説明

シンクの排水口に設置する減量化装置付きごみ受けカゴ

【課題】シンクの排水口に設置するごみ受けカゴに溜まった食べ残し等の生ごみを、手で触れることなく減量化(水分量の低減)する。
【解決手段】ごみ受けカゴ1の上縁鍔部4(特に補強鍔部5)に、減量化装置2が設置されている。減量化装置2は、補強鍔部5の上面に設置された支持部6と、先端部が支持軸11に軸支され略鉛直面内で上下揺動自在とされたハンドル7と、ハンドル7に揺動自在に取り付けられた押圧具8と、ハンドル7を上方に付勢するバネ9からなる。ハンドル7が無負荷のとき、バネ9の付勢力によりハンドル7が上方に揺動してストッパー17に当接し、鈍角位置に保持され、ハンドル7を前記付勢力に抗して下方に揺動させたとき、押圧具8の押圧部12がごみ受けカゴ1内に挿入され、内部の生ごみを圧縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所のシンクの排水口に設置するごみ受けカゴの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
シンクの排水口には、シンクに流した食べ残しや調理クズ等の生ごみが、そのまま排水口から下水管等に流出しないように、深皿状又は底付き円筒状のごみ受けカゴが設置され、シンクに流した食べ残しや調理クズ等がこのごみ受けカゴに溜まるようになっている。なお、家庭の調理クズは通常三角コーナー等に置いた水切りカゴに捨てられるので、排水口に設置したごみ受けカゴに溜まる生ごみは主として食べ残しと考えられる。
ごみ受けカゴに溜まった生ごみの水切りは困難であり、これをそのままごみ袋に入れてごみ収集に回すと、焼却処分する際の負担が大きい。このため、各自治体では、従来より、水切りを行って生ごみを減量化したうえで捨てるように、公報等を通じて各家庭に呼びかけている。
【0003】
しかし、ごみ受けカゴから自然に抜け出す水分量は少なく、食べ残し主体の生ごみを手で絞っても指の間から漏れるものも多く、除去できる水分の量は知れている。また、このような生ごみに直接手で触れるのは不潔感が大きいため、現実にはほとんど実行されていない。
そこで、排水口に設置したごみ受けカゴの生ごみに直接手を触れることなく水切りを行うため、特許文献1〜3のような提案がなされている。
特許文献1〜3は、ごみ受けカゴに溜まった生ごみの水切りを行う脱水器具に関するもので、この脱水器具はいずれも、生ごみを圧縮する押し込み部と取っ手部からなり、取っ手部を手に持って押し込み部をごみ受けカゴの中に押し込み、生ごみを圧縮して水切りするようになっている。
【0004】
そのほか、特許文献4,5には、シンクの排水口に設置するごみ受けカゴではなく、三角コーナーに設置する水切りカゴの生ごみの水切りを行う装置が記載されている。特許文献4の装置は、水切りカゴ自体にハンドルの支柱を設置し、この支柱に形成した複数個の穴のいずれかにハンドルの先端を嵌め入れて上下揺動可能とし、ハンドルの途中に押圧板を付設したもので、ハンドルを押し下げることにより押圧板を水切りカゴ内に押し込み、生ごみを圧縮して脱水する。特許文献5の装置は、置き台上に支柱を設置し、この支柱にハンドルを上下揺動可能に設置し、かつハンドルの途中に押圧板を付設したもので、置き台上に水切りカゴを置き、同じくハンドルを押し下げて脱水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−135909号公報
【特許文献2】実用新案登録第3102104号公報
【特許文献3】特開2003−2401号公報
【特許文献4】特開2005−162404号公報
【特許文献5】特開2001−259594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、シンクの排水口に設置するごみ受けカゴに溜まった食べ残し等の生ごみを、手で触れることなく減量化(水分量の低減)すること、また同時に、食べ残し等の生ごみをごみ受けカゴに投入しやすく、減量化する際の手間が少なく、かつ減量化後の取り出しも簡単に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シンクの排水口に設置する減量化装置付きごみ受けカゴに関し、前記ごみ受けカゴが上縁に鍔部を有し、前記減量化装置が、前記鍔部の上面に設置された支持部と、先端部が前記支持部に軸支され略鉛直面内で上下揺動自在とされたハンドルと、前記ハンドルに取り付けられた押圧具と、前記ハンドルを上方に付勢するバネからなり、無負荷のとき前記バネの付勢力により前記ハンドルが上方に揺動して、前記ごみ受けカゴの上縁との角度が鈍角になる位置に保持され、前記ハンドルを前記付勢力に抗して下方に揺動させたとき前記押圧具が前記ごみ受けカゴ内に挿入されることを特徴とする。
【0008】
上記減量化装置付きごみ受けカゴの望ましい具体的形態として、例えば、前記押圧具が前記ハンドル側に延びる取付部を有し、前記取付部の上端が前記ハンドルの長さ方向中間部に軸支され、前記ハンドルと略平行な面内で揺動自在とされていること、前記支持部に固定された支持軸に前記ハンドルが軸支され、前記バネがねじりコイルバネであり前記支持軸の周囲に設置されていること、等が挙げられる。
なお、前記ごみ受けカゴ自体は、基本的に液体を通過させ生ごみの通過を防止できる多孔容器であり、市販のものと同様に、金属製網やパンチングメタルの成形品等が好適に利用できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る減量化装置付きごみ受けカゴは、ハンドルを操作しないときは、バネの作用でハンドル及び押圧具(押圧板)が後方に起き上がり、食べ残し等の生ごみをごみ受けカゴに投入しやすく、生ごみがごみ受けカゴに溜まったとき又は食器の片付けの最後に、ハンドルを手前に押し下げるだけで、押圧具で圧縮して生ごみを減量化(水抜き)することができ、減量化する際の手間が少ない。また、減量化後の取り出しも、ハンドルを持ってごみ受けカゴを排水口から持ち上げ、減量化した生ごみをごみ袋に移すことで簡単に行うことができる。従って、ごみ受けカゴに溜まった食べ残し等の生ごみに手で触れることなく、簡単に減量化及び廃棄処理を行うことができる。なお、減量化した生ごみを、さらに例えば乾燥式又はバイオ式の生ごみ処理装置により減量化処理することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る減量化装置付きごみ受けカゴ(生ごみ圧縮時)の側面断面図である。
【図2】その平面図である。
【図3】バネの付勢力によりハンドルが所定鈍角位置に保持されたときの減量化装置付きごみ受けカゴの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜3を参照して、本発明に係る減量化装置付きごみ受けカゴについて、具体的に説明する。
図1,2に示すように、この減量化装置付きごみ受けカゴは、ごみ受けカゴ1と減量化装置2からなる。
ごみ受けカゴ1は、上縁に略水平に鍔3aを有する深皿状の金属製カゴ3に、補強及び取り扱い時の安全等のため樹脂モールドを施したものである。金属製カゴ3は、例えば金網やパンチングメタルをプレス成形(絞り加工)したものからなる。樹脂モールドは、鍔3aの全周(上縁鍔部4)に施され、周方向の一部において金属製カゴ3の内周側にも入り込み、その部位では金属製カゴ3の側壁に内側から密着しかつ該側壁に近いほど厚肉化され、これにより上縁鍔部4が補強され(補強鍔部5)、全体的に金属製カゴ3とモールド樹脂は一体化している。
【0012】
減量化装置2は、補強鍔部5の上面に固定された支持部6と、先端が支持部6に上下揺動自在に軸支されたハンドル7と、ハンドル7に取り付けられた押圧具8と、ハンドル7を上方に付勢するバネ9からなる。支持部6、ハンドル7及び押圧具8は、基本的に樹脂製でよい。
各部の構造をより具体的に説明すると、ハンドル7は、先端が支持部6に設置された支持軸11に嵌り、略鉛直面内(上縁鍔部4に垂直でハンドル7の長さ方向に平行な面内)において、前記のとおり上下揺動自在に支持されている。
【0013】
また、押圧具8は、下端の押圧部12とハンドル7側に延びる取付部(アーム部)13からなり、取付部13の上端がハンドル7の長さ方向中間部(ごみ受けカゴ1の中心付近の位置)に設置された支持軸14に軸支され、ハンドル7と略平行な面内で揺動自在とされている。ちょうどハンドル7の中間部に揺動自在に吊り下げられた形態である。押圧部(押圧板)12はごみ受けカゴ1の内部に所定深さまで挿入可能な形状であり、全体として円形であるが、補強鍔部5の近傍にのみ該補強鍔部5との干渉を避けるための凹所12aが形成されている。バネ9は、一般的なねじりコイルバネからなり、支持軸11の周囲に嵌められ、一方の足15の下端が支持部6に固定され、他方の足16がハンドル7の内面に係合し、これによりハンドル7を上方に付勢している。
【0014】
図3は、無負荷状態のハンドル7の位置を示す。ハンドル7はバネ9に付勢されて上方に揺動し、所定の鈍角位置(ハンドル7とごみ受けカゴ1の上縁との角度が所定の鈍角になる位置)においてハンドル7の背面が支持部6に設けられたストッパー17に当接し、この位置でハンドル7は保持される。
また、ハンドル7が上方に揺動するにつれ、押圧具8は自重によって支持軸14を中心として回動し、続いて取付部13がハンドル7に設けられたストッパー18に当接し、それ以上ハンドル7が揺動しても、ハンドル7に対する押圧具8の位置は変化しない。
【0015】
次に、図1〜図3に示した減量化装置付きごみ受けカゴの作用を説明する。
ハンドル7に負荷を掛けない状態では、ハンドル7は、バネ9の付勢力により上方に揺動し、ストッパー17に当接して所定の鈍角位置で停止し、図3に示すように、同じくバネ9の付勢力でその位置に保持される。押圧具8は、ハンドル7の揺動に伴って自重により回動し、同じく図3に示すように、ストッパー18に当接して、ハンドル7に対し所定の角度で停止している。
減量化装置付きごみ受けカゴは、図3に示す状態でシンクの排水口に置かれる。図3に示すように、ハンドル7及び押圧具8の押圧部(押圧板)13が後方に起き上がっているため、食べ残し等の生ごみをごみ受けカゴ1内に投入しやすい。
【0016】
ごみ受けカゴ1に溜まった生ごみを減量化するときは、ハンドル7を手前に引き下向きに押し下げる。この過程で、取付部13がストッパー18から離れて、押圧具8がハンドル7に吊り下げられた状態となり、かつ押圧部(押圧板)13が下向きとなり、続いて押圧部13がごみ受けカゴ1内に挿入され、生ごみが圧縮され、減量化する(水分が絞り出される)。生ごみから絞り出された水分はごみ受けカゴ1の側壁及び底壁に開いた穴から流れ出し、排水口に排出される。
【0017】
減量化後、ハンドル7を元の鈍角位置に戻し、続いて、ハンドル7を持って減量化装置付きごみ受けカゴを排水口から持ち上げ、例えば逆さまにして減量化された生ごみをごみ袋や生ごみ処理装置に移す。このとき、バネ9の強さがある程度大きければ、ハンドル7を持って減量化装置付きごみ受けカゴを逆さにしたときでも、ハンドル9が前記鈍角位置に保持される。
この減量化処理の間、ごみ受けカゴ1内に溜まった生ごみに触れなくて済む。
【0018】
なお、上記の例では、バネ9の足16をハンドル7の内面に係合し、支持部6にストッパー17を設け、ハンドル7がバネ9の付勢力によりストッパー17に押し付けられるようにして、ハンドル7を前記鈍角位置に保持したが、バネ9の足16をハンドル7に固定し、ハンドル7が前記鈍角位置にきたときバネ9の付勢力が前方側にも後方側にも作用しないように(前記鈍角位置は付勢力が作用しない中立位置になる)設定しておけば、ストッパー17は必要でなくなる。
また、上記の例では、ハンドル7にストッパー18を設け、押圧具8がストッパー18に当接後は、それ以上ハンドル7が揺動しても、ハンドル7に対する押圧具8の位置が変化しないようにしたが、ハンドル7の前記鈍角位置への揺動及び前記鈍角位置からの揺動に際し、押圧具8が他の部位と干渉することなく、ごみ受けカゴ1から抜け出し又はごみ受けカゴに挿入されるのであれば、ストッパー18は必要でない。
【符号の説明】
【0019】
1 ごみ受けカゴ
2 減量化装置
3 金属製カゴ
4 上側縁部
5 補強鍔部
6 支持部
7 ハンドル
8 押圧具
9 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクの排水口に設置する減量化装置付きごみ受けカゴであり、前記ごみ受けカゴが上縁に鍔部を有し、前記減量化装置が、前記鍔部の上面に設置された支持部と、先端部が前記支持部に軸支され略鉛直面内で上下揺動自在とされたハンドルと、前記ハンドルに取り付けられた押圧具と、前記ハンドルを上方に付勢するバネからなり、無負荷のとき前記バネの付勢力により前記ハンドルが上方に揺動して、前記ごみ受けカゴの上縁との角度が鈍角になる位置に保持され、前記ハンドルを前記付勢力に抗して下方に揺動させたとき前記押圧具が前記ごみ受けカゴ内に挿入されることを特徴とする減量化装置付きごみ受けカゴ。
【請求項2】
前記押圧具が前記ハンドル側に延びる取付部を有し、前記取付部の上端が前記ハンドルの長さ方向中間部に軸支され、前記ハンドルと略平行な面内で揺動自在とされていることを特徴とする減量化装置付きごみ受けカゴ。
【請求項3】
前記支持部に固定された支持軸に前記ハンドルが軸支され、前記バネがコイルバネであり前記支持軸の周囲に設置されていることを特徴とする減量化装置付きごみ受けカゴ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−79658(P2011−79658A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235802(P2009−235802)
【出願日】平成21年10月10日(2009.10.10)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】