説明

シリカ粒体及びその製造方法

【課題】本発明は、深みのある新規な色彩を有し、かつ、混合、攪拌しても破壊されることのない強度を有するシリカ粒体を提供する。
【解決手段】本発明のシリカ粒体は、オルガノシランで処理された透明性または半透明性を有する表層部、少なくともアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する有色内層部、からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な色彩を有するシリカ粒体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、着色骨材は、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の分野で、美観性を付与する目的で広範に用いられている。
【0003】
一般に、着色骨材としては、硅砂、砕石、寒水石、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク等の基体粒子に着色を施したもの等が知られている。このような着色骨材では、着色成分の種類等を適宜選定することにより、種々の色に着色することができる。具体的な着色方法としては、染料、顔料等を含む樹脂液で基体粒子の表面を被覆する方法が挙げられる。また、ガラスビーズ、ガラスフレーク等の人工骨材では、有色イオン等の着色成分を骨材製造時に予め配合する方法等により着色を施すこともできる。しかしながら、このような方法では、いずれも単調な色彩のものしか得ることができず、色彩に深みを付与するには限界がある。
【0004】
これに対して、特許文献1には、シリカゲルを着色剤とガラスの融剤を溶解した水溶液に浸漬し、乾燥後焼成することで、内部が白色化し、表層部に着色ガラス層を有するセラミックス骨材が製造できることについて記載されている。このようなセラミックス骨材では、表層部の着色ガラス層と内部の白色があいまって、深みのある色彩を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】特公昭48−40442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の製造方法では、表面張力の高い水を含む水溶液を、直接シリカゲルに浸漬させるため、シリカゲルが破損する可能性が高い。また、水溶液浸漬時に破損しなかった場合においても、内部亀裂や表面クラックが生じる可能性が高く、さらに焼成時において破損する可能性が非常に高い。
また、該骨材は、独立気泡内での発泡膨張反応により生成されるものであるが、このような独立気泡内での発泡膨張反応を伴う場合、骨材の粒子径を均一にすることは困難であり、粒子径の小さな骨材も得られにくい。さらに、膨張した内部は、粗な状態で強度が不十分となるため、該骨材を攪拌・混練すると、骨材の破損を引き起こすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述のような問題点を解決するために、鋭意検討を行った結果、オルガノシランで処理された透明性または半透明性を有する表層部と、少なくともアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する有色内層部とからなるシリカ粒体が、深みのある新規な色彩を有し、かつ優れた強度を有することを見いだし、本発明を完成させるに到った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.オルガノシランで処理された、透明性または半透明性を有する表層部、
少なくともアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する有色内層部、
からなることを特徴とするシリカ粒体。
2.透明性または半透明性を有する表層部の厚さが、粒子半径の1/5以上であること特徴とする1.に記載のシリカ粒体。
3.アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属として、少なくともナトリウムを含むことを特徴とする1.または2.に記載のシリカ粒体。
4.(1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩を0.1〜30重量部溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、オルガノシランを10〜100重量部溶解させた溶媒に浸漬し、(2)の工程で含浸させた水溶液を該溶媒に一部置換させる工程、
(4)(3)の工程により得られたシリカ多孔体を、400℃〜1000℃で焼成し、その後、常温まで冷却する工程、
を含むことを特徴とする1.から3.のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
5.(3)の工程において、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、オルガノシランを10〜100重量部、さらに、周期表の3族から13族に属する元素から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体を0.1〜20重量部溶解させた溶媒を用いることを特徴とする4.に記載のシリカ粒体の製造方法。
6.周期表の3族から13族に属する元素として、少なくともアルミニウムを含むことを特徴とした5.に記載のシリカ粒体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシリカ粒体は、深みのある新規な色彩を有し、かつ、混合、攪拌しても破壊されることのない強度を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明のシリカ粒体は、オルガノシランで処理された、透明性または半透明性を有する表層部と、少なくともアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する有色内層部、とからなるものである。
【0012】
本発明では、シリカ粒体の表層部をオルガノシランで処理する。これにより、表層部の透明性を向上させ、シリカ粒体自体の強度が高まり、混合、攪拌しても破壊されることのないシリカ粒体を得ることができる。
表層部が透明性または半透明性を有し、内層部が少なくともアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する有色性を示すことにより、表層部と内層部とで屈折率、色相等の差が生じ、深みのある独特の色彩を表現することができる。
【0013】
シリカ粒体表層部における透明性は、内層部の色彩が認識できる程度であればよいが、具体的には、光透過率が、10%以上、さらには30%以上であることが好ましい。
さらに表層部は、透明性を損なわない程度で、着色させてもよい。表層部が着色性を有することで、より色彩豊かな深みのあるシリカ粒体を得ることができる。
【0014】
また、オルガノシランで処理する方法としては、特に限定されないが、シリカ粒体表面にオルガノシランを被覆させ熱処理する方法、該シリカ粒体の原料となるシリカ多孔体の表面及び/またはその近傍に、オルガノシランを浸透させ、焼成等で処理する方法等が挙げられる。本発明では、該シリカ粒体の原料となるシリカ多孔体の表面及び/またはその近傍に、オルガノシランを浸透させ、焼成する方法が好ましい。
【0015】
本発明における内層部は、少なくともアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有するものである。アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。本発明では、特に、ナトリウムを含むことが好ましい。
このようなアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有することにより、有色内層部を形成することができ、アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属の組み合わせによって、白、紫、青、緑、黄、橙、赤等様々な色彩を発現することができる。
また、シリカ粒体内層部は、不透明性であることが好ましく、光透過率が、10%未満、さらには5%以下であることが好ましい。
【0016】
シリカ粒体の平均粒子径は、特に限定されないが、通常5μm〜5mm(さらには50μm〜4.5mm、さらには500μm〜4mm)程度が好ましい。
シリカ粒体における表層部の厚さは、粒子半径の1/5以上(さらには2/5以上)であることが好ましい。このような厚さであることにより、表層部の透明性と、内層部の色彩があいまって、深みのある色彩を表現することができるとともに、十分な強度を維持することができる。
【0017】
また、表層部と内層部の比率は、表層部:内層部が厚さ比率で1:0.3〜1:4(さらには1:0.5〜1:3)であることが好ましい。
また、本発明では、上述した表層部と内層部を含んでいれば、本発明の効果を損なわない程度に、第3、第4・・の層がシリカ粒体内部に存在してもよい。
【0018】
本発明のシリカ粒体は、特に限定されないが、以下の方法により製造することが望ましい。このような方法によれば、本発明のシリカ粒体を簡便に製造することができる。
【0019】
(1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩を0.1〜30重量部、を溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、少なくともオルガノシランを10〜100重量部溶解させた溶媒に浸漬し、(2)の工程で含浸させた水溶液を該溶媒に一部置換させる工程、
(4)(3)の工程により得られたシリカ多孔体を、400℃〜1000℃で焼成し、その後、常温まで冷却する工程、を含むシリカ粒体の製造方法。
【0020】
(1)の工程として、シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる。
【0021】
シリカ多孔体は、SiOを主成分とする多孔性物質であれば特に限定されない。具体的には、シリカゲル、廃ガラス多孔質粒、ゼオライト等を使用することができる。本発明では、このうちシリカゲルが好適である。
また、シリカ多孔体は、Siを主成分とするものであるが、本発明の効果を損なわない程度に、その他の金属元素を含んでいてもよい。例えば、金属元素としては、Fe、Ti、Zr、Cu、Al、Zn、Ca、Mg、Na、K等が挙げられる。
シリカ多孔体は、多孔質なものであり、その比表面積が100m/g〜700m/g(さらには400m/g〜500m/g)であるものが好ましい。このような範囲であることによって、シリカ多孔体の細孔内部に、溶媒、溶液が浸漬しやすく、各種成分を均一に浸漬させることができる。
比表面積が小さすぎる場合は、溶媒、溶液が浸漬しにくく、目的とするシリカ粒体が得られ難い。比表面積が大きすぎる場合は、焼成後、強度が著しく低下する可能性がある。
シリカ多孔体の平均粒子径は、特に限定されないが、通常5μm〜5mm(さらには50μm〜4.5mm、さらには500μm〜4mm)程度が好ましい。
【0022】
本発明で用いるシリカ多孔体は、比表面積が大きく、吸水性、吸湿性に優れる物質である。このようなシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cmよりも大きい水等の溶媒を直接浸漬した場合、毛細管現象により破壊が起こる可能性が高い。また、乾燥ないし焼成時に、細孔内の溶媒が一気に蒸発、膨張により破壊される可能性が高い。
これに対し、本発明では、まず、シリカ多孔体の細孔内部に表面張力が70dyn/cm以下の溶媒を含浸させることによって、毛細管現象等による破壊を防ぐことができる。
【0023】
表面張力が70dyn/cm以下の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等の多価アルコール類、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。また、表面張力が70dyn/cm以下であれば、これらの溶媒と水との混合溶媒を用いてもよい。
本発明では特に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類等の溶媒を用いることが好ましい。さらには、エタノールを用いることが好ましい。このような溶媒を用いた場合、(1)の含浸工程と、(2)の置換工程とを効率よく行うことができ、(1)の含浸工程ではもちろんのこと、(2)の置換工程においても、シリカ多孔体の破壊を防ぎ、かつ、簡便に、水溶液を含浸させることができる。
【0024】
70dyn/cmより大きい溶媒を用いた場合、毛細管現象によりシリカ多孔体が破壊される可能性が高い。また、(1)工程を行わず、(2)の工程を行った場合も、毛細管現象によりシリカ多孔体が破壊される可能性が高い。
なお、表面張力は、温度23℃、相対湿度50%で、表面張力計(CBVP−A3型(協和界面科学株式会社製))を用いて測定した値である。
【0025】
(1)の工程における浸漬時間は、通常20℃〜80℃の環境下で、0.5時間〜2時間程度であればよい。
【0026】
次に(2)の工程では、(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩0.1〜30重量部を、溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる。
置換させるタイミングは、特に限定されないが、(1)の工程後、約0〜60分後(5分〜30分間)の後に行うことが望ましい。置換に要する時間は、10分〜50時間程度である。
【0027】
アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩は、乾燥、焼成により細孔内にアルカリ・アルカリ土類イオン及び塩を形成し、最終的にシリカ粒体内層部に有色性を付与する作用がある。
【0028】
アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のアルカリ土類金属の塩が挙げられる。
具体的には、例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化ストロンチウム、ヨウ化バリウム、等のハロゲン化物、
酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸ベリリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム等の酢酸塩、
硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸ベリリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、
硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム、硝酸ベリリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム等の硝酸塩、
炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の炭酸塩、
水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等の水酸化物等が挙げられる。本発明では、このうち少なくとも1種以上がナトリウムを含むナトリウム塩であることが好ましい。
【0029】
このようなアルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩を用いることにより、シリカ粒体内層部にアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有することができる。
アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩の混合比率は、水100重量部に対し、0.1重量部〜30重量部(さらには3重量部〜10重量部)であることが好ましい。0.1重量部より少ない場合は、内部でアルカリ・アルカリ土類イオン及び塩を形成しにくく、不透明性が得られ難い。30重量部より多い場合は、シリカ粒体全体が不透明性となる場合があり、表面ガラス層の透明性が得られにくく、深みのある色彩が発現されにくい。
【0030】
次に、(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、少なくともオルガノシラン10〜100重量部溶解させた溶媒に浸漬し、(2)の工程で含浸させた水溶液を該溶媒に一部置換させる。
置換させるタイミングは、特に限定されないが、(2)の工程後、約0〜2時間後(5〜30分間)の後に行うことが望ましい。
【0031】
(3)の工程では、(2)の工程でシリカ多孔体に含浸させた水溶液を、表面張力が70dyn/cm以下で、オルガノシランを含む溶媒で一部置換させる。
(3)の工程で用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等の多価アルコール類、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、n−ブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等のエステル類等が挙げられる。
本発明では特に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類等の溶媒を用いることが好ましい。さらには、アルコール類を用いることが好ましい。このような溶媒を用いた場合、(2)の含浸工程と、(3)の置換工程とを効率よく行うことができる。このような溶媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩の溶解度が水よりも低く、(3)の置換工程初期では、シリカ粒体内部に、これら金属塩が押し込められシリカ粒体内部のこれらの金属塩濃度は高くなる。また、表層部では、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩の溶解した水溶液とこの様な溶媒との置換が進行することで、シリカ粒体表層部ではアルカリ金属、アルカリ土類金属塩濃度は低くなる。一方、置換時間を長くした場合は、内部まで置換が生じ、透明となる。
【0032】
オルガノシランとしては、次の化学式1で示す化合物等が挙げられる。
(化学式1)
Si(OR4−m
(R、R:炭素数1〜18の有機基(R=R、またはR≠R)または水素、m:0〜3の整数)
このようなオルガノシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、フェニルメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシエポキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
特に、本発明では、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン等の官能基数1〜2のオルガノシランであるが好ましい。
【0033】
この様なシリカ多孔体をオルガノシランで処理することで、シリカ粒体の表面層の透明度及び、シリカ粒体の強度を向上させることができる。オルガノシランの添加量は、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対し、10重量部〜100重量部(さらには40重量部〜80重量部)であることが好ましい。このような範囲であることにより、オルガノシラン単独による加水分解・重縮合の反応速度が抑制され、均一にシリカ粒体表層部若しくは、その孔内に含浸・担持される。オルガノシランが10重量部より少ない場合は、シリカ多孔体表層部にオルガノシランが均一に含浸されるが、表層部の透明性、及び粒子強度に欠ける恐れがある。また、100重量部より多い場合は、オルガノシラン単独での加水分解反応が急激に進行する場合があり、それに伴い、オルガノシランの重縮合物がシリカ粒子最表面で生成し、ガラス多孔体内部及び、孔内に、オルガノシランが含浸され難くなる。
【0034】
(2)の工程で含浸させた水溶液を該溶媒に一部置換させる工程において、置換時間は1〜120分(さらには10〜60分)とすることが好ましい。置換時間が1分未満の場合は、表層部の厚さが、シリカ粒体半径の1/5以上となり難い。また置換時間が120分を超えると、全部置換されてしまう可能性がある。
【0035】
また、内層部及び表層部を着色する場合は、(2)及び/または(3)の工程(好ましくは(3)の工程)で用いる溶媒に、さらに周期表の3族から13族に属する元素から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体を含むことが好ましい。このような化合物を含むことによって、幅広い色彩を表現することが可能となる。
【0036】
例えば、(2)の工程で用いるアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属塩と、(3)の工程で用いる周期表の3族から13族に属する元素から選ばれる無機塩及び/または無機錯体を適宜組み合わせることにより、内層部及び/または表層部のうちいずれかを選択して着色することもでき、また透明性の度合いを制御することも可能である。
【0037】
具体的には、
(1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属の塩化物塩を0.1〜30重量部、を溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、オルガノシランを10〜100重量部、周期表の3族から13族に属する元素から選ばれる1種以上の元素を含む塩化物塩を0.1〜20重量部溶解させた溶媒に浸漬し、(2)の工程で含浸させた水溶液を該溶媒に一部置換させる工程、
(4)(3)の工程により得られたシリカ多孔体を、400℃〜1000℃で焼成し、その後、常温まで冷却する工程、
によりシリカ粒体の製造した場合、内層部は白色、表層部は(3)の工程で用いる元素に由来する色彩に着色することができる。
【0038】
また、
(1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属の硝酸塩を0.1〜30重量部、を溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、オルガノシランを10〜100重量部、周期表の3族から13族に属する元素から選ばれる1種以上の元素を含む硝酸塩を0.1〜20重量部溶解させた溶媒に浸漬し、(2)の工程で含浸させた水溶液を該溶媒に一部置換させる工程、
(4)(3)の工程により得られたシリカ多孔体を、400℃〜1000℃で焼成し、その後、常温まで冷却する工程、
によりシリカ粒体の製造した場合、内層部は(3)の工程で用いる元素に由来する色彩を有する半透明な着色層、表層部は無色透明とすることができる。
【0039】
周期表の3族から13族に属する元素としては、例えば、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、銀、金、セリウム、ネオジウム、サマリウム、ユウロピウム、テルビウム、エルビウム等が挙げられる。
【0040】
周期表の3族から13族に属する元素から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体として、例えば、フッ化アルミニウム、フッ化チタン、フッ化バナジウム、フッ化クロム、フッ化マンガン、フッ化鉄、フッ化コバルト、フッ化ニッケル、フッ化銅、フッ化亜鉛、フッ化ジルコニウム、フッ化モリブデン、フッ化銀、フッ化セリウム、フッ化ネオジウム、フッ化サマリウム、フッ化ユウロピウム、フッ化テルビウム、フッ化エルビウム等のフッ化物、
塩化アルミニウム、塩化チタン、塩化バナジウム、塩化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、塩化ジルコニウム、塩化モリブデン、塩化銀、塩化金、塩化セリウム、塩化ネオジウム、塩化サマリウム、塩化ユウロピウム、塩化テルビウム、塩化エルビウム等の塩化物、
臭化アルミニウム、臭化チタン、臭化バナジウム、臭化クロム、臭化マンガン、臭化鉄、臭化コバルト、臭化ニッケル、臭化銅、臭化亜鉛、臭化ジルコニウム、臭化モリブデン、臭化銀、臭化セリウム、臭化ネオジウム、臭化サマリウム、臭化ユウロピウム、臭化テルビウム、臭化エルビウム等の臭化物、
ヨウ化アルミニウム、ヨウ化チタン、ヨウ化バナジウム、ヨウ化クロム、ヨウ化マンガン、ヨウ化鉄、ヨウ化コバルト、ヨウ化ニッケル、ヨウ化銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化ジルコニウム、ヨウ化モリブデン、ヨウ化銀、ヨウ化セリウム、ヨウ化ネオジウム、ヨウ化サマリウム、ヨウ化ユウロピウム、ヨウ化テルビウムヨウ化エルビウム等のヨウ化物、
酢酸アルミニウム、酢酸クロム、酢酸マンガン、酢酸鉄、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、酢酸銀、酢酸セリウム、酢酸ネオジウム、酢酸サマリウム、酢酸ユウロピウム、酢酸サマリウム、酢酸エルビウム等の酢酸塩、
硫酸アルミニウム、硫酸チタン、硫酸バナジウム、硫酸クロム、硫酸マンガン、硫酸鉄、硫酸コバルト、硫酸銀、硫酸金、硫酸セリウム、硫酸ネオジウム、硫酸サマリウム、硫酸ユウロピウム、硫酸テルビウム、硫酸エルビウム等の硫酸塩、
硝酸アルミニウム、硝酸チタン、硝酸バナジウム、硝酸クロム、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸銀、硝酸金、硝酸セリウム、硝酸ネオジウム、硝酸サマリウム、硝酸ユウロピウム、硝酸テルビウム、硝酸エルビウム等の硝酸塩、
テトラクロロアルミニウム酸塩、テトラクロロマンガン酸塩、テトラクロロ鉄酸塩、、テトラクロロコバルト酸塩、テトラクロロニッケル酸塩、テトラクロロ銅酸塩、テトラクロロ亜鉛酸塩、テトラクロロ金酸塩等のテトラクロロ酸塩、
アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンチタニル、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトンセリウム等のアセチルアセトン錯塩等が挙げられる。これらは溶媒に溶解するものが好ましい。また、溶解し難い場合は、予め溶解度の高い溶媒に溶解させた後、(2)及び/または(3)の工程で用いる溶媒に添加してもよい。
本発明では、周期表の3族から13族に属する元素として、アルミニウムを含むものが好適に用いられる。特に、(3)の工程で用いる溶媒において、周期表の3族から13族に属する元素としてアルミニウムを含んでいるこにより、表層部にオルガノシランとアルミニウムを同時に置換することができ、焼成によりSi4+とAl3+のガラスネットワークが形成し、透明度、耐久性を向上させることができ、好ましい。
【0041】
周期表の3族から13族に属する元素から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体の混合比率は、(2)または(3)の溶媒100重量部に対し、0.1〜20(好ましくは0.1重量部〜10重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜5重量部)であることが好ましい。このような範囲であることにより、優れた強度を有し、色彩に富んだシリカ粒体を得ることができる。
【0042】
(4)の工程では、(3)の工程で得られたシリカ多孔体を、400℃〜1000℃(好ましくは500℃〜900℃、より好ましくは600℃〜850℃)で焼成し、その後常温まで冷却する。
【0043】
焼成方法は特に限定されないが、常温から5〜50℃/minの速度で昇温し、上記温度範囲内で1分〜120分間(好ましくは1分〜60分)焼成することが好ましい。
1分より短い場合は、表層部の透明性が低くなる場合がある。60分より長い場合は、内層部の透明性が高くなる場合があり、また、白色析出が表層部まで移動し、全体へ拡散されてしまうため、白色度が保持できない場合がある。
また、必要であれば、焼成前に(3)の工程で得られたシリカ多孔体を乾燥させることもできる。ここでの乾燥温度は50〜200℃、乾燥時間は2〜20時間程度であればよい。
【0044】
このようにして得られるシリカ粒体は、建築材料、土木材料、プラスチック材料、設備機器等の分野で使用することが可能であり、例えば塗料、舗装材、シート建材、プラスチック成形物等を構成する成分として用いることができる。また、本発明のシリカ粒体は、その独特の色彩、強度に加えて、耐火性、防火性等にも優れており、このような性能が要求される材料にも使用することができる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0046】
(実施例1)
シリカ多孔体(富士シリシア化学株式会社製 球状シリカゲルB形 on40、平均粒子径3mm)100gをエタノール(表面張力24dyn/cm(20℃))100重量部に20分間浸漬し、エタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化ナトリウム3.0重量部、塩化カルシウム2.0重量部、を溶解させた水溶液(A)中に温度30℃で30分間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。次いで、メタノール100重量部に対し、ジメチルジメトキシシラン60重量部溶解させた溶液(B)中に温度30℃で15分間浸漬し、細孔部の(A)溶液を該溶液(B)で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、シリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から800℃まで、10℃/minの割合で昇温し、800℃に達してから、10分間焼成した。その後電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、白色化しており、表層部に透明ガラス層を有する深みのある白色を発していた。
なお、得られたシリカ粒体をX線回折装置(RINT−1100、リガク社製)で測定したところ、内層部、表層部はアモルファス相を有していた。また、内層部のEDS元素分析により、ナトリウム、カルシウム、塩素元素を確認した。
また、シリカ粒体の強度を評価するために、得られたシリカ粒体100個を用意し、プレス機にて、0.2kN/cmの加重を加え、10秒間加圧した。その後、圧を取り除き、割れたシリカ粒体の数を求めることによって、その強度を評価した。その結果、割れたシリカ粒体は、17個のみであり、それ以外のものは初期の形状が保持されていた。
なお、シリカ多孔体(富士シリシア製 球状シリカゲルB形 on40)を同様の方法で評価したところ、50個のシリカ多孔体が割れており、初期の形状は保持されていなかった。
【0047】
(実施例2)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化ナトリウム3.0重量部、塩化カルシウム2.0重量部、を溶解させた水溶液(A)中に温度30℃で30分間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。次いで、メタノール100重量部に対し、ジメチルジメトキシシラン60重量部、塩化コバルト1重量部を溶解させた溶液(C)中に温度30℃で15分間浸漬し、細孔部の(A)溶液を該溶液(C)で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、シリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から800℃まで、10℃/minの割合で昇温し、800℃に達してから、10分間焼成した。その後電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、白色化しており、表層部に青色透明ガラス層を有する深みのある色を発していた。
また、実施例1と同様に、シリカ粒体の強度を評価結果、割れたシリカ粒体は、17個のみであり、それ以外のものは初期の形状が保持されていた。
【0048】
(実施例3)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化ナトリウム3.0重量部、塩化カルシウム2.0重量部、を溶解させた水溶液(A)中に温度30℃で30分間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。次いで、メタノール100重量部に対し、メチルジメトキシシラン60重量部、塩化コバルト1.0重量部を溶解させた溶液(C)中に温度30℃で15分間浸漬し、細孔部の(A)溶液を該溶液(C)で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、シリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から800℃まで、10℃/minの割合で昇温し、800℃に達してから、10分間焼成した。その後電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、白色化しており、表層部に青色の透明ガラス層を有する深みのある色を発していた。
また、実施例1と同様に、シリカ粒体の強度を評価結果、割れたシリカ粒体は、15個のみであり、それ以外のものは初期の形状が保持されていた。
【0049】
(実施例4)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化ナトリウム3.0重量部、塩化カルシウム2.0重量部、を溶解させた水溶液(A)中に温度30℃で30分間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。次いで、メタノール100重量部に対し、ジメチルジメトキシシラン60重量部、塩化コバルト1重量部、アルミニウムアセチルアセトナート2重量部を溶解させた溶液(C)中に温度30℃で15分間浸漬し、細孔部の(A)溶液を該溶液(C)で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、シリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から800℃まで、10℃/minの割合で昇温し、800℃に達してから、10分間焼成した。その後電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、白色化しており、表層部に青色透明ガラス層を有する深みのある色を発していた。
また、実施例1と同様に、シリカ粒体の強度を評価結果、割れたシリカ粒体は、13個のみであり、それ以外のものは初期の形状が保持されていた。
【0050】
(実施例5)
実施例1と同様にエタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、硝酸ナトリウム3.0重量部、硝酸カルシウム2.0重量部、を溶解させた水溶液(A)中に温度30℃で30分間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。次いで、メタノール100重量部に対し、ジメチルジメトキシシラン60重量部、塩化コバルト1重量部、硝酸アルミニウム2.0重量部を溶解させた溶液(B)中に温度30℃で15分間浸漬し、細孔部の(A)溶液を該溶液(B)で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、シリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から800℃まで、10℃/minの割合で昇温し、800℃に達してから、10分間焼成した。その後電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部が連通孔を有し、かつ、半透明な青色を有しており、表層部に透明ガラス層を有する深みのある色を発していた。
また、実施例1と同様に、シリカ粒体の強度を評価結果、割れたシリカ粒体は、13個のみであり、それ以外のものは初期の形状が保持されていた。
【0051】
(比較例1)
シリカ多孔体(富士シリシア化学株式会社製 球状シリカゲルB形 on40、平均粒子径3mm)100gをエタノール(表面張力24dyn/cm(20℃))100重量部に20分間浸漬し、エタノールをシリカ多孔体の細孔内部へ含浸させた。
次いで、水100重量部に対し、塩化ナトリウム3.0重量部、塩化カルシウム2.0重量部、を溶解させた水溶液(A)中に温度30℃で30分間浸漬し、細孔部のエタノールを該水溶液で置換した。次いで、メタノール100重量部に溶液(B)中に温度30℃で15分間浸漬し、細孔部の(A)溶液を該溶液(B)で置換した。その後、濾過してシリカ多孔体を取り出し、80℃で10時間乾燥させた。
次に、シリカ多孔体を電気炉にいれ、初期温度30℃から800℃まで、10℃/minの割合で昇温し、800℃に達してから、10分間焼成した。その後電気炉中で室温まで自然冷却し、シリカ粒体(平均粒子径2.8mm)を得た。
以上の方法により得られたシリカ粒体は、内層部と表層部の界面が形成されず、内部から表層部にかけて白色化したシリカ粒体を得た。
また、実施例1と同様に、シリカ粒体の強度を評価した結果、割れたシリカ粒体は、70個であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノシランで処理された、透明性または半透明性を有する表層部、
少なくともアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する有色内層部、
からなることを特徴とするシリカ粒体。
【請求項2】
透明性または半透明性を有する表層部の厚さが、粒子半径の1/5以上であること特徴とする請求項1に記載のシリカ粒体。
【請求項3】
アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属として、少なくともナトリウムを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカ粒体。
【請求項4】
(1)シリカ多孔体を表面張力が70dyn/cm以下の溶媒に浸漬し、該溶媒をシリカ多孔体の細孔内部に含浸させる工程、
(2)(1)の工程により得られたシリカ多孔体を、水100重量部に対して、アルカリ金属塩及び/またはアルカリ土類金属塩を0.1〜30重量部溶解させた水溶液に浸漬し、(1)の工程で含浸させた溶媒を該水溶液に置換させる工程、
(3)(2)の工程により得られたシリカ多孔体を、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、オルガノシランを10〜100重量部溶解させた溶媒に浸漬し、(2)の工程で含浸させた水溶液を該溶媒に一部置換させる工程、
(4)(3)の工程により得られたシリカ多孔体を、400℃〜1000℃で焼成し、その後、常温まで冷却する工程、
を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリカ粒体の製造方法。
【請求項5】
(3)の工程において、表面張力が70dyn/cm以下の溶媒100重量部に対して、オルガノシランを10〜100重量部、さらに、周期表の3族から13族に属する元素から選ばれる1種以上の元素を含む無機塩及び/または無機錯体を0.1〜20重量部溶解させた溶媒を用いることを特徴とする請求項4に記載のシリカ粒体の製造方法。
【請求項6】
周期表の3族から13族に属する元素として、少なくともアルミニウムを含むことを特徴とした請求項5に記載のシリカ粒体の製造方法。



【公開番号】特開2007−119331(P2007−119331A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95923(P2006−95923)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】