シャープペンシル
【課題】手帳用のシャープペンシルや複合筆記具用のシャープペンシルといった軸筒が細径で、且つ外径の小さいャープペンシルを簡単な構造で提供する。
【解決手段】ノック部材を押圧することにより、ノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、該芯タンク前進により、芯タンクの前方に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルであって、前記軸筒の後端部内に頭冠の先端部を装着し、該頭冠内に押圧部材を該頭冠の後端段部と押圧部材の先端段部との間にコイルスプリングを配設して、前記押圧部材を軸筒後端側に付勢し、摺動自在に配設するとともに、前記押圧部材の先端部に径方向に突出し、前記尾栓の先端開口部の径より大きな外径の突部と、軸心方向に延びるスリットを形成し、前記頭冠の先端段部によって押圧部材の軸筒後端側への移動を規制してあることを特徴とする。
【解決手段】ノック部材を押圧することにより、ノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、該芯タンク前進により、芯タンクの前方に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルであって、前記軸筒の後端部内に頭冠の先端部を装着し、該頭冠内に押圧部材を該頭冠の後端段部と押圧部材の先端段部との間にコイルスプリングを配設して、前記押圧部材を軸筒後端側に付勢し、摺動自在に配設するとともに、前記押圧部材の先端部に径方向に突出し、前記尾栓の先端開口部の径より大きな外径の突部と、軸心方向に延びるスリットを形成し、前記頭冠の先端段部によって押圧部材の軸筒後端側への移動を規制してあることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ノック部材を押圧することにより、ノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、該芯タンク前進により、芯タンクの前方に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から軸筒後端部より突出したノック部材を押圧することにより、ノック部材によって直接又はノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、この芯タンク前進により、芯タンクの前部に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すノック式シャープペンシルはよく知られていて、特開平８−１５６４８３号公報「ノック式シャープペンシル」等で開示されている。
【０００３】
こうした従来のノック式シャープペンシルは、ノック部材を軸筒後端部に配設したコイルスプリングによって軸筒後端側に付勢して摺動自在に配設するので、ノック部材が軸筒後端側から抜けないように頭冠に形成した開口窓からノック部材に外壁に形成した突起を摺動自在に係合してある。
【０００４】
ところで、手帳用のシャープペンシルや複数本の筆記体が組み合わされた複合筆記具用のシャープペンシル体は、軸筒を細径に構成しなければならないとともに、全長も長く構成できないといった制約があった。
【特許文献１】特開平０８−１５６４８３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、特許文献１のシャープペンシルは、軸筒後端部に装着した頭冠内にコイルスプリングと、ノック部材を係合する開口窓を形成する必要があるために、全長が長くなってしまうという問題があり、手帳用のシャープペンシルや複数本の筆記体が組み合わされた複合筆記具用のシャープペンシルには不向きであった。
【０００６】
また、ノック部材に形成した突部は、コイルスプリングを受ける段部だけでなく、開口窓に係合する凸部を兼務しているので、径方向に突出する距離を長くする必要があり、結果として外径が大きくなってしまうという問題があった。
【０００７】
本発明は、上記課題を解消するシャープペンシルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、ノック部材を押圧することにより、ノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、該芯タンク前進により、芯タンクの前方に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルであって、前記軸筒の後端部内に頭冠の先端部を装着し、該頭冠内に押圧部材を該頭冠の後端段部と押圧部材の先端段部との間にコイルスプリングを配設して、前記押圧部材を軸筒後端側に付勢し、摺動自在に配設するとともに、前記押圧部材の先端部に径方向に突出し、前記尾栓の先端開口部の径より大きな外径の突部と、軸心方向に延びるスリットを形成し、前記頭冠の先端段部によって押圧部材の軸筒後端側への移動を規制してあることを特徴とする。
【０００９】
また、前記押圧部材の先端部に、前記芯タンクの外径より大きい芯タンク横ブレ防止用の凹部を形成した中子の後端凸部を、前記芯タンク横ブレ防止の凹み部が芯タンクをように装着したことを特徴とする。
【００１０】
また、前記シャープペンシルが、重量体の慣性力によりチャックを前進させて筆記芯を繰り出す振出式のシャープペンシルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明のシャープペンシルは、手帳用のシャープペンシルや複合筆記具用のシャープペンシルといった軸筒が細径で、且つ小径のシャープペンシルを簡単な構造で提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
次に図面を参照しながら、本発明のシャープペンシルの実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例１】
【００１３】
以下、図１〜図３に示す本発明におけるシャープペンシルＡは、黄銅等からなる金属製のチャック１の後端部に合成樹脂製のコネクター２を圧入固着する。また、チャック１の頭部１ａには締リング３が外嵌され、締リング３を受け止める内軸４の内段４ａとコネクター２の間に比較的弱い力のスプリング５が配設される。したがって、通常時は、スプリング５により後方に付勢されるチャック１の先端部は、締リング３に押圧されて閉じることによって芯６を保持する。
【００１４】
また、芯タンク７の先端部をコネクター２に係合し、コネクター２に対して芯タンク７を揺動可能に連結し、芯タンク７の後端部は中子１０の先端部孔１０ａに適宜揺動可能に挿入してある。この芯タンク７の外側に長手方向に摺動可能に重量体８を外嵌してある。
【００１５】
更に、ステンレスパイプで構成された軸筒１３の後端部に圧入固着した頭冠９の先端に中子１０を配置し、この中子１０の後端部に位置するように、押圧部材１１を摺動自在に配設してある。また、頭冠９の内段部９ｂと押圧部材１１の外段部１１ａとの間にノックスプリング１２を配設してあるので、中子１０の後端が頭冠９の前端に当接する。更に、押圧部材１１の後端部にはノック部材１７が着脱可能に装着してある。
【００１６】
また、内軸４の前部凹溝４ｂにはＯリング１４が設けられ、この内軸４に芯ホルダー１５を内蔵した口金１６が着脱可能に螺合されるが、内軸４に設けられたＯリング１４が口金１６に圧接されて口金１６のゆるみが防止され振出式シャープペンシルが構成されている。
【００１７】
押圧部材１１の先端部には、径方向に突出し、頭冠９の先端面９ｂの最小内径より大きな外径の突部１１ｂと、軸心方向に延びるスリット１１ｃを形成してある。そのため、頭冠９内に軸筒１３後端側から押圧部材１１を挿入していくと、押圧部材１１の先端突部１１ｂは、スリット１１ｃによって内側に撓むので、容易に挿入することができ、突部１１ｂが頭冠９の先端面９ｂを超えると元の状態に戻るので、軸筒１３後端側へ外れることはない。
【００１８】
こうした構造とすることで、頭冠９の長さを長くすることなく、押圧部材１１を摺動自在に配設することができるので、シャープペンシルＡの全体を短くすることができる。
【００１９】
また、コイルスプリング１２を受ける段部１１ａと、外れ防止のための突部１１ｂを別に設けてあるので、コイルスプリング１２を受ける段部１１ａの外径を極力短くできるので、押圧部材１１の最大外径を小さくすることができる。
【００２０】
また、押圧部材１１の先端部に、芯タンク７の外径より大きい芯タンク横ブレ防止用の凹部１０ａを形成した中子１０の後端凸部１０ｂを、芯タンク横ブレ防止の凹み部１０ａが芯タンク７をように装着することによって、芯タンク７の横ブレを防止するだけでなく、押圧部材１１を装着後に、中子１０の凸部１０ｂによって押圧部材１１の先端部が内側に撓むことを防止するので、押圧部材１１が外れることがなくなるので好ましい。
【００２１】
以下、図４〜図５に示すスライド式の多芯筆記具１０１は、実施例１によって得られた振出式の筆記具１を１本と、ボールペンＢを２本、コイルスプリング１０７、１０８により後軸１０４の後端後方に付勢させ収納してある従来から知られているスライド式の多芯筆記具である。
【００２２】
スライド式の多芯筆記具１０１は、具体的には、口金１０２の後端部に前軸１０３を螺着し、前軸１０３の後端部に後軸１０４を、連結ネジ１３２を介して螺着してある。また、後軸１０４の後端部に摺動部材１１０を係合して形成した軸筒本体を構成している。尚、摺動部材１１０の後端部には頭冠１３１を、消しゴム１３２を被うように着脱自在に装着し、前軸１０３にはグリップ部材１３３を装着してある。
【００２３】
ボールペンＢは、黒色の油性インキ（図示せず）をインキ収容筒１２７の先端開口部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップ１２８を圧入装着してある。また、図示はしていないが、もう一本のボールペンは、赤色の油性インキ（図示せず）を収容したインキ収容筒の先端開口部に、ボールを回転自在に抱持したチップ部材からなるボールペンチップを圧入装着してある。
【００２４】
また、ボールペンＢのインキ収容筒２７の後端開口部には、操作体となるスライド部材６の先端部を圧入装着し、このスライド部材６の隆起部６ａが後軸４に付設した摺動部材１０から突出した状態に保持してある。また、図示はしていないが、もう一本のボールペンも同様に、インキ収容筒２９の後端部に付設したスライド部材（図示せず）が、摺動部材１０から外部に突出するように配設してある。
【００２５】
シャープペンシルＡを使用する際には、押圧部材１１に圧入装着したスライド部材１０５の隆起部１０５ａを口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進せしめることで、スライド部材１０５の係止部１０５ｂが摺動部材１１０に形成した、被係止部１１０ｂに係止して、シャープペンシルＨの先端部を突出させた状態で、摺動部材用コイルスプリング１０９によって後軸１０４の後端方向に付勢して配設した摺動部材１１０を口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に押圧することにより、摺動部材１１０が口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進し、この摺動部材１１０の前進によって、スライド部材１０５、スライド部材１０５と連接した芯タンク７が口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進する。その結果、芯タンク７がコネクター２の後端に当接し、コネクター２が前進してチャック１を前方に移動させ芯６を繰り出すことができる。
【００２６】
また、シャープペンシルＡを振り出しにおいて鉛芯６を繰り出す場合には、多芯筆記具１を振ることにより生じる重量体８の慣性力により重量体８が長手方向前方に移動し、重量体８がコネクター２の後端に当接され、コネクター２が前進してチャック１を前方に移動させ芯６を繰り出すことができる。
【００２７】
ボールペンＢを使用する際には、スライド部材１０６の隆起部６ａを口金２の先端開口部２ａ方向に前進せしめることで、スライド部材１０６の係止部６ｂが摺動部材１１０に形成した、被係止部（図示せず）に係止することにより、ボールペンＢのボールペンチップ１２８を口金１０２の先端開口部１０２ａから突出した状態を維持させて使用する。
【００２８】
この状態からシャープペンシルＡを使用する場合には、スライド部材１０５の隆起部１０５ａを口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進せしめることで、スライド部材１０５の解除突起１０５ｃが、被係止部１１０ａに係止しているスライド部材１０６に当接し、係止部１０６ｂを押し出し、スライド部材１０６の係止を解除させ、コイルスプリング１０８の弾発力によって元の状態に戻る。さらに隆起部１０５ａを口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進せしめることで、スライド部材１０５の係止部５ｂが、対応する被係止部１１０ｂに係止して、シャープペンシルＡの先端部を突出した状態を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
本発明のシャープペンシルは、軸筒が細径で、全長も長く構成できない手帳用のノック式シャープペンシルや、予め軸筒が径大である複数本の筆記体が組み合わされた多芯筆記具のシャープペンシルとして適用できる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明の実施例１のシャープペンシルを示す縦断面図である。
【図２】図１における一部省略した要部拡大断面図である。
【図３】図１における押圧部材の拡大断面図である。
【図４】本発明のシャープペンシルをスライド式の多芯筆記具に搭載した状態を示す縦断面図である。
【図５】図４におけるシャープペンシル体を繰り出した状態を示す、縦断面図である。
【符号の説明】
【００３１】
Ａ シャープペンシル
１ チャック
２ コレクター
３ 締めリング
４ 内軸
５ スプリング
６ 芯
７ 芯タンク
８ 重量体
９ 頭冠
１０ 中子
１１ 押圧部材
１２ ノックスプリング
１３ 軸筒
１４ Ｏリング
１５ 芯ホルダー
１６ 口金
１０１ スライド式の多芯筆記具
１０２ 口金
１０３ 中間軸
１０４ 後軸
１０５、１０６ スライド部材
１０５ａ、１０６ａ 隆起部
１０５ｂ、１０６ｂ 被係止部
１０５ｃ、１０６ｃ 解除突起
１０７、１０８ コイルスプリング
１０９ 摺動体用コイルスプリング
１１０ 摺動部材
１２７、１２９ インキ収容管
１２８ ボールペンチップ
１３０ 連結ネジ
１３１ 頭冠
１３２ 消しゴム
１３３ グリップ部材
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ノック部材を押圧することにより、ノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、該芯タンク前進により、芯タンクの前方に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来から軸筒後端部より突出したノック部材を押圧することにより、ノック部材によって直接又はノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、この芯タンク前進により、芯タンクの前部に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すノック式シャープペンシルはよく知られていて、特開平８−１５６４８３号公報「ノック式シャープペンシル」等で開示されている。
【０００３】
こうした従来のノック式シャープペンシルは、ノック部材を軸筒後端部に配設したコイルスプリングによって軸筒後端側に付勢して摺動自在に配設するので、ノック部材が軸筒後端側から抜けないように頭冠に形成した開口窓からノック部材に外壁に形成した突起を摺動自在に係合してある。
【０００４】
ところで、手帳用のシャープペンシルや複数本の筆記体が組み合わされた複合筆記具用のシャープペンシル体は、軸筒を細径に構成しなければならないとともに、全長も長く構成できないといった制約があった。
【特許文献１】特開平０８−１５６４８３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、特許文献１のシャープペンシルは、軸筒後端部に装着した頭冠内にコイルスプリングと、ノック部材を係合する開口窓を形成する必要があるために、全長が長くなってしまうという問題があり、手帳用のシャープペンシルや複数本の筆記体が組み合わされた複合筆記具用のシャープペンシルには不向きであった。
【０００６】
また、ノック部材に形成した突部は、コイルスプリングを受ける段部だけでなく、開口窓に係合する凸部を兼務しているので、径方向に突出する距離を長くする必要があり、結果として外径が大きくなってしまうという問題があった。
【０００７】
本発明は、上記課題を解消するシャープペンシルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、ノック部材を押圧することにより、ノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、該芯タンク前進により、芯タンクの前方に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルであって、前記軸筒の後端部内に頭冠の先端部を装着し、該頭冠内に押圧部材を該頭冠の後端段部と押圧部材の先端段部との間にコイルスプリングを配設して、前記押圧部材を軸筒後端側に付勢し、摺動自在に配設するとともに、前記押圧部材の先端部に径方向に突出し、前記尾栓の先端開口部の径より大きな外径の突部と、軸心方向に延びるスリットを形成し、前記頭冠の先端段部によって押圧部材の軸筒後端側への移動を規制してあることを特徴とする。
【０００９】
また、前記押圧部材の先端部に、前記芯タンクの外径より大きい芯タンク横ブレ防止用の凹部を形成した中子の後端凸部を、前記芯タンク横ブレ防止の凹み部が芯タンクをように装着したことを特徴とする。
【００１０】
また、前記シャープペンシルが、重量体の慣性力によりチャックを前進させて筆記芯を繰り出す振出式のシャープペンシルであることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明のシャープペンシルは、手帳用のシャープペンシルや複合筆記具用のシャープペンシルといった軸筒が細径で、且つ小径のシャープペンシルを簡単な構造で提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
次に図面を参照しながら、本発明のシャープペンシルの実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例１】
【００１３】
以下、図１〜図３に示す本発明におけるシャープペンシルＡは、黄銅等からなる金属製のチャック１の後端部に合成樹脂製のコネクター２を圧入固着する。また、チャック１の頭部１ａには締リング３が外嵌され、締リング３を受け止める内軸４の内段４ａとコネクター２の間に比較的弱い力のスプリング５が配設される。したがって、通常時は、スプリング５により後方に付勢されるチャック１の先端部は、締リング３に押圧されて閉じることによって芯６を保持する。
【００１４】
また、芯タンク７の先端部をコネクター２に係合し、コネクター２に対して芯タンク７を揺動可能に連結し、芯タンク７の後端部は中子１０の先端部孔１０ａに適宜揺動可能に挿入してある。この芯タンク７の外側に長手方向に摺動可能に重量体８を外嵌してある。
【００１５】
更に、ステンレスパイプで構成された軸筒１３の後端部に圧入固着した頭冠９の先端に中子１０を配置し、この中子１０の後端部に位置するように、押圧部材１１を摺動自在に配設してある。また、頭冠９の内段部９ｂと押圧部材１１の外段部１１ａとの間にノックスプリング１２を配設してあるので、中子１０の後端が頭冠９の前端に当接する。更に、押圧部材１１の後端部にはノック部材１７が着脱可能に装着してある。
【００１６】
また、内軸４の前部凹溝４ｂにはＯリング１４が設けられ、この内軸４に芯ホルダー１５を内蔵した口金１６が着脱可能に螺合されるが、内軸４に設けられたＯリング１４が口金１６に圧接されて口金１６のゆるみが防止され振出式シャープペンシルが構成されている。
【００１７】
押圧部材１１の先端部には、径方向に突出し、頭冠９の先端面９ｂの最小内径より大きな外径の突部１１ｂと、軸心方向に延びるスリット１１ｃを形成してある。そのため、頭冠９内に軸筒１３後端側から押圧部材１１を挿入していくと、押圧部材１１の先端突部１１ｂは、スリット１１ｃによって内側に撓むので、容易に挿入することができ、突部１１ｂが頭冠９の先端面９ｂを超えると元の状態に戻るので、軸筒１３後端側へ外れることはない。
【００１８】
こうした構造とすることで、頭冠９の長さを長くすることなく、押圧部材１１を摺動自在に配設することができるので、シャープペンシルＡの全体を短くすることができる。
【００１９】
また、コイルスプリング１２を受ける段部１１ａと、外れ防止のための突部１１ｂを別に設けてあるので、コイルスプリング１２を受ける段部１１ａの外径を極力短くできるので、押圧部材１１の最大外径を小さくすることができる。
【００２０】
また、押圧部材１１の先端部に、芯タンク７の外径より大きい芯タンク横ブレ防止用の凹部１０ａを形成した中子１０の後端凸部１０ｂを、芯タンク横ブレ防止の凹み部１０ａが芯タンク７をように装着することによって、芯タンク７の横ブレを防止するだけでなく、押圧部材１１を装着後に、中子１０の凸部１０ｂによって押圧部材１１の先端部が内側に撓むことを防止するので、押圧部材１１が外れることがなくなるので好ましい。
【００２１】
以下、図４〜図５に示すスライド式の多芯筆記具１０１は、実施例１によって得られた振出式の筆記具１を１本と、ボールペンＢを２本、コイルスプリング１０７、１０８により後軸１０４の後端後方に付勢させ収納してある従来から知られているスライド式の多芯筆記具である。
【００２２】
スライド式の多芯筆記具１０１は、具体的には、口金１０２の後端部に前軸１０３を螺着し、前軸１０３の後端部に後軸１０４を、連結ネジ１３２を介して螺着してある。また、後軸１０４の後端部に摺動部材１１０を係合して形成した軸筒本体を構成している。尚、摺動部材１１０の後端部には頭冠１３１を、消しゴム１３２を被うように着脱自在に装着し、前軸１０３にはグリップ部材１３３を装着してある。
【００２３】
ボールペンＢは、黒色の油性インキ（図示せず）をインキ収容筒１２７の先端開口部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップ１２８を圧入装着してある。また、図示はしていないが、もう一本のボールペンは、赤色の油性インキ（図示せず）を収容したインキ収容筒の先端開口部に、ボールを回転自在に抱持したチップ部材からなるボールペンチップを圧入装着してある。
【００２４】
また、ボールペンＢのインキ収容筒２７の後端開口部には、操作体となるスライド部材６の先端部を圧入装着し、このスライド部材６の隆起部６ａが後軸４に付設した摺動部材１０から突出した状態に保持してある。また、図示はしていないが、もう一本のボールペンも同様に、インキ収容筒２９の後端部に付設したスライド部材（図示せず）が、摺動部材１０から外部に突出するように配設してある。
【００２５】
シャープペンシルＡを使用する際には、押圧部材１１に圧入装着したスライド部材１０５の隆起部１０５ａを口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進せしめることで、スライド部材１０５の係止部１０５ｂが摺動部材１１０に形成した、被係止部１１０ｂに係止して、シャープペンシルＨの先端部を突出させた状態で、摺動部材用コイルスプリング１０９によって後軸１０４の後端方向に付勢して配設した摺動部材１１０を口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に押圧することにより、摺動部材１１０が口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進し、この摺動部材１１０の前進によって、スライド部材１０５、スライド部材１０５と連接した芯タンク７が口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進する。その結果、芯タンク７がコネクター２の後端に当接し、コネクター２が前進してチャック１を前方に移動させ芯６を繰り出すことができる。
【００２６】
また、シャープペンシルＡを振り出しにおいて鉛芯６を繰り出す場合には、多芯筆記具１を振ることにより生じる重量体８の慣性力により重量体８が長手方向前方に移動し、重量体８がコネクター２の後端に当接され、コネクター２が前進してチャック１を前方に移動させ芯６を繰り出すことができる。
【００２７】
ボールペンＢを使用する際には、スライド部材１０６の隆起部６ａを口金２の先端開口部２ａ方向に前進せしめることで、スライド部材１０６の係止部６ｂが摺動部材１１０に形成した、被係止部（図示せず）に係止することにより、ボールペンＢのボールペンチップ１２８を口金１０２の先端開口部１０２ａから突出した状態を維持させて使用する。
【００２８】
この状態からシャープペンシルＡを使用する場合には、スライド部材１０５の隆起部１０５ａを口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進せしめることで、スライド部材１０５の解除突起１０５ｃが、被係止部１１０ａに係止しているスライド部材１０６に当接し、係止部１０６ｂを押し出し、スライド部材１０６の係止を解除させ、コイルスプリング１０８の弾発力によって元の状態に戻る。さらに隆起部１０５ａを口金１０２の先端開口部１０２ａ方向に前進せしめることで、スライド部材１０５の係止部５ｂが、対応する被係止部１１０ｂに係止して、シャープペンシルＡの先端部を突出した状態を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
本発明のシャープペンシルは、軸筒が細径で、全長も長く構成できない手帳用のノック式シャープペンシルや、予め軸筒が径大である複数本の筆記体が組み合わされた多芯筆記具のシャープペンシルとして適用できる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明の実施例１のシャープペンシルを示す縦断面図である。
【図２】図１における一部省略した要部拡大断面図である。
【図３】図１における押圧部材の拡大断面図である。
【図４】本発明のシャープペンシルをスライド式の多芯筆記具に搭載した状態を示す縦断面図である。
【図５】図４におけるシャープペンシル体を繰り出した状態を示す、縦断面図である。
【符号の説明】
【００３１】
Ａ シャープペンシル
１ チャック
２ コレクター
３ 締めリング
４ 内軸
５ スプリング
６ 芯
７ 芯タンク
８ 重量体
９ 頭冠
１０ 中子
１１ 押圧部材
１２ ノックスプリング
１３ 軸筒
１４ Ｏリング
１５ 芯ホルダー
１６ 口金
１０１ スライド式の多芯筆記具
１０２ 口金
１０３ 中間軸
１０４ 後軸
１０５、１０６ スライド部材
１０５ａ、１０６ａ 隆起部
１０５ｂ、１０６ｂ 被係止部
１０５ｃ、１０６ｃ 解除突起
１０７、１０８ コイルスプリング
１０９ 摺動体用コイルスプリング
１１０ 摺動部材
１２７、１２９ インキ収容管
１２８ ボールペンチップ
１３０ 連結ネジ
１３１ 頭冠
１３２ 消しゴム
１３３ グリップ部材
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ノック部材を押圧することにより、ノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、該芯タンク前進により、芯タンクの前方に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルであって、前記軸筒の後端部内に頭冠の先端部を装着し、該頭冠内に押圧部材を該頭冠の後端段部と押圧部材の先端段部との間にコイルスプリングを配設して、前記押圧部材を軸筒後端側に付勢し、摺動自在に配設するとともに、前記押圧部材の先端部に径方向に突出し、前記尾栓の先端開口部の径より大きな外径の突部と、軸心方向に延びるスリットを形成し、前記頭冠の先端段部によって押圧部材の軸筒後端側への移動を規制してあることを特徴とするシャープペンシル。
【請求項２】
前記押圧部材の先端部に、前記芯タンクの外径より大きい芯タンク横ブレ防止用の凹部を形成した中子の後端凸部を、前記芯タンク横ブレ防止の凹み部が芯タンクをように装着したことを特徴とする請求項１に記載のシャープペンシル。
【請求項３】
前記シャープペンシルが、重量体の慣性力によりチャックを前進させて筆記芯を繰り出す振出式のシャープペンシルであることを特徴とする請求項１または２に記載のシャープペンシル。
【請求項１】
ノック部材を押圧することにより、ノック部材に連動して摺動する押圧部材を介して芯タンクを前進させ、該芯タンク前進により、芯タンクの前方に設けられたチャックを前進させて芯を繰り出すシャープペンシルであって、前記軸筒の後端部内に頭冠の先端部を装着し、該頭冠内に押圧部材を該頭冠の後端段部と押圧部材の先端段部との間にコイルスプリングを配設して、前記押圧部材を軸筒後端側に付勢し、摺動自在に配設するとともに、前記押圧部材の先端部に径方向に突出し、前記尾栓の先端開口部の径より大きな外径の突部と、軸心方向に延びるスリットを形成し、前記頭冠の先端段部によって押圧部材の軸筒後端側への移動を規制してあることを特徴とするシャープペンシル。
【請求項２】
前記押圧部材の先端部に、前記芯タンクの外径より大きい芯タンク横ブレ防止用の凹部を形成した中子の後端凸部を、前記芯タンク横ブレ防止の凹み部が芯タンクをように装着したことを特徴とする請求項１に記載のシャープペンシル。
【請求項３】
前記シャープペンシルが、重量体の慣性力によりチャックを前進させて筆記芯を繰り出す振出式のシャープペンシルであることを特徴とする請求項１または２に記載のシャープペンシル。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００７−６９３９２（Ｐ２００７−６９３９２Ａ）
【公開日】平成１９年３月２２日（２００７．３．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２５６８９３（Ｐ２００５−２５６８９３）
【出願日】平成１７年９月５日（２００５．９．５）
【出願人】（３０３０２２８９１）株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年３月２２日（２００７．３．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年９月５日（２００５．９．５）
【出願人】（３０３０２２８９１）株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]