説明

ショートアーク型フラッシュランプ

【課題】反射鏡と外囲器とが別部材から構成されているので、反射鏡を外囲器内に固定する構造が必要であり、かつ外囲器が反射鏡よりも必ず大きなサイズとなってしまう。そのため、フラッシュランプをコンパクト化することができないという課題があった。
【解決手段】内部に凹面反射部を有する外囲器と、該外囲器の開口を密閉する投光窓と、該凹面反射部の焦点位置を中心として対向配置される陰極及び陽極と、該陰極および陽極の先端を結んだ直線上に配置されるトリガー電極と、陰極、陽極、およびトリガー電極の各々と個別に電気的に接続され、該外囲器を貫通し、封止されるリードとを有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショートアーク型フラッシュランプに関し、特に密封容器の内面に反射面が形成されたショートアーク型フラッシュランプに関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、従来からショートアーク型フラッシュランプとして、特許文献1(特開平3−143747号公報)が知られている。
このショートアーク型フラッシュランプ41は、中空円筒状のガラス製外囲器の内部に、リフレクタ40を備えており、リフレクタ40の焦点位置にアーク発光部43が形成されるように、リフレクタ40の光軸に沿って陰極45、陽極46が対向配置されている。
この電極を結ぶ直線上には、放電開始を容易にするためのトリガー電極47が設けられており、トリガー電極を補助するスパーカ電極48も設けられている。
これらの電極などは、フラッシュランプの投光窓と反体側にあるガラスステムよりランプの外に導出されている。
外囲器の内部には、キセノンやアルゴンなどの不活性ガスが封入されており、所定の電源によってフラッシュ点灯される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−143747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなフラッシュランプは、反射鏡と外囲器とが別部材から構成されているので、反射鏡を外囲器内に固定する構造が必要であり、かつ外囲器が反射鏡よりも必ず大きなサイズとなってしまう。そのため、フラッシュランプをコンパクト化することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、内部に凹面反射部を有する外囲器と、該外囲器の開口を密閉する投光窓と、該凹面反射部の焦点位置を中心として対向配置される陰極及び陽極と、該陰極および陽極の先端を結んだ直線上に配置されるトリガー電極と、陰極、陽極、およびトリガー電極の各々と個別に電気的に接続され、該外囲器を貫通し、封止されるリードとを有することを特徴とする。
また、本発明は、前記陰極および陽極が、前記凹面反射部の光軸に沿って配置され、前記外囲器の開口と反対側は、内部に窪みを有するとともに外部に膨らんだ突出部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記トリガー電極の先端が、前記陰極と前記陽極の間の距離の3分の1となる距離よりも、陰極側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発光空間を密閉するように形成される外囲器が、回転楕円面等の形状になっており、その内面に反射膜を形成することで凹面反射部を形成している。すなわち、外囲器と反射鏡とが一体化しており、コンパクトなショートアーク型フラッシュランプを提供することができる。そして、アーク生成位置を凹面反射部の焦点と一致させることにより、光の取出し効率を高めることができる。
さらに、外囲器の開口側とは反対側に突出部を設けることにより、焦点位置近傍に配置される電極と、外囲器の内壁とが絶縁するように距離を確保することができる。そして、陰極および陽極を凹面反射部の光軸に沿って配置する場合には、一方の電極を外囲器11の内壁との距離をより長く確保することができる。
さらに、トリガー電極の先端が、陰極と陽極の間の距離の3分の1となる距離よりも陰極側にあるとき、距離Xに関わらず、予備放電を確実に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明にかかるショートアーク型フラッシュランプの構成を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる実験結果を示す図である。
【図3】本発明にかかるショートアーク型フラッシュランプの他の例を示す断面図である。
【図4】従来例にかかるショートアーク型フラッシュランプの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照しながら、本発明の閃光放射装置について説明する。
図1は、本発明に係るフラッシュランプを示す図である。
フラッシュランプ10は、内部に凹面反射部18を有する椀状の外囲器11を備えている。
外囲器11は、例えば硬質ガラスであるガラス管を加工して構成されており、外囲器11の凹面反射部18は、回転楕円面状、若しくは回転放物面状の形状をしており、内面にAl、Ag、Auなどの金属反射膜や、TiO−SiO、Nb−SiO、Ta−SiOなどの積層反射膜が形成されている。この内面が凹面反射部18となっており、外囲器11内で発生した光を、一定の方向へ導くことができる。
外囲器11の開口を塞ぐ投光窓部17は、硬質ガラスなどの光透過性を有する材料からなる板状のガラスであり、凹面反射部18の開口側端面と低融点ガラス等で融着される。
【0009】
凹面反射部18の焦点位置にアークが形成されるように、一対の電極である陰極12、および陽極13が光軸に沿って対向配置されている。
陰極12の先端と陽極13の先端を結ぶ直線上には、放電始動を容易にするためのトリガー電極14の先端が配置されている。
これらの電極は、給電および支持のためのリード15A、15B、15Cの先端に設けられており、リード15A、15B、15Cの根元側は、封止部16A、16B、16Cを介して外囲器11の外部に導出されている。
【0010】
各封止部を構成するガラスは、熱膨張係数が50×10−7/℃前後の硬質ガラスが用いられている。これに対して封止部を貫通する外部リードは、封止部のガラス材料との熱膨張係数差の小さい、鉄ニッケル合金、コバール、Mo、Nb、Ta、Tiなどの材料を用いることにより、直接封止をしても良い程度に熱応力を低減することができる。
なお、使用する金属リードとガラスの熱膨張係数差が大きく異なる場合は、段継シールや、ハウスキーパーシールを用いることができる。
【0011】
外囲器11の開口側と反体側には、ガラスが外面に膨むとともに、その内部に窪みを有する、外囲器11の凹面反射部18と連続して一体に形成された突出部19が設けられる。
例えば、外囲器11を通常の回転楕円面とすると、凹面反射部18の焦点となる位置は外囲器の内壁と近い位置である。ここに対向電極を配置すると、電極間に投入する電力が大きい場合に、放電が外囲器の内壁に接触して損傷を与えることがある。
【0012】
そこで、焦点と外囲器11の内壁との位置を離して、突出部19を設けることが好ましい。この突出部19を形成するに伴って形成される窪みにより、焦点位置近傍に配置される電極と、外囲器の内壁とが絶縁するように距離を確保することができる。
また、焦点位置は内壁に近いので、図1のように光軸に沿って一対の電極を配置する場合には、寸法によっては一方の電極を配置する空間が不足する場合が考えられる、あるいはこの電極と内壁の位置が近くなってしまうことが考えられる。
加えて、この突出部19に、一対の電極のうち一方の電極を支持するリード15Bが導入される封止部16Bが設けられることで、一方の電極は突出部内の窪み近傍に配置されるので、電極と内壁との距離がより長く確保されるという効果がある。
【0013】
以上により、本発明のショートアーク型フラッシュランプは、発光空間を密閉するように形成される外囲器11が、回転楕円面等の形状になっており、その内面に反射膜を形成することで凹面反射部を形成している。すなわち、外囲器と反射鏡とが一体化しており、コンパクトなショートアーク型フラッシュランプを提供することができる。
そして、アーク生成位置を凹面反射部の焦点と一致させることにより、光の取出し効率を高めることができる。
【0014】
さらに、外囲器11の開口側とは反対側に突出部19を設けることにより、焦点位置近傍に配置される電極と、外囲器の内壁とが絶縁するように距離を確保することができる。
そして、陰極および陽極を凹面反射部の光軸に沿って配置する場合には、一方の電極を外囲器11の内壁との距離をより長く確保することができる。
【0015】
次に、本発明のトリガーの位置について説明する。
本発明は、上述のごとく凹面反射部18が外囲器11の内部に設けられているため、予備放電が以上放電を起こして反射部に損傷を与えないように、確実に予備放電を行う必要がある。
本発明者の実験により、トリガー電極14の先端は、陰極12の先端と、陽極13の先端を結ぶ直線上に配置されていても、トリガー電極14の先端と、陰極12の先端との距離によっては、予備放電が生じない場合があることがわかった。
【0016】
図2は、図1に示した本発明のショートアーク型フラッシュランプについて、陰極と陽極との距離、陰極とトリガー電極との距離を変化させ、予備放電を行った実験の結果を示した表である。
陰極12の先端と陽極13の先端との距離をXとし、陰極12の先端とトリガー電極14の先端との距離をX/Yとして、X、Yを変化させた。
そして、各々の距離ごとに100回ずつ予備放電を繰り返し、予備放電が生じなかった回数を測定した。
【0017】
図2に示すように、Y=1.5のときは、100回とも失敗し、予備放電は生じなかった。
Y=2とした配置、すなわちトリガー電極を陰極と陽極間の真ん中に配置した場合では、X=2.5mmの場合、100回のうち30回は予備放電が生じず、X=5.0mmの場合、100回のうち40回は予備放電が生じなかった。
Y=2.5とした配置では、X=2.5mmの場合、100回のうち3回は予備放電が生じず、X=5.0mmの場合、100回のうち8回は予備放電が生じなかった。
Y=3以上とした配置、すなわちトリガー電極の先端が、陰極と陽極の間の距離の3分の1となる距離よりも陰極側にある場合では、X=2.5mm、5.0mmのいずれの場合においても予備放電を100回すべて生じさせることができた。
【0018】
以上から、Y=3以上、すなわちトリガー電極の先端が、陰極と陽極の間の距離の3分の1となる距離よりも陰極側にあるとき、距離Xに関わらず、予備放電を確実に生じさせることができる。
【0019】
図3は、本発明にかかる他の実施例である。
図3に示したショートアーク型放電ランプは、図*のものと比較して、陰極12、陽極13が凹面反射部18の光軸に対して垂直方向に沿って配置されていること、突出部19が無いことを除いて同じ構成となっているため、説明を省略する。
このように、電極を対向配置する方向を変えてもよい。
【符号の説明】
【0020】
10 フラッシュランプ
11 発光管
12 陰極
13 陽極
14 トリガー電極
15A リード
15B リード
15C リード
16A 封止部
16B 封止部
16C 封止部
17 投光窓
18 凹面反射部
F 焦点
S 密閉空間
40 リフレクタ
41 フラッシュランプ
43 アーク発光部
45 陰極
46 陽極
47 トリガー電極
48 スパーカ電極
49 アクセスホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に凹面反射部を有する外囲器と、
該外囲器の開口を密閉する投光窓と、
該凹面反射部の焦点位置を中心として対向配置される陰極及び陽極と、
該陰極および陽極の先端を結んだ直線上に配置されるトリガー電極と、
陰極、陽極、およびトリガー電極の各々と個別に電気的に接続され、該外囲器を貫通し、封止されるリードとを有することを特徴とするショートアーク型フラッシュランプ。
【請求項2】
前記陰極および陽極が、前記凹面反射部の光軸に沿って配置され、
前記外囲器の開口と反対側は、内部に窪みを有するとともに外部に膨らんだ突出部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型フラッシュランプ。
【請求項3】
前記トリガー電極の先端が、前記陰極と前記陽極の間の距離の3分の1となる距離よりも、陰極側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のショートアーク型フラッシュランプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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