説明

シリアルプリンタ

【課題】ガイドロッドを外すことなく記録ヘッドの組付けを可能にすること。
【解決手段】記録ヘッド構成体1の一部に、プリンタ本体上のメインガイド21を抱持す
る摺動自在な被ガイド片6と、サブガイド24上を摺動する摺接突起8を設ける一方、記
録ヘッド構成体1に嵌合する結合枠10の一部に、被ガイド片6と協同してメインガイド
21を挟持する抱持片12を設け、メインガイド21を取り外すことなく記録ヘッドをプ
リンタ本体に走行可能に取付け得るようにしたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリアルプリンタ用の記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
シリアルプリンタに用いるキャリッジは一般に、特開平11−192719号公報に見
られるように、一方をプラテンの桁方向に配設されたメインのガイドロットに、他方を、
フレームの一部を折り曲げて形成したサブのガイド部材に案内されて主走査方向に往復動
するように取付けられている。
【0003】
このため、この種のキャリッジを取り替える必要が生じた場合には、予めブリンタ本体
から取り外したメインのガイドロッドからキャリッジを取外し、そこに新たなキャリッジ
を挿通した上、再びこのガイドロッドをブリンタ本体に組付けなければならないといった
手間を要する不都合を有するばかりでなく、記録ヘッドとの間にガタを有しているような
場合には、正常な記録書き込みも期待し得なくなるといった不都合も生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ガイドロ
ッドの着脱を必要とすることなく組付けることができ、しかも精度のよい記録書き込みを
可能とする新たなシリアルプリンタ用の記録ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明はかかる課題を達成するためのシリアルプリンタ用の記録ヘッドとして
、主走査方向に走行する記録ヘッド構成体の一部に、プリンタ本体に形成した主走査方向
に延びる第1の案内部材を抱持して摺動する第1の被案内部と、第2の案内部材上を摺動
する第2の被案内部を設ける一方、記録ヘッド構成体と嵌合する部材の一部に、第1の被
案内部と協同して第1の案内部材を挟持して摺動する部分を設けるようにしたものである

【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施例を示す記録ヘッド構成体の分解斜視図である。
【図2】組付けた状態での同上記録ヘッド構成体を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
そこで以下に本発明の実施例について説明する。
図面は、インクジェットプリンタ用の記録ヘッドとして構成した本発明の一実施例を示
したものである。
【0008】
図において符号1で示した記録ヘッド構成体には、その下面に、インクジェット式の記
録へッド2を装着するための装着部3が設けられ、また、この直上部には、黒インク及び
イエロー、マゼンタ、シアンからなるカラーのインクを収容してなる図示しないインクカ
ートリッジを搭載する搭載部4が設けられ、さらに、これらの後部は、記録ヘッド構成体
1と結合する後述する結合枠10によって囲まれるように構成されている。
【0009】
この記録ヘッド構成体1の前端部両側には、記録書き込み部の直上部に立上げ形成した
主査方向に延びる第1の案内部材つまりメインのガイド21を前後から挟持する下向きコ
字状の第1の被案内部、つまり被ガイド片6が設けられており、また、この前端面中央に
は図示ないタイミングヘッドと結合する結合部が設けられている。
【0010】
この記録ヘッド構成体1には、またその後端部に前述した結合枠10と嵌合する嵌合片
7が水平に延出されていて、その先端部下面には、プリンタ本体10の後方に張設した主
走査方向の第2の案内部材、つまりサブガイド24の面と摺接して記録ヘッド構成体1を
水平に保持する摺接突起8、つまり第2の被案内部が突設されている。
【0011】
これに対して、図中符号10は記録ヘッド構成体1の後方に結合する結合枠で、この結
合枠10の両側には、記録ヘッド構成体1の両側を抱えるようにして一体的に接合し合う
一対の腕片11、11が水平に突出し、さらにこの腕片11の先端には、結合した状態で
メインガイド21下半の断面コ字形凹部22内に挿入して、被ガイド片6との間でメイン
ガイド21を上下から抱持する上向きの抱持片12が設けられている。
【0012】
なお図中符号5b、5c…は、記録ヘッド2に通じるインク通孔を示しており、また1
3は、記録ヘッド構成体1の両側に設けた係合突起9と係合する係合孔を示している。
【0013】
このように構成された実施例において、いまこのプリンタ本体に記録ヘッドを組付ける
には、はじめに、立上げ形成したメインのガイド21に被ガイド片6を跨がらせるように
して記録書き込み部の上方に記録ヘッド構成体1を載置し、ついでこの状態のもとで、底
面を嵌合片7に沿わせるように、かつ両側の腕片11を記録ヘッド構成体1の両側に沿わ
せるようにして結合枠10を記録ヘッドに構成体1の後方から水平に押込んでゆく。
【0014】
これにより、押込みの後端において腕片11の先端は、メインガイド21下半のコ字状
凹部22の中に入り込み、被ガイド片6、6との間でメインガイド21を上下から抱持し
て、記録ヘッド構成体1とメインガイド21とを結合一体とするから、記録ヘッド構成体
1は、前端をメインガイド21に、後端をサブガイド24に案内されて主走査方向への走
行が可能となる。
【0015】
したがって、最後に記録ヘッド構成体1と結合したタイミングベルトを図示しない駆動
モータにより牽引すれば、記録ヘッド構成体1はこれらガイド21、24に案内されつつ
主査方向へと正確な走行を始めることになる。
【0016】
なお、何らかの理由によって記録ヘッド構成体1をプリンタ本体から外す必要が生じた
場合には、結合孔13と結合突起9を外した上で結合枠10を後方にスライドさせること
により記録ヘッド構成体1をメインのガイド21から外すことができる。
【0017】
なお以上は、インクジェット式の記録ヘッドの例によって本発明を説明したものである
が、感熱形式を採る記録ヘッド1もしくはワイヤインパクト式の記録ヘッドにも本発明を
適用することができることは云うまでもない。
【0018】
以上述べたように本発明によれば、主査方向に走行する記録ヘッド構成体の一部に、プ
リンタ部材上の第1の案内部材を抱持しつつ摺動する第1の被案内部と、第2の案内部材
上を摺動する第2の被案内部を設ける一方、記録ヘッド構成体と嵌合する部材の一部に第
1の被案内部と協同して第1の案内部材を挟持する部分を設けたので、ガイドロッド等を
プリンタ本体から取外す手間を要することなく、しかもキャリッジ等を必要とすることな
く、記録ヘッド自体をガイドロッドを構成する第1、第2の案内部材上に組付けることを
可能として、この種の記録ヘッドの組付けを大巾に簡素化することができると同時に、そ
の走査精度を著しく向上させ、さらには構成部品を大巾に削減することができる。
【符号の説明】
【0019】
1…記録ヘッド構成体、6…被ガイド片、8…摺接突起、10…結合枠、11…腕片、
12…抱持片、21…メインガイド、24…サブガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に走行する記録ヘッド構成体の一部に、プリンタ本体に形成した主走査方向
に延びる第1の案内部材を抱持して摺動する第1の被案内部と、第2の案内部材上を摺動
する第2の被案内部を設ける一方、前記記録ヘッド構成体と嵌合する部材の一部に、前記
第1の被案内部と協同して前記第1の案内部材を挟持して摺動する部分を設けたことを特
徴とするシリアルプリンタ用の記録ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−255591(P2009−255591A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183149(P2009−183149)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【分割の表示】特願2001−160917(P2001−160917)の分割
【原出願日】平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】