説明

シリコーンエラストマーを含むパーソナルケア組成物

本発明は、
a.)約5重量%〜約50重量%の洗浄性界面活性剤と、
b.)次の反応から形成されるシリコーンエラストマーと、
【化1】


c.)水性キャリアと、を含み、
式中、m=30〜70、n=1〜5、及びa=8〜20である、パーソナルケア組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアコンディショニング効果を提供する、ヘアコンディショニング剤及びシリコーンエラストマー構成成分の組み合わせを含有するパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン流体はパーソナルケア製品のための既知の添加剤である。ジメチコン及びシクロメチコンのようなシリコーン流体は、パーソナルケア組成物において毛髪感触及びコンディショニングの効果を提供する。粘度及び溶解性を包含する、シリコーン流体ポリマーの物理特性は典型的に、分子量により決定される。
【0003】
シリコーン流体とは異なり、シリコーンエラストマーは架橋されている。ジメチコンのような直鎖状ポリマー間の架橋の生成により、その直鎖状ポリマーはシリコーンエラストマーへと転換される。シリコーン流体ポリマーとは対照的に、エラストマーの物理特性は典型的に、分子量よりもむしろ架橋の数に左右される。シリコーンエラストマーの膨潤能は、それらを油相のための理想的な増粘剤とする。エラストマーは、皮膚又は毛髪に適用されたときに、非常に滑らかかつ柔らかい感触を有する。それらはまた、芳香剤、ビタミン、及び、化粧品組成物中の他の添加剤のための送達剤として使用することもできる。
【0004】
典型的なシリコーンエラストマーは、環状の又は低分子量のシリコーン流体中で膨潤する。エラストマーは歴史的に、2つの異なるプロセス、懸濁又は溶媒重合を用いて生成されてきた。懸濁プロセスにおいては、前駆体シリコーンポリマー及び界面活性剤のエマルションに反応開始剤及び架橋剤を添加して、架橋を開始する。懸濁液の加熱が、反応を完結へと導き、そして前駆体ポリマーの小さな分散された液滴が球状のエラストマー粒子となる。得られたエラストマーは次いで噴霧乾燥されてよく、そして粉末として販売されるか又は典型的に5ミクロン未満の乳化された形態で使用される。
【0005】
粉末は、使用前に好適な低分子量の溶媒(典型的に<0.001m2/s(1000cs))中に膨潤させなければならない。溶媒プロセスにおいては、前駆体シリコーンポリマーは可溶化され、次いで触媒添加及び架橋剤によって架橋される。このプロセスのための溶媒は一般にシクロメチコンであるが、低粘度のジメチコン又は有機溶媒(典型的に<0.001m2/s(1000cs))もまた包含されてよい。得られたゲルは次いで、小さな粒子へと破壊され、これはペーストとして販売されてもよい。
【0006】
両方のプロセスにおいて、粒子を膨潤させるために又は実際の架橋プロセスのために、低分子量の又は環状のシリコーンが必要である(スキンケアのためのシリコーンエラストマーにおける新展開(New Developments in Silicone Elastomers for Skin Care)、M.スターチ(M. Starch))。水性シャンプー用途では、低分子量の又は環状のシリコーンの量は、界面活性剤パッキング(packing)の崩壊、並びに、起泡の量及び全体粘度の両方における著しい減少をもたらす。したがって、既知のシリコーンエラストマーは、多くのパーソナルケア組成物には、特に、粘度の目標値を達成するために界面活性剤の構造化に頼るものにはあまり適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したことに基づいて、パーソナル組成物の、安定性及び性能を維持する(即ち、包装、外観、又は起泡を妨害しない)シリコーンエラストマーが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
a.)約5重量%〜約50重量%の洗浄性界面活性剤と、
b.)次の反応から形成されるシリコーンエラストマーと、
【0009】
【化1】

【0010】
c.)水性キャリアと、を含み、
式中、m=30〜70、n=1〜5、及びa=8〜20である、パーソナルケア組成物に関する。
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、本開示を読むことにより当業者に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項により結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【0013】
特に指定しない限り、百分率、割合、及び比率は全て、本発明の組成物の総重量を基準としている。重量は全て、記載した成分に関する限り有効濃度に基づくものであり、そのため別段の指定のない限り、市販材料に含有される可能性のある溶媒又は副産物は包含されない。用語「重量百分率」は、本明細書では「重量%」として表示される場合がある。
【0014】
特に指定されない限り、本明細書で使用される分子量は全て、グラム/モルで表される重量平均分子量である。
【0015】
特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。
【0016】
用語「シリコーンエラストマーゲル」は、本明細書で使用するとき、本明細書で記載されるように、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(organohydrogen polysiloxane)とジメチルポリシロキサンとの反応から形成される物質を意味する。この用語は本明細書においては「シリコーンエラストマー」及び「エラストマー」と同義語であるとみなされる。
【0017】
本明細書において、「cs」は、センチストークを意味する。
【0018】
本明細書において、「分子量」は、重量平均分子量として測定され、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0019】
用語「ガラクトマンナンポリマー誘導体」とは、ガラクトマンナンポリマー(即ち、ガラクトマンナンガム)から得られる化合物を意味する。
【0020】
本明細書で使用するとき、「水溶性」という用語は、ポリマーが本発明の組成物中の水に可溶性であることを意味する。一般に、こうしたポリマーは、25℃において、水溶媒の少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、最も好ましくは少なくとも15重量%の濃度で可溶性であるべきである。
【0021】
本明細書で使用するとき、「非水溶性」という用語は、化合物が本発明の組成物中の水に可溶性でないことを意味する。したがって、こうした化合物は水と混和しない。
【0022】
洗浄性界面活性剤
本発明のパーソナルケア組成物は、洗浄性界面活性剤を含む。洗浄性界面活性剤は、組成物に洗浄性能を提供するために含まれる。洗浄性界面活性剤は、アニオン性の洗浄性界面活性剤、双極性イオンの又は両性の洗浄性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。このような界面活性剤は、本明細書に記載される必須成分と物理的及び化学的に適合すべきであるか、又はさもなければ過度に製品の安定性、審美性、若しくは性能を損なうべきではない。
【0023】
パーソナルケア組成物に用いるのに好適なアニオン性洗浄性界面活性剤には、ヘアケア又は他のパーソナルケアクレンジング組成物に用いるのに既知のものが挙げられる。組成物中のアニオン性界面活性剤成分の濃度は、所望の洗浄及び起泡性能を提供するのに十分であるべきであり、一般に、組成物の約5%〜約50%、好ましくは約8%〜約30%、より好ましくは約10%〜約25%、更により好ましくは約12%〜約22%の範囲である。
【0024】
本組成物に用いられるのに好ましいアニオン性洗浄性界面活性剤には、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
本明細書の組成物において用いられるのに好適な両性の又は双極性イオンの洗浄性界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケア洗浄における使用が既知のものが挙げられる。こうした両性の洗浄性界面活性剤の濃度は、好ましくは、約0.5%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%の範囲である。好適な双極性イオンの又は両性の界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号(ボリッチ(Bolich Jr.)ら)及び同第5,106,609号(ボリッチ(Bolich Jr.)ら)に記載されている。
【0026】
シリコーンエラストマーゲル
本発明のパーソナルケア組成物は、次の反応から形成されるシリコーンエラストマーゲルを含み、
【0027】
【化2】

式中、m=30〜70、n=1〜5、及びa=8〜20である。
【0028】
シリコーンエラストマーゲル構成成分は、パーソナルケア組成物中に存在してコンディショニング及び感触効果を提供する。特に、ヘアケア組成物中に存在する場合には、シリコーンエラストマーゲルはウェットな毛髪感触及びコンディショニング効果を提供する。更に、驚くべきことに、シリコーンエラストマーゲルは、それが添加されるパーソナル組成物の安定性及び性能を顕著に乱さない又は妨げないということが見出された。
【0029】
シリコーンエラストマーゲルは、本明細書のパーソナルケア組成物中に、パーソナルケア組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約1重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約1.0重量%の量で存在する。この理由のため、好ましいエラストマー材料は、膨潤流体粘度が0.0013m2/s(1,250cs)〜0.75m2/s(750,000cs)であるものであり、この際前駆体ポリマーの架橋はこの膨潤流体の存在下で行われる。
【0030】
上記の反応の詳細な記述は、米国特許公開第2004/0253197号(サクタ(Sakuta))に見出される。
【0031】
好ましい実施形態では、シリコーンエラストマーゲルは、シャンプー組成物中に組み込まれる。シリコーンエラストマーをシャンプー系に組み込むために、エラストマーをシャンプー系に添加する前に、まず別個のエマルションを形成する。エラストマー及びより高粘度のシリコーン流体を均質になるまでブレンドする。均質化に続いて、このブレンドを界面活性剤、塩、及び水を用いて、大きな粒子へと乳化させる。大きな粒子のエマルションを達成するために最も関連のある変数としては、混合速度、混合時間、最終処方におけるシリコーンブレンドの比率、及び外相の粘度が挙げられる。混合速度及び外相の粘度によりもたらされる剪断速度が高いほど、粒径は小さい。混合時間が増加するほど粒径が減少する可能性もある。次いで、バッチの終わりに、シャンプーへの添加時に粒径が著しく変化しないように低剪断条件下で、エマルションを完全なシャンプー処方へと添加する。より小さな粒子のエラストマーのみのエマルションに関しては、混合速度、混合時間、最終処方におけるシリコーンエラストマーの比率、及び補助界面活性剤の種類が決定パラメータである。エラストマーエマルションは上述したシリコーン/エラストマーブレンドエマルションと同様の態様でシャンプーへと導入される。シャンプーへのこの導入は、単独で行われても、又は別個の大きな粒子のジメチコンエマルションと共に行われてもよい。バッチの残りは、標準的なシャンプー製造技術を用いて行う。
【0032】
水性キャリア
本発明の好ましい実施形態は、注ぎ可能な液体の形態(周囲条件下で)である。そのため、このような組成物は、典型的には水性キャリアを含み、これは約20%〜約95%、より好ましくは約60%〜約85%の濃度で存在するであろう。水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよいが、好ましくは、他の必須成分又は任意成分の微量成分として組成物中に付随的に組み込まれる場合を除いて、最小限の有機溶媒を含むか又は有意の濃度の有機溶媒を含まない水を含む。
【0033】
カチオン性ポリマー
本発明のパーソナルケア組成物はまた、コンディショニング剤の付着助剤として作用する1つ以上のカチオン性ポリマーを含んでもよい。
【0034】
特定の消費者群に対するすすぎ感触を調節するために、本発明の一実施形態は、シリコーンエラストマーと、カチオン性セルロース、カチオン性グアー、カチオン性デンプン、非グアーガラクトマンナン、合成ポリマー、及びこれらの混合物から選択されるカチオン性ポリマーとのブレンドを含む。本明細書で記載されるカチオン性ポリマーの各々は、コンディショニング剤の皮膚又は毛髪への付着を助ける。
【0035】
セルロース又はグアーカチオン性沈着ポリマー
本発明のパーソナルケア組成物は、セルロース又はグアーカチオン性沈着ポリマーを包含していてもよい。一般に、こうしたセルロース又はグアーカチオン性沈着ポリマーは、組成物の約0.05〜約5重量%の濃度で存在してよい。好適なセルロース又はグアーカチオン性沈着ポリマーの分子量は、約5,000超である。更に、こうしたセルロース又はグアー沈着ポリマーの電荷密度は、パーソナルケア組成物の目的の用途のpH下において約0.5〜約4.0meq/gであり、前記pHは一般にpH約3〜pH約9、好ましくはpH約4〜pH約8である。本発明の組成物のpHはそのままの状態で測定する。
【0036】
好適なセルロース又はグアーカチオン性ポリマーには、次の式に従うものが含まれる。
【0037】
【化3】

式中、Aはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基であり、Rはアルキレンオキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、若しくはヒドロキシアルキレン基、又はこれらの組み合わせであり、R1、R2、及びR3は独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、又はアルコキシアリール基であり、各基は約18個までの炭素原子を含有し、各カチオン性部分の炭素原子の総数(即ち、R1、R2、及びR3にある炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xはアニオン性対イオンである。このような対イオンの非限定的な例としては、ハロゲン化物(例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)、サルフェート及びメチルサルフェートが挙げられる。これらの多糖類ポリマーのカチオン置換度は、一般に無水グルコース単位当たりのカチオン性基が約0.01〜約1である。
【0038】
本発明の一実施形態では、セルロース又はグアーカチオン性ポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、当業界(CTFA)ではポリクアテルニウム10と呼ばれており、アマコール社(Amerchol Corp.)(米国、ニュージャージー州エジソン)から入手可能である。
【0039】
カチオン変性デンプンポリマー
一実施形態では、当該パーソナルケア組成物は、水溶性のカチオン変性デンプンポリマーを更に含む。本明細書で使用するとき、「カチオン変性デンプン」という用語は、より小さな分子量に分解される前にカチオン性基が付加されたデンプン、又は望ましい分子量に変性された後でカチオン性基が付加されたデンプンを意味する。「カチオン変性デンプン」という用語の定義には、両性変性デンプンも含まれる。用語「両性変性デンプン」とは、カチオン性基及びアニオン性基が付加されたデンプン加水分解物を意味する。
【0040】
一実施形態では、パーソナルケア組成物は、カチオン変性デンプンポリマーを組成物の約0.01〜約10重量%、より好ましくは約0.05〜約5重量%含む。
【0041】
本発明のパーソナルケア組成物に用いるのに好適なカチオン変性デンプンポリマーの分子量は約1,000〜約200,000である。本発明のある実施形態では、カチオン変性デンプンポリマーの分子量は約5,000〜約100,000である。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって、直列につないだ2本のヒドロゲルカラム(ウォーターズウルトラヒドロゲルリニア(Waters Ultrahydrogel Linear)6〜13μm、7.8×300nm GPCカラム、部品番号011545)を備えたアライアンス(Alliance)HPLC(ウォーターズ(Waters)2695分離モジュール)をカラム温度30℃、流速0.9mL/分で使用し、ビスコテック(Viscotek)モデル300TDA(トリプル検出器アレイ)、光散乱検出器(単一角度、90°)、粘度検出器、及び屈折率検出器を使用し(検出器温度は全て30℃)、アメリカン・ポリマー・スタンダーズ・コーポレーション(American Polymer Standards Corporation)からのプルランナロースタンダード(pullulan narrow standard)P−800(Mw=788,000)を用いて作成した方法により、注入量25〜100μLでdn/dc=0.147を用いて、測定できる。GPC法による重量平均分子量の測定に関する更なる詳細は、米国特許公開第2003/0154883 A1号、名称「非熱可塑性デンプン繊維類及びこれらを製造するためのデンプン組成物(Non-Thermoplastic Starch Fibers and Starch Composition for Making Same)」に記載されている。
【0042】
一実施形態では、本発明のパーソナルケア組成物は、電荷密度が約0.7meq/g〜約7meq/gのカチオン変性デンプンポリマーを含む。このような電荷密度を得るための化学修飾には、デンプン分子へのアミノ基及び/又はアンモニウム基の付加が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、カチオンデンプンはワキシーコーンデンプンに由来する。
【0043】
好適なカチオン変性デンプンポリマーの非限定的な実施例は、米国特許出願公開第10/758656号(ぺフリー(Peffly)ら)に記載される。
【0044】
非グアーガラクトマンナンポリマー
一実施形態では、第2の非グアーカチオン性ポリマーは、モノマー対モノマーベースでマンノース対ガラクトースの比が2:1より大きく、カチオン性非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体及び正味の正電荷を有する両性非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体からなる群から選択される、非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体である。本明細書で使用するとき、「カチオン性非グアーガラクトマンナン」という用語は、カチオン性基が付加された非グアーガラクトマンナンポリマーを意味する。「両性非グアーガラクトマンナン」という用語は、ポリマーが正味の正電荷を持つようにカチオン性基及びアニオン性基が付加された非グアーガラクトマンナンポリマーを意味する。
【0045】
非グアーガラクトマンナンポリマーは、マメ科族の種子の胚乳に存在する。非グアーガラクトマンナンポリマーは、マンノースモノマーとガラクトースモノマーとの組み合わせから構成される。非グアーガラクトマンナン分子は、一定の間隔で、特定のマンノース単位についている単員ガラクトース単位で分枝した直鎖マンナンである。マンノース単位はβ(1〜4)グリコシド結合により互いに結合する。ガラクトース分枝はα(1〜6)結合により起こる。マンノースモノマーとガラクトースモノマーとの比は、植物の種によって変わり、気候によっても影響を受ける。本発明の非グアーガラクトマンナンポリマーのマンノース対ガラクトースの比率は、モノマー対モノマーベースで2:1よりも大きい(即ち、非グアーガラクトマンナンポリマー)。好ましくは、マンノース対ガラクトースの比率は約3:1よりも大きく、より好ましくはマンノース対ガラクトースの比率は約4:1よりも大きい。マンノース対ガラクトースの比率の分析は当該技術分野において周知であり、典型的にはガラクトース含有量の測定値に基づいている。
【0046】
非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体を調製するのに使用されるガムは、通常、植物からの種子又は豆のような天然物質として得られる。種々の非グアーガラクトマンナンポリマーの例としては、タラガム(3部のマンノース/1部のガラクトース)、ローカストビーン(Locust bean)又はイナゴマメ(Carob)(4部のマンノース/1部のガラクトース)、及びカッシアガム(5部のマンノース/1部のガラクトース)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本発明のパーソナルケア組成物に使用するための非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1,000〜約10,000,000の分子量を有する。本発明の一実施形態では、非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、約5,000〜約3,000,000の分子量を有する。本明細書で使用するとき、「分子量」という用語は重量平均分子量を意味する。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定できる。
【0048】
非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、約0.7meq/g〜約7meq/gのカチオン電荷密度を有する。本発明の一実施形態では、非グアーガラクトマンナンポリマー誘導体は、約0.9meq/g〜約7meq/gの電荷密度を有する。非グアーガラクトマンナン構造上のカチオン性基の置換の程度は、必要なカチオン電荷密度を提供するのに十分でなくてはならない。
【0049】
他のカチオン性沈着ポリマー
本発明のパーソナルケア組成物は、合成カチオン性沈着ポリマーを更に含んでもよい。一般に、このような合成カチオン性沈着ポリマーは、組成物の約0.025重量%〜約5重量%の濃度で存在してもよい。このような合成カチオン性沈着ポリマーの分子量は、約1,000〜約5,000,000である。更に、このような合成カチオン性沈着ポリマーの電荷密度は、約0.5meq/g〜約10meq/gである。
【0050】
好適な合成カチオン性沈着ポリマーとしては、水溶性又は分散性のカチオン性非架橋コンディショニングコポリマーのうち、(i)1つ以上のカチオン性モノマー単位、及び(ii)1つ以上の非イオン性モノマー単位又は末端に負電荷を有するモノマー単位を有し、更に正味の正電荷、約0.5meq/g〜約10meq/gのカチオン電荷密度、及び約1,000〜約5,000,000の平均分子量を有するものが挙げられる。好ましい実施形態では、少なくとも1つのカチオン性ポリマーはアクリルアミド(Acrylamide)(AM)とトリクワット(TRIQUAT)モノマーとのコポリマー(「AM:トリクワット(TRIQUAT)」)である。このようなポリマーについては、米国特許出願第60/774533号(ペフリー(Peffly)ら)に詳細に記載されている。
【0051】
好適な合成カチオン性沈着ポリマーの非限定的な例は、米国特許出願公開第2003/0223951 A1号(ギアリー(Geary)ら)に記載されている。
【0052】
油性コンディショニング剤
本発明の更に別の実施形態では、パーソナルケア組成物は1つ以上の油性コンディショニング剤を含む。油性コンディショニング剤としては、毛髪及び/又は皮膚に特定のコンディショニング効果を与えるために使用される物質が挙げられる。ヘアトリートメント組成物において、好適なコンディショニング剤は、光沢、柔軟性、櫛通りの良さ、静電気防止特性、濡れたときの扱い、損傷、扱い易さ、ボリューム、及び脂っぽさに関連する利益を1つ以上もたらすものである。本発明の組成物に有用な油性コンディショニング剤には、典型的には、乳化液体粒子を形成する、非水溶性の水分散性不揮発性液体が含まれている。本組成物に用いるのに好適な油性コンディショニング剤は、一般にシリコーン(例えば、シリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、高屈折率のシリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)、又はこれらの組み合わせとして特徴付けられるコンディショニング剤、あるいは本明細書の水性界面活性剤マトリックスに液体の分散粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0053】
存在する場合、1つ以上の油性コンディショニング剤は、典型的に、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約8重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約4重量%の濃度で存在する。
【0054】
シリコーンコンディショニング剤
本発明のパーソナルケア組成物はまた、好ましくは非水溶性シリコーンコンディショニング剤である1つ以上の油性コンディショニング剤を含んでもよい。シリコーンコンディショニング剤は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの組み合わせを含んでよい。不揮発性シリコーンコンディショニング剤が好ましい。揮発性シリコーンが存在する場合、典型的にはシリコーンゴムや樹脂のような、市販の形態の不揮発性シリコーン物質成分のための溶媒又はキャリアとしてのそれらの使用に付随するものである。シリコーンコンディショニング剤粒子は、シリコーン流体コンディショニング剤を含んでもよく、シリコーン流体の付着効率を改善するか又は毛髪の光沢度を増大させるためのシリコーン樹脂のような他の成分をまた含んでもよい。
【0055】
好適なシリコーンコンディショニング剤、及びシリコーンのための任意の懸濁剤の非限定的な例は、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び米国特許第5,106,609号に記載されている。本発明の組成物中で用いるためのシリコーンコンディショニング剤は好ましくは、25℃で測定した場合に、約2E−5m2/s(20cs)〜約2m2/s(2,000,000cs)、より好ましくは約0.001m2/s(1,000cs)〜約1.8m2/s(1,800,000cs)、更により好ましくは約0.005m2/s(5,000cs)〜約1.5m2/s(1,500,000cs)、より好ましくは約0.01m2/s(10,000cs)〜約1m2/s(1,000,000cs)の粘度を有する。
【0056】
本発明の組成物に用いるのに適した不揮発性シリコーンオイルは、有機変性シリコーン及びフッ素変性シリコーンから選択することができる。本発明の1つの実施形態では、不揮発性シリコーンオイルは、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、アミン基、四級基、カルボキシル基、脂肪酸基、エーテル基、エステル基、メルカプト基、サルフェート基、スルホネート基、ホスフェート基、プロピレンオキシド基、及びエチレンオキシド基からなる群から選択される有機基を含む有機変性シリコーンである。
【0057】
本発明の好ましい実施形態では、不揮発性シリコーンオイルはジメチコンである。
【0058】
シリコーン流体、ゴム、及び樹脂、並びにシリコーンの製造を論じる項を包含するシリコーンの背景資料は、「ポリマーの科学と技術の百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」、15巻、第2版、204〜308ページ、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons Inc.)(1989年)に見出される。
【0059】
本発明の組成物に用いるのに好適なシリコーン流体は、米国特許第2,826,551号、米国特許第3,964,500号、米国特許第4,364,837号、英国特許第849,433号、及び「シリコン化合物(Silicon Compounds)」(ペトラルク・システムズ社(Petrarch Systems,Inc.)、1984年)に開示されている。
【0060】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく限定されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0061】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において、本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0062】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるこのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.)約5重量%〜約50重量%の洗浄性界面活性剤と、
b.)次の反応から形成されるシリコーンエラストマーと、
【化1】

c.)水性キャリアと、
を含み、
式中、m=30〜70、n=1〜5、及びa=8〜20である、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
カチオン性ポリマーを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
カチオン性セルロースポリマーを更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
カチオン性グアーポリマーを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
カチオン変性デンプンポリマーを更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記カチオン変性デンプンポリマーが、ワキシーコーンスターチに由来する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
非グアーガラクトマンナンポリマーを更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記非グアーガラクトマンナンが、カッシアゴムに由来する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
油性コンディショニング剤を更に含み、好ましくは前記油性コンディショニング剤が、非水溶性シリコーンコンディショニング剤であり、より好ましくは前記油性コンディショニング剤が、ジメチコンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−511719(P2010−511719A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540337(P2009−540337)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/026120
【国際公開番号】WO2008/079318
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】