説明

シリコーンゴム系硬化性組成物

【課題】
本発明は、医療器具材料用シリコーンゴム系硬化組成物として、高強度で安定した物性を示すシリコーンゴム系硬化組成物を提供することである。
【解決手段】
架橋剤とビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとを含む第1混合成分を用いることで生産の経済性が改善され、また医療器具材料として引張り強度、引裂き強度等の機械的強度に優れ、なおかつ安定した機械的強度を示すシリコーンゴム系硬化性組成物を提供することが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋剤とビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとを含む第1混合成分を用いたシリコーンゴム系硬化性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゴム用薬品の多くは、形状が微粉末状や液状であるため、飛散や付着により、薬品の投入精度の悪化が起きることや、作業者に付着して皮膚を刺激,もしくは吸入し体内に入ることがあり、衛生上好ましくない。また粘度の大きく異なる液状薬品を混合する際にも、薬品の投入精度の悪化が起こり、また作業性や作業時間の観点でも好ましくない。すなわち生産の際の経済性が悪くなってしまう。そこで、ゴム製品製造業においては、ゴム用薬品を、ゴムにあらかじめ練り込んで予備分散させておくという、いわゆるマスターバッチ方式が採用されている。このものは、飛散性が全くないばかりか、ゴムへの分散性も優れており、マスターバッチ同士の混合やゴムへの配合が容易である。
【0003】
一方、シリコーンゴムは、耐熱性、難燃性、化学的安定性、耐候性、耐放射線性、電気特性等に優れていることから、幅広い分野において様々な用途に使用されている。特に、シリコーンゴムは、生理的に不活性であると共に、生体に触れた場合の体組織に対する反応が少ないため、医療用各種カテーテル等、医療器具の材料としても利用されている。
【0004】
医療器具の材料として、シリコーンゴムは、生体適合性及び柔軟性の点において優れるものの、引裂き強度や引張り強度等の強度面、特に引裂き強度の向上が求められている。さらに医療器具材料としては、強度面に優れるシリコーンゴムであって、なおかつ安定した物性が要求される。
【0005】
シリコーンゴムの引裂き強度や引張り強度を高めるべく、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1では、高粘度及び低ビニル基含有量のオルガノポリシロキサン(生ゴム(A))を主体とし、これに、低粘度及び高ビニル基含有量のオルガノポリシロキサン(シリコーンオイル(B))、ビニル基含有オルガノポリシロキサン共重合体(ビニル基含有シリコーンレジン(C))、オルガノ水素シロキサン(架橋剤(D))、白金又は白金化合物(硬化触媒(E))、及び微粉末シリカ(充填剤(F))を配合した硬化性シリコーンゴム組成物が開示されている。
しかし先行文献では、マスターバッチ化するメリットや強度の安定性については記載されておらず、医療用材料として高強度で安定した物性を示すシリコーンゴム系硬化性組成物が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−331079号公報
【特許文献2】特開平7−228782号公報
【特許文献3】特開平7−258551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、医療器具材料用シリコーンゴム系硬化組成物として、高強度で安定した物性を示すシリコーンゴム系硬化組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(13)に記載の本発明により達成される。
(1)架橋剤とビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)とを含む第1混合成分を用いることを特徴とするシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(2)前記第架橋剤が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)である(1)記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(3)前記第1混合成分は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と、表面に疎水性官能基を有する無機ケイ素フィラー(C)と、を含む(1)または(2)記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(4)前記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)は、下記式(1)で示されるものである(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物。
【化1】


(式(1)中、mは1〜1000の整数、nは3000〜10000の整数であり、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基、Rは炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基であり、複数あるR及びRの少なくとも1つ以上がアルケニル基である。)
(5) 前記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、下記式(2)で示されるものである(2)または(3)に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物。
【化2】


(式(2)中、mは0〜300の整数、nは(300−m)の整数である。Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、又はヒドリド基である。Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、又はヒドリド基である。ただし、R及びRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。Rは炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基である。)
(6)前記第1混合成分は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、無機ケイ素フィラー(C)を0〜150重量部含む、(3)記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(7) 前記無機ケイ素フィラー(C)は、疎水性官能基を少なくとも一種含む、(3)または(6)記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(8)前記表面に疎水性官能基を有する無機ケイ素フィラー(C)は、比表面積が30〜500m/g、平均1次粒子径が100nm以下である、(3)、(6)、(7)のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(9)(1)ないし(8)のいずれか1項に記載の第1混合成分と、触媒(D)とビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)とを含む第2混合成分とを用いるシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(10)前記第2混合成分は、(4)記載のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と、触媒(D)と、を含む(9)記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(11)前記第2混合成分は、(4)記載のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と、(8)記載の無機ケイ素フィラー(C)と、触媒(D)と、を含む(9)記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(12)前記第2混合成分は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、無機ケイ素フィラー(C)を0〜150重量部含む、(9)ないし(11)のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
(13)前記触媒が白金化合物である(9)ないし(12)のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の特徴は、架橋剤とビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを含む第1混合成分を用いることで、引張り強度、引裂き強度等の機械的強度に優れ、なおかつ安定した機械的強度を示し、さらに生産の経済性が改善されたシリコーンゴム系硬化性組成物を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物について詳しく説明する。本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物は、架橋剤とビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとを含む第1混合成分を用いて提供されるものである。
【0011】
本願の第1混合成分は、少なくともビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)に架橋剤として用いる直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を予め練りこむことを特徴とする、通常、マスターバッチを呼ばれているものである。
【0012】
まず、第1混合成分を構成するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)について説明する。
(A)ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)は、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分であり、直鎖構造を有する重合体である。ビニル基を含有し、該ビニル基が加硫時の架橋点となる。
【0013】
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、0.01〜15モル%、さらに0.05〜12モル%であることが好ましい。ここで、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。但し、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
【0014】
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)の重合度は特に限定されないが、通常、3000〜10000の範囲であり、好ましくは4000〜8000の範囲である。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)の比重は、通常、0.9〜1.1の範囲である。
3000より低い場合、低粘度になるため、取り扱い性が低下する。また、10000を超える場合は、高粘度になるため、取り扱い性が低下する。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
【0015】
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)としては、下記式(1)で表される構造を有するものが好ましい。
【0016】
【化3】

【0017】
(式(1)中、mは1〜1000の整数、nは3000〜10000の整数であり、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基、Rは炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基であり、複数あるR及びRの少なくとも1つがアルケニル基である。)
【0018】
式(1)において、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
【0019】
また、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0020】
また、Rは炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0021】
式(1)中のR及びRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
尚、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。R、及びRについても同様である。
但し、複数あるR及びRの少なくとも1つがビニル基を有する、すなわち、複数あるR及びRの少なくとも1つがアルケニル基である。
【0022】
m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)を構成する繰り返し単位の数であり、mは1〜1000の整数、nは3000〜10000の整数である。mは、好ましくは40〜700であり、nは、好ましくは3600〜8000である。
式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)の具体的構造としては、下記式(1−1)で表されるものが挙げられる。
【0023】
【化4】

【0024】
式(1−1)中、R及びRは、それぞれ独立して、メチル基又はビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
【0025】
本発明においては、シリコーンゴムの引裂き強度を高めるために、ビニル基含有量の異なる2種類の(A)ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。すなわち、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンと、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンと、を組み合わせることで、ビニル基を偏在化させ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、効果的に架橋密度の疎密を形成することで、引裂き強度を高めることが出来る。以降、上記第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを(A1)と、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンシリコーンゴムを(A2)と、記載する。例えば、ビニル基含有量が0.05〜0.2モル%である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)と、ビニル基含有量が0.5〜12モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとを含有することが好ましい。具体的には、(A)ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンとして、例えば、上記式(1−1)において、Rがビニル基である単位及び/又はRがビニル基である単位を、0.05〜0.2モル%含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)と、Rがビニル基である単位及び/又はRがビニル基である単位を、0.5〜12モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A2)とを用いることが好ましい。
【0026】
第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、ビニル基含有量が0.1〜0.15モル%であることが好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A2)は、ビニル基含有量が、0.8〜8.0モル%であることが好ましい。
第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A2)とを組み合わせて配合する場合、(A1)と(A2)の比率は特に限定されないが、通常、重量比でA1:A2が1:0.05〜1:0.6、特に1:0.08〜1:0.5であることが好ましい。
第1及び第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)及び(A2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
次に第1混合成分の架橋剤である直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンについて説明する。
【0028】
(B)直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有し、且つ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si−H)を有し、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋するものである。
【0029】
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は特に限定されない。シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)のヒドリド基量が、0.5〜5モルとなる量が好ましく、さらに好ましくは1〜3.5モルとなる量である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が20000以下であることが好ましく、特に重量平均分子量が7000以下であることが好ましい。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の重量平均分子量は、GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)により測定することができる。
【0030】
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、通常、ビニル基を有しないものであることが好ましい。分子内の架橋反応が進行する可能性があるからである。
【0031】
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)としては、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましい。
【0032】
【化5】

【0033】
(式(2)中、mは0〜300の整数、nは(300−m)の整数である。Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、又はヒドリド基である。Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、又はヒドリド基である。ただし、複数のR及びRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。Rは炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基である。)
【0034】
式(2)において、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、又はヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0035】
また、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、又はヒドリド基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
【0036】
尚、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のR及びRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
【0037】
また、Rは炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0038】
式(1)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
【0039】
m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0〜300の整数、nは(300−m)の整数である。好ましくは、mは0〜150の整数、nは(150−m)の整数である。
【0040】
(B)直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
第1混合成分には、第1混合成分の粘性を抑えるために表面に疎水性官能基を有する無機ケイ素フィラーシリカフィラー(C)[以下、単に、シリカフィラー(C)ということがある]を加えてもよい。シリカフィラー(C)は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、0〜150重量部、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは35〜80量部、最も好ましくは45〜75重量部、である。シリカフィラー(C)が150重量部を超える場合は、第1混合成分が極端に硬くなり、作業性が悪く、均一な第1混合成分を得ることが困難となる。
【0042】
シリカフィラー(C)は、疎水性官能基を有し、シランカップリング剤により表面処理されて得られる。予めシランカップリング剤を用いて表面を処理しても良く、またシリコーン硬化性組成物を作製する過程で表面を処理しても良い。すなわちどの過程で表面処理するかは特に限定されないが、シリコーン硬化性組成物を作製する過程で表面を処理することにより、材料費や生産の経済性等のコスト面で優れる場合がある。
【0043】
シリカフィラー(C)は、シリカフィラーの表面に存在するシラノール基のヒドロキシル基の全てが、少なくとも一種の疎水性官能基含有シランカップリング剤に由来する少なくとも一種の疎水性官能基含有官能基で置換されることが好ましい。
【0044】
表面処理されるシリカフィラーとしては、乾式シリカ、湿式シリカが挙げられ、中でも、シリコーンゴムの押出成型性・作業性の観点から乾式シリカが好ましく、特にヒュームドシリカが好ましい。
【0045】
シリカフィラー(C)は、シリカフィラーの表面に存在するシラノール基のヒドロキシル基が、少なくとも一種の疎水性官能基含有シランカップリング剤に由来する少なくとも一種の疎水性官能基含有官能基で置換されることが好ましい。
シランカップリング剤は、本発明では、加水分解性基を有するものであり、これがシリカフィラー(C)の表面に備える水酸基と反応することで、シリカフィラー(C)の表面処理を行う。
【0046】
このシランカップリング剤により、シリカフィラー(C)の表面にこの疎水性基が付与することで、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中におけるシリカフィラー(C)の分散性を向上させることができる。その結果、シリコーンゴム中における強度(特に、引張強度および引裂き強度)の均一性、および強度の向上が図られる。
さらに、シランカップリング剤は、ビニル基を有しているものを用いるか、もしくはビニル基を有しているものを併せて用いることが好ましい。これにより、シリカフィラー(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカフィラー(C)が有するビニル基も、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカフィラー(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの高硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
【0047】
このようなシランカップリング剤としては、例えば、下記式(3)で表わされるものが挙げられる。
【化3】

−Si−(OR)4−n ・・・ (3)

上記式(3)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。ORは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
【0048】
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
【0049】
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカフィラー(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(3)中の(Y−Si−)の構造を2つ有するものとなる。
【0050】
上記式(3)で表されるシランカップリング剤(D)としては、例えば、官能基として疎水性基を有するものとして、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられ、官能基としてビニル基を有するものとして、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられるが、中でも、上記記載を考慮すると、特に、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンであるのが好ましい。
【0051】
シリカフィラー(C)を、シリコーン硬化性組成物を作製する過程で表面を処理する場合、表面処理をする過程や表面処理方法は限定されないが、例えば、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)にシランカップリング剤とシリカフィラー(C)とを共に加えて、ゴム中で混合することで反応により表面を処理することが出来る。
また、シリコーン硬化性組成物を作製する過程でシランカップリング剤により表面処理する場合に、水が含まれていてもよい。
水は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカフィラー(C)とシランカップリング剤との反応に寄与する成分である。
【0052】
シリカフィラー(C)は、予めシランカップリング剤を用いて表面を処理したものを用いる場合、例えばトリメチルシリル基含有シランカップリング剤による、シリカフィラーの表面処理は、特に限定されず、例えば、特表2007−526373に記載の方法を採用することができる。
【0053】
具体的には、トリメチルシリル基含有シランカップリング剤による表面処理を施していないシリカフィラー(未処理シリカフィラー)に、まず水を吹き付け、続いて、トリメチルシリル基含有シランカップリング剤を吹き付け、次いで、熱処理する方法が挙げられる。ここで、水は、塩酸等の酸により酸性化(例えば、pH1〜7)したものを用いてもよい。シランカップリング剤は、必要に応じて、適切な溶媒に溶解して吹き付けてもよい。水やシランカップリング剤の吹き付けは、例えば、一流体ノズル、二流体ノズル、超音波ノズル等を用いて行うことができる。吹き付けは、混合手段を有する容器内で、シリカフィラーの攪拌処理を行いながら実施することが好ましい。水やシランカップリング剤の吹き付けの後、必要に応じて、シリカフィラーと水及び/又はシランカップリング剤との混合を行ってもよい。熱処理の温度及び時間は適宜設定できるが、例えば、20〜400℃で0.1〜6時間加熱することができる。熱処理は、窒素ガス雰囲気等の不活性雰囲気下で行うこともできる。
【0054】
或いは、未処理シリカフィラーを、シランカップリング剤の蒸気に晒し、次いで、加熱(例えば50〜800℃)する方法が挙げられる。熱処理は、不活性雰囲気下で行うこともできる。
【0055】
シリカフィラー(C)は、比表面積が、30m/g以上、特に100m/g以上であることが好ましく、500m/g以下、特に300m/g以下であることが好ましい。上記比表面積は、特に、30〜500m/gの範囲内であることが好ましい。
【0056】
シリカフィラー(C)は、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張り強度の向上をもたらす成分であるが、かかる比表面積の範囲内であるものを用いることにより、上述したシリカフィラー(C)としての機能を顕著に発揮させることができる。比表面積が500m/g以上の場合は、フィラー同士の凝集が強いために分散性が悪くなり、比表面積30m/g以下の場合は、機械強度の向上に十分な効果が得られない。
シリカフィラー(C)の比表面積は、常法、例えば、BET比表面積法によって測定することができる。
【0057】
また、シリカフィラー(C)は、平均一次粒子径が、100nm以下、中でも20nm以下であることが好ましい。
シリカフィラー(C)として、かかる平均一次粒子径の範囲内であるものを用いることにより、上述したシリカフィラー(C)としての機能を顕著に発揮させることができる。平均一次粒子径が100nm以上であると、機械強度の向上に十分な効果が得られない。
シリカフィラー(C)の平均一次粒子径は、常法によって測定することができる。例えば、透過型電子顕微鏡像上で、シリカ微粒子サンプルから無作為の粒子2500個以上の粒子径を測定し、個数平均により平均一次粒子径を求めることが出来る。
【0058】
シリカフィラー(C)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、異なる疎水性官能基含有シランカップリング剤を用いて表面処理したシリカフィラー(C)を組み合わせてもよい。
【0059】
本発明の第1混合成分には、上記(A)〜(C)成分の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される公知の成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、反応抑制剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
【0060】
次に本発明の第2混合成分につき説明する。
【0061】
第2混合成分は、少なくともビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と触媒(D)とを含むことを特徴とする。
【0062】
触媒(D)は、加硫の触媒として作用する成分であり、その添加量は触媒量である。加硫することが出来ればどのような成分を用いても良いが、一般に硬化特性から白金系触媒が好ましく、例えば、下記白金又は白金化合物が挙げられる。
白金又は白金化合物は、具体的な成分としては、公知のものを使用することができる。例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸又は塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。触媒成分である白金又は白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
触媒(D)の含有量は、触媒量であり、適宜設定することができるが、具体的には、(A)〜(C)の合計量100重量部に対して0.001〜5重量部、特に0.01〜0.5重量部の範囲が好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応をより確実に進行させることができる。
【0064】
第2混合成分には、作業時の取り扱い性の向上のため、または第1混合成分と混ざりやすいように粘度を近くするため、またはフィラーの組成比を変えずに架橋剤量、及び触媒量を変量するため、上記シリカフィラー(C)を加えてもよい。シリカフィラー(C)は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、0〜150重量部、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは35〜80量部、最も好ましくは45〜75重量部、である。シリカフィラー(C)が150重量部を超える場合は、第2混合成分が極端に硬くなり、作業性が悪く、均一な第2混合成分を得ることが困難となる。
【0065】
本発明の第2混合成分は、上記(A)及び(C)及び(D)成分の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される公知の成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、反応抑制剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
【0066】
次に、第1混合成分を用いたシリコーンゴム系硬化性組成物の作製について述べる。
【0067】
本発明の第1混合成分用いたシリコーンゴム系硬化性組成物において、各成分の含有割合は特に限定されないが、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が0.05〜5.0重量部の割合で含有するのが好ましく、0.1〜2.0重量部の割合で含有するのがより好ましい。これにより、シリコーンゴムの架橋ネットワークをより的確に形成して、架橋密度の疎密がより適切な範囲に形成されるため、シリコーンゴムの引裂き強度をより効果的に高めることができる。
また、シリカフィラー(C)は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、シリカフィラー(C)の含有量が20〜100重量部の割合で含有するのが好ましく、35〜80重量部の割合で含有するのがより好ましく、45〜75重量部の割合で含有するのが最も好ましい。これにより、シリコーンゴムの引張り強度を目的とする範囲までの確実に向上させることができる。
【0068】
本発明の第1混合成分用いたシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)〜(D)成分の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される公知の成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、反応抑制剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
【0069】
本発明に用いられるシリコーン樹脂組成物マスターバッチである第1混合成分及び第2混合成分は、上記成分を、任意の混練装置により、均一に混合することによって得られる。混練装置としては、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等が挙げられ、また混合条件に特に制限はない。
【0070】
第1混合成分は、上記(A)〜(D)及び、その他成分を同時に混練しても良いし、別々に混練してもよい。例えば、(A)及び(C)、及びその他成分を混合した後に、(B)及びその他成分を添加することで第1混合成分を作製することができる。第1混合成分を用いることで、硬化前の作業性に優れ、また長期保存可能なために生産の経済性に優れる、といった効果が得られる。その後、第1混合成分と、触媒、及び任意のその他成分を混ぜ合わせることで、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物が得られる。
【0071】
本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物は、第1混合成分を用いれば良く、その範囲内で、複数のマスターバッチを用いて作製しても良いし、または一種以上のマスターバッチと別途作製されたシリコーン樹脂組成物と混合して作製しても良い。 ただし触媒と架橋剤がゴム中に存在した状態では、硬化進行等によって物性や保存安定性に影響することがある。従って触媒を最後に添加する、または第2混合成分を用いることが好ましい。
【0072】
第1混合成分と、第2混合成分と、を用いる場合、例えば、(A)及び(C)、及びその他成分を任意の混練装置で混合した後に二つにわけ、一方には(B)、及び任意のその他成分を添加することで第1混合成分を作製し、他方には(D)、及び任意のその他成分を添加することで第2混合成分を作製する。第1混合成分、及び第2混合成分を用いることで、硬化前の作業性に優れ、長期保存可能なために生産の経済性に優れる、といった効果が得られる。その後、第1混合成分と、第2混合成分、及び任意のその他成分を混ぜ合わせることで、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物が得られる。
第1混合成分と第2混合成分が全ての必要成分を含む場合、生産時に第1混合成分と第2混合成分を混ぜ合わせるだけで良いため、より生産の経済性に優れている。
【0073】
以上のようにして得られた本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物は、例えば、140〜180℃で5〜15分間加熱(1次硬化)した後、200℃で4時間ポストベーク(2次硬化)することによってシリコーンゴムを得ることができる。
【0074】
本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させることによって、JIS K6251(2004)によるダンベル状3号形試験片の強度、及びJIS K6252(2001)によるクレセント形試験片の引裂き強さ等の機械強度に優れ、なおかつ安定した、シリコーンゴムを得ることが可能である。
上記のような優れた強度を有するシリコーンゴムを用いることで、機械的強度に優れた成形体を得ることができる。そして、このような成形体を用いることによって、耐キンク性、耐傷付き性及び挿入性に優れたシリコーンゴム製医療用チューブ(例えばカテーテル)を得ることができる。
【0075】
ここで、上記引裂き強さは、試験片の厚みを1mmとする以外は、JIS K6252(2001)に準拠して、本発明のシリコーン系硬化性組成物を硬化して作製した試験片を用いて測定することができる。
また、上記引張り強さ及び切断時伸びは、試験片の厚みを1mmとする以外は、JIS K6251(2004)に準拠して、本発明のシリコーン系硬化性組成物を硬化して作製した試験片を用いて測定することができる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明のシリコーンゴム系硬化性組成物の一形態を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0077】
実施例及び比較例において使用した原材料は以下の通りである。
(A1):第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン、ビニル基含有量0.13モル%、以下の合成スキームにより合成。
(A2):第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン、ビニル基含有量0.92モル%:以下の合成スキームにより合成。
(B):直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、モメンティブ社製「88466」
(C):未処理シリカ微粒子(日本アエロジル社製「アエロジル300」、比表面積300m/g、一次平均粒径7nm)
(D):白金:ゲレスト社製「SIPS6831.2」
(E):ヘキサメチル基含有シランカップリング剤(チッソ社製「HMDS−EG」
(F)ビニル基含有シランカップリング剤(東京化成社製「1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン」
(G)反応抑制剤:東京化成社製「1−エチニルシクロヘキサノール」
(H)湿潤剤:モメンティブ社製「XC96−723」
(I)水
【0078】
[第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の合成]
下記式(6)に従って、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を合成した。
具体的には、Arガス置換した、冷却管及び攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン 74.7g(252mmol)、2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン 0.086g(0.25mmol)及びカリウムシリコネート 0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。3時間後、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン 0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを得た(Mn=277,734、Mw=573,906、IV値(dl/g)=0.89)。
【0079】
【化6】

【0080】
[第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A2)の合成]
上記(A1)の合成において、2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサンを、0.86g(2.5mmol)用いたこと以外は、同様にして、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A2)を合成した。
【0081】
[実施例1]
(シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンドの調製)
まず、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部[(A1):(A2)=80重量部:20重量部]に、ヘキサメチルジシラザン(E)10重量部と、ジビニルテトラメチルジシラザン(F)0.5重量部と、水(I)5.25重量部とを予め混練し、その後、シリカフィラー(C)62重量部を加えて混練することで混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
なお、シリカフィラー(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60〜90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160〜180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行った。その後に、湿潤剤(H)2重量部加えて20分混練した。
また、得られた混練物を、室温にまで冷却させた。
得られた混練物をシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンドと呼ぶ。
(第1混合成分の調製)
得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して、ミキサーを用い、(B)直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン0.55重量部、及び(G)反応抑制剤0.1重量部を加えて均一になるまで混練し、調製した。
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
第1混合成分に、2本ロールを用い、(D)白金0.05重量部を加えて、均一になるまで混合し、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。表1に各原材料の重量比を示す。シリコーンゴム系硬化性組成物は、同様の操作で、繰り返し3回作製した。
シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド作製後の各工程の作業時間を表1に示す。
【0082】
(シリコーンゴム系硬化性組成物の評価)
<引裂き強度及び引裂きストローク>
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、170℃、10MPaで10分間プレスし、1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化した。
続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6252(2001)に準拠してクレセント形試験片を作製し、JIS K6252(2001)によるクレセント形試験片の引裂き強さを測定した。ただし、試験片の厚みは、1mmとした。
以上の方法で、3回作製したシリコーンゴム系硬化性組成物について、其々3試験片測定し、合計9試験片を測定した。9試験片について、強度を評価するために算出した平均値、及び物性のばらつきを評価するために算出した標準偏差値の結果を表1に示す。
【0083】
<引張り強度及び引張り伸び率及びひずみ100%時の引張り強さ>
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を、170℃、10MPaで10分間プレスし、1mmのシート状に成形すると共に、1次硬化した。
続いて、200℃で4時間加熱し、2次硬化した。
得られたシート状シリコーンゴムを用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、JIS K6251(2004)によるダンベル状3号形試験片の引張り強さ及び切断時伸び(ひずみ)、及びひずみ100%時の引張り強さを測定した。ひずみ100%時の引張り強さは硬さの代用特性として用いられ、以下100%モジュラスという。ただし、試験片の厚みは、1mmとした。
以上の方法で、3回作製したシリコーンゴム系硬化性組成物について、其々3試験片測定し、合計9試験片を測定した。9試験片について、強度を評価するために算出した平均値、及び物性のばらつきを評価するために算出した標準偏差値の結果を表1に示す。結果を表1に示す。
【0084】
[実施例2]
(シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンドの調製)
実施例1と同様の手順でシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンドを調整した。
(第1混合成分の調製)
得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して、ミキサー(株式会社トーシン製 TK5-2M型双腕式ニーダー)を用い、(B)直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン1.1重量部、及び(G)反応抑制剤0.2重量部を加えて均一になるまで混練し、調製した。
(第2混合成分の調製)
実施例1で得られたゴムコンパウンド100重量部に対して、ミキサーを用い、(D)白金0.1重量部を加えて均一になるまで混練し、調製した。
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
上記2種の混合成分を、2本ロール(関西ロール株式会社製 6×15テストロール)を用い、2分間混ぜあわせて均一な状態にし、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。表1に各原材料の重量比を示す。実施例2のシリコーンゴム系硬化性組成物も、同様の操作で、繰り返し3回作製した。シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド作製後の各工程の作業時間を表1に示す。
また、実施例1同様、得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて作製した試験片について評価を行った。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】


(※1)成分(A1) と成分(A2)と成分(C)と成分(E)と成分(F) と成分(H)と成分(I)から得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して0.55重量部
(※2)成分(A1) と成分(A2)と成分(C)と成分(E)と成分(F) と成分(H)と成分(I)から得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して0.05重量部
(※3)成分(A1) と成分(A2)と成分(C)と成分(E)と成分(F) と成分(H)と成分(I)から得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して0.1重量部

【0086】
[比較例1]
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
実施例1で得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して、2本ロールを用い、(B)直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン0.55重量部を加えて均一になるまで混合し、続いて(G)反応抑制剤0.1重量部を加えて均一になるまで混練した後に、(D)白金0.05重量部を混合し均一になるまで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。表2に各原材料の重量比を示す。比較例1のシリコーンゴム系硬化性組成物も、同様の操作で、繰り返し3回作製した。シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド作製後の各工程の作業時間を表2に示す。
また、実施例1同様、得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて作製した試験片について評価を行った。結果を表2に示す。
【0087】
[比較例2]
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
実施例2で得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して、2本ロールを用い、(D)白金0.05重量部を加えて均一になるまで混合し、続いて(G)反応抑制剤0.1重量部を加えて均一になるまで混練した後に、(B)直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン0.55重量部を加えて均一になるまで混合し、シリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。表2に各原材料の重量比を示す。比較例2のシリコーンゴム系硬化性組成物も、同様の操作で、繰り返し3回作製した。シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド作製後の各工程の作業時間を表2に示す。
また、実施例1同様、得られたシリコーンゴム系硬化性組成物を用いて作製した試験片について評価を行った。結果を表2に示す。

【0088】
【表2】


(※1)成分(A1) と成分(A2)と成分(C)と成分(E)と成分(F) と成分(H)と成分(I)から得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して0.55重量部
(※2)成分(A1) と成分(A2)と成分(C)と成分(E)と成分(F) と成分(H)と成分(I)から得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して0.05重量部
(※3)成分(A1) と成分(A2)と成分(C)と成分(E)と成分(F) と成分(H)と成分(I)から得られたシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド100重量部に対して0.1重量部
【0089】
実施例1と比較例1は同組成及び同ロットのシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンドを用いており、実施例1は第1混合成分を作製した後に触媒を混練し、一方で、比較例1はシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンドに順次、架橋剤及び反応抑制剤及び触媒を混練してシリコーンゴム系硬化性組成物を調整した。すなわち予め第一混合成分を作製する効果が見ることが出来る。
表3に示すように、シリコーンゴム系硬化性組成物を硬化させたシリコーンゴムシートを作製する場合、実施例1では第1混合成分を作製後保存することが出来るため、触媒を混練するのみだが、一方で、比較例1は、シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンドを作製後保存可能だが、その後に粘度の異なる架橋剤及び触媒を混合する必要があった。すなわち実施例1は比較例1に比べ、シート加工時に必要な混合時間は大幅に短縮されたため、実際の生産の経済性に優れている。
また物性面では、実施例1は比較例1に比べ、医療用材料に必要な引張強度及び引裂き強度に優れ、なおかつ、引張り強度、及び引張時の切断伸び、及び引裂き強度、及び100%モジュラスの標準偏差が小さい。すなわち各種物性のばらつきが少ないことがわかる。物性のばらつきには、薬品の投入精度、及び架橋剤(B)及び触媒(D)がゴム中で投入されてからの混練時間が影響すると考えられる。実施例1の方が比較例1に比べて架橋剤(B)及び触媒(D)をゴム中に投入後、混合に必要な時間が短く、さらに一定であるため強度に優れ、及び物性のばらつきが抑制された。
【0090】
実施例2と比較例2は同組成及び同ロットのシリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンドを用いており、表4に示すように、実施例2は第1混合成分及び第2混合成分を用いることで生産の経済性により優れることはもちろん、架橋剤及び触媒投入後の混合時間を一定にすること出来る。一方で比較例2には最後に架橋剤を混練するが、粘度が大きく異なり、また量が多いことから、架橋剤及び触媒投入後の混合時間が長く、また一定にすることが困難である。すなわち架橋剤及び触媒投入後の混合時間が異なり、一定でない場合の効果が見ることが出来る。
【0091】
表4に示すように、上記の通り、シート加工時に必要な混合時間は大幅に短縮されており、実際の生産の経済性に優れている。
また物性面では、実施例2は比較例2に比べ、医療用材料に必要な引張強度及び引裂き強度に優れる。特に引張り強度、及び引張時の切断伸び、及び引裂き強度、及び100%モジュラスの標準偏差が、実施例2は比較例2に比べて大幅に小さい。すなわち各種物性のばらつきが顕著に改善されている。
上記の通り、架橋剤(B)及び触媒(D)をゴム中に投入後、混合に必要な時間が短く、さらに一定であるため、強度に優れ、及び物性のばらつきが抑制された。
【表3】

*1:シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド及び第1混合成分及び第2混合成分は長期保存が可能であるので、その工程を除いた混合時間。
【表4】

*1:シリコーン樹脂組成物ゴムコンパウンド及び第1混合成分及び第2混合成分は長期保存が可能であるので、その工程を除いた混合時間。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋剤とビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)とを含む第1混合成分を用いることを特徴とするシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記第架橋剤が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)である請求項1記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記第1混合成分は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と、表面に疎水性官能基を有する無機ケイ素フィラー(C)と、を含む請求項1または2記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)は、下記式(1)で示されるものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物。
【化1】


(式(1)中、mは1〜1000の整数、nは3000〜10000の整数であり、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基、Rは炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基であり、複数あるR及びRの少なくとも1つ以上がアルケニル基である。)

【請求項5】
前記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、下記式(2)で示されるものである請求項2または3に記載のシリコーンゴム系硬化性組成物。
【化2】


(式(2)中、mは0〜300の整数、nは(300−m)の整数である。Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、又はヒドリド基である。Rは炭素数1〜10の置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、又はヒドリド基である。ただし、R及びRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。Rは炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキル基、アリール基、又はこれらを組み合わせた炭化水素基である。)
【請求項6】
前記第1混合成分は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、無機ケイ素フィラー(C)を0〜150重量部含む、請求項3記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記無機ケイ素フィラー(C)は、疎水性官能基を少なくとも一種含む、請求項3または6記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記表面に疎水性官能基を有する無機ケイ素フィラー(C)は、比表面積が30〜500m/g、平均1次粒子径が100nm以下である、請求項3、6、7のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の第1混合成分と、触媒(D)とビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)とを含む第2混合成分と、を用いるシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項9記載の第2混合成分は、請求項4記載のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と、触媒(D)と、を含む請求項9記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
前記第2混合成分は、請求項4記載のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)と、請求項8記載の無機ケイ素フィラー(C)と、触媒(D)と、を含む請求項9記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
前記混合成分は、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対し、無機ケイ素フィラー(C)を0〜150重量部含む、請求項9ないし11のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
前記触媒が白金化合物である請求項9ないし12のいずれか1項に記載のシリコーンゴム系硬化性樹脂組成物。



【公開番号】特開2012−211232(P2012−211232A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76921(P2011−76921)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】