説明

シリカゾルを含む組成物及びその製造方法及びこの組成物を使用した自己潤滑性亜鉛めっき金属材料

【課題】自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を得るための、自己潤滑性と耐腐食性に優れ、且つ表面粗度が大きい低価格の溶融亜鉛めっき板をも基材として使用することができる自己潤滑剤組成物を提供する。
【解決手段】三価クロム化合物、シリカゾル、有機カルボン酸及び水を含みpH値が4〜7であるシリカゾルを含む組成物を自己潤滑剤組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリカゾルを含む組成物及びその製造方法及びこの組成物を使用した自己潤滑性亜鉛めっき金属材料に関する。
【背景技術】
【0002】
自己潤滑性亜鉛めっき鋼板は表面に薄い有機膜を持つ亜鉛めっき鋼板製品で、このような製品はこの有機膜が自己潤滑機能を持つため、亜鉛めっき鋼板が運送中及び保存中の発錆を防止するためのさび止め油を塗る必要がなくて、且つ包装工程を簡略化させて、生産と運送のコストを降下することができる。そこで自己潤滑性亜鉛めっき鋼板が業界によって広く関心が持たれている。
【0003】
日本の鋼鉄企業は前世紀の80年代中期から自己潤滑性亜鉛めっき鋼板の研究を始めて、90年代に自己潤滑性亜鉛めっき鋼板の商業化生産を実現して、主な会社が川崎、新日鉄などの鋼鉄会社で、その自己潤滑性亜鉛めっき板もそれぞれ特色を持っている。海外のその他鋼鉄企業もここ数年来に自己潤滑板の研究と生産を展開して、発展の勢いが速くて急激である。
【0004】
自己潤滑膜は厚さが薄い(通常1〜3ミクロン)ので、潤滑性と耐腐食性を保証するために、低表面粗度の電気亜鉛めっき板に塗らなければならない。だから、日本の鋼鉄企業、韓国の鋼鉄企業の生産する自己潤滑性鋼板が皆電気亜鉛めっき鋼板を基板とした。自己潤滑膜を形成する自己潤滑剤組成物は通常樹脂-シリカゾル複合物から形成される。溶融亜鉛めっき鋼板は、その表面粗度がわりに高いので、このような自己潤滑膜を溶融亜鉛めっき鋼板に用いる時、潤滑性と耐腐食性が共に優れる膜を獲得することができない。
【0005】
電気亜鉛めっき鋼板の生産コストが溶融亜鉛めっき鋼板よりはるかに高く、特に発展途上国の家電業界では、現在わりに依然として溶融亜鉛めっき鋼板を多く使用しており、そのため溶融亜鉛めっき鋼板を基材とする自己潤滑性溶融亜鉛めっき鋼板の開発を必要とする。現在まで溶融亜鉛めっき鋼板を基板とする自己潤滑性亜鉛めっき鋼板、並びにそのための自己潤滑剤についての報告はない。
【0006】
亜鉛めっき材料表面処理に用いる別の方法はクロム酸塩などのCr6+を含む処理剤で亜鉛めっき系鋼板に一層のクロム酸塩不動態膜を形成して、更に加熱乾燥を通じてカバーフィルムを形成する。六価クロムで不動態化処理を行うような方法がすでにとても発達していて、且つ形成した不動態膜は耐腐食性に優れて、また、その原料は入手し易く且つ価格が安いという利点を持つ。しかし六価クロムは高い毒性と発ガン性を持っており、環境と人体健康に対して深刻な危害性を持つ。各国の環境保護法規の整備に従って、鋼鉄表面処理技術の開発がますます人々に重視された。特に2007年7月1日に正式に発効したEU RoHS指令が家電の鋼板に鉛、六価クロムを持たない(つまり無公害)ように要求しており、この要求を満足するために、世界の大部分の鋼鉄企業が次から次へと無公害不動態化処理、無公害耐指紋性処理などの亜鉛めっき系鋼板表面耐汚染薄膜処理技術を採用した。
【0007】
このために、環境保護型水性塗料特に無機ケイ素化合物で生産する無機塗料、有機無機複合塗料、防火塗料、防腐塗料などがますます鋼鉄企業に歓迎される。環境保護型水性塗料は かび防止性能がよくて、塗膜の硬度が高くて、付着力が強くて、とても強い耐水性耐アルカリ性、よい耐高温性耐低温性、耐汚染性と保色性に優れることを有するなどの特徴を有していて、多種鋼鉄材料の装飾保護に適用することができる。その中に特にシリカゾルを含む無機有機複合塗料がよりよい。
【0008】
シリカゾルの基本成分はSiO2のコロイド溶液であり、コロイド粒子がボール型で、直径が6〜50ナノメートルで、粒子がわりに小さいため、浸透性に優れて、付着力がよくて、複合塗料と機能性塗料に適している。
【0009】
各種調製条件が相違により、シリカゾルの中のコロイド粒子の構造緻密程度、凝集状態及び電位の大きさが異なって、それによってシリカゾル化の程度も異なる。シリカゾル化の程度がシリカゾルの中の二酸化珪素の含有量を表示するパラメーターで、シリカゾル化の程度が高くなるに従って、二酸化珪素の含有量がより高くなって、逆も同じである。シリカゾルは、シリカゾル化の程度が異なると、その安定存在環境が異なる。一般に、pH値が8〜10である系はアルカリ性シリカゾルの安定存在に有利である。pH値が5〜6になると、アルカリ性シリカゾルが最も容易にゲル化して、一般に数時間放置すると深刻なゲル化が発生する。酸性シリカゾルは通常pH値が2を超えない酸性環境だけで安定存在することができる。酸性シリカゾルは酸性が強くすぎるため、亜鉛めっき鋼板の保護層として用いられる時、亜鉛めっき鋼板に対して腐食をもたらしやすくて、保護作用を果たさなくて、そこで亜鉛めっき鋼板の保護層の形成に適しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はシリカゾルを含む組成物及びその製造方法及びこの組成物を使用した自己潤滑鋼板を提供することを目的とする。
【0011】
本発明者らは、もし三価クロム化合物を含み且つpH値が5〜6である系にアルカリ性シリカゾルを安定存在させて、同時にシリカゾルと三価クロム化合物を含む自己潤滑剤組成物を製造することができれば、亜鉛めっき鋼板表面に三価クロム化合物を含む自己潤滑層を形成することに重大な促進作用を持っていると信ずる。一方、pH値が5〜6である系は亜鉛めっき鋼板表面との反応が発生して、めっきと処理剤から形成する塗膜の結合力を向上することができる。一方、シリカゾルを加えて膜を形成する場合、付着力の強くて、耐腐食性に優れるというシリカゾルのよい特徴を発揮することができる。且つ六価クロム化合物と比較すると、三価クロム化合物も亜鉛めっき金属材料層の表面に均一、緻密の自己潤滑性不動態層を形成することができて、且つ三価クロム化合物は人体に対して害毒がなくて、環境保護の要求に合う。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため、本発明は、三価クロム化合物、シリカゾル、有機カルボン酸及び水を含んで、且つpH値が4〜7であるシリカゾルを含む組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、六価クロム化合物を、水の存在下で、六価クロムを三価クロムに還元できる還元剤と、三価クロムイオンと錯化作用を発生できる錯化剤とに接触させて、この接触で得られた生成物をアルカリ性シリカゾル、水および有機カルボン酸と混合する上記シリカゾルを含む組成物の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、亜鉛めっき金属基材と、該基材上の自己潤滑膜とを有し、その自己潤滑膜が上記シリカゾルを含む組成物を硬化させて得られている自己潤滑亜鉛めっき金属材料を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明が提供するシリカゾルを含む組成物は以下の利点を持つ。(1)当該組成物は、溶融亜鉛めっき鋼板表面に自己潤滑性保護層を形成することに用いることができ、その結果、亜鉛めっき金属材料に対する品質要求度を下げることができる。すなわち、表面粗度の変動が大きい低価格の溶融亜鉛めっき鋼板を自己潤滑性亜鉛めっき金属材料の基材とすることができる。(2)当該組成物の使用により、人体と環境に対する害毒作用を持つ六価クロム化合物を用いることなく、付着力と耐腐食性に優れる自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を獲得することができる;(3)このシリカゾルを含む組成物は、安定性がよくて、pHが4〜7において室温で180日以上も沈殿物を生じない状態に保持することができて、アルカリ性シリカゾルの応用範囲を拡大する。
【0016】
本発明の提供する自己潤滑性亜鉛めっき金属材料は、自己潤滑性膜が本発明の提供するシリカゾルを含む組成物の硬化によって形成されたものであり、そのため自己潤滑性亜鉛めっき金属材料は潤滑性と耐腐食性にとても優れるだけでなく、人体と環境に対する害毒作用を持つ六価クロム化合物を含まなくて、環境保護要求に合致しており、且つ日本、韓国など鋼鉄企業の生産する自己潤滑性亜鉛めっき金属材料と比較すると、亜鉛めっき金属材料基材に対する品質要求を大きく下げることができて、表面粗度の変動が大きい低価格の溶融亜鉛めっき鋼板を基材として使用することができ、よって、更に強い市場競争力と高い経済効果を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明が提供するシリカゾルを含む組成物によって、三価クロム化合物、シリカゾル、水及び有機カルボン酸を含みさえすれば本発明の目的を実現することができるけれども、好ましくは、カルボキシル基で計算する場合、前記三価クロム化合物と有機カルボン酸のモル比は1:1ないし1:10である。二酸化珪素で計算する場合、前記シリカゾルと三価クロム化合物の重量比は1:0.1ないし1:10である。水の含有量は組成物の総重量の70〜95重量%である。より好ましくは、前記組成物の中に、前記三価クロム化合物と有機カルボン酸の重量比が1:1.5ないし1:5であり、前記シリカゾルと三価クロム化合物の重量比が1:0.5ないし1:5であり、水の含有量が組成物の総重量の75〜90重量%である。三価クロム化合物、有機カルボン酸、シリカゾル、水の含有量を上記割合範囲の内とすることにより、組成物のpH値を4〜7、好ましくは5〜6として、且つこの組成物が室温で50時間、好ましくは200時間以上放置する場合に沈殿物が発生しないようにさせることが可能となる。且つその他の条件が完全に同じ場合、前記三価クロム化合物と有機カルボン酸のモル比が1:1.5ないし1:5に近くするほど、このシリカゾルを含む組成物の安定存在時間がもっと長くて、且つこの組成物が亜鉛めっき鋼板に用いる時の自己潤滑効果がもっとよくなる。
【0018】
前記三価クロム化合物としては、各種の三価クロムの有機酸塩および/または三価クロムの無機酸塩を採用することができ、例えば三価クロムの酸化物や塩から選択される1種または2種以上でもよくて、前記三価クロム塩は三価クロムの有機塩および/または無機塩でもよい。特に、前記三価クロム化合物としては、硝酸クロム、硫酸クロム、塩化クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、クエン酸クロム、グルコン酸クロム、コハク酸クロム、マレイン酸、トリヒドロキシグルタル酸クロム及びそれらの水化物から選択される1種または2種以上とすることができる。
【0019】
前記有機カルボン酸としては、炭素数1〜10のジカルボン酸、炭素数1〜10のトリカルボン酸、並びに炭素数1〜10のアミノ酸から選択される1種または2種以上を採用することができる。特に、前記有機カルボン酸としては、蓚酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、グルコン酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アミノ酢酸、3-アミノプロパン酸及び2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される1種または2種以上とすることができる。総合的に原料の取得容易性と組成物の安定性効果を配慮すると、好ましくは、前記有機カルボン酸が蓚酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、グルコン酸、2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸と3-アミノプロパン酸から選択される1種または2種以上である。
【0020】
本発明者らは、前記有機カルボン酸を、クエン酸、マレイン酸、2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される少なくとも2種を含む混合物とし、且つ該混合物にそれぞれの成分の含有量を前記有機カルボン酸の総重量の20重量%以上にすると、その他の条件が完全に同じ場合に、この組成物の安定性が明らかに向上し、一般に5〜50時間を向上することを発見した。そのため、本発明において好ましいのは、前記有機カルボン酸は、クエン酸、マレイン酸、2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される少なくとも2種を含む混合物であり、且つそれぞれの含有量が前記有機カルボン酸の総重量の20重量%以上である。
【0021】
酸性シリカゾルは、pH値が一般に4を超えなくて、酸性度が大きすぎるため、酸性シリカゾルを採用して調製した組成物は、酸性が強すぎるので、亜鉛層を極端に腐食することにより亜鉛めっき板が容易に白くなって、外観品質を影響することを招く。そのため、本発明による組成物では、前記シリカゾルの原料としてpH値が9より低くないアルカリ性シリカゾルが用いられ、これにより、シリカゾルを含むpH値が4〜7、好ましくは5〜6の組成物を得ることが好ましい。より好ましくは、前記アルカリ性シリカゾルにおけるSiO2の含有量が20〜60重量%で、更に好ましくは二酸化珪素の含有量が20〜45重量%である。
【0022】
本発明者らは、前記三価クロム化合物がグルコン酸クロム、或いは、グルコン酸クロムと蓚酸クロムおよび/またはクエン酸クロムとの混合物であり、且つグルコン酸クロムの含有量が三価クロム化合物の総重量の50〜100重量%である場合に、さらに、前記有機カルボン酸がクエン酸、マレイン酸及び2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される少なくとも2種を含む混合物であり、且つそれぞれの含有量が前記有機カルボン酸の総重量の20重量%より低くない場合に、得られる自己潤滑性亜鉛めっき金属材料の耐指紋性がより優れることを発見した。そのため、本発明において好ましいのは、前記三価クロム化合物がグルコン酸クロム、或いは、グルコン酸クロムと蓚酸クロムおよび/またはクエン酸クロムとの混合物であり、且つグルコン酸クロムの含有量が三価クロム化合物の総重量の50〜100重量%である。また、前記有機カルボン酸がクエン酸、マレイン酸及び2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される少なくとも2種を含む混合物であり、且つそれぞれの含有量が前記有機カルボン酸の総重量の20重量%より低くないことが好ましい。
【0023】
当業者は、通常、三価クロムが六分子の水と形成した六水和イオンつまり[Cr(H2O)6]3+の形式で存在していて、亜鉛めっき鋼板の自己潤滑作用が向上するように、アルカリ性シリカゾルと協働しないこと、つまり三価クロムイオンとアルカリ性シリカゾルを同時に含む組成物によって自己潤滑性膜を形成する有用な技術がまだ出現していなかったことを知っているが、本発明が提供するシリカゾルを含む組成物は、有機カルボン酸を含むため、この有機カルボン酸が三価クロム化合物の錯体を形成することにより、三価クロム化合物が[Cr(H2O)6]3+形式で存在しない或いは殆ど存在しないようにする。それゆえに、当該組成物は、亜鉛めっき鋼板において三価クロムを含む保護層を形成する自己潤滑剤として有用であることがわかるであろう。
【0024】
上記成分を含む以外、本発明の提供するシリカゾルを含む組成物には、組成物の性質を影響しないその他の各種成分を含んでもよくて、例えば耐高温性添加剤、耐水添加剤、染料、顔料及び分散剤から選択される1種または2種以上を含ませることができる。シリカゾルを含む組成物の総量を基準として、その他の成分の含有量が20重量%を超えないこと、特に10重量%を超えないことが好ましい。前記耐高温性添加剤としては、例えばポリウレタンアクリレートがある。前記ポリウレタンアクリレートとしては既存の各種ポリウレタンアクリレートでもよくて、分子量がとても広い範囲で変動してもよくて、好ましい前記ポリウレタンアクリレートの重量平均分子量は700〜1500であり、より好ましいの800〜1200である。
【0025】
上記分子量の範囲の要求を満足するポリウレタンアクリレートが市販されている。例えば、天津市天驕化工有限公司の生産するポリウレタンアクリレート、江蘇三木集団の生産するポリウレタンアクリレートSM6201がある。それは、通常の方法で調製することができ、例えば予め橋かけ法(pre-crosslinking method)。予め橋かけ法はヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル酸エステル重合体の主鎖にポリウレタンをグラフトしてもよく、或いはヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル酸エステル単量体をエマルション重合によりポリウレタンの主鎖に重合してグラフトしてもよい。前記ヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル酸エステル重合体はヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合することによって得ることができる。ポリウレタンアクリレートの調製法は「ポリウレタンアクリレートの合成と性能研究」、陳一虹など、厦門大学学報(自然科学版)、第45巻第3期370-374ページ;「芳香族ポリエーテルポリウレタンアクリレートの合成工程の研究」、余宗萍、上海塗料、第43巻第01/02期28-29ページ;「ポリウレタンアクリレートマクロモノマーと共重合体の合成と特性」、方少明など、現代プラスチック加工応用、2005年第17巻第4期1〜3ページを参考にすることができる。
【0026】
上記組成物に対して赤外分析を行って、その中に-COOHと-Si-O-が存在するかどうかを判断することによって有機カルボン酸とシリカゾルを含むかどうかを判断することができ、連続分光光度法(徐文竜、電気めっきと環境保護、1992、12巻第3期、P29-31)で三価クロムの存在を鑑定することができる。その試験は、本発明の提供するシリカゾルを含む組成物が有機カルボン酸、三価クロム化合物及びシリカゾルを大量に含むということを証明する。
【0027】
本発明の提供するシリカゾルを含む組成物は、前記三価クロム化合物が有機カルボン酸によって錯化されることにより、[Cr(H2O)6]3+形式で存在しない或いは殆ど存在しなくなる限り、各種方法によって調製して得ることができる。例えば、本発明の1つの実施形態によれば、以下の工程を含む方法によってシリカゾルを含む組成物を調製して得ることができる。この方法は、アルカリ性シリカゾル、三価クロム化合物或いは三価クロム化合物を含む水溶液、水及び有機カルボン酸を均一に混合することを含む。
【0028】
アルカリ性シリカゾル、三価クロム化合物或いは三価クロム化合物を含む水溶液、水及び有機カルボン酸の混合温度は10〜50℃とすることができ、混合時間は10〜50分とすることができる。
【0029】
前記三価クロム化合物、有機カルボン酸とアルカリ性シリカゾルの種類と使用量については既に詳細に説明した。
【0030】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記シリカゾルを含む組成物の製造方法は、六価クロム化合物と、水の存在下で六価クロムを三価クロムに還元できる還元剤と、三価クロムイオンと錯化作用を発現する錯化剤とを接触させるステップと、得られた生成物、つまり上記三価クロム化合物を含む水溶液を、アルカリ性シリカゾル、水及び有機カルボン酸と混合するステップとを有することである。
【0031】
前記六価クロム化合物と還元剤との割合は化学量論に近い値でもよく、還元剤の種類によっては、六価クロム化合物と還元剤のモル比が異なるかもしれないが、好ましくは、前記六価クロム化合物と還元剤と錯化剤との総量のモル比が1:0.3ないし1:4であり、前記還元剤と錯化剤との重量比は1:0.1ないし1:10である。カルボキシル基で計算する場合、前記六価クロム化合物と有機カルボン酸とのモル比は1:1.5ないし1:5が好ましく、二酸化珪素で計算する場合、前記アルカリ性シリカゾルと六価クロム化合物との重量比は1:1ないし1:5が好ましい。前記六価クロム化合物が還元剤及び錯化剤と接触するとき、水の使用量は六価クロム化合物、還元剤及び錯化剤総重量の1〜5倍とすることでき、得られた生成物をアルカリ性シリカゾル及び有機カルボン酸と混合するとき、水の使用量は、得られるシリカゾルを含む組成物における水の含有量が70〜95重量%となるように、好ましくは75〜90重量%となるようにすることが好ましい。
【0032】
前記有機還元剤としては、ヒドロキシル基および/またはアルデヒド基を含む有機物を採用することができ、例えば各種の炭素数1〜10のアルコール、炭素数1〜10のアルデヒド、並びにヒドロキシル基および/またはアルデヒド基を含む炭素数1〜10の化合物から選択される1種または2種以上とすることができる。前記炭素数1〜10のアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、エチレングリコール、プロパントリオール及びペンタエリトリトールから選択される1種または2種以上とすねることができる。前記炭素数1〜10のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒドから選択される1種または2種以上とすることができる。前記ヒドロキシル基および/またはアルデヒド基を含む炭素数1〜10の化合物としては、蟻酸、蓚酸、酒石酸、マロン酸、クエン酸、トリヒドロキシグルタル酸及びマレイン酸から選択される1種または2種以上とすることができる。前記無機還元剤としては、アルカリ金属ヨウ化物、亜鉄酸塩及びアルカリ金属亜硫酸塩から選択される1種または2種以上とすることができる。前記亜鉄酸塩としては、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、燐酸第一鉄、酢酸第一鉄及び蓚酸第一鉄から選択される1種または2種以上とすることができる。前記アルカリ金属ヨウ化物としては、ヨウ化カリウムおよび/またはヨウ化ナトリウムとすることができ、前記アルカリ金属亜硫酸塩としては、亜硫酸カリウムおよび/または亜硫酸ナトリウムとすることができる。好ましい有機還元剤は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、蟻酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、トリヒドロキシグルタル酸及びマレイン酸から選択される1種または2種以上である。
【0033】
本発明によれば、前記錯化剤は、三価クロムイオンと共に錯イオンを形成できる各種化合物であり、例えばハロゲン化合物、炭素数1〜10の有機モノカルボン酸、炭素数1〜10のジカルボン酸、炭素数1〜10のトリカルボン酸及び炭素数1〜10のアミノ酸から選択される1種または2種以上とすることができる。特に、前記ハロゲン化合物としては、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、臭化カリウム及び臭化ナトリウムから選択される1種または2種以上とすることができる。前記炭素数1〜10のモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びアミノ酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、t-酪酸、吉草酸、ピバリン酸、カプロン酸、エナント酸、シクロヘキサンカルボン酸、酒石酸、グルコン酸、蓚酸、1,2-マロン酸、1,3-マロン酸、1,2-コハク酸、1,3-コハク酸、2,3-コハク酸、1,4-コハク酸、トリヒドロキシグルタル酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、1,2,3-スリカルボン酸、3-アミノプロパン酸、アミノ酢酸から選択される1種または2種以上とすることができる。好ましくは、前記錯化剤がフッ化カリウム、蓚酸、クエン酸、マレイン酸、グルコン酸、3-ヒドロキシグルタル酸、アミノ酢酸及び3-アミノプロパン酸から選択される1種または2種以上である。
【0034】
上記のように、好ましくは、前記還元剤がグルコン酸、或いはグルコン酸とトリヒドロキシグルタル酸および/またはメチルアルコールとの混合物であり、且つグルコン酸の含有量が還元剤の総重量の50〜100重量%である。前記錯化剤が、クエン酸、或いは、クエン酸とトリヒドロキシグルタル酸および/またはマレイン酸との混合物であり、且つクエン酸が錯化剤の総重量の60〜100重量%であることが好ましい。前記有機カルボン酸がクエン酸、マレイン酸及び2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される少なくとも2種を含む混合物であり、且つそれぞれの含有量が有機カルボン酸の総重量の20重量%より少なくないことである。
【0035】
ここに、特別に説明するのは、上記の有機カルボン酸、還元剤及び錯化剤に対する説明によって、ある物質、例えばクエン酸は、有機カルボン酸としてもよくて、錯化剤としてもよくて、還元剤としてもよいということを知ることができる。この場合、この物質の総使用量は、前記それぞれの物質の要求を満足する含有量の和とするようにするべきであり、例えば、クエン酸を還元剤としても錯化剤としても使用する場合、三価クロム化合物を調製するときの、クエン酸の添加量は還元剤と錯化剤の総量である。この場合、自己潤滑剤組成物における当該物質の総量が保証されるならば、本発明の課題は解決されるが、好ましくは、特に六価クロム化合物を出発原料とする場合、それぞれステップについて必要な使用量を段階別に添加することができ、このようにして得られた自己潤滑剤組成物は、固化によって、亜鉛めっき鋼板基材との付着力がよりよくなる。
【0036】
本発明では、前記六価クロム化合物はクロムイオンの提供できる各種化合物とすることができ、例えば無水クロム酸および/または六価クロム酸塩でもよい。前記六価クロム酸塩は、例えば重クロム酸カリウムおよび/または重クロム酸ナトリウムでもよい。その他の不純物陽イオンを取り入れないために、本発明では、好ましくは、前記六価クロム化合物は無水クロム酸或いは無水クロム酸と重クロム酸カリウムおよび/または重クロム酸ナトリウムの混合物である。より好ましくは、前記六価クロム化合物の中の前記無水クロム酸の含有量は50〜90重量%である。
【0037】
前記水は通常の工業用水道水、脱イオン水或いは蒸留水でもよい。シリカゾルを含む組成物の製造過程において、それぞれのステップに水の量はわりに大きい範囲で変えることができ、それぞれの水溶性反応物を十分に溶解させることができればよい。しかし、得られる組成物を亜鉛めっき金属基材に塗るために、得られる組成物中の水の好ましい含有量は70〜95重量%であり、より好ましいのは75〜90重量%であり、そのために水の添加或いは蒸発によって組成物の中の水の含有量を調整してもよい。
【0038】
前記六価クロム化合物は、雰囲気温度で還元剤と接触させることができ、例えば10〜50℃として、反応を十分に行わせることができる時間をとればよい。普通の情況で、六価クロム化合物が還元剤と接触する時間は0.5〜5時間であり、好ましくは30〜200分である。或いは得られた水溶液が気泡を発しなく、或いは薄緑紫色に変化すれば、当該反応が終了したことがわかる。十分に接触するために、前記接触は攪拌の条件下で行なうことが好ましい。
【0039】
前記接触で得られる産物をアルカリ性シリカゾルと有機カルボン酸と混合するときの温度は10〜50℃で、時間は10〜50分である。混合の均一性を加速するために、好ましくは、前記混合を攪拌の条件下で行なう。
【0040】
得られた産物の中に三価クロム化合物を含むかどうかは当業者が公知する方法によって判断することができる。例えば徐文竜「電気めっきと環境保護」、1992,12巻第3期、P29-31に公開する分光光度法によって産物の中に三価クロム化合物を含むかどうか、及び原料の中の六価クロム化合物の反応が完成したかどうか(例えば0.01g/Lより低い場合、つまり反応の完成を表示する)を判定することができる。
【0041】
本発明の組成物の基本性質を影響しない範囲で、さらに、その中にその他の成分、例えば耐熱性添加剤、耐水添加剤、染料、顔料及び分散剤から選択される1種または2種以上を加えてもよい。自己潤滑剤組成物の総量を基準として、その他の成分の含有量は20重量%を超えないこと、さらには10重量%を超えないことが好ましい。その他の成分については既に詳細に説明した。
【0042】
本発明の提供する亜鉛めっき金属材料によれば、前記亜鉛めっき金属基材には表面に亜鉛めっきした各種金属材料を採用することができ、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板基材(hot dipped galvanized steel substrate)や電気亜鉛めっき鋼板基材亜鉛のような亜鉛めっき鋼板基材でもよい。前記亜鉛めっき鋼板基材を溶融亜鉛めっき鋼板基材とする場合、本発明の利点をさらに体現することができる。そのために、本発明において好ましいのは、前記亜鉛めっき金属基材が亜鉛めっき鋼板基材であり、より好ましくは、前記亜鉛めっき鋼板基材が表面粗度が普通0.2より低くない例えば0.4〜1.5である溶融亜鉛めっき鋼板基材である。
【0043】
本発明において、三価クロム化合物及び自己潤滑剤組成物の調製と収容に用いる好ましい反応容器は、エナメル製反応容器或いはプラスチック製反応容器、例えばプラスチックドラムである。鋼質材料は得られるアルカリ性シリカゾル組成物と化学反応を起こすため、鋼質材料容器で調製すると、反応容器の腐食を招き、さらにアルカリ性シリカゾル組成物に不純物をもたらす。だから、ステンレス反応容器や普通炭素鋼反応容器のような鋼質反応容器は、できるだけ使用しないほうがよい。
【0044】
本発明の提供する自己潤滑性亜鉛めっき金属材料は、各種塗装方法例えば連続式塗装法または間歇式塗装法によって得ることができる。前記連続式塗装法は、通常、同じ線速度で互いに協働する2つのローラーを含むロールコーターを採用する。その一方のローラーは自己潤滑剤組成物の浸漬するピックアップローラーであり、他方のローラーは自己潤滑剤組成物を亜鉛めっき鋼板基材に塗布する塗布ローラーである。前記亜鉛めっき鋼板基材はベルトで送り、亜鉛めっき鋼板基材に塗布する自己潤滑剤の固化に用いる装置をベルトの上方に設けておく。固化方式は加熱固化でもよくて、紫外線固化でもよい。上記構造を含む或いは上記機能を有するロールコーターは市販のものを採用することができる。
【0045】
自己潤滑性膜の付着力がよりよい、自己潤滑性がよりよい自己潤滑性溶融亜鉛めっき金属材料を得るために、溶融亜鉛めっき板の表面の粗さによって、ロールコーターのプロセスパラメーターがわずかに異なる。例えば、非調質亜鉛めっき板(non skin-passed galvanized steel plate)について、ロールコーター装置スピード(即ち、コンベヤーベルトのスピード)に対するロールコーター装置表裏両側のスピードの割合、即ち相対速度が、好ましくは150%/70%ないし150%/90%であり、圧力が50〜60kgf/cmである。装置スピードがわりに高いときに、好ましくは、圧力が上記範囲の下限値に近い値である。装置スピードがわりに低いときに、好ましくは、圧力が上記範囲の上限値に近い値である。本発明にロールコーター装置裏側のスピードが当分野に普通使用するロールコーターパラメーターで、その意味がすでに当業者に公知されて、例えば、上記“150%/70%”については、ピックアップローラーの線速度が亜鉛めっき鋼板基材のコンベヤーベルトのスピードの150%(つまり1.5倍)で、塗布ローラーの線速度が亜鉛めっき鋼板基材のコンベヤーベルトのスピードの70%(つまり0.7倍)だと表示する。
【0046】
調質亜鉛めっき板について、ロールコーター装置スピード(ベルト速度)に対するロールコーター装置表裏両側のスピードの割合、即ち相対速度は、好ましくは140%/70%ないし100%/50%で、圧力が70〜100kgf/cmである。タイプ(つまり、DX51D、DX52D、DX53D、DX54D)によって、調質加工量、調質ローラーのランニングタイムが異なるするため、それによって亜鉛めっき板の表面粗度が異なり、ロールコーター装置表裏両側のスピードの設定、圧力の設定がそれぞれ異なり、粗度Raが1.2〜1.4の範囲に属する場合は、相対速度を上限に近い値に設定し、圧力を下限に近い値に設定する。粗度Raが0.8〜1.2の範囲に属する場合は、相対速度を中間範囲の値に設定し、圧力を中間範囲の値に設定する。粗度Raが0.45〜0.8の範囲に属する場合は、相対速度を下限に近い値に設定し、圧力を上限に近い値に設定する。
【0047】
溶融亜鉛めっき板における自己潤滑性膜の耐腐食性、耐指紋性、電気伝導性及び潤滑性能をより向上するために、固化温度は自己潤滑性薄膜の架橋固化を十分に行なうことができるように保証しなければならない。ロールコーターの相対速度及び圧力の違いによって、異なった感応温度、熱風固化温度及び異なった熱風冷却温度を設定する。その場合、調整は、主として相対速度に基いて行ない、圧力パラメーターによって微調整する。具体的な操作実例は次の通りである。
【0048】
コーターローラーの相対速度を150%/70%ないし150%/90%とする場合、好ましくは感応加熱を130〜140℃に設定し、熱風固化温度は160〜180℃、150℃、130℃、110℃でもよく、上風道冷却通風機の開口度を80%とし、下風道冷却通風機の開口度を70%とする。
【0049】
コーターローラーの相対速度を140%/70%ないし130%/70%とする場合、好ましくは感応加熱を110〜120℃に設定し、熱風固化温度は150〜160℃、130℃、110℃、110℃でもよく、上風道冷却通風機の開口度は60%とし、下風道冷却通風機の開口度を50%とする。
【0050】
コーターローラーの相対速度を120%/60%ないし100%/50%とする場合、好ましくは感応加熱を80〜100℃に設定し、熱風固化温度は150℃、110℃、110℃、110℃、上風道冷却通風機の開口度は50%、下風道冷却通風機の開口度は50%とする。
【0051】
ロールコーターのパラメーターを前記範囲の内に制御することによって、前記自己潤滑膜の付着量を200〜3000mg/mにすることができ、前記固化温度は50〜180℃であり、固化時間は10〜100秒間である。
【0052】
本発明の提供する自己潤滑性亜鉛めっき金属材料の製品性能合格率は100%であり、120時間の塩水噴霧試験による錆び面積は0%であり、同類製品の国際標準(72時間の塩水噴霧試験による錆び面積が5%以下)より格段に優れる。耐指紋性ΔEは0.78であり、ΔEを3以下とするという要求より低い。動摩擦係数は0.13であり、国際的に最も厳しいレベル0.34よりも低い。
【0053】
本発明を国際的な自己潤滑生産技術と比較する場合、生産効率が大いに向上し、コストが更に低いし、製品品質が更に安定する特徴を持っており、その技術レベルは国際同類製品の技術レベルよりもさらに高い。本発明により生産する自己潤滑性板は国内空白を埋めて、国内家電亜鉛めっき板が業界競争力を維持すること、経済効果を増加することに対して重要な意義を持って、同じく将来自己潤滑板の輸出に対して頑丈な技術の基礎を提供した。
【0054】
以下の実施例が本発明に対してさらに説明を行う。
【0055】
実施例1
シリカゾルを含む組成物の調製:20℃で、3000Lのエナメル製反応容器に脱イオン水300kgを加え、それからクエン酸クロム10kgを加え、反応容器の撹拌器を始動させて攪拌を行ってクエン酸クロムを完全に水に溶けさせ、それから攪拌条件の下でクエン酸3kgを加え、加速撹拌してクエン酸を急速に溶解させて、それから二酸化珪素含有量が40重量%のアルカリ性シリカゾルを12kg加え、5分攪拌してシリカゾルを含むpH値が6である組成物を得た。赤外線スペクトル分析でシリカゾルを含む組成物の中に大量の-COOH、Si-O-を含むことを確認し、分光光度法でその中に大量のCr3+を含むことを確認し、これにより、このシリカゾルを含む組成物の中に有機カルボン酸、シリカゾル及び三価クロム化合物を大量に含むことが分かった。このシリカゾルを含む組成物を室温で200日放置したところ、ゲル化や沈殿などの現象は生じなかった。
【0056】
上記調製したシリカゾルを含む組成物を、フランスSTEIN垂直ロールコーターを利用して、商品商標がDX52D+AZである溶融亜鉛めっき帯鋼の表面に、0.6mm以下の厚さで塗布した。塗布の条件は次の通りである。
【0057】
塗布ローラーの相対速度:100〜120%,設定値110%;
液体つけローラーのスピード:50〜70%,設定値60%;
上ローラーの圧力:80kg/cm
下ローラーの圧力:70kg/cm
感応器の設定温度:昼間で80〜100℃、夜間で100〜120℃;
熱風温度:150℃(第1〜第4ステージの各温度は順に150℃、110℃、110℃、110℃である);
トップ転向ローラー帯鋼温度:60℃以下;
帯鋼巻き上げ温度:45℃以下;
上風道開口度:50%;
下風道開口度:50%;
通風機開口度:冷却通風機は全て開口度50%で開;
【0058】
以上により乾燥塗膜層の付着量が500mg/cmである自己潤滑性溶融亜鉛めっき帯鋼を得た。
【0059】
対比例1
上記実施例1の方法に準じて自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を生産した。実施例1と異なる点は、シリカゾルを含む組成物の調製過程においてクエン酸を加えなかったことである。この対比に用いるシリカゾルを含む組成物は、自己潤滑性亜鉛めっき金属材料の生産に用いる場合、シリカゾルを含む組成物が2時間経てから深刻な層間剥離現象を出現するため、自己潤滑性亜鉛めっき金属材料の生産を引き続き行うことができない。上記自己潤滑剤の膜を形成した亜鉛めっき鋼板を切り取って、性能検査のための、対比に用いる自己潤滑性亜鉛めっき鋼板とした。
【0060】
実施例2
シリカゾルを含む組成物の調製:20℃で、3000Lのエナメル製反応容器に脱イオン水500kgを加え、それからグルコン酸クロム50kgを加え、反応容器の撹拌器を始動させて攪拌を行って、グルコン酸クロムを完全に水に溶けさせ、それから攪拌条件の下でマレイン酸20kgを加え、加速撹拌して、マレイン酸を急速に溶解させ、それから二酸化珪素含有量が30重量%のアルカリ性シリカゾルを25kg加え、3分攪拌してシリカゾルを含むpH値が4である組成物を得た。赤外線スペクトル分析でシリカゾルを含む組成物の中に大量の-COOH、Si-O-を含むことを確認し、分光光度法でその中に大量のCr3+を含むことを確認し、これにより、このシリカゾルを含む組成物の中に有機カルボン酸、シリカゾルと三価クロム化合物を大量に含むことが分かった。このシリカゾルを含む組成物を室温で300日放置したところ、ゲル化や沈殿などの現象は生じなかった。
【0061】
上記調製したシリカゾルを含む組成物を、実施例1と同じロールコーターを利用して、商品商標がDX52D+AZである溶融亜鉛めっき帯鋼の表面に、0.6〜1.2mmの厚さで塗布した。塗布の条件は次の通りである。
【0062】
塗布ローラーの相対速度:130〜140%、設定値140%;
液体つけローラーのスピード:80〜100%、設定値90%;
上ローラーの圧力:80kg/cm
下ローラーの圧力:70kg/cm
感応器の設定温度:昼間で110〜120℃、夜間で130〜140℃;
熱風温度:160℃(第1〜第4ステップの各温度は順に160℃、130℃、110℃、110℃である);
トップ転向ローラー帯鋼温度:65℃以下;
帯鋼巻き上げ温度:45℃以下;
上風道開口度:60%;
下風道開口度:50%;
通風機開口度:冷却通風機は全て開口度50%で開;
【0063】
以上により、乾燥塗膜層の付着量が1500mg/cmである自己潤滑性溶融亜鉛めっき帯鋼を得た。
【0064】
実施例3
シリカゾルを含む組成物の調製:3000Lのエナメル製反応容器に脱イオン水500kgを加え、それからグルコン酸クロム50kgを加え、反応容器の撹拌器を始動させて攪拌を行って、グルコン酸クロムを完全に水に溶けさせ、それから攪拌条件の下で蟻酸20kgを加え、加速撹拌して、蟻酸を急速に溶解させ、それから二酸化珪素含有量が20重量%のアルカリ性シリカゾルを20kg加え、均一に攪拌してシリカゾルを含む組成物を得た。赤外線スペクトル分析でシリカゾルを含む組成物の中に大量の-COOH、Si-O-を含むことを確認し、分光光度法でその中に大量のCr3+を含むことを確認し、これにより、このシリカゾルを含む組成物の中に有機カルボン酸、シリカゾルと三価クロム化合物を大量に含むことが分かった。このシリカゾルを含む組成物を室温で280日放置したところ、ゲル化や沈殿などの現象は生じなかった。
【0065】
上記調製したシリカゾルを含む組成物を、実施例1と同じロールコーターを利用して、
商品商標がDX53D+AZである溶融亜鉛めっき帯鋼の表面に、1.2mm以上の厚さで塗布した。塗布の条件は次の通りである。
【0066】
塗布ローラーの相対速度:140〜160%、設定値150%;
液体つけローラーのスピード:70〜90%、設定値90%;
上ローラーの圧力:70kg/cm
下ローラーの圧力:60kg/cm
感応器の設定温度:140〜150℃;
熱風温度:180℃(第1〜第4ステップの各温度は順に180℃、150℃、130℃、110℃である);
トップ転向ローラー帯鋼温度:65℃以下;
帯鋼巻き上げ温度:50℃以下;
上風道開口度:80%;
下風道開口度:70%;
通風機開口度:冷却通風機は全て開口度50%で開;
【0067】
以上により、乾燥塗膜層の付着量が1500mg/cmである自己潤滑性溶融亜鉛めっき帯鋼を得た。
【0068】
実施例4
実施例3の方法に準じて自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を調製した。実施例3の方法と異なる点は、シリカゾルを含む組成物の調製において、3000Lのエナメル製反応容器に脱イオン水500kgを加え、それからグルコン酸クロム30kgとクエン酸クロム20kgを加え、反応容器の撹拌器を始動させて攪拌を行って、グルコン酸クロムとクエン酸クロムを完全に水に溶けさせ、それから攪拌条件の下でマレイン酸10kgと2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸10kgを加え、加速撹拌して、マレイン酸と2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸を急速に溶解させ、それから二酸化珪素含有量が20重量%のアルカリ性シリカゾルを25kg加え、均一に攪拌してシリカゾルを含む組成物を得たことである。赤外線スペクトル分析でシリカゾルを含む組成物の中に大量の-COOH、Si-O-を含むことを確認し、分光光度法でその中に大量のCr3+を含むことを確認し、これにより、このシリカゾルを含む組成物の中に有機カルボン酸、シリカゾルと三価クロム化合物を大量に含むことが分かった。このシリカゾルを含む組成物を室温で320日放置したところ、ゲル化や沈殿などの現象は生じなかった。
【0069】
実施例5
実施例3の方法に準じて自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を調製した。実施例3の方法と異なる点は、シリカゾルを含む組成物の調製にある。すなわち、3000Lのエナメル製反応容器に脱イオン水300kgを加え、それから無水クロム酸50kgを加え、反応容器の撹拌器を始動させて攪拌を10分行って、無水クロム酸を溶解させ、無水クロム酸が完全に溶解した後に、2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸100kgを加え、加速撹拌して、2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸を急速に溶解させた。溶液に泡を発しなくなった状態をもって反応の終了を判定した。
【0070】
上記で得られた反応系の中に、25℃で脱イオン水500kgとマレイン酸120kgを加え、マレイン酸が完全に溶解した後に二酸化珪素含有量が30重量%のアルカリ性シリカゾルを125kg加え、均一に攪拌してシリカゾルを含むpH値が5である組成物を得た。赤外線スペクトル分析でシリカゾルを含む組成物の中に大量の-COOH、Si-O-を含むことを確認し、分光光度法でその中に大量のCr3+を含むことを確認し、これにより、このシリカゾルを含む組成物の中に有機カルボン酸、シリカゾルと三価クロム化合物を大量に含むことが分かった。このシリカゾルを含む組成物を室温で300日放置したところ、ゲル化や沈殿などの現象は生じなかった。
【0071】
実施例6
実施例3の方法に準じて自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を調製した。実施例3の方法と異なる点は、シリカゾルを含む組成物の調製にある。すなわち、3000Lのエナメル製反応容器に脱イオン水300kgを加え、それから二クロム酸ナトリウム50kgを加え、反応容器の撹拌器を始動させて攪拌を10分行って、二クロム酸ナトリウムを溶解させた。二クロム酸塩ナトリウムが完全に溶解した後に、グルコン酸30kg、トリヒドロキシグルタル酸20kg及びメチルアルコール10kgを加え、加速撹拌して、グルコン酸、トリヒドロキシグルタル酸及びメチルアルコールを急速に溶解させた。溶液に泡を発しなくなった状態をもって反応の終了を判定した。
【0072】
上記で得られた反応系の中に、25℃で脱イオン水500kgとクエン酸50kgを加え、クエン酸が完全に溶解した後に二酸化珪素含有量が30重量%のアルカリ性シリカゾルを50kg加え、均一に攪拌してシリカゾルを含むpH値が5である組成物を得た。赤外線スペクトル分析でシリカゾルを含む組成物の中に大量の-COOH、Si-O-を含むことを確認し、分光光度法でその中に大量のCr3+を含むことを確認し、これにより、このシリカゾルを含む組成物の中に有機カルボン酸、シリカゾルと三価クロム化合物を大量に含むことが分かった。このシリカゾルを含む組成物を室温で320日放置したところ、ゲル化や沈殿などの現象は生じなかった。
【0073】
実施例7
実施例3の方法に準じて自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を調製して、実施例3の方法と異なる点は、シリカゾルを含む組成物の調製にある。すなわち、攪拌条件の下で、20kgのメチルアルコールを20kgのマレイン酸の中に加え、均一に混合してメチルアルコール-マレイン酸混合液を準備した。
【0074】
2000Lのプラスチックドラムに脱イオン水100kgを加え、それから無水クロム酸20kgを加え、ポリテトラフルオロエチレン撹拌器で10分攪拌して、無水クロム酸が完全に溶解した後に、同様に攪拌条件の下で室温25℃の下で、上記メチルアルコール-マレイン酸混合液を加え、反応体系が薄緑紫色(メチルアルコール-マレイン酸混合液の添加から約2時間)になった後に脱イオン水500kgと2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸20kgを加え、2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸が溶解した後に二酸化珪素含有量が20重量%のアルカリ性シリカゾルを25kg加え、均一に攪拌してシリカゾルを含むpH値が5.5である組成物を得た。赤外線スペクトル分析でシリカゾルを含む組成物の中に大量の-COOH、Si-O-を含むことを確認し、分光光度法でその中に大量のCr3+を含むことを確認し、これにより、このシリカゾルを含む組成物の中に有機カルボン酸、シリカゾルと三価クロム化合物を大量に含むことが分かった。このシリカゾルを含む組成物を室温で300日放置したところ、ゲル化や沈殿などの現象は生じなかった。
【0075】
実施例8−14
実施例1−7で調製した自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を実施例8−14として、自己潤滑層の性能測定に供した。測定の結果を表1に示す。
【0076】
(1)耐腐食性の測定
中国国家標準GB/T10125-1997《人工雰囲気における腐食試験−塩水噴霧試験》に規定した方法と条件によって腐食試験を行ない、それからGB142335-90《基材に対して陽極を呈する被覆に対する腐食試験後の試験片の等級付け》によって腐食結果に対して評価を行なった。
【0077】
(2)付着力の測定
スクライバー(scriber)で被膜表面に1mm×1mmの正方形格子100個の切れ目を入れ、米国3M社の生産する型番600の透明テープを格子の上に平らに且つ少しの空隙(ボイド)も残さないで貼り、それから最も速いスピードで垂直掲起して、切り目のへりで被膜の剥離があるかどうかを観察した。被膜の剥離量が0〜5%の間である場合を5B、5〜10%の間である場合を4B、10〜20%の間である場合を3B、20〜30%の間である場合を2B、30〜50%の間である場合をB、50%以上である場合を0Bとする。
【0078】
(3)耐指紋性△E
色差計で自己潤滑性亜鉛めっき鋼板の上に白色のワセリンを塗布する前後の△L、△a、△b値を測定して、且つ△E=(△L+△a+△b1/2を計算して、それから△E値によって板の耐指紋性能を判断した。△E<3の場合は、耐指紋性に優れることを示す。
【0079】
(4)動摩擦係数
M-2000ブロック式摩擦摩損試験器で自己潤滑性亜鉛めっき鋼板表面の自己潤滑膜の動摩擦係数を測定する。動摩擦係数が0.4〜0.8範囲で場合は、被膜が良好な潤滑性を有することを示す。
【0080】
対比例2
対比例1で調製した自己潤滑性亜鉛めっき金属材料を対比例2として、自己潤滑層の性能測定に供した。
【0081】
すなわち、実施例8−14と同じ方法によって対比例1おける調製した自己潤滑性亜鉛めっき金属材料の耐腐食性、付着力、耐指紋性と動摩擦係数を測定した。測定の結果を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1の示した測定結果によれば、本発明の提供するシリカゾルを含む組成物を採用して調製した自己潤滑性亜鉛めっき金属材料は、著しく向上する耐指紋性、耐腐食性と付着力及び明らかに降下する動摩擦係数を有する。これにより、本発明の提供する亜鉛めっき金属材料は、よい耐腐食性とよい自己潤滑性を有し且つ被膜の付着力がとてもよい(4B以上)被膜を表面に有することがわかる。
【0084】
また、表1の結果によって、実施例11が得た自己潤滑性亜鉛めっき鋼板は、グルコン酸クロムとクエン酸クロムの混合物を三価クロム化合物として使用し、且つグルコン酸クロムの含有量を三価クロム化合物の総重量の50〜100重量%とし、マレイン酸と2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸との混合物を有機カルボン酸として採用し、且つそれぞれの含有量を前記有機カルボン酸の総重量の20重量%以上としているため、耐指紋性がより優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三価クロム化合物、シリカゾル、有機カルボン酸及び水を含み、pH値が4〜7であることを特徴とするシリカゾルを含む組成物。
【請求項2】
前記三価クロム化合物とカルボキシル基で計算した前記有機カルボン酸とのモル比が1:1ないし1:10であり、二酸化珪素で計算した前記シリカゾルと前記三価クロム化合物との重量比が1:0.1ないし1:10であり、水の含有量が当該組成物の総重量の70〜95重量%である請求項1に記載のシリカゾルを含む組成物。
【請求項3】
前記三価クロム化合物とカルボキシル基で計算した前記有機カルボン酸のモル比が1:1.5ないし1:5であり、二酸化珪素で計算した前記シリカゾルと前記三価クロム化合物との重量比が1:0.5ないし1:5であり、水の含有量が当該組成物の総重量の75〜90重量%である請求項2に記載のシリカゾルを含む組成物。
【請求項4】
前記三価クロム化合物がクロムの有機酸塩および/またはクロムの無機酸塩であり、前記有機カルボン酸が炭素数1〜10のジカルボン酸、炭素数1〜10のトリカルボン酸及び炭素数1〜10のアミノ酸から選択される1種または2種以上であり、前記シリカゾルの中のSiO2の含有量が20〜60重量%である請求項1〜3のいずれか一に記載のシリカゾルを含む組成物。
【請求項5】
前記三価クロム化合物が硝酸クロム、硫酸クロム、塩化クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、クエン酸クロム、グルコン酸クロム、コハク酸クロム、マレイン酸クロム、トリヒドロキシグルタル酸クロム及びそれらの水化物から選択される1種または2種以上であり、前記有機カルボン酸が蓚酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、グルコン酸、アミノ酢酸、3-アミノプロパン酸及び2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される1種または2種以上である請求項4に記載のシリカゾルを含む組成物。
【請求項6】
前記三価クロム化合物がグルコン酸クロム、或いは、グルコン酸クロムと蓚酸クロムおよび/またはクエン酸クロムとの混合物であり、グルコン酸クロムの含有量が前記三価クロム化合物の総重量の50〜100重量%であり、前記有機カルボン酸がクエン酸、マレイン酸、2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される少なくとも2種を含む混合物であり、且つ該混合物中のそれぞれ成分の含有量が前記有機カルボン酸の総重量の20重量%以上である請求項5に記載のシリカゾルを含む組成物。
【請求項7】
六価クロム化合物を、水の存在下で六価クロムを三価クロムに還元できる還元剤と、三価クロムイオンと錯化作用を発生できる錯化剤とに接触させる第1ステップと、得られた生成物をアルカリ性シリカゾル、水および有機カルボン酸と混合する第2ステップとを有することを特徴とする請求項1に記載のシリカゾルを含む組成物の製造方法。
【請求項8】
前記六価クロム化合物と、前記還元剤及び前記錯化剤の総量とのモル比が1:0.3ないし1:4であり、前記還元剤と前記錯化剤との重量比が1:0.1ないし1:10であり、前記六価クロム化合物とカルボキシル基で計算した有機カルボン酸とのモル比が1:1.5ないし1:5であり、二酸化珪素で計算した前記アルカリ性シリカゾルと前記六価クロム化合物との重量比が1:1ないし1:5であり、上記第1ステップにおける水の使用量を前記六価クロム化合物、還元剤及び錯化剤の総重量の1〜5倍とし、前記第2ステップにおける水の使用量を、該ステップによって得られるシリカゾルを含む組成物の水の含有量が70〜95重量%になるように調整する請求項7に記載のシリカゾルを含む組成物の製造方法。
【請求項9】
前記還元剤が有機還元剤および/または無機還元剤であり、前記有機還元剤がヒドロキシル基および/またはアルデヒド基を含む有機物であり、前記無機還元剤がアルカリ金属ヨウ化物、亜鉄酸塩及びアルカリ金属亜硫酸塩から選択される1種または2種以上であり、前記錯化剤がハロゲン化合物、炭素数1〜10のジカルボン酸、炭素数1〜10のトリカルボン酸及び炭素数1〜10のアミノ酸から選択される1種または2種以上であり、前記六価クロム化合物が重クロム酸塩及び無水クロム酸から選択される1種または2種以上であり、前記有機カルボン酸が蓚酸、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、グルコン酸、アミノ酢酸、3-アミノプロパン酸及び2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される1種または2種以上である請求項7または8に記載のシリカゾルを含む組成物の製造方法。
【請求項10】
前記還元剤がメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、蟻酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、トリヒドロキシグルタル酸及びマレイン酸から選択される1種または2種以上であり、前記錯化剤がフッ化カリウム、蓚酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸、グルコン酸、トリヒドロキシグルタル酸、アミノ酢酸及び3-アミノプロパン酸から選択される1種または2種以上であり、前記有機カルボン酸がクエン酸、マレイン酸及び2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される1種または2種以上であり、前記六価クロム化合物が二クロム酸ナトリウム、二クロム酸カリウム及び無水クロム酸から選択される1種または2種以上である請求項9に記載のシリカゾルを含む組成物の製造方法。
【請求項11】
前記還元剤がグルコン酸、或いは、グルコン酸とトリヒドロキシグルタル酸および/またはメチルアルコールとの混合物であり、且つグルコン酸の含有量が前記還元剤の総重量の50〜100重量%であり、前記錯化剤がクエン酸、或いは、クエン酸とトリヒドロキシグルタル酸および/またはマレイン酸との混合物であり、且つクエン酸が前記錯化剤の総重量の60〜100重量%であり、前記有機カルボン酸がクエン酸、マレイン酸及び2,3,4-トリヒドロキシグルタル酸から選択される少なくとも2種を含む混合物であり、且つ該混合物中のそれぞれ成分の含有量が前記有機カルボン酸の総重量の20重量%以上である請求項10に記載のシリカゾルを含む組成物の製造方法。
【請求項12】
前記第1ステップでは、前記接触を温度10〜50℃において30〜200分間行ない、前記第2ステップでは、前記混合を温度10〜50℃において10〜50分間行なう請求項7に記載のシリカゾルを含む組成物の製造方法。
【請求項13】
亜鉛めっき金属基材と該亜鉛めっき金属基材上の自己潤滑性膜とを有し、該自己潤滑性膜は、請求項1〜6のいずれか一に記載のシリカゾルを含む組成物の固化によって形成されていることを特徴とする自己潤滑性亜鉛めっき金属材料。
【請求項14】
前記自己潤滑性膜の付着量が200〜3000mg/mであり、前記固化は温度50〜180℃に10〜100秒間保持することによって行なわれている請求項13に記載の自己潤滑性亜鉛めっき金属材料。
【請求項15】
前記亜鉛めっき金属基材が溶融亜鉛めっき鋼板基材である請求項13に記載の自己潤滑性亜鉛めっき金属材料。

【公開番号】特開2009−299179(P2009−299179A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57055(P2009−57055)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(509069397)攀鋼集團研究院有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】PanGang Group Research Institute Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】High−tech District (Western) tannoy, Road on the 1st, Chengdu, Sichuan Province 611731, People’s Republic of China
【出願人】(509069412)
【氏名又は名称原語表記】Panzhihua Iron & Steel (Group) Corporation
【住所又は居所原語表記】Xiangyang Village, East District, Panzhihua, Sichuan Province 617067, People’s Republic of China
【出願人】(509069401)攀鋼集團攀枝花鋼鐵研究院有限公司 (3)
【氏名又は名称原語表記】PanGang Group Panzhihua Iron & Steel Research Institute Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Bingcaogang taoyuan Road 90, Panzhihua, Sichuan Province 617000, People’s Republic of China
【Fターム(参考)】