説明

シャッター眼鏡、及び画像表示システム

【課題】視認される表示画像の明るさの低下を抑制できるシャッター眼鏡を提供する。
【解決手段】シャッター眼鏡3は、光を透過させる透過状態、または光を遮断する遮断状態に切り替わる切替部材5と、電圧の印加状態によって伸縮する圧電素子6Aとを備える。切替部材5は、光を透過させる複数の透過部513,523、及び光を遮断する複数の遮光部512,522を有する第1シャッター部材51及び第2シャッター部材52を備える。圧電素子6Aは、各シャッター部材51,52の相対位置を変更し、透過部513,523同士が重なり合う透過状態、または第1シャッター部材51の遮光部512が第2シャッター部材52の透過部523に重なり合う遮断状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター眼鏡、及び画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を表示する画像表示装置と、観察者に装着されるシャッター眼鏡とを備え、当該シャッター眼鏡を通して画像表示装置にて表示された表示画像を立体視させる画像表示システム(立体映像表示装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の画像表示システムでは、画像表示装置は、第1表示期間では左目用画像を表示し、第2表示期間では右目用画像を表示し、左目用画像及び右目用画像を各表示期間毎に時分割で交互に表示する。
また、シャッター眼鏡は、所謂液晶シャッターで構成され、画像表示装置の上述した時分割駆動に同期して、左目用シャッターと右目用シャッターとが交互に光を透過させる透過状態と遮断する遮断状態とに変化する。
このため、観察者は、シャッター眼鏡を通して、第1表示期間では左目にて左目用画像を視認し、第2表示期間では右目にて右目用画像を視認し、視差により表示画像を立体視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像表示システムでは、シャッター眼鏡として所謂液晶シャッターを採用しているため、以下の問題がある。
すなわち、液晶シャッターでは、液晶の応答速度に起因し、例えば、透過状態に切替を開始してから透過状態へと切替を完了するまでに所定の時間(以下、透過移行期間)を要するものである。
したがって、シャッター眼鏡を利用する場合に、透過率が所望の透過率(透過状態での透過率)に達していない透過移行期間を含む一定期間、表示画像を視認すると、視認される表示画像の明るさが低下してしまう。
【0005】
本発明の目的は、視認される表示画像の明るさの低下を抑制できるシャッター眼鏡、及び画像表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャッター眼鏡は、光を透過させる透過状態、または光を遮断する遮断状態に切り替わる切替部材と、電圧の印加状態によって伸縮する圧電素子とを備え、前記切替部材は、光を透過させる複数の透過部、及び光を遮断する複数の遮光部を有する複数のシャッター部材を備え、前記圧電素子は、前記複数のシャッター部材の相対位置を変更し、前記複数のシャッター部材の前記透過部同士が重なり合う前記透過状態、または一の前記シャッター部材の前記遮光部が他の前記シャッター部材の前記透過部に重なり合う前記遮断状態とすることを特徴とする。
【0007】
本発明では、シャッター眼鏡は、液晶よりも応答速度の速い圧電素子を利用して複数のシャッター部材の相対位置を機械的に変更することで、切替部材を透過状態または遮断状態に切り替える。
このことにより、透過移行期間自体を短くすることができ、透過移行期間を含む一定期間、表示画像を視認した場合であっても、シャッター眼鏡を液晶シャッターで構成した従来の構成と比較して、視認される表示画像の明るさの低下を抑制できる。
【0008】
本発明のシャッター眼鏡では、前記シャッター部材は、光を透過させる透光性基板と、前記透光性基板の一面に形成された前記複数の遮光部とを備え、前記切替部材は、2つの前記シャッター部材で構成され、前記一面同士が互いに対向するように配置されていることが好ましい。
ところで、2つの上述したシャッター部材で切替部材を構成する際、例えば、一面同士が互いに離間するように配置する、あるいは、一方のシャッター部材の一面のみが他方のシャッター部材に対向するように配置した場合には、以下の不具合が生じる恐れがある。
2つのシャッター部材の遮光部同士は、透光性基板の厚み分、離間した状態となっている。すなわち、切替部材を遮断状態に設定した場合であっても、例えば、透光性基板に対して斜め入射した光は、2つのシャッター部材の遮光部同士の隙間を介して透過してしまう恐れがある。このため、例えば、左目用画像が観察者の右目で視認されてしまう等のクロストークが生じる恐れがある。
【0009】
本発明では、切替部材を構成する2つのシャッター部材は、一面同士が互いに対向するように配置されているので、2つのシャッター部材の遮光部同士の隙間を小さくすることができる。
このため、切替部材を遮断状態に設定した場合に、2つのシャッター部材の遮光部同士の隙間を介して透過してしまう光の量を低減させることができ、クロストークの発生を抑制できる。
【0010】
本発明のシャッター眼鏡では、前記切替部材は、3つ以上の前記シャッター部材を備えることが好ましい。
ところで、切替部材として複数のシャッター部材を備える構成とした場合には、遮断状態にする際、一のシャッター部材の透過部に他のシャッター部材の遮光部を重ね合わせ、透過部を遮光部にて閉塞する必要がある。
例えば、切替部材として2つのシャッター部材を備える構成とした場合には、遮断状態にする際、一のシャッター部材の透過部を、他の1つのシャッター部材の遮光部にて閉塞する必要がある。
これに対して、切替部材として3つ以上のシャッター部材を備える構成とした場合には、遮断状態にする際、一のシャッター部材の透過部を、他の2つ以上のシャッター部材の各遮光部にて閉塞すればよい。
そして、本発明によれば、切替部材が3つ以上のシャッター部材を備えるので、切替部材が2つのシャッター部材を備える構成と比較して、遮光部に対する透過部の面積比を大きくすることができる。
したがって、透過状態では遮光部に対して大きい面積比の透過部を介して光を透過させることができるので、視認される表示画像の明るさを向上させることができる。
【0011】
本発明のシャッター眼鏡では、前記透過部及び遮光部は、水平方向に沿って延びる形状を有し、鉛直方向に沿って交互に配列されていることが好ましい。
ところで、表示画像は、一般的に、縦方向よりも横方向の長さ寸法の大きいサイズで構成されている。すなわち、シャッター眼鏡を通して表示画像を視認する際、表示画像を構成する光は、シャッター眼鏡(切替部材)に対して、上方側から見た場合に斜め横方向から多く入射するものとなる。
そして、例えば、透過部及び遮光部を鉛直方向に沿って延びる形状として水平方向に沿って交互に配列した場合には、以下の不具合が生じる恐れがある。
すなわち、切替部材を遮断状態に設定した場合であっても、一のシャッター部材の遮光部と他のシャッター部材の遮光部との隙間を介して、上方側から見た場合に斜め横方向から入射する光が透過し、クロストークが生じる恐れがある。
これに対して、本発明によれば、切替部材を遮断状態に設定した場合に、複数のシャッター部材における水平方向に沿って延びる各遮光部にて、上方側から見た場合に斜め横方向から入射する光を効果的に遮断し、クロストークの発生を抑制できる。
【0012】
本発明の画像表示システムは、上述したシャッター眼鏡と、第1画像及び第2画像を時分割で交互に表示する画像表示装置とを備えることを特徴とする。
本発明では、画像表示システムは、上述したシャッター眼鏡を備えるので、上述したシャッター眼鏡と同様の作用及び効果を享受できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態における画像表示システムの使用形態を示す斜視図。
【図2】第1実施形態における選択部の構成を模式的に示す図。
【図3】第1実施形態におけるシャッター部材の構成を模式的に示す図。
【図4】第1実施形態における選択部の動作を説明するための図。
【図5】第1実施形態における選択部の応答特性を説明するための図。
【図6】第2実施形態における選択部の構成を模式的に示す図。
【図7】第2実施形態における選択部の動作を説明するための図。
【図8】第2実施形態における選択部の応答特性を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔画像表示システムの構成〕
図1は、第1実施形態における画像表示システム1の使用形態を示す斜視図である。
画像表示システム1は、反射型のスクリーンSc(図1)上に投影画像PF(図1)を表示するとともに、観察者に投影画像PFを立体視させる。
この画像表示システム1は、図1に示すように、画像表示装置としてのプロジェクター2と、シャッター眼鏡3とを備える。
【0015】
プロジェクター2は、画像情報(画像データ)に基づく画像を形成してスクリーンSc上に投射する。
このプロジェクター2は、左目用画像(第1画像)と右目用画像(第2画像)とを時分割で交互に投射する。すなわち、スクリーンSc上には、左目用画像と右目用画像とが交互に表示される。
なお、プロジェクター2は、左目用画像の表示開始タイミング、及び右目用画像の表示開始タイミングを示す信号をシャッター眼鏡3に送信する。
【0016】
シャッター眼鏡3は、観察者が装着するものであり、図1に示すように、観察者の両目に対応した一対の選択部4を備える。
なお、以下では、説明の便宜上、一対の選択部4のうち、観察者の左目に対応した選択部を左目用選択部4Lと記載し、右目に対応した選択部を右目用選択部4Rと記載する。
一対の選択部4は、具体的には後述するが、光を透過させる透過状態、または光を遮断する遮断状態に切替可能に構成されている。
そして、シャッター眼鏡3は、プロジェクター2からの信号を受信することで、プロジェクター2の左目用画像及び右目用画像の表示開始タイミングを認識し、各画像の切替に同期して、各選択部4を透過状態または遮断状態に切り替える。
すなわち、シャッター眼鏡3は、左目用画像の表示開始タイミングに合わせて、左目用選択部4Lを透過状態とし、右目用選択部4Rを遮断状態とする。
一方、シャッター眼鏡3は、右目用画像の表示開始タイミングに合わせて、右目用選択部4Rを透過状態とし、左目用選択部4Lを遮断状態とする。
【0017】
以上の構成により、スクリーンSc上の左目用画像は、観察者の左目のみで視認される。また、スクリーンSc上の右目用画像は、観察者の右目のみで視認される。このため、観察者は、スクリーンSc上の投影画像PFを視差により立体視することとなる。
【0018】
〔選択部の構成〕
図2は、選択部4の構成を模式的に示す図である。具体的に、図2は、選択部4を横方向から見た側面図である。なお、図2中、上下方向は、左目用選択部4L及び右目用選択部4Rが水平方向に並列しスクリーンScに正対した状態(図1に示す姿勢の状態)での鉛直方向に相当するものである。以下で記載する「上」、「下」、及び「鉛直方向」も図1に示す姿勢の状態での「上」、「下」、及び「鉛直方向」をそれぞれ意味するものである。また、図2中、右側は、シャッター眼鏡3を装着する観察者の位置する側である。
一対の選択部4は、同様の構成を有し、図2に示すように、切替部材5と、第1圧電素子6Aと、プロジェクター2からの信号に基づいて第1圧電素子6Aを駆動する(電圧印加または非印加)駆動回路(図示略)とを備える。
切替部材5は、機械的に透過状態または遮断状態に切り替わるように構成され、図2に示すように、第1シャッター部材51及び第2シャッター部材52の2つで構成されている。
【0019】
図3は、第1シャッター部材51の構成を模式的に示す図である。具体的に、図3は、第1シャッター部材51を図2中、左側から見た図である。
第1シャッター部材51は、図2または図3に示すように、光を透過させる矩形板状の第1透光性基板511と、複数の第1遮光部512とを備える。
なお、図2または図3では、説明の便宜上、第1遮光部512が6つのみ設けられている構成を図示している。
第1遮光部512は、光を遮断する材料から構成され、図2または図3に示すように、スパッタリングあるいは蒸着等により、第1透光性基板511の一面511Aに形成されている。
より具体的に、複数の第1遮光部512は、図2または図3に示すように、水平方向(図3中、左右方向)に沿って延びる矩形形状を有し、鉛直方向(図2及び図3中、上下方向)に沿って所定の均等なピッチP(図2、図3)で配置されるように形成されている。また、第1遮光部512は、鉛直方向の幅寸法LA(図2、図3)がピッチPの1/2となるように形成されている。
なお、本実施形態では、ピッチPは、200μmに設定されている。また、第1遮光部512における鉛直方向の幅寸法LAは、100μmに設定されている。
【0020】
以上の構成により、第1シャッター部材51において、第1透光性基板511における複数の第1遮光部512が形成されていない部分は、図2または図3に示すように、光を透過させる第1透過部513として機能する。
すなわち、第1シャッター部材51において、第1遮光部512及び第1透過部513は、鉛直方向に沿って交互に配列されている。
なお、第1透過部513における鉛直方向の幅寸法LB(図2、図3)は、第1遮光部512が上述したように形成されているため、幅寸法LAと同一である。
そして、第1シャッター部材51は、第2シャッター部材52に対してシャッター眼鏡3を装着した観察者に近接する側に位置し、かつ、一面511Aが観察者から離間する側に位置する姿勢で、シャッター眼鏡3のフレーム部材3A(図1)に支持される。
また、第1シャッター部材51は、フレーム部材3Aに対して鉛直方向に沿って移動可能に支持される。
【0021】
第2シャッター部材52は、第1シャッター部材51と略同様に構成されている。
なお、以下では、第2シャッター部材52において、第1シャッター部材51(第1透光性基板511、第1遮光部512、及び第1透過部513)に対応する構成を、第2透光性基板521、第2遮光部522、及び第2透過部523と記載する(図2、図3)。
なお、第2透光性基板521は、図2に示すように、最上部の第2遮光部522の形成位置から上端部までの長さ寸法が第1シャッター部材51での長さ寸法(第1透光性基板511における最上部の第1遮光部512の形成位置から第1透光性基板511の上端部までの長さ寸法)よりも大きくなるように形成されている。
そして、第2シャッター部材52は、第2透光性基板521における第2遮光部522が形成された一面521Aが第1透光性基板511の一面511Aに対向する姿勢で、フレーム部材3Aに固定される。
【0022】
第1圧電素子6Aは、駆動回路による電圧の印加状態によって伸縮する。
この第1圧電素子6Aは、第2透光性基板521における一面521Aの上方側に取付部材3Bを介して取り付けられ、第1透光性基板511の上端部に接続する。
そして、第1圧電素子6Aは、伸縮することにより、第2シャッター部材52に対して第1シャッター部材51を鉛直方向に移動させる。
【0023】
〔選択部の動作〕
図4は、選択部4の動作を説明するための図である。具体的に、図4は、図2に対応した図であり、第1圧電素子6Aに電圧を印加していない状態を図4(A)に示し、電圧を印加した状態を図4(B)に示している。
次に、上述した選択部4の動作を図4に基づいて説明する。
例えば、駆動回路は、プロジェクター2からの信号に基づいて、選択部4を透過状態とする場合には、第1圧電素子6Aへの電圧印加を停止する。
この状態では、選択部4は、図4(A)に示すように、第1圧電素子6Aが伸長せずに、各透過部513,523の鉛直方向の各位置が一致し、各透過部513,523同士が互いに重なり合う状態(各遮光部512,522同士が互いに重なり合う状態)となる。
すなわち、選択部4に入射した光は、図4(A)に示すように、各透過部513,523を介して選択部4を透過することとなる。
【0024】
また、例えば、駆動回路は、プロジェクター2からの信号に基づいて、選択部4を遮断状態とする場合には、第1圧電素子6Aに電圧を印加する。
この状態では、第1シャッター部材51は、図4(B)に示すように、第1圧電素子6Aが伸長することで、図4(A)に示す状態から下方側に移動(本実施形態では、100μmだけ移動)する。
そして、選択部4は、第1遮光部512及び第2透過部523の鉛直方向の各位置が一致し、第1遮光部512が第2透過部523に重なり合う状態(第1透過部513が第2遮光部522に重なり合う状態)となる。すなわち、第2透過部523及び第1透過部513は、第1遮光部512及び第2遮光部522にてそれぞれ閉塞される。
すなわち、選択部4に入射した光は、図4(B)に示すように、各遮光部512,522に遮断され、選択部4を透過することはない。
【0025】
上述した第1実施形態によれば、以下の効果がある。
図5は、選択部4の応答特性を説明するための図である。具体的に、図5は、時間を横軸とし、選択部4の透過率を縦軸とし、透過状態及び遮断状態の切替を高速に実施した場合の応答特性を示している。
なお、図5では、本実施形態の選択部4の応答特性を実線で示し、選択部として液晶シャッターを用いた場合の応答特性を破線で示している。また、図5において、透過状態での透過率は略50%であり、遮断状態での透過率は略0%である。
本実施形態では、シャッター眼鏡3は、液晶よりも応答速度の速い第1圧電素子6Aを利用して第2シャッター部材52に対して第1シャッター部材51を機械的に移動することで、切替部材5を透過状態または遮断状態に切り替える。
このことにより、図5に示すように、選択部として液晶シャッターを用いた場合と比較して、透過状態に切替を開始してから透過状態へと切替を完了するまでの透過移行期間Tを短くすることができる。
したがって、透過移行期間Tを含む一定期間、表示画像を視認した場合であっても、選択部として液晶シャッターを用いた場合と比較して、視認される投影画像PFの明るさの低下を抑制できる。
【0026】
また、切替部材5を構成する2つのシャッター部材51,52は、一面511A,521A同士が互いに対向するように配置されているので、各遮光部512,522同士の隙間を小さくすることができる。
このため、切替部材5を遮断状態に設定した場合に、各遮光部512,522同士の隙間を介して透過してしまう光の量を低減させることができ、クロストークの発生を抑制できる。
【0027】
ところで、投影画像PFは、縦方向よりも横方向の長さ寸法の大きいサイズで構成されている。すなわち、シャッター眼鏡3を通して投影画像PFを視認する際、投影画像を構成する光は、シャッター眼鏡3(切替部材5)に対して、上方側から見た場合に斜め横方向から多く入射するものとなる。
本実施形態では、第1遮光部512及び第1透過部513は、水平方向に沿って延びる形状を有し、鉛直方向に沿って交互に配列されている。第2遮光部522及び第2透過部523も同様である。
このため、切替部材5を遮断状態に設定した場合に、水平方向に沿って延びる各遮光部512,522にて、上方側から見た場合に斜め横方向から入射する光を効果的に遮断し、クロストークの発生を抑制できる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6は、第2実施形態における選択部4の構成を模式的に示す図である。具体的に、図6は、図2と同様に、選択部4を横方向から見た側面図である。
本実施形態では、前記第1実施形態に対して、選択部4の構成を変更した点が異なるのみである。その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0029】
第2実施形態における選択部4は、図6に示すように、第1シャッター部材51及び第2シャッター部材52の他、第3シャッター部材53を有する切替部材5と、第1圧電素子6Aと、第2圧電素子6Bとを備える。
なお、第1遮光部512における鉛直方向の幅寸法LAは、ピッチPの1/2以下となることが好ましく、本実施形態では、ピッチPの1/3となるように設定されている。
具体的に、ピッチPは、300μmに設定されている。また、第1遮光部512における鉛直方向の幅寸法LAは、100μmに設定されている。
すなわち、第1透過部513における鉛直方向の幅寸法LBは、幅寸法LAの2倍に設定されている。
なお、第2遮光部522及び第2透過部523も同様である。
【0030】
また、本実施形態では、第2透光性基板521は、図6に示すように、最下部の第2遮光部522の形成位置から下端部までの長さ寸法が最上部の第1遮光部512の形成位置から第1透光性基板511の下端部までの長さ寸法よりも大きくなるように形成されている。
【0031】
第3シャッター部材53は、第2実施形態における第1シャッター部材51と同様に構成されている。
なお、以下では、第3シャッター部材53において、第1シャッター部材51(第1透光性基板511、第1遮光部512、及び第1透過部513)に対応する構成を、第3透光性基板531、第3遮光部532、及び第3透過部533と記載する(図6)。
そして、第3シャッター部材53は、第1シャッター部材51とで第2シャッター部材52を挟むように位置し、かつ、第3透光性基板531における第3遮光部532が形成された一面531A(図6)が第2シャッター部材52に対向する姿勢で、フレーム部材3A(図1参照)に固定される。
【0032】
第2圧電素子6Bは、第1圧電素子6Aと同様のものである。
この第2圧電素子6Bは、第2透光性基板521における一面521Aに対向する面521B(図6)の下方側に取付部材3C(図6)を介して取り付けられ、第3透光性基板531の下端部に接続する。
そして、第2圧電素子6Bは、伸縮することにより、第2シャッター部材52に対して第3シャッター部材53を鉛直方向に移動させる。
【0033】
図7は、第2実施形態における選択部4の動作を説明するための図である。具体的に、図7は、図6に対応した図であり、第1圧電素子6A及び第2圧電素子6Bに電圧を印加していない状態を図7(A)に示し、電圧を印加した状態を図7(B)に示している。
次に、第2実施形態における選択部4の動作を図7に基づいて説明する。
例えば、駆動回路は、プロジェクター2からの信号に基づいて、選択部4を透過状態とする場合には、各圧電素子6A,6Bへの電圧印加を停止する。
この状態では、選択部4は、図7(A)に示すように、各圧電素子6A,6Bが伸長せずに、各透過部513,523,533の鉛直方向の各位置が一致し、各透過部513,523,533同士が互いに重なり合う状態(各遮光部512,522,532同士が互いに重なり合う状態)となる。
すなわち、選択部4に入射した光は、図7(A)に示すように、第1透過部513、第2透過部523、及び第3透過部533を介して選択部4を透過することとなる。
【0034】
また、例えば、駆動回路は、プロジェクター2からの信号に基づいて、選択部4を遮断状態とする場合には、各圧電素子6A,6Bに電圧を印加する。
この状態では、第1シャッター部材51は、図7(B)に示すように、第1圧電素子6Aが伸長することで、図7(A)に示す状態から下方側に移動(本実施形態では、100μmだけ移動)する。
そして、選択部4は、第1遮光部512が第2透過部523の一部に重なり合う状態(第1透過部513の一部が第2遮光部522に重なり合う状態)となる。
また、第3シャッター部材53は、図7(B)に示すように、第2圧電素子6Bが伸長することで、図7(A)に示す状態から上方側に移動(本実施形態では、100μmだけ移動)する。
そして、選択部4は、第2透過部523における第1遮光部512の重なっていない部分に第3遮光部532が重なり合う状態となる。
すなわち、3つのシャッター部材51〜53のうち一のシャッター部材の遮光部が他の2つのシャッター部材の各透過部に重なり合うこととなる(例えば、第1遮光部512は、第2透過部523及び第3透過部533に重なり合うこととなる)。
したがって、選択部4に入射した光は、図7(B)に示すように、各遮光部512,522,532に遮断され、選択部4を透過することはない。
【0035】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果の他、以下の効果がある。
図8は、第2実施形態における選択部4の応答特性を説明するための図である。具体的に、図8は、図5に対応した図である。
なお、図8では、図5と同様に、本実施形態の選択部4の応答特性を実線で示し、選択部として液晶シャッターを用いた場合の応答特性を破線で示している。また、図5において、透過状態での透過率は略66%であり、遮断状態での透過率は略0%である。
本実施形態では、切替部材5が3つのシャッター部材51〜53を備えるので、第1実施形態の切替部材5の構成と比較して、第1遮光部512に対する第1透過部513の面積比を大きくすることができる。他の透過部523,533も同様である。
具体的には、第1実施形態では第1透過部513が第1遮光部512と同一の面積を有していたところ、本実施形態では、第1透過部513は、第1遮光部512の2倍の面積を有している。
したがって、透過状態では各遮光部512,522,532に対して2倍の面積を有する各透過部513,523,533を介して光を透過させることができるので、図5に示すように、透過状態での切替部材5の透過率(略66%(図8))を前記第1実施形態での透過率(略50%(図5参照))と比較して、大きくすることができる。すなわち、視認される投影画像PFの明るさを向上させることができる。
【0036】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態において、シャッター部材51〜53の構成は、前記各実施形態で説明した構成に限らない。
例えば、前記各実施形態では、各シャッター部材51〜53は、透光性基板511,521,531上に複数の遮光部512,522,532が形成された構成を有していたが、これに限らない。例えば、各シャッター部材51〜53として、光を吸収する黒色の樹脂基板に複数の開口部(透過部)が形成された構成を採用しても構わない。
また、例えば、前記各実施形態では、複数の遮光部512,522,532は、水平方向に沿って延びる形状を有し、鉛直方向に沿ってピッチPで配置されていたが、これに限らない。例えば、遮光部及び透過部を、水平方向及び鉛直方向に沿って交互に配置した所謂、市松状に配置された構成を採用しても構わない。
【0037】
前記各実施形態では、切替部材5がシャッター部材51〜53を2つあるいは3つ備えていたが、これに限らず、シャッター部材を4つ以上備える構成としても構わない。
このようにシャッター部材を4つ以上とした場合にも、前記各実施形態と同様に、シャッター部材の数をnとすると、幅寸法LAをピッチPの1/nとすることが好ましい。
前記各実施形態において、圧電素子6A,6Bの数や配設位置は、前記各実施形態で説明した数や配設位置に限らない。
前記各実施形態では、各シャッター部材51〜53のうち第2シャッター部材52に対して各シャッター部材51,53を移動させていたが、各シャッター部材51〜53の相対位置を変更する構成であれば、いずれのシャッター部材を移動させても構わない。
【0038】
前記各実施形態では、画像表示システム1は、第1画像及び第2画像をそれぞれ左目用画像及び右目用画像として表示画像を観察者に立体視させる構成としていたが、これに限らない。例えば、画像表示システムとして、第1画像及び第2画像をコンテンツの異なる画像とし、2つの表示画像(第1画像及び第2画像)を異なる観察者にそれぞれ視認させる構成を採用しても構わない。
このように構成した場合には、シャッター眼鏡3としては、左目用選択部4Lを左右に設けた眼鏡、及び右目用選択部4Rを左右に設けた眼鏡の2種類を設ければよい。
【0039】
前記各実施形態では、画像表示装置として、フロント投射型のプロジェクター2を採用した例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを備え、当該スクリーンの裏面側から投射を行うリアタイプのプロジェクターを採用した構成としても構わない。
また、前記各実施形態では、画像表示装置として、プロジェクター2を採用していたが、これに限らず、液晶ディスプレイ、プラズマテレビ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等を採用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、プロジェクター等の画像表示装置やシャッター眼鏡を用いて画像を立体視させる画像表示システムに利用できる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・画像表示システム、2・・・プロジェクター(画像表示装置)、3・・・シャッター眼鏡、5・・・切替部材、6A・・・第1圧電素子、6B・・・第2圧電素子、51・・・第1シャッター部材、52・・・第2シャッター部材、53・・・第3シャッター部材、511・・・第1透光性基板、511A,521A・・・一面、512・・・第1遮光部、513・・・第1透過部、521・・・第2透光性基板、522・・・第2遮光部、523・・・第2透過部、531・・・第3透光性基板、532・・・第2遮光部、533・・・第3透過部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過させる透過状態、または光を遮断する遮断状態に切り替わる切替部材と、
電圧の印加状態によって伸縮する圧電素子とを備え、
前記切替部材は、
光を透過させる複数の透過部、及び光を遮断する複数の遮光部を有する複数のシャッター部材を備え、
前記圧電素子は、
前記複数のシャッター部材の相対位置を変更し、前記複数のシャッター部材の前記透過部同士が重なり合う前記透過状態、または一の前記シャッター部材の前記遮光部が他の前記シャッター部材の前記透過部に重なり合う前記遮断状態とする
ことを特徴とするシャッター眼鏡。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター眼鏡において、
前記シャッター部材は、
光を透過させる透光性基板と、
前記透光性基板の一面に形成された前記複数の遮光部とを備え、
前記切替部材は、
2つの前記シャッター部材で構成され、前記一面同士が互いに対向するように配置されている
ことを特徴とするシャッター眼鏡。
【請求項3】
請求項1に記載のシャッター眼鏡において、
前記切替部材は、
3つ以上の前記シャッター部材を備える
ことを特徴とするシャッター眼鏡。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のシャッター眼鏡において、
前記透過部及び前記遮光部は、
水平方向に沿って延びる形状を有し、鉛直方向に沿って交互に配列されている
ことを特徴とするシャッター眼鏡。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のシャッター眼鏡と、
第1画像及び第2画像を時分割で交互に表示する画像表示装置とを備える
ことを特徴とする画像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−98443(P2012−98443A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245033(P2010−245033)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】