説明

ショットブラスト装置

【課題】微細なバリを効率よく除去して、成型品を洗浄して投射材が付着するのを確実に防止することができるショットブラスト装置を提供する。
【解決手段】機枠4の上部に取付けられた底面がホッパー状のブラスト処理室を形成する開閉扉7を有するブラスト処理ケース体8と、ブラスト処理ケース体内に備えられたバリを除去する成型品を支持する支持具13と、ブラスト処理ケース体の上部に取付けられた、支持具に支持されたバリを除去する成型品にスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材を噴射させることができる噴射ノズル22と、噴射ノズルへスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材を圧縮空気で供給するドライアイス供給装置24と、ブラスト処理ケース体の下部位置の機枠に取付けられたバリ受具25とで構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に小さな成型品に付着している微細なバリを除去する場合に使用されるショットブラスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小さな成型品に付着している微細なバリを除去する場合、微細なプラスチックの投射材をバリ取り成型品に投射して行なうショットブラスト装置が用いられている。
一方、バリを除去した成型品を、自動機を用いて組み込むことが一般的に行なわれている。
【0003】
しかしながら、バリを除去するためのショットブラスト装置で、成型品からバリを除去したとしても、微細なプラスチックの投射材が成型品に付着するという問題が生じ、そのまま使用すると、組み付け作業時に組み付けができないという欠点があり、検査して投射材の付着した成型品を除去するということも考えられるが、小さな成型品で、その検査に手数がかかり、コスト高になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3442439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、小さな成型品の微細なバリを効率よく除去して、成型品を洗浄でき、かつ成型品に投射材が付着するのを確実に防止することができるショットブラスト装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は機枠と、この機枠の上部に取付けられた底面がホッパー状のブラスト処理室を形成し、かつ開閉扉を有するブラスト処理ケース体と、このブラスト処理ケース体内に備えられたバリを除去する成型品を支持する支持具と、前記ブラスト処理ケース体の上部に取付けられた、前記支持具に支持されたバリを除去する成型品にスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材を噴射させることができる噴射ノズルと、前記ブラスト処理ケース体の下部の前記機枠内あるいは該機枠の外側に配置された、前記噴射ノズルへスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材を圧縮空気で供給するドライアイス供給装置と、前記ブラスト処理ケース体からのバリを収納するように、該ブラスト処理ケース体の下部位置の前記機枠に取付けられたバリ受具とでショットブラスト装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、バリを除去する成型品にスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材を噴射してバリを除去するので、粉塵の飛散を防止することができるバリの除去や洗浄を行なうことができ、バリ除去後の投射材は気化してなくすことができる。
このため、従来のように成型品に投射材が付着してしまうのを確実に防止することができる。
(2)前記(1)により、スノードライあるいは粒状のドライアイスを投射材として使用するため、投射材の回収装置が不要で、構造が簡単で、安価に製造することができる。
(3)前記(1)により、スノードライあるいは粒状のドライアイスを投射材として噴射ノズルよりブラスト処理ケース体内の支持具に支持されたバリを除去する成型品へ投射するので、安全に使用することができ、かつ除去したバリの飛散を確実に防止して、バリ受具に収納させることができる。
(4)前記(1)によって、バリの除去と乾燥工程が不要な洗浄を行なうことができるので、効率よく短時間にバリの除去と洗浄を行なうことができ、コストの低減を図ることができる。
(5)請求項2も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、噴射ノズルをノズル移動装置で移動させながら、スノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材を噴射させることができ、バリ取り成型品にスノードライあるいは粒状のドライアイスを効率よく噴射でき、バリの除去や洗浄を効率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の側面図。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態のドライアイスの供給装置の説明図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態のバリを除去する成型品の投入状態の説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態のバリを除去した成型品の排出状態の説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態のバケットを回動させる回動装置の説明図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態のバケットを回転させるバケット駆動装置の説明図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図10】図9の10−10線に沿う断面図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態の支持具としてのベルトコンベアーの説明図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の側面図。
【図14】図12の14−14線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は主に小さな成型品2の微細なバリの除去や洗浄を行なうことができる本発明のショットブラスト装置で、このショットブラスト装置1は底面にキャスター3、3、3、3が取付けられた長方形枠状の機枠4と、この機枠4の上部に取付けられた底面がホッパー状のブラスト処置ケース室5を形成する、該機枠4の上部を覆う排気孔6および開閉扉7を有するブラスト処理ケース体8と、このブラスト処置ケース体8の外側面の外側の前記機枠4に設けられた駆動装置収納ケース体9と、この駆動装置収納ケース体9および前記ブラスト処理ケース体8の下部位置の前記機枠4の外周部を覆い、下部処理室10を形成する下部開閉扉11を有する下部ケース体12と、前記ブラスト処理ケース体8内に備えられたバリを除去する成型品2を支持する支持具としてのバケット13と、このバケット13を該バケット13内に成型品2を投入する下部位置T、バリ取り作業を行なう位置S、および成型品を排出する位置Hへ回動させる、前記ブラスト処理ケース体8の両側壁8a、8aに回動可能に取付けられた回動軸14を回動させる、前記駆動装置収納ケース体9に設けられた回動装置15と、前記バケット13を水平方向に回転させる前記回動軸14に介装されたギアボックス16および、該ギアボックス16のバケット駆動軸17を伝達手段18を介して回転させる、前記駆動装置収納ケース体9内に設けられたバケット駆動装置19と、前記ブラスト処理ケース体8の上部に油圧シリンダーを用いたノズル移動装置20を介して取付けられたバリを除去する成型品2にスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材21を噴射させることができる噴射ノズル22と、前記ブラスト処理ケース体8の下部処理室10内に取付けられた、前記噴射ノズル22へスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材21を圧縮空気で供給ホース23を介して供給するドライアイス供給装置24と、前記ブラスト処理ケース体8のホッパー状部から落下するバリを収納する、前記下部処理室10内に備えられたバリ受具25とで構成されている。
【0012】
前記ドライアイス供給装置24は傾斜ホッパー26が設けられたケース体27と、この傾斜ホッパー26の下部にモータ28で回転される、該傾斜ホッパー26に収納されたスノードライあるいは粒状のドライアイス(最適な大きさは直径が3mm、長さが5〜10mm)の投射材21を所定量収納する複数個の凹部29が形成されたロータリーバルブ30を備えるエアー通路31の排出側に前記供給ホース23に接続されたフィーダー32と、このフィーダー32のエアー通路31の流入側に接続された圧縮空気供給パイプ33と、この圧縮空気供給パイプ33に接続されたコンプレッサー34と、前記傾斜ホッパー26を振動させる起振機35とで構成されている。
【0013】
上記構成のショットブラスト装置1はブラスト処理室5の開閉扉7を開放し、回動装置15を駆動させて、バケット13を図5に示す位置に位置させ、バケット13内にバリを除去する成型品2を投入する。
【0014】
しかる後、回動装置15を駆動させ、バケット13を図3に示すようにブラスト処理室5内に位置させ、開閉扉7を閉じ、バケット駆動装置19を駆動させてバケット13を回転させるとともに、ドライアイス供給装置24を駆動させると、コンプレッサー34からの圧縮空気にスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材21がフィーダー32で供給され、噴射ノズル22でさらに粉砕されて微小になった投射材21がバケット13内のバリを除去する成型品2へ投射され、バリが除去される。
【0015】
この時、噴射ノズル22は油圧シリンダーのノズル移動装置20で往復移動されるため、バケット13内の異なる位置へ投射材21が投射され、効率よく成型品2よりバリを除去することができるとともに、噴射されたスノードライあるいは粒状のドライアイスの気化によって洗浄することができる。
【0016】
バリを除去する成型品2からバリが除去されたところで、バケット駆動装置19およびドライアイス供給装置24を停止し、開閉扉7を開放して、回動装置15を駆動させるバケット13を図6に示すように位置させて、バケット13内の成型品2をトレー36内へ排出する。
【0017】
バケット13内より成型品2が排出されると、回動装置15を駆動させて、バケット13をバリ取り成型品2を投入することができる、図5に示す位置へ位置させ、前述の操作と同様な操作を順次行なって、バリ取り成型品のバリを除去する。
【0018】
バリが除去された成型品2は、そのまま自動機を用いて組み立てられたりするが、この時、投射材21としてスノードライや粒状のドライアイスが使用されているため、自動機で使用されるまでに気化してなくなるので、従来のように投射材が成型品に付着するなどの不具合を確実に阻止することができる。
【0019】
また、成型品はスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材21の投射によって、洗浄も行なわれ、気化してなくなるので、乾燥作業も不要な洗浄作業も同時に行なわれる。
【0020】
なお、この実施の形態では下部処理室10内にドライアイス供給装置24のコンプレッサー34も設置するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、工場に設置されているコンプレッサーからの圧縮空気をフィーダー32へ供給できるようにしたものであってもよい。
【0021】
また、この実施の形態では下部処理室10内にドライアイス供給装置24を設置するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、前記機枠4の外側にドライアイス供給装置24を配置しても同様な作用効果が獲られる。
【0022】
さらに、粒状のドライアイスの大きさは直径が3mm、長さが5〜10mmに限らず、噴射ノズル22で粉砕されることも考え、バリが除去される成型品2との関係で゛最適にバリが除去できるような大きさのものを使用する。
【0023】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9ないし図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図9ないし図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、ブラスト処理ケース体8内にバリを除去する成型品2を支持する支持具としてのL字状に配置したベルトコンベアー37を用いた点で、このようなベルトコンベアー37を用いたショットブラスト装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
なお、前記支持具としてのベルトコンベアー37はブラスト処理ケース体8の開口部7aの下部寄りの前方部位、後方部位に取付けられた回転軸38、39、40と、この回転軸38、39、40に掛け渡された多数個の透孔41が形成されたベルト42と、前記回転軸38、40間に位置する前記ベルト42の両側部を押し圧するガイドローラ43、43と、前記回転軸40を正逆回転駆動させる前記ブラスト処理ケース体8に取付けられた正・逆回転モータ44とで構成されている。
【0026】
なお、本発明の実施の形態ではL字状に配置したベルトコンベアー37を用いたものについて説明したが、本発明はこれに限らず、特許第2857567号公報のショットブラスト装置のように水平に配置したベルトコンベアーを用いるものにでも同様に使用することができる。
【0027】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、ブラスト処理ケース体8の上部に噴射ノズル22を固定的に取付けた点で、このように噴射ノズル22を固定的に取付けても、バリ取り作業時にバケット13が回転するため、バリを除去する成型品2にスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材21を効率よく投射して、バリを除去することができる。
【0028】
なお、噴射ノズル22として、該噴射ノズル22で、圧縮空気で送られてきた粒状のドライアイスを破砕することができるフレグラム破砕ノズルを使用してもよい。
【0029】
また、ドライアイス供給装置24として、傾斜ホッパー26にスノードライや粒状のドライアイスの投射材21を供給して使用するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、ブロック状のドライアイスからスノードライあるいは粒状のドライアイスに加工処理することができるものや、液化炭酸ガスから、スノードライや粒状のドライアイスを製造するものを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は主に小さな成型品に付着している微細なバリを除去する場合に使用されるショットブラスト装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0031】
1、1A:ショットブラスト装置、
2:成型品、 3:キャスター、
4:機枠、 5:ブラスト処理室、
6:排気孔、 7:開閉扉、
8:ブラスト処理ケース体、 9:駆動装置収納ケース体、
10:下部処理室、 11:下部開閉扉、
12:下部ケース体、 13:支持具としてのバケット、
T:投入する位置、 S:バリ取り作業を行なう位置、
H:排出する位置、 14:回動軸、
15:回動装置、 16:ギアボックス、
17:バケット駆動軸、 18:伝達手段、
19:バケット駆動装置、 20:ノズル移動装置、
21:投射材、 22:噴射ノズル、
23:供給ホース、 24:ドライアイス供給装置、
25:バリ受具、 26:傾斜ホッパー、
27:ケース体、 28:モータ、
29:凹部、 30:ロータリーバルブ、
31:エアー通路、 32:フィーダー、
33:圧縮空気供給パイプ、 34:コンプレッサー、
35:起振機、 36:トレー、
37:支持具としてのL字状のベルトコンベアー、
38、39、40:回転軸、 41:透孔、
42:ベルト、 43:ガイドローラ、
44:正・逆回転モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠と、この機枠の上部に取付けられた底面がホッパー状のブラスト処理室を形成し、かつ開閉扉を有するブラスト処理ケース体と、このブラスト処理ケース体内に備えられたバリを除去する成型品を支持する支持具と、前記ブラスト処理ケース体の上部に取付けられた、前記支持具に支持されたバリを除去する成型品にスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材を噴射させることができる噴射ノズルと、前記ブラスト処理ケース体の下部の前記機枠内あるいは該機枠の外側に配置された、前記噴射ノズルへスノードライあるいは粒状のドライアイスの投射材を圧縮空気で供給するドライアイス供給装置と、前記ブラスト処理ケース体からのバリを収納するように、該ブラスト処理ケース体の下部位置の前記機枠に取付けられたバリ受具とからなることを特徴とするショットブラスト装置。
【請求項2】
支持具はバリを除去する成型品を収納して回転するバスケットあるいはベルトコンベアーであり、噴射ノズルはブラスト処理ケース体の上部にノズル移動装置を介して取付けられていることを特徴とする請求項1記載のショットブラスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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