R>2に示す矢印W1方向へのスライドが規制され、回動支持軸4が第2軸支部72から抜け落ちるのが阻止される。なお、上記回動支持軸4に作用する軸方向への付勢を、スプリング8,9とは別に設けた付勢部材で行なっても良い。
【0034】このように、遊技者の重心移動によりシート部3がスプリング8,9の付勢力に抗しながら揺動されるため、このシート部3に着座してゲームを行なっている遊技者に、あたかも実際の自動車でコーナリング等を行なっているような臨場感を与えることができる。更に、シート部3が遊技者からの力により多少前後にスライドすることで一層臨場感を高めることができる。また、重心移動に応じて行なわれる上記シート部3の揺動により、急ハンドルやハンドル操作量が多い場合には、ハンドル操作が行ない易くなるという効果もある。
【0035】なお、上記第1実施例では回動支持軸4を架台2に対して回動可能に支持する構成としたが、この回動支持軸4を架台2に固定する一方、上記着座取付部32をこの回動支持軸4に対して回動可能に取り付けるように構成しても上記と同様の目的が果たせる。
【0036】上記第1実施例は揺動部材5,6をシート部3の着座取付部32に固設する構成としたが、この揺動部材を図4で示す第2実施例のように取り付けてもよい。
【0037】この第2実施例は、回動支持軸4から放射状に装着された2本の揺動部材105,106を設け、この揺動部材105,106を回動支持軸4と一体的に揺動させるようにしたものである。また、前記スプリング取付部材73,74は回動支持軸4に平行するその一端辺から上方に向けてそれぞれ揺動範囲規制部120,130が立設され、この揺動範囲規制部120,130は、軸方向と上下方向にD1,D2の寸法を有する角孔120a,130aがそれぞれ穿設されている。この幅D1は、回動支持軸4のスライド可能な長さと略同じに設定され、幅D2は、回動支持軸4の回動が所定範囲を超えた場合に揺動部材105,106が角孔120a,130aの上下の縁部120b,130bに当接してその揺動範囲を規制するように設定されている。
【0038】このように構成すると、スプリング取付部材73,74を構成する部材を兼用して、回動支持軸4が大きく揺動された場合にシート部3が許容範囲以上に揺動されるのが確実に阻止される。そして、この第2実施例では、揺動部材5,6が挿通される2つの第2孔部21b,21cが不要となるのでその分、外観を向上させることができる。なお、第1、第2実施例において、スプリングは揺動部材とスプリング取付部材の少なくとも一方に固設されるようにしたものでもよい。
【0039】また、以上の実施例では揺動部材、スプリング、揺動範囲規制部は回動支持軸4を挾んだ一対構成となっているが、この一対構成に代えてこれら各部材を回動支持軸4の1方側にのみ設ける構成としても同様の効果を果たすことができる。この場合の上記スプリングのフリーの高さ位置は、シート部3を略水平に維持する高さに設定され、一方、そのバネ定数は1個のスプリングでシート部3に作用する回動力を受け止められるに充分な値に設定されるものである。上記のような構成の簡略化により、揺動機構の一層の低廉化が図れるものである。
【0040】また、図5は第3実施例を示す要部構成図で、この第3実施例の構成について説明すると、架台2の底板22と天板24とには、それぞれスプリング取付部材201,202を固設し、このスプリング取付部材201,202にはスプリング203,204がそれぞれ固定されている。そして、このスプリング203,204にそれぞれ設けられた係止部203a,204aは、揺動部材5の端部に設けられた前記係止溝51に共に係止されている。ところで、これらのスプリング203,204のフリー状態の高さ位置とバネ定数は、シート部3を略水平状態に保持するように設定されている。
【0041】こうして揺動部材5を付勢すると、揺動部材5が図5の矢印C1方向に揺動されると、下方のスプリング203は圧縮され、上方のスプリング204は伸長されて、これら2つのスプリング203,204が揺動部材5をそれぞれ中央の位置に戻すように付勢することになり、前記第1,第2実施例の場合と同様の機能が得られる。また、揺動部材5が同図の矢印C2方向に揺動された場合には、各スプリング203,204の変位と付勢力が上記と逆方向になり、やはり揺動部材5を中央へ戻すよう付勢することになる。
【0042】なお、この2つのスプリング203,204の装着構造を一対でなく、一方にのみ設けてもよく、また、スプリング203,204に係止部203a,204aを設けることなく、2つのスプリング203,204で揺動部材を挾むように構成してもよい。そのために、図5に示すスプリング203,204のコイル径を充分大きくすることにより、揺動が行なわれても揺動部材5がスプリング203,204のコイル径外へ逸脱することのないように構成する。
【0043】更に、付勢部材の別の装着構造としては、図5に示すスプリング203,204を連続した1個のスプリングで構成し、このスプリングの中央付近に揺動部材5を係止するように構成してもよい。これらのいずれの構成においても、図5に示す場合と略同様の付勢が行なえる。
【0044】揺動部材に対する付勢を上記したような構成で行なうと、相反する方向の付勢力で揺動部材5を初期の中央位置へ付勢するため、2つのスプリング203,204のフリー状態の高さやバネ定数の選定範囲が拡大され、これらの選定が容易となる。
【0045】なお、以上の実施例においては、付勢部材として全てスプリングを使用した場合を示したが、付勢部材として例えばゴム等の弾性材や、空気の弾力性を利用したエアーダンパなどを使用してもよく、上記スプリングに限定されるものではない。
【0046】前記第1〜第3実施例では遊技者の重心移動により、シート部3が左右方向に揺動される構成としたが、第4実施例ではシート部3の揺動をゲーム状況に応じて自動的に行なわせるようにしたもので、以下図6R>6,7に基づいて説明する。この第4実施例では、回動支持軸4を回動させるモーター等の駆動源300、回動支持軸4に設けられるギヤ43、このギヤ43と噛合して上記駆動源300の回転力を上記ギヤ43に伝達するアイドルギヤ301(伝達部)、ゲームの進行と上記駆動源300を制御する制御部400等が設けられている。なお、このアイドルギヤ301は必要に応じて設けられるものである。
【0047】上記ギヤ43は、軸方向に所定長さを有し、第1軸支部71と第2軸支部72との間で回動支持軸4に一体回転するように装着、または形成されている。このギヤ43の軸方向の長さは、回動支持軸4のスライド可能な長さと略同じ長さに設定されている。一方、上記アイドルギヤ301は第2軸支部72に突設された軸部303に回動可能に軸支されている。更に、この第4実施例では、例えばロータリーエンコーダー等で構成される揺動角検出器(図示省略)が設けられ、回動支持軸4の揺動角を検出することにより、シート部3の揺動角を検出することができるようになっている。
【0048】上記駆動源300は、内部の回転を減速して高トルクを作る減速部300aを有し、減速部300aの出力ギヤ(図示省略)が上記アイドルギヤ301に噛合するようにして底板22に強固に固定されている。減速部300aの減速比は、遊技者が着座したシート部3を適切な速度と必要な回転トルクとで揺動できるように設定されている。
【0049】上記制御部400はゲーム機の本体部1に内臓され、図7に示すように、ゲーム等の進行制御を行なう制御回路部401、操作信号や検出信号を生成して制御回路部401に導く信号入力部402、上記制御回路部401からの制御信号を受けてゲーム画面を作成表示する前記モニタ表示部11、制御回路部401からの制御信号を受けて上記駆動源300を回転させるための駆動信号を生成するドライブ信号生成部403、及びプログラムや処理データを記憶するRAM,ROM等からなる記憶部404等で構成されている。
【0050】上記制御回路部401はマイクロコンピューター等で構成され、上記信号入力部402からの入力信号と上記記憶部404のゲームプログラムとに基づいてゲームの進行制御を行ない、かつ上記ドライブ信号生成部403に揺動のために駆動信号を出力するようになっている。
【0051】上記信号入力部402は、ハンドル12、アクセルペダル13、ブレーキペダル14、シフトノブ15、スタートボタン16、揺動角検出器405等からなり、ハンドル12から舵角量と操舵方向を示すハンドル操作信号、アクセルペダル13からこのペダルの踏み込み量を示すアクセル信号、ブレーキペダル14からブレーキ操作の有無を示すブレーキ信号、シフトノブ15からシフト位置を示すシフト信号、スタートボタン16からゲームの開始を示すスタート信号、及び揺動角検出器405からシート部3の揺動角信号が、それぞれ上記制御回路部401に入力されるようになっている。
【0052】また、記憶部404には、ゲームプログラム、及びシート部3を揺動させる場合のタイミング、揺動方向、揺動角度等を決定するためのシート揺動プログラムやデータが記憶されており、制御回路部401は上記シート揺動プログラムとハンドル12からのハンドル操作信号等に基づいて駆動源300の駆動方向、駆動量等を設定するようになっている。
【0053】次に、シートの揺動動作に関する制御を図8R>8に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、コインが投入され、スタートボタン16が押されて、若しくはコイン投入から設定時間が経過してゲームが開始されると、ステップS1で疑似操作部材や検出器等からの各種入力信号を読み込み、ステップS2ではハンドル12の操舵角に適したシート部3の目標揺動角を演算により求める。そして、ステップS3では、この演算により求めた目標揺動角と、上記揺動角検出器405による揺動角とを比較し、シート部3の揺動角と上記目標揺動角とが所定角以上の差があるか否かが判定される。この判定の結果、YESと判定されるとステップS4では、シート部3の現在の揺動角と上記目標揺動角との2つの揺動角の差に応じてシート部3の揺動させるべき方向、及び角度を設定し、ステップS5ではこの設定内容に基づいて駆動信号をドライブ信号生成部403に出力し、その後リターンする。
【0054】もし、ハンドル12が中央位置、すなわち直進走行する場合のハンドル位置に戻されると、ステップS2でシート部3の水平姿勢の目標揺動角を演算にて求め、ステップS4では揺動されているシート部3を上記の水平姿勢に戻すための揺動方向、及び揺動角度が設定され、ステップS5においてこの設定に基づいてシート部3を揺動することにより、シート部3が上記水平姿勢まで戻される。
【0055】なお、上記ステップS2ではハンドル12の操作状態にのみ着目して目標揺動角を演算で求めるように説明したが、この目標揺動角をゲーム中の自動車11aの速度、即ちアクセルペダル13やブレーキペダル14等の操作状態をも加味して求めるようにしてもよい。
【0056】以上説明したように、制御部400が駆動源300を制御することによりハンドル12の操作に応じてシート部3を揺動させるように構成した場合には、上記記憶部404内のゲームプログラムを例えば自動車11aの運転を模擬的に行なわせるものから、船舶の操縦を行なわせるものに変更されても、シート揺動プログラムを船舶の揺動に適したものに変更すれば容易に適合させることができ、本発明の揺動機構をゲーム内容に応じて幅広く適合させることができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、着座した遊技者の重心移動等によりシートを支持軸回りに水平姿勢に戻るようにしつつ揺動可能にするとともに、所定位置に戻るように前後方向にスライド可能にしたので、簡単な構造でゲームの臨場感を遊技者に提供することができる。
【0058】また、揺動範囲を規制する規制部材を設ける構成とした場合には、回動支持軸が所定範囲以上に回動された際に、揺動部材が規制部材に当接してシートの揺動を適正な範囲内に規制するため、遊技者がシートから滑り落ちるのが防止される。
【0059】上記付勢部材は揺動部材、または架台のいずれか一方に取り付られる構成にすると、付勢部材の取付構造を簡素化できる。
【0060】上記付勢部材をスプリングで構成すると、簡単な構成でありながらシートの揺動を滑らかに行なわせることができる。
【0061】上記支持軸のスライド長にほぼ等しい軸方向長さを有するギヤを設け、このギヤに回転トルクを付与する駆動源と、ゲーム状況に応じてこの駆動源を駆動させる制御部とを設ける構成とした場合には、ゲーム状況に応じて、シートを前後スライドさせた状態でも揺動動作が確保されるため、遊技者に一層臨場感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたゲーム機の外観図である。
【図2】本発明に係るシート揺動機構の第1実施例の要部斜視図である。
【図3】上記第1実施例における揺動動作を説明する説明図である。
【図4】本発明に係るシート揺動機構の第2実施例の要部斜視図である。
【図5】本発明に係るシート揺動機構において、付勢部材の他の装着例を示す第3実施例の説明図である。
【図6】本発明に係るシート揺動機構の第4実施例の要部斜視図である。
【図7】上記第4実施例における制御部のブロック図である。
【図8】上記制御部で行なわれるシート揺動機構の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 本体部
2 架台
3 シート部
4 回動支持軸
5,6 揺動部材
8,9 スプリング
21d,21e 揺動範囲規制部
43 ギヤ
71 第1軸支部
72 第2軸支部
300 駆動源
400 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゲーム機本体の下部に位置する架台に対向して、遊技者が着座するシートを有するシミュレーションゲーム機のシート揺動機構において、上記シートに一体固定され、前方に突出する支持軸と、上記支持軸を回動可能であって、前後方向にスライド可能に支持する上記架台に設けられた支持部材と、上記シートと一体的に回動する揺動部材と、この揺動部材と上記架台との間に介設され、シートを水平姿勢かつ前後方向所定位置に戻すべく揺動部材を付勢する付勢部材とを備えたことを特徴とするシミュレーションゲーム機のシート揺動機構。
【請求項2】 上記揺動部材の回動角度を規制する規制部材が設けられたことを特徴とする請求項1記載のシミュレーションゲーム機のシート揺動機構。
【請求項3】 上記付勢部材は上記揺動部材と架台の少なくとも1方に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載のシミュレーションゲーム機のシート揺動機構。
【請求項4】 上記付勢部材がスプリングであることを特徴とする請求項1,2または3記載のシミュレーションゲーム機のシート揺動機構。
【請求項5】 ゲーム機本体の下部に位置する架台に対向して、遊技者が着座するシートを有するシミュレーションゲーム機のシート揺動機構において、上記シートに一体固定され、前方に突出する支持軸と、上記支持軸を回動可能であって、前後方向にスライド可能に支持する上記架台に設けられた支持部材と上記シートと一体的に回動する揺動部材と、上記支持軸の外周に設けられ上記スライド可能長にほぼ等しい軸方向長を有するギヤと、駆動源と、上記駆動源からの駆動力を上記ギアの回動力として伝達する伝達部と、ゲーム状況に応じて上記駆動源を駆動させる制御部とを備えたことを特徴とするシミュレーションゲーム機のシート揺動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【特許番号】第2518597号
【登録日】平成8年(1996)5月17日
【発行日】平成8年(1996)7月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−251861
【出願日】平成5年(1993)10月7日
【公開番号】特開平7−100266
【公開日】平成7年(1995)4月18日
【出願人】(000105637)コナミ株式会社 (106)
【参考文献】
【文献】特開昭63−135188(JP,A)
【文献】特開平1−214385(JP,A)