説明

シュリンクフィルム付台紙

【課題】筒状のシュリンクフィルム内部に被包装物を挿入するときの位置決めが容易で、シュリンク包装後、シュリンクフィルムの端部にシワ少なく、角状の出っ張った角になりにくいシュリンクフィルム付台紙を提供する。
【解決手段】筒状のシュリンクフィルムを、筒をつぶすように折って、台紙に取り付けたシュリンクフィルム付台紙であって、筒状のシュリンクフィルムに被包装物を挿入したときに、被包装物が当たって位置決めできるように、折られた筒状のシュリンクフィルムの上端開口部、または、下端開口部に開口部を一部塞ぐように開口部両端より開口部中央に向かう位置決め接着部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンクフィルム付台紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示やデザインを印刷した台紙とともに、商品となる被包装物を、見えるように収納した包装には、熱成形したプラスチックシートに被包装物を収納して、台紙で塞ぐ、ブリスター包装や、台紙の上に被包装物を載せて、上から加熱したフィルムで直接包装する、スキンパックがある。
【0003】
また、紙、合成樹脂、或いは金属板からなるカード(台紙1)に被包装物7を当該してこれらを、合成樹脂の熱収縮性の皮膜で被覆し、皮膜を過熱して熱収縮せしめ全体を緊密一体的に被着させた、カード包装があり、そのひとつとして、図3(A)のように、カード(台紙1)に粘着剤(接着剤3)を塗布して、熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム2)を接着させ、シュリンクフィルム付台紙を製造して、図3(B)のように、被包装物7を収納し、熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム2)を熱収縮させて、被包装物7を、カード(台紙1)に取り付けた包装体があった(特許文献1)。
【0004】
筒状のシュリンクフィルム2を台紙1へ取り付ける別の方法として、台紙1の下端に延設された帯板を、筒状のシュリンクフィルム2内に挿通された状態で、上方に折り返して、帯板の先端を台紙1に設けたスリットに係止させたシュリンクフィルム付台紙があった(特許文献2)。
【0005】
また、筒状のシュリンクフィルム2の背部に保形性シートによって形成された舌片を、台紙1に設けたスリットに挿通して、舌片を抜き止め手段により保持して、取り付けたシュリンクフィルム付台紙もあった(特許文献3)。
【0006】
一方、台紙1については記載されていないが、筒状のシュリンクフィルム2を用いてシュリンク包装を行う方法で、首部より径の大きい胴部を有する容器の首部にフィットして、シワなどの発生しないシュリンク包装をスムーズに効率よく、的確に行う方法として、以下の包装方法があった。
【0007】
すなわち、筒状のシュリンクフィルム2を、シュリンク包装する対象のビンまたは容器の大きさ以上のサイズに切断し、円筒状とする第1工程、該筒状のシュリンクフィルム2を開口し、容器の上部首部の一部を該筒状のシュリンクフィルム2の一端に挿入し、他の端部が平面を形成するに十分の長さを持つように挿入する第2工程、次いで該端部を容器の上部首部の断面形状に類似した形状に溶断し、溶断した不要部を取り除く第3工程、該容器を完全に覆う状態まで挿入し、筒状のシュリンクフィルム2によって覆われた容器の底部の部分のみに熱風をあてて、筒状のシュリンクフィルム2を収縮させる第4工程、引き続き加熱トンネルを通して本収縮させる第5工程からなるシュリンク包装方法があった(特許文献4)。
【0008】
上記のシュリンク包装方法では、シワなどが発生しないかもしれないが、シュリンクフィルム2の端部を容器の上部首部の断面形状に類似した形状に溶断するので、不要部が発生して、これを取り除く手間がかかり、また、不要部となるシュリンクフィルム2が発生して、無駄となる。
【0009】
これを避けるために、シュリンクフィルム2の端部を容器の上部首部の断面形状に類似
した形状に溶断しないで、まっすぐ溶断シールすると、シュリンクフィルム2を収縮させたとき、容器上部のシュリンクフィルム2にシワが発生し、また、図4のように、角(つの)状の出っ張った角10ができてしまう。
【0010】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭49−3796号公報
【特許文献2】特開2000−33968号公報
【特許文献3】特開2009−107702号公報
【特許文献4】特開平3−289422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1から特許文献3に記載のシュリンク付台紙で、被包装物7をシュリンクして包装するとき、筒状のシュリンクフィルム2内部に被包装物7を挿入する作業を行うが、シュリンクフィルム2の下端と台紙1の下端との位置は同じであるが、被包装物7の下端の位置が異なる場合、あるいは、シュリンクフィルム2の下端と台紙1の下端と被包装物7の下端との位置がそれぞれ異なる場合、被包装物7をどの位置まで挿入すればよいか、目視で判断しなければならない。印刷によって挿入する位置に印をつけてもよいが、挿入してから位置の調整は必要である。
【0013】
特許文献4に記載のシュリンク包装方法では、筒状のシュリンクフィルム2の端部を容器(被包装物7)の上部首部の断面形状に類似した形状に溶断し、溶着部を設けているので、被包装物を溶着部まで挿入して位置決めすることができる。
【0014】
しかし、筒状のシュリンクフィルムの端部を容器の上部首部の断面形状に類似した形状に溶断したので、不要部を取り除く必要がある。また、筒状のシュリンクフィルムの開口端部全体をシールしてしまうと、開口端部で収縮しても容器に密着しないシュリンクフィルムが、シワになり見た目が悪く、また、角(つの)状の出っ張った角になり、手が当たったりすると痛いし、手が傷つく恐れがある。
【0015】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、筒状のシュリンクフィルム内部に被包装物を挿入するときの位置決めが容易で、シュリンク包装後、シュリンクフィルムの端部にシワ少なく、角状の出っ張った角になりにくいシュリンクフィルム付台紙を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の請求項1に係る発明は、筒状のシュリンクフィルムを、筒をつぶすように折って、台紙に取り付けたシュリンクフィルム付台紙であって、
筒状の前記シュリンクフィルムに被包装物を挿入したときに、該被包装物が当たって位置決めできるように、折られた前記筒状のシュリンクフィルムの上端開口部、または、下端開口部に開口部を一部塞ぐように開口部両端より開口部中央に向かう位置決め接着部を設けたことを特徴とするシュリンクフィルム付台紙である。
【0017】
本発明のシュリンクフィルム付台紙は、以上のような構成であって、筒状のシュリンクフィルムに被包装物を挿入したときに、被包装物が当たって位置決めできるように、折られた筒状のシュリンクフィルムの上端開口部、または、下端開口部に開口を一部塞ぐように開口両端部より位置決め接着部を設けてあるので、シュリンクフィルム付台紙の筒状の
シュリンクフィルム内部に被包装物を挿入するとき、目視で位置を判断しなくても、規定の位置で挿入が止まり、位置決めが容易で、シュリンク包装後、シュリンクフィルムの端部にシワ少なく、また、同端部に角が発生しにくい。また、位置決め接着部を設けた開口部と反対側の開口部の位置と、被包装物の端部位置が異なる場合でも、同様に、規定の位置で挿入が止まり、位置決めが容易である。
【0018】
本発明の請求項2に係る発明は、前記被包装物の上端の周長をLとし、前記位置決め接着部によって狭められた開口部の開口幅をWとしたとき、0.85L<2W<Lの関係になっていることを特徴とする請求項1に記載のシュリンクフィルム付台紙である。
【0019】
本発明は、請求項1に記載のシュリンクフィルム付台紙であって、上記のように、被包装物の上端の周長Lと位置決め接着部によって狭められた開口部の開口幅Wの関係を、0.85L<2W<Lとしたので、シュリンクフィルム付台紙の筒状のシュリンクフィルム内部に被包装物を挿入するとき、目視で位置を判断しなくても、規定の位置で挿入が止まり、位置決めが容易で、シュリンク包装後、シュリンクフィルムの端部にシワの合せ易がほとんどなく、また、シュリンクフィルムの端部が角にならない。また、位置決め接着部を設けた開口部と反対側の開口部の位置と、被包装物の端部位置が異なる場合でも、同様に、規定の位置で挿入が止まり、位置決めが容易である。
【0020】
本発明の請求項3に係る発明は、前記位置決め接着部が溶断シールによって設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のシュリンクフィルム付台紙ある。
【0021】
本発明は、請求項1または2に記載のシュリンクフィルム付台紙において、位置決め接着部が溶断シールによって設けられているので、不要部分の発生が無く、また、容易に切断して、位置決め接着部を設けることができる。
【0022】
本発明の請求項4に係る発明は、前記折られた筒状のシュリンクフィルムの表側のシュリンクフィルムの幅方向中央部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた折癖を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシュリンクフィルム付台紙である。
【0023】
本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のシュリンクフィルム付台紙において、折られた筒状のシュリンクフィルムの表側の幅方向中央部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた折癖を設けてあるので、開口部の開口が容易で、簡単に被包装物を挿入することができる。
【0024】
本発明の請求項5に係る発明は、前記折られた筒状のシュリンクフィルムに上端開口部から下端開口部の方向に向いた複数のミシン目を設け、複数のミシン目の間のシュリンクフィルムを下方に突出させたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシュリンクフィルム付台紙である。
【0025】
本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のシュリンクフィルム付台紙において、折られた筒状のシュリンクフィルムに上端開口部から下端開口部の方向に向いた複数のミシン目を設け、複数のミシン目の間のシュリンクフィルムを下方に突出させたので、突出したシュリンクフィルムを持って、ミシン目を境として帯状に切り取ることができ、容易に被包装物を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のシュリンクフィルム付台紙は、筒状のシュリンクフィルム内部に被包装物を挿入するときの位置決めが容易で、シュリンク包装後、シュリンクフィルムの端部にシワ少
なく、角状の出っ張った角がほとんどできない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(A)本発明のシュリンクフィルム付台紙の第1の実施形態を模式的に示した説明図である。(B)本発明のシュリンクフィルム付台紙の第1の実施形態で被包装物を包装した包装体を模式的に示した説明図である。
【図2】(A)本発明のシュリンクフィルム付台紙の第2の実施形態を模式的に示した説明図である。(B)本発明のシュリンクフィルム付台紙の第3の実施形態を模式的に示した説明図である。
【図3】(A)従来のシュリンクフィルム付台紙の一例を模式的に示した説明図である。(B)従来のシュリンクフィルム付台紙の一例を用いた包装体の一例を模式的に示した説明図である。
【図4】従来のシュリンク包装された包装体の一例を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
本発明の包装体に用いる台紙1には、紙、プラスチックシート、或いは金属板などの板状のものが使用できる。紙としては、厚紙で腰のあるものであれば、特に限定されない。また表面にアルミ蒸着層のあるアルミ蒸着紙なども使用できる。
【0029】
シュリンクフィルム2には、熱で収縮するフィルムであればよく、また、筒が細くなる方向の収縮が、筒が短くなる方向の収縮より大きいフィルムが、シュリンク包装を行う際の収縮時に被包装物7がシュリンクフィルム2から外れることがないので、本用途には適している。
【0030】
シュリンクフィルム2の材質としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、或いは、ポリエステル系の樹脂が好ましく用いられる。ポリエステル系の樹脂として、農産物由来の持続可能な素材である、ポリ乳酸を用いることも可能であり、環境に対応した包装として好ましく用いることができる。
【0031】
シュリンクフィルム2の台紙1への固定は限定されず、特許文献2に記載された、台紙1の下端に延設された帯板を、筒状のシュリンクフィルム2内に挿通された状態で、上方に折り返して、帯板の先端を台紙に設けたスリットに係止させて固定しても良い。
【0032】
また、特許文献3のように、筒状のシュリンクフィルム2の背部に保形性シートによって形成された舌片を、台紙1に設けたスリットに挿通して、舌片を抜き止め手段により保持して、固定してもよい。
【0033】
特に好ましくは、接着剤を用いて、固定することである。この方法では簡単に固定することができ、また余分な台紙の紙や、シュリンクフィルムを使うことが無い。
【0034】
接着剤には、特許文献1のように粘着剤を用いても良い。また、ホットメルト接着剤を用いても良い。特に日の当たる店頭などで、高温に曝されることを考慮すると反応型ホットメルト接着剤が好ましく用いることができる。
【0035】
従来のホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を成分として、固形のホットメルト接着剤を加熱、融解して塗布し、冷却することにより固化・接着するものであり、加熱溶融させて用いるため、耐熱性の点では限界がある。
【0036】
反応型ホットメルト接着剤は、最初は固形であって、これを加熱溶融させて用いること
は、従来の可塑性樹脂のホットメルト接着剤と同じであるが、塗布、冷却後に、反応が進み硬化して、耐熱性などの物性の高い接着性が得られる。
【0037】
ウレタン樹脂を主成分とした反応型ホットメルト接着剤は、加熱溶融により生成されたウレタンプレポリマーが、冷却されると末端イソシアネート基を残した状態で固化し、冷却された後も、空気中や被着材に含まれる水分と末端イソシアネート基が反応し、高分子化が進み、より耐熱性の高い接着性を得ることができる。ウレタン樹脂を主成分とした反応型ホットメルト接着剤は、塗布後に特に硬化を進めるための処理を必要としないので、好ましく用いることができる。
【0038】
<第1の実施形態>
以下、本発明を実施するための第1の実施形態につき説明する。
【0039】
図1(A)は、本発明のシュリンクフィルム付台紙の第1の実施形態を模式的に示した説明図である。(B)は、本発明のシュリンクフィルム付台紙の第1の実施形態で被包装物を包装した包装体を模式的に示した説明図である。
【0040】
第1の実施形態のシュリンクフィルム付台紙100は、図1(A)のように、台紙1の片面に筒状にしたシュリンクフィルム2を接着剤3で固定してある。筒状にしたシュリンクフィルム2は、平らなシュリンクフィルムを両側縁が重なるように、筒状に丸めて重なり合って側縁部分を接着して封筒貼り部4を設けて、筒状とし、この封筒貼りしたシュリンクフィルムを、筒をつぶすように折って、筒状のシュリンクフィルム2としたものである。
【0041】
この折られた筒状のシュリンクフィルム2の上端開口部に開口を一部塞ぐように開口部両端より開口部中央に向かう位置決め接着部5が、溶断シールによって設けられている。また、台紙1の上部には吊下げ孔6を設けていて、店頭などで吊下げて展示できるようになっている。
【0042】
位置決め接着部5は、筒状のシュリンクフィルム2に被包装物7を挿入したときに、被包装物7が位置決め接着部5に当たって位置決めできる長さが必要である。すなわち、被包装物7の上端の周長Lより、2箇所の位置決め接着部5によって狭められた上端開口部の開口幅Wの2倍が、短くなるように、位置決め接着部5の2箇所の長さを合わせた長さを長くする必要がある。
【0043】
また、被包装物7を挿入して、筒状のシュリンクフィルム2を収縮した後、収縮したシュリンクフィルム2の端部にシワがでにくく、角状の出っ張った角10にならない程度の長さにする。そのためには、2箇所の位置決め接着部5によって狭められた上端開口部の開口幅Wの2倍が、被包装物7の上端の周長Lの85%より大きくなるように、位置決め接着部5の2箇所の長さを合わせた長さを短くすることが望ましい。
【0044】
まとめると、被包装物7の上端の周長をLとし、2箇所の位置決め接着部5によって狭められた上端開口部の開口幅をWとして、0.85L<2W<Lの関係になっていることが望ましい。
【0045】
本発明のシュリンクフィルム付台紙100の製造方法に付いて説明する。
シュリンクフィルム2は、幅広で長尺のシュリンクフィルムに必要に応じて印刷を施し、スリットして、幅方向の両端を重ね合わせて、封筒貼りして封筒貼り部4を設け、決められた折径になるように筒状にし、筒をつぶすように折って長尺のまま紙管に巻き取っておく。
【0046】
台紙1も、必要に応じて印刷を施した多面付けの台紙用紙から、断裁や、抜き工程によって、1枚ずつ切り離された台紙1としておく。このとき吊下げ孔6を同時に抜き工程で開けることができる。
【0047】
紙管に巻き取られていた、長尺の筒状のシュリンクフィルム2を所定の長さに切断し、また、溶断シールに位置決め接着部5を設ける。この位置決め接着部5を設けた所定の長さの筒状のシュリンクフィルム2を、接着剤3が必要部分に塗布された台紙1に接着剤3を介して、固定して取り付ける。
【0048】
このシュリンクフィルム付台紙100を用いて、被包装物7を包装するには、シュリンクフィルム付台紙100のシュリンクフィルム2の筒状の中に被包装物7を下端開口部より挿入し、上端開口部に設けられた位置決め接着部5で止まるまで入れる。位置決め接着部5が設けられているので、被包装物7とシュリンクフィルム2の位置関係は一定なり、位置決めも容易に行うことができる。
【0049】
シュリンクフィルム2の筒状の中に被包装物7が挿入されたシュリンクフィルム付台紙100は、シュリンクトンネルなどで、100℃近辺で加熱して、シュリンクフィルム2を収縮させるシュリンク包装を行うことで、シュリンクフィルム2を被包装物7に密着させて、被包装物7がシュリンクフィルム付台紙100で包装された包装体が図1(B)のように出来上がる。
【0050】
<第2の実施形態>
以下本発明を実施するための第2の実施形態につき説明する。
図2(A)は、本発明のシュリンクフィルム付台紙の第2の実施形態を模式的に示した説明図である。
【0051】
第2の実施形態のシュリンクフィルム付台紙200は、第1の実施形態のシュリンクフィルム付台紙100に、更に、図2(A)のように、折られた筒状のシュリンクフィルム2の表側の幅方向中央部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた折癖8を設けたものである。折癖8は、筒状のシュリンクフィルム2の外側に凸になっている。
【0052】
このように、外側に凸の折癖8を設けることによって、シュリンクフィルム付台紙200の筒状のシュリンクフィルム2に被包装物7を挿入するときに、シュリンクフィルム2の下端開口部の開口が容易で、簡単に被包装物7を挿入することができる。
【0053】
折癖8を設けるには、シュリンクフィルム付台紙100の製造方法において、幅広で長尺のシュリンクフィルムにスリットした時、または、スリットした後に、一旦、2つに折って巻き取って折癖8を設けることができる。または、押罫ローラーを、スリットしたシュリンクフィルムに押し当てて、折癖8を設けてもよい。
【0054】
<第3の実施形態>
以下本発明を実施するための第3の実施形態につき説明する。
図2(B)は、本発明のシュリンクフィルム付台紙の第3の実施形態を模式的に示した説明図である。
【0055】
第3の実施形態のシュリンクフィルム付台紙300は、第1の実施形態のシュリンクフィルム付台紙100に、更に、図2(B)のように、折られた筒状のシュリンクフィルム2に、上端開口部から下端開口部の方向に向いた2本のミシン目9、9を設け、2本のミシン目9、9の間のシュリンクフィルム2を下方に突出させ、突出部10を設けたものである。ミシン目は、本実施形態では、2本にしてあるが、3本あるいはそれ以上の複数のミシン目にしてもよい。
【0056】
このように、2本の、あるいは、それ以上の複数のミシン目9、9の間の、シュリンクフィルム2を下方に突出させたので、シュリンクフィルム2の突出部10を持って、ミシン目9、9を境として帯状に切り取ることができ、容易に被包装物7を取り出すことができる。
【0057】
ミシン目9を設けるには、シュリンクフィルム付台紙100の製造方法において、幅広で長尺のシュリンクフィルムにスリットした時、または、スリットした後に、ミシン目状の突起を刃に設けた回転丸刃をシュリンクフィルムに当てて、ミシン目9を設けることができる。
【0058】
更に、突出部10を設けるには、紙管に巻き取られていた、長尺の筒状のシュリンクフィルム2を所定の長さに切断するときに、突出部10を設けるように断裁することで設けられる。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。尚、本実施例は請求項2から5の実施例である。
【0060】
<実施例1>
台紙1の用紙として、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム12μmの蒸着面を、坪量310g/mの板紙に貼合した蒸着紙(京王製紙:ブリリアンシルバーSSカード)を用意し、断裁、抜き加工により、吊下げ孔6を設けた、幅75mm×長さ110mmの、表面がポリエチレンテレフタレートフィルムの台紙1を作成した。
【0061】
また、シュリンクフィルム2用に、ポリ乳酸フィルム(三菱樹脂:PB−206S 45μm)を用意し、スリットして、幅方向の両端を重ね合わせて、封筒貼りして封筒貼り部4を設け、折罫が50mmの筒状にして、長尺のまま紙管に巻き取り、長尺の筒状のシュリンクフィルム2の巻取りを作成した。
【0062】
反応型ホットメルトの接着剤3として湿気硬化型ホットメルト接着剤(ヘンケルジャパン:170−7141)を用意して、ホットメルトアプリケーター装置で、反応型ホットメルトの接着剤3を溶融させて、先に作成した台紙1に塗布した。
【0063】
長尺の筒状のシュリンクフィルム2の巻取りから、シュリンクフィルム2を巻き出して、110mmの長さに断裁し、その上端開口部に溶断シールによって、上端開口部を一部塞ぐように開口部両端より開口部中央に向かう、長さ4mmの位置決め接着部5を設け、この折径50mm、長さ110mmのシュリンクフィルム2を、接着剤3を介して台紙1の所定の位置に取り付け、図1(A)のような、実施例1のシュリンクフィルム付台紙100を作成した。
【0064】
<実施例2>
位置決め接着部5の長さを5mmにした以外は、実施例1と同様にして、実施例2のシュリンクフィルム付台紙100を作成した。
【0065】
<実施例3>
位置決め接着部5の長さを6mmにした以外は、実施例1と同様にして、実施例3のシュリンクフィルム付台紙100を作成した。
【0066】
<実施例4>
長尺の筒状のシュリンクフィルム2の巻取りを作成する前に、表側になる筒状のシュリンクフィルム2の幅方向中央部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた折癖8を設けた以外は実施例1と同様にして、実施例4のシュリンクフィルム付台紙200を作成した。
【0067】
<実施例5>
長尺の筒状のシュリンクフィルム2の巻取りを作成する前に、表側になる筒状のシュリンクフィルム2の幅方向中間部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた2本のミシン目9、9を設け、長尺の筒状のシュリンクフィルム2の巻取りから、シュリンクフィルム2を巻き出して、110mmの長さに断裁するときに、2本のミシン目9、9の間のシュリンクフィルム2を下方に突出させ突出部10を設けた以外は実施例1と同様にして、実施例5のシュリンクフィルム付台紙300を作成した。
【0068】
以下に、本発明の比較例について説明する。
【0069】
<比較例1>
位置決め接着部5を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0070】
<比較例2>
位置決め接着部5の長さを1mmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例2のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0071】
<比較例3>
位置決め接着部5の長さを2mmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例3のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0072】
<比較例4>
位置決め接着部5の長さを3mmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例4のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0073】
<比較例5>
位置決め接着部5の長さを7mmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例5のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0074】
<比較例6>
位置決め接着部5の長さを8mmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例6のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0075】
<比較例7>
位置決め接着部5の長さを9mmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例7のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0076】
<比較例8>
位置決め接着部5の長さを10mmにした以外は、実施例1と同様にして、比較例8のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0077】
<比較例9>
位置決め接着部5の長さを50mmにした(上端開口部を全て塞ぐように開口部全幅に設
けた)以外は、実施例1と同様にして、比較例10のシュリンクフィルム付台紙を作成した。
【0078】
<試験方法>
実施例と比較例のシュリンクフィルム付台紙を下記の方法で試験し、比較評価した。
【0079】
<位置決め評価>
実施例と比較例のシュリンクフィルム付台紙の筒状のシュリンクフィルム2の筒の中に、被包装物7(図1(B)を参照)となるプラスチック製のボトル(上端の周長85mm、上下中央部分のもっとも太い部分の周長98mm、高さ103mm)を挿入して、目視で位置を判断しなくても、規定の位置で挿入が止まり、位置決めできるか否かを、評価した。
【0080】
規定の位置で止まったシュリンクフィルム付台紙を○とし、常に規定の位置で止まらないシュリンクフィルム付台紙を×とし、それ以外を、△として評価し、その結果を表1にまとめた。
【0081】
<シュリンクフィルムの上端部形状>
位置決め評価を行い、被包装物7が挿入された実施例と比較例のシュリンクフィルム付台紙を、シュリンクトンネルで、100℃で加熱して、シュリンクフィルム2を収縮させ、シュリンクフィルム2を被包装物7に密着させて、包装体を作成し、その包装体のシュリンクフィルムの上端部のシワと角の状態を観察した。その結果を表1にまとめた。
【0082】
シワの状態:シワが発生しないものを○とし、若干のシワが認められるものを△とし、シワの目立つものを×とした。
【0083】
角の状態:角が殆ど認められないものを○とし、若干の角が認められるものを△とし、触ると痛いくらいの角が発生したものを×とした。
【0084】
【表1】

以下に、実施例と比較例との比較結果について説明する。
【0085】
<比較結果>
実施例1から5のシュリンクフィルム付台紙は、位置決め評価で規定の位置で止まることができ、また、シワの発生も無く、角も殆ど認められなかった。
【0086】
また、実施例4のシュリンクフィルム付台紙は、折癖8を設けたので、被包装物7を挿入するときに、筒状のシュリンクフィルム2を容易に開くことができ、被包装物7の挿入が容易であった。
【0087】
また、実施例5のシュリンクフィルム付台紙は、表側になる筒状のシュリンクフィルム2の幅方向中間部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた2本のミシン目9、9を設け、2本のミシン目9、9の間のシュリンクフィルム2を下方に突出させ突出部10を設けたので、被包装物7がシュリンク包装された包装体から、突出部10を持って、2本のミシン目9、9の境で切断し、帯状に切り取ることができて、被包装物7の取出しが容易であった。
【0088】
比較例1から3のシュリンクフィルム付台紙は、筒状のシュリンクフィルム2の筒の中に、被包装物7を挿入したときに、常に規定の位置で止まらず、また、比較例4のシュリンクフィルム付台紙は、被包装物7がときどき規定の位置で止めることができなかった。
【0089】
また比較例5から8のシュリンクフィルム付台紙は、被包装物7を挿入して、シュリンクフィルム2を収縮させ、被包装物7に密着させて、包装体を作成したとき、シュリンクフィルム2の上端部にシワが若干認められ、また、若干の角が認められた。
【0090】
位置決め接着部5を、シュリンクフィルム2の上端開口部を全て塞ぐように開口部全幅に設けた比較例9のシュリンクフィルム付台紙は、同様に包装体を作成したとき、シュリンクフィルム2の上端部にシワが目立ち、触ると痛いくらいの角が発生した。
【符号の説明】
【0091】
100、200、300・・・シュリンクフィルム付台紙
1・・・台紙
2・・・シュリンクフィルム
3・・・接着剤
4・・・封筒貼り部
5・・・位置決め接着部
6・・・吊下げ孔
7・・・被包装物
8・・・折癖
9・・・ミシン目
10・・・突出部
11・・・角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシュリンクフィルムを、筒をつぶすように折って、台紙に取り付けたシュリンクフィルム付台紙であって、
筒状の前記シュリンクフィルムに被包装物を挿入したときに、該被包装物が当たって位置決めできるように、折られた前記筒状のシュリンクフィルムの上端開口部、または、下端開口部に開口部を一部塞ぐように開口部両端より開口部中央に向かう位置決め接着部を設けたことを特徴とするシュリンクフィルム付台紙。
【請求項2】
前記被包装物の上端の周長をLとし、前記位置決め接着部によって狭められた開口部の開口幅をWとしたとき、0.85L<2W<Lの関係になっていることを特徴とする請求項1に記載のシュリンクフィルム付台紙。
【請求項3】
前記位置決め接着部が溶断シールによって設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のシュリンクフィルム付台紙。
【請求項4】
前記折られた筒状のシュリンクフィルムの表側のシュリンクフィルムの幅方向中央部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた折癖を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシュリンクフィルム付台紙。
【請求項5】
前記折られた筒状のシュリンクフィルムに上端開口部から下端開口部の方向に向いた複数のミシン目を設け、複数のミシン目の間のシュリンクフィルムを下方に突出させたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシュリンクフィルム付台紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−188127(P2012−188127A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51254(P2011−51254)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】