シングラス製氷機
【課題】冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができるシングラス製氷機を提供する。
【解決手段】シングラス製氷機1は、蒸発器24の出口24aにおける冷媒の温度を検知する温度センサ26と、温度センサ26によって検知された冷媒の温度に基づいて製氷運転を制御するマイクロコンピュータ31とを備える。マイクロコンピュータ31は、製氷運転の開始から所定時間(10分)経過後に、温度センサ26によって検知される冷媒の温度が所定の第1閾値である−7℃以上になると警告を発し、さらにその後、冷媒の温度が所定の第2閾値である−5℃以上になると製氷運転を強制的に停止する。
【解決手段】シングラス製氷機1は、蒸発器24の出口24aにおける冷媒の温度を検知する温度センサ26と、温度センサ26によって検知された冷媒の温度に基づいて製氷運転を制御するマイクロコンピュータ31とを備える。マイクロコンピュータ31は、製氷運転の開始から所定時間(10分)経過後に、温度センサ26によって検知される冷媒の温度が所定の第1閾値である−7℃以上になると警告を発し、さらにその後、冷媒の温度が所定の第2閾値である−5℃以上になると製氷運転を強制的に停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シングラス製氷機に係り、特に冷媒の漏洩を検知する機能を備えたシングラス製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シングラス製氷機と呼ばれる製氷機は、製氷水(氷を生成するための水)を満たす製氷水タンクと、冷凍回路における蒸発器を内部に有する製氷ドラムとを備えており、製氷水タンク内の製氷水と製氷ドラム内を流通する冷媒との間で熱交換を行わせることによって製氷水を製氷ドラムの表面に着氷させ、成長した氷層を剥離させて氷片を生成する。
【0003】
シングラス製氷機では、冷媒の漏洩(スローリーク)が発生した場合にそのまま使用を続けると、それに伴って発生する振動によって製氷機の構成部品が破損してしまうおそれがある。そのため、従来、冷媒の漏洩が進行すると蒸発器の出口における冷媒温度が上昇する傾向を利用して、冷媒の漏洩を検知することが行われている。すなわち、製氷運転(製氷水を冷却して氷を生成する動作)の開始から所定時間経過後に蒸発器の出口における冷媒温度を測定し、その温度が所定の閾値以上である場合には冷媒の漏洩が発生していると判断し、製氷運転を強制的に停止させると共に表示パネル等によってその旨をユーザに通知する。
また、特許文献1には、製氷運転開始から設定時間経過した時点における温度降下率が小さい場合に冷媒の漏洩が発生していると判断し、製氷運転を強制的に停止させると共に所定の警報表示を行う事項が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−257913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来の技術では、冷媒の漏洩に伴って発生する振動によって製氷機の構成部品が破損するのを防ぐことはできるが、ユーザは製氷運転が強制的に停止されてからサービスマンに修理を依頼することになるため、製氷運転の停止からサービスマンによる修理が完了するまでに長い時間を要し、その間は製氷機を使用することができない。
【0006】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができるシングラス製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明に係るシングラス製氷機は、製氷運転の開始から所定時間経過後に、温度検知手段によって検知される冷媒の温度が所定の第1閾値以上になると警告を発し、さらにその後、冷媒の温度が第1閾値よりも高い所定の第2閾値以上になると製氷運転を停止することを特徴とする。
これにより、冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0008】
また、第1閾値は変更可能であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るシングラス製氷機によれば、冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機の外観を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における製氷ユニットの内部の様子を示す分解組立図である。
【図3】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における満氷検知機構の模式図である。
【図4】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における製氷ユニットの模式図である。
【図5】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における制御部の構成を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における通常動作ルーチンのフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における冷媒漏洩検知ルーチンのフローチャートである。
【図8】この発明のその他の実施の形態に係るシングラス製氷機におけるセンサプレートへの紫外線照射方法の様々な例を示す図である。
【図9】この発明のその他の実施の形態に係るシングラス製氷機におけるセンサプレートの防滴方法の一例を示す図である。
【図10】この発明のその他の実施の形態に係るシングラス製氷機におけるセンサプレートの防滴方法の別の例を示す図である。
【図11】この発明のその他の実施の形態に係るシングラス製氷機における純水の継続供給方法の様々な例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機1の外観を図1に示す。
シングラス製氷機1は、製氷水を冷却して氷片を生成する製氷ユニット2と、製氷ユニット2によって生成された氷片を貯蔵する貯氷庫3とから構成されている。製氷ユニット2の前面には、ユーザからの操作を受け付けると共に各種情報を表示するフロントパネル4が取り付けられており、貯氷庫3の前面には同じくユーザからの操作を受け付けると共に各種情報を表示するリモートユニット5が取り付けられている。
【0012】
図2は、貯氷庫3の天板3a上に配置された製氷ユニット2の内部の様子を示す分解組立図である。この図に示されるように、製氷ユニット2の内部には、製氷水が満たされる製氷水タンク6と、製氷水タンク6内に配置されてその表面に氷層が成長する製氷ドラム7と、製氷ドラム7の表面に成長した氷層を剥離して氷片を生成するカッタ8とが備えられている。また、製氷水タンク6の側面には、カッタ8に沿ってこぼれ落ちる氷片を貯氷庫3内に導くシュート9が取り付けられている。
【0013】
また、貯氷庫3の天板3a上には開口部10と11が形成されている。開口部10の上部にはシュート9の出口が取り付けられており、カッタ8によって削り取られてシュート9に導かれた氷片が開口部10から貯氷庫3内に落下する。一方、開口部11の上部には、開口部11よりやや大きな無色透明の食品衛生法適合樹脂で形成されたセンサプレート12が取り付けられており、センサプレート12の上部には、貯氷庫3内が満氷状態であるか否かを検知するための貯氷センサ13が取り付けられている。
【0014】
貯氷センサ13は、一体型の投受光部を有する赤外線ビーム式のセンサであり、図3に模式的に示されるように、投受光部14から貯氷庫3内に向けて赤外線を投光し、その反射光を同じく投受光部14で受光することにより、貯氷庫3内が満氷状態であるか否かを検知する。すなわち、貯氷庫3内が満氷状態であるときには、氷片によって反射された赤外線が投受光部14によって受光されるため、貯氷庫3内が満氷状態であることを検知することができる。
【0015】
次に、製氷ユニット2の冷凍回路20について説明する。図4に模式的に示されるように、製氷ユニット2の冷凍回路20は、気相冷媒を圧縮する圧縮機21と、気相冷媒を凝縮する凝縮器22と、液相冷媒を膨張させる膨張弁23と、液相冷媒を蒸発させる蒸発器24とから構成されており、蒸発器24は製氷ドラム7の内部に配置されている。製氷ドラム7は、蒸発器24において蒸発する冷媒によって冷却されると共に、ギヤドモータ25によって回転駆動される。また、製氷ドラム7の冷媒出口7aには、蒸発器24の出口24aにおける冷媒温度、すなわち製氷水と熱交換した直後における冷媒温度を検知するための温度検知手段である温度センサ26が取り付けられている。
【0016】
また、製氷水タンク6の下部にはポンプモータ27が取り付けられており、ポンプモータ27は、製氷水タンク6内の製氷水を吸引して散水パイプ28に向けて送り出す。
【0017】
次に、製氷ユニット2の制御部30について説明する。図5に示されるように、製氷ユニット2の制御部30は、製氷運転の開始・停止を制御するための制御手段であるマイクロコンピュータ31を備えている。マイクロコンピュータ31は、貯氷センサ13及び温度センサ26からの出力信号を受け取ると共に、圧縮機21、ギヤドモータ25、及びポンプモータ27の動作を制御する。
【0018】
次に、この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機1の動作について、図6,7のフローチャートを参照して説明する。
【0019】
シングラス製氷機1の通常動作において、マイクロコンピュータ31は、図6のフローチャートに示される通常動作ルーチンを実行する。
通常動作ルーチンは、貯氷センサ13によって貯氷庫3内が満氷状態であるか否かを判定し(S11)、満氷状態でない場合(S11=NO)には、製氷運転を開始する(S12)。すなわち、冷凍回路20の圧縮機21とギヤドモータ25を始動させることによって製氷ドラム7の冷却と回転を開始すると共に、ポンプモータ27を始動させることによって散水パイプ28からの散水を開始する。その結果、製氷ドラム7の内部に設けられた蒸発器24において冷凍回路20を循環する冷媒が蒸発することによって、製氷水タンク6内の製氷水と冷媒との間で熱交換が行われて製氷水が製氷ドラム7の表面に着氷する。製氷ドラム7の表面に成長した氷層はカッタ8によって剥離されて氷片が生成され。生成された氷片はシュート9に導かれて貯氷庫3内に落下する。その後、貯氷センサ13によって貯氷庫3内が満氷状態になったことが検知されると(S11=YES)、製氷運転を一時停止する(S13)。
【0020】
また、マイクロコンピュータ31は、図6のステップS12における製氷運転を開始する際に、それと並列に図7に示される冷媒漏洩検知ルーチンの実行を開始する。
冷媒漏洩検知ルーチンは、製氷運転を開始してから所定時間(10分)経過するのを待った後(S21)、温度センサ26によって検知される蒸発器24の出口24aにおける冷媒温度が5分間継続して第1閾値である−7℃以上になると(S22=YES)、製氷運転は継続したままで、リモートユニット5上に設けられた警報ランプを点滅させる(S23)。
【0021】
製氷運転が正常に行われている際の蒸発器24の出口24aにおける冷媒温度は−16℃から−11℃程度であるが、冷媒の漏洩が発生すると蒸発器出口24aにおける冷媒温度が上昇していき、−5℃以上になると振動が発生して製氷機の構成部品が破損する可能性がある。警報ランプの点滅は、現在冷媒の漏洩が発生しており構成部品の破損を防止するために間もなく製氷運転を強制的に停止する可能性があることをユーザに警告するものであり、これを確認したユーザはサービスマンに修理を依頼する。
【0022】
警報ランプの点滅による強制停止の事前警告が行われた後、さらに冷媒温度が5分間継続して第2閾値である−5℃以上になると(S24=YES)、冷媒の漏洩に伴って発生する振動によって構成部品が破損するのを防止するために、製氷運転を強制的に停止させると共にフロントパネル4上にエラー情報を表示する(S25)。
【0023】
以上説明したように、この実施の形態に係るシングラス製氷機1では、製氷運転の開始から所定時間(10分)経過後に、温度センサ26によって検知される蒸発器出口24aにおける冷媒温度が第1閾値である−7℃以上になると、リモートユニット5上の警報ランプを点滅させ、さらにその後、冷媒温度が第2閾値である−5℃以上になると、冷媒の漏洩に伴って発生する振動によって構成部品が破損するのを防止するために製氷運転を強制的に停止する。これにより、ユーザは、冷媒温度が−5℃以上になって製氷運転が強制的に停止するのに先立って、冷媒温度が−7℃以上になった時点で警報ランプの点滅を確認してサービスマンに修理を依頼することができる。冷媒温度が−7℃から−5℃まで上昇するのには時間を要するため、その間にサービスマンが駆けつけて冷媒漏洩箇所の修理・冷媒充填等を実施することができる。そのため、製氷運転が強制的に停止してからサービスマンに修理を依頼していた従来の構成に比べて、冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0024】
また、先に述べたように、貯氷センサ13は一体型の投受光部14を有する赤外線ビーム式のセンサであり、その投受光面を遮らないようにするためには、貯氷庫3の天板3a上に形成される開口部11を貯氷センサ13の投受光面よりも大きくする必要がある。そのため、この状態のままでは製氷ユニット2から貯氷庫3内への隙間が形成されることになる。この実施の形態に係るシングラス製氷機1では、開口部11と貯氷センサ13との間に開口部11よりも大きな無色透明の食品衛生法適合樹脂で形成されたセンサプレート12を配置することによって上記の隙間を塞いでいる。これにより、食品帯域である貯氷庫3内に異物や虫が混入するのを防ぐことができる。また、貯氷センサ13に付着した結露水が食品帯域である貯氷庫3内に侵入するのを防ぐこともできる。さらに、貯氷センサ13の投受光部14を保護することにもなるため、投受光部14に汚れが付着するのを防ぐことができる。
【0025】
その他の実施の形態.
(第1閾値の設定)
実施の形態において、強制停止の事前警告を行うための第1閾値は−7℃に限定されるものではなく、−8℃から−5℃の間であればよい。また、第1閾値をその範囲内で変更可能な構成としてもよい。製氷機1の設置される環境が仕様温度範囲を超える場合や、冷凍回路20の配管抵抗が想定よりも大きい場合には、冷媒の漏洩が発生していなくても蒸発器出口24aにおける冷媒温度が−7℃よりも高くなる可能性がある。第1閾値を変更可能な構成とすることにより、そのような場合に不要な警告を行わないようにすることができる。
【0026】
(冷媒の漏洩検知)
実施の形態において、冷媒の漏洩を検知する方法としては、様々な方式を採用することができる。例えば、製氷運転の開始から所定時間経過後における蒸発器出口24aにおける冷媒の最大温度に基づく方式、製氷運転の開始から所定時間経過後における蒸発器出口24aにおける冷媒の最大温度と最低温度との平均に基づく方式、冷凍回路20の低圧圧力に基づく方式、製氷量に基づく方式、製氷水タンク6への給水量に基づく方式、製氷水タンク6への図示しない給水バルブの開閉時間に基づく方式、製氷水タンク6内の製氷水温度が安定するまでに要する時間に基づく方式、カッタ8のマウント部の温度が安定するまでに要する時間に基づく方式、冷凍回路20内の冷媒循環量に基づく方式、冷凍回路20内の冷媒漏洩量に基づく方式、製氷運転時と運転停止時における冷凍回路20の重量に基づく方式、蒸発器24の入口と出口の温度差に基づく方式等を採用することができる。
【0027】
(センサプレートの防滴(1))
実施の形態において、センサプレート12の両面に無色透明で食品衛生法に適合した親水性塗料(例えば、ベラスコート)を塗布してもよい。これにより、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、製氷運転の過程や貯氷庫3の扉開閉時に生成される結露水がセンサプレート12の表面に付着することによる貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。また、親水性塗料を塗布した表面は水をかけると付着した汚れが落ちるため、結露水による自浄効果を期待することができる。さらに、親水性塗料として高硬度・高耐候性を有するベラスコートを使用した場合には、センサプレート12の表面にキズがつきにくくなり、耐久性が向上する。
【0028】
(センサプレートの防滴(2))
実施の形態において、センサプレート12を食品衛生法に適合したガラス製にしてもよい。このように構成しても、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。
【0029】
(センサプレートの防滴(3))
実施の形態において、センサプレート12の両面に食品衛生法に適合した親水性フィルム(防曇フィルム)を貼り付けてもよい。このように構成しても、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。この際、親水性フィルムの大きさを天板3aの開口部11よりも大きくして、天板3aとセンサプレート12との間に親水性フィルムを挟み込むようにすれば、親水性フィルムが剥がれて貯氷庫3内に落下するのを防ぐことができる。
また、酸化チタン系の親水性フィルムを使用してそこに紫外線が照射されるようにすれば、酸化チタンは光触媒活性物質であり紫外線を照射することによって汚れが分解されるため、センサプレート12の掃除を行う必要回数を減らすことができる。紫外線の照射方法としては、例えば図8(a)に模式的に示されるように、製氷ユニット2内の貯氷センサ13の横に紫外線ランプ40を取り付ければ、紫外線ランプ40の照射光がセンサプレート12に当たる。或いは、図8(b)に模式的に示されるように、貯氷庫203内の庫内灯41(蛍光灯、白熱電球、紫外線ランプ等)を天板3aの開口部11付近における貯氷センサ13の反対側に取り付ければ、庫内灯41から照射される紫外線を含む光がセンサプレート12に当たる。或いは、図8(c)に模式的に示されるように、貯氷庫303の扉を開けた際に入射する自然光をセンサプレート12に向ける反射板42を天板3aの開口部11付近に取り付けてもよい。
【0030】
(センサプレートの防滴(4))
実施の形態において、センサプレート12にコードヒータを巻き付けても良い。図9に示される例では、センサプレート112の外周面には、コードヒータ(図示せず)の外径にあわせたスパイラル状の溝加工が施されており、この溝部分112aにコードヒータを巻き付けることができる。このように構成しても、コードヒータの熱によって水滴が蒸発するため、センサプレート112の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。尚、図9に示されるセンサプレート112の形状では、その外周面にスパイラル状の溝加工が施されているため、巻き付けられるコードヒータの各部同士が接触して異常加熱するのを防ぐことができると共にコードヒータを安定して固定することができる。また、角のRが取られているため、コードヒータの断線や漏電を防ぐことができる。
【0031】
(センサプレートの防滴(5))
実施の形態において、天板3a上の開口部11の外周を囲むセンサマウント52を設け、センサマウント52の外周にコードヒータを巻き付けても良い。図10に示される例では、センサマウント52は、食品衛生法に適合した樹脂によって形成されており、その上部にセンサプレート12が取り付けられている。コードヒータ53の熱はセンサマウント52を介してセンサプレート12に伝えられる。このように構成しても、コードヒータ53の熱によって水滴が蒸発するため、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。また、コードヒータ53はセンサプレート12ではなくセンサマウント52に巻き付けられるため、センサプレート12の掃除や交換が容易になる。
【0032】
(センサプレートの防滴(6))
実施の形態において、センサプレート12を石英ガラス等の熱膨張率の低いガラスに透明導電膜を蒸着したガラスヒータによって作成してもよい。このように構成しても、ガラスヒータの熱によって水滴が蒸発するため、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。
【0033】
(蒸発器出口の温度表示)
実施の形態において、温度センサ26によって測定した蒸発器出口24aにおける冷媒温度をフロントパネル4上に表示できるようにしてもよい。一般的なシングラス製氷機の膨張弁は手動調整式であり、初回設置時やメンテナンス時にサービスマンが過熱度調整を実施する場合がある。過熱度とは蒸発器出口24aにおける温度と蒸発器出口24aにおける圧力の飽和温度との差であり、過熱度を調整するためには蒸発器出口24aの温度と圧力とを測定する必要がある。従来、圧力については既存の測定手段が設けられているのが普通であり容易に測定することができるが、温度についてはサービスマンが蒸発器出口24aの断熱材を外してその表面温度を測定するのが一般的である。温度センサ26によって測定した蒸発器出口24aにおける冷媒温度をフロントパネル4上に表示できるようにすれば、この温度測定の手間を省くことができる。
【0034】
(製氷水に純水を使用)
実施の形態において、製氷水タンク6に供給する製氷水として純水を使用してもよい。一般的なシングラス製氷機では製氷水として水道水が使用されるが、水道水中に含まれる不純物や溶存ガスが析出して氷内に取り込まれるため、生成される氷片が白濁して不透明になる。製氷水として純水(不純物や溶存ガスが取り除かれた水)を使用することにより、無色透明な氷片を生成することができる。
尚、純水以外にも、加熱・沸騰、真空減圧、超音波脱気、遠心脱気等を行った脱気水、
蒸留水、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水、濾過水(精密濾過水)、逆浸透膜処理水(RO水)、中空糸膜処理水等を使用しても無色透明な氷片を生成することができる。
【0035】
(純水の継続供給(1))
実施の形態において、図11(a)に模式的に示されるように、製氷水タンク6、ポンプモータ60、及び純水器61によって構成される製氷水循環経路を設けてもよい。上述したように、製氷水タンク6に供給する製氷水として純水を使用することにより、無色透明な氷片を生成することができるが、長時間連続して製氷運転を行うと製氷水タンク6内の製氷水に次第に空気中のガスが溶解し、生成される氷片が徐々に白濁していく。そのため、溶存ガスを取り除く純水器61を含む製氷水循環経路を設けることにより、製氷水タンク6内の製氷水はポンプモータ60によって吸引されて純水器61に送られ、純水器61で溶存ガスが取り除かれてから再び製氷水タンク6に戻される。これにより、製氷水に溶解したガスが継続的に取り除かれ、無色透明な氷片を継続して生成することができる。
【0036】
(純水の継続供給(2))
実施の形態において、図11(b)に模式的に示されるように、散水のためのポンプモータとして脱気ポンプ62を使用してもよい。脱気ポンプ62は、減圧(真空)作用と遠心分離によって製氷水中の溶存ガスを析出・分離させる。このように構成しても、製氷水に溶解したガスが継続的に取り除かれ、無色透明な氷片を継続して生成することができる。
【0037】
(純水の継続供給(3))
実施の形態において、図11(c)に模式的に示されるように、製氷水タンク6、ポンプモータ27、及び散水パイプ28によって構成される散水経路において、ポンプモータ27の下流に純水器61を設けてもよい。このように構成しても、製氷水に溶解したガスが継続的に取り除かれ、無色透明な氷片を継続して生成することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 シングラス製氷機、6 製氷水タンク、7 製氷ドラム、20 冷凍回路、24 蒸発器、24a 蒸発器の出口、26 温度センサ(温度検知手段)、31 マイクロコンピュータ(制御手段)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、シングラス製氷機に係り、特に冷媒の漏洩を検知する機能を備えたシングラス製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シングラス製氷機と呼ばれる製氷機は、製氷水(氷を生成するための水)を満たす製氷水タンクと、冷凍回路における蒸発器を内部に有する製氷ドラムとを備えており、製氷水タンク内の製氷水と製氷ドラム内を流通する冷媒との間で熱交換を行わせることによって製氷水を製氷ドラムの表面に着氷させ、成長した氷層を剥離させて氷片を生成する。
【0003】
シングラス製氷機では、冷媒の漏洩(スローリーク)が発生した場合にそのまま使用を続けると、それに伴って発生する振動によって製氷機の構成部品が破損してしまうおそれがある。そのため、従来、冷媒の漏洩が進行すると蒸発器の出口における冷媒温度が上昇する傾向を利用して、冷媒の漏洩を検知することが行われている。すなわち、製氷運転(製氷水を冷却して氷を生成する動作)の開始から所定時間経過後に蒸発器の出口における冷媒温度を測定し、その温度が所定の閾値以上である場合には冷媒の漏洩が発生していると判断し、製氷運転を強制的に停止させると共に表示パネル等によってその旨をユーザに通知する。
また、特許文献1には、製氷運転開始から設定時間経過した時点における温度降下率が小さい場合に冷媒の漏洩が発生していると判断し、製氷運転を強制的に停止させると共に所定の警報表示を行う事項が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−257913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来の技術では、冷媒の漏洩に伴って発生する振動によって製氷機の構成部品が破損するのを防ぐことはできるが、ユーザは製氷運転が強制的に停止されてからサービスマンに修理を依頼することになるため、製氷運転の停止からサービスマンによる修理が完了するまでに長い時間を要し、その間は製氷機を使用することができない。
【0006】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができるシングラス製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明に係るシングラス製氷機は、製氷運転の開始から所定時間経過後に、温度検知手段によって検知される冷媒の温度が所定の第1閾値以上になると警告を発し、さらにその後、冷媒の温度が第1閾値よりも高い所定の第2閾値以上になると製氷運転を停止することを特徴とする。
これにより、冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0008】
また、第1閾値は変更可能であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るシングラス製氷機によれば、冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機の外観を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における製氷ユニットの内部の様子を示す分解組立図である。
【図3】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における満氷検知機構の模式図である。
【図4】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における製氷ユニットの模式図である。
【図5】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における制御部の構成を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における通常動作ルーチンのフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機における冷媒漏洩検知ルーチンのフローチャートである。
【図8】この発明のその他の実施の形態に係るシングラス製氷機におけるセンサプレートへの紫外線照射方法の様々な例を示す図である。
【図9】この発明のその他の実施の形態に係るシングラス製氷機におけるセンサプレートの防滴方法の一例を示す図である。
【図10】この発明のその他の実施の形態に係るシングラス製氷機におけるセンサプレートの防滴方法の別の例を示す図である。
【図11】この発明のその他の実施の形態に係るシングラス製氷機における純水の継続供給方法の様々な例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機1の外観を図1に示す。
シングラス製氷機1は、製氷水を冷却して氷片を生成する製氷ユニット2と、製氷ユニット2によって生成された氷片を貯蔵する貯氷庫3とから構成されている。製氷ユニット2の前面には、ユーザからの操作を受け付けると共に各種情報を表示するフロントパネル4が取り付けられており、貯氷庫3の前面には同じくユーザからの操作を受け付けると共に各種情報を表示するリモートユニット5が取り付けられている。
【0012】
図2は、貯氷庫3の天板3a上に配置された製氷ユニット2の内部の様子を示す分解組立図である。この図に示されるように、製氷ユニット2の内部には、製氷水が満たされる製氷水タンク6と、製氷水タンク6内に配置されてその表面に氷層が成長する製氷ドラム7と、製氷ドラム7の表面に成長した氷層を剥離して氷片を生成するカッタ8とが備えられている。また、製氷水タンク6の側面には、カッタ8に沿ってこぼれ落ちる氷片を貯氷庫3内に導くシュート9が取り付けられている。
【0013】
また、貯氷庫3の天板3a上には開口部10と11が形成されている。開口部10の上部にはシュート9の出口が取り付けられており、カッタ8によって削り取られてシュート9に導かれた氷片が開口部10から貯氷庫3内に落下する。一方、開口部11の上部には、開口部11よりやや大きな無色透明の食品衛生法適合樹脂で形成されたセンサプレート12が取り付けられており、センサプレート12の上部には、貯氷庫3内が満氷状態であるか否かを検知するための貯氷センサ13が取り付けられている。
【0014】
貯氷センサ13は、一体型の投受光部を有する赤外線ビーム式のセンサであり、図3に模式的に示されるように、投受光部14から貯氷庫3内に向けて赤外線を投光し、その反射光を同じく投受光部14で受光することにより、貯氷庫3内が満氷状態であるか否かを検知する。すなわち、貯氷庫3内が満氷状態であるときには、氷片によって反射された赤外線が投受光部14によって受光されるため、貯氷庫3内が満氷状態であることを検知することができる。
【0015】
次に、製氷ユニット2の冷凍回路20について説明する。図4に模式的に示されるように、製氷ユニット2の冷凍回路20は、気相冷媒を圧縮する圧縮機21と、気相冷媒を凝縮する凝縮器22と、液相冷媒を膨張させる膨張弁23と、液相冷媒を蒸発させる蒸発器24とから構成されており、蒸発器24は製氷ドラム7の内部に配置されている。製氷ドラム7は、蒸発器24において蒸発する冷媒によって冷却されると共に、ギヤドモータ25によって回転駆動される。また、製氷ドラム7の冷媒出口7aには、蒸発器24の出口24aにおける冷媒温度、すなわち製氷水と熱交換した直後における冷媒温度を検知するための温度検知手段である温度センサ26が取り付けられている。
【0016】
また、製氷水タンク6の下部にはポンプモータ27が取り付けられており、ポンプモータ27は、製氷水タンク6内の製氷水を吸引して散水パイプ28に向けて送り出す。
【0017】
次に、製氷ユニット2の制御部30について説明する。図5に示されるように、製氷ユニット2の制御部30は、製氷運転の開始・停止を制御するための制御手段であるマイクロコンピュータ31を備えている。マイクロコンピュータ31は、貯氷センサ13及び温度センサ26からの出力信号を受け取ると共に、圧縮機21、ギヤドモータ25、及びポンプモータ27の動作を制御する。
【0018】
次に、この発明の実施の形態に係るシングラス製氷機1の動作について、図6,7のフローチャートを参照して説明する。
【0019】
シングラス製氷機1の通常動作において、マイクロコンピュータ31は、図6のフローチャートに示される通常動作ルーチンを実行する。
通常動作ルーチンは、貯氷センサ13によって貯氷庫3内が満氷状態であるか否かを判定し(S11)、満氷状態でない場合(S11=NO)には、製氷運転を開始する(S12)。すなわち、冷凍回路20の圧縮機21とギヤドモータ25を始動させることによって製氷ドラム7の冷却と回転を開始すると共に、ポンプモータ27を始動させることによって散水パイプ28からの散水を開始する。その結果、製氷ドラム7の内部に設けられた蒸発器24において冷凍回路20を循環する冷媒が蒸発することによって、製氷水タンク6内の製氷水と冷媒との間で熱交換が行われて製氷水が製氷ドラム7の表面に着氷する。製氷ドラム7の表面に成長した氷層はカッタ8によって剥離されて氷片が生成され。生成された氷片はシュート9に導かれて貯氷庫3内に落下する。その後、貯氷センサ13によって貯氷庫3内が満氷状態になったことが検知されると(S11=YES)、製氷運転を一時停止する(S13)。
【0020】
また、マイクロコンピュータ31は、図6のステップS12における製氷運転を開始する際に、それと並列に図7に示される冷媒漏洩検知ルーチンの実行を開始する。
冷媒漏洩検知ルーチンは、製氷運転を開始してから所定時間(10分)経過するのを待った後(S21)、温度センサ26によって検知される蒸発器24の出口24aにおける冷媒温度が5分間継続して第1閾値である−7℃以上になると(S22=YES)、製氷運転は継続したままで、リモートユニット5上に設けられた警報ランプを点滅させる(S23)。
【0021】
製氷運転が正常に行われている際の蒸発器24の出口24aにおける冷媒温度は−16℃から−11℃程度であるが、冷媒の漏洩が発生すると蒸発器出口24aにおける冷媒温度が上昇していき、−5℃以上になると振動が発生して製氷機の構成部品が破損する可能性がある。警報ランプの点滅は、現在冷媒の漏洩が発生しており構成部品の破損を防止するために間もなく製氷運転を強制的に停止する可能性があることをユーザに警告するものであり、これを確認したユーザはサービスマンに修理を依頼する。
【0022】
警報ランプの点滅による強制停止の事前警告が行われた後、さらに冷媒温度が5分間継続して第2閾値である−5℃以上になると(S24=YES)、冷媒の漏洩に伴って発生する振動によって構成部品が破損するのを防止するために、製氷運転を強制的に停止させると共にフロントパネル4上にエラー情報を表示する(S25)。
【0023】
以上説明したように、この実施の形態に係るシングラス製氷機1では、製氷運転の開始から所定時間(10分)経過後に、温度センサ26によって検知される蒸発器出口24aにおける冷媒温度が第1閾値である−7℃以上になると、リモートユニット5上の警報ランプを点滅させ、さらにその後、冷媒温度が第2閾値である−5℃以上になると、冷媒の漏洩に伴って発生する振動によって構成部品が破損するのを防止するために製氷運転を強制的に停止する。これにより、ユーザは、冷媒温度が−5℃以上になって製氷運転が強制的に停止するのに先立って、冷媒温度が−7℃以上になった時点で警報ランプの点滅を確認してサービスマンに修理を依頼することができる。冷媒温度が−7℃から−5℃まで上昇するのには時間を要するため、その間にサービスマンが駆けつけて冷媒漏洩箇所の修理・冷媒充填等を実施することができる。そのため、製氷運転が強制的に停止してからサービスマンに修理を依頼していた従来の構成に比べて、冷媒の漏洩により製氷運転が停止してからサービスマンによる修理が完了するまでの時間を短縮することができる。
【0024】
また、先に述べたように、貯氷センサ13は一体型の投受光部14を有する赤外線ビーム式のセンサであり、その投受光面を遮らないようにするためには、貯氷庫3の天板3a上に形成される開口部11を貯氷センサ13の投受光面よりも大きくする必要がある。そのため、この状態のままでは製氷ユニット2から貯氷庫3内への隙間が形成されることになる。この実施の形態に係るシングラス製氷機1では、開口部11と貯氷センサ13との間に開口部11よりも大きな無色透明の食品衛生法適合樹脂で形成されたセンサプレート12を配置することによって上記の隙間を塞いでいる。これにより、食品帯域である貯氷庫3内に異物や虫が混入するのを防ぐことができる。また、貯氷センサ13に付着した結露水が食品帯域である貯氷庫3内に侵入するのを防ぐこともできる。さらに、貯氷センサ13の投受光部14を保護することにもなるため、投受光部14に汚れが付着するのを防ぐことができる。
【0025】
その他の実施の形態.
(第1閾値の設定)
実施の形態において、強制停止の事前警告を行うための第1閾値は−7℃に限定されるものではなく、−8℃から−5℃の間であればよい。また、第1閾値をその範囲内で変更可能な構成としてもよい。製氷機1の設置される環境が仕様温度範囲を超える場合や、冷凍回路20の配管抵抗が想定よりも大きい場合には、冷媒の漏洩が発生していなくても蒸発器出口24aにおける冷媒温度が−7℃よりも高くなる可能性がある。第1閾値を変更可能な構成とすることにより、そのような場合に不要な警告を行わないようにすることができる。
【0026】
(冷媒の漏洩検知)
実施の形態において、冷媒の漏洩を検知する方法としては、様々な方式を採用することができる。例えば、製氷運転の開始から所定時間経過後における蒸発器出口24aにおける冷媒の最大温度に基づく方式、製氷運転の開始から所定時間経過後における蒸発器出口24aにおける冷媒の最大温度と最低温度との平均に基づく方式、冷凍回路20の低圧圧力に基づく方式、製氷量に基づく方式、製氷水タンク6への給水量に基づく方式、製氷水タンク6への図示しない給水バルブの開閉時間に基づく方式、製氷水タンク6内の製氷水温度が安定するまでに要する時間に基づく方式、カッタ8のマウント部の温度が安定するまでに要する時間に基づく方式、冷凍回路20内の冷媒循環量に基づく方式、冷凍回路20内の冷媒漏洩量に基づく方式、製氷運転時と運転停止時における冷凍回路20の重量に基づく方式、蒸発器24の入口と出口の温度差に基づく方式等を採用することができる。
【0027】
(センサプレートの防滴(1))
実施の形態において、センサプレート12の両面に無色透明で食品衛生法に適合した親水性塗料(例えば、ベラスコート)を塗布してもよい。これにより、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、製氷運転の過程や貯氷庫3の扉開閉時に生成される結露水がセンサプレート12の表面に付着することによる貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。また、親水性塗料を塗布した表面は水をかけると付着した汚れが落ちるため、結露水による自浄効果を期待することができる。さらに、親水性塗料として高硬度・高耐候性を有するベラスコートを使用した場合には、センサプレート12の表面にキズがつきにくくなり、耐久性が向上する。
【0028】
(センサプレートの防滴(2))
実施の形態において、センサプレート12を食品衛生法に適合したガラス製にしてもよい。このように構成しても、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。
【0029】
(センサプレートの防滴(3))
実施の形態において、センサプレート12の両面に食品衛生法に適合した親水性フィルム(防曇フィルム)を貼り付けてもよい。このように構成しても、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。この際、親水性フィルムの大きさを天板3aの開口部11よりも大きくして、天板3aとセンサプレート12との間に親水性フィルムを挟み込むようにすれば、親水性フィルムが剥がれて貯氷庫3内に落下するのを防ぐことができる。
また、酸化チタン系の親水性フィルムを使用してそこに紫外線が照射されるようにすれば、酸化チタンは光触媒活性物質であり紫外線を照射することによって汚れが分解されるため、センサプレート12の掃除を行う必要回数を減らすことができる。紫外線の照射方法としては、例えば図8(a)に模式的に示されるように、製氷ユニット2内の貯氷センサ13の横に紫外線ランプ40を取り付ければ、紫外線ランプ40の照射光がセンサプレート12に当たる。或いは、図8(b)に模式的に示されるように、貯氷庫203内の庫内灯41(蛍光灯、白熱電球、紫外線ランプ等)を天板3aの開口部11付近における貯氷センサ13の反対側に取り付ければ、庫内灯41から照射される紫外線を含む光がセンサプレート12に当たる。或いは、図8(c)に模式的に示されるように、貯氷庫303の扉を開けた際に入射する自然光をセンサプレート12に向ける反射板42を天板3aの開口部11付近に取り付けてもよい。
【0030】
(センサプレートの防滴(4))
実施の形態において、センサプレート12にコードヒータを巻き付けても良い。図9に示される例では、センサプレート112の外周面には、コードヒータ(図示せず)の外径にあわせたスパイラル状の溝加工が施されており、この溝部分112aにコードヒータを巻き付けることができる。このように構成しても、コードヒータの熱によって水滴が蒸発するため、センサプレート112の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。尚、図9に示されるセンサプレート112の形状では、その外周面にスパイラル状の溝加工が施されているため、巻き付けられるコードヒータの各部同士が接触して異常加熱するのを防ぐことができると共にコードヒータを安定して固定することができる。また、角のRが取られているため、コードヒータの断線や漏電を防ぐことができる。
【0031】
(センサプレートの防滴(5))
実施の形態において、天板3a上の開口部11の外周を囲むセンサマウント52を設け、センサマウント52の外周にコードヒータを巻き付けても良い。図10に示される例では、センサマウント52は、食品衛生法に適合した樹脂によって形成されており、その上部にセンサプレート12が取り付けられている。コードヒータ53の熱はセンサマウント52を介してセンサプレート12に伝えられる。このように構成しても、コードヒータ53の熱によって水滴が蒸発するため、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。また、コードヒータ53はセンサプレート12ではなくセンサマウント52に巻き付けられるため、センサプレート12の掃除や交換が容易になる。
【0032】
(センサプレートの防滴(6))
実施の形態において、センサプレート12を石英ガラス等の熱膨張率の低いガラスに透明導電膜を蒸着したガラスヒータによって作成してもよい。このように構成しても、ガラスヒータの熱によって水滴が蒸発するため、センサプレート12の表面に水滴が付着しにくくなり、結露水の付着による貯氷センサ13の誤検知を防ぐことができる。
【0033】
(蒸発器出口の温度表示)
実施の形態において、温度センサ26によって測定した蒸発器出口24aにおける冷媒温度をフロントパネル4上に表示できるようにしてもよい。一般的なシングラス製氷機の膨張弁は手動調整式であり、初回設置時やメンテナンス時にサービスマンが過熱度調整を実施する場合がある。過熱度とは蒸発器出口24aにおける温度と蒸発器出口24aにおける圧力の飽和温度との差であり、過熱度を調整するためには蒸発器出口24aの温度と圧力とを測定する必要がある。従来、圧力については既存の測定手段が設けられているのが普通であり容易に測定することができるが、温度についてはサービスマンが蒸発器出口24aの断熱材を外してその表面温度を測定するのが一般的である。温度センサ26によって測定した蒸発器出口24aにおける冷媒温度をフロントパネル4上に表示できるようにすれば、この温度測定の手間を省くことができる。
【0034】
(製氷水に純水を使用)
実施の形態において、製氷水タンク6に供給する製氷水として純水を使用してもよい。一般的なシングラス製氷機では製氷水として水道水が使用されるが、水道水中に含まれる不純物や溶存ガスが析出して氷内に取り込まれるため、生成される氷片が白濁して不透明になる。製氷水として純水(不純物や溶存ガスが取り除かれた水)を使用することにより、無色透明な氷片を生成することができる。
尚、純水以外にも、加熱・沸騰、真空減圧、超音波脱気、遠心脱気等を行った脱気水、
蒸留水、イオン交換樹脂で処理した脱イオン水、濾過水(精密濾過水)、逆浸透膜処理水(RO水)、中空糸膜処理水等を使用しても無色透明な氷片を生成することができる。
【0035】
(純水の継続供給(1))
実施の形態において、図11(a)に模式的に示されるように、製氷水タンク6、ポンプモータ60、及び純水器61によって構成される製氷水循環経路を設けてもよい。上述したように、製氷水タンク6に供給する製氷水として純水を使用することにより、無色透明な氷片を生成することができるが、長時間連続して製氷運転を行うと製氷水タンク6内の製氷水に次第に空気中のガスが溶解し、生成される氷片が徐々に白濁していく。そのため、溶存ガスを取り除く純水器61を含む製氷水循環経路を設けることにより、製氷水タンク6内の製氷水はポンプモータ60によって吸引されて純水器61に送られ、純水器61で溶存ガスが取り除かれてから再び製氷水タンク6に戻される。これにより、製氷水に溶解したガスが継続的に取り除かれ、無色透明な氷片を継続して生成することができる。
【0036】
(純水の継続供給(2))
実施の形態において、図11(b)に模式的に示されるように、散水のためのポンプモータとして脱気ポンプ62を使用してもよい。脱気ポンプ62は、減圧(真空)作用と遠心分離によって製氷水中の溶存ガスを析出・分離させる。このように構成しても、製氷水に溶解したガスが継続的に取り除かれ、無色透明な氷片を継続して生成することができる。
【0037】
(純水の継続供給(3))
実施の形態において、図11(c)に模式的に示されるように、製氷水タンク6、ポンプモータ27、及び散水パイプ28によって構成される散水経路において、ポンプモータ27の下流に純水器61を設けてもよい。このように構成しても、製氷水に溶解したガスが継続的に取り除かれ、無色透明な氷片を継続して生成することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 シングラス製氷機、6 製氷水タンク、7 製氷ドラム、20 冷凍回路、24 蒸発器、24a 蒸発器の出口、26 温度センサ(温度検知手段)、31 マイクロコンピュータ(制御手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷水を満たす製氷水タンクと、冷凍回路における蒸発器を内部に有する製氷ドラムとを備え、製氷水タンク内の製氷水と製氷ドラム内を流通する冷媒との間で熱交換を行わせることによって製氷水を製氷ドラム表面に着氷させるシングラス製氷機において、
前記蒸発器の出口における前記冷媒の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段によって検知された前記冷媒の温度に基づいて製氷運転を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、製氷運転の開始から所定時間経過後に、前記温度検知手段によって検知される前記冷媒の温度が所定の第1閾値以上になると警告を発し、さらにその後、前記冷媒の温度が前記第1閾値よりも高い所定の第2閾値以上になると製氷運転を停止することを特徴とする、シングラス製氷機。
【請求項2】
前記第1閾値は変更可能であることを特徴とする、請求項1に記載のシングラス製氷機。
【請求項1】
製氷水を満たす製氷水タンクと、冷凍回路における蒸発器を内部に有する製氷ドラムとを備え、製氷水タンク内の製氷水と製氷ドラム内を流通する冷媒との間で熱交換を行わせることによって製氷水を製氷ドラム表面に着氷させるシングラス製氷機において、
前記蒸発器の出口における前記冷媒の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段によって検知された前記冷媒の温度に基づいて製氷運転を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、製氷運転の開始から所定時間経過後に、前記温度検知手段によって検知される前記冷媒の温度が所定の第1閾値以上になると警告を発し、さらにその後、前記冷媒の温度が前記第1閾値よりも高い所定の第2閾値以上になると製氷運転を停止することを特徴とする、シングラス製氷機。
【請求項2】
前記第1閾値は変更可能であることを特徴とする、請求項1に記載のシングラス製氷機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−193875(P2012−193875A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56544(P2011−56544)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
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