説明

シロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置

【課題】誘導された対象害虫のみならず、巣内の対象害虫を全滅できるシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置を提供すること。
【解決手段】装置本体の設置面より所定の高さを有するステージの略中央に配置された毒餌置場と、前記設置面とステージを結ぶスロープ部と、鏡面仕上げされた壁部材と、スロープを形成すると共に、当該スロープの一部に孔を形成し、鏡面仕上げされた屋根部材とからなり、前記壁部材は、前記毒餌置場とステージの周囲を囲蔽すると共に、スロープ部に対応する下端位置に対象害虫の通過可能なスリット部を有し、前記毒餌置場に形成された対象害虫侵入孔には、前記設置面まで達する柱状部材が配設されたので、誘導された対象害虫がスロープ部から毒餌置場に到達し、ここで毒餌を摂取して死亡し、或いは毒餌と接触した対象害虫が帰巣し、または毒餌を営巣に持ち帰ることにより巣内の対象害虫を全滅することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロアリ等を誘引して捕獲し、或いは毒餌を巣に持ち帰らせて巣全体を駆除するシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋等の木造構造物をシロアリの被害から保護するために、シロアリの存在する可能性のある領域、あるいは、シロアリの被害を予防することが必要な領域に殺虫剤を散布する方法が行われている。
【0003】
しかし、巣の所在を特定せずに多量の殺虫剤を散布することは、生き残ったシロアリに薬剤耐性を与えるなどの問題があり、環境への影響等を考慮すると大量の殺虫剤を散布することは好ましくない。
【0004】
そこで、所定の容器内に誘引剤及び殺虫剤を配置してシロアリを容器内に集め、容器内でシロアリ駆除用の薬剤と接触すると、この薬剤を摂餌または接触したシロアリが駆除されると共に、このようなシロアリ自体が帰巣後に死亡することで巣内に薬剤が散布され、或いは殺虫剤を持ち帰ることで営巣しているシロアリの群れ全体を駆除できる可能性がある。
【0005】
例えば、特開平9−313084号公報に記載のシロアリの誘引装置は上面開口の容器にシロアリの餌木を収容し、前記容器の底部に排水管を連結し、この排水管及び容器の側壁にシロアリが通過可能な孔を形成して、誘引する構成である。また、土中に埋設された排水管からは、餌木に接触した水が浸透し、容器内へシロアリを誘引して、餌木に営巣させた状態で捕獲するものである。
【特許文献1】特開平9−313084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような構成の従来のシロアリの誘引装置にあっては、装置内の餌木に営巣するまで時間がかかる上に、何時、シロアリの群れが従来の巣から装置内に引っ越したかを知ることは困難である。また、必ず装置内の餌木に営巣するとは、限らず、不確実な駆除方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は装置本体の設置面より所定の高さを有するステージの略中央に配置された毒餌置場と、前記設置面とステージを結ぶスロープ部と、鏡面仕上げされた壁部材と、スロープを形成すると共に、当該スロープの一部に孔を形成し、鏡面仕上げされた屋根部材とからなり、前記壁部材は、前記毒餌置場とステージの周囲を囲蔽すると共に、スロープ部に対応する下端位置に対象害虫の通過可能なスリット部を有し、前記毒餌置場に形成された対象害虫侵入孔には、前記設置面まで達する柱状部材が配設されたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明において、前記スロープ部は、梨地等の滑り難い形状に構成されたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明において、前記柱状部材は、表面が粗面形成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明は前記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0011】
請求項1に記載の発明では、設置面より所定の高さを有するステージの略中央に配置された毒餌置場と、前記設置面とステージを結ぶスロープ部と、鏡面仕上げされた壁部材と、スロープを形成すると共に、当該スロープの一部に孔を形成し、鏡面仕上げされた屋根部材とからなり、前記壁部材は、前記毒餌置場とステージの周囲を囲蔽すると共に、スロープ部に対応する下端位置に対象害虫の通過可能なスリット部を有し、前記毒餌置場に形成された対象害虫侵入孔には、前記設置面まで達する柱状部材が配設されたので、毒餌に誘導された対象害虫がスリット部を通過して、スロープ部から毒餌置場の餌に誘導され、毒餌置場に到達し、ここで毒餌を摂取して死亡し、或いは毒餌と接触した対象害虫が毒餌に汚染されたまま帰巣し、または毒餌を営巣に持ち帰ることにより巣内の対象害虫を全滅することができる。
また、スロープの一部に孔を形成し、鏡面仕上げされた屋根部材から、対象害虫が落下して直接装置内部に導かれる。更に、毒餌置場が設置面より所定の高さに配置されるとともに、上面及び周囲が囲蔽されているので、屋外に設置しても毒餌置場の毒餌が湿気で劣化するのを防止できる。更に、スリット部を設けたので、アリ類以外の昆虫等の侵入を防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、前記スロープ部は、梨地等の滑り難い形状に構成されたので、毒餌に誘導された対象害虫がスロープ部を容易に登り大量の対象害虫を誘引することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、前記柱状部材は、表面が粗面形成されたので、装置直下の対象害虫が柱状部材から直接装置内部に到達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、設置面より所定の高さを有するステージの略中央に配置された毒餌置場と、前記設置面とステージを結ぶスロープ部と、鏡面仕上げされた壁部材と、内側に向けてスロープを形成すると共に、当該スロープの一部に孔を形成し、鏡面仕上げされた屋根部材とからなり、前記壁部材は、前記毒餌置場とステージの周囲を囲蔽すると共に、スロープ部に対応する下端位置に対象害虫の通過可能なスリット部を有し、前記毒餌置場に形成された対象害虫侵入孔には、前記設置面まで達する柱状部材が配設されたので、屋外に設置しても毒餌が湿気で劣化することがない。
【実施例1】
【0015】
以下、一実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明に係るシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置の屋根部材を取り除いた平面図、図2は図1に於けるA−A線断面図、図3は図1に於けるB−B線断面図である。ここで、シロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置10は、設置面より所定の高さHを有するステージ13の略中央に配置された毒餌置場12と、前記設置面11とステージ13を結ぶスロープ部14と、鏡面仕上げされた壁部材16と、スロープ20を形成すると共に、当該スロープ20の一部に孔19を形成し、鏡面仕上げされた屋根部材15とからなり、前記壁部材16は、前記毒餌置場12とステージ13の周囲を囲蔽すると共に、スロープ部14に対応する下端位置に対象害虫の通過可能なスリット部18を有し、前記毒餌置場12に形成された対象害虫侵入孔21には、前記設置面11まで達する柱状部材22が配設されている。
【0016】
対象害虫侵入孔21は、例えば、毒餌置場12の四隅に形成されており、略瓢箪形をしており、上から柱状部材22を打ち込んでも、頭部で対象害虫侵入孔21が塞がれる事なく、対象害虫が出入りできる。図6は、対象害虫侵入孔19と柱状部材22の関係を示す説明図である。柱状部材22は、害虫が登り易いように小さな凹凸が形成されている。また、柱状部材22は、装置本体の固定に利用することができる。
【0017】
毒餌置場12及びステージ13、スロープ部14は、ステンレス鋼等の板、合成樹脂等で一体的に構成してもよい。ステージ13の中央に設置された、毒餌置場12の一部に対象害虫侵入孔21が形成されており、柱状部材22が上から挿入され設置面11まで到達している。柱状部材22は、粗面かつ棒状に形成されて、対象害虫が昇降容易となっている。特に、スロープ部14は、対象害虫が歩き易いように梨地、細かい凹凸等の滑り難い形状に構成する。また、壁部材16は、ステンレス鋼等の板、合成樹脂等の表面が鏡面加工された、滑り易い部材で形成し、対象害虫が登ることができないように加工する。
【0018】
屋根部材15は、図3、4等に示すように複数のスロープ20を有する凹部が複数形成されており、表面が鏡面仕上げされている。また、凹部の底には孔19が形成されている。この孔19から対象害虫が装置内へ誘導される構造である。孔19の平面位置は、下に設置される毒餌置場12の位置から外れるように設定する。本実施例においては、孔19を2箇所に設けそれぞれの孔に向かって傾斜するようにスロープ20を設けている。スロープ20は、平面を傾斜させたものでもよいし、曲面であってもよい。なお、孔の数は2個に限ることなく、3個以上であってもよい。
【0019】
また、屋根部材15は、壁部材16の内壁上端に設けられた鉤部材23により、装置上面に設置される。また、取り外す場合にも、容易に取り外すことができ、対象害虫の誘導状態や毒餌の状態を容易に点検できる。
【0020】
スリット部18は、図に示す例では、本体の四面に形成されたているが、2面或いは3面であってもよい。また、このスリット部18は、装置本体の四隅に形成されてもよい。スリット部18の高さHは、約5mm程度の対象害虫が通過できる寸法とする。
【0021】
以上のように構成された本発明に係るシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置10の使用方法について説明する。先ず、シロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置10を対象害虫等を駆除するべき場合に設置する。本発明のシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置10は、屋外であっても設置することができる。また、床下等の屋内であってもよい。設置場所の付近に対象害虫が棲息していれば、毒餌置場12に置かれた毒餌の匂いに誘われて装置に近づき、スロープ部14から侵入する。侵入した対象害虫は、ステージ13から毒餌置場12に到達し、ここに置かれた毒餌に触れる。毒餌に触れた対象害虫は、再度自分の巣穴に戻り、他の仲間の対象害虫に接触して、2、3日後に接触した全ての対象害虫が死滅する。このようにして、シロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置の毒餌に直接触れた対象害虫のみならず、二次接触した対象害虫も全て駆除することができる。
【0022】
また、壁部材16の表面は鏡面加工されているので滑り易く、対象害虫が壁部材から屋根部材15まで登ることはできない。
【0023】
なお、以上の実施の形態ではシロアリ等の害虫の場合について説明したが、毒餌置場に通常の害虫の好む餌を毒餌とともに混合しておけば、通常の害虫も駆除することもできる。
【0024】
図5は、他の実施例を示す屋根部材を取り除いた平面図である。本実施例において、毒餌置場30を円形に構成したものである。この様に構成した場合であっても、匂いに誘われて装置に近づき、スロープ部14から侵入する。侵入した対象害虫は、ステージ13から毒餌置場30に到達し、毒餌に触れる。毒餌に触れた対象害虫は、再度自分の巣穴に戻り、他の仲間の対象害虫に接触して、2、3日後に接触した全ての対象害虫が死滅する。
【0025】
図7は、他の実施例を示すシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置の縦断面図である。本実施例においては、毒餌置場12の直上に雨水除けの天蓋24を設置したものである。天蓋24は、毒餌置場12よりやや大きく形成されており、下端に複数の出入り孔25が形成されている。
【0026】
以上のように構成した場合、屋根部材15に雨水がかかった場合でも、毒餌置場12が浸水することなく、毒餌が湿気で劣化するのを防止できる。また、屋根部材15から孔19を経て侵入した対象害虫も、毒餌置場12に導くことができる。
【0027】
なお、本発明は上述の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明に係るシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置の屋根部材を取り除いた平面図である。
【図2】図2は、図1に於けるA−A線断面図である。
【図3】図3は、図1に於けるB−B線断面図である。
【図4】図4は、シロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置の屋根部材を外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、他の実施例を示す屋根部材を取り除いた平面図である。
【図6】図6は、対象害虫侵入孔と柱状部材の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
10 シロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置
11 設置面
12 毒餌置場
13 ステージ
14 スロープ部
15 屋根部材
16 壁部材
18 スリット部
19 孔
20 スロープ
21 対象害虫侵入孔
22 柱状部材
23 鉤部材
24 天蓋
25 出入り孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の設置面より所定の高さを有するステージの略中央に配置された毒餌置場と、前記設置面とステージを結ぶスロープ部と、鏡面仕上げされた壁部材と、スロープを形成すると共に、当該スロープの一部に孔を形成し、鏡面仕上げされた屋根部材とからなり、
前記壁部材は、前記毒餌置場とステージの周囲を囲蔽すると共に、スロープ部に対応する下端位置に対象害虫の通過可能なスリット部を有し、
前記毒餌置場に形成された対象害虫侵入孔には、前記設置面まで達する柱状部材が配設されたことを特徴とするシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置。
【請求項2】
前記スロープ部は、梨地等の滑り難い形状に構成されたことを特徴とする請求項1に記載のシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置。
【請求項3】
前記柱状部材は、表面が粗面形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のシロアリ、クロアリ等の徘徊性害虫の除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−131192(P2009−131192A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309678(P2007−309678)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000232564)バイエルクロップサイエンス株式会社 (23)
【出願人】(506394924)株式会社グリーンプロデュース (4)
【Fターム(参考)】