説明

シリコン精製方法および精製シリコン

【課題】低コストでシリコンを高純度に精製することが可能なシリコンの精製方法およびその方法により得られた精製シリコンを提供する。
【解決手段】原料シリコンから精製シリコンを得るシリコン精製方法であって、原料シリコンを溶融させて得られた溶融シリコンを凝固させてシリコン塊を形成する工程と、シリコン塊を第1の酸溶液で洗浄する工程と、第1の酸溶液で洗浄されたシリコン塊を第1の塩基性溶液でさらに洗浄する工程とを含むシリコン精製方法とその方法により得られた精製シリコンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン精製方法および精製シリコンに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路などに用いる高純度シリコンは、珪石を炭素還元して得られる純度98%以上の金属シリコンを原料とするものであって、化学的な方法でトリクロロシラン(SiHCl3)を合成し、これを蒸留法で純化した後、還元することにより、いわゆる11N(イレブン−ナイン)程度の高純度シリコンを得ている(シーメンス法)。しかし、この高純度シリコンは、複雑な製造プラントおよび還元に要するエネルギ使用量が多くなるため、必然的に高価な素材となる。
【0003】
一方、太陽電池の製造に用いられるシリコンに要求される純度は約6N程度である。したがって、このような半導体集積回路用などの高純度シリコンの規格外品は、太陽電池用としては過剰な高品質となる。太陽電池の低コスト化のために、半導体集積回路の製作の各工程から得られる高純度シリコンの再生利用と並行して、2N〜3N程度の純度である金属シリコンからの直接的な冶金的精製が試みられている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、図2に示すフローチャートのシリコン精製方法が開示されている。特許文献1に記載のシリコン精製方法は以下の工程からなる。
A.金属シリコンを、真空下において溶解し、その含有するリンを気化脱リンした後、溶湯から不純物成分を除去するための一方向凝固を行い、鋳塊を得る(ステップS1bおよびステップS2b参照)。
B.上記鋳塊の不純物濃化部を切断、除去する。
C.切断除去後の残部を再溶解し、酸化性雰囲気下で溶湯からボロン及び炭素を酸化除去し、引き続きアルゴンガスあるいはアルゴンと水素の混合ガスを該溶湯に吹き込み、脱酸素する(ステップS3b参照)。
D.上記脱酸後の溶湯を、鋳型に鋳込み、一方向凝固を行い鋳塊を得る(ステップS4b参照)。
E.一方向凝固で得た鋳塊の不純物濃化部を切断、除去し、さらにはこれをスライスしてシリコン基板とする。
【0005】
また、近年、環境問題から石油などの代替としての自然エネルギの利用が注目されており、特に、太陽エネルギから電気エネルギへの変換を容易に行なうことができる太陽電池の生産量は増加の一途をたどっている。そのため、原料シリコンの需要も急激に伸びており、太陽電池用シリコンの不足も顕在化してきている。
【0006】
ICチップや太陽電池などに広く用いられている単結晶または多結晶のシリコンウエハの製造工程において、原料シリコンの約60%が切断、面取りまたは研磨などの工程において廃液中に廃棄されて処分されるため、最終製品となるシリコンウエハへの製造コスト面での負荷および廃棄処分に伴う環境への負荷が大きな問題となっている。
【0007】
そこで、従来から、上記の切断、面取りまたは研磨などの工程において廃液中に廃棄されるシリコン屑を回収し、その回収したシリコン屑を精製することによって精製シリコンとする方法が提案されてきている(たとえば、特許文献2参照)。
【0008】
以下、図3を参照して、特許文献2に記載の従来のシリコンの精製方法について説明する。
【0009】
まず、ステップS1cにおいて、単結晶または多結晶のシリコンをワイヤソーによりスライスする際に生じる廃スラリの濾過を行なうことによって粘土状の固形分(ケーキ)を分離する(固形分分離工程)。
【0010】
次に、ステップS2cにおいて、上記で分離された固形分(ケーキ)をアセトンなどの有機溶剤とともに洗浄槽に投入して攪拌することによって有機溶剤洗浄を行なう(有機溶剤洗浄工程)。
【0011】
次に、ステップS3cにおいて、有機洗浄後の固形分(ケーキ)を水洗してアセトンなどの有機溶剤を除去した後に、フッ化水素水溶液と硫酸との混合溶液を用いて酸洗浄が行なわれる(酸洗浄工程)。
【0012】
最後に、ステップS4cにおいて、酸洗浄後の固形分(ケーキ)を乾燥した後に粉砕して、シリコン粉末と、炭化ケイ素からなる砥粒との密度差を利用して、気流分級装置を用いた分級によってシリコン粉末を分離して、高純度のシリコン粉を回収している(気流分級工程)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3325900号公報
【特許文献2】特開2001−278612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のシリコンの精製方法においては、シリコンの溶融時に、一旦除去されたボロンやリン等の不純物が、坩堝や溶融装置の内壁に凝固し、これが再度溶融シリコンあるいは溶融シリコンが凝固して得られたシリコン塊に再付着するという問題があることも見出された。このような問題が発生すると、当然シリコンの精製純度が低下してしまうことになる。
【0015】
上記の特許文献2に記載のシリコンの精製方法においては、シリコンと炭化ケイ素との間で密度および粒径に大きな差がないため、気流分級工程によってシリコン粉末と炭化ケイ素からなる砥粒とを十分に分離することができないという問題もあった。
【0016】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、低コストでシリコンを高純度に精製することが可能なシリコンの精製方法およびその方法により得られた精製シリコンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、原料シリコンから精製シリコンを得るシリコン精製方法であって、原料シリコンを溶融させて得られた溶融シリコンを凝固させてシリコン塊を形成する工程と、シリコン塊を第1の酸溶液で洗浄する工程と、第1の酸溶液で洗浄されたシリコン塊を第1の塩基性溶液でさらに洗浄する工程とを含むシリコン精製方法である。
【0018】
ここで、本発明のシリコン精製方法においては、原料シリコンが、シリコンの機械加工を行なった際に発生するシリコン屑であることが好ましい。
【0019】
また、本発明のシリコン精製方法は、シリコンの機械加工を行なった際に発生する廃棄物からシリコン屑を回収する回収工程をさらに含んでいても良い。
【0020】
また、本発明のシリコン精製方法においては、第1の酸溶液がフッ化水素水溶液またはフッ化水素水溶液と硝酸との混合溶液であることが好ましい。ここで、フッ化水素水溶液のフッ化水素濃度は、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、混合溶液のフッ化水素濃度が0.5質量%以上10質量%以下であって硝酸濃度が0.1質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
【0021】
また、本発明のシリコン精製方法においては、第1の塩基性溶液が水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。ここで、水酸化ナトリウム水溶液の水酸化ナトリウム濃度は、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0022】
また、本発明のシリコン精製方法は、原料シリコンを溶融させる前に、原料シリコンを洗浄する溶融前洗浄工程をさらに含むことが好ましい。ここで、溶融前洗浄工程で使用する洗浄液は、第2の酸溶液(第2の酸溶液は上記第1の酸溶液と同種であってもよいし、異なっていても良い。)、有機溶剤および水からなる群から選択された少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0023】
また、本発明のシリコン精製方法は、第1の塩基性溶液で洗浄する工程の後にシリコン塊をを第3の酸溶液(第3の酸溶液は、上記の第1の酸溶液および第2の酸溶液と同種であってもよいし、異なっていても良い。)で洗浄する工程をさらに含むことが好ましい。ここで、第1の塩基性溶液で洗浄する工程の後、または、第3の酸溶液で洗浄する工程の後に、偏析によって金属を除去する工程をさらに含むことがより好ましい。また、第1の塩基性溶液で洗浄する工程の後、または、第3の酸溶液で洗浄する工程の後に、リンを除去する工程、ならびにシリコン塊を粉砕した後に第4の酸溶液および第2の塩基性溶液の少なくとも一方で洗浄する工程の少なくとも一方を含むことがさらに好ましい。
【0024】
また、本発明のシリコン精製方法は、原料シリコンを溶融させて得られた溶融シリコンを出湯手段を用いて出湯させる工程と、出湯させた溶融シリコンを凝固してシリコン塊を形成する工程とを含むことが好ましい。
【0025】
さらに、本発明は、上記のシリコン精製方法によって精製された精製シリコンであって、精製シリコン中のボロンの含有量が0.3ppm以下であり、リンの含有量が0.3ppm以下であり、鉄の含有量が1ppm以下であり、炭化ケイ素の含有量が10ppm以下であり、酸素の含有量が10ppm以下である精製シリコンである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、低コストでシリコンを高純度に精製することが可能なシリコンの精製方法およびその方法により得られた精製シリコンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のシリコン精製方法の一例のフローチャートである。
【図2】従来の特許文献1に記載のシリコン精製方法のフローチャートである。
【図3】従来の特許文献2に記載のシリコン精製方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0029】
図1に、本発明のシリコン精製方法の一例のフローチャートを示す。以下、図1を参照して、本発明のシリコン精製方法の一例について説明する。
【0030】
<シリコン屑の回収工程>
まず、ステップS1aにおいて、シリコンの機械加工を行なった際に発生するシリコン屑を回収する工程が行なわれる。
【0031】
ここで、シリコンの機械加工は、特に限定されないが、たとえば、シリコンの円筒研削、切断、研磨、スライス、切断および外周切削などの機械加工が挙げられる。また、シリコンの機械加工には、たとえば、クーラント(水または潤滑油またはこれらの混合物)、切断刃、ワイヤー、遊離砥粒および固定砥粒からなる群から選択された少なくとも1つを用いて行われてもよい。
【0032】
なお、遊離砥粒としては、たとえば粉末状の砥粒などを用いることができ、一般的に、水および/または潤滑油中に遊離した状態で使用される。
【0033】
また、固定砥粒としては、たとえば粉末状の砥粒などを用いることができ、一般的に、ワイヤに結合剤などで固定された状態で使用される。
【0034】
また、遊離砥粒の材質および固定砥粒の材質はそれぞれ特には限定されないが、たとえば、シリコンカーバイド、シリコンナイトライドまたはダイヤモンドからなる群から選択された少なくとも1種を含むものを用いることができる。
【0035】
また、シリコンの機械加工を行なった際に発生するシリコン屑は、シリコンの機械加工による廃棄物(廃液、集塵紛)から回収することができる。なお、シリコン屑は、シリコンの機械加工により発生するシリコンを含む粉末状の物質である。
【0036】
シリコンの機械加工による廃液には、シリコンの機械加工により異なるが、たとえば下記の(1)〜(5)からなる群から選択された少なくとも1種が含まれる。
(1)水分
(2)シリコンが削られることにより生じるシリコン粉
(3)シリコンの機械加工に使用された固定砥粒または遊離砥粒から生じる砥粒
(4)切断刃またはワイヤー等から生じる金属成分
(5)潤滑油のオイル成分
また、シリコンの機械加工による廃液からのシリコン屑の回収は、たとえば、(i)廃液をフィルターまたは遠心分離機を用いて固体分を捕捉し乾燥させることによりシリコン屑を取得する方法、(ii)廃液を回収し加熱または蒸留することによりシリコン屑を取得する方法および(iii)廃液に対して凝集剤を用いてシリコン屑を取得する方法のうち少なくとも1つを含む方法により行なうことができる。
【0037】
<溶融前洗浄工程>
次に、ステップS2aにおいて、上記のシリコン屑を回収する工程において回収したシリコン屑を酸溶液(第2の酸溶液)、有機溶剤および水からなる群から選択された少なくとも1つを含む洗浄液で洗浄する工程が行なわれる。これにより、シリコン屑からボロン、リン、金属成分およびオイル成分からなる群から選択された少なくとも1種の不純物などを除去することができる。
【0038】
ここで、シリコン屑の酸洗浄に用いられる酸溶液(第2の酸溶液)は、特には限定されないが、たとえば、塩酸、硫酸およびフッ化水素水溶液などからなる群から選択された少なくとも1種を用いて1回以上行なうことができる。
【0039】
有機溶剤は、特には限定されないが、たとえば、イソプロピルアルコールおよびエタノールからなる群から選択された少なくとも1種を含む有機溶剤を用いて1回以上行なうことができる。
【0040】
また、シリコン屑の酸洗浄の方法は特に限定されないが、たとえば、シリコン屑を上記の酸溶液(第2の酸溶液)中に浸漬させて攪拌する方法などが挙げられる。なお、溶融前洗浄工程は、原料シリコンを洗浄する工程であればよい。
【0041】
<溶融工程>
次に、ステップS3aにおいて、溶融前洗浄工程において洗浄された原料シリコンを溶融させる工程が行なわれる。
【0042】
ここで、原料シリコンの溶融方法は、特に限定されないが、たとえば、原料シリコンを耐熱性容器に収容した後に加熱装置を用いて耐熱性容器を加熱することにより溶融シリコンとする方法などが挙げられる。
【0043】
耐熱性容器としては、原料シリコンを溶融させることができるものであれば特に限定されず、たとえば、カーボン、ムライト、アルミナおよびマグネシアからなる群から選択された少なくとも1種からなる容器を用いることができる。
【0044】
また、加熱装置としては、原料シリコンを溶解させることができる温度まで加熱することができるものであれば特に限定されず、たとえば、抵抗加熱装置または誘導加熱装置などを用いることができる。
【0045】
また、本発明における原料シリコンの溶融工程は、不活性ガス(窒素やアルゴンガス)雰囲気中で行なうことが好ましい。また、雰囲気圧力は、常圧中であってもよく、減圧状態中であってもよく、さらには加圧状態中であってもよい。
【0046】
なお、上記のシリコン屑を溶融工程で溶融させた場合には、シリコン屑から酸化膜(SiOx)および砥粒からなる群から選択された少なくとも1種の不純物などを除去することができる。
【0047】
また、耐熱性容器に収容された溶融シリコンを出湯手段を用いることによって、耐熱性容器から出湯させる工程を含んでいてもよい。耐熱性容器から粘度の低い溶融シリコンを出湯させることによって、溶融シリコンに含まれる砥粒成分や酸化シリコン分を低減することが可能となる。ここで、出湯手段としては、たとえば、耐熱性容器を傾けることによって耐熱性容器からの溶融シリコンの出湯が可能な装置、耐熱性容器の上部に設けられた切れ込みなどの出湯口、または耐熱性容器の下部若しくは側部に設けられた開閉可能な出湯口などを用いることができる。
【0048】
<シリコン塊形成工程>
次に、ステップS4aにおいて、上記の溶融工程後の溶融シリコンを凝固させてシリコン塊を形成する工程が行なわれる。
【0049】
ここで、溶融シリコンを凝固させる方法は特に限定されず、たとえば、原料シリコンを溶融した耐熱性容器ごと冷却する方法または上記の溶融シリコンを傾動出湯などの方法により他の冷却用容器に収容して冷却用容器で冷却する方法などが挙げられる。冷却雰囲気としては、大気雰囲気または不活性ガス雰囲気などを挙げることができ、冷却雰囲気の圧力は大気圧程度またはそれから減圧したもののいずれであってもよい。
【0050】
なお、冷却用容器としては、たとえば、シリカ坩堝や砂を焼結した坩堝などの安価な使い捨てのものまたはカーボン鋳型や水冷銅鋳型などの再利用することができるもののいずれも用いることができる。
【0051】
<第1の酸溶液による洗浄工程>
次に、ステップS5aにおいて、上記のシリコン塊の形成工程で得られたシリコン塊を第1の酸溶液で洗浄する工程が行なわれる。
【0052】
本工程の主たる目的は、上記の溶融工程における原料シリコンの溶融時に再付着した再付着不純物を除去することである。ここで、上記再付着不純物としては、ボロンおよびボロン化合物(たとえばB23)、リンおよびリン化合物(たとえばP25)、シリコン酸化物およびシリコン炭化物を挙げることができる。
【0053】
また、本工程においては、上記の再付着不純物の除去と同時にシリコン塊中の金属(鉄、アルミなど)および金属化合物(鉄シリサイドなど)を除去することが可能であり、そのためにはシリコン塊を適宜(たとえば1cm以上10cm以下の径)に破砕しておくことが好ましい。
【0054】
ここで、第1の酸溶液による洗浄工程に用いる酸溶液の種類、温度および洗浄条件は、上記の再付着不純物を除去できるものであれば特に限定されないが、洗浄効果を向上させるためには第1の酸溶液としてはフッ化水素水溶液、またはフッ化水素水溶液と硝酸との混合溶液を用いることが好ましい。ここで、フッ化水素水溶液のフッ化水素濃度は0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。また、フッ化水素水溶液と硝酸との混合溶液のフッ化水素濃度は0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく硝酸濃度は0.1質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
【0055】
また、フッ化水素水溶液の温度は室温(20℃以上30℃以下)であることが好ましく、洗浄効果を上げるために、30℃以上50℃以下としても良い。
【0056】
また、洗浄方法としては、シリコン塊をフッ化水素水溶液中に浸漬させて攪拌する方法などが挙げられる。
【0057】
<第1の塩基性溶液による洗浄工程>
次に、ステップS6aにおいて、上記の第1の酸溶液による洗浄工程後のシリコン塊を第1の塩基性溶液で洗浄する工程が行なわれる。
【0058】
上記の第1の酸溶液による洗浄後のシリコン塊は、そのままの状態で第1の塩基性溶液による洗浄工程に用いることも可能であるが、第1の塩基性溶液による洗浄工程の前に、純水などによる洗浄工程(シリコン塊に残った第1の酸溶液を除去する)および/または乾燥工程(室温以上シリコンの融点未満の温度での加熱または減圧状態での保持など)を行なうことが好ましい。
【0059】
本工程の主たる目的も上記の第1の酸溶液による洗浄工程と同様に、シリコン塊に再付着した再付着不純物を除去することである。上記の第1の酸溶液による洗浄工程と第1の塩基性溶液による洗浄工程とを組み合わせることにより、特に大きな洗浄効果を得ることができる。
【0060】
ここで、第1の塩基性溶液による洗浄工程に用いられる塩基性溶液の種類、温度および洗浄条件は、上記の再付着不純物を除去できるものであれば特に限定されない。
【0061】
具体的には、第1の塩基性溶液としては、たとえば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液または炭酸ナトリウム水溶液などが使用可能であるが、洗浄効果を向上させるためには水酸化ナトリウム水溶液を用いることが最も望ましい。
【0062】
また、第1の塩基性溶液による洗浄工程における第1の塩基性溶液の温度は常温(20〜30℃)であることが望ましいが、洗浄効果を上げるために30〜50℃程度にしてもよい。
【0063】
また、第1の塩基性溶液中の溶質濃度は、1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、3量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0064】
また、洗浄方法としては、シリコン塊を水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬させて攪拌する方法などが挙げられる。
【0065】
なお、第1の酸溶液による洗浄工程および第1の塩基性溶液による洗浄工程をこの順序で行なうことによって、シリコン塊から酸化膜(SiOx)、砥粒およびボロン、リンからなる群から選択された少なくとも1種の不純物などを効率的に除去することができる。したがって、図1に示すように、第1の塩基性溶液による洗浄工程後のシリコン塊をそのまま精製シリコンとしてもよい。
【0066】
<第3の酸溶液による洗浄工程>
第1の塩基性溶液による洗浄工程(ステップS6a)の後には、ステップS7aに示すように、第1の塩基性溶液で洗浄されたシリコン塊を酸溶液(第3の酸溶液)で洗浄する工程を行なうことができる。
【0067】
ここで、第3の酸溶液による洗浄方法は特に限定されず、たとえば、シリコン塊を酸溶液(第3の酸溶液)に浸漬させて攪拌する方法などが挙げられる。
【0068】
第3の酸溶液としては、たとえば、塩酸、硫酸、フッ化水素酸水溶液などが使用可能である。
【0069】
また、第3の酸溶液による洗浄工程における第3の酸溶液の常温(20〜30℃)であることが望ましいが、洗浄効果を上げるために30〜50℃程度にしてもよい。
【0070】
なお、第1の塩基性溶液による洗浄工程の後に、第3の酸溶液による洗浄工程を行なうことによって、シリコン塊の表面の−OHで終端された部分を−Hに置き換え、酸素濃度の低減を図ることができる。
【0071】
<脱リン工程>
また、第1の塩基性溶液による洗浄工程(ステップS6a)または第3の酸溶液による洗浄工程(ステップS7a)の後には、ステップS8aに示すように、シリコン塊からリンを除去する工程(脱リン工程)を行なうこともできる。
【0072】
ここで、シリコン塊からリンを除去する方法は特に限定されないが、たとえば、シリコン塊を加熱またはシリコン塊に電子ビームを照射することによって溶解させた溶融シリコンを圧力が10-2Pa〜10-1Pa程度の容器中に設置することによって溶融シリコンからリンを除去する方法などが挙げられる。
【0073】
なお、リンが除去された後の溶融シリコンは再度凝固させられてシリコン塊とされるか、または溶融状態のままで後述する偏析工程(ステップS10a)に送られる。
【0074】
また、本工程によって、リンとともに酸素などの他の成分が除去されてもよいことは言うまでもない。
【0075】
<リーチング工程>
また、第1の塩基性溶液による洗浄工程(ステップS6a)または脱リン工程(ステップS8a)の後には、ステップS9aに示すように、シリコン塊を粉砕した後に酸溶液(第4の酸溶液)および塩基性溶液(第2の塩基性溶液)の少なくとも一方で洗浄する工程(リーチング工程)を行なうこともできる。これにより、主に鉄などの金属成分の不純物などを除去することができる。
【0076】
すなわち、鉄などの金属成分はシリコン塊の結晶粒界に金属微粒子あるいは金属化合物(特にシリサイド)として析出するため、シリコン塊を粉砕することによってこれらの金属成分を粉砕後の粉末の表面に露出させ、酸溶液(第4の酸溶液)および塩基性溶液(第2の塩基性溶液)の少なくとも一方で洗浄してエッチングにより除去することができる。
【0077】
ここで、シリコン塊を粉砕した後に酸溶液(第4の酸溶液)および塩基性溶液(第2の塩基性溶液)の少なくとも一方で洗浄する方法は特には限定されないが、たとえば、シリコン塊の粉砕後の粉末を酸溶液(第4の酸溶液)および塩基性溶液(第2の塩基性溶液)の少なくとも一方の溶液中に浸漬させて攪拌する方法などを用いることができる。
【0078】
なお、酸溶液(第4の酸溶液)としては、たとえば、塩酸、硫酸、硝酸およびフッ化水素水溶液などからなる群から選択された少なくとも1種の酸を用いることができる。
【0079】
また、塩基性溶液(第2の塩基性溶液)としては、たとえば、水酸化ナトリウム水溶液などを用いることができる。
【0080】
また、シリコン塊は、粒子径1mm以下の粉末が98%以上となる粒子径分布となるように粉砕されることが好ましい。ここで、粉末の粒子径分布は、JIS R1629−1997に準拠した方法で測定することができる。
【0081】
<偏析工程>
また、第1の塩基性溶液による洗浄工程(ステップS6a)、脱リン工程(ステップS7a)またはリーチング工程(ステップS9a)の後には、ステップS10aに示すように、偏析によって金属を除去する工程(偏析工程)が行なわれる。これにより、鉄などの金属成分を除去することができる。また、偏析工程においては、金属成分、砥粒および酸素からなる群から選択された少なくとも1種の不純物などを除去してもよい。
【0082】
なお、偏析によって金属成分を除去する方法は特に限定されないが、たとえば、従来から公知の一方向凝固または回転偏析などを用いることができる。
【0083】
<作用>
上記のシリコン精製方法によれば、たとえば、以下の(a)〜(e)に示す種類の不純物の含有量を低減した高純度の精製シリコンを得ることができる。
(a)ボロンの含有量(重量):0.3ppm以下
(b)リンの含有量(重量):0.3ppm以下
(c)鉄の含有量(重量):1ppm以下
(d)炭化ケイ素の含有量(重量):10ppm以下
(e)酸素の含有量(重量):10ppm以下
このように、本発明のシリコンの精製方法にアセトンなどの有機溶剤を用いて有機洗浄を行なう必要がないため、上記のような高純度の精製シリコンを低コストで得ることができる。
【0084】
また、本発明のシリコンの精製方法によって高純度の精製シリコンを得るためは、シリコン屑の回収工程、溶融前洗浄工程、溶融工程、シリコン塊の形成工程、第1の酸溶液による洗浄工程および第1の塩基性溶液による洗浄工程がこの順序で行なわれることが特に重要であると考えられる。なお、上記の各工程の前後には、他の工程が含まれていてもよいことは言うまでもない。他の工程の一例としては、溶融工程後かつシリコン塊の形成工程の前に行われる脱ボロン工程(酸化性ガスを用いたプラズマ精錬、スラグ法などの公知の方法による)を挙げることができる。
【0085】
また、上記において、脱リン工程、リーチング工程および偏析工程は、上記の第1の塩基性溶液による洗浄工程または第3の酸溶液による洗浄工程の後に行なわれるものであればその順序は入れ替わっていてもよい。
【実施例】
【0086】
<シリコン屑の回収工程>
まず、マルチワイヤソーおよびスラリを用いてシリコンの切断加工を行ない、シリコンの切断加工の際に発生したスラリの廃液を回収した。ここで、スラリのクーラントとしては水溶性オイル(大智化学産業(株)製、ルナクーラント)が用いられ、スラリの遊離砥粒としてはシナノ製のシリコンカーバイドGC#1000(平均粒子径約11μm)が用いられた。
【0087】
次に、上記のシリコンの切断加工の際に発生したスラリの廃液を一次遠心分離機に投入した後に遠心力が500Gとなるように一次遠心分離を行なうことによって、砥粒(遊離砥粒)が主成分の一次固形分と、クーラントおよびシリコン屑が主成分の一次液分とに分離した。
【0088】
次に、上記で得られた一次液分を二次遠心分離機に投入した後に遠心力が3500Gとなるように二次遠心分離を行なうことによって、クーラントが主成分の二次液分と、シリコン屑および砥粒が主成分の二次固形分とに分離した。
【0089】
次に、上記で得られた二次固形分を温度が200℃で圧力が76Torrの雰囲気内に設置して乾燥させた。そして、乾燥後の二次固形分中の不純物の含有量(重量)を調査した結果を表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
ここで、表1に示す乾燥後の二次固形分中のボロン、リンおよび鉄の含有量は、ボロンはICP質量分析計、その他の元素はICP発光分析(Inductively Coupled Plasma Spectrometry)により測定して得られた値である。
【0092】
また、表1に示す乾燥後の二次固形分中の炭化ケイ素(砥粒)の含有量は、二次固形分をフッ酸(フッ化水素水溶液)と硝酸との混合液および水酸化ナトリウム水溶液に溶解した後に、溶解後の残留物の重量を測定することにより得られた値である。
【0093】
また、表1に示す二次固形分中のクーラントの含有量は、固形物熱重量測定器を用いて二次固形分を室温から500℃まで加熱した後の重量変化を測定することにより得られた値である。
【0094】
また、表1に示す二次固形分中の酸素の含有量は、EDAX製のエネルギー分散型X線分析装置を用いて測定することにより得られた値である。
【0095】
<溶融前洗浄工程>
上記の乾燥後の二次固形分を硫酸濃度が1〜10質量%程度の硫酸(25℃)中に浸漬させて攪拌しながら1時間保持した。そして、二次固形分に付着した硫酸を水で洗い流した後に、硫酸による洗浄後の二次固形分をフッ化水素濃度が1〜10質量%程度のフッ酸中に浸漬させて攪拌しながら1時間保持した。そして、二次固形分に付着したフッ酸を水で洗い流した後に、上記と同様にして、二次固形分中のボロン、リン、鉄、炭化ケイ素、クーラントおよび酸素の含有量を測定した。その結果を表2に示す。
【0096】
【表2】

【0097】
表2に示すように、酸溶液(硫酸とフッ酸)を用いた溶融前洗浄工程によって、二次固形分からボロン、リン、鉄および酸素が除去されるとともに、クーラントがすべて除去されたことが確認された。
【0098】
<溶融工程およびシリコン塊の形成工程>
上記のようにフッ酸を水で洗い流した後に乾燥させた二次固形分をカーボン坩堝中に投入した後に誘導加熱装置によってカーボン坩堝を1800℃まで加熱することによって二次固形分を溶解して溶融シリコンを作製した。
【0099】
そして、上記で作製した溶融シリコンを収容したカーボン坩堝を傾けることによって、カーボン坩堝中の溶融シリコンをカーボン鋳型の冷却容器に出湯した。この冷却容器内の溶融シリコンを冷却することにより溶融シリコンを凝固させてシリコン塊を得た。
【0100】
このようにして得られたシリコン塊について、上記と同様にして、二次固形分中のボロン、リン、鉄、炭化ケイ素、クーラントおよび酸素の含有量を測定した。その結果を表3に示す。
【0101】
【表3】

【0102】
表3に示すように、上記の溶融工程およびシリコン塊の形成工程によって、砥粒(炭化ケイ素)および酸素が除去されたことが確認された。
【0103】
<フッ化水素水溶液および水酸化ナトリウム水溶液による洗浄工程>
上記のようにして形成されたシリコン塊をフッ化水素濃度が1質量%程度のフッ化水素水溶液(25℃)中に浸漬させて攪拌しながら1時間保持した。そして、シリコン塊に付着したフッ化水素水溶液を水で洗い流した。
【0104】
そして、上記のようにしてフッ化水素水溶液を水で洗い流した後のシリコン塊を水酸化ナトリウム濃度が3質量%〜5質量%程度の水酸化ナトリウム水溶液(25℃)中に浸漬させて攪拌しながら1時間保持した。その後、シリコン塊に付着した水酸化ナトリウム水溶液を水で洗い流した後に、上記と同様にして、シリコン塊中のボロン、リン、鉄、炭化ケイ素、クーラントおよび酸素の含有量を測定した。その結果を表4に示す。
【0105】
【表4】

【0106】
表4に示すように、上記のフッ化水素水溶液による洗浄工程および水酸化ナトリウム水溶液による洗浄工程によって、シリコン塊から砥粒(炭化ケイ素)および酸素が大量に除去されるとともに、ボロン、リンおよび鉄もわずかに除去されることが確認された。
【0107】
<脱リン工程>
次に、上記のように水酸化ナトリウム水溶液で洗浄されたシリコン塊をカーボン坩堝内に投入した後に誘導加熱装置によってカーボン坩堝を1600℃まで加熱してシリコン塊を溶解して溶融シリコンを作製した。
【0108】
そして、溶融シリコンが収容されたカーボン坩堝を1600℃に保持したままでカーボン坩堝が設置された容器内の圧力を10-2Pa程度にして溶融シリコンを攪拌しながら3時間保持した。その後、上記と同様にして、シリコン塊中のボロン、リン、鉄、炭化ケイ素、クーラントおよび酸素の含有量を測定した。その結果を表5に示す。
【0109】
【表5】

【0110】
表5に示すように、上記の脱リン工程によって、シリコン塊からリン、砥粒(炭化ケイ素)および酸素が除去されることが確認された。
【0111】
<リーチング工程>
上記の脱リン工程後のシリコン塊を粒子径1mm以下のシリコン粉末が98%以上となる粒子径分布となるように粉砕した後に、フッ化水素濃度が5質量%のフッ化水素水溶液(25℃)中に浸漬させて攪拌しながら4時間保持した。そして、シリコン粉末に付着したフッ化水素水溶液を水で洗い流した。その後、上記と同様にして、シリコン粉末中のボロン、リン、鉄、炭化ケイ素、クーラントおよび酸素の含有量を測定した。その結果を表6に示す。
【0112】
【表6】

【0113】
表6に示すように、上記のリーチング工程によって、シリコン粉末から鉄が大量に除去されることが確認された。
【0114】
<偏析工程>
上記のリーチング工程後のシリコン粉末を溶融させて溶融シリコンとした後に一方向凝固を行なった。具体的には、250kgのシリコンを溶融し、一方向凝固により、680mm角×高さ235mmのシリコン塊を得、前記のシリコンの上部30mm、側面各10mm、下部10mmをバンドソーにて切断、除去し、内部の660mm角×195mm(200kg)を太陽電池用シリコン原料とした。
【0115】
その後、上記と同様にして、上記記の太陽電池用シリコン原料のボロン、リン、鉄、炭化ケイ素、クーラントおよび酸素の含有量を測定した。その結果を表7に示す。
【0116】
【表7】

【0117】
表7に示すように、上記の偏析工程によって、鉄、砥粒(炭化ケイ素)および酸素が大量に除去されることが確認された。
【0118】
すなわち、上記の実施例のシリコン精製方法によって精製された精製シリコン中のボロンの含有量が0.20ppmであり、リンの含有量が0.1ppmであり、鉄の含有量が0.5ppmであり、砥粒の含有量が10ppmであり、酸素の含有量が10ppmであった。
【0119】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、シリコン精製方法および精製シリコンに関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料シリコンから精製シリコンを得るシリコン精製方法であって、
前記原料シリコンを溶融させて得られた溶融シリコンを凝固させてシリコン塊を形成する工程と、
前記シリコン塊を第1の酸溶液で洗浄する工程と、
前記第1の酸溶液で洗浄されたシリコン塊を第1の塩基性溶液でさらに洗浄する工程と、を含むことを特徴とする、シリコン精製方法。
【請求項2】
前記原料シリコンが、シリコンの機械加工を行なった際に発生するシリコン屑である、請求項1に記載のシリコン精製方法。
【請求項3】
シリコンの機械加工を行なった際に発生する廃棄物から前記シリコン屑を回収する回収工程をさらに含む、請求項2に記載のシリコン精製方法。
【請求項4】
前記第1の酸溶液がフッ化水素水溶液またはフッ化水素水溶液と硝酸との混合溶液である、請求項1から3のいずれかに記載のシリコン精製方法。
【請求項5】
前記フッ化水素水溶液のフッ化水素濃度が0.5質量%以上10質量%以下である、または前記混合溶液のフッ化水素濃度が0.5質量%以上10質量%以下であって硝酸濃度が0.1質量%以上1質量%以下である、請求項4に記載のシリコン精製方法。
【請求項6】
前記第1の塩基性溶液が水酸化ナトリウム水溶液である、請求項1から5のいずれかに記載のシリコン精製方法。
【請求項7】
前記水酸化ナトリウム水溶液の水酸化ナトリウム濃度が1質量%以上5質量%以下である、請求項6に記載のシリコン精製方法。
【請求項8】
前記原料シリコンを溶融させる前に、前記原料シリコンを洗浄する溶融前洗浄工程をさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載のシリコン精製方法。
【請求項9】
溶融前洗浄工程で使用する洗浄液は、第2の酸溶液、有機溶剤および水からなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項8に記載のシリコン精製方法。
【請求項10】
前記第1の塩基性溶液で洗浄する工程の後に、前記シリコン塊をを第3の酸溶液で洗浄する工程をさらに含む、請求項1から9のいずれかに記載のシリコン精製方法。
【請求項11】
前記第1の塩基性溶液で洗浄する工程の後、または、第3の酸溶液で洗浄する工程の後に、偏析によって金属を除去する工程をさらに含む、請求項10に記載のシリコン精製方法。
【請求項12】
前記第1の塩基性溶液で洗浄する工程の後、または、第3の酸溶液で洗浄する工程の後に、リンを除去する工程、ならびに前記シリコン塊を粉砕した後に第4の酸溶液および第2の塩基性溶液の少なくとも一方で洗浄する工程の少なくとも一方を含む、請求項10または11に記載のシリコン精製方法。
【請求項13】
前記原料シリコンを溶融させて得られた溶融シリコンを出湯手段を用いて出湯させる工程と、
前記出湯させた溶融シリコンを凝固してシリコン塊を形成する工程とを含む、請求項1から12のいずれかに記載のシリコン精製方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のシリコン精製方法によって精製された精製シリコンであって、
前記精製シリコン中のボロンの含有量が0.3ppm以下であり、リンの含有量が0.3ppm以下であり、鉄の含有量が1ppm以下であり、炭化ケイ素の含有量が10ppm以下であり、酸素の含有量が10ppm以下である、精製シリコン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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