説明

シラスバルーンの精密分級装置、及びその精密分級方法

【課題】種々の粒径が混在するシラスバルーンについて、所定の粒径の範囲ごとに精密に分級するシラスバルーンの精密分級装置、及びその精密分級方法を提供する。
【解決手段】粉体のシラスバルーン10を粉体搬送ガス管8に搬送するベッセル2と、加圧気体を送風する加圧器4と、内部にフィルタ6を内蔵し、シラスバルーン10を、フィルタ6の内部に連通する第1ガス管15、及びフィルタ6の外部に連通する第2ガス管16に供給するハウジング3と、第1ガス管15内の圧力を調整する第1圧力調整弁13と、第2ガス管16内の圧力を調整する第2圧力調整弁14と、を備え、第1圧力調整弁13と第2圧力調整弁14とをそれぞれ調整し、フィルタ6の内部と外部とに差圧を発生させてシラスバルーン10を分級する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラスバルーンの精密分級装置、及びその精密分級方法に係り、特に、種々の粒径が混在している粉体のシラスバルーンを所定の粒径ごとに分級するシラスバルーンの精密分級装置、及びその精密分級方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「シラス」とは、南九州に広く分布する白色の火山噴出物、及びそれに由来する二次堆積物の総称であり、それらは鹿児島湾周辺で広大な台地を形成している。このシラスは、ガラス質に富むことからガラス質火山砕屑物と称される。
【0003】
このシラスを電気炉で高温加熱して焼成発泡すると30〜600μmの中空ガラス球(バルーン)となることが見出された。この中空ガラス球は、一般的にシラスバルーンと称される。これは、シラスがその内部に水や揮発成分を有しているため、軟化温度内で急加熱するとそれらがガス化して発泡して膨張し、中空体となることによる。
【0004】
このシラスバルーンは、例えば、軽量性、断熱性、耐火性などの多くの特徴を有することから、例えば、建築材料、耐火断熱材、土壌改良剤などの分野で幅広く使用されている。それらの用途なかで、このシラスバルーンに皮膚の角質層の除去、或いは皮膚の表層の油脂の除去に効果があることが認められ、例えば、化粧品の添加物、分散剤、或いは洗顔石鹸やシャンプーなどの添加剤に使用されている。この用途では、略70μmから略5μmの粒径の範囲のシラスバルーンが使用される。
【0005】
この用途では、略70μmから略5μmの粒径の範囲のシラスバルーンが使用される。そして、シラスバルーンには、用途ごとに適切な粒径の範囲が要求される場合がある。例えば、化粧品添加物では5μm程度の超微粒子が採用され、分散剤としては、50μm〜70μmの粒径の範囲が採用され、洗顔石鹸やシャンプーなどの添加剤としては、均一な70μmの粒径が採用される。従って、種々の粒径が混在する粉体のシラスバルーンは所望の粒径の範囲ごとに分級する必要がある。現状では、このシラスバルーンは遠心分離器にかけて分級するのが一般的である。
【0006】
一方、特許文献1には、粉体分級装置及び方法が開示されている。ここでは、層流管の内部に層流清流装置及び分級調節板を配置することで、層流内の乱流を抑制し層流を維持するようにした湿式分級装置が記載されている。そして、層流管内を流れる粉体粒子は、粒径の違いにより落下速度が異なり水平到達距離に差が生じるため、一定間隔で設けられた取り出し口に粒径の揃った粒子が順に捕獲される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−206627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現状では、遠心分離器にかけてシラスバルーン分級するのが一般的であるが、粒径の違いによる比重差が余りないため精密な分級をすることができないという問題がある。
【0009】
一方、シラスバルーンは、例えば、化粧品添加物、分散剤、或いは洗顔石鹸やシャンプーなどの添加剤に使用されるが、それぞれの用途ごとに採用される粒径の範囲が異なり、精密な分級が要求される。さらに、シラスバルーンの粒径をより精密に分級して製品の品質を安定化させたいという要求が高まっている。
【0010】
これに対し、シラスバルーンをフィルタにかけることで分級する方法があるが、微粒子であるシラスバルーンがフィルタ表面の静電気によりフィルタのメッシュに静電吸着してしまい精密な分級ができないという問題がある。
【0011】
本願の目的は、かかる課題を解決し、種々の粒径が混在する粉体のシラスバルーンについて、所定の粒径の範囲ごとに精密に分級するシラスバルーンの精密分級装置、及びその精密分級方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るシラスバルーンの精密分級装置は、種々の粒径が混在している粉体のシラスバルーンを所定の粒径の範囲ごとに分級するシラスバルーンの精密分級装置において、シラスバルーンを収納して搬送配管に搬送する粉体収納容器と、粉体収納容器内に加圧された気体を供給する加圧器と、内部にフィルタを内蔵し、搬送配管から搬送されたシラスバルーンを分級する粉体分級器と、粉体分級器内のフィルタ内部に連通し、フィルタを通過したシラスバルーンを第1の粉体収容器に搬送する第1の配管と、粉体分級器内のフィルタ外部に連通し、フィルタを通過しないシラスバルーンを第2の粉体収容器に搬送する第2の配管と、第1の配管内の圧力を調整する第1の圧力調整弁と、第2の配管内の圧力を調整する第2の圧力調整弁と、を備え、第1の圧力調整弁及び第2の圧力調整弁により、フィルタの内部と外部とに差圧を発生させ、シラスバルーンを所定の粒径の範囲ごとに分級することを特徴とする。
【0013】
上記構成により、シラスバルーンの精密分級装置は、粉体分級器内のフィルタ外部の圧力とフィルタ内部の圧力と調整して差圧を発生させ、フィルタを通過する粒径の範囲のシラスバルーンを静電気による静電吸着に打ち勝たせて通過させることができる。すなわち、フィルタを通過したシラスバルーンを搬送する第1の配管に設けられた第1の圧力調整弁と、フィルタを通過しないシラスバルーンを搬送する第2の配管に設けられた第2の圧力調整弁を調整することでフィルタ外部の圧力とフィルタ内部の圧力に差圧を発生させ、この差圧によりフィルタを通過すべき粒径の範囲のシラスバルーンの通過を促進できる。
【0014】
また、シラスバルーンの精密分級装置は、それぞれ第1の配管と第2の配管とが連通され、第1の配管を介して直列に連結されるn個の紛体分級器を備え、各紛体分級器にはメッシュ幅の異なるフィルタがそれぞれ内蔵され、シラスバルーンが、第1の圧力調整弁及び第2の圧力調整弁により、n+1の粒径の範囲に分級されることが好ましい。これにより、より細かい粒径の範囲を設定することができる。また、分級すべきシラスバルーンの粒径の範囲数に対応して設備を構成することができる。
【0015】
また、シラスバルーンの精密分級装置は、粉体収納容器が、収納されたシラスバルーンをサイフォン管により撹拌して搬送配管に搬送することが好ましい。これにより、粉体であるシラスバルーンをサイフィン管により粉体収納容器内で撹拌することができ、容易に搬送配管に搬送することができる。
【0016】
また、シラスバルーンの精密分級装置は、第1の配管と第2の配管とが、それぞれ同径のガス管であることが好ましい。これにより、第1の配管と第2の配管とは、その断面積が同じになり、第1の圧力調整弁及び第2の圧力調整弁による圧力調整を容易にすることができる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係るシラスバルーンの精密分級方法は、種々の粒径が混在している粉体のシラスバルーンを所定の粒径の範囲ごとに分級するシラスバルーンの精密分級方法において、シラスバルーンを粉体収納容器に収納するステップと、粉体収納容器内に加圧された気体を供給し、シラスバルーンを、フィルタが内蔵された紛体分級器に搬送するステップと、紛体分級器のフィルタ内部に連通し、フィルタを通過したシラスバルーンが搬送される第1の配管内の圧力と、紛体分級器のフィルタ外部に連通し、フィルタを通過しないシラスバルーンが搬送される第2の配管内の圧力と、をそれぞれ調整してシラスバルーンを分級するステップと、を備え、第1の配管及び第2の配管のそれぞれの圧力調整弁によりフィルタの内部と外部とに差圧を発生させてシラスバルーンを所定の粒径の範囲ごとに分級することを特徴とする。
【0018】
上記構成により、シラスバルーンの精密分級方法は、分級器内のフィルタ外部の圧力とフィルタ内部の圧力と調整して差圧を発生させ、フィルタを通過する粒径の範囲のシラスバルーンをより通過させ易くすることができる。すなわち、フィルタを通過した粒径の範囲のシラスバルーンを供給する配管と、フィルタを通過しない粒径の範囲のシラスバルーンを供給する配管にそれぞれ設けられた圧力調整弁を調整することでフィルタ外部の圧力とフィルタ内部の圧力に差圧を発生させる。
【0019】
また、シラスバルーンの精密分級方法は、それぞれ第1の配管と第2の配管とが連通され、メッシュ幅の異なるフィルタがそれぞれ内蔵されたn個の紛体分級器が第1の配管を介して直列に連結され、シラスバルーンが、各紛体分級器にそれぞれ設けられた第1の圧力調整弁及び第2の圧力調整弁により、n+1の粒径の範囲に分級されることが好ましい。これにより、より細かい粒径の範囲を設定することができる。また、分級すべきシラスバルーンの粒径の範囲数に対応して設備を構成することができる。
【0020】
また、シラスバルーンの精密分級方法は、粉体収納容器に収納されたシラスバルーンが、サイフォン管により撹拌されて搬送配管に搬送されることが好ましい。これにより、粉体であるシラスバルーンをサイフィン管により粉体収納容器内で撹拌することができ、容易に搬送配管に搬送することができる。
【0021】
さらに、シラスバルーンの精密分級方法は、第1の配管と第2の配管とが、それぞれ同径のガス管であることが好ましい。これにより、第1の配管と第2の配管とは、その断面積が同じになり、第1の圧力調整弁及び第2の圧力調整弁による圧力調整を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係るシラスバルーンの精密分級装置によれば、種々の粒径が混在する粉体のシラスバルーンについて、所定の粒径の範囲ごとに精密に分級するシラスバルーンの精密分級装置、及びその精密分級方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るシラスバルーンの精密分級装置についての第1の実施形態の概略構成を示す説明図である。
【図2】ハウジング内におけるフィルタ内部と外部との差圧を発生される手段を示す説明図である。
【図3】シラスバルーンの精密分級方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を用いて本発明に係るシラスバルーンの精密分級装置の実施形態につき、詳細に説明する。
【0025】
図1に、本発明に係るシラスバルーンの精密分級装置についての1つの実施形態の概略構成を示す。
【0026】
(シラスバルーンの精密分級装置の構成要素)
シラスバルーンの精密分級装置1は、粉体収納容器であるベッセル2、粉体分級器であるハウジング3、加圧器4、第1の配管である第1ガス管15、第2の配管である第2ガス管16、第1圧力調整弁13、及び第2圧力調整弁14から構成される。なお、本実施形態では、ハウジング3を2台使用してシラスバルーン10を3つの粒径の範囲に分級する精密分級装置1について説明するが、これに限らず、ハウジング3は、例えば1台、3台などであっても良い。
【0027】
精密分級装置1は、上流側から、加圧器4、ベッセル2、ハウジング3a、ハウジング3bの順に配置され、ハウジング3aとハウジング3bとは第1ガス管15aを介して直列に連結される。また、ハウジング3aから第2ガス管16aを介して第1粉体収容器である第1レシーバ12aに接続され、ハウジング3bから第2ガス管16bを介して第2粉体収容器である第1レシーバ12a´に接続される。そして、ハウジング3bから第1ガス管15bを介して第2レシーバ12bに接続される。また、第1ガス管15a、15b及び第2ガス管16aには、一対の圧力調整弁13,14及び圧力計11が設けられる。さらに、第1ガス管15a、15b及び第2ガス管16a、16bには配管同士を接続するクランプ7が適宜設けられる。
【0028】
また、加圧器4からベッセル2までは気体供給ガス管17が配置され、ベッセル2からハウジング3aまでは粉体搬送ガス管8が配置される。また、ベッセル2の上流側及び下流側には、一対の圧力弁5及び圧力計11が設けられる。さらに、気体供給ガス管17及び粉体搬送ガス管8には配管同士を接続するクランプ7が適宜設けられる。
【0029】
(各構成要素の機能)
加圧器4は、気体供給ガス管17を介してベッセル2内に加圧された気体を供給する。この気体の圧力は、圧力計11により計測されて圧力弁5により調整される。そして、気体供給ガス管17はベッセル2にサイフォン管9として挿入される。ベッセル2は、シリンダ状の容器であり、その内部には種々の粒径が混在している粉体のシラスバルーン10がバッチ処理により収納される。このサイフォン管9から放出される加圧気体により収納されたシラスバルーン10は撹拌され、ベッセル2に設けられた粉体搬送ガス管8に搬送される。ベッセル2から搬送されたシラスバルーン10を含む気体の圧力は、圧力計11により計測されて圧力弁5により調整される。
【0030】
ハウジング3aは、内部にシリンダ状のフィルタ6aを内蔵し、フィルタ6aの内部と外部とが規定される。粉体搬送ガス管8から搬送されたシラスバルーン10を含む気体はハウジング3aの内部に侵入する。ハウジング3aに接続する第1ガス管15aは、ハウジング3a内のフィルタ6aの内部に連通し、フィルタ6aを通過したシラスバルーン10をハウジング3bに搬送する。ハウジング3aに接続する第2ガス管16aは、ハウジング3a内のフィルタ6aの外部に連通し、フィルタ6aを通過しないシラスバルーン10を第1レシーバ12aに搬送する。そして、第1圧力調整弁13aは、第1ガス管15a内の圧力を調整し、第2圧力調整弁14aは、第2ガス管16a内の圧力を調整する。
【0031】
本実施形態では、ベッセル2に収納されて分級されるシラスバルーン10の粒径の範囲は、略70μmから略5μmの範囲である。ハウジング3a内のフィルタ6aは、略50μmのメッシュ幅で覆われている。従って、種々の粒径が混在している粉体のシラスバルーン10のうち粒径が略50μm未満のシラスバルーン10は、気体と共にフィルタ6aの内部に連通する第1ガス管15aを介してハウジング3b内に搬送される。また、粒径が略50μmを超えるシラスバルーン10は、気体と共にフィルタ6aの外部に連通する第2ガス管16aを介して第1レシーバ12aに搬送される。このようにして、第1レシーバ12aには、略50μm〜略70μmのシラスバルーン10が収容され、主として分散剤などに使用される。
【0032】
そして、ハウジング3b内のフィルタ6bは、略5μmのメッシュ幅で覆われている。従って、シラスバルーン10のうち粒径が略5μm未満のシラスバルーン10は、気体と共にフィルタ6bの内部に連通する第1ガス管15bを介して第2レシーバ12bへと搬送される。このようにして、第2レシーバ12bには、略5μmの超微粒子であるシラスバルーン10が収容され、化粧品添加剤などに使用される。また、粒径が略50μm未満であって略5μmを超えるシラスバルーン10は、気体と共にフィルタ6aの外部に連通する第2ガス管16aを介して第1レシーバ12a´に搬送される。このようにして、第1レシーバ12a´には、略10μm〜略45μmのシラスバルーン10が収容され、この粒径の範囲に適した用途に使用される。
【0033】
上述したシラスバルーン10の分級は、粒子であるシラスバルーン10がフィルタ6a,6b表面の静電気によりフィルタ6a,6bのメッシュに静電吸着してしまため、このように精密な分級ができない。そこで、後述する、ハウジング3a,3b内におけるフィルタ6a,6b内部と外部との差圧を発生される手段を用いてそれを可能とする。
【0034】
図2に、ハウジング3内におけるフィルタ6内部と外部との差圧を発生される手段を示す。粉体搬送ガス管8から搬送されたシラスバルーン10を含む気体のハウジング3の入口における圧力を“P”とする。また、ハウジング3aに接続する第1ガス管15a内の気体の圧力をpとし、ハウジング3aに接続する第2ガス管16a内の気体の圧力をpとする。ここに、第1ガス管15aと第2ガス管16aとは、共に直径略20mmの同径のガス管である。さらに、粉体搬送ガス管8も直径略20mmの同径のガス管である。従って、流体力学の原理から、ハウジング3aに入力される気体の流量は、出力される第1ガス管15aと第2ガス管16aとの和に等しい。すなわち、粉体搬送ガス管8の圧力(P)に対して、出力される第1ガス管15a内の圧力(p)と第2ガス管16a内の圧力(p)は、それぞれP/2となる。つまり、第1圧力調整弁13a及び第2圧力調整弁14aが共に全開の場合には、理論的には、第1ガス管15a内の気体の圧力(p)と第2ガス管16a内の気体の圧力(p)とは、ともにP/2となり、フィルタ6aの内部と外部とには差圧は発生しない。
【0035】
ここで、第2圧力調整弁14aのみを絞ると第2ガス管16a内の気体の流量が減少し、第1ガス管15a内の気体の流量が増加する。すなわち、第2ガス管16a内の気体の圧力(p)が高くなり、第1ガス管15a内の気体の圧力(p)が低くなる。この第2ガス管16a内の気体の圧力(p)と第1ガス管15a内の気体の圧力(p)との

P)により、フィルタ6aを通過する粒径の範囲のシラスバルーン10を静電気による静電吸着に打ち勝たせて通過させることができる。
【0036】
このように、ハウジング3aの第1圧力調整弁13a及び第2圧力調整弁14aにより

の粒径が略50μmを境界にして分級することができる。また、ハウジング3bの第1圧力調整弁13b及び第2圧力調整弁14bにより、フィルタ6bの内部と外部とに差圧(

級することができる。
【0037】
(シラスバルーンの精密分級方法)
図3に、シラスバルーン10の精密分級方法のフローチャートを示す。シラスバルーン10の精密分級方法は、図1を参照して下記のステップにより行われる。まず、シラスバルーン10をベッセル2に収納する(S1)。次に、ベッセル2内に加圧された気体を供給し、シラスバルーン10をフィルタ6aが内蔵されたハウジング3aに搬送する(S2)。そして、ハウジング3aのフィルタ6a内部に連通し、フィルタ6aを通過したシラスバルーン10が搬送される第1ガス管15a内の圧力と、ハウジング3aのフィルタ6a外部に連通し、フィルタ6aを通過しないシラスバルーン10が搬送される第2ガス管16a内の圧力と、をそれぞれ調整する(S3)。第2ガス管16aにより搬送されたシラスバルーン10を第1レシーバ12aに収容して分級する(S4)。ここで、シラスバルーン10の分級が終了したか否かが判断される(S5)。そして、シラスバルーン10の分級が終了した場合は、第1ガス管15aにより搬送されたシラスバルーン10を第2レシーバ12bに収容して分級が完了する(S6)。
【0038】
シラスバルーン10をさらに分級する場合は、第1ガス管15aにより搬送されるシラスバルーン10をハウジング3bに搬送させる(S6)。そして、S3に戻り、ハウジング3bのフィルタ6b内部に連通し、フィルタ6bを通過したシラスバルーン10が搬送される第1ガス管15b内の圧力と、ハウジング3bのフィルタ6b外部に連通し、フィルタ6bを通過しないシラスバルーン10が搬送される第2ガス管16b内の圧力とをそれぞれ調整する(S3)。第2ガス管16bにより搬送されたシラスバルーン10を第1レシーバ12a´に収容して分級する(S7)。また、第1ガス管15bにより搬送されたシラスバルーン10を第2レシーバ12bに収容して分級が完了する(S6)。このように、第1ガス管15aの第1圧力調整弁13a、及び第2ガス管16aの第2圧力調整弁14aによりフィルタ6aの内部と外部とに差圧を発生させてシラスバルーン10を分級する。
【0039】
これらのステップは、ハウジング3の数量に従って繰り返される。すなわち、それぞれ第1ガス管15と第2ガス管16とが連通され、メッシュ幅の異なるフィルタ6がそれぞれ内蔵されたn個のハウジング3が第1ガス管15を介して直列に連結され、シラスバルーン10は、各ハウジング3に設けられた第1圧力調整弁13及び第2圧力調整弁14により、n+1の粒径の範囲に分級されることになる。本実施形態では、ハウジング3aは略50mμのメッシュ幅を有するフィルタ6aであり、ハウジング3bは略5mμのメッシュ幅を有するフィルタ6bである。この2つのフィルタ6a,6bにより、シラスバルーン10は、3つの粒径の範囲に分級される。
【0040】
このように、本シラスバルーンの精密分級方法では、第1ガス管15aの第1圧力調整弁13a、及び第2ガス管16aの第2圧力調整弁14aによりフィルタ6aの内部と外部とに差圧を発生させてシラスバルーン10を分級する。
【0041】
また、本シラスバルーンの精密分級方法では、ベッセル2に収納されたシラスバルーン10は、サイフォン管9により撹拌されて粉体搬送ガス管8に搬送される。これにより、粉体であるシラスバルーン10をサイフィン管9によりベッセル2内で撹拌することができ、容易に粉体搬送ガス管8に搬送することができる。
【0042】
さらに、本シラスバルーンの精密分級方法では、第1ガス管15a,15bと第2ガス管16a,16bとは、それぞれ同径のガス管である。これにより、第1ガス管15a,15bと第2ガス管16a,16bとは、その断面積が同じになり、第1圧力調整弁14a,14b及び第2圧力調整弁15a,15bによる圧力調整を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 (シラスバルーンの)精密分級装置、2 ベッセル(粉体収納容器)、3a,3b ハウジング(粉体分級器)、4 加圧器、5 圧力弁、6a,6b フィルタ、7 クランプ、8 粉体搬送ガス管、9 サイフォン管、10 シラスバルーン、11 圧力計、12a,12a´ 第1レシーバ(第1の粉体収容器)、12b 第2レシーバ(第2の粉体収容器)、13a,13b 第1圧力調整弁、14a,14b 第2圧力調整弁、15a,15b 第1ガス管、16a,16b 第2ガス管、17 気体供給ガス管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々の粒径が混在している粉体のシラスバルーンを所定の粒径の範囲ごとに分級するシラスバルーンの精密分級装置において、
シラスバルーンを収納して搬送配管に搬送する粉体収納容器と、
粉体収納容器内に加圧された気体を供給する加圧器と、
内部にフィルタを内蔵し、搬送配管から搬送されたシラスバルーンを分級する粉体分級器と、
粉体分級器内のフィルタ内部に連通し、フィルタを通過したシラスバルーンを第1の粉体収容器に搬送する第1の配管と、
粉体分級器内のフィルタ外部に連通し、フィルタを通過しないシラスバルーンを第2の粉体収容器に搬送する第2の配管と、
第1の配管内の圧力を調整する第1の圧力調整弁と、
第2の配管内の圧力を調整する第2の圧力調整弁と、を備え、
第1の圧力調整弁及び第2の圧力調整弁により、フィルタの内部と外部とに差圧を発生させ、シラスバルーンを所定の粒径の範囲ごとに分級することを特徴とするシラスバルーンの精密分級装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシラスバルーンの精密分級装置であって、それぞれ第1の配管と第2の配管とが連通され、第1の配管を介して直列に連結されるn個の紛体分級器を備え、各紛体分級器にはメッシュ幅の異なるフィルタがそれぞれ内蔵され、シラスバルーンは、第1の圧力調整弁及び第2の圧力調整弁により、n+1の粒径の範囲に分級されることを特徴とするシラスバルーンの精密分級装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシラスバルーンの精密分級装置であって、粉体収納容器は、収納されたシラスバルーンをサイフォン管により撹拌して搬送配管に搬送することを特徴とするシラスバルーンの精密分級装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載のシラスバルーンの精密分級装置であって、第1の配管と第2の配管とは、それぞれ同径のガス管であることを特徴とするシラスバルーンの精密分級装置。
【請求項5】
種々の粒径が混在している粉体のシラスバルーンを所定の粒径の範囲ごとに分級するシラスバルーンの精密分級方法において、
シラスバルーンを粉体収納容器に収納するステップと、
粉体収納容器内に加圧された気体を供給し、シラスバルーンをフィルタが内蔵された紛体分級器に搬送するステップと、
紛体分級器のフィルタ内部に連通し、フィルタを通過したシラスバルーンが搬送される第1の配管内の圧力と、紛体分級器のフィルタ外部に連通し、フィルタを通過しないシラスバルーンが搬送される第2の配管内の圧力とをそれぞれ調整してシラスバルーンを分級するステップと、を備え、
第1の配管、及び第2の配管のそれぞれの圧力調整弁によりフィルタの内部と外部とに差圧を発生させてシラスバルーンを所定の粒径の範囲ごとに分級することを特徴とするシラスバルーンの精密分級方法。
【請求項6】
請求項5に記載のシラスバルーンの精密分級方法であって、それぞれ第1の配管と第2の配管とが連通され、メッシュ幅の異なるフィルタがそれぞれ内蔵されたn個の紛体分級器が第1の配管を介して直列に連結され、シラスバルーンは、各紛体分級器にそれぞれ設けられた第1の圧力調整弁及び第2の圧力調整弁により、n+1の粒径の範囲に分級されることを特徴とするシラスバルーンの精密分級方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のシラスバルーンの精密分級方法であって、粉体収納容器に収納されたシラスバルーンは、サイフォン管により撹拌されて搬送配管に搬送されることを特徴とするシラスバルーンの精密分級方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1に記載のシラスバルーンの精密分級方法であって、第1の配管と第2の配管とは、それぞれ同径のガス管であることを特徴とするシラスバルーンの精密分級方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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