説明

シャワー用水加熱装置

【課題】 ラジエータの熱を利用する従来の装置は、車両を改造する必要があり、コストが高く、エンジントラブルの虞もあり、利用し難いものであった。
【解決手段】 車両に収容可能なサイズとされた貯水タンク1と、この貯水タンク1の貯水槽1aの内面に取り付けた液体加熱用ヒータ2a,2bとを備えるとともに、前記液体加熱用ヒータ2a,2bの端子部2cに、一端に車両のシガーソケット若しくは家庭用コンセントに接続可能なプラグ3aが取り付けられたケーブル3を接続した構成のシャワー用水加熱装置Sを用いる。
【効果】 車両の改造を必要とせず、シガーソケット等から電源が取れるので簡単に利用することができる。また、車両のトランクなどに載せて運搬可能で、目的地に到着するまでにシャワー用水を適温に加熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のトランクなどに載せて運搬可能で、目的地に到着するまでにシャワー用水を適温に加熱することができるシャワー用水加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海水浴や釣り、ウインドサーフィン、スキューバダイビング、ジェットスキー等のマリンスポーツなどに出かける場合、現地にシャワー施設が無いことがある。
【0003】
このような場合、従来は、熱湯をポリタンクやクーラーボックスに入れて目的地まで持参し、身体に付着した塩水や汗を流したり、冷えた身体を暖めるためのシャワー用水として使用していた。
【0004】
また、従来、例えば下記特許文献1には、水を入れる温水タンクを車両に搭載し、その温水タンク内にヒータコアを設けるとともに、エンジンの冷却水をヒータコアに循環させるように構成した、ラジエータの熱を利用した車両用温水利用設備が提案されている。
【特許文献1】特開平7−156724号公報
【0005】
しかし、上記した従来の方法の内、先ず、熱湯をポリタンクやクーラーボックスに入れて持参する方法は、目的地に到着するまでに水の温度がかなり下がってしまうため、シャワー用水として使用するには冷たすぎるという問題があった。特に、夏以外のシーズンでも行うマリンスポーツの場合、外気温と同じくらいの温度まで下がってしまった水は、再度加熱しない限り使用することはできなかった。そのため、海岸で火を起こして、持参した水を鍋などに移して適温になるまで加熱していたが、その間、寒い海岸で待つ必要があり、極めて不便であった。
【0006】
一方、ラジエータの熱を利用した温水装置は、車両の改造が必要となるため、コストが高くなり、簡単には利用できないという問題があった。また、ラジエータの機能を低下させてしまうため、エンジントラブルとなる虞もあった。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、車両を改造する必要がなく、簡単に利用可能で、目的地に到着するまでにシャワー用水を適温まで加熱することができるシャワー用水加熱装置を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、(1)熱水をポリタンク等に入れて持参する従来の方法は、目的地に到着する頃には水の温度が下がってしまい、夏以外のシーズンにおいては再加熱する必要があり、不便であった点、(2)従来の車両用温水利用設備は、車両を改造する必要があり、コストが高く、エンジントラブルの虞もあり、利用し難い点などである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明のシャワー用水加熱装置は、
車両に収容可能なサイズとされた貯水タンクと、この貯水タンクの貯水槽の内面に取り付けた液体加熱用ヒータとを備えるとともに、前記液体加熱用ヒータの端子部に、一端に車両のシガーソケット若しくは家庭用コンセントに接続可能なプラグが取り付けられたケーブルを接続したことを最も主要な特徴点としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシャワー用水加熱装置は、貯水タンクの貯水槽に適量の水を入れ、車両のトランク、座席などに積み込んで運搬することができる。また、貯水タンクの内面に取り付けた液体加熱用ヒータの端子部が、車両のシガーソケット若しくは家庭用コンセントに接続可能なプラグが取り付けられたケーブルと接続されているので、例えば車両を走行させながら液体加熱用ヒータにシガーソケットからの電源を供給すると、液体加熱用ヒータの温度が上昇し、目的地に到着するまでの例えば1〜2時間内に、貯水槽内の水をシャワーに適した温度まで加熱することができる。なお、家庭用コンセントに接続可能なプラグが取り付けられたケーブルと接続する構成を採用する場合は、例えばDC12V若しくはDC24Vの入力電圧をAC100Vの出力電圧に変換するインバータを使用し、このインバータと接続することにより、シガーソケットから電源を取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例について、図1〜図7を用いて説明する。図1は、第1実施例のシャワー用水加熱装置の構成を説明する図であり、(a)は同装置の一部切り欠き平面図、(b)は液体加熱用ヒータの平面図、図2は、第1実施例の構成を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は液体加熱用ヒータの正面図である。
【0012】
本実施例のシャワー用水加熱装置Sは、図1〜図2に示すように、車両に収容可能なサイズとされた貯水タンク1と、この貯水タンク1の貯水槽1aの内面に取り付けた液体加熱用ヒータ2a,2bとを備えるとともに、液体加熱用ヒータ2a,2bの端子部2cに、一端に車両のシガーソケット接続可能なプラグ3aが取り付けられたケーブル3を接続した構成である。
【0013】
貯水タンク1は、図2(a)に示すように、シャワー用水をためておく箱状の貯水槽1aと、貯水槽1aの上部を覆い密閉する蓋1bとで構成され、車両のトランクや座席、床面などに置いて運搬できるように、貯水タンク1の長さ、幅、高さを車両に収容可能なサイズとしている。蓋1bは、留め具1hと図2(a)の背面に存在する蝶番により貯水槽1aに固定されており、留め具1hを外せば蝶番を支点として開閉できるようになっている。
【0014】
貯水タンク1のサイズの具体的な一例としては、図1(a)における左右方向の長さを900mm、同図における上下方向の幅を430mm、図2(a)における上下方向の高さを350mmとすることができ、この場合、貯水槽1aに70〜80リットルのシャワー用水をためることができる。なお、貯水タンク1のサイズについては、車両の規格に応じて適宜変更することが可能であり、例えば長さ700〜1100mm、幅300〜600mm、高さ250〜500mmの範囲とすることも可能である。
【0015】
貯水槽1aと蓋1bは、適温まで加熱したシャワー用水が電源の供給をOFFにした後でも直ぐに冷えないように、断熱材を内部に介装させた断熱構造を有したものを使用している。
【0016】
液体加熱用ヒータ2a,2bの、貯水槽1aの側面の内側の面への取り付けは、貯水槽1aの側面の4ケ所に孔をあけ、液体加熱用ヒータ2a,2bを差し込み、ナット、パッキン、ワッシャーで締め付ける方法により行う。本実施例では、シリコンゴム製のパッキンを使用し、確実にシールするようにしている。また、本発明の装置は、車両で運搬することを想定しており、運搬時に振動が加わるため、貯水槽1aの側面の内側の面への取り付けのみでは液体加熱用ヒータ2a,2bが安定しない。そこで、貯水槽1aの底面に、図1(b)、図2(b)に示すような取付台2dを設け、取付台2dの上に液体加熱用ヒータ2a,2bを載せ、螺子と金具で固定するようにしている。
【0017】
液体加熱用ヒータ2a,2bは、貯水槽1aの側面の内側面に取り付ける例を示しているが、例えば、貯水槽1aの底面に取り付けていても良い。貯水槽1aの「内面」とは、側面に限らず、例えば底面でも良いという意味である。
【0018】
また、本実施例では、液体加熱用ヒータ2a,2bの端子部2cに、シガーソケット接続可能なプラグ3aが取り付けられたケーブル3を接続する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、端子部2cに、一端に家庭用コンセントに接続可能なプラグが取り付けられたケーブルを接続しても良い。
【0019】
本発明の装置は、海水浴やマリンスポーツでの利用の外、例えば山、河川などでのキャンプや、地震、台風などの被災地においても利用でき、さらに老人ホームや在宅介護サービスの訪問先の施設又は住宅で要介護者を入浴させる際にも利用できる。したがって、海水浴場、キャンプ地のように元々電源の無い場所や、地震、台風の被災地のようにガス、電気、水道等のライフラインが破壊された場所での利用にはシガーソケットから電源を取る構成を利用するが、例えば老人ホームや在宅介護サービスでの利用においては、訪問の際にシガーソケットから電源を取って1杯目のシャワー用水を作っておき、さらに訪問先の住宅又は施設のコンセントを利用して2杯目のシャワー用水を作ることができる。よって、このような目的で使用する場合は、家庭用コンセントも利用できるように構成することが、より望ましい。
【0020】
具体的には、本発明の装置には家庭用コンセントに接続可能なプラグが取り付けられたケーブルのみを接続し、DC/ACインバータを使用してシガーソケットから電源を取るようにしても良いし、あるいは、本発明の装置に、シガーソケット用、家庭用コンセント用の何れのケーブルでも直接接続できるように構成しても良い。
【0021】
1cは、蓋1bの左右両端に設けた小窓を示しており、図2(a)に示すように、外側から持ち上げて開閉することができる。こうすることにより、小窓1cを開けるだけで貯水槽1a内の水量を簡単に確認することができる。また、後記するシャワー装置の取水部を貯水槽1a内に入れる際も、蓋1b全体を開閉する必要がなく、小窓1cから出し入れできるので、便利である。
【0022】
1dは、蓋1bの中央に設けたエアー抜き用の孔を示している。本発明の装置は、車両で運搬しながらシャワー用水を加熱するため、貯水タンク1の密閉性を保ちつつ、蒸気を外側に逃がす必要がある。そのためには、蓋1bに、エアー抜き用に小さな孔を設けておくことが望ましい。
【0023】
本実施例は、図1(a)、図2(a)に示すように、貯水タンク1の上部を覆う蓋1bを備え、前記蓋1bに小窓を設けるとともに、エアー抜き用の孔1cを設けた構成を採用している。よって、上述した小窓、エアー抜き用の孔による効果が、何れも得られるものである。
【0024】
1gは、貯水槽1aの底面付近に設けたドレン孔を示しており、普段は栓により密閉されている。シャワーを使用後に貯水槽1a内に水が残った場合は、栓を抜いてドレン孔1gを開放する。貯水槽1aを傾けなくても、栓を抜くだけで水を外部に排出できるので、便利である。
【0025】
1eは、貯水槽の側面の外側の最下部の位置に設けた車輪を示している。貯水タンクに70リットルの水を入れた場合、本発明の装置の重量は約70〜80kgになり、車両に出し入れするには相当の力が必要である。
【0026】
そこで、本発明では、図2(a)に示すように、貯水タンク1の底又は外側面の所要の位置に車輪1eを取付けて、貯水タンク1の底1fを地面から浮かせた状態とする構成を採用する方がより望ましい。こうすることにより、例えばハッチバック式の車の跳ね上げ式後部ドアを開けて本発明の装置を出し入れする場合でも、車輪1eを転がすことで移動が楽になる。貯水タンク1の「外側面」とは、側面の外側の面の意味である。
【0027】
図3は、第1実施例のシャワー用水加熱装置Sの側面図であり、4は、容量切替スイッチ4a、温度調節器4b等を設けた電源パネルを示している。図4は、電源パネル4の拡大図であり、4cは電源スイッチを、4dはパワーランプを示している。
【0028】
本実施例では、図1(b)、図2(b)、図3に示すように、液体加熱用ヒータ2a,2bは、貯水槽1aの内面に取り付けられた所要の形状のシースヒータであって、高容量ヒータ2aと低容量ヒータ2bの2系統からなり、高容量ヒータ2aは低容量ヒータ2bよりも貯水槽1aの底面からの高さが高い位置に取り付けられ、さらに、何れの系統のヒータを使用するかを選択する容量切替スイッチ4aを備えた構成を採用している。なお、本実施例では、高容量ヒータ2aと低容量ヒータ2bのサイズ、形状は同一としているので、図1(b)の平面図においては高容量ヒータ2aのみが表れている。
【0029】
すなわち、本実施例では、シース内部に絶縁状態でヒーター線を収納したシースヒータを液体加熱用ヒータ2a,2bとして利用している。シースヒーターは、接液部となるシースの内部に絶縁状態でヒーター線を収納したものであり、シースとヒーター線との間にマグネシア等の無機絶縁粉末が充填されている。ヒーター線としては、例えばニクロム線を使用することができる。
【0030】
貯水槽1a内のシャワー用水を液体加熱用ヒータ2a,2bで加熱する際に、効率よく対流を生じさせるために、適宜曲げ加工を施したシースヒータを、貯水槽1aの底面付近に位置するように取り付けている。具体的には、図2(b)において、高容量ヒータ2aは貯水槽1aの底からの高さL3が80mmとなる位置に、低容量ヒータ2bは貯水槽1aの底からの高さL4が40mmの位置となるように取り付けている。なお、L1は、最低水位のラインを示している。
【0031】
上記の点に加え、本実施例では、液体加熱用ヒータ2a,2bを、高容量ヒータ2aと低容量ヒータ2bの2系統に分割し、何れの系統を使うかを選択する容量切替スイッチ4aを電源パネル4に設けている。具体的には、高容量ヒータ2aの容量は1500Wであり、低容量ヒータ2bの容量は800Wである。こうすることにより、通常は低容量ヒータ2bを選択するが、特に水の量が多い場合や出来るだけ迅速に水を温める必要がある場合は高容量ヒータ2aを選択するなど、用途に応じて細かな調整ができるという利点がある。
【0032】
また、第1実施例では、前述のとおり、高容量ヒータ2aは低容量ヒータ2bよりも貯水槽1aの底面からの高さが高い位置に取り付けている。低容量ヒータ2bは温まるのが遅く、水の対流が生じ難いため、低容量ヒータ2bを貯水槽1aの底面により近い位置に取り付ける方が効率が良いからである。本発明では、第1実施例のように、高容量ヒータ2aは低容量ヒータ2bよりも貯水槽1aの底面からの高さが高い位置に取り付けるとともに、高容量ヒータは貯水槽1aの底面からの高さが80mm以下の位置となるように取り付けることが、より望ましい。
【0033】
本発明者は、高容量ヒータ2aを使用した場合と低容量ヒータ2bを使用した場合で、貯水槽1a内の水を暖めるのに夫々どれぐらいの時間がかかるかについて試験を行った。試験は、貯水槽1aに40リットルの水を入れた場合と70リットルの水を入れた場合について行った。結果は、表1、表2の通りとなった。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
なお、本実施例では、シースヒータは両端に端子がある両端取付タイプで、四角形の環状型のものを使用する例を開示しているが、本発明はこれに限らない。両端取付タイプを使用する場合でも、形状はU型やM型、渦巻き型のものを使用することも可能である。また、片端子型タイプのものを使用しても良い。
【0037】
接液部となるシースには、ステンレス鋼を使用している。より具体的には、例えばCr約18%とNi約8%を含むSUS304ステンレス鋼を使用することができる。
【0038】
しかし、本発明のシャワー用水加熱装置を、海水浴やウインドサーフィン、スキューバダイビング、ジェットスキー等のマリンスポーツで使用することを想定する場合は、塩水に対する耐食性を高めておくことが望ましい。
【0039】
ステンレス鋼の耐食性は、表面に生成する不働態皮膜と呼ばれる薄い皮膜の性能によって左右されるが、この皮膜の主な成分はCrとMo(モリブテン)であり、これらの濃度が高いほど不働態皮膜が緻密となり耐食性が向上する。特に、Mo濃度の不働態皮膜の耐食性を向上させる効果は、Cr濃度の約3倍とされており、高い効果が得られる。
【0040】
したがって、海水浴やマリンスポーツ等で使用することを想定する場合は、例えばCr18%とNi12%を含み、それにMoを2%添加して耐食性、耐孔食性をさらに向上させたSUS316ステンレス鋼を使用することが、特に望ましい。本実施例では、液体加熱用ヒータ2a,2bの接液部は、SUS316ステンレス鋼により構成している。
【0041】
図5は、本発明の温度制御手段及び過熱防止手段5の一例を説明する図で、5aは温度制御用センサを、5bは過熱防止用センサを、5cは電気回路を示している。
【0042】
本実施例は、図1〜図5に示すように、貯水槽1a内の水温を検出する温度制御用センサ5aと、貯水槽1a内の水温を設定する温度調節器4bと、温度制御用センサ5aによる検出温度と温度調節器4bによる設定温度を比較して液体加熱用ヒータ2a,2bへの通電をON/OFF制御する温度制御手段5とを備えた構成を採用している。
【0043】
温度調節器4bは、図4に示すようなダイヤル設定式のもので、例えば60℃までの範囲で可変的に温度の設定を可能としている。
【0044】
温度制御用センサ5aは、温度調節器4bによる設定温度よりも一定以上高い温度を検出したときは、電気回路5cにおいて、液体加熱用ヒータ2a,2bへの通電をOFFとする。これと逆に、温度制御用センサ5aが温度調節器4bによる設定温度よりも一定以上低い温度を検出したときは、電気回路5cにおいて、液体加熱用ヒータ2a,2bへの通電をONとする。こうすることにより、貯水槽1a内の水は、温度調節器4bによる設定温度まで暖められた後は、平均してほぼ一定の温度の保つことができる。
【0045】
また、本実施例では、図2(b)及び図5に示すように、貯水槽1aの底面付近に、水温が所定の上限温度よりも上昇していることを検出する過熱防止用センサ5bをさらに設け、前記過熱防止用センサ5bが上限温度以上の水温を検出したときは液体加熱用ヒータ2a,2bへの通電をOFFとする過熱防止手段5を備えた構成を採用している。
【0046】
具体的には、電気回路5cに、上限温度80℃で作動する過熱防止用センサ5bを組み込んで、過熱防止手段5としている。過熱防止用センサ5bの検出温度が80℃になると液体加熱用ヒータ2a,2bへの通電をOFFの状態とする。こうすることにより、何らかの原因で温度制御用センサ5aが作動しなかった場合でも、過熱防止用センサ5bによって80℃になれば通電が遮断されるので、空焚きなどの危険な事故を防止できる。
【0047】
図6は、第2実施例のシャワー用水加熱装置S2の構成を説明する図である。貯水タンク10が貯水槽10aと蓋10bで構成される点は第1実施例と同じであるが、蓋10bに設ける小窓10cは1箇所としている点、温度調節器40bを含む電源パネル40を高い位置に設けている点、液体加熱用ヒータ20は1系統のみで、立体的に屈曲させたシースヒータを用いている点が、第1実施例と相違する。また、第2実施例では、液体加熱用ヒータ20の端子部に、一端に家庭用コンセントに接続可能なプラグ30bが取り付けられたケーブル30を接続している。
【0048】
図7は、シャワー用水加熱装置S1,S2と併せて利用するのに適したシャワー装置S3の構成を説明する図である。61は取水部、62はシャワーヘッド、63は吐出部を示しており、取水部61とシャワーヘッド62はホース64で連結されている。65は、取水部61に電源を供給するためのケーブルであり、シガーソケットに接続可能なプラグ66が一端に取り付けられている。シャワー装置S3は、取水部61を貯水槽1a,10aの中に入れ、プラグ65をシガーソケットに接続し、ホース64を小窓1c,10cから外部に出し、シャワーヘッド62を手に持って使用する。プラグ65をシガーソケットに接続することにより、取水部61から水が吸い上げられ、吐出部63からシャワーが放水される。
【0049】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。例えば、第1実施例では、液体加熱用ヒータとして、四角形の環状型のシースヒータを用いる場合の例を開示したが、液体加熱用ヒータはM型、U型等どのような形状であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のシャワー用水加熱装置は、海水浴や釣り、マリンスポーツ、山、河川などでのキャンプ、地震、台風などの被災地において利用でき、さらに老人ホームや在宅介護サービスの訪問先の施設や住宅でも利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施例の構成を説明する図であり、(a)は同装置の一部切り欠き平面図、(b)は液体加熱用ヒータと取付部材の平面図である。
【図2】第1実施例の構成を説明する図であり、(a)は同装置の正面図、(b)は液体加熱用ヒータと取付部材の正面図である。
【図3】第1実施例のシャワー用水加熱装置の側面図である。
【図4】第1実施例の電源パネルの構成を説明する図である。
【図5】第1実施例の温度制御手段及び過熱防止手段の構成を説明する図である。
【図6】第2実施例のシャワー用水加熱装置の構成を説明する図である。
【図7】シャワー装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0052】
S,S2 シャワー用水加熱装置
1,10 貯水タンク
1a,10a 貯水槽
1b,10b 蓋
1c,10c 小窓
1d エアー抜き用の孔
1e 車輪
1f 底
2a 液体加熱用ヒータ(高容量ヒータ)
2b 液体加熱用ヒータ(低容量ヒータ)
2c 端子部
20 液体加熱用ヒータ
3,30 ケーブル
3a シガーソケットに接続可能なプラグ
30b 家庭用コンセントに接続可能なプラグ
4 電源パネル
4a 容量切替スイッチ
4b 温度調節器
5 温度制御手段及び過熱防止手段
5a 温度制御用センサ
5b 過熱防止用センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に収容可能なサイズとされた貯水タンクと、この貯水タンクの貯水槽の内面に取り付けた液体加熱用ヒータとを備えるとともに、前記液体加熱用ヒータの端子部に、一端に車両のシガーソケット若しくは家庭用コンセントに接続可能なプラグが取り付けられたケーブルを接続したことを特徴とするシャワー用水加熱装置。
【請求項2】
前記液体加熱用ヒータは、前記貯水槽の内面に取り付けられた所要の形状のシースヒータであって、高容量ヒータと低容量ヒータの2系統からなり、前記高容量ヒータは前記低容量ヒータよりも前記貯水槽の底面からの高さが高い位置に取り付けられ、さらに、何れの系統のヒータを使用するかを選択する容量切替スイッチを備えたことを特徴とする請求項1に記載のシャワー用水加熱装置。
【請求項3】
前記貯水槽内の水温を検出する温度制御用センサと、前記貯水槽内の水温を設定する温度調節器と、前記温度制御用センサによる検出温度と前記温度調節器による設定温度を比較して前記液体加熱用ヒータへの通電をON/OFF制御する温度制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシャワー用水加熱装置。
【請求項4】
前記貯水槽の底面付近に、水温が所定の上限温度よりも上昇していることを検出する過熱防止用センサをさらに設け、前記過熱防止用センサが上限温度以上の水温を検出したときは前記液体加熱用ヒータへの通電をOFFとする過熱防止手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のシャワー用水加熱装置。
【請求項5】
前記貯水タンクの上部を覆う蓋を備え、前記蓋に小窓とエアー抜き用の孔を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のシャワー用水加熱装置。
【請求項6】
前記貯水タンクの底又は外側面の所要の位置に車輪を取付けて、前記貯水タンクの底を地面から浮かせた状態としたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のシャワー用水加熱装置。
【請求項7】
前記液体加熱用ヒータの接液部は、SUS316ステンレス鋼により構成されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシャワー用水加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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