説明

シリンダ錠の保護装置

【課題】マグネットキー部をマグネット錠の当接面に対して容易且つスムーズに密着状態とすることができ、ロック解除時の操作性を向上させることができるシリンダ錠の保護装置を提供する。
【解決手段】キー孔2aを開閉するシャッター3と、閉塞位置にあるシャッター3と係合してロックするマグネット錠Mと、イグニッションキーIKの把持部IKaに形成されるマグネットキー部7とを具備し、マグネットキー部7をマグネット錠Mの当接面S2に当接させることにより当該マグネット錠Mによるロックを解除可能とされたシリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置において、マグネットキー部7は、把持部IKaに形成された揺動軸Lを中心に揺動可能とされ、その向きが当該把持部IKaに対して任意に変更可能とされたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車等に装備されるシリンダ錠の破壊等を防止し得るシリンダ錠の保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、第三者によるはさみやドライバ等のキー孔への差し込みで二輪車等のシリンダ錠がいたずらされて破壊されるのを防止するために、例えば特許文献1で開示されたシリンダ錠の保護装置が提案されている。かかる保護装置は、キー孔を閉状態とする閉塞位置から当該キー孔を開状態とする開放位置まで回動可能なシャッターと、該シャッターを開放位置から閉塞位置に付勢するねじりバネと、開放位置のシャッターを係止する押しボタンと、シャッターを閉塞位置に保持することによりキー孔を閉塞して施錠するマグネット錠と、磁石の磁気によってマグネット錠を解錠するマグネットキー部とを具備していた。
【0003】
上記保護装置によれば、押しボタンを押圧操作すれば、ねじりバネの付勢力でシャッターが閉塞位置まで回動し、キー孔を閉塞状態とするとともに、マグネットキー部にてマグネット錠によるロックを解除しつつシャッターを開放位置まで回動させることができる。マグネット錠には、閉塞位置にあるシャッターと係合してロックし得る複数の磁石を有しているとともに、マグネットキー部には当該マグネット錠側の磁石と対向し得る複数の磁石が形成されている。
【0004】
然るに、マグネットキー部の当接面をマグネット錠の当接面に当接させることにより当該マグネット錠の磁石とマグネットキー部の磁石とを対向させて反発力を生じさせ、その反発力にてマグネット錠の磁石を移動させてシャッターとの係合を解除させ、当該シャッターに対するロックを解除し得るよう構成されていた。マグネットキー部は、イグニッションキーの把持部に一体成形されており、持ち運びに便利とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−239581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のシリンダ錠の保護装置においては、マグネットキー部がイグニッションキーの把持部に対して一体成形されていたので、以下の如き問題があった。
マグネット錠によるロックを解除する際、当該マグネット錠の磁石とマグネットキー部の磁石とを近接させて十分な反発力を生じさせるべく、マグネットキー部の当接面をマグネット錠の当接面に対して密着させた状態にて当接させる必要がある。しかし、シリンダ錠の保護装置の取り付け状態や向き、或いはマグネット錠の配設位置や向き等は様々であり、且つ、マグネット錠によるロックを解除操作する者のイグニッションキーの把持の仕方も様々である。然るに、マグネットキー部がイグニッションキーの把持部に一体成形されていると、当該マグネットキー部の当接面をマグネット錠の当接面に密着させて当接しようとしたとき、イグニッションキーを不自然な体勢或いは持ち方にて把持しつつ操作しなければならない場合があり、キー面同士がしっかり密着しないので滑り易く、操作性が悪くなってしまう虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、マグネットキー部をマグネット錠の当接面に対して容易且つスムーズに密着状態とすることができ、ロック解除時の操作性を向上させることができるシリンダ錠の保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、シリンダ錠のキー孔の上方に設けられるハウジングと、該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、前記キー孔を開閉するシャッターと、閉塞位置にある前記シャッターと係合してロックする複数の係止用磁石を有して成るマグネット錠と、前記キー孔に挿抜されるイグニッションキーの把持部に形成されるとともに、前記係止用磁石と対向して反発力を生じさせ得る複数の解除用磁石を有して成り、当該解除用磁石により生じた反発力にて前記係止用磁石の前記シャッターとの係合を解除し、当該シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするマグネットキー部とを具備し、前記マグネットキー部をマグネット錠の当接面に当接させることにより当該マグネット錠によるロックを解除可能とされたシリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置において、前記マグネットキー部は、前記把持部に形成された揺動軸を中心に揺動可能とされ、その向きが当該把持部に対して任意に変更可能とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシリンダ錠の保護装置において、前記マグネットキー部は、前記把持部に配設された付勢手段により付勢されたボール状部材又はピン状部材にて常時押圧された状態にて組み付けられることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のシリンダ錠の保護装置において、前記マグネットキー部は、前記付勢手段にて付勢されたボール状部材又はピン状部材を嵌入させ得る凹部が複数形成され、当該ボール状部材又はピン状部材を何れの凹部に嵌入させるかに応じて前記把持部に対する向きが任意に決定され、その向きが保持され得るよう構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、マグネットキー部は、把持部に形成された揺動軸を中心に揺動可能とされ、その向きが把持部に対して任意に変更可能とされたので、マグネットキー部をマグネット錠の当接面に対して容易且つスムーズに密着状態とすることができ、ロック解除時の操作性を向上させることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、マグネットキー部は、把持部に配設された付勢手段により付勢されたボール状部材又はピン状部材にて常時押圧された状態にて組み付けられるので、マグネットキー部を揺動してその向きを変更する際、ボール状部材又はピン状部材との間で適度な摩擦力が生じ、マグネット錠に対するロック解除時の操作性をより向上させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、マグネットキー部は、付勢手段にて付勢されたボール状部材又はピン状部材を嵌入させ得る凹部が複数形成され、当該ボール状部材又はピン状部材を何れの凹部に嵌入させるかに応じて当持部に対する向きが任意に決定され、その向きが保持され得るので、マグネットキー部の把持部に対する向きを操作者の好みに応じた状態に保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るシリンダ錠の保護装置を示すハウジングの外観を示す正面図及び側面図
【図2】同シリンダ錠の保護装置におけるハウジングの内部構成(シャッターが開放位置)を示す模式図
【図3】同シリンダ錠の保護装置におけるハウジングの内部構成(シャッターが閉塞位置)を示す模式図
【図4】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネット錠(シャッターをロックした状態)を示す断面模式図
【図5】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネット錠(シャッターのロックを解除した状態)を示す断面模式図
【図6】同シリンダ錠の保護装置におけるイグニッションキー(マグネットキー部が揺動される前)を示す平面図、正面図及び側面図
【図7】図6におけるVII−VII線断面図
【図8】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネットキー部(揺動前)を示す拡大図
【図9】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネットキー部(揺動後)を示す拡大図
【図10】同シリンダ錠の保護装置におけるイグニッションキー(マグネットキー部が揺動された後)を示す正面図
【図11】同シリンダ錠の保護装置におけるイグニッションキー(マグネットキー部が揺動された後)を示す断面図
【図12】同シリンダ錠の保護装置におけるイグニッションキーを示す分解斜視図
【図13】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネットキー部(揺動前)をシリンダ錠の当接面に当接させた状態を示す側面図
【図14】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネットキー部(一方向へ揺動後)をシリンダ錠の当接面に当接させた状態を示す側面図
【図15】同シリンダ錠の保護装置におけるマグネットキー部(他方向へ揺動後)をシリンダ錠の当接面に当接させた状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るシリンダ錠の保護装置は、二輪車が具備するシリンダ錠のキー孔上方に設けられ、当該キー孔を外側から開閉可能とすることによりシリンダ錠を保護し得るもので、図1〜図6に示すように、ハウジング1と、シャッター3と、マグネット錠Mと、マグネットキー部7(図6参照)とから主に構成されている。
【0016】
ハウジング1は、ケースとカバーとから構成され、シリンダ錠におけるロータ2に形成されたキー孔2aの上方に設けられるものである。このハウジング1には、図4、5に示すように、略円筒状に突出形成されたボス部1aが形成されており、当該ボス部1aにシャッター3の基端側が取り付けられている。これにより、シャッター3は、その基端側がボス部1aと嵌合しつつ当該ボス部1aを中心として回動し得るようになっている。尚、図中符号4は、ボス部1aとシャッター3との間をシールするシール手段を示している。
【0017】
シャッター3は、上述の如くボス部1aを中心として回動することで、ハウジング1内で閉塞位置(図3参照)と開放位置(図2参照)との間で移動可能とされ、キー孔2aを開閉するためのもので、非磁性体材料から成る。尚、シャッター3全体の形状は、ハウジング1全体の形状及び大きさや、他の構成要素のレイアウト等により任意に変更することができる。
【0018】
かかるシャッター3の基端側には、図4に示すように、閉塞位置にあるシャッター3と係合してロックする複数の係止用磁石5を有して成るマグネット錠Mが配設されている。このマグネット錠Mは、ボス部1aの所定部位に形成された穴部1aaに係止用磁石5及びスプリング6をそれぞれ収容して構成されており、当該係止用磁石5がスプリング6により常時上方へ付勢された状態とされている。
【0019】
一方、シャッター3の基端側におけるボス部1aと対向する面であって、シャッター3が閉塞位置にあるときに穴部1aaと合致する位置には、係止用穴3aが複数設けられている。これにより、シャッター3が開放位置にあるときは、係止用穴3aが穴部1aaと合致せず、係止用磁石5は穴部1aa内に没入された状態とされるとともに、シャッター3が閉塞位置に至ると、係止用穴3aが穴部1aaと合致し、スプリング6の付勢力により係止用磁石5が係止用穴3a内まで突出し得るようになっている。
【0020】
而して、係止用磁石5が係止用穴3a内まで突出することにより、シャッター3と係合することとなり、当該シャッター3の回動を規制してロックすることとなる。尚、係止用磁石5は、上部と下部とが互いに異なる極(N極又はS極)となるよう構成されており、S極側が係止用穴3aに係止するものと、N極側が係止用穴3aに係止するものとを選択的に配置している。
【0021】
シャッター3の基端側におけるボス部1aと対向する面とは反対側の面には、係止凸部3bが形成されるとともに、当該係止凸部3bの内側がマグネット錠Mの当接面S2を成している。かかる当接面S2は、マグネットキー部7の近接面S1(図6参照)が密着状態にて当接可能とされる平坦面から成り、当該当接面S2に近接面S1を密着状態で当接させることにより、係止凸部3bがマグネットキー部7先端の形状と合致して嵌合し得るようになっている。
【0022】
マグネットキー部7は、図6、7に示すように、キー孔2aに挿抜されるイグニッションキーIKの把持部IKaに形成されたものである。かかるイグニッションキーIKは、図12に示すように、把持部IKaの他、キー山及びキー溝が形成されたキー部IKbと、キー部IKbを把持部IKaに固定させるための固定ピンPと、トランスポンダ11及び該トランスポンダ11を収容しつつ把持部IKa内に固定されるケース12と、ロゴ等が記載された化粧カバー14とを具備している。
【0023】
そして、把持部IKaを把持しつつキー部IKbをキー孔2aに挿入して回動することにより、車両のエンジンを始動させるオン位置、当該エンジンを停止させるオフ位置及び操舵のためのハンドルバーをロックするロック位置の間で操作可能とされている。尚、本実施形態においては、キー部IKbをキー孔2aに挿入した状態で、トランスポンダ11から電波等にて発信された認証コードを受信し得るよう構成されており、その受信した認証コードが正規のものであると認証された場合に限り、エンジン始動を許可するようになっている。このトランスポンダ11は、適宜配設されるものとし、配設されないシリンダ錠の保護装置としてもよい。
【0024】
然るに、マグネットキー部7は、把持部IKaとは別体部品から成り、当該把持部IKaに取り付けられる揺動軸Lを中心として揺動可能とされているとともに、マグネット錠Mの係止用磁石5と対向して反発力を生じさせ得る複数の解除用磁石8を有している。かかる解除用磁石8は、マグネットキー部7内に収容され、表面カバー13にて当該マグネットキー部7を覆うことにより固定されている。尚、表面カバー13の表面は、マグネットキー部7の近接面S1を構成しており、マグネットキー部7をマグネット錠Mの当接面S2に当接させると、当該当接面S2と近接面S1とが対向した状態にて近接(又は当接であってもよい)するようになっている。
【0025】
而して、マグネットキー部7をマグネット錠Mの当接面S2(シャッター3の基端側表面であって係止凸部3bで囲まれた面)に当接させると、図5で示すように、当接面S2と近接面S1とが近接し、マグネット錠Mの複数の係止用磁石5に対し、シャッター3の基端部を介して複数の解除用磁石8のそれぞれが対応しつつ対向するよう設定されている。ここで、解除用磁石8は、係止用磁石5と対向する部位(図中下部)が当該係止用磁石5の図中上部(係止用穴3aに嵌入した部位)とは異なる極(S極又はN極)とされており、互いに対向しつつ近接することにより反発力が生じるようになっている。
【0026】
よって、解除用磁石8により生じた反発力にて係止用磁石5をスプリング6の付勢力に抗して下方へ移動させて穴部1aaに没入させることができ、これによりシャッター3との係合が解除されて、当該シャッター3を閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とすることができる。即ち、マグネットキー部7をマグネット錠Mの当接面S2に当接させることにより当該マグネット錠Mによるロックを解除することができるので、その状態からイグニッションキーIKを回転操作すれば、シャッター3を開放位置まで回動することができるのである。
【0027】
本実施形態においては、上述の如く、マグネットキー部7は、把持部IKaに形成された揺動軸Lを中心に揺動可能とされ、その向きが把持部IKaに対して任意に変更可能とされたので、マグネットキー部7をマグネット錠Mの当接面S2に対して容易且つスムーズに密着状態とすることができ、ロック解除時の操作性を向上させることができる。
【0028】
ここで、本実施形態においては、図12に示すように、付勢手段としてのスプリング9と、ボール状部材10(ピン状部材であってもよい)とが把持部IKa内に配設されており、図7に示すように、スプリング9により付勢されたボール状部材10(又はピン状部材)にてマグネットキー部7が常時押圧された状態にて組み付けられている。また、マグネットキー部7におけるボール状部材10(又はピン状部材)が押圧される部位には、スプリング9にて付勢されたボール状部材10(又はピン状部材)を嵌入させ得る複数(本実施形態においては3つ)の凹部(中央凹部7a、左側凹部7b、右側凹部7c)が形成されている。
【0029】
そして、ボール状部材10(又はピン状部材)を何れの凹部(7a、7b、7c)に嵌入させるかに応じて把持部KIaに対するマグネットキー部7の向きが任意に決定され、その向きが保持され得るよう構成されている。例えば、図8に示すように、中央凹部7aにボール状部材10(又はピン状部材)を嵌入させた状態とすれば、マグネットキー部7の向き(近接面S1が形成された向き)は、図6、7で示すように、キー部IKbの延設方向と略平行且つ反対向きとされ、その向きが保持される。この場合、マグネットキー部7をマグネット錠Mの当接面S2に当接すると、図13に示す如き状態となる。
【0030】
また、マグネットキー部7を揺動軸Lを中心として揺動させ、図9に示すように、左側凹部7bにボール状部材10(又はピン状部材)を嵌入させた状態とすれば、マグネットキー部7は、図10、11で示すように、キー部IKbの延設方向に対してα°傾斜した向きとされ、その向きが保持される。この場合、マグネットキー部7をマグネット錠Mの当接面S2に当接すると、図14に示す如き状態となる。同様に、マグネットキー部7を揺動軸Lを中心として揺動させ、右側凹部7cにボール状部材10(又はピン状部材)を嵌入させた状態とすれば、マグネットキー部7は、キー部IKbの延設方向に対してα°傾斜した向き(左側凹部7bに嵌入させた場合とは反対方向に傾斜した向き)とされ、その向きが保持される。この場合、マグネットキー部7をマグネット錠Mの当接面S2に当接すると、図15に示す如き状態となる。尚、α°は、30°程度(中央から右側に30°及び左側に30°)が好ましい。
【0031】
本実施形態によれば、マグネットキー部7は、把持部IKaに配設されたスプリング9(付勢手段)により付勢されたボール状部材10(又はピン状部材)にて常時押圧された状態にて組み付けられるので、マグネットキー部7を揺動してその向きを変更する際、ボール状部材10(又はピン状部材)との間で適度な摩擦力が生じ、マグネット錠Mに対するロック解除時の操作性をより向上させることができる。
【0032】
更に、マグネットキー部7は、スプリング9(付勢手段)にて付勢されたボール状部材10(又はピン状部材)を嵌入させ得る凹部(7a、7b、7c)が複数形成され、当該ボール状部材10(又はピン状部材)を何れの凹部(7a、7b、7c)に嵌入させるかに応じて把持部IKaに対する向きが任意に決定され、その向きが保持され得るので、マグネットキー部7の向きを操作者の好みに応じた状態(図13〜図15の何れかの状態)に保持させることができる。尚、マグネットキー部7が揺動軸Lを中心として揺動する際、ボール状部材10(又はピン状部材)が一の凹部から隣の凹部に至る過程で、その間の山部(隣合う凹部間の山部)を乗り越えることとなり、適度な節度を生じさせることができ、操作性をより向上させることができる。
【0033】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばマグネットキー部は、把持部に形成された揺動軸を中心に揺動可能とされ、その向きが当該把持部に対して任意に変更可能とされるとともに、その変更後の向きが保持されないもの(付勢手段で付勢されたボール状部材又はピン状部材を凹部に嵌入させる構成でないもの)としてもよい。また、本実施形態においては、ボール状部材またはピン状部材を付勢する付勢手段としてスプリング9を用いているが、これに代えて他の付勢手段(弾性部材や板バネ等)としてもよい。更に、本実施形態においては、二輪車に適用されているが、イグニッションキーを挿抜可能なシリンダ錠を具備したものであれば、他の車両に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
マグネットキー部は、把持部に形成された揺動軸を中心に揺動可能とされ、その向きが当該把持部に対して任意に変更可能とされたマグネットキー部を有したシリンダ錠の保護装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 ハウジング
2 ロータ
2a キー孔
3 シャッター
4 シール手段
5 係止用磁石
6 スプリング
7 マグネットキー部
7a、7b、7c 凹部
8 解除用磁石
9 スプリング(付勢手段)
10 ボール状部材
11 トランスポンダ
12 ケース
13 表面カバー
14 化粧カバー
M マグネット錠
IK イグニッションキー
IKa 把持部
S1 (マグネットキー部の)近接面
S2 (マグネット錠の)当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ錠のキー孔の上方に設けられるハウジングと、
該ハウジング内で閉塞位置と開放位置との間で移動可能とされ、前記キー孔を開閉するシャッターと、
閉塞位置にある前記シャッターと係合してロックする複数の係止用磁石を有して成るマグネット錠と、
前記キー孔に挿抜されるイグニッションキーの把持部に形成されるとともに、前記係止用磁石と対向して反発力を生じさせ得る複数の解除用磁石を有して成り、当該解除用磁石により生じた反発力にて前記係止用磁石の前記シャッターとの係合を解除し、当該シャッターを閉塞位置から開放位置まで移動可能な状態とするマグネットキー部と、
を具備し、前記マグネットキー部をマグネット錠の当接面に当接させることにより当該マグネット錠によるロックを解除可能とされたシリンダ錠を保護し得るシリンダ錠の保護装置において、
前記マグネットキー部は、前記把持部に形成された揺動軸を中心に揺動可能とされ、その向きが当該把持部に対して任意に変更可能とされたことを特徴とするシリンダ錠の保護装置。
【請求項2】
前記マグネットキー部は、前記把持部に配設された付勢手段により付勢されたボール状部材又はピン状部材にて常時押圧された状態にて組み付けられることを特徴とする請求項1記載のシリンダ錠の保護装置。
【請求項3】
前記マグネットキー部は、前記付勢手段にて付勢されたボール状部材又はピン状部材を嵌入させ得る凹部が複数形成され、当該ボール状部材又はピン状部材を何れの凹部に嵌入させるかに応じて前記把持部に対する向きが任意に決定され、その向きが保持され得るよう構成されたことを特徴とする請求項2記載のシリンダ錠の保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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