説明

シリコン焼結体の製造方法

【課題】簡易な手法で安価に原材料として使用可能なシリコン焼結体を製造する方法を提供する。
【解決手段】廃シリコン粉末をクリーン環境下で乾燥し、真空下で、乾燥されたシリコン粉末を1150℃〜1300℃の範囲でかつ面圧0.5MPa以上でホットプレス処理を行って固体のシリコン焼結体を製造する。又は、廃シリコン粉末を水素雰囲気下で加熱処理し、加熱処理されたシリコン粉末を1150℃〜1300℃の範囲でかつ面圧0.5MPa以上でホットプレス処理を行ってシリコン焼結体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルやICチップ等の半導体デバイスの原材料として使用される比較的高純度(4〜5N程度)なシリコン焼結体に関し、特にシリコンウェハ加工時に排出される廃シリコン粉末を処理して固体化し、原材料として再利用可能なシリコン焼結体を製造するための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの多くに、シリコン単結晶体が用いられている。シリコンが半導体デバイスに用いられる主な理由は、シリコンが地球上に豊富に存在すること、高純度原料が比較的安価に入手できること、ある種の方法で製造されたシリコンは比較的機械的強度もあり、かつ重金属汚染物を捕獲する能力があること等である。また、単結晶のシリコンを用いるのは、多結晶体の場合には、粒界における電子の挙動が異なって半導体デバイスが設計通り機能しないのに対して、単結晶の場合には、結晶内における電子の挙動が均一になるためである。
【0003】
シリコン処理工程の流れは図1に示すようになっており、原料であるSiOから成る珪石や珪砂を鉱山から掘削若しくは採掘し、その珪石や珪砂を、カーボン電極を使用したアーク炉で二酸化珪素を還元することにより金属シリコン(純度98〜99%程度)を得、更に純度を高めるために塩素と反応させて四塩化珪素とし(ガス化)、これを蒸留して精製して高純度シリコンを得る。高純度多結晶シリコン(ポリシリコン)の用途は大きく2つある。1つは単結晶シリコンの原料としての用途であり、これはシリコンウェハになり、ひいては純度11N程度の半導体基板(ICチップ)になり、他の1つは太陽光発電装置(太陽電池)に組み込むセルの原料としての用途であり、5〜6N程度の純度で利用可能である。
【0004】
更にトリクロロシランを用いて析出することによって多結晶シリコンを得、リンやボロンを添加してICチップ等の半導体デバイスに使用する純度11N以上の超高純度単結晶シリコンを得る。単結晶シリコンの製造方法は、FZ(Floating Zone)法などのゾーンメルト法とCZ(Czochralaski)法などの単結晶成長法とに大別されるが、ゾーンメルト法では融解帯に不純物が濃縮する工程を繰り返すことで高純度のシリコンを得、CZ法では偏析を利用して高純度化するため、原料である多結晶シリコンには非常に純度の高いものが要求される。
【0005】
シリコンを半導体デバイスに利用するには、基本的に結晶欠陥(転位)のない単結晶が必要なため、FZ法においてもCZ法においても単結晶を回転させながら一旦細くし、転位を外に追い出した段階で結晶の径を大きくすることにより、所定の大きさの結晶を得る。FZ法は大口径化に向かないため、産業用に使用されているシリコンウェハの大部分はCZ法によって製造されている。現在製品化されているシリコンウェハの径は300mmまでである。
【0006】
そして、ICチップ等の高純度シリコン(半導体グレードシリコン)を製造する場合には、多結晶シリコンに単結晶シリコンを得、所定の厚さに切断して単結晶ウェハを製作して、所定の集積加工を行ってICチップを製造する。比較的低純度の太陽電池セル(太陽電池グレードシリコン)を製造する場合には、析出された多結晶シリコンを溶融炉で溶融して所定形状のインゴットにした後、そのインゴットを工具で切断して太陽電池セルを製造し、多数の太陽電池セルを配設して太陽電池モデュールとしている。このように、従来高純度の単結晶シリコンはウェハとして供給され、このウェハから半導体デバイスを製造することが行われている。
【0007】
ここにおいて、太陽電池には半導体グレードシリコンほどの超高純度は必要なく、5〜6N程度の純度で済み、また、多結晶でも良い。このため、単結晶シリコンインゴットの端材などが原料にされてきたが、需要の増大に伴い、専用の太陽電池グレードシリコンの製造法として、水ガラス化法及びNEDO溶融精製法が開発されている。水ガラス化法は、珪石にソーダ灰を粉砕、混合し、水を加えて沈殿ろ過、濃縮し、水ガラス化する。そして、水ガラスを脱水縮合させてシリカゲルとし、表面不純物を取り除くことで5N程度のSiOとし、炭素を加えて専用炉で還元し、脱炭後に一方向凝固させる方法である。また、NEDO溶融精製法は、金属グレードシリコンを電子ビームやプラズマで溶融させて特定の不純物を除いた後、一方向凝固させる方法である。
【0008】
一方で、半導体デバイスの中には、ツェナーダイオードのように多結晶でも十分な特性を発揮できる用途がある。従って、この用途には、焼結体から成るシリコン多結晶体を用いることが想定されるが、従来シリコンの焼結体を製造する試みはほとんどなされていなかった。例えば不活性ガス又は中性ガス中で焼結を行う提案がなされているが、この方法ではほとんど密度が上らなかった。かかる高密度なシリコン焼結体を製造する方法として、特開2003−286023号公報(特許文献1)、特開2004−289065号公報(特許文献2)、特開2004−284929号公報(特許文献3)等が知られている。
【特許文献1】特開2003−286023号公報
【特許文献2】特開2004−289065号公報
【特許文献3】特開2004−284929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1〜3の技術はいずれも高密度のシリコン結晶体を製造するものであり、太陽電池グレードシリコンとしてはコストアップになり、不経済である問題がある。また、太陽電池グレードシリコンを製造する従来の水ガラス化法では、ソーダ灰を粉砕、混合したり、沈殿ろ過して濃縮する工程が必要であり、装置も大型化して複雑、煩雑である問題がある。また、従来のNEDO溶融精製法では、金属グレードシリコンを電子ビームやプラズマで溶融させて特定の不純物を除くため、装置が大型でコストアップになる問題がある。
【0010】
更に、従来超高純度単結晶シリコンから成るシリコンウェハの研磨、鏡面加工、切削や研削等で排出される廃シリコン粉末は利用価値がなく、廃棄されているのが現状であり、その再利用化が要請されている。
【0011】
現在半導体デバイスの製造工程では、100μm〜50μmまで研削する研削工程と円筒研削工程では、水(純水)と砥石のみの加工であるために廃シリコンに不純物が混入しにくい工程となっている。これら研削工程と円筒研削工程で排出される廃シリコン粉末を固体化すれば、シリコン純度が比較的高く(4N〜6N程度)、容易に半導体デバイスの原料にすることができるにも拘わらず、再利用しないで廃棄しているのが実情である。
【0012】
また、粉末を一度還元させてからHIP(熱間等方プレス)やホットプレスを行って固体の焼結体を作製する方法も提案されているが、対象が廃シリコン粉末ではなく、HIPやホットプレス一段階での焼結によって製造する方法は存在していない。
【0013】
本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、半導体デバイスの製造工程の研削工程等で排出される廃シリコン粉末から、ホットプレス等の簡易な手法で固体化して安価に原材料として使用可能なシリコン焼結体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は固体化されたシリコン焼結体の製造方法に関し、本発明の上記目的は、廃シリコン粉末をクリーン環境下で乾燥し、真空下で、前記乾燥されたシリコン粉末を1150℃〜1300℃の範囲でかつ面圧0.5MPa以上でホットプレス処理を行ってシリコン焼結体を製造することにより、或いは廃シリコン粉末を水素雰囲気下で加熱処理し、前記加熱処理されたシリコン粉末を1150℃〜1300℃の範囲でかつ面圧0.5MPa以上でホットプレス処理を行ってシリコン焼結体を製造することにより達成される。
【0015】
また、本発明の上記目的は、廃シリコン粉末をクリーン環境下で乾燥し、前記乾燥されたシリコン粉末を金属製カプセル内に充填して真空状態にした後、加熱すると共に、高圧ガスによる加圧によりHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することにより、或いは廃シリコン粉末を金属製カプセル内に充填し、前記金属製カプセル内を真空加熱脱気した後、前記金属製カプセル内を真空状態に保って加熱加圧のHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することにより、或いは廃シリコン粉末を水素雰囲気下で加熱処理し、前記加熱処理されたシリコン粉末を金属製カプセル内に充填して真空状態にし、真空下で加熱加圧のHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することにより、或いは廃シリコン粉末をクリーン環境下で乾燥し、前記乾燥されたシリコン粉末に対して加圧のCIP成型処理を行い、成型されたCIP成型シリコンを金属製カプセル内に充填し、真空状態にして加熱加圧のHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することにより、或いは廃シリコン粉末に水分を含有させ、前記水分を含有されたシリコン粉末に対して加圧のCIP成型処理を行い、成型されたCIP成型シリコンを金属製カプセル内に充填し、前記金属製カプセル内を真空加熱脱気した後、前記金属製カプセル内を真空状態に保持して加熱加圧のHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することにより達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシリコン焼結体の製造方法によれば、ホットプレスやHIP等の比較的簡易な手法若しくは工程で、太陽電池グレードシリコンとして使用可能な固体化されたシリコン焼結体の原料を安価に製造することができる。そして、固体化されたシリコン焼結体を、従来の半導体デバイス(特に太陽電池)製造工程の中途工程(例えばシリコン溶融工程)に混入(1〜100%)させることにより、半導体デバイス製造の効率化とコストダウンを図ることができ、半導体製造産業に大きく寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、単結晶シリコンから成るシリコンウェハからICチップ等の半導体デバイスを製造する工程において、水を用いて処理する研削工程や円筒研削工程で排出される混合物のない(若しくは少ない)廃シリコン粉末をホットプレス処理、若しくはHIP(熱間等方プレス)処理、若しくはCIP(冷間等方プレス)処理等で加工処理して、太陽電池セル等の半導体デバイスの原材料として使用可能な固体のシリコン焼結体を製造する。半導体デバイスの製造工程では、100μm〜50μmまで研削する研削工程と円筒研削工程では、水(純水)と砥石のみの加工であるために廃シリコンに不純物が混入しにくい工程となっている。これら研削工程と円筒研削工程で排出される廃シリコン粉末を固体化すれば、シリコン純度が高く(4N〜6N程度)、容易に半導体デバイスの原料にすることができる。半導体デバイス製造工程におけるスライス工程、ラップ工程や研磨工程では、砥粒やグリコール、油、有機物、アルカリ液等の不純物が混入してしまい、本発明ではかかる工程で排出されるシリコン粉末は利用しない。
【0018】
本発明によれば、従来半導体デバイス製造工程で廃棄されていた廃シリコン粉末から半導体デバイスの原材料を製造するため、半導体製造産業において本発明の利用価値は非常に大きい。
【0019】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
本発明の第1実施形態では、以下の方法で、廃シリコン粉末から個体のシリコン焼結体を製造する。
【0021】
先ずシリコンウェハ(単結晶シリコン又は多結晶シリコン)加工時に、シリコンウェハの研削工程と円筒研削工程で排出される廃シリコン粉末を収集し、その廃シリコン粉末を乾燥する。この廃シリコン粉末の乾燥は、風速が0.20〜0.25m/sに抑えられているクリーンベンチ内のクリーンな環境下で行って、充分に乾燥させる。そして、乾燥したシリコン粉末を図2に示すようなホットプレス装置10のキャビティ内に投入し、真空下で、1150℃〜1300℃の範囲で加熱すると共に、面圧が0.5MPa以上(上限値は215MPa程度)となるように加圧し、ホットプレス処理する。ホットプレス処理は図2に示すようなホットプレス装置10によって行い、下記表1に示す不純物濃度の廃シリコン粉末(密度は2.2g/cm)から、図3で示すような条件でシリコン焼結体を製造する。第1実施形態で製造されたシリコン焼結体は図3に示す特性(密度)を有しており、半導体デバイスの原材料として使用可能なものである。

【0022】
【表1】

ホットプレス装置10の外部は断面が円形若しくは矩形で、内部が空洞となっている金属製の容器11で構成され、容器11の下部には油圧ポンプにより昇降自在な円柱状の下パンチ12が配設され、容器11の上部には着脱自在に、かつ下パンチ12と対向するようにして円柱状の上パンチ13が配設されている。容器11の側面には、容器11内を真空にするための真空ポンプが連結されている。下パンチ12及び上パンチ13に嵌合された円筒状のダイス14が設けられ、上パンチ13及び下パンチ12とダイス14との空間でキャビティ15を形成し、ダイス14の外側の容器11内には加熱手段としてのヒータ16が設けられている。
【0023】
このような構成において、上パンチ13を取り外した状態でキャビティ15内に焼結の対象物である乾燥したシリコン粉末を投入し、上パンチ13を装着して密封した後、真空ポンプで容器11内(キャビティ15も含めて)を真空にする。かかる真空下で、ダイス14の外周に配置されたヒータ16によって1150℃〜1300℃に加熱すると共に、油圧ポンプで稼動される下パンチ12によって、キャビティ15内のシリコン粉末に0.5MPa以上(ただし、xxMPa以下)の1軸加圧を付与してホットプレス処理を行う。その結果、図3に示されるようなシリコン焼結体を製造することができる。
【0024】
なお、本例ではホットプレス装置10を用いてホットプレス処理を行う例を説明したが、真空下で、1150℃〜1300℃の加熱と0.5MPa以上の加圧を実施できれば良い。
【0025】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0026】
上記第1実施形態と同様に先ずシリコン加工時の廃シリコン粉末を収集し、その廃シリコン粉末を充分に乾燥する。シリコン粉末の乾燥は、風速が0.20〜0.25m/sに抑えられているクリーンベンチ内のクリーンな環境下で行って充分に乾燥させる。そして、乾燥したシリコン粉末を図4に示すようなHIP処理(熱間等方プレス)装置20の金属製カプセル21内に充填してHIP処理を行うことによって、半導体デバイスの原材料となる固体のシリコン焼結体を製造する。
【0027】
HIP処理装置20は断面円形又は矩形の金属製カプセル21で構成され、カプセル21の底部は下蓋22A、上部は上蓋22Bで密封され、上蓋22Bには、カプセル21内を真空にするための真空ポンプに連結された真空通路22B1と、高圧ガスをコンプレッサから導入するガス通路22B2とが設けられている。また、カプセル21内の上蓋22A上には炉床台23が配設され、内部空間を形成して更に断熱塔24及びヒータ25が設けられている。HIP処理すべきシリコン粉末26は炉床台23上の空間に集積されて充填される。また、カプセル21の外側には装置の過熱を防止するために水冷ジャケット27が配設されており、冷却水入口28Aから冷却水が導入され、循環して熱を回収した冷却水が出口28Bから排出されるようになっている。
【0028】
このような構成において、クリーン環境下で乾燥したシリコン粉末26をカプセル21内の炉床台23に充填し、真空ポンプでカプセル21内を真空状態にする。その後、ヒータ25で1150〜1300℃に加熱すると共に、不活性ガスの高圧ガスによる加圧(0.5MPa以上)によりHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造する。
【0029】
なお、本例ではHIP処理装置20を用いてHIP処理を行う例を説明したが、高温下で高圧ガスの圧力をかける処理を実施できれば良い。
【0030】
本発明の第3実施形態では、以下の方法でシリコン焼結体を製造する。
【0031】
第3実施形態では、先ずシリコンウェハ加工時に排出されるシリコン粉末を収集し、そのシリコン粉末を上述したようなHIP処理装置20の金属製カプセル21内の炉床台23上に投入して充填する。そして、金属製カプセル21内を真空ポンプで真空化すると共に、ヒータ25で1150〜1300℃に加熱して加熱脱気してシリコン粉末を乾燥させる。その後、金属製カプセル21内を真空状態に保ったままでHIP処理することによりシリコン焼結体を製造する。本実施形態で製造された
また、本発明の第4実施形態では、以下の方法で低密度シリコン焼結体を製造する。
【0032】
第4実施形態では、先ずシリコンウェハ加工時に排出されるシリコン粉末を水素雰囲気下で、1100〜1250℃で加熱処理する。加熱処理されたシリコン粉末を上述したようなホットプレス装置10のキャビティ15に投入し、ヒータ16で1150℃〜1300℃の範囲で加熱すると共に、油圧ポンプで面圧0.5MPa以上に加圧するホットプレス処理によりシリコン焼結体を製造する。
【0033】
更に本発明の第5実施形態では、以下の方法によってシリコン焼結体を製造する。
【0034】
先ずシリコンウェハ加工時に排出されるシリコン粉末を水素雰囲気下で、1100〜1250℃で加熱処理する。加熱処理されたシリコン粉末を図4で説明したようなHIP処理装置20の金属製カプセル21内に充填し、真空ポンプによってカプセル21内を真空状態にし、真空状態を保持しながらヒータ25で1150℃〜1300℃に加熱すると共に、0.5MPa以上に加圧してHIP処理によりシリコン焼結体を製造する。
【0035】
更にまた、本発明の第6実施形態では、以下の方法でシリコン焼結体を製造する。
【0036】
上記実施形態と同様に、シリコンウェハ加工時に排出されるシリコン粉末を収集し、クリーンな環境下で充分に乾燥する。乾燥したシリコン粉末を図5に示すようなCIP成型処理装置30でCIP処理して後、成型されたCIP成型シリコンを図4に示すようなHIP処理装置20の金属製カプセル21内に充填し、真空状態にしてHIP処理してシリコン焼結体を製造する。
【0037】
CIP成型処理装置30は図5に示すように、その外部は断面が円形若しくは矩形で、内部が空洞となっている硬化合成樹脂で成る容器31で構成され、容器31の下部には油圧ポンプにより昇降自在な円柱状の下パンチ32が配設され、容器31の上部には着脱自在に、かつ下パンチ32と対向するようにして円柱状の上パンチ33が配設されている。下パンチ32及び上パンチ33に嵌合された円筒状のダイス34が設けられ、上パンチ33及び下パンチ32とダイス34との空間でキャビティ35を形成している。
【0038】
このような構成において、上パンチ23を取り外した状態でキャビティ25内に焼結の対象物である乾燥したシリコン粉末を投入し、上パンチ23を装着した後、油圧ポンプで稼動される下パンチ22によって、キャビティ25内のシリコン粉末に0.5MPa以上の1軸加圧を付与してCIP成型処理を行う。こうして成型されたCIP成型シリコンをHIP処理装置20の金属製カプセル21内に充填し、真空ポンプでカプセル21内を真空状態にし、加熱加圧のHIP処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】シリコン処理工程の流れ例を示す図である。
【図2】ホットプレス装置の一例を示す断面構造図である。
【図3】シリコン粉末の焼結条件及び密度の例を示す特性図である。
【図4】HIP処理装置の一例を示す断面構造図である。
【図5】CIP成型処理装置の一例を示す断面構造図である。
【符号の説明】
【0040】
10 ホットトプレス装置
11、31 容器
12、32 下パンチ
13、33 上パンチ
14、34 ダイス
15、35 キャビティ
16、25 ヒータ
20 HIP処理装置
21 金属製カプセル
22A 下蓋
22B 上蓋
23 炉床台
24 断熱塔
26 シリコン粉末
27 水冷ジャケット
30 CIP成型処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃シリコン粉末をクリーン環境下で乾燥し、真空下で、前記乾燥されたシリコン粉末を1150℃〜1300℃の範囲でかつ面圧0.5MPa以上でホットプレス処理を行ってシリコン焼結体を製造することを特徴とするシリコン焼結体の製造方法。
【請求項2】
廃シリコン粉末を水素雰囲気下で加熱処理し、前記加熱処理されたシリコン粉末を1150℃〜1300℃の範囲でかつ面圧0.5MPa以上でホットプレス処理を行ってシリコン焼結体を製造することを特徴とするシリコン焼結体の製造方法。
【請求項3】
廃シリコン粉末をクリーン環境下で乾燥し、前記乾燥されたシリコン粉末を金属製カプセル内に充填して真空状態にした後、加熱すると共に、高圧ガスによる加圧によりHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することを特徴とするシリコン焼結体の製造方法。
【請求項4】
廃シリコン粉末を金属製カプセル内に充填し、前記金属製カプセル内を真空加熱脱気した後、前記金属製カプセル内を真空状態に保って加熱加圧のHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することを特徴とするシリコン焼結体の製造方法。
【請求項5】
廃シリコン粉末を水素雰囲気下で加熱処理し、前記加熱処理されたシリコン粉末を金属製カプセル内に充填して真空状態にし、真空下で加熱加圧のHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することを特徴とするシリコン焼結体の製造方法。
【請求項6】
廃シリコン粉末をクリーン環境下で乾燥し、前記乾燥されたシリコン粉末に対して加圧のCIP成型処理を行い、成型されたCIP成型シリコンを金属製カプセル内に充填し、真空状態にして加熱加圧のHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することを特徴とするシリコン焼結体の製造方法。
【請求項7】
廃シリコン粉末に水分を含有させ、前記水分を含有されたシリコン粉末に対して加圧のCIP成型処理を行い、成型されたCIP成型シリコンを金属製カプセル内に充填し、前記金属製カプセル内を真空加熱脱気した後、前記金属製カプセル内を真空状態に保持して加熱加圧のHIP処理を行ってシリコン焼結体を製造することを特徴とするシリコン焼結体の製造方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−280467(P2009−280467A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136650(P2008−136650)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(591160512)金属技研株式会社 (14)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】