説明

シャーシ管理システム

【課題】低コストで確実に、シャーシの在庫管理を行うことのできるシャーシ管理システムを提供する。
【解決手段】シャーシプール50におけるシャーシの在庫状況を把握するためのシャーシ管理システム10であって、管理対象とするシャーシ82それぞれに取り付けられる無線タグ84と、シャーシプール50の入口と出口に設けられ、通過するシャーシ82に取り付けられた無線タグ84に記憶された情報を読み取る入口タグリーダ68並びに出口タグリーダ72と、各シャーシプール50に配置され、前記タグリーダにより読み取られた前記タグ番号を一次記憶する端末記憶手段と、記憶したタグ番号を送信する送信手段とを有する拠点端末52と、拠点端末52から送信された前記タグ番号を受信する受信手段と、前記タグ番号と前記無線タグ84を取り付けたシャーシ80の仕様とを関連付けて記憶する管理シャーシデータベースを構築するサーバ記憶手段とを有し、各シャーシプール50におけるシャーシ82の在庫状況を一括管理する管理サーバ22とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタヘッドに牽引されるシャーシを管理するシステムに係り、特に、シャーシを待機させるシャーシプール内に存在するシャーシの種類や搬出の可否を管理する場合に好適なシャーシ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
運送会社などでは、トラクタヘッドに牽引させるシャーシの在庫状況を把握し、必要に応じてトラクタヘッドへの接続指示を運転者に伝える必要がある。通常、トラクタヘッドから切り離されたシャーシは、運送会社などが保有するシャーシプールに配備されている。ところで、シャーシプールは1つとは限らず、比較的広範囲に点在している場合もある。このような場合、車両運転者に対する連絡ミスなどにより、シャーシを切り離すシャーシプールを間違え、指定場所と異なるシャーシプールでシャーシが切り離されてしまったり、指定されたシャーシプールが満車であり、やむを得ず別のシャーシプールへ運んでしまうといった場合がある。
【0003】
こうした場合、運送会社などで把握しているシャーシの配備位置と、実際にシャーシが置かれている位置とが異なってしまい、トラクタヘッドが複数のシャーシプールをたらい回しにされるといった事が生ずる。このようなトラクタヘッドの無駄な走行は、昨今の燃料高騰の影響を大きく受ける他、CO排出量を増加させる原因にもなる。
【0004】
さらに現状のシャーシ管理体制では、トラクタヘッド運転者が無断でシャーシをシャーシプール外へ持ち出した場合であっても、それを把握、阻止することができず、シャーシを紛失してしまうといった場合も生じ得る。
このような実状の中、トラクタヘッドに接続されるシャーシや、シャーシに搭載されるコンテナの切り離し位置を確実に把握するための技術が、特許文献1、2に開示されている。
【0005】
特許文献1、2に開示されているシステムは、シャーシとコンテナのそれぞれに取り付けられた、微弱電波発信型のICタグと、トラクタヘッドに搭載された無線通信装置、および無線通信装置から出力された信号を受けて車両位置を管理するサーバを基本として構成されている。無線通信装置には、ICタグからの電波を受信するタグリーダと、GPSユニット、および携帯電話等の携帯端末が備えられている。このような構成とされるシステムでは、定期的にICタグが発信した電波をタグリーダが読み取ると共にGPSユニットにより、車両の位置情報を取得する。そして、タグリーダが読み取った情報と車両の位置情報が携帯端末へ送られ、携帯端末は、受信した情報を管理サーバへ送信する。このため、コンテナ、あるいはシャーシがトラクタヘッドから切り離されると、コンテナ、あるいはシャーシ、またはその両方に取り付けられたICタグからの電波を受信することができなくなり、管理サーバへ送信される情報からは、ICタグのデータが欠落することとなる。
【0006】
このため、管理サーバが位置情報に関するデータを受信したにも係わらず、その情報からICタグのデータが欠落していた場合には、コンテナやシャーシが接続されていない、あるいは切り離されたという判断を成すことが可能となると共に、コンテナやシャーシが切り離された位置を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3904967号公報
【特許文献2】特許第4272202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
確かに、特許文献1、2に開示されているようなシステムによれば、トラクタヘッドから切り離されたシャーシやコンテナの位置を把握することが可能となるように思える。しかし特許文献1、2に開示されているようなシステムの場合、不特定の場所で切り離されたシャーシやコンテナが、無線通信装置を備え無いトラクタヘッドなどにより二次的に移動された場合、シャーシやコンテナの紛失を避けることはできない。このため、不特定のトラクタヘッドがシャーシプール内のシャーシを持ち出した場合などにも対応することができないこととなる。
【0009】
さらに、特許文献1、2に開示されているようなシステムでは、無線通信装置による通信を常に行うこととなるため、携帯端末による通信料がかさむこととなり、輸送コストの高騰を招く可能性がある。
また、管理対象とするトラクタヘッド全てにタグリーダとGPSユニット、および携帯端末を搭載することとなるため、設備コストも高騰することとなる。
【0010】
本発明では、上記課題を解決し、低コストで確実に、シャーシプール内で管理されるシャーシの紛失や盗難を防止し、シャーシの在庫管理を行うことのできるシャーシ管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るシャーシ管理システムは、分散配置された複数のシャーシプールそれぞれにおけるシャーシの在庫状況を把握するためのシャーシ管理システムであって、管理対象とするシャーシそれぞれに取り付けられる無線タグと、複数のシャーシプールそれぞれの入口と出口に設けられ、入口と出口を通過するシャーシに取り付けられた前記無線タグに記憶された情報を読み取る入口タグリーダ並びに出口タグリーダと、各シャーシプールに配置され、前記タグリーダにより読み取られた前記タグ番号を一次記憶する端末記憶手段と、記憶したタグ番号を送信する送信手段とを有する拠点端末と、前記拠点端末から送信された前記タグ番号を受信する受信手段と、前記タグ番号と前記無線タグを取り付けたシャーシの仕様とを関連付けて記憶する管理シャーシデータベースを構築するサーバ記憶手段とを有し、各シャーシプールにおけるシャーシの在庫状況を一括管理する管理サーバとを有することを特徴とする。
【0012】
また、上記のような特徴を有するシャーシ管理システムでは、各シャーシプールの前記入口には、入庫シャーシの切り離し位置を表示する切り離し位置表示手段が設けられ、前記サーバ記憶手段には、入庫予定とされるシャーシのシャーシプール、およびシャーシプール内における切り離し位置が、前記タグ番号に関連付けて入力された入庫シャーシデータベースが構築され、前記管理サーバには、前記入庫シャーシデータベースに記憶された入庫予定シャーシに関する情報を、入庫予定とされるシャーシプールに配置された前記拠点端末へ送信する送信手段を備え、前記拠点端末には、前記管理サーバから送信された情報を受信する受信手段と、受信した入庫予定シャーシに関する情報を一次記憶し、前記入口タグリーダが読み取った前記タグ番号と前記入庫予定シャーシに関連付けられたタグ番号とが一致した場合に、前記切り離し位置表示手段に前記シャーシの切り離し位置を表示する信号を出力する入庫判定手段とを備えるようにすると良い。
【0013】
このような構成とすることにより、シャーシプールへ入庫されるシャーシを確実に確認することができる。また、シャーシの切り離し位置を指定することで、シャーシを出庫する際のシャーシ位置の特定を容易化することができる。
【0014】
また、上記のような特徴を有するシャーシ管理システムでは、各シャーシプールの前記出口には、シャーシの出庫可否を示す警告手段が設けられ、前記サーバ記憶手段には、出庫予定とされるシャーシのシャーシプールが、前記タグ番号に関連付けて入力された出庫シャーシデータベースが構築され、前記管理サーバは、前記送信手段を介して前記出庫シャーシデータベースに記憶された出庫予定シャーシに関する情報を、出庫予定とされるシャーシが存在するシャーシプールに配置された前記拠点端末へ送信する機能を有し、前記拠点端末は、前記受信手段を介して受信した出庫予定シャーシに関する情報を一次記憶する機能と共に、前記出口タグリーダが読み取った前記タグ番号と前記出庫予定シャーシに関連付けられたタグ番号とが一致した場合に、前記警告手段に対して出庫許可を示す表示を出力する旨の信号を出力し、一致しなかった場合に、前記警告手段に対して出庫拒否を示す表示を出力する旨の信号を出力する出庫判定手段とを備えるようにすると良い。
【0015】
このような構成とすることにより、シャーシプールを出庫するシャーシが指定されたシャーシであるか否かを把握することができる。よって、シャーシの接続間違いによるシャーシの行方不明や紛失、盗難等を防止することが可能となる。
【0016】
さらに、上記のような特徴を有するシャーシ管理システムにおいて前記管理サーバには、前記記憶手段に記憶された情報を表示する表示手段と、前記記憶手段に記憶する情報を入力する入力手段とを備えると共に、前記入力手段を介して入力された受注積荷の仕様と管理対象シャーシの仕様を比較して適格シャーシの検索を行うと共に、検索された適格シャーシの入出庫履歴、入庫予定、出庫予定を参照し、受注積荷に応じたシャーシの入出庫プランを作成する入出庫プラン作成ソフトとを前記記憶手段に記憶し、前記入出庫プラン作成ソフトを稼動させる演算手段を有するようにすることができる。
このような構成とすることにより、管理対象シャーシの使用頻度の偏りを抑制することができ、特定シャーシの早期劣化等を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
上記特徴を有するシャーシ管理システムによれば、低コストで確実に、シャーシプール内のシャーシを把握管理することが可能となる。また、シャーシを確実に管理することが可能となるため、シャーシの紛失や盗難を防止し、シャーシの一括在庫管理をも行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るシャーシ管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】3軸ショート型のシャーシを牽引するトラクタヘッドと、無線タグの取り付け位置の関係を示す図である。
【図3】3軸ロング型のシャーシを牽引するトラクタヘッドと、無線タグの取り付け位置の関係を示す図である。
【図4】拠点端末の構成を示すブロック図である。
【図5】管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図6】シャーシプールの配置構成を示すブロック図である。
【図7】入口ゲートにおける入口タグリーダと位置表示手段の配置関係を示す図である。
【図8】出口ゲートにおける出口タグリーダと警告手段の配置関係を示す図である。
【図9】入出庫プランを作成するためのフロー図である。
【図10】実施形態に係るシャーシ管理システムにおける処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のシャーシ管理システムに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明に係るシャーシ管理システム10は、無線タグ84と、複数のシャーシプール50(50a〜50n)に配置されたタグリーダ、並びに拠点端末52、および管理センタ20内に配置された管理サーバ22を基本として構成される。無線タグ84は、図2、図3に示すように、トラクタヘッド80に牽引されるシャーシ82に取り付けられるタグである。具体的には、UHF帯RFIDタグなどの長距離(数m:本実施携帯の場合は7m程度を想定)無線タグであれば良い。なお、無線タグ84は、パッシブ型として電池交換等を不用とすることにより、不定期な使用にも対応することが可能となる。また、シャーシ82のフレームは、その大部分を金属により構成されていることより、無線タグ84としては、金属張り付けに対応したものを選択することが望ましい。このような無線タグ84を採用することにより、シャーシ82に対する取り付け箇所を選ぶ必要が無くなるからである。無線タグ84には少なくとも、タグ毎に定められたユニークな番号(以下、タグ番号と称す)が記録されている。
【0020】
図2や、図3に示すように、無線タグ84は、シャーシ82のサイズなどの仕様に係わらず、取り付け位置を統一しておくことが望ましい。具体的には、シャーシ82における荷台先端部近傍とすると良い。このような位置に無線タグ84を取り付けることにより、詳細を後述するタグリーダによるタグ番号の読み取り位置を安定させることができ、トラクタヘッド80の停止指定位置を予め定めることが可能となるからである。また、無線タグ84に不具合などが生じた場合であっても、その回収、取り付けなおしなどを行うことが容易となる。なお、図2において、図2(A)は3軸ショート型のシャーシと、これを連結したトラクタヘッドの側面構成を示す図であり、図2(B)は同シャーシとトラクタヘッドの平面構成を示す図である。また、図3における図3(A)は、3軸ロング型のシャーシと、これを連結したトラクタヘッドの側面構成を示す図であり、図3(B)は同シャーシとトラクタヘッドの平面構成を示す図である。
【0021】
タグリーダは、分散配置された複数のシャーシプール50のそれぞれに設けられ、近傍を通過するシャーシ82に取り付けられた無線タグ84に記憶されたタグ番号を読み取るための要素である。タグリーダは図6に示すように、各シャーシプール50における入口ゲート51aと出口ゲート51bのそれぞれに設けられ、入口ゲート51aに設けられるタグリーダを入口タグリーダ68、出口ゲート51bに設けられるタグリーダを出口タグリーダ72とする。本実施形態に係る入口タグリーダ68、および出口タグリーダ72はそれぞれ、アンテナ68a,72aとリーダ本体68b,72bとから成る。
【0022】
入口タグリーダ68および出口タグリーダ72による無線タグ84の読み取り距離は、7m程度とすると良い。このような距離とすることにより、シャーシ82の反対側に位置する無線タグ84の読み取りが可能となる一方、入口タグリーダ68による出口ゲート51b通過時の無線タグ84の読み取りや、出口タグリーダ72による入口ゲート51a通過時の無線タグ84の読み取りを防止することが可能となる。
【0023】
拠点端末52は、各シャーシプール50に配置されるパーソナルコンピュータ等であれば良く、上述した入口タグリーダ68、出口タグリーダ72のそれぞれが接続されている。また、実施形態に係る拠点端末52には、位置表示手段66と、警告手段70とが接続されており、シャーシ入庫時の指示や、出庫の可否などをトラクタヘッド80の運転者へ提示可能な構成としている。
【0024】
ここで、位置表示手段66は図7に示すように、入口ゲート51aに配備され、上述した入口タグリーダ68によるタグ番号の読み取り結果に基づいて、トラクタヘッド80に牽引されているシャーシ82のシャーシプール50内における切り離し位置を表示する手段である。位置表示手段66の具体例としては、LEDなどにより表示面が構成される電子掲示板などであれば良い。
【0025】
一方、警告手段70は図8に示すように、出口ゲート51bに配備され、上述した出口タグリーダ72によるタグ番号の読み取り結果に基づいて、シャーシ82の出庫の可否を示す手段である。具体的には、信号機などであれば良く、青の警告灯が点灯した場合には出庫を許可、赤の警告灯が点灯した場合には出庫を拒否する旨定めておく。
【0026】
拠点端末52には図4に示すように、少なくとも記憶手段(端末記憶手段)54と、判定手段(入庫判定手段並びに出庫判定手段)60、送信手段64、および受信手段62が備えられる。記憶手段54は、例えば、接続された入口タグリーダ68や出口タグリーダ72によって読み取られたタグ番号を一次記憶する読み取り記憶領域56と、詳細を後述する管理サーバ22から受信した入庫予定シャーシに関する情報、および出庫予定シャーシに関する情報を一次記憶する受信情報記憶領域58とを有する。なお、入庫予定シャーシに関する情報や、出庫予定シャーシに関する情報はそれぞれ、シャーシ82の仕様と入出庫予定日時を、該当シャーシ82に取り付けた無線タグ84のタグ番号に関連付けられている。
【0027】
判定手段60は、読み取り記憶領域56に記憶された読み取り情報と、受信情報記憶領域58に記憶された受信情報とを読み出して比較し、両者の共通因子であるタグ番号の一致、不一致を判定し、一致情報を検出した場合には、それを抽出する。
【0028】
例えば、入口タグリーダ68により、無線タグ84のタグ番号が読み取られた場合、読み取られたタグ番号は、拠点端末52に送信され、読み取り記憶領域56に読み取り日時と共に一次記憶される。タグ番号が読み取り記憶領域56に入力されると判定手段60は、受信情報記憶領域58に記憶された入庫予定シャーシに関する情報の中から、読み取り日時を含む所定時間帯に入庫を予定しているシャーシ82をリストアップし、タグ番号が一致するものを検索する。検索により一致するシャーシ82が存在した場合には、入庫予定シャーシに関する情報に記録されているシャーシ82の切り離し位置の情報を位置表示手段66に表示させる旨の信号を出力する。切り離し位置を表示する旨の信号が出力されると位置表示手段66に、指定されたシャーシ切り離し位置が表示される。
【0029】
一方、一致するシャーシ82が存在しなかった場合には、入庫予定シャーシを検索する時間帯を広げて再検索を実施する。再検索の結果、一致するシャーシ82が存在した場合には、位置表示手段66へ位置情報を表示する旨の信号を出力し、存在しなかった場合には、位置表示手段66に対してエラー表示をする旨の信号を出力する。
【0030】
ここで、シャーシ82の切り離し位置は、予めシャーシプール50内において、シャーシ82の仕様毎に切り離しエリアを定めておき、シャーシ82の仕様に応じて、当該エリア内の所定位置を定めるようにすると良い。このような手段を採ることにより、シャーシ82を出庫する際、トラクタヘッド80の運転者が、接続するシャーシを検索することが容易となるからである。
【0031】
また、出口ゲート51bの出口タグリーダ72により、無線タグ84のタグ番号が読み取られた場合、読み取られたタグ番号は、拠点端末52に送信され、読み取り記憶領域56に、読み取り日時と共に一次記憶される。タグ番号が読み取り記憶領域56に入力されると判定手段60は、受信情報記憶領域58に記憶された出庫予定シャーシに関する情報の中から、読み取り日時を含む所定時間帯に出庫を予定しているシャーシ82をリストアップし、タグ番号が一致するものを検索する。検索により一致するシャーシ82が存在した場合、警告手段70に対し、シャーシ82の通過を許可する青の警告灯を点灯させる旨の信号を出力する。青の警告灯を点灯させる旨の信号が出力されると、警告手段70における青の警告灯が点灯する。一方、判定手段60は、一致するシャーシ82が存在しなかった場合にはシャーシ82の通過を拒否する赤の警告灯を点灯させる旨の信号を出力し、赤の警告灯を点灯させる。なお、判定手段60により赤の警告灯を点灯させる旨の信号が出力された場合、当該信号と同時に、詳細を後述する管理サーバ22に対してワーニングメッセージ表示信号が出力され、管理サーバ22は、これを表示手段40に表示する。このような構成とすることで、管理センタ20内の管理作業者が、シャーシプール50内における異常事態を知ることができる。異常事態を知った管理作業者は、インターフォンや無線、携帯電話等を介してトラクタヘッド80の運転者に対して連絡を取り、シャーシ82の一致、不一致、持ち出しの許可の有無等の確認作業を行うようにする。
【0032】
送信手段64は、入口タグリーダ68や出口タグリーダ72が読み取ったタグ番号と、その読み取り時間、および入庫、または出庫に関する判定結果を管理サーバ22へ送信するための手段である。送信手段64の機能としては、拠点端末52内のデジタルデータを伝送路に合わせたアナログ信号等に変換するというものである。
【0033】
受信手段62は、管理サーバ22からの入庫シャーシに関する情報や出庫シャーシに関する情報を受信するための手段である。受信手段62の機能としては、管理サーバ22から送られてくる信号を、拠点端末52に合わせたデジタル信号に復調するというものである。
【0034】
なお、拠点端末52において記憶手段54に一次記憶された情報は、判定処理、および管理サーバ22への送信処理が成された後に消去される。反復使用されるシャーシの再度の入出庫時における情報の混乱による誤判定を避けるためである。
【0035】
管理サーバ22には、表示手段40、および入力手段42が接続されている。図5に示すようにサーバ22には、記憶手段(サーバ記憶手段)24、演算手段34、受信手段36、および送信手段38を有する。記憶手段24には例えば、管理シャーシデータベース26、入庫シャーシデータベース28、出庫シャーシデータベース30、入出庫プラン作成ソフト32等が記憶されている。
【0036】
ここで、管理シャーシデータベース26は、管理対象とするシャーシ82のサイズ、車両番号、登録番号、コンテナの積載の有無などの仕様や、その車両を使用している支店や営業所名、故障の有無などの管理状態、入出庫履歴などを該当シャーシに取り付けた無線タグ84のタグ番号に関連付けて記憶しているデータベースである。また、入庫シャーシデータベース28は、入庫を予定するシャーシ82の仕様、入庫予定日時、入庫先のシャーシプール名(番号)などを、シャーシ82に取り付けた無線タグ84のタグ番号と共に記憶するデータベースである。また、出庫シャーシデータベース30は、出庫を予定するシャーシ82の仕様、出庫予定日時、出庫先のシャーシプール名(番号)などを、シャーシ82に取り付けた無線タグ84のタグ番号と共に記憶するデータベースである。
【0037】
また、入出庫プラン作成ソフト32は、詳細を後述する演算手段34を介して稼動されるソフトであり、客先等からの受注により定められた積荷のサイズや重さ等の仕様に基づいて、使用するシャーシ82の割り出しと入出庫予定等を定めた入出庫プランの作成を行うソフトである。なお、詳細な機能については、後述する。
【0038】
演算手段34は、各種判定やソフトの稼動を行う役割を担う。具体的には、演算手段34に付帯した主メモリにデータを読み出し、演算処理や起動処理を行うこととなる。なお、詳細を後述する受信手段36により受信された情報や、送信手段38により送信される情報は、演算手段34を介して記憶させる領域や送信先の選定が行われる。
【0039】
受信手段36は、前述した拠点端末52から送信された情報を受信するための手段であり、受信信号を管理サーバに合わせたデジタル信号に復調する役割を担う。
送信手段38は、前述した拠点端末52へ入庫予定シャーシに関する情報や、出庫予定シャーシに関する情報を送信するための手段であり、管理サーバ22内のデータを伝送路に合わせたアナログ信号等に変調する役割を担う。
【0040】
表示手段40は、ディスプレイなどの映像表示手段であれば良く、記憶手段24に記憶された情報や、拠点端末52から送信されたワーニングメッセージ等を管理作業者が視認することが可能な構成であれば良い。
入力手段42は、管理サーバ22に対して各種入力情報を入力するための手段であり、例えばキーボードやマウスなどであれば良い。
【0041】
このような構成の管理サーバ22において、入出庫プラン作成ソフト32は、次のように機能する(図9参照)。まず、管理サーバ22を管理する管理作業者が入出庫プラン作成ソフト32を起動させると、表示手段40には、受注を受けた積荷のサイズや重量等の仕様、およびシャーシ使用期間等を入力する画面(不図示)が表示される(S100)。
【0042】
演算手段34は、管理作業者による積荷の仕様の入力が完了した旨の信号が入力されると、入出庫プラン作成ソフト32の処理フローに従い、記憶手段24における管理シャーシデータベース26の中から、積荷の仕様に適合する適格シャーシの検索を行う(S110)。次に、適格シャーシとして検索されたシャーシそれぞれにおける入出庫履歴や、入庫予定日時、出庫予定日時を参照、比較し、最適なシャーシの選定を行う。最適シャーシの選定は、例えば次のように行われる。まず、リストアップされた適格シャーシの中から、出庫予定日時がシャーシ使用期間に重なっているものや、入庫予定日時が使用期間の開始日よりも後のものを除外する。その後、入出庫履歴の中から、出庫回数が最も少ないシャーシ、あるいは入庫期間が最も長いシャーシを、最適シャーシとして選定する(S120)。
【0043】
次に、選定された最適シャーシについて、シャーシ使用期間に基づいて出庫予定日時や入庫予定日時、出庫予定シャーシプール、入庫予定シャーシプール等を定め、これらの結果を入出庫プランとして、表示手段40に出力する(S130)。
【0044】
このように、シャーシ82の入出庫プランの作成を自動で行う機能を持たせることによれば、積荷の仕様に応じて、使用頻度の低いシャーシ82を自動で選択し、プランを作成することができる。このため、シャーシ82の使用頻度のバラツキを少なくすることができ、特定シャーシの早期劣化を抑制することができる。
【0045】
次に、上記のような構成のシャーシ管理システム10全体の働きについて、図10を参照して説明する。まず、管理サーバ22から拠点端末52へ、入庫予定シャーシに関する情報、および出庫予定シャーシに関する情報が送信される(S200)。
【0046】
入庫予定シャーシに関する情報、および出庫予定シャーシに関する情報を受信した拠点端末52は、各シャーシプール50におけるシャーシ82の入庫、および出庫を待つ(S210)。
【0047】
まず、入口タグリーダ68によりタグ番号が読み取られると拠点端末52は、シャーシプール50への入庫と判断し、入庫予定シャーシに関する情報中から、特定時間帯に一致するタグ番号を持つシャーシ82が存在するか否かを検索する(S220)。検索の結果、一致するタグ番号を持つシャーシ82が存在した場合には、位置表示手段66により、その切り離し位置を指定する(S230)。
【0048】
一方、一致するタグ番号を持つシャーシ82が存在しなかった場合には、検索する時間帯の範囲を広げて再検索を行い(S240)、再検索の結果、一致するシャーシ82が存在した場合には、位置表示手段66により切り離し位置を指定する(S230)。再検索においてもなお、一致するタグ番号を持つシャーシ82が検出できなかった場合には、検索を中止し、位置表示手段66にエラー表示をする(S250)。
【0049】
拠点端末52は、入庫シャーシの切り離し位置の指定が終了した後、読み取ったタグ番号を有するシャーシ82がシャーシプール50へ入庫したと判断し、シャーシ82の入庫完了を管理サーバ22へ送信する(S260)。
【0050】
管理サーバ22では、シャーシ82の入庫完了を示す旨の信号を受けた後、管理シャーシデータベース26から該当するタグ番号を持つシャーシ82を検索し、当該シャーシ82の入出庫履歴を更新する(S270)。
【0051】
次に、出口タグリーダ72によりタグ番号が読み取られると拠点端末52は、シャーシプール50からの出庫と判断し、出庫予定シャーシに関する情報中から、一致するタグ番号を持つシャーシ82を検索する(S280)。検索の結果、一致するシャーシ82が存在した場合には、警告手段70における青の警告灯を点灯させ、トラクタヘッド80の運転者へ、シャーシ82の出庫を促す(S290)。一方、一致するシャーシ82が存在しなかった場合には、警告手段70における赤の警告灯を点灯させ、トラクタヘッド80の運転者へ、シャーシ82の接続等に誤りがある旨を伝えシャーシ82の正誤等の確認などを行なう(S300)。なお、シャーシ82の盗難等を防止する場合には、警告灯の点灯と共に、警笛等を鳴らすようにしても良い。
【0052】
青の警告灯を点灯させた場合、拠点端末52は、読み取ったタグ番号を持つシャーシ82がシャーシプール50から出庫されたと判断し、シャーシ82の出庫完了を示す旨の信号を管理サーバ22へ送信する(S310)。
【0053】
管理サーバ22では、シャーシ82の出庫完了の旨の信号を受けた後、管理シャーシデータベース26から該当するタグ番号を持つシャーシ82を検索し、当該シャーシ82の入出庫履歴を更新する(S320)。
【0054】
このようなシャーシ管理システム10によれば、低コストで確実に、シャーシプール50内で管理されるシャーシ82を把握することが可能となる。よって、シャーシ82の紛失や盗難を防止することが可能となり、シャーシ82の在庫管理を一括して確実に行うこともできる。
【符号の説明】
【0055】
10………シャーシ管理システム、20………管理センタ、22………管理サーバ、24………記憶手段、26………管理シャーシデータベース、28………入庫シャーシデータベース、30………出庫シャーシデータベース、32………入出庫プラン作成ソフト、34………演算手段、36………受信手段、38………送信手段、40………表示手段、42………入力手段、50(50a〜50n)………シャーシプール、52………拠点端末、54………記憶手段、56………読み取り記憶領域、58………受信情報記憶領域、60………判定手段、62………受信手段、64………送信手段、66………位置表示手段、68………入口タグリーダ、70………警告手段、72………出口タグリーダ、80………トラクタヘッド、82………シャーシ、84………無線タグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散配置された複数のシャーシプールそれぞれにおけるシャーシの在庫状況を把握するためのシャーシ管理システムであって、
管理対象とするシャーシそれぞれに取り付けられる無線タグと、
複数のシャーシプールそれぞれの入口と出口に設けられ、入口と出口を通過するシャーシに取り付けられた前記無線タグに記憶された情報を読み取る入口タグリーダ並びに出口タグリーダと、
各シャーシプールに配置され、前記タグリーダにより読み取られた前記タグ番号を一次記憶する端末記憶手段と、記憶したタグ番号を送信する送信手段とを有する拠点端末と、
前記拠点端末から送信された前記タグ番号を受信する受信手段と、前記タグ番号と前記無線タグを取り付けたシャーシの仕様とを関連付けて記憶する管理シャーシデータベースを構築するサーバ記憶手段とを有し、各シャーシプールにおけるシャーシの在庫状況を一括管理する管理サーバとを有することを特徴とするシャーシ管理システム。
【請求項2】
各シャーシプールの前記入口には、入庫シャーシの切り離し位置を表示する切り離し位置表示手段が設けられ、
前記サーバ記憶手段には、入庫予定とされるシャーシのシャーシプール、およびシャーシプール内における切り離し位置が、前記タグ番号に関連付けて入力された入庫シャーシデータベースが構築され、
前記管理サーバには、前記入庫シャーシデータベースに記憶された入庫予定シャーシに関する情報を、入庫予定とされるシャーシプールに配置された前記拠点端末へ送信する送信手段を備え、
前記拠点端末には、前記管理サーバから送信された情報を受信する受信手段と、受信した入庫予定シャーシに関する情報を一次記憶し、前記入口タグリーダが読み取った前記タグ番号と前記入庫予定シャーシに関連付けられたタグ番号とが一致した場合に、前記切り離し位置表示手段に前記シャーシの切り離し位置を表示する信号を出力する入庫判定手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のシャーシ管理システム。
【請求項3】
各シャーシプールの前記出口には、シャーシの出庫可否を示す警告手段が設けられ、
前記サーバ記憶手段には、出庫予定とされるシャーシのシャーシプールが、前記タグ番号に関連付けて入力された出庫シャーシデータベースが構築され、
前記管理サーバは、前記送信手段を介して前記出庫シャーシデータベースに記憶された出庫予定シャーシに関する情報を、出庫予定とされるシャーシが存在するシャーシプールに配置された前記拠点端末へ送信する機能を有し、
前記拠点端末は、前記受信手段を介して受信した出庫予定シャーシに関する情報を一次記憶する機能と共に、前記出口タグリーダが読み取った前記タグ番号と前記出庫予定シャーシに関連付けられたタグ番号とが一致した場合に、前記警告手段に対して出庫許可を示す表示を出力する旨の信号を出力し、一致しなかった場合に、前記警告手段に対して出庫拒否を示す表示を出力する旨の信号を出力する出庫判定手段とを備えたことを特徴とする請求項2に記載のシャーシ管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバには、前記記憶手段に記憶された情報を表示する表示手段と、
前記記憶手段に記憶する情報を入力する入力手段とを備えると共に、
前記入力手段を介して入力された受注積荷の仕様と管理対象シャーシの仕様を比較して適格シャーシの検索を行うと共に、検索された適格シャーシの入出庫履歴、入庫予定、出庫予定を参照し、受注積荷に応じたシャーシの入出庫プランを作成する入出庫プラン作成ソフトとを前記記憶手段に記憶し、
前記入出庫プラン作成ソフトを稼動させる演算手段を有することを特徴とする請求項3に記載のシャーシ管理システム。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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