説明

ショートアーク型放電ランプの封止部構造

【課題】ショートアーク型放電ランプの二重封止構造の信頼性と製造効率を高めるとともに、点灯立ち上がり時間を短縮する。
【解決手段】電極(陽極2または陰極3)と、電極支持棒4と、放電空間側に小径部がある先細内部ガラス管36と、内部金属リング14と、リード棒5と、外部金属リング25と、複数枚の金属箔8と、外部ガラス管15と、ガラス棒18とを組み立てて、マウント部品19を構成する。先細内部ガラス管36の大径部端面39に、内部封止管12の放電空間側の内部端部16を合わせて封止する。先細内部ガラス管36の放電空間側の径を小さくしたので、安定点灯までの時間が短くなる。先細内部ガラス管36への応力の集中を小さくでき、破裂に対する信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショートアーク放電型ランプの封止部構造に関し、例えば半導体や液晶の製造分野などで使用されるショートアーク型放電ランプの封止管内の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶の製造分野などでの生産効率を向上させるために、ショートアーク型放電ランプの大電力化が進んでいる。そのため、ランプ製造時等に金属箔へ多大な応力がかかって封止部が破損するなど、問題が生じてきた。その対策としては、封止部を二重封止構造とすることが有効である。二重封止構造では、ランプ製造時等に金属箔へ多大な応力がかからないので、金属箔が破断するような不具合が解消できる。また、電極が大型になり非常に重くなっても、マウント部品を封止管に正確に溶着でき、封止部の機械的強度が高まり、ランプ製造時や輸送時における破損の危険性が減少する。以下に、ショートアーク型放電ランプの二重封止構造の従来技術を説明する。
【0003】
本出願人が特許文献1において提案した従来の二重封止構造のショートアーク型放電ランプを、図7と図8を参照しながら説明する。図7は、従来の二重封止構造のショートアーク型放電ランプの断面図である。図7に示すように、放電空間を形成する発光管1がある。発光管1内には、一対の電極(陽極2、陰極3)が対向配置されている。放電空間Sは、水銀および希ガスが封入されて放電が起こる空間である。先太内部ガラス管236は、放電空間側に外径を拡大した内部ガラス管である。
【0004】
図8は、ショートアーク型放電ランプの封止部の断面図である。図8において、電極支持棒4は、陽極を支持する金属部材である。リード棒5は、電力を供給するための導電性部材である。外側封止管11は、発光管の延長の円筒状部分である。内部封止管12は、気密封止のための円筒状のガラス部材であって、外部内側封止管と比較して外径が大きい内側封止管である。外部封止管13は、気密封止のための円筒状のガラス部材であって、内部内側封止管と比較して外径が小さい内側封止管である。ガラス棒18は、リード棒5と電極支持棒4を構造的に連結するガラス部材である。先太内部ガラス管236は、放電空間側に外径が拡大する内部ガラス管であって、電極支持棒4を保持する部材である。小径部237は、先太内部ガラス管の径が小さい部分である。大径部238は、先太内部ガラス管の径が大きい部分である。
【0005】
傾斜部239は、先太内部ガラス管の大径部と小径部との間の部分である。外部ガラス管7は、リード棒5を保持するガラス部材である。金属箔8は、ガラス棒18と外部封止管13との間に介在し、内部金属リングと外部金属リングを電気的に接続する金属製の部材である。固定リング9は、外部封止管13の軸方向への動きを抑制する石英製の部材である。内部金属リング14は、電極支持棒4と金属箔8を電気的に接続する金属製の部材である。外部金属リング15は、リード棒5と金属箔8を電気的に接続する金属製の部材である。溶着端部224は、先太内部ガラス管と外側封止管との溶着部の放電空間側の円周状の終端である。溶着端径D1は、先太内部ガラス管の放電空間側の溶着端の径である。
【0006】
発光管1に連接された外側封止管11内部には、先太内部ガラス管236の傾斜部239付近まで、内部封止管12が介在する。内部封止管12は、放電空間Sに露出していない。そのため、従来の二重封止構造と比較して、クラックの発生要因となる部分が少なくなって信頼性が向上し、溶着状態の検査時間も短縮できる。
【0007】
上記のように、従来の二重封止構造では、ショートアーク型放電ランプの封止部構造を、小径部と大径部がある先太内部ガラス管を用いてマウント部品を構成し、先太内部ガラス管の小径部と大径部の間に、内側封止管の放電空間側の端部を合わせて、内側封止管の放電空間側の端部が放電空間に露出しないように、先太内部ガラス管と外側封止管を溶着した構成としたので、二重封止構造の信頼性と製造効率を高めることができた。
【0008】
また、ショートアーク型放電ランプの点灯時の立ち上がり時間を短縮するために、封止部の熱容量を小さくするように工夫している。特許文献2に開示された「ショートアーク型水銀ランプ」は、良好な立ち上がり特性を持つ大型の水銀ランプである。一対の電極が対向配置し、水銀と希ガスが封入された発光部と、その両端に形成された封止部よりなる。そして、発光部は、主発光空間部と、この主発光空間部の封止部側に形成された根元空間部から構成され、主発光空間部の内容積と根元空間部の内容積の比率が、0.01〜0.09である。
【特許文献1】特開2007-157513号公報
【特許文献2】特開2007-128755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の二重封止構造では、熱により封止部に応力が集中して破裂しやすくなるという問題と、安定点灯までの立ち上がり時間が長くなるという問題がある。
【0010】
封止部に応力が集中して破裂する理由は次の通りである。ショートアーク型放電ランプは、そのランプ電流に応じた金属箔の枚数により、内部金属リングの外径は定まる。従来の二重封止構造は、先太内部ガラス管の放電空間側に大径部を設けているので、放電空間に露出した溶着端径D1が従来の一重封止構造のランプに比べて大きくなる。溶着端径D1が大きくなると、溶着端部224に応力が集中することにより微小なクラックが生じて、ランプ点灯時の破裂の起点となることがある。
【0011】
安定点灯までの立ち上がり時間が長くなる理由は次の通りである。ショートアーク型放電ランプは、放電開始から安定点灯状態といえる定格のランプ電圧まで上昇する時間(立ち上がり時間)が短いことが望ましい。従来の二重封止構造では、先太内部ガラス管の放電空間側に大径部があるので、放電空間側の先太内部ガラス管236の熱容量が、一重管封止構造ランプよりも大きくなる。そのため、先太内部ガラス管236付近が最冷部となって暖まりにくく、水銀がなかなか蒸発せず放電に寄与しないので、定常点灯の放電電圧まで上昇するのに時間がかかり、安定点灯へ迅速に移行しない。
【0012】
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、ショートアーク型放電ランプの二重封止構造の信頼性を高めるとともに、点灯立ち上がり時間を短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明では、ガラス製の発光管と、発光管に連接されたガラス製の外側封止管と、外側封止管の内側に同軸状に溶着された内側封止管と、発光管内に封じられた一対の電極と、電極を支持する金属製の電極支持棒と、電極に電気的に接続された内部金属リングと、電極に電力を供給するためのリード棒と、リード棒に電気的に接続された外部金属リングと、内部金属リングと外部金属リングに電気的に接続された複数枚の金属箔と、リード棒を支持する外部ガラス管と、リード棒と内部金属リングと外部金属リングと電極支持棒と金属箔とを支持するガラス棒と、電極支持棒を支持する内部ガラス管とを具備する二重封止構造のショートアーク型放電ランプの封止部構造の内部ガラス管は、内部金属リングよりも径が大きい大径部を有し、発光管側に大径部よりも径が小さい小径部を有する構成とした。大径部は、内部金属リングに接する部分から小径部に至る部分である。または、内部ガラス管は、大径部から内部金属リングに接する部分に内部金属リングと外径が略等しい基径部を有し、大径部の軸方向断面は山形である。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成して、二重封止構造のショートアーク型放電ランプの溶着端部の径を、一重封止構造の場合と同程度に小さくすることにより、破裂原因となる応力集中を軽減でき、信頼性を高めることができるとともに、溶着端部の溶着状態の検査時間も短縮できる。さらに、放電空間側の熱容量を、二重封止構造であっても一重封止構造の場合と同程度に小さくできるので、点灯立ち上がりが速くなる。また、強度が必要な封止部の外径を大きくしても口金の外径は大きくならず、口金の過熱を防止できる。さらにまた、二重の封止管を一度に封止できるので、二重封止構造でも一重封止の場合と同等の封止工程となり、作業時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1は、放電空間側に小径部がある先細内部ガラス管を用いてマウント部品を構成し、先細内部ガラス管の大径部端面に、内部封止管の放電空間側の端部を合わせて封止したショートアーク型放電ランプの封止部構造である。
【0017】
図1は、本発明の実施例1におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造を示す全体断面図である。図1において、発光管1は、水銀を封入した石英ガラス製の管である。陽極2は、プラス側の電極である。陰極3は、マイナス側の電極である。放電空間Sは、水銀および希ガスが封入されて放電が起こる空間である。先細内部ガラス管36は、放電空間側に細径部を有する内部ガラス管である。
【0018】
図2は、ショートアーク型放電ランプの封止部構造を示す部分断面図である。図2において、電極支持棒4は、陽極を支持する金属部材である。リード棒5は、電力を供給するための導電性部材である。金属箔8は、ガラス棒18と内部ガラス管6との間に介在し、内部金属リングと外部金属リングを電気的に接続する金属製の部材である。固定リング9は、内側封止管の軸方向への動きを抑制する石英製の部材である。外側封止管11は、発光管の延長の円筒状部分である。内部封止管12は、気密封止のための円筒状のガラス部材であって、外部封止管と比較して外径が大きい内側封止管である。外部封止管13は、気密封止のための円筒状のガラス部材であって、内部内側封止管と比較して外径が小さい内側封止管である。内部金属リング14は、電極支持棒4と金属箔8を電気的に接続する金属製の部材である。外部ガラス管15は、リード棒5を保持するガラス部材である。
【0019】
内部端部16は、内側封止管10の放電空間側の端部である。外部端部17は、内側封止管10の固定リング側の端部である。ガラス棒18は、リード棒と電極支持棒4を構造的に連結するガラス部材である。溶着端部24は、先細内部ガラス管と外側封止管との溶着部の放電空間側の円筒状の終端である。即ち、先太内部ガラス管236の放電空間側は座ぐりされたような形状となされ、溶着端部24は肉薄となっている。外部金属リング25は、リード棒と金属箔を電気的に接続する金属製の部材である。先細内部ガラス管36は、放電空間側に細径部を有する内部ガラス管であって、電極支持棒4を保持する部材である。小径部37は、先細内部ガラス管の径が小さい部分である。大径部38は、先細内部ガラス管の径が大きい部分である。大径部端面39は、内部金属リング側の大径部の端面である。封止管内径D2は、先細内部ガラス管が放電空間に露出した面の径である。
【0020】
図3は、ショートアーク型放電ランプの封止部構造のマウント部品を内側封止管内に挿入した状態を示す断面図である。図3において、固定リング9は、外部封止管の軸方向の動きを抑制するための、リング状の部品である。溶着前の内部封止管22は、バーナーなどの熱により縮径して溶着される前の内側封止管であって、外部封止管と比較して、内径は同じで外径が大きい内側封止管である。溶着前の外部封止管23は、溶着される前の外部封止管であり、内部封止管と比較して、内径は同じで外径が小さい内側封止管である。内部端部26は、溶着前の内部封止管の放電空間側の端部である。外部端部27は、溶着前の外部封止管の放電空間とは反対側の端部である。マウント部品19は、先細内部ガラス管を用いたマウント部品である。
【0021】
図4は、ショートアーク型放電ランプの封止部構造のマウント部品を外側封止管の中に挿入して所望の位置に配置した状態を示す断面図である。図4において、溶着前の外側封止管21は、バーナーなどの熱により縮径して溶着される前の外側封止管である。
【0022】
上記のように構成された本発明の実施例1におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造と製造方法を説明する。最初に、図1と図2を参照しながら、ショートアーク型放電ランプの全体構造を説明する。ショートアーク型放電ランプは、中央部が膨らんだ発光管1を有し、発光管1内に、相対して一対の陽極2と陰極3を有する。さらに、放電ランプの外部から内部の電極へ電力を供給する一連の金属性部品と、これらを保持するガラス部品とで構成されるマウント部品19を有する。マウント部品19は具体的には、陽極2、電極支持棒4、リード棒5、ガラス棒18、先細内部ガラス管36、外部ガラス管7、金属箔8、内部金属リング14、外部金属リング15で構成される。
【0023】
次に、図3を参照しながら、マウント部品について説明する。先細内部ガラス管36を用いて、先細のマウント部品19を従来のものと同様に作製する。作製した先細のマウント部品19を、溶着前の内部封止管22および溶着前の外部封止管23内に挿入し、固定リング9で、軸方向の動きを止める。
【0024】
図3に示すように、溶着前の内部封止管22の内部端部26は、先細内部ガラス管36の大径部端面39と接して止まる。大径部端面39は、内部封止管22の一端を係止するストッパの機能を果たすものである。溶着前の外部封止管23の外部端部27は、固定リング9に接している。そのため、大径部端面39と固定リング9により、溶着前の内部封止管22および溶着前の外部封止管23の軸方向への動きを抑制することができる。
【0025】
次に、図4を参照しながら、マウント部品の配置方法について説明する。内部封止管22および外部封止管23が保持されたマウント部品19を、溶着前の外側封止管21の中に挿入して、陽極2を放電空間S内の所望の位置に配置する。外側封止管内(放電空間内)を負圧状態として、バーナーなどにより加熱して、溶着前の外側封止管21と内部封止管22と外部封止管23とを縮径して、外側封止管21と内部封止管22と外部封止管23とマウント部品19とを溶着する。このように、二重封止構造の封止を一度に行える。外径の異なる2種類の内側封止管を用いる例について説明したが、必要な強度に応じて外径の異なる内側封止管を3種類以上用いることにより、所望の強度と形状を備えた二重封止構造を簡単に得ることもできる。
【0026】
図7で示した従来の先太内部ガラス管を用いた場合の放電空間側の溶着端部の径D1と比較して、図1に示すように、先細内部ガラス管36を用いると、溶着端部の径D2を小さくできるので、先細内部ガラス管への応力の集中を防ぐことができる。従来の一重管封止構造と同様な放電空間側の溶着端部24の径とすることができるので、溶着端部からのクラックの発生を減少させることができる。さらに、放電空間側の内部ガラス管端面を小径にできるので、点灯開始時の温度上昇が速くなり、点灯の立ち上がりが速くなる。
【0027】
上記のように、本発明の実施例1では、ショートアーク型放電ランプの封止部構造を、放電空間側に小径部がある先細内部ガラス管を用いてマウント部品を構成し、先細内部ガラス管の大径部端面に、内部封止管の放電空間側の端部を合わせて封止した構成としたので、信頼性が向上するとともに、点灯立ち上がり時間が短くなる。
【実施例2】
【0028】
本発明の実施例2は、中間部に大径部を形成した中太内部ガラス管を用いてマウント部品を構成し、中太内部ガラス管の大径部端面に、内部封止管の放電空間側の端部を合わせて、中太内部ガラス管と外側封止管を溶着したショートアーク型放電ランプの封止部構造である。
【0029】
図5は、ショートアーク型放電ランプの封止部構造を示す部分断面図である。図5において、内部端部16は、内側封止管10の放電空間側の端部である。外部端部17は、内側封止管10の固定リング側の端部である。ガラス棒18は、リード棒と電極支持棒4を構造的に連結するガラス部材である。中太内部ガラス管136は、電極支持棒4を保持する内部ガラス管である。中太内部ガラス管の放電空間側と内部金属リング側との中間部に、軸方向断面の形状が山形あるいは台形の大径部(径はD3)がある。大径部は、内部ガラス管の軸方向の中心付近にあるのが好ましい。小径部137は、先細内部ガラス管の径が小さい部分である。大径部138は、先細内部ガラス管の径が大きい部分である。基径部140は、内部金属リングの径と同じD4の径の中太内部ガラス管の部分である。図5では、金属箔の厚みをもたせて描いているため、基径部の径が内部金属リングの径より大きく見えるが、実際の金属箔は薄箔であるので、基径部の径は内部金属リングの径と略等しい。大径部端面139は、内部金属リング側の大径部の端面である。溶着端部124は、中太内部ガラス管と外側封止管との溶着部の放電空間側の円周状の終端である。実施例1と同様の部分については説明を省略する。
【0030】
図6は、ショートアーク型放電ランプの封止部構造のマウント部品を内側封止管内に挿入した状態を示す断面図である。図6において、固定リング9は、外部封止管の軸方向の動きを抑制するための、リング状の部品である。溶着前の内部封止管22は、バーナーなどの熱により縮径して溶着される前の内側封止管であって、外部封止管と比較して、内径は同じで外径が大きい内側封止管である。溶着前の外部封止管23は、溶着される前の外部封止管であり、内部封止管と比較して、内径は同じで外径が小さい内側封止管である。内部端部26は、溶着前の内部封止管の放電空間側の端部である。外部端部27は、溶着前の外部封止管の放電空間とは反対側の端部である。マウント部品19は、中太内部ガラス管を用いたマウント部品である。
【0031】
上記のように構成された本発明の実施例2におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造と製造方法を説明する。図6を参照しながら、マウント部品について説明する。中太内部ガラス管136を用いて、中太のマウント部品119を従来のものと同様に作製する。作製した中太のマウント部品119を、溶着前の内部封止管22および溶着前の外部封止管23内に挿入し、固定リング9で、軸方向の動きを止める。
【0032】
図5に示すように、溶着前の内部封止管22の内部端部26は、中太内部ガラス管136の大径部端面139と接して止まる。大径部端面139は、内部封止管22の一端を係止するストッパの機能を果たすものである。溶着前の外部封止管23の外部端部27は、固定リング9に接している。そのため、大径部端面139と固定リング9により、溶着前の内部封止管22および溶着前の外部封止管23の軸方向への動きを抑制することができる。
【0033】
実施例1と同様に、中太内部ガラス管136を用いると、溶着端部の径D2を、従来の一重管封止構造と同程度に小さくできる。したがって、中太内部ガラス管への応力の集中を小さくでき、溶着端部からのクラックの発生を減少できる。さらに、放電空間側の中太内部ガラス管端面を小径にできるので、点灯開始時の温度上昇が速くなり、点灯の立ち上がりが速くなる。
【0034】
発光管1に連接された外側封止管11とマウント部品119の間には、中太内部ガラス管136の大径部端面139付近まで、内部封止管12が介在する。そのため、実施例1では、内部封止管の内部端面と先細内部ガラス管の大径部端面とを溶着していたのに対し、実施例2では、内部封止管の内表面と中太内部ガラス管の基径部の円周外面とを溶着している。よって、実施例1と比較して、実施例2の方が、内部封止管と内部ガラス管を確実に溶着できる。したがって、内部金属リング付近からのクラックが原因の破裂の危険性が減少して、信頼性が向上する。
【0035】
上記のように、本発明の実施例2では、ショートアーク型放電ランプの封止部構造を、放電空間側の小径部と中間部の大径部と内部金属リング側の基径部がある中太内部ガラス管を用いてマウント部品を構成し、中太内部ガラス管の大径部端面に、内部封止管の放電空間側の端部を合わせて、中太内部ガラス管と外側封止管を溶着する構成としたので、二重封止構造の信頼性を高め、点灯立ち上がり特性を向上させることができる。さらに、内側封止管と内部ガラス管との溶着が確実に行えるので、破裂に対する信頼性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のショートアーク放電型ランプの封止部構造は、半導体や液晶の製造分野などで使用されるショートアーク型放電ランプの封止部構造として最適である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造を示す全体断面図である。
【図2】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造を示す部分断面図である。
【図3】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造のマウント部品を内側封止管内に挿入した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造のマウント部品を外側封止管の中に挿入して所望の位置に配置した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例2におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造を示す部分断面図である。
【図6】本発明の実施例2におけるショートアーク型放電ランプの封止部構造のマウント部品を内側封止管内に挿入した状態を示す断面図である。
【図7】従来の二重封止構造を有するショートアーク型放電ランプの構造を示す断面図である。
【図8】従来の二重封止構造を有するショートアーク型放電ランプの封止部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 発光管
2 陽極
3 陰極
4 電極支持棒
5 リード棒
6 内部ガラス管
7 外部ガラス管
8 金属箔
9 固定リング
10 内側封止管
11 外側封止管
12 内部封止管
13 外部封止管
14 内部金属リング
15 外部ガラス管
16 内部端部
17 外部端部
18 ガラス棒
19 マウント部品
20 溶着前の内側封止管
21 溶着前の外側封止管
22 溶着前の内部封止管
23 溶着前の外部封止管
24 溶着端部
25 外部金属リング
26 内部端部
27 外部端部
36 先細内部ガラス管
37 先細内部ガラス管小径部
38 先細内部ガラス管大径部
39 大径部端面
119 マウント部品
124 溶着端部
136 中太内部ガラス管
137 小径部
138 大径部
139 大径部端面
140 基径部
224 溶着端部
236 先太内部ガラス管
237 小径部
238 大径部
239 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製の発光管と、前記発光管に連接されたガラス製の外側封止管と、前記外側封止管の内側に同軸状に溶着された内側封止管と、前記発光管内に封じられた一対の電極と、前記電極を支持する金属製の電極支持棒と、前記電極に電気的に接続された内部金属リングと、前記電極に電力を供給するためのリード棒と、前記リード棒に電気的に接続された外部金属リングと、前記内部金属リングと前記外部金属リングに電気的に接続された複数枚の金属箔と、前記リード棒を支持する外部ガラス管と、前記リード棒と前記内部金属リングと前記外部金属リングと前記電極支持棒と前記金属箔とを支持するガラス棒と、前記電極支持棒を支持する内部ガラス管とを具備する二重封止構造のショートアーク型放電ランプの封止部構造において、前記内部ガラス管は、前記内部金属リングよりも径が大きい大径部を有し、発光管側に前記大径部よりも径が小さい小径部を有することを特徴とするショートアーク型放電ランプの封止部構造。
【請求項2】
前記大径部は、前記内部金属リングに接する部分から前記小径部に至る部分であることを特徴とする請求項1に記載のショートアークランプの封止部構造。
【請求項3】
前記内部ガラス管は、前記大径部から前記内部金属リングに接する部分に前記内部金属リングと外径が略等しい基径部を有することを特徴とする請求項1に記載のショートアークランプの封止部構造。
【請求項4】
前記大径部の軸方向断面は山形であることを特徴とする請求項3に記載のショートアークランプの封止部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−224028(P2009−224028A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63776(P2008−63776)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】