説明

ショッピングカートまたは搬送容器

疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性を組み合わせた表面を用いることによって、病原体の生存を許す環境を提供しないという付加的な特徴を備えたショッピングカートまたは搬送容器が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショッピングカートまたはその最も広い意味での搬送容器に関する。
【背景技術】
【0002】
使用されているショッピングカートまたは搬送容器の大部分は、亜鉛めっきされた金属、クロムめっきされた金属または塗装された金属でできた表面を備えている。いわゆるかご、すなわち、運ばれる品物(例えば商品)が入れられる領域は、金属製の丸棒を織り合わせた構造からなる。少数のプラスチック製のショッピングカートが存在している。かごとして十分な安定性を達成するために、プラスチック製のかごは、金属製の棒より硬質なプラスチック製の棒からなる。
【0003】
ショッピングトロリーまたは搬送容器には、使用する結果、汚れが付き、一定の間隔で洗浄が必要になる。
【0004】
食品衛生規制上の理由で、食品を運ぶショッピングカートまたは搬送容器は、溶剤を加えずに水だけで洗浄しなければならない。水の洗浄作用を高めるために、水は、いわゆるスチームジェットを用いて、洗浄する領域に高温で噴射される。汚れの程度および性質によっては、ブラシの形状の機械的補助手段がさらに必要とされる。
【0005】
一方で、この洗浄方法は多大な手間を要し、他方で、この方法は、洗浄が金属製のショッピングカートまたは搬送容器に行われる場合に限り所望の結果を達成する。プラスチック製のショッピングカートまたは搬送容器の場合には、個々のプラスチック製の棒の間の接合点に隙間があり、その中に汚染物質がたまっていくため、洗浄のための条件はより一層厳しい。プラスチック製のショッピングカートの棒が金属製の棒よりも硬質であることの結果として、長い隙間が生じる。プラスチック製のショッピングカートまたは搬送容器を洗浄する際には、棒と棒との接合点におけるこれらの長い隙間にも特別な洗浄が必要となり、さらに多大な手間が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗浄の手間が軽減され、および/または、表面が、細菌および/または真菌およびそれらの胞子が発生し、および/または繁殖しうる環境を提供しない、金属製またはプラスチック製のショッピングカートまたは搬送容器を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0008】
基礎となる考慮事項は、いわゆるナノ構造を付加的に備えた、ショッピングカートまたは搬送容器の疎水性表面が、大抵の場合、汚染物質が多く付いた商品を固着させないということであった。ここで、かかる表面は、いわゆる超疎水性を備えている。
【0009】
ここで、乾燥表面にそれでもなおへばりついた汚染物質は、通常の流水で、ほとんど跡形もないように容易に除去可能である。ここでは、水自体はほとんど跡形もないように表面から垂れ落ち、このプロセス中に、表面に付着している汚染物質を取り、それを除去する。
【0010】
かかる表面は、国際公開第96/04123号パンフレットに記載されており、ショッピングカートに必要とされる洗浄の手間を軽減するために、新規性および進歩性のある方法で使用可能である。
【0011】
プラスチック製のかごを備えたショッピングカートに関して、食品分野における経済的に好都合な使用が初めて可能となったが、この理由は、本発明を用いた場合のみ、棒の接合点の角に固着する汚物の特定の問題が解消されるためである。
【0012】
ショッピングカートが雨にさらされる場合、洗浄は雨水自体によって行われる。
【0013】
他の考慮事項は、ショッピングカートに付着する真菌または細菌などの病原体が、そこからかかるショッピングカート内に置かれた食品に移るおそれがあることであった。
【0014】
真菌が発生可能となるには、真菌の胞子がまず発芽しなければならない。真菌の胞子は、この発芽に湿気を必要とする。ここでは、本発明によるショッピングカートの疎水性または超疎水性表面には、その付加的なナノ構造の結果、病原体に対して二重の作用がある。病原体または真菌の胞子が、各洗浄操作中または雨水によって洗い落とされ、しかも、全ての水が跡形もないようにショッピングカートの表面から流れ落ちるため、発芽または生存に必要な湿潤環境を病原体に与えない。
【0015】
同時に、乾燥表面に付着した真菌の胞子は、流水によって取り去られ、表面から除去される。
【0016】
イオン放出性を備えた表面の使用により、あらゆる細菌を殺すことが可能になる。
【0017】
疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性を組み合わせた表面の本発明による使用によって、病原体が生存可能である環境を提供しないという付加的な特性を備えたショッピングカートが得られる。
【0018】
本発明を2つの図面を参照して以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ショッピングカート1、2の両方の場合、表面が、疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性であるように設計されている。
【0020】
スチール製のショッピングカートの場合、適切な材料でコーティングすることによって、表面の疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性を実現することが可能である。このコーティングは、メインの製造プロセス中に、または後に例えば補修点検中にショッピングカートに適用されてもよい。
【0021】
多数の金属製の棒4からなるかご3のみが、疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性の表面を備えていることが好ましい。食品に接触することのないショッピングカートの残りの領域は、特別に処理された表面を備えないままである。
【0022】
プラスチック製のショッピングカート2の場合は、疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性の表面は、適切な製造方法によって既に製造されていてもよい。
【0023】
従来通りに製造されたプラスチック製のショッピングカート、すなわち、疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性の表面を備えずに製造されたプラスチック製のショッピングカートの場合は、後のコーティングが可能である。
【0024】
ショッピングカート2のかご5は、比較的硬質の棒6からなる。多くの棒6の接合点(図示された例では7で例示されている)には、棒のつなぎ目に角度を付けられた領域がある(通常の表面の場合はこの領域には汚染物質が固着してたまる)。本発明による疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性の表面が特に好都合なのはまさにこれらの領域における場合である。
【0025】
本発明は、汚染物質を容易に洗浄できることが利点をもたらすあらゆるタイプの搬送容器に適用可能である。かかる搬送容器の例には、特に食品の買い物または保管用に特に用いられる、ケース、かごまたは折り畳み式の箱がある。
【0026】
容易に洗浄できることの利点は、搬送容器が汚れを受けやすく、そのため再三の洗浄が容易であるように意図される他の全ての分野にも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】スチール製の通例のショッピングカートを示す。
【図2】プラスチック製のショッピングカートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショッピングカートまたは搬送容器であって、
前記ショッピングカート(1、2)または搬送容器の表面は、疎水性または超疎水性材料から完全にまたは部分的に構成され、および/またはイオン放出性材料から完全にまたは部分的に構成されることを特徴とするショッピングカートまたは搬送容器。
【請求項2】
前記疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性の表面は、ナノ構造をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のショッピングカートまたは搬送容器。
【請求項3】
前記疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性の表面は、前記ショッピングカート(2)または搬送容器の製造プロセス中に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のショッピングカートまたは搬送容器。
【請求項4】
前記疎水性または超疎水性、および/またはイオン放出性の表面は、既存のショッピングカート(1)または搬送容器を後処理することによって形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のショッピングカートまたは搬送容器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−522010(P2007−522010A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552459(P2006−552459)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000264
【国際公開番号】WO2005/108184
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(506277487)
【出願人】(506277498)
【Fターム(参考)】