説明

シンチレータパネル及び放射線検出器

【課題】所望な光出力及び解像度を得ることが可能なシンチレータパネル及び放射線検出器を提供する。
【解決手段】シンチレータパネル10は、基板11と、基板11の表面11b上に形成され柱状結晶12xからなるシンチレータ層12と、を備えている。シンチレータ層12の厚さ及び柱状結晶12xの柱径は、柱径が大きくなるに連れて光出力が大きく且つ解像度が低下する相関関係と、シンチレータ層12の厚さが厚くなるに連れて柱径が大きくなる相関関係とに基づいて、所定光出力及び所定解像度となるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンチレータパネル及び放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシンチレータパネルとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このようなシンチレータパネルでは、柱状結晶からなるシンチレータ層が基板の表面に気相堆積法によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−236181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年、上述したようなシンチレータパネルにおいては、例えば医療用や工業用の分野への益々の普及及び用途拡大に伴い、その用途等に応じた所望な光出力特性を有することが望まれており、特に、所望な光出力及び解像度を得ることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、所望な光出力及び解像度を得ることが可能なシンチレータパネル及び放射線検出器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、シンチレータ層の柱状結晶の柱径を大きくすると、光出力を向上できる一方で解像度が低下してしまうという相関関係を見出した。また、柱状結晶の柱径はシンチレータ層の厚さに依存するという知見を得、シンチレータ層の厚さが厚くなるに連れて柱径が大きくなるという相関関係を見出した。そして、これらの相関関係に基づけば、所望な光出力及び解像度を得ることが可能になることに想到し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係るシンチレータパネルは、基板と、基板の主面上に形成され柱状結晶からなるシンチレータ層と、を備えたシンチレータパネルであって、シンチレータ層の厚さ及び柱状結晶の柱径は、柱径が大きくなるに連れて光出力が大きく且つ解像度が低下する相関関係と、シンチレータ層の厚さが厚くなるに連れて柱径が大きくなる相関関係とに基づいて、所定光出力及び所定解像度となるように設定されていること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明者らは鋭意検討をさらに重ねた結果、以下の具体的構成を有することにより、光出力を向上させつつ解像度の低下を許容範囲内に留めることができる、つまり、十分な解像度を確保しながら光出力を高めることが可能になるという知見を得た。
【0009】
すなわち、シンチレータ層の厚さは、100μmよりも大きく且つ150μm以下であり、柱状結晶の柱径は、2.6μm以上且つ3.9μm以下であることが好ましい。また、シンチレータ層の厚さは、150μmよりも大きく且つ300μm以下であり、柱状結晶の柱径は、3.9μm以上且つ5.9μm以下であることが好ましい。また、シンチレータ層の厚さは、300μmよりも大きく且つ450μm以下であり、柱状結晶の柱径は、3.9μm以上且つ6.5μm以下であることが好ましい。また、シンチレータ層の厚さは、450μmよりも大きく且つ600μm以下であり、柱状結晶の柱径は、4.9μm以上且つ6.5μm以下であることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る放射線検出器は、上記シンチレータパネルと、当該シンチレータパネルの出力光を検出する光検出器と、を備えたことを特徴とする。この放射線検出器においても、上記シンチレータパネルを備えているため、所望な光出力及び解像度を得るという上記作用効果が奏される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所望な光出力及び解像度を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るシンチレータパネルを含む放射線検出器示す概略側断面図である。
【図2】シンチレータ層の厚さが100μmのときの柱状結晶の柱径と光出力と解像度との関係を例示するグラフである。
【図3】シンチレータ層の厚さが150μmのときの柱状結晶の柱径と光出力と解像度との関係を例示するグラフである。
【図4】シンチレータ層の厚さが300μmのときの柱状結晶の柱径と光出力と解像度との関係を例示するグラフである。
【図5】シンチレータ層の厚さが450μmのときの柱状結晶の柱径と光出力と解像度との関係を例示するグラフである。
【図6】シンチレータ層の厚さが600μmのときの柱状結晶の柱径と光出力と解像度との関係を例示するグラフである。
【図7】放射線チャート画像の例を示す図である。
【図8】放射線チャート画像の他の例を示す図である。
【図9】(a)は本発明の変形例を示す概略平面図であり、(b)は図9(a)のIX(b)−IX(b)線に沿っての断面図である。
【図10】シンチレータパネルを製造するための蒸着装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るシンチレータパネルを含む放射線検出器を示す概略側断面図である。本実施形態の放射線検出器及びシンチレータパネルは、例えばマンモグラフィー装置、胸部検査装置、CT装置、及び歯科口内撮影装置等に用いられる。図1に示すように、放射線検出器1は、入射したX線等の放射線Rを光に変換し検出するものであり、シンチレータパネル10と、光検出器20と、を備えている。
【0015】
シンチレータパネル10は、放射線Rを透過する放射線透過基板としてのガラス基板11と、ガラス基板11上に形成されたシンチレータ層12と、ガラス基板11及びシンチレータ層12全体を覆うように設けられた保護膜13と、を有している。
【0016】
シンチレータ層12は、ガラス基板11の表面11aから入射し当該ガラス基板11を透過した放射線Rを、その線量に応じて光に変換しシンチレーション光(出力光とも称する)として出力する。このシンチレータ層12は、林立した複数の柱状結晶(針状結晶)12xであるTl(タリウム)ドープのCsI(ヨウ化セシウム)が、ガラス基板11において表面11aとは反対側の表面(主面)11bに真空蒸着されて形成されている。保護膜13は、ガラス基板11及びシンチレータ層12を湿気等から保護するためのものであり、これらを被覆するようにCVD(化学的蒸着)法によって形成されている。保護膜13としては、ポリパラキシリレン等の有機膜や無機膜が用いられている。
【0017】
光検出器20は、シンチレータ層12で発生したシンチレーション光を検出し電気信号に変換するものである。光検出器20としては、例えば2次元的に配列されたSiフォトダイオードを有するMOS型の光電変換素子(イメージセンサ)が用いられている。この光検出器20は、シンチレータ層12に対し、対向配置した状態で光学的にカップリングされて形成されている。
【0018】
このように構成された放射線検出器1では、シンチレータ層12の表面12a側を光入力面側として放射線R(放射線像)が入射される。この放射線Rは、保護膜13及びガラス基板11を透過した後シンチレータ層12に入射されて吸収され、放射線Rの光量に比例した所定波長のシンチレーション光に変換される。そして、変換されたシンチレーション光は、光検出器20で検出されて電気信号へと変換される。
【0019】
図2〜図6は、シンチレータ層12の厚さ及び柱状結晶の柱径と、光出力及び解像度との関係を例示するグラフである。各図中の「表面粗さRa」は、日本工業規格(JIS−B0601)で定義される中心線平均粗さであり、ここでは、シンチレータ層12が形成されるガラス基板11の表面11bにおいて有効領域に対応する領域の表面粗さとしている。「有効領域」は、シンチレータ層12において主に使用される領域(つまり、光検出器20による検出に足る有効なシンチレーション光が発生する領域)であり、ここでは、シンチレータ層12の縁部以外の領域とされている。
【0020】
また、「膜厚」は、シンチレータ層12の有効領域内の平均厚さである。「柱径」は、有効領域内において複数の柱状結晶12xの平均柱径であって、各柱状結晶12xにおいて根元から先端に亘る部分の平均柱径である。この柱径は、複数の柱状結晶の画像を画像処理することで得られている。「CTF(解像度:Contrast Transfer Function)」及び「光出力」は、表面粗さRaが0の場合を基準(100%)とした相対値としている。
【0021】
さらにまた、各図中の「チャート画像評価」は、光検出器20により検出された放射線チャート画像において各チャートの一本一本が鮮明に視認可能なものを「○」、各チャートの一本一本の端面に画像ボケが生じて不鮮明な場合があるものを「×」として評価している。
【0022】
図2〜6に示すように、本実施形態では、シンチレータ層12の柱状結晶12xの柱径(以下、単に「柱径」という)が大きくなるに連れて光出力が大きく且つ解像度が低下する相関関係と、シンチレータ層12の厚さ(以下、単に「膜厚」という)が厚くなるに連れて柱径が大きくなる相関関係と、が見出される。
【0023】
また、図2,3に示すように、膜厚が100μmよりも大きく且つ150μm以下であり、柱状結晶の柱径が2.6μm以上且つ3.9μm以下であると、光出力が向上されつつ解像度の低下が許容範囲内に留められている。
【0024】
また、図3,4に示すように、膜厚が150μmよりも大きく且つ300μm以下であり、柱状結晶の柱径が3.9μm以上且つ5.9μm以下であると、光出力が向上されつつ解像度の低下が許容範囲内に留められている。
【0025】
また、図4,5に示すように、膜厚が300μmよりも大きく且つ450μm以下であり、柱状結晶の柱径が3.9μm以上且つ6.5μm以下であると、光出力が向上されつつ解像度の低下が許容範囲内に留められている。
【0026】
また、図5,6に示すように、膜厚が450μmよりも大きく且つ600μm以下であり、柱状結晶の柱径が4.9μm以上且つ6.5μm以下であると、光出力が向上されつつ解像度の低下が許容範囲内に留められている。
【0027】
そこで、本実施形態においては、上述した相関関係に基づいて、所定光出力及び所定解像度となるように柱径及び膜厚を設定しており、これにより、例えば用途等に応じた所望な光出力及び解像度を得ることが可能となる。
【0028】
さらに、本実施形態では、膜厚を100μmよりも大きく且つ150μm以下とする場合、柱径を2.6μm以上且つ3.9μm以下としている。また、膜厚を150μmよりも大きく且つ300μm以下とする場合、柱径を3.9μm以上且つ5.9μm以下としている。また、膜厚を300μmよりも大きく且つ450μm以下とする場合、柱径を3.9μm以上且つ6.5μm以下としている。さらにまた、膜厚を450μmよりも大きく且つ600μm以下とする場合、柱径を4.9μm以上且つ6.5μm以下としている。
【0029】
これにより、十分な解像度を確保しながら光出力を高めることが可能となる。すなわち、シンチレータ層12の膜厚及び柱径によって、高いレベルでバランスのとれた光出力及び解像度を実現することが可能となる。
【0030】
図7,8は、放射線チャート画像の例を示す図である。図中の放射線チャート画像は、光検出器20により検出されたX線チャート画像である。図7の放射線チャート画像では、膜厚が450μmとされ、柱径が5.4μmとされている。図8の放射線チャート画像では、膜厚が450μmとされ、柱径が11.8μmとされている。なお、その他の画像撮像条件としては、以下の条件とされている。ここでは、X線の線質均一化のためにAlフィルタを用いている。
<条件>
管電圧:60kV
管電流:3mA
Alフィルタ:1mm
【0031】
膜厚が450μmで柱径が5.4μmの場合、解像度の低下が5%に留まることから(図5参照)、図7に示すように、放射線チャート画像においては、各チャートC1は明確に真っ直ぐ延び、チャートC1の輪郭もはっきりした鮮明な状態となっている。そのため、当該解像度の低下は、許容範囲内(解像度合格)であることがわかる。
【0032】
一方、膜厚が450μmで柱径が11.8μmの場合、解像度の低下が25%に達することから(図5参照)、図8に示すように、放射線チャート画像においては、各チャートC2に画像ボケが生じ、チャートC2の輪郭がぼやけてはっきりしない不鮮明な状態となっている。そのため、当該解像度の低下は、許容範囲外(解像度不合格)であることがわかる。このように、本実施形態では、解像度の低下が許容範囲内であるか否かの指標として、放射線チャート画像を用いて評価することができる。
【0033】
以上のように構成された放射線検出器1を製造する場合、まず、ガラス基板11の表面11bにシンチレータ層12を形成する。続いて、ガラス基板11及びシンチレータ層12の外表面を覆うように保護膜13を形成し、シンチレータパネル10を得る。そして、シンチレータ層12に対し対向するように光検出器20を組み合わせ、これにより、放射線検出器1が完成する。
【0034】
ここで、図2〜図6に示すように、ガラス基板11の表面11bの表面粗さRaが高くなると、柱状結晶12xの柱径が大きくなることが見出される。これは、表面粗さRaが高いと、表面11bにおける高い凸部に結晶が優先的に接触し、結晶が太く成長し易いためと考えられる。よって、本実施形態では、表面11bの表面粗さRaを変えることにより、柱状結晶12xの柱径を任意に制御している。具体的には、図2〜6に例示する膜厚と表面粗さRaと柱径との関係から、形成しようとするシンチレータ層12の膜厚に応じて柱状結晶12xの柱径が所定値となるように表面11bを任意の研磨剤で研磨し、当該表面11bの表面粗さRaを設定する。そして、ガラス基板11を加熱した後、表面11bに斜方蒸着によってCsIを成膜し、シンチレータ層12を形成する。
【0035】
従って、本実施形態では、表面11bの表面粗さRaを変えることにより、柱径を任意に制御すること、ひいてはX線特性(光出力及び解像度)を任意に制御することが可能となる。また、表面11bの表面粗さRaによって柱径を制御できることから、柱径の大きさをシンチレータ層12全体で一様に制御することができ、X線特性の安定化(特性バラツキ要因の抑制)が可能となる。また、温度影響によって柱状結晶12xが根元同士で接触するのを抑制することが可能となる。さらには、表面11bの表面粗さRaを適宜設定することで、表面11bが荒れていることによる光の散乱効果を利用し、光出力を向上させることができる。
【0036】
ところで、ガラス基板11とシンチレータ層12との間に反射層を設けることで、光出力を向上させる場合もあるが、本実施形態では、かかる反射層を設けることなく光出力を向上可能となっている。これにより、次の作用効果が奏される。すなわち、反射層を設けることによる製造工程の増加を抑制することができる。また、反射層とガラス基板11との密着性向上や反射層とシンチレータ層12との電気化学的腐食防止のために設ける保護層を不要にでき、当該保護層に係る製造工程の増加を抑制することができる。その結果、これら製造工程分のコストアップを抑制することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0038】
例えば、上記実施形態では、基板としてガラス基板11を備えているが、本発明が適用できる基板はこれに限定されるものではく、例えば、Al(アルミニウム)、a−C(アモルファスカーボン)、FOP(ファイバオプティクプレート)、TFT(薄膜トランジスタ)、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)等の基板を採用してもよい。なお、FOPとは、数ミクロンの光ファイバを束にして構成した光学素子であり、FOPとしては、例えば浜松ホトニクス社製の製品番号J5734等が挙げられる。
【0039】
また、図9に示すように、例えば基板がイメージセンサ76であり、このイメージセンサ76上にシンチレータ層12が形成されていてもよい。この場合、イメージセンサ76は、次のように構成することができる。すなわち、絶縁性(例えばガラス製)の基板62上に、光電変換を行う受光素子72が2次元上に配列されて受光部が形成されている。受光素子72は、アモルファスシリコン製のフォトダイオード(PD)や薄膜トランジスタ(TIF)から構成されている。受光素子72の各々は、信号読出し用の信号線73によって電気的に接続されている。外部回路(不図示)へ信号を取り出すための複数のボンディングパッド74は、基板62の外周辺に沿って露出して配置されており、信号線73を介して受光素子72に電気的に接続されている。受光素子72及び信号線73上には、絶縁性のパッシベーション膜75が形成されている。なお、保護膜の外周部は、被覆樹脂82によってコーティングされている。
【0040】
また、上記実施形態では、ガラス基板11の表面11bの表面粗さRaを変えることにより、シンチレータ層12の柱状結晶12xの柱径を制御しているが、柱状結晶12xの柱径を制御する方法としては、種々の方法を採用してもよい。例えば、シンチレータ層12を蒸着する際に蒸着パラメータ(基板加熱温度、蒸着レート、蒸着角度等)を変更することによって柱径を制御することもできる。つまり、本発明は、柱径と膜厚の相関関係に基づいてシンチレータパネル(放射線検出器)を製造する製造方法であって、以下に例示する工程を有していてもよい。
【0041】
例えば上述したように、ガラス基板11の表面11bの表面粗さRaを変更する表面粗さ変更工程と、表面粗さ変更工程の後に表面11bに蒸着によりシンチレータ層12を形成するシンチレータ層形成工程と、を有し、前記表面粗さ変更工程は、膜厚と表面粗さRaと柱径との上記相関関係に基づいた柱径が形成されるよう表面11bの表面粗さRaを所定粗さに研磨する工程を含んでいてもよい。
【0042】
また例えば、図10に示すように、ガラス基板11を蒸着装置50における真空チャンバ51内の基板ホルダ52に設置する基板設置工程と、蒸着装置50における基板温度制御手段53により基板ホルダ52内の温度調節部54を制御し、上記相関関係に基づいた柱径が形成されるようガラス基板11の加熱温度を設定する基板加熱温度制御工程と、ガラス基板11の加熱温度を制御しながらシンチレータ材射出ユニット55を作動させて表面11bにシンチレータ層12を形成(真空蒸着)するシンチレータ層形成工程と、を有していてもよい。なお、蒸着装置50では、上記相関関係に関する情報をデータ格納部56に格納しており、当該情報に基づいて蒸着パラメータ(蒸着条件)を決定又は制御している。
【0043】
また例えば、ガラス基板11を蒸着装置50における真空チャンバ51内の基板ホルダ52に設置する基板設置工程と、蒸着装置50における蒸着レート制御手段57によりシンチレータ材射出ユニット55を制御し、上記相関関係に基づいた柱径が形成されるよう蒸着レート(シンチレータ材の加熱温度)を設定する蒸着レート制御工程と、蒸着レートを制御しながらシンチレータ材射出ユニット55を作動させて表面11bにシンチレータ層12を形成するシンチレータ層形成工程と、を有していてもよい。
【0044】
また例えば、ガラス板11を蒸着装置50における真空チャンバ51内の基板ホルダ52に設置する基板設置工程と、蒸着装置50における蒸着角度制御手段58によりシンチレータ材射出ユニット55を制御し、上記相関関係に基づいた柱径が形成されるよう蒸着角度を設定する蒸着角度制御工程と、蒸着角度を制御しながらシンチレータ材射出ユニット55を作動させて表面11bにシンチレータ層12を形成するシンチレータ層形成工程と、を有していてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…放射線検出器、10…シンチレータパネル、11…ガラス基板、11b…表面(主面)、12…シンチレータ層、12x…柱状結晶、20…光検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の主面上に形成され柱状結晶からなるシンチレータ層と、を備えたシンチレータパネルであって、
前記シンチレータ層の厚さ及び前記柱状結晶の柱径は、前記柱径が大きくなるに連れて光出力が大きく且つ解像度が低下する相関関係と、前記シンチレータ層の厚さが厚くなるに連れて前記柱径が大きくなる相関関係とに基づいて、所定光出力及び所定解像度となるように設定されていること、を特徴とするシンチレータパネル。
【請求項2】
前記シンチレータ層の厚さは、100μmよりも大きく且つ150μm以下であり、
前記柱状結晶の柱径は、2.6μm以上且つ3.9μm以下であること、を特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
前記シンチレータ層の厚さは、150μmよりも大きく且つ300μm以下であり、
前記柱状結晶の柱径は、3.9μm以上且つ5.9μm以下であること、を特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項4】
前記シンチレータ層の厚さは、300μmよりも大きく且つ450μm以下であり、
前記柱状結晶の柱径は、3.9μm以上且つ6.5μm以下であること、を特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
前記シンチレータ層の厚さは、450μmよりも大きく且つ600μm以下であり、
前記柱状結晶の柱径は、4.9μm以上且つ6.5μm以下であること、を特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項記載のシンチレータパネルと、当該シンチレータパネルの出力光を検出する光検出器と、を備えたこと、を特徴とする放射線検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−40847(P2013−40847A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177707(P2011−177707)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】