説明

シャワーヘッド

【課題】 吐止水機構を備えたシャワーヘッドにおいて、美観の向上を図り、しかも熱湯を吐水しても確実に止水することができるとともに、さらに使い勝手の良いシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】 シャワーヘッド10は、内部に空間12が形成された把持部11と、把持部11の先端に形成され内部に切替室22が設けられたヘッド部21とを有し、前記把持部11の空間には挿入筒13が二重管状に挿入され、前記切替室22には被覆材25が挿入され、挿入筒13と被覆材25とを接続させることにより湯水の流路が形成され、把持部11及びヘッド部22の周面にはメッキを施し、前記挿入筒13には吐水される湯水の吐止水操作を行う吐止水機構50が収容されるとともに、前記被覆材25には吐水される湯水の吐水形態を切り替える流路切替機構31が収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンの操作で湯水を吐水状態,又は止水状態の何れかに切り替え可能なシャワーヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流し台や浴室等で使用されるシャワーヘッドにおいて、ボタンを操作することで湯水を吐水状態,又は止水状態の何れかに切り替えを可能としたシャワーヘッドとして公知のものに、特許文献1のものがある。
【0003】
この特許文献1について簡単に説明すると、ボタンの操作で湯水を吐水状態,又は止水状態の何れかに切り替えを可能としたシャワーヘッドにおいて、シャワーヘッドは内部の流路を隔壁により一次流路と二次流路とに区画し、二次流路から一次流路にはボタンを押し込む度に湯水を吐水状態,又は止水状態の何れかに切り替えを可能とした吐止水機構が装着され、吐止水機構には止水時に一次流路の水圧が設定値以上に上昇すると一次流路と二次流路とを連通させることのできる安全弁を備えたものである。
【特許文献1】特開2000−282526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のシャワーヘッドにおいては、ボタンの操作で湯水を吐水状態又は止水状態の何れかに切り替える機能に加え、高級感を演出させ美観を向上させたいという要望があり、この要望に応えるために、シャワーヘッドの表面にメッキを施すことが行われている。そこで特許文献1のシャワーヘッドに対して、ヘッド本体の表面にメッキを施すと、中空形状のヘッド本体は、その外面及び内面にメッキが付着するとともに、その内部の空間は、内面にメッキが付着した状態で、湯水が通過する流路としてそのまま使用されることとなる。
【0005】
また、この種のシャワーヘッドは合成樹脂で形成されることが一般的であることから、ヘッド本体の表面にメッキを施したシャワーヘッドを使用して熱湯を吐水させると、その熱によってシャワーヘッドはひずみや変形等が生じ易くなる。このため、特許文献1のシャワーヘッドにメッキを施すと、熱湯の吐水によりメッキが表面から剥離し易く、この剥離したメッキ片が湯水とともに流れてしまい、吐止水機構のパッキンに付着してしまうおそれがある。そしてメッキ片がパッキンに付着してしまうと、ボタンを操作して止水操作を行っても、確実に止水することができないおそれがある。この場合、シャワーヘッドを一旦分解して、パッキンの掃除を行い、メッキ片を除去しなければならず、その作業は面倒で、時間のかかるものであった。また、シャワーヘッドを分解している間に部品を紛失するおそれがある。さらにシャワーヘッドは、その先端に湯水の吐水,止水を行うための吐止水機構と、湯水の吐水形態を直流水又は散水に切り替えるための弁体及びレバーを備えているため大型化してしまい、使い勝手の悪いものであった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、吐止水機構を備えたシャワーヘッドにおいて、美観の向上を図り、しかも熱湯を吐水しても確実に止水することができるとともに、さらに使い勝手の良いシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載されたシャワーヘッドは、内部に空間が形成された把持部と、把持部の先端に形成され内部に切替室が設けられたヘッド部とを有し、前記把持部の空間には挿入筒が二重管状に挿入され、前記切替室には被覆材が挿入され、挿入筒と被覆材とを接続させることにより湯水の流路が形成され、把持部及びヘッド部の周面にはメッキを施し、前記挿入筒には吐水される湯水の吐止水操作を行う吐止水機構が収容されるとともに、前記被覆材には吐水される湯水の吐水形態を切り替える流路切替機構が収容されたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2は、請求項1記載の発明によるシャワーヘッドおいて、前記吐止水機構と流路切替機構とは何れも押し込み式のボタンと連繋したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1では、シャワーヘッドを通過して吐水される湯水は把持部及びヘッド部の内周面に接触しない構成としたので、シャワーヘッドの表面に施したメッキが剥離しても、把持部の内部に収容された吐止水機構にメッキ片が流入することがなく、熱湯を吐水しても確実に止水することができる。また、シャワーヘッドにはメッキが施されているので、美観を向上させることができる。さらに、吐止水機構は把持部に収容されるとともに、流路切替機構はヘッド部に収容されたので、従来と比較してヘッド部をコンパクトに形成することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0010】
請求項2では請求項1記載の発明によるシャワーヘッドにおいて、吐止水機構と流路切替機構とは何れも押しボタンによる操作に統一したので、切替操作にとまどうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明のシャワーヘッド10を使用した水栓Aが浴室B内に取り付けられた状態の全体図である。
この水栓Aは、湯供給管1及び水供給管1aを介して浴室Bの壁面Cに装着され、本体2の内部に混合弁2aが設けられており、本体2の一端に設けられた温調ハンドル3を操作することで、湯供給管1及び水供給管1aから供給された湯,水を所望温度に混合し、本体2の他端に設けられた流調ハンドル3aを操作することで、混合された湯水は、本体2の略中央に取り付けられた吐水管4、または両供給管1,1aの間に取り付けられたホース5を介して接続されたシャワーヘッド10の何れか一方から吐水されるものである。
【0013】
図2に示すように、シャワーヘッド10は合成樹脂により形成された中空形状で、円筒形状の把持部11と、この把持部11の先端に設けられたヘッド部21とが一体に形成されており、把持部11の内部には空間12が形成され、ヘッド部21の内部には切替室22が形成されている。また、シャワーヘッド10はその表面にニッケルクロム等の耐食性に優れ、高級感を演出するためのメッキが施されている。
【0014】
前記切替室22は下部に開口23が形成されており、この開口23から切替室22の内周壁を覆うことのできる被覆材25が装着されている。この被覆材25は中空形状で、ヘッド部21から吐水される湯水の吐水形態を切り替える流路切替機構31が収容されるとともに、その下部には流路を仕切るための散水板27が、分流材26を介して装着されている。
【0015】
前記散水板27は合成樹脂からなる円盤形状で、被覆材25に対して着脱自在に装着されるもので、その中心には直流孔28が形成され、直流孔28の外周には多数の小孔からなる環状の散水孔29が形成されている。
【0016】
前記流路切替機構31は、被覆材25によってヘッド部21内に収容されており、切替ボタン32の押し込み操作を繰り返すことにより、散水板27から吐水される湯水の吐水形態を、直流孔28から吐水される直流水、または散水孔29から吐水される散水の何れかに切り替えるものである。
【0017】
前記切替ボタン32はヘッド部21の側面に形成された横孔24に、その一部が外部に突出するように介在され、切替ボタン32と連繋する切替軸33の保持部34には、スプリング35を介して弁体36が収容されている。この弁体36は、前記分流材26に形成され直流孔28に連通する第1吐水孔26a、または散水孔29に連通する第2吐水孔26bの周縁に圧着している。なお、切替軸33は公知のラッチ機構43と連繋されており、切替ボタン32を押す毎に弁体36が移動し、この弁体36が第1吐水孔26aまたは第2吐水孔26bの何れか一方を閉塞し、他の一方を開放するように構成されている。
【0018】
前記把持部11の空間12には挿入筒13が挿入されている。
挿入筒13は合成樹脂からなる円筒形状で、前記被覆材25との間には中途で折曲された通水管6が接続されている。この通水管6は両端に形成された鍔部7にシール材8がそれぞれ装着され、挿入筒13及び被覆材25に対して水密状態を維持するように接続されている。なお、挿入筒13と被覆材25とは、その間に通水管6を設けないで直接接続してもよい。したがって、前記水栓Aからホース5を介してシャワーヘッド10に供給された湯水は、シャワーヘッド10の内部に二重管状に挿入されている挿入筒13及び通水管6の内部を通過して切替室22に供給され、被覆材25に収容された流路切替機構31により、直流または散水の何れかの吐水形態で吐水されるものである。
【0019】
前記挿入筒13はホース5との間に吐止水機構50が収容され、この吐止水機構50により、挿入筒13の内部は1次側流路L1と2次側流路L2とに区画されている。吐止水機構50は開閉弁としてのフラッシュ弁からなり、図2に示すように、1次側流路L1と2次側流路L2との間にケース体51を有している。ケース体51は中空形状で、1次側流路L1と2次側流路L2との間で流入口51aと流出口51bとがそれぞれ形成され、その内部には第1弁体52が摺動自在に設けられている。この第1弁体52は、ケース体51に形成された第1シート部51cに対して接離するもので、その軸心には貫通孔53が形成されている。また、ケース体51は第1シート部51cの反対側に螺着された蓋51dと第1弁体52との間に圧力室P1が形成されおり、この圧力室P1は第1弁体52に形成された連通孔54及び流入口51aを介して1次側流路L1と連通している。さらに第1弁体52の貫通孔53には第2弁体56が相対摺動可能に設けられており、第1弁体52の貫通孔53と第2弁体56の外周面との間には隙間57が形成されている。そして、前記圧力室P1は、第2弁体56の先端に形成された大径部56aと蓋51dとの間に第1スプリング58が介在され、この第1スプリング58は、第2弁体56の大径部56aを第1弁体52に装着された第2シート部55に向けて付勢している。なお、第1弁体52の連通孔54にはクリーニングピン59が挿通されており、このクリーニングピン59が連通孔54を上下に移動することで、連通孔54に異物が付着するのを防止している。
【0020】
前記挿入筒13の外周面にはカバー42が装着されている。このカバー42は把持部11の外周面に穿設された挿通孔11bを貫通して挿入筒13に装着され、前記吐止水機構50を開閉するための吐止水ボタン41が取り付けられている。カバー42の内部には公知のラッチ機構43aが収容され、このラッチ機構43aは吐止水ボタン41と連繋している。吐止水ボタン41は操作軸44及びラッチ機構43aと連繋し、操作軸44の先端は、挿入筒13の内部で第2弁体56の先端と垂直方向に向かいあって当接している。そして、ラッチ機構43aの作用により、吐止水ボタン41の押し込み操作を繰り返す毎に、吐止水ボタン41と連繋した操作軸44が吐止水機構の50の第2弁体56を押し動かし、第2弁体56はその大径部56aが、第1弁体52に装着された第2シート部55に密着する位置と、蓋51d側に押し込まれた位置とに交互に配置される。この場合、止水状態では、圧力室P1内の圧力水と第1スプリング58の弾性力とにより、第1弁体52は第1シート部51cに、第2弁体56の大径部56aは第2シート部55に密着した状態にある。
【0021】
このような止水状態において、シャワーヘッド10の下部から吐止水ボタン41を押し込み操作すると、図3(a)に示すように、吐止水ボタン41と連繋した操作軸44は挿入筒13の内部へ押し込まれた状態で保持される。このとき、吐止水機構50の第2弁体56は、その大径部56aが操作軸44により第1弁体52の第2シート部55から離れて、圧力室P1内に押し動かされた状態となる。すると、第1弁体52の連通孔54、及び第1弁体52の貫通孔53と第2弁体56の外周面との間に形成された隙間57によって、1次側流路L1から2次側流路L2へ少量の湯水が流れる。このため、圧力室P1内の水圧が低下して、第1弁体52はケース体51の第1シート部51cから離れて開放側へ移動され、吐水状態となる。
【0022】
また、この状態で吐止水ボタン41を押し込み操作すると、図3(b)に示すように、第1スプリング58の弾性力により第2弁体56の大径部56aが第1弁体52の第2シート部55に密着した状態となる。すると、第1弁体52の連通孔54を介して圧力室P1へ流入した水圧により、第1弁体52はケース体51の第1シート部51cに密着し、止水状態となる。
【0023】
以上のように本発明では、シャワーヘッドは把持部の空間に挿入筒を挿入した二重管状とし、湯水が通過する挿入筒に吐止水機構を挿入するように構成したので、シャワーヘッドの表面に施したメッキが剥離しても、挿入筒に収容された吐止水機構にメッキ片が付着することはなく、湯水の止水を確実に行うことができる。また、シャワーヘッドの表面にはメッキが施されているので、美観を向上させることができる。さらに、流路切替機構はヘッド部の内部に収容し、吐止水機構はシャワーヘッドの把持部の内部に収容したので、従来と比較してヘッド部をコンパクトに形成することができ、使い勝手を向上させることができる。また、吐止水機構と流路切替機構とは何れも押しボタンによる操作に統一したので、切替操作にとまどうことがない。
【実施例2】
【0024】
図4及び図5は本発明の第2の実施例によるシャワーヘッドである。実施例2のシャワーヘッドは、実施例1のシャワーヘッドとは吐止水機構の構成が異なるのみであり、実施例1と同一の構成については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0025】
実施例2のシャワーヘッド10aにおいて、吐止水機構60は、止水時における1次側流路L1の水圧が極端に高くなると、1次側流路L1と2次側流路L2とを連通させることのできる安全弁を備えたものであり、図4に示すように、1次側流路L1と2次側流路L2との間にケース体61を有している。ケース体61は中空形状で、1次側流路L1と連通する流入口61aと、2次側流路L2と連通する流出口61bとがそれぞれ形成され、その内部には第2スプリング67を介して第3弁体62が相対摺動可能に設けられている。この第3弁体62は前記流出口61bに対して接離するものであり、その一端は2次側流路L2に収容され、吐止水ボタン41と連繋した操作軸44に対し垂直方向に当接している。また、第3弁体62の他端には弁室63が形成されるとともに、その端部には蓋体65が螺着されている。この蓋体65には軸心方向に通水孔66が穿設されており、この通水孔66により1次側流路L1と弁室63とが連通している。そして、弁室63の軸心には断面T字型の小孔64が形成され、この小孔64により弁室63と2次側流路L2とが連通している。前記弁室63には通水孔66を開閉するためのボール弁68が収容されており、このボール弁68は弁室63に収容された第3スプリング69により、通水孔66側へ付勢されている。
【0026】
実施例2のシャワーヘッド10aにおいて、前記1次側流路L1を通過する湯水が通常の水圧の場合は、第3スプリング69の弾性力によりボール弁68が蓋体65の通水孔66を閉塞するように押圧しているが、何らかの理由により、1次側流路L1の水圧が第3スプリング69のばね荷重に打ち勝つほどに上昇すると、図5(c)に示すようにボール弁68は移動し、蓋体65から離れることにより、1次側流路L1内の湯水は蓋体65の通水孔66から弁室63に供給される。
【0027】
そして、弁室63へ供給された湯水は、第3弁体62の小孔64から2次側流路L2へ供給され、ヘッド部21の散水板27から外部へ吐出されるので、ホース5及びシャワーヘッド10a内の過大な水圧の上昇を防止することができるものである。
【0028】
この状態において、シャワーヘッド10aの下部から吐止水ボタン41を押し込み操作すると、図5(a)に示すように、吐止水ボタン41と連繋した操作軸44は押し込まれた状態で保持される。このとき、吐止水機構60の第3弁体62は操作軸44によりケース体61の流出口61bから離れて、吐水状態となる。
【0029】
また、この状態で吐止水ボタン41を押し込み操作すると、図5(b)に示すように、第3スプリング69の弾性力により吐止水機構60の第3弁体62が流出口61bを閉塞し、止水状態となる。
【0030】
このように本発明の実施例2では実施例1による効果に加え、ホースの流路及びシャワーヘッドの1次側流路は一定の水圧以下に維持され、ホース及びシャワーヘッドに対し高圧力水が加わることにより発生する内部部品の破損や漏水等を防止することができる。
【実施例3】
【0031】
図6及び図7は、本発明の第3の実施例によるシャワーヘッドである。実施例3のシャワーヘッドは、実施例1のシャワーヘッドとは吐止水機構に水撃防止手段を備えた構成が異なり、実施例1と同様の構成については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0032】
シャワーヘッド10bは合成樹脂により形成された中空形状で、円筒形状の把持部11aと、把持部11aの先端に形成されたヘッド部21aとが別体に形成されており、この把持部11aとヘッド部21aとは抜止具14により連結されている。把持部11a及びヘッド部21aの表面には、ニッケルクロム等の耐食性に優れ、高級感を演出するためのメッキが施されている。
【0033】
前記ヘッド部21aは内部に切替室22が形成されており、この切替室22には、下部に開口23が形成されており、この開口23から切替室22の内周壁部を覆うことのできる被覆材25が装着されている。この被覆材25の内部には、ヘッド部21aから吐水される湯水の吐水形態を切り替える流路切替機構31が収容されるとともに、その下部には湯水の流路を仕切るための分流材26を介して散水板27が装着されている。
【0034】
前記把持部11aは細長の円筒形状で、内部には空間12aが形成され、この空間12aに挿入筒13a,13bが挿入されている。挿入筒13a,13bは、両端に形成された鍔部15にシール材16がそれぞれ装着され、後述する吐止水機構70と被覆材25、吐止水機構70とホース5とを水密状態を維持するようにそれぞれ接続されている。したがって、シャワーヘッド10bに供給された湯水は、シャワーヘッド10bの内部に二重管状に装着されている挿入筒13a,13bの内部を通過して切替室22に供給され、前記流路切替機構31により直流または散水の何れかの吐水形態で吐水されるものである。前記両挿入筒13a,13bの間には吐止水機構70が収容され、この吐止水機構70により、把持部11aの内部は1次側流路L1と2次側流路L2とに区画されている。この吐止水機構70は第1挿入筒13aを介してホース5と連通するとともに、第2挿入筒13bを介して被覆材25と連通している。また、吐止水機構70により1次側流路L1と2次側流路L2とに区画されている。
【0035】
前記吐止水機構70は開閉弁としての機能を果たすものであり、図6に示すように、ケース体71を有している。このケース体71は中空形状で、流入口71aと流出口71bとがそれぞれ形成され、その内部に第4スプリング76を介して第4弁体72が設けられている。この第4弁体72は、ケース体71に形成された弁口71cに対して接離するものであり、その軸心に貫通孔73が形成されるとともに、第4スプリング76が配置された反対側の端部には一部を切り欠いた切欠溝74が形成されている。第4スプリング76が配置されている側であって、第4弁体72とケース体71との間には圧力室P2が形成され、この圧力室P2は第4弁体72に形成された連通孔73aを介して1次側流路L1と連通している。第4弁体72の貫通孔73には水撃防止手段である第5弁体77が相対摺動可能に設けられており、第4弁体72の貫通孔73と第5弁体77との間には隙間78が形成されている。第5弁体77と圧力室P2との間には第5スプリング79が介在され、この第5スプリング79は、第4弁体72に形成された第3シート部75に向かって第5弁体77を付勢している。
【0036】
前記吐止水機構70は、弁体72,77の開閉操作をするための吐止水ボタン41と連繋しており、この吐止水ボタン41を支持するカバー42の内部には、公知のラッチ機構43aが介装されている。そして、このラッチ機構43aの作用により、吐止水ボタン41を押し込み操作する毎に、吐止水ボタン41と連繋した操作軸44が第5弁体77を押し動かし、第5弁体77はケース体71の弁口71cに密着する位置と、圧力室P2側に押し込まれた位置とに交互に配置される。この場合、止水状態では圧力室P2内の水圧と、第5スプリング79の弾性力とにより、第4弁体72は弁口71cを閉塞するとともに、第5弁体77は第4弁体72の第3シート部75に密着した状態にある。
【0037】
この状態において、吐止水ボタン41を押し込み操作すると、図7(a)に示すように、吐止水ボタン41と連繋した操作軸44は押し込まれた状態で保持される。このとき、第5弁体77は操作軸44により第4弁体72の第3シート部75から離れて、圧力室P2内に押し動かされた状態となる。すると、第4弁体72の連通孔73a、第4弁体72の貫通孔73と第5弁体77との間に形成された隙間78、第4弁体72の切欠溝74の順に少量の湯水が流れる、すなわち1次側流路L1から2次側流路L2へ少量の湯水が流れることにより、圧力室P2内の水圧が低下する。このため、第4弁体72が弁口71cを開放する方向へ移動し、吐水状態となる。
【0038】
また、この状態で吐止水ボタン41を押し込み操作すると、図7(b)に示すように、第5スプリング79の弾性力により第5弁体77が第4弁体72の第3シート部75に密着した状態となる。そして、第4弁体72の挿通孔73aを介して圧力室P2へ流入した水圧により、第4弁体72が弁口71cを閉塞し、止水状態となる。
【0039】
このように本発明では、シャワーヘッドは二重管状となるように構成され、シャワーヘッドに施したメッキが剥離しても、挿入筒に収容された吐止水機構にメッキ片が付着することはなく、湯水の止水を確実に行うことができる。また、シャワーヘッドにはメッキが施されているので、美観を向上させることができる。さらに、吐止水機構は止水時に瞬時に止水するのではなく、2段階で止水するため、水撃の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のシャワーヘッドを、浴室用のシャワーヘッドとして使用した場合の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す断面図である。
【図3】図2における吐止水機構の要部拡大図であり、(a)は吐水状態を、(b)は止水状態である。
【図4】本発明の第2の実施例を示す断面図である。
【図5】図4における吐止水機構の要部拡大図であり、(a)は吐水状態を、(b)は止水状態を、(c)は安全弁が作動した状態である。
【図6】本発明の第3の実施例を示す断面図である。
【図7】図6における吐止水機構の要部拡大図であり、(a)は吐水状態を、(b)は止水状態である。
【符号の説明】
【0041】
10:シャワーヘッド
11:把持部
12:空間
13:挿入筒
21:ヘッド部
22:切替室
25:被覆材
31:流路切替機構
50:吐止水機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空間が形成された把持部と、把持部の先端に形成され内部に切替室が設けられたヘッド部とを有し、前記把持部の空間には挿入筒が二重管状に挿入され、前記切替室には被覆材が挿入され、挿入筒と被覆材とを接続させることにより湯水の流路が形成され、把持部及びヘッド部の周面にはメッキを施し、前記挿入筒には吐水される湯水の吐止水操作を行う吐止水機構が収容されるとともに、前記被覆材には吐水される湯水の吐水形態を切り替える流路切替機構が収容されたことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記吐止水機構と流路切替機構とは何れも押し込み式のボタンと連繋したことを特徴とする請求項1記載のシャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−7026(P2007−7026A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189553(P2005−189553)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000141451)株式会社喜多村合金製作所 (65)
【Fターム(参考)】