説明

シロアリ誘殺方法並びにシロアリ誘導容器

【課題】樹木や工作物に対するシロアリ防除の従来技術の欠点や問題点を除去し、新規、かつ進歩性のあるシロアリ誘殺方法並びに誘導容器を創始し提供する。
【解決手段】2は円筒体部、3は円錐体部である。円筒体部2の側面にはシロアリを入り易くする形状,サイズの螺旋状又は斜線状切り込み孔5又は横長矩形の切り込み孔6を設けてある。下方に接続された円錐体部3にも同様にシロアリが通過するサイズの螺旋状又は斜線状切り込み孔5又は横長矩形切り込み孔6を設けてある。円筒体部2と円錐体部3との当接する部位には誘導餌取り付け部7が形成される。また、円筒本体2の上面にはロック機構付き蓋が係着される蓋係着部20が固定され、この蓋係着部20にはロック機構付き蓋の係着するためのフック用溝12や水切り用凸部18が形成される。また、円錐体部3の下端には誘導餌を打ち込む穴19が開口形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人と地球環境にやさしいコンセプトで開発された、最新のシロアリ誘殺方法並びにシロアリ誘導容器に関するものである。古来、人の命を守るシェルタ−として、建築物は住居に供されてきたが、その構成木材を食害する害虫としてシロアリが棲息し、被害が後を絶たない。日本には約20種のシロアリが棲息しているが、建築物などの構造物に被害を与えるのは数十万匹の集団のヤマトシロアリと数百万匹の集団のイエシロアリの二種である。何れのシロアリも、地中或いは地上の木材などを大量に餌とし、建築物の土台、柱、梁などを加害するので、構造耐力を失ってしまい、構造耐力を失った建築物は地震時に倒壊・崩壊する。阪神淡路大震災では建物等の倒壊崩壊の下敷きになっての圧死或いは後から襲ってくる火災による焼死で多くの人命が失われた。人命を守るためにシロアリを駆除する必要がある。
【背景技術】
【0002】
我が国におけるシロアリ防除技術は明治時代まで遡ることが出来る。その防除方法として最も使用されてきた殺蟻性物質はヒ素(砒素、特に亜砒酸)である。砒素をシロアリが好む小麦粉などに混和した毒餌剤として使用してきた。砒素剤は少量で人を含む動物を殺す猛毒なので、その使用は数々の工夫が行われ、その名称は誘殺法(又は集殺法)といわれた。誘殺法の中には水を使う方法も導入されていた。
【0003】
シロアリの加害による建物倒壊は堂倒(なまって、ドウト)、或いは寺倒(なまってテラド)と恐れられてきた。このため我が国では明治になってシロアリ防除を業とする職業人があらわれた。彼らは家伝・秘伝の薬剤を駆使してシロアリを駆除した。その薬剤の主流は砒素剤であり、砒素剤を種々加工して用いた。その代表的なのが砒素剤を小麦粉などと混和した毒餌剤を作り駆除するもので、砒素剤は人を殺す猛毒であるので施薬・処理方法はシロアリ防除技術者により創意工夫がなされその方法を誘殺法又は集殺法と称した。この方法は昭和43年頃まで我が国のシロアリ防除の主流であったが、砒素剤が猛毒であるため、当時人畜無害と喧伝されていた有機系の殺虫剤に取って代わり、建築物の床下の土壌や床組み材などに液体の薬剤を吹き付け散布する土壌処理と木材処理が行われてきた。しかし、最近では、シックハウスや薬物アレルギ−など、建築物に直接薬剤を処理することを嫌う消費者が増えてきた。そこで、このようなニ−ズに応えるべく、昭和43年を境にして使用されなくなったシロアリ誘殺法を改良して再登場したのが、建物に加害しているシロアリを建物外の土壌の中で退治する誘殺法である。
【0004】
従来の技術について説明する。
1番目の従来技術は、実開平6−61083のようなもので「シロアリ用毒餌ブロック」であり、その目的は、シロアリ駆除を行うシロアリ用毒餌ブロックを提供するものである。その構成は、小径の未発泡スチロ−ル粒の表面に遅効性の毒餌剤粉をまぶし、この所定量の未発泡スチロ−ル粒を所定温度に加熱し単一塊を形成したものであり、このシロアリ用毒餌ブロックを床下等に置けば、シロアリは部材内部から食害を始め毒餌剤を確実に取り込むものとなる。
【0005】
2番目の従来技術は、特開平9−526877のようなもので、「白アリの要撃・感殺システムとその使用方法」である。その構成は、白アリの横行をモニタ−し制御する装置と方法とが記載されている。該装置は底部と内外面を具えた側壁と頭部を有した抗白アリ性の容器を含んでいる。頭部はアクセス手段を有しており、これにより容器の内部にアクセスして白アリの存在を確認し、アクセス手段を通して白アリの存在が観測されたら毒性餌を容器内に導入する。容器は白アリが通過できる大きさの少なくとも1個の側壁開口部と1個以上の側壁の内部および/または外部に固定された無毒性餌を有している。白アリが無毒性餌から毒性餌に移行するような種々の構造があり、装置の内外に棲息する白アリの生態を乱さないようにするものである。
【0006】
3番目の従来技術は、実願平11−9403のようなもので、白蟻検出器である。その課題は、家屋の敷地内に設置して白蟻の棲息の確認調査に使用できるように低コストで、電源を必要とせず、更には屋外に長期間設置することに耐えられるようにする。而して、その解決手段は白蟻検出器について、白蟻が好んで食する素材から成る白蟻誘引部材を、土中にその一部が地表に突出するようにして埋設し、前記白蟻誘引部材の地表に突出した部位を耐水性の素材からなる覆部材により覆い、前記覆部材を地面に固定して構成されたものとする。
【0007】
4番目の従来技術は、特願平5−240321のようなもので、シロアリの検出および抑制のための系である。その目的課題は、シロアリの活動を監視し、蔓延の程度を決定しその後、シロアリの活動が検出された場合、その蔓延を抑制するための装置を提供する。而して、その手段構成は、地面のレベルより下の領域に永久的に植え込まれた有孔の外側ハウジング、そのハウジング内に取り出し可能に受容された有孔のカ−トリッジを有する、地下の餌ステ−ションにより、シロアリの検出および抑制の系である。カ−トリッジがハウジング内に受容されるとき、ハウジングおよびカ−トリッジの中の開口は互いに整合する。ハウジング内に受容されたカ−トリッジは、最初に、シロアリの蔓延のレベルを診断するために、無毒の餌材料を含有する。餌のカ−トリッジはシロアリの活動を検査するためにハウジングから周期的に取り出される。シロアリの活動が検出される場合無毒の餌のカ−トリッジは、殺虫剤を含有する餌のカ−トリッジとハウジング内で交換される。
【0008】
5番目の従来技術は、特願平5−217669のようなもので、シロアリを監視および抑制する方法および組成物である。その課題は、シロアリの蔓延が起こった場合、シロアリを抑制する方法で、シロアリのコロニ−それ自体をタ−ゲッティングする方法として、餌を捜す行動および他のシロアリ社会の行動を利用することを課題とする。その手段構成は、シロアリが好む餌配合物を集めおよび分配するシロアリの自然の餌を捜す行動および他の社会的行動を利用する。
【0009】
6番目の従来技術は、特願平6−500744のようなもので、害虫管理の新規な方法および材料である。その要約はある種の害虫管理に有用な物質および方法に関する。
本発明は、社会的な害虫、特にシロアリの駆除に良く適している。即ち、固有な毒物含有マトリックスと共に、害虫の活動を監視し、かつ毒物を提供する装置である。効果として統合された害虫管理プログラムの一部として有用であり、かつ有害な化学薬品を環境に導入するのを大きく減少させることができる。
【0010】
上記従来技術の特許文献のまとめは次の通りである。
【特許文献1】実願平4−72324 実開平6−61083
【特許文献2】特願平9−526877 特表2000−503844
【特許文献3】実願平11−9043 実登録3069278
【特許文献4】特願平5−240321 特開平6−205632
【特許文献5】特願平5−240314 特開平6−217669
【特許文献6】特願平6−500744 特表平9−501041
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記の従来技術では、いずれも性能が不十分でありシロアリ駆除の目的を達成することができない。即ち1番目の従来技術では、小径の未発泡スチロ−ル粒の表面に遅効性の毒餌剤粉をまぶし、この所定量の未発泡スチロ−ル粒を所定温度に加熱し単一塊を形成したブロックを床下に露出して放置することは、有害物質を床下に放置することであり、環境保全上問題がある。更に、毒性のブロックは非常に軽量であり、水に対する浮力があり、床下浸水時に建物外に流出する危険がある。屋外に流出したブロックを幼児がさわったり、嘗めたりする危険がある。また、犬などの動物により持ち去られると共に、それらの動物に有害である。更に、我が国では、シロアリ用の毒餌のシロアリの食べ残しは回収しなければならないが、回収がうまくできない欠点がある。環境と人(特に幼児)や動物に対する安全を確保するには毒餌は容器に入れて用いなければならない。この従来技術ではそれに反している欠点がある。
また2番目の従来技術では、この発明を表す図面は長方形の角形のものばかりで、他に説明もないので、角形容器に限定されている。地面に容器を埋設するときに最も重要なことは、シロアリが地中に構築している坑道を出来るだけ破壊しないことである。角形容器の場合は角形容器の外壁のサイズに合わせた穴を開けることは非常に困難で、シロアリの坑道を破壊する欠点がある。
円筒の容器であればア−スオ−ガ−で円筒型容器の外壁のサイズに合わせた円形の穴を開け、シロアリの坑道を傷つけないで円筒型容器を埋設できるが、この従来技術では、その利点がない。更に、無毒の餌である要撃材が古くなって、シロアリの摂食が悪くなったときに取り替える必要があるが、この従来技術では、容器の側壁に固定しているので、要撃材の入れ替えが出来ない欠点がある。
また、この従来技術では、シロアリの出入り口は角形容器の側壁のみで、底面には無いので容器の下に棲息するシロアリを容器内に誘導できない欠点がある。
更に、角形容器の蓋に穴を設けて角型容器本体と蓋を紐で結わえる構造であるが、この場合雨水や土砂が容器の中に入り、装置全体の機能が低下するという欠点がある。而してかかる容器を埋設するのは個人の住宅のみでなく、事業所や公共施設である公園或いは街路樹のシロアリ駆除に用いられるが、この従来技術では角形容器の蓋にロックが施されていないので、第三者が開閉し効果がなくなると同時に子供が毒餌に接する危険があるという欠点がある。
【0012】
次に3番目の従来技術では、シロアリを検出するだけで、シロアリ駆除の方法、装置機構が全く記載されていないという欠点がある。更に、建物周囲の地表に突出した覆部材を設置すると、歩行中につまずく欠点がある。
また4番目の従来技術では、2番目の従来技術と同じで、この発明を表す図面は長方形の角形のものばかりで、他に説明もないので、角形容器に限定されている。地面に容器を埋設するときに最も重要なことは、シロアリが地中に構築している坑道を出来るだけ破壊しないことである。角形容器の場合は角形容器の外壁のサイズに合わせた穴を開けることは非常に困難で、シロアリの坑道を破壊する欠点がある。
円柱の容器であればア−スオ−ガ−で円柱型容器の外壁のサイズに合わせた円形の穴を開け、シロアリの坑道を傷つけないで円柱型容器を埋設することが出来る。更に、無毒の餌である要撃材が古くなって、シロアリの摂食が悪くなったときに取り替える必要があるがこの従来技術では、容器の側壁に固定しているので、要撃材の入れ替えが出来ないという欠点がある。更に、角形の容器の中に無毒餌と毒餌のカ−トリッジを挿入するので、シロアリは容器の孔を通り、続いてカ−トリッジの孔を通ってようやくカ−トリッジの中の無毒餌又は毒餌にたどり着く構造で、しかも、容器の孔とカ−トリッジの孔とは連続性がない。このため、シロアリはなかなか無毒餌又は毒餌にたどり着けない欠点がある。また、無毒餌を入れたカ−トリッジを取り出して、シロアリの摂食状況を確認するときのシロアリに与える刺激、かつまた、カ−トリッジから無毒餌を取り出して毒餌に入れ替える時の刺激カ−トリッジを再挿入するときの刺激があり、その刺激によって危険を感じたシロアリは容器から離脱するという欠点がある。
また、この従来技術では、シロアリの出入り口は角形容器の側壁のみで、底面には無いので容器の下に棲息するシロアリを容器内に誘導できない欠点がある。
更に、角形容器の蓋に穴を設けて角型容器本体と蓋を紐で結わえる構造であるが、この場合雨水や土砂が容器の中に入り、装置全体の機能が低下するという欠点がある。而してかかる容器を埋設するのは個人の住宅のみでなく、事業所や公共施設である公園或いは街路樹のシロアリ駆除に用いられるが、この従来技術では角形容器の蓋にロックが施されていないので、第三者が開閉し効果がなくなると同時に子供が毒餌に接する危険があるという欠点がある。
【0013】
更に、5番目の従来技術では無毒の餌を含有させたカ−トリッジをハウジング内に受容しシロアリの活動検査のためにハウジングから周期的に取り出す行為はシロアリに刺激を与え、シロアリは逃避する。また、シロアリの活動が検出される場合、ハウジング内で無毒の餌のカ−トリッジを殺虫剤を含有するカ−トリッジに交換する行為はシロアリに刺激を与えシロアリは逃避する。
更にまた6番目の従来技術は、ステ−ションハウジングから無毒の餌を入れた監視装置を取り出して毒餌剤のベイトチュ−ブと入れ替えるシステムである。入れ替えるときにシロアリに刺激を与えシロアリは逃避する。かつ、ベイトチュ−ブはカ−トリッジであるので追加の餌を投入しようとするときもカ−トリッジの取り替えであるのでシロアリに刺激を与えシロアリは逃避する。シロアリが容器から逃避することは、餌場としての認識を放棄することで、この従来技術ではシロアリ防除の目的を達成できないという欠点がある。
【0014】
本発明はこれらの従来技術の欠点、問題点を除去し、該駆除の効率的器具として、如何に刺激を与えずに、毒餌を持ち帰らせ、多数のシロアリを絶滅に至らしめる新規かつ進歩的シロアリ誘殺方法並びに誘導容器を創始提供することを目的課題とする。而して、この一連の工程の中で最初に考慮すべきことは、如何に効率よくシロアリを誘導容器に誘導するかということで、この問題の解決には誘導容器の新規な形状と、誘導餌と誘殺餌の進歩的設置の仕方が重要である。更に、地中深くを移動するシロアリの防除の新技術を創始することが必要不可欠である。
【0015】
用語の定義は本発明明細書においては次の通りとする。
誘殺法:シロアリの採餌行動を利用してシロアリを駆除する方法。
誘導容器:シロアリの好む誘導餌を入れるための容器。
:シロアリが誘導容器内の誘導餌を餌場と認識したとき誘殺餌を投与する
容器。
誘導孔:シロアリを誘導容器の中に誘導するために誘導容器の外面に設けた孔。
誘導餌:シロアリを誘導容器内に誘導する無毒の餌。
誘殺餌:シロアリを殺すために誘導容器内に投与する殺蟻成分を含む餌。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するため次の手段を創始開発した。
その第1の特徴は、縦細長で中空状の円筒型又は角筒型で最下部は尖頭形の円錐状又は角錐状をなし、該側壁部にはシロアリが移動通過可能な大きさの螺旋状又は斜線状の孔を多数設けたシロアリ誘導容器を、個人住宅、事業所、公営・公共施設、公園、街路樹のいずれかの周辺の地中に、上部を地表面より高くして埋設状態を選び、該容器上部にはロック機構付き蓋を冠設し、最初にシロアリの種類及び棲息状況並びに該シロアリの集団の大きさにより該誘導容器における無毒の誘導餌の設置方法を、誘導容器外部、誘導容器内部、誘導容器底部、もしくは地中のいずれかの設置にするかを選択し、該選択した誘導餌を誘導容器に設置し、ロック機構付きの蓋を上部に冠設した誘導容器を所定の場所に埋設し、誘導容器底部から誘導餌を地中に打ち込む場合は底部に誘導餌を設置しないで誘導容器を埋設した後に誘導餌を打ち込み、底部の誘導餌を設置する場合は誘導餌を地中に打ち込んだ後に底部の誘導餌を設置し、ロック機構付きの蓋をし、更に、前記誘導容器の点検方法の各ステップとして一定周期と一定期間毎に該誘導容器の蓋を外して、その内部を目視により点検し、誘導容器の中の誘導餌の摂食及び蟻土の現象により、シロアリの棲息を確認したときは、該誘導容器の中に誘殺餌を投与して蓋をし、その後、一定期間毎に該誘導容器の蓋を外して、目視により誘殺餌の変化について点検し、誘殺餌をシロアリが摂食して誘殺餌が少なくなっていたら、誘殺餌を補充し、かつまた一定期間毎に誘導容器の蓋を外して、目視により誘殺餌の摂食状況を点検し、摂食をしなくなるまで誘殺餌を補充し、誘殺餌の摂食が無くなり、シロアリの死体その他の状態によりシロアリの集団を誘殺したことと推定し、更に、シロアリの食べ残しの誘殺餌を回収し、土砂などを取り除き再び誘導餌を再設置の後本体の蓋をして、最初のステップに戻り、一定期間毎にシロアリの再侵入を点検するという一連のステップを繰り返すシロアリ誘殺方法であることである。
【0017】
またその第2の特徴は、シロアリの誘殺方法に用い、地面に埋め込むシロアリ誘導容器であって、本体は縦細長で中空状の円筒型又は角筒型で最下部は尖頭状又は角錐状をなし、断面円又は多角形の筒型で、該筒面をシロアリの誘導のために、シロアリが通り抜けできる大きさで貫通する複数の切り込みの孔を螺旋状又は斜線状に設け、その外部に誘導餌を設置しかつ、該筒下部は円錐型又は角錐型に構成し該錘体面にもシロアリの誘導のために、貫通する複数の切り込みの孔を設け、かつ、その底部に誘導餌を地中に打ち込むための孔を設け、かつまた、その餌を打ち込むため該容器の内部は中空とし、かつ更に、容器内部の餌を観察するために容器の内部は中空とし、かつ、該筒部外部と内部並びに錐体部の内部に誘導餌の保持部を設け、更にまた、該筒の上部には雨水、その他の水がシロアリ誘導容器内に進入しないために防水かつロック機構付きの蓋を冠設したシロアリ誘導容器であることである。
【0018】
次にその第3の特徴は、前記シロアリ誘導容器の下部構造が地中に押し込むときに抵抗が少なく、かつ該容器の側面を削った土砂が容器の底部から容器の中に入り込まないように容器の底部を、下方を尖頭とする錐体形としたものであり、かつ該下部の錘体部分の最下部にも孔を設け、該孔から地中へ誘導餌を打ち込み、地中の深い場所を移動しているシロアリをシロアリ誘導容器内に誘導するための誘導餌を設置する構造である請求項2に記載のシロアリ誘導容器であることである。
【0019】
次にまたその第4の特徴は、前記シロアリ誘導容器の内部構造が、その底部の孔から地中へ誘導餌を打ち込むためにその内部を空間とした構造を有し、かつ、シロアリ誘導容器の切り込みの孔から容器の内部に雨水その他の水や土砂が流れ込まないように切り込みの孔の列を螺旋状又は斜線状に設けた構造である請求項2又は3に記載のシロアリ誘導容器であることである。
【0020】
更に、その第5の特徴は、前記シロアリ誘導容器の構造が、円筒面に設けた螺旋状又は斜線状の切り込みの孔の列に対し、雨水その他の水が外側下部に流れ落ちるように突起部を設け、かつ、該容器本体の側面に雨水その他の水が流れ込まないように該容器本体の上部に鍔を設けたものである請求項2〜4のいずれかに記載のシロアリ誘導容器であることである。
【0021】
更にまた、その第6の特徴は、前記シロアリ誘導容器の容器本体の開口部に冠設されるロック機構付きの蓋は、前記開口部を覆う蓋本体と、その上面側に着脱可能に係着され前記本体を回転するための蓋回転用治具と、前記蓋本体の下面に設けられ前記容器本体に係着するフック及び前記容器本体の水切り用凸部に嵌まり込む水切り用凹部と、前記蓋本体の回転を拘束する錠部とを有するものからなり、前記錠部は、家庭用、個人住宅用の家庭用錠部と、事業者用の事業者錠部、公営用の公営錠部とからなり、前記家庭用錠部は専用治具によって開閉できるチャイルドセ−フ機能を有するものからなり、前記事業用錠部は前記専用治具とキ−と併用して開閉できるものからなり、前記公営錠部はキ−によってのみ開閉できるものである請求項2〜5のいずれかに記載のシロアリ誘導容器であることです。
【0022】
かつ、その第7の特徴は、前記シロアリ誘導容器の構造が、その外壁の内面に誘導餌を取り付けるための取り付け部は脱着自在の構成を有し、かつ、誘導餌の設置場所方法が、該容器の外部、該容器の内部該容器の底部、もしくは地中の、いずれにするかを選択する方法であり、誘導餌のそれぞれがシロアリの種類及び棲息状況並びに該シロアリの集団の大きさにより選択できる構造であり、更に誘殺餌を該容器の空間部にも投与しうる構造である請求項2〜6のいずれかに記載のシロアリ誘導容器であることである。
【0023】
かつまた、その第8の特徴は、前記シロアリ誘導容器の底部の構造が、地中深部に棲息するシロアリを、より早く誘導容器に誘導するために縦方向に切り込みを設けた誘導餌を、シロアリ誘導容器の底部に設けた孔から地中に打ち込んだ構造である請求項2〜7のいずれかに記載のシロアリ誘導容器であることである。
【発明の効果】
【0024】
1)本発明では、シロアリの種類と集団の大きさ及び棲息状況に応じ、誘導餌の設置場所を、誘導容器外部、誘導容器内部、誘導容器底部、もしくは地中の何れかに設置するかを選択するので、シロアリの誘導効率が高いという効果がある。
2)本発明では、シロアリ誘導容器の筒体部側面並びに錐体部側面に、シロアリの通り抜けられる大きさの切り込み孔を螺旋状又は斜線状に設けたので、シロアリが非常に入り易いという大きな効果がある。
3)本発明では誘導容器の最下部にも孔を設け、その孔から、地中へ誘導餌を打ち込み、シロアリを誘導しやすくしたので、地中深部に棲息するシロアリに対しても誘導することができるから、シロアリの誘導率が特に高いという顕著な効果を奏する。
4)本発明のシロアリ誘導容器本体の上部に雨水よけの大きな鍔を設けたので、雨水、泥水等が内部に入らないという効果がある。
5)本発明では、誘導容器の鍔を覆う形の蓋を設けたので、誘導容器の内部に、雨水、泥水等が内部に入らないという効果がある。
6)本発明では、誘導容器の蓋に設置場所により選択できるロック機構を設けている。誘導容器を埋設するのは個人の住宅のみでなく、事業所や公共施設である公園或いは街路樹のシロアリ駆除に用いられる。誘導容器の蓋が誰でも簡単に開閉できると、第三者が開閉した時にシロアリに刺激を与えシロアリが逃避してしまい、効果がなくなると共に子供が毒餌に接する危険がある。第三者による蓋の開閉の刺激によるシロアリの逃避を防止すると共に毒餌への接触の危険を回避するには、ロック機構を備え子供や第三者が自由に開閉できない構造とする必要があるが、本発明のロック機構は家庭用、事業所用並びに公園用街路樹用の3種類用意し、それぞれの用途に応じて、選択できるように構成したので、夫々効果が顕著である。家庭用のロック機構の目的はチャイルドセ−フであり、専用の治具によらなければ、蓋が開閉できないように構成したので安全上大きな効果を有する。事業者用のものは専用の治具による開閉に加えて棒状のキ−を差し込んで治具のみでは容易に開閉出来ない構造にし、また公園や街路樹用のものはキ−を差し込む孔に市販の錠前で施錠する構造にしたので、完全に近い安全な効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
1)本発明においては、先ずシロアリ誘導容器の設置場所について、目的物の建物や樹木等の付近にいるシロアリの種類、シロアリの集団の大きさにより、該誘導容器における誘導餌の設置位置方法を、誘導容器外部、誘導容器内部、誘導容器底部、もしくは地中のいずれかに誘導餌を選択的重点的に決めるのが効率的であり最良の形態である。
2)本発明のシロアリ誘導容器には円筒型と角筒型があるが、最良の形態としては円筒型である。而して、地中深部を移動するシロアリを防除するためには、該円筒部の下部に設けた円錐部の下端の孔から地中深く誘導餌を打ち込む形式とすることが地中深部のシロアリを駆除し尽くすことができるので、最良の形態である。
3)次に該誘導容器の内部構造としての螺旋状又は斜線状の切り込みの斜め横の細長の孔はシロアリが自然に侵入しやすく、雨水が該容器の外側に流出するように、前記螺旋状又は斜線状の切り込み孔を設ける。
4)更に、該誘導容器を地面に埋設する形態においては、蟻道をこわさないように、ア−スオ−ガ−を使用して作ることが最良の方法である。誘導容器の外径はア−スオ−ガ−によって穿孔した孔の直径とほぼ同じとする。従って、該誘導容器は角錐型よりも円錐型の方が勝り、最良の形態である。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明のシロアリ誘殺方法の手順ステップの1例の説明図である。これらのステップの最終のところで、シロアリの食べ残しの誘導餌を回収し、シロアリの死体や土砂を完全に除去清掃、再び新しい誘導餌を設置し、最初からのステップに戻り、繰り返すことによりシロアリを防除し、建物や樹木などの維持管理を達成するものである。以下各ステップについて要点説明する。ステップはStと略記する。
St1は誘導餌の設置について誘導容器の部分選択方法、St2は誘導餌を設置しロック付き蓋を冠設した誘導容器を所定の場所に埋設、St3は誘導容器底部から誘導餌を地中に打ち込む手法、St4は一定期間毎の容器内部の点検、St5は誘導容器中の現象によるシロアリ棲息の確認、St6は誘導容器中に誘殺餌の投与とロック付き蓋取り付け、St7は一定期間毎内部誘殺餌点検、St8は点検後誘殺餌減少ならば誘殺餌の補充の操作、St9は誘殺餌の減少点検と補充の繰り返し操作、St10は誘殺餌の摂食皆無化によるシロアリ集団誘殺の推定、St11は容器内誘殺餌の残り回収と清掃後再び誘導餌の設置とロック付き蓋設置により最初のステップに戻る連続操作、を構成する。
【実施例2】
【0027】
図2は本発明のシロアリの誘導誘殺に用いるシロアリ誘導容器1の側面説明図である。この図は全体が円筒型であるが、これは1例であり、本発明の技術的範囲には角筒型も含まれる。同図において、2は円筒体部、3は円錐体部である。円筒体部2の側面にはシロアリを入り易くする形状,サイズの螺旋状又は斜線状切り込み孔5又は横長矩形の切り込み孔6を設けてある。下方に接続された円錐体部3にも同様にシロアリが通過するサイズの螺旋状又は斜線状切り込み孔5又は横長矩形切り込み孔6を設けてある。また、図2の円筒体部2と円錐体部3との当接する部位には誘導餌取り付け部7が形成される。また、円筒本体2の上面にはロック機構付き蓋4(図3等に示す)が係着される蓋係着部20が固定され、この蓋係着部20にはロック機構付き蓋の係着するためのフック用溝12や水切り用凸部18が形成される。また、円錐体部3の下端には誘導餌を打ち込む穴19が開口形成される。
また、図3は該誘導容器1の斜視説明図であり、円筒体部2並びに円錐体部3に設けた螺旋状又は斜線状切り込み孔5の外面に縦帯状の誘導餌8を設置した状態をあらわす。更に円錐体部3の最下部の誘導餌を打ち込む穴19には杭状の地上深く打ち込んだ誘導餌9が打ち込まれている。
シロアリ誘導容器は建物や樹木などの周囲の地中に埋設してシロアリの出現を監視する。
図4は図2のA矢視の平面図であり、円筒部の外側縦帯状の設置された誘導餌8も最上部が矩形で表わされている。
図5はロック機構付き蓋4を示す。
図5(a),(b)は蓋本体4aでありここには下方に突出するフック11と、シロアリ誘導容器1側の水切り用凸部18に嵌まり込む水切り用凹部17と、蓋回転用治具14の凹部15の嵌まり込む凸部13と、錠部16が形成される。なお、錠部16は家庭用,事業用,公営用により相違するがここでは詳細な構造説明を省略する。
蓋回転用治具14は図5(c),(d)に示すものからなり、本実施例では「おむすび状」のものからなり、蓋本体4aを回転させるものであり、蓋本体4aの凸部13に凹部15を嵌め込んで固定される。
錠部16によりロック機構付き蓋4を円筒体部側に固定することによってチャイルドセーフ等の安全機能が生じ環境保全にもなる。また、雨水は水切り用凹部17と水切り用凸部との嵌合により完全に水切りされる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、全てのシロアリを誘殺する場合に使用される容器であり、家庭用,事業用,公営用の全てに適用されその利用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】シロアリ誘導誘殺方法のフローチャート。
【図2】シロアリ誘導容器の容器本体側を示す正面図。
【図3】図2の斜視図。
【図4】図2のA矢視の平面図。
【図5】ロック機構付き蓋の蓋本体の平面図(a),この側面図(b),蓋回転用治具の平面図(c)及びこの取り付け状態を示す断面図(d)。
【符号の説明】
【0030】
1・・・シロアリ誘導容器
2・・・シロアリ誘導容器の円筒体部
3・・・シロアリ誘導容器の円錐体部
4・・・シロアリ誘導容器のロック機構付き蓋
4a・・蓋本体
5・・・螺旋状又は斜線状切り込み孔
6・・・横長矩形切り込み孔
7・・・誘導餌取り付け部
8・・・誘導餌
9・・・地中深く打ち込んだ誘導餌
10・・ロック機構
11・・フック
12・・フック用溝
13・・蓋回転用治具取り付け孔
14・・回転用治具
15・・蓋回転用治具
16・・錠部
17・・水切り用凹部
18・・水切り用凸部
19・・誘導餌を打ち込む穴
20・・蓋係着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦細長で中空状の円筒型又は角筒型で最下部は尖頭状の円錐状又は角錐状をなし、該側壁部にはシロアリが移動通過可能な大きさの孔を多数設けたシロアリ誘導容器を、個人住宅、事業所、公営・公共施設、公園、街路樹のいずれかの周辺の地中に、上部を地表面より高くして埋設状態を選び、該容器上部にはロック機構付き蓋を冠設し、最初にシロアリの種類及び棲息状況並びに該シロアリの集団の大きさにより該誘導容器における無毒の誘導餌の設置方法を、誘導容器外部、誘導容器内部、誘導容器底部、もしくは地中のいずれかの設置にするかを選択し、該選択した誘導餌を誘導容器に設置し、ロック機構付きの蓋を上部に冠設した誘導容器を所定の場所に埋設し、誘導容器底部から誘導餌を地中に打ち込む場合は底部に誘導餌を設置しないで誘導容器を埋設した後に誘導餌を打ち込み、底部の誘導餌を設置する場合は誘導餌を地中に打ち込んだ後に底部の誘導餌を設置し、ロック機構付きの蓋をし、更に、前記誘導容器の点検方法の各ステップとして、一定期間毎に該誘導容器の蓋を外して、その内部を目視により点検し、誘導容器の中の誘導餌の摂食及び蟻土の現象により、シロアリの棲息を確認したときは、該誘導容器の中に誘殺餌を投与して蓋をし、その後、一定期間毎に該誘導容器の蓋を外して、目視により誘殺餌の変化について点検し、誘殺餌をシロアリが摂食して誘殺餌が少なくなっていたら、誘殺餌を補充し、かつまた一定期間毎に誘導容器の蓋を外して、目視により誘殺餌の摂食状況を点検し、摂食をしなくなるまで誘殺餌を補充し、誘殺餌の摂食が無くなり、シロアリの死体その他の状態によりシロアリの集団を誘殺したことと推定し、更に、シロアリの食べ残しの誘殺餌を回収し、土砂などを取り除き再び誘導餌を再設置の後本体の蓋をして、最初のステップに戻り、一定期間毎にシロアリの再侵入を点検するという一連のステップを繰り返すことを特徴とするシロアリ誘殺方法。
【請求項2】
シロアリの誘殺方法に用い、地面に埋め込むシロアリ誘導容器であって、本体は断面円形又は多角形の筒型で、該筒面をシロアリの誘導のために、シロアリが通り抜けできる大きさで貫通する複数の切り込みの孔を螺旋状又は斜線状に設け、その外部に誘導餌を設置しかつ、該筒下部は円錐型又は角錐型に構成し該錘体面にもシロアリの誘導のために、貫通する複数の切り込みの孔を設け、かつ、その底部に誘導餌を地中に打ち込むための孔を設け、かつまた、その餌を打ち込むため該容器の内部は中空とし、かつ更に、容器内部の餌を観察するために容器の内部は中空とし、かつ、該筒部外部と内部並びに錐体部の内部に誘導餌の保持部を設け、更にまた、該筒の上部には雨水、その他の水がシロアリ誘導容器内に進入しないために防水かつロック機構付きの蓋を冠設したことを特徴とするシロアリ誘導容器。
【請求項3】
前記シロアリ誘導容器の下部構造が地中に押し込むときに抵抗が少なく、かつ該容器の側面を削った土砂が容器の底部から容器の中に入り込まないように容器の底部を、下方を尖頭とする錐体形としたものであり、かつ該下部の錘体部分の最下部にも孔を設け、該孔から地中へ誘導餌を打ち込み、地中の深い場所を移動しているシロアリをシロアリ誘導容器内に誘導するための誘導餌を設置する構造である請求項2に記載のシロアリ誘導容器。
【請求項4】
前記シロアリ誘導容器の内部構造が、その底部の孔から地中へ誘導餌を打ち込むためにその内部を空間とした構造を有し、かつ、シロアリ誘導容器の切り込みの孔から容器の内部に雨水その他の水や土砂が流れ込まないように切り込みの孔の列を螺旋状又は斜線状に設けた構造である請求項2又は3に記載のシロアリ誘導容器。
【請求項5】
前記シロアリ誘導容器の構造が、円筒面に設けた螺旋状又は斜線状の切り込みの孔の列に対し、雨水その他の水が外側下部に流れ落ちるように突起部を設け、かつ、該容器本体の側面に雨水その他の水が流れ込まないように該容器本体の上部に鍔を設けたものである請求項2〜4のいずれかに記載のシロアリ誘導容器。
【請求項6】
前記シロアリ誘導容器の容器本体の開口部に冠設されるロック機構付きの蓋は、前記開口部を覆う蓋本体と、その上面側に着脱可能に係着され前記本体を回転するための蓋回転用治具と、前記蓋本体の下面に設けられ前記容器本体に係着するフック及び前記容器本体の水切り用凸部に嵌まり込む水切り用凹部と、前記蓋本体の回転を拘束する錠部とを有するものからなり、前記錠部は、家庭用、個人住宅用の家庭用錠部と、事業者用の事業者錠部、公営用の公営錠部とからなり、前記家庭用錠部は専用治具によって開閉できるチャイルドセ−フ機能を有するものからなり、前記事業用錠部は前記専用治具とキ−と併用して開閉できるものからなり、前記公営錠部はキ−によってのみ開閉できるものからなるものである請求項2〜5のいずれかに記載のシロアリ誘導容器。
【請求項7】
前記シロアリ誘導容器の構造が、その外壁の内面に誘導餌を取り付けるための取り付け部は脱着自在の構成を有し、かつ、誘導餌の設置場所方法が、該容器の外部、該容器の内部、該容器の底部、もしくは地中の、いずれにするかを選択する方法であり、誘導餌のそれぞれがシロアリの種類及び棲息状況並びに該シロアリの集団の大きさにより選択できる構造であり、更に誘殺餌を該容器の空間部にも投与しうる構造である請求項2〜6のいずれかに記載のシロアリ誘導容器。
【請求項8】
前記シロアリ誘導容器の底部の構造が、地中深部に棲息するシロアリを、より早く誘導容器に誘導するために縦方向に切り込みを設けた誘導餌を、シロアリ誘導容器の底部に設けた孔から地中に打ち込んだ構造である請求項2〜7のいずれかに記載のシロアリ誘導容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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