説明

シャワーヘッドの収納構造

【課題】簡易な構造で排水用隙間の排水性を確保しながら、排水用隙間によるシャワーヘッドの垂れ下りを防止すること。
【解決手段】シャワーホース23を案内収容するホースガイド21に排水孔部3を形成する。ホースガイド21の下方位置においてシャワーヘッド4後部とシャワーヘッド収納部20の奥面20aとの間に、上端が排水孔部3と連通し下端がシャワーヘッド収納部20の下面開口部20cに連通する排水用隙間7を形成する。該排水用隙間7に臨んで対向するシャワーヘッド4後部とシャワーヘッド収納部20の奥面20aのいずれか一方から、該排水用隙間7の一部を埋めるようにシャワーヘッド垂れ下がり防止用突起8を突設させたシャワーヘッドの収納構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドの収納構造に関し、詳しくは吐水を行うシャワーヘッドを前方及び下方に開口したシャワーヘッド収納部に出し入れ自在に収納するシャワーヘッドの収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シャワーヘッドに接続されるシャワーホースを洗面化粧台のバックパネルの一部に設けた取付孔から取り出し自在としたシャワー装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記特許文献1に見られる従来例では、シャワーホース表面に付着した水やパッキン損傷等により滴る水が、シャワーホースを伝って取付孔からバックパネルの背後空間に流出するようになり、衛生上において問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−55113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者らは、本発明に至る過程で、図6に示すように、吐水を行うシャワーヘッド4を、前方及び下方に開口したシャワーヘッド収納部20に出し入れ自在に収納すると共に、シャワーヘッド収納部20の奥面20a側に、シャワーヘッド4に接続されるシャワーホース23を案内収容するホースガイド21を設けた構造において、ホースガイド21の下面に、ホースガイド21内部に溜まる水をホースガイド21下方へ排出するための排水孔部3を形成し、さらに図7(b)に示すように、ホースガイド21の下方位置において、シャワーヘッド4の後端面とシャワーヘッド収納部20の奥面20aとの間に排水用隙間7を形成し、ホースガイド21の排水孔部3から滴る水を図7(b)の矢印Wで示すように排水用隙間7からシャワーヘッド収納部20の下面開口部20cへと導いて、洗面ボウル15(図4)内に排水する構成を考えた。これにより、ホースガイド21内部の溜まり水がホースガイド21の後端開口部から壁背後に流出するのを防止できる効果が得られる。
【0006】
しかし、ホースガイド21の下方位置において、シャワーヘッド4の後端面とシャワーヘッド収納部20の奥面20aとの間に排水用隙間7を形成すると、シャワーヘッド4の自重とシャワーホース23の柔軟性とによって、シャワーヘッド4の後端面がシャワーヘッド収納部20の奥面20aに当たるまで、つまり、排水用隙間7の隙間分だけ図7(a)の矢印方向Aに傾き、これによりシャワーヘッド4前部が図7(a)の矢印Bで示す方向へ垂れ下がり、シャワーヘッド収納部20からはみ出して外観が見苦しくなるという問題が生じる。
【0007】
なお、シャワーヘッド4の垂れ下がり防止の観点から排水用隙間7を無くすと、ホースガイド21内部の溜まり水をシャワーヘッド収納部20の下面開口部20cから排水できなくなるという問題がある。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡易な構造で排水用隙間の排水性を確保しながら、排水用隙間によるシャワーヘッドの垂れ下りを防止でき、排水性及び収納安定性にそれぞれ優れたシャワーヘッドの収納構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、吐水を行うシャワーヘッド4を出し入れ自在に収納するシャワーヘッド収納部20が、前方及び下方にそれぞれ開口しており、シャワーヘッド収納部20の奥面20a側に、シャワーヘッド4に接続されるシャワーホース23を案内収容するホースガイド21が設けられたシャワーヘッドの収納構造である。上記ホースガイド21に、ホースガイド21内部に溜まる水をホースガイド21下方へ排出するための排水孔部3を形成する。ホースガイド21の下方位置においてシャワーヘッド4後部とシャワーヘッド収納部20の奥面20aとの間に、上端が排水孔部3と連通し下端がシャワーヘッド収納部20の下面開口部20cに連通する排水用隙間7を形成する。さらに排水用隙間7に臨んで対向するシャワーヘッド4後部とシャワーヘッド収納部20の奥面20aのいずれか一方から、該排水用隙間7の一部を埋めるようにシャワーヘッド垂れ下がり防止用突起8を突設したことを特徴としている。
【0010】
このような構成とすることで、排水用隙間7を備えた構造であっても、シャワーヘッド垂れ下がり防止用突起8によりシャワーヘッド4の下方への垂れ下がりを防止できると共に、ホースガイド21の排水孔部3から滴る水は突起8で埋められていない排水用隙間7の残り領域を通ってシャワーヘッド収納部20の下面開口部20cへ流れ落ちる。これによりシャワーヘッド4の収納安定化を図りつつ、排水用隙間7の排水機能を確保できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、シャワーヘッド又はシャワーヘッド収納部のいずれかに垂れ下がり防止用突起を設けるという簡易な構造で、排水用隙間の排水性の確保と、排水用隙間によるシャワーヘッドの下方への垂れ下がり防止とが図られ、排水性及び収納安定性をそれぞれ向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示し、(a)はシャワーヘッド垂れ下がり防止用突起を備えたシャワーヘッドをシャワーヘッド収納部に収納した状態の縦断面図であり、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図2】(a)は同上のシャワーヘッド垂れ下がり防止用突起をシャワーヘッド後部の中央側に配置した一例の斜視図であり、(b)はシャワーヘッド後部の左右両側に配置した他例の斜視図である。
【図3】同上のシャワーヘッドを収納するシャワーヘッド収納部を備えた収納ケース全体の斜視図である。
【図4】同上の収納ケースを備えた洗面化粧台の正面図である。
【図5】同上の収納ケースを備えた洗面化粧台の側面図である。
【図6】(a)は同上の収納ケースにシャワーヘッドを収納した状態の斜視図、(b)はシャワーヘッドを省略した斜視図である。
【図7】(a)は同上の排水用隙間によるシャワーヘッドの垂れ下がり方向を説明する縦断面図であり、(b)は排水用隙間を説明する要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0014】
本発明のシャワーヘッド4は、例えば図4、図5に示すように、洗面化粧台10に設けた混合水栓1に取り付けられている。洗面化粧台10は、前面に照明ランプ11及びミラー12を有し、内部に収納棚を有するミラーキャビネット13と、上面に洗面ボウル15を設けた下部キャビネット14とを備えたもので、ミラーキャビネット13の背面板18に対して、混合水栓1を収納する収納ケース5が取り付けられている。
【0015】
上記収納ケース5の前面部5aは、図3に示すように、真正面向きよりも斜め上向きに傾斜しており、その中央部に人感センサーの情報に基づく自動吐水モードと操作レバー2による手動吐水モードとを切り替える切替スイッチ19が設けられている。切替スイッチ19の片側に、収納ケース5の下方に突出した操作レバー2の操作部2bの操作により吐水の流量と温度をそれぞれ調節する水栓カートリッジ(図示せず)が組み込まれており、反対側に、シャワーヘッド4を着脱自在に収納するシャワーヘッド収納部20が設けられている。
【0016】
一方、シャワーヘッド4は、ヘッド本体28と、ヘッド本体28の外周を覆うヘッドカバー27(図2)とで構成されている。ヘッド本体28には、図3に示すように、吐水口4bと、直流水とシャワー水を切替えるハンドル部4aと、ホース23との接続部とが設けられている。
【0017】
ここで、本実施形態においては、シャワーヘッド4のヘッドカバー27は、ヘッド本体28の外周側面を覆うもので、直方体形状に形成されている。
【0018】
一方、シャワーヘッド収納部20は、前方及び下方にそれぞれ開口しており、シャワーヘッド収納部20の奥面20aには、図1に示すように、シャワーヘッド4に接続されるシャワーホース23を案内収容するホースガイド21が奥面20aを貫通して取り付けられている。
【0019】
ホースガイド21の外面には、図2に示すシャワーヘッド4後部から突出する左右一対の引掛片6bをを引掛係止するための窪み部(図示せず)が設けられており、シャワーヘッド4をホースガイド21に対して引掛係止できるようになっている。
【0020】
ホースガイド21の下面部には、図1(b)に示すように、排水孔部3が開口形成されている。この排水孔部3は、シャワーホース23表面に付着した水やパッキン損傷等によりホースガイド21内部に滴下する水をホースガイド21下方へ排出するものである。
【0021】
さらにホースガイド21の下方位置において、シャワーヘッド4の後端面とシャワーヘッド収納部20の奥面20aとの間には、排水用隙間7が形成されている。排水用隙間7の上端はホースガイド21の排水孔部3と連通しており、排水用隙間7の下端はシャワーヘッド収納部20の下面開口部20cと連通している。排水用隙間7は、排水孔部3から滴る水をシャワーヘッド収納部20の下面開口部20cへ導く排水経路を構成する。
【0022】
一方、上記排水用隙間7に臨んで配置されるシャワーヘッド4の後端面からは、上記排水用隙間7の一部のみを埋めるようにしてシャワーヘッド垂れ下がり防止用突起8が突設されている。この突起8は、排水用隙間7によるシャワーヘッド4の垂れ下がりを防止するためのものであり、図2(a)の例ではシャワーヘッド4の後端中央側に1つ設けられており、この突起8は排水用隙間7の中央領域のみを埋めるように突出してシャワーヘッド収納部20の奥面20aに当接するものであり、これにより排水孔部3から滴る水Wは突起8の両脇から流れ落ちるようになる。
【0023】
なお、図2(b)に示すように、シャワーヘッド4の後端の左右両側にシャワーヘッド垂れ下がり防止用突起8を設けて、排水孔部3から滴る水Wを突起8,8の間を通して流すようにしてもよい。
【0024】
しかして、上記構成ホースガイド21の下方位置に設けた排水用隙間7の一部を埋めるようにしてシャワーヘッド垂れ下がり防止用突起8を突設させたことにより、排水用隙間7に起因するシャワーヘッド4の傾きを防止できるようになる。つまり、シャワーヘッド4後部がホースガイド21に引掛係止された状態で、シャワーヘッド4後部が傾いてシャワーヘッド4前部が下方へ垂れ下がることがないものである。しかもホースガイド21の排水孔部3から滴る水は、突起8で埋められていない排水用隙間7の残り領域を通ってシャワーヘッド収納部20の下面開口部20cへと導かれるので、ホースガイド21内に溜まる水がホースガイド21の後端から壁背後に流出されることがない。これにより、垂れ下がり防止用突起8は、排水用隙間7の排水性確保機能と、シャワーヘッド4の垂れ下がり防止機能とを併せ持つようになる。
【0025】
しかも、シャワーヘッド4の後端面から突起8を突設させるだけの簡単な構造で済むので、コストも抑えられる。
【0026】
他の実施形態として、シャワーヘッド垂れ下がり防止用突起8をシャワーヘッド収納部20の奥面20aから突設させるようにしてもよい。この場合、図2(a)或いは(b)で示した突起8と同様な配置例とするのが好ましい。
【0027】
なお、シャワーヘッド垂れ下がり防止用突起8はシャワーヘッド4(或いはシャワーヘッド収納部20)と一体形成されてもよいが、別体で構成して接着やねじ止め等で取り付けるようにしてもよいものである。
【符号の説明】
【0028】
3 排水孔部
4 シャワーヘッド
7 排水用隙間
8 シャワーヘッド垂れ下がり防止用突起
20 シャワーヘッド収納部
20a 奥面
20c 下面開口部
21 ホースガイド
23 シャワーホース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水を行うシャワーヘッドを出し入れ自在に収納するシャワーヘッド収納部が、前方及び下方にそれぞれ開口しており、シャワーヘッド収納部の奥面側に、シャワーヘッドに接続されるシャワーホースを案内収容するホースガイドが設けられたシャワーヘッドの収納構造であって、上記ホースガイドに、ホースガイド内部に溜まる水をホースガイド下方へ排出するための排水孔部を形成すると共に、ホースガイドの下方位置においてシャワーヘッド後部とシャワーヘッド収納部の奥面との間に、上端が排水孔部と連通し下端がシャワーヘッド収納部の下面開口部に連通する排水用隙間を形成し、該排水用隙間に臨んで対向するシャワーヘッド後部とシャワーヘッド収納部の奥面のいずれか一方から、該排水用隙間の一部を埋めるようにシャワーヘッド垂れ下がり防止用突起を突設したことを特徴とするシャワーヘッドの収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−64034(P2011−64034A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217339(P2009−217339)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】