説明

シートベルト操作具およびこれを備えたシートベルト装置

【課題】タングレスのシートベルト装置において、シートベルトの操作性を良好にしかつ乗員の快適性を向上することができるシートベルト操作具を提供する。
【解決手段】シートベルト3にシートベルト操作具8が摺動可能に支持される。ベルト装着操作時に、乗員はシートベルト操作具8を把持してシートベルト3を引き出すとともに、ベルト係合保持装置7のベルトハンガ11に引っ掛ける。そして、を下方に押すことで、ベルトハンガ11がベルト係合保持装置7のベース10にラッチされる。これにより、タングレスのシートベルト装置において、シートベルト3の操作性を良好にしかつ乗員の快適性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両のシートに着座する乗員を、タングを用いることなくシートベルトで拘束するシートベルト装置において、シートベルトを引き出すとともに車両シート等の車体に係合するためのシートベルト操作具およびこれを備えたシートベルト装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の車両に搭載されるシートベルト装置は、車両の衝突時等の大きな減速度が車両に加えられたとき、乗員をシートベルトで拘束して乗員の慣性移動を抑制するものである。従来、このようなシートベルト装置の1つとして、例えば自動車等の車両に搭載されるシートベルト装置は、車両の衝突時等の大きな減速度が車両に加えられたとき、乗員の慣性移動を拘束するものである。従来、このようなシートベルト装置の1つとして三点式シートベルト装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、この特許文献1に記載のシートベルト装置を始め、三点式シートベルト装置は、シートベルトに摺動可能に支持されたタングを備えている。そして、このような三点式シートベルト装置は、車両シートに着座した乗員がタングを把持してシートベルトをシートベルトリトラクタから引き出すとともにタングを車両シート等の車体に固定されたバックルに係合することで、シートベルトにより乗員を拘束するようになっている。その場合、特許文献1に記載のシートベルト装置のように、タングを備えるシートベルト装置は、通常、シートベルトの非装着時にタングがシートベルトに取り付けられたタングストッパで乗員の取り易い位置に保持されるようになっている。また、特許文献1に記載のシートベルト装置では、シートベルトの引出し操作を容易にするために、タングとタングストッパとの少なくとも一方に指掛け部が設けられている。
【0004】
しかし、このようなタングを備えるシートベルト装置では、次のような問題がある。すなわち、タングおよびタングストッパを備えるシートベルト装置では、タングの重量がタングストッパを介してシートベルトに加えられるようになる。また、タングは、乗員を拘束するシートベルトを堅固に支持するため、少なくとも金属を用いた強度部材で構成されている。このため、タングの重量は比較的大きいものとなっている。したがって、シートベルトリトラクタのベルト巻取り力を大きくする必要がある。
【0005】
このように、シートベルトリトラクタのベルト巻取り力が大きいと、シートベルトを装着する際にシートベルトリトラクタからのシートベルトの引出し力が大きくなり、乗員によるシートベルトおよびタングの各取扱いを円滑に行うことが困難である。また、ベルト巻取り力が大きくなることで、ベルト装着状態で乗員の快適性が低下する。
【0006】
更に、シートベルトの装着操作時にタングとシートベルトとの間に摺動抵抗が生じるとともにタングの係止片をバックルの穴に挿入しかつバックルに係合させる必要がある。このため、乗員によるシートベルトおよびタングの各取扱いを円滑に行うことが一層困難となる。更に、シートベルトの装着解除のためタングがバックルから係合解除されたときに、タングはドア等の車体に衝突するおそれがある。
【0007】
そこで、タングを用いずに乗員をシートベルトで拘束するタングレスのシートベルト装置が提案されている(例えば、特許文献2および3参照)。これらの特許文献2および3に記載のシートベルト装置では、シートベルトリトラクタから引き出されたシートベルトが車両シート等の車体側に固定されたベルト係合保持装置に係合保持されることで、ショ
ルダー側ベルトとラップ側ベルトに分けられて乗員を拘束する。
このようなタングレスのシートベルト装置はタングを備えていないので、タングに起因する前述の諸問題が解消または抑制される。
【特許文献1】実開昭60−110056号全文。
【特許文献2】実公昭57−25606号公報。
【特許文献3】実公昭56−27762号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献2および3に記載のタングレスのシートベルト装置では、乗員がシートベルトを直接把持して引き出すとともに、ベルト係合保持装置に係合させる必要がある。このため、シートベルトをねじってベルト係合保持装置に係合させてしまったり、シートベルトがシートベルトリトラクタから引き出されることで長さが変化し、シートベルトの引出し時とベルト係合保持装置への係合時でシートベルトを持ち替える必要が生じたりする。このため、シートベルトの取扱いが煩雑となり、シートベルトの装着時におけるシートベルトの操作性が良好ではない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、タングレスのシートベルト装置において、シートベルトの操作性を良好にしかつ乗員の快適性を向上することができるシートベルト操作具およびこれを備えたシートベルト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するために、請求項1に係る発明のシートベルト操作具は、車体に固定されたベルト係合保持装置に掛けられて緊急時に前記ベルト係合保持装置で係合保持されることで乗員を拘束するシートベルトを、操作するシートベルト操作具であって、前記シートベルトに支持される支持部と、この支持部に一体に設けられかつ前記乗員によって操作される操作部とを有し、前記乗員によって前記操作部が操作されることで、前記シートベルトを引き出すとともに前記ベルト係合保持装置に掛けることを特徴としている。
【0011】
また、請求項2に係る発明のシートベルト操作具は、前記支持部が前記シートベルトに摺動可能に支持されることを特徴としている。
更に、請求項3に係る発明のシートベルト操作具は、前記支持部が前記シートベルトが摺動可能に挿通される細長いベルト挿通孔を有することを特徴としている。
更に、請求項4に係る発明のシートベルト操作具は、前記ベルト挿通孔が湾曲して形成されることを特徴としている。
更に、請求項5に係る発明のシートベルト操作具は、前記支持部が前記シートベルトの引出し時にこのシートベルトを所定の屈曲角で屈曲させるベルト屈曲部を有し、前記ベルト屈曲部が、前記シートベルトの前記ベルト係合保持装置へのベルト掛け操作時での、前記シートベルトの屈曲角がベルト係合保持装置のサイズに応じて設定されるように形成されていることを特徴としている。
【0012】
更に、請求項6に係る発明のシートベルト操作具は、前記操作部は、布、皮、軽金属や樹脂等の軽量材から糸状、帯状、あるいは鎖状に形成されることを特徴としている。
更に、請求項7に係る発明のシートベルト操作具は、前記操作部がループ形状にされることを特徴としている。
更に、請求項8に係る発明のシートベルト操作具は、前記操作部が前記支持部に着脱可
能に設けられることを特徴としている。
【0013】
更に、請求項9に係る発明のシートベルト装置は、緊急時に乗員を拘束するシートベルトと、このシートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、前記シートベルトが掛けられて緊急時に前記シートベルトを係合保持するベルト係合保持装置とを少なくとも備えたタングレスのシートベルト装置において、前記シートベルトを操作するシートベルト操作具を備え、前記シートベルト操作具が請求項1ないし8のいずれか1記載のシートベルト操作具であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
このような構成をした本発明のシートベルト操作具によれば、シートベルトの装着のため、シートベルト操作具を乗員により引っ張ることで、シートベルトを引き出してベルト係合保持装置に容易に掛けることが可能となる。これにより、ベルト装着操作時でのシートベルトの取扱い性を向上することができる。特に、シートベルト操作具の操作部を車室側(乗員側)に位置するように設けることで、シートベルトをねじることなくベルト係合保持装置に掛けることができる。
【0015】
また、シートベルト操作具の支持部をシートベルトに摺動可能に支持することで、シートベルトの引出しを更に容易にすることができる。更に、シートベルトが摺動可能に挿通される細長いベルト挿通孔をこの支持部に有することで、シートベルトをねじれることなくベルト係合保持装置に掛けることができる。更に、ベルト挿通孔を湾曲して形成することで、シートベルトの引出し時でのシートベルトとシートベルト操作具との間の摺動抵抗を小さくできる。更に、支持部のベルト屈曲部を、シートベルトのベルト係合保持装置へのベルト掛け操作時での、シートベルトの屈曲角がベルト係合保持装置のサイズに応じて設定されるように形成することで、シートベルト操作具を把持してシートベルトをベルト係合保持装置に掛ける際、シートベルトをベルト係合保持装置により一層容易に掛けることができる。このようにして、ベルト装着操作時でのシートベルトの取扱い性を更に効果的に向上することができる。
【0016】
更に、シートベルト操作具は、車両の緊急時に乗員の慣性によりシートベルトから大きな力を加えられないので、強度部材として構成する必要がなくなる。これにより、シートベルト操作具を樹脂等の軽量材で構成することができ、シートベルト操作具の重量を効果的に軽減できる。
【0017】
更に、シートベルト操作具の操作部を、布、皮、軽金属や樹脂等の軽量材から糸状、帯状、あるいは鎖状に形成されることで、シートベルト操作具を簡単な構造で安価に形成することはできる。更に、シートベルト操作具の操作部をループ形状に形成することで、ベルト装着操作時でのシートベルトの取扱い性を更に効果的に向上することができる。更に、シートベルト操作具の操作部を記支持部に着脱可能に設けることで、操作部のみを種々容易に交換することができる。したがって、乗員は好みの操作部を支持部に簡単に取り付けることができるので、シートベルトの装着に対する乗員の意欲を効果的に向上することができる。しかも、操作部が着脱可能となるので、操作部が汚れても、容易に新しい操作部と交換することができる。更に、シートベルト操作具を用いることで、シートベルトの引出し時にシートベルトを直接把持しないで済むようになる。これにより、シートベルトの汚れを抑制することができる。
【0018】
一方、本発明のシートベルト操作具を用いたタングレスのシートベルト装置によれば、シートベルト操作具の重量を軽減できることから、シートベルト操作具を設けても、シートベルトリトラクタのベルト巻取り力を小さくでき、乗員によるシートベルトリトラクタからのシートベルトの引出し力を低減することができる。その結果、シートベルトの装着
操作時の取扱い性を、前述のシートベルト操作具による良好な取扱い性に相俟って更に一層向上することができる。しかも、シートベルトリトラクタのベルト巻取り力が小さいことから、シートベルト装着状態での乗員の快適性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、この例のシートベルト装置1は、タングを備えないタングレスの従来と同種の三点式シートベルト装置である。このシートベルト装置1は、車体に固定されたシートベルトリトラクタ2、シートベルトリトラクタ2から引き出されるとともに先端のベルトアンカー3aが車体に固定されたシートベルト3(なお、シートベルト3のベルトアンカー3aは車両シート5等の車体の他の個所に固定されてもよい)、センターピラー(不図示)等の車体に設けられてシートベルトリトラクタ2から引き出されたシートベルト3を乗員4のショルダーの方へガイドするベルトガイドアンカー5、および車体の車両シート6に固定されてシートベルト3を係合保持するベルト係合保持装置7(なお、ベルト係合保持装置7は床等の車体の他の個所に固定されてもよい)を備えている。
【0020】
また、シートベルト装置1は、シートベルト3に摺動可能に支持されたシートベルト操作具8を備えている。このシートベルト操作具8は、シートベルト3を装着するために乗員4によって操作されてシートベルト3をシートベルトリトラクタ2から引き出すとともにこのシートベルト3自体をベルト係合保持装置7に係合保持するためのものである。シートベルト3の非装着時にシートベルト3がシートベルトリトラクタ2に巻き取られた状態では、図1に二点差線で示すように、シートベルト操作具8はシートベルト3に設けられたストッパ9により、車両シート6に着座した乗員4がこのシートベルト操作具8を手で把持しやすい位置に保持されるようになっている。
【0021】
ベルト係合保持装置7は、車両シート6の座部6aの、ベルトガイドアンカー5と反対側の側面に固定されている。図2、図3(a)および(b)に示すように、このベルト係合保持装置7は、L字状のベース10と、シートベルト3が掛けられて係合されるベルト係合部である平板状のベルトハンガ11と、ベース10の車両前後方向後端部とベルトハンガ11の車両前後方向後端部とを連結するアーム12とを備えている。
【0022】
図2、図4(a)および(b)に示すように、ベース10の上下方向壁10aには、略L字状の一対のパウル13,14が、車両前後方向に延びかつベース10に回転可能に支持されたパウル回転軸15を中心に回転可能に支持されている(なお、図4(a),(b)には、符号14は()を付して示す)。その場合、両パウル13,14はこのパウル回転軸15に互いに一体回転可能に固定されているとともに、それらの一部がベース10の上下方向壁10aに形成された凹部10b内に配置されている。
【0023】
両パウル13,14はまったく同じ形状を有しており、図4(a)および(b)に示すように、各パウル13,14は、それぞれそれらの一端部に係止爪13a,14aを有している。また、各パウル13,14は、係止爪13a,14aと反対側の端部に平坦な表面を有する被押圧部13b,14bを有している。
【0024】
両パウル13,14は図4(a)に示すラッチ位置Aと図4(b)に示す非ラッチ位置Bとが設定されている。ラッチ位置Aでは、各パウル13,14の係止爪13a,14aはベルトハンガ11の係合凹部11sおよび係合溝11t(いずれも、後述の図5(b)に示す)に係止してベルトハンガ11を図3(a)および(b)に示す収納位置Cに保持する。また、このとき、各パウル13,14の被押圧部13b,14bの表面はほぼ上下方向
の鉛直面となる。また、非ラッチ位置Bでは、各パウル13,14の係止爪13a,14aはベルトハンガ11の係合凹部11sおよび係合溝11tから離脱してベルトハンガ11を図2に示すベルト装着のためのベルト係合操作位置Dに設定可能にする。また、このとき、各パウル13,14の被押圧部13b,14bの表面は上下方向に対して上方に向いて傾斜する傾斜面となる。
【0025】
図4(a),(b)に示すように、パウル回転軸15の一端には、パウル付勢アーム16がパウル回転軸15と一体回転可能に固定されている。このパウル付勢アーム16の先端部とベース10との間には、パウル付勢アーム16を付勢するアーム付勢手段が設けられている。このアーム付勢手段は引っ張りばね17からなっている。その場合、両パウル13,14のラッチ位置Aでは、図4(a)に示すようにパウル付勢アーム16の引っ張りばね取付部16aとベース10の引っ張りばね取付部10cとを結ぶ直線αがパウル回転軸15の中心15aより下方に位置するようになっている。これにより、ラッチ位置Aでは、両パウル13,14は引っ張りばね17の付勢力で図4(a)において反時計回りに付勢される。すなわち、両パウル13,14はラッチ位置Aでは、このラッチ位置Aに保持される方向に付勢される。このとき、両パウル13,14の被押圧部13b,14b側がベース10の第1ストッパ部10dに当接してそれ以上の反時計回りの回転が阻止される。
【0026】
また、両パウル13,14の非ラッチ位置Bでは、図4(b)に示すように直線αがパウル回転軸15の中心15aより上方に位置するようになっている。これにより、非ラッチ位置Bでは、両パウル13,14は引っ張りばね17の付勢力で図4(b)において時計回りに付勢される。すなわち、両パウル13,14は非ラッチ位置Bでは、この非ラッチ位置Bに保持される方向に付勢される。このとき、両パウル13,14の係止爪13a,14a側がベース10の第2ストッパ部10eに当接してそれ以上の時計回りの回転が阻止される。
【0027】
更に、両パウル13,14の間のパウル回転軸15の中央部には、パウル作動アーム18がパウル回転軸15と一体回転可能に固定されている。このパウル作動アーム18はこのアームの長手方向に延設された長孔18aを有している。また、ベース10には、L字状の第1動力伝達ロッド19が上下方向に移動可能に設けられている。そして、第1動力伝達ロッド19の水平部19aがパウル作動アーム18の長孔18aに係合している。また、第1動力伝達ロッド19の鉛直部19bは運動方向変換機構20に連結されている。運動方向変換機構20は一対のくさび部材20a,20bを有しており、第1動力伝達ロッド19は一方のくさび部材20aに連結されている。
【0028】
更に、ベース10には、車両前後方向に延びる第2動力伝達ロッド21が車両前後方向(図4(a),(b)において左右方向)に移動可能に設けられている。この第2動力伝達ロッド21の中間部が他方のくさび部材20bに連結されている。また、第2動力伝達ロッド21の一端には、両パウル13,14によるベルトハンガ11のラッチを解除する解除部材である解除ボタン22が設けられている。なお、図4(a),(b)には、ベルトハンガ11が図示省略されている。
【0029】
両パウル13,14がラッチ位置Aに設定されてベルトハンガ11が収納位置Cにラッチされると、第1動力伝達ロッド19が上方へ移動する。この第1動力伝達ロッド19の上動で、運動方向変換機構20により、第2動力伝達ロッド21が図4(a)において右方へ移動し、解除ボタン22が車両後方に所定量移動してベース10から所定量突出した位置となる。
【0030】
ベルトハンガ11をラッチ解除するために、解除ボタン22を図4(a)において左方
へ押圧すると、第2動力伝達ロッド21が同方向に移動する。この第2動力伝達ロッド19の左動で、運動方向変換機構20により、第1動力伝達ロッド19が図4(b)において下方へ移動し、両パウル13,14が図4(a)に示す位置から時計回りに回転する。これにより、ベルトハンガ11がラッチ解除される。
【0031】
更に、第2動力伝達ロッド21はロッド付勢手段である圧縮ばね23で図4(a),(b)において左方へ常時付勢されている。その場合、両パウル13,14がラッチ位置Aにあるとき、この圧縮ばね23による第2動力伝達ロッド21の付勢力で両パウル13,14を非ラッチ位置Bの方へ回転させようとする力が、引っ張りばね17による両パウル13,14をラッチ位置Aに保持させようとする力より小さくなるように、引っ張りばね17および圧縮ばね23の各ばね力がそれぞれ設定されている。なお、両パウル13,14をラッチ位置Aおよび非ラッチ位置Bとの間で移動させる機構およびこれらの位置A,Bの保持させる機構は、前述の例に限定されることなく公知の他の機構を用いることもできる。
更に、ベース10の水平部10kには、車両前後方向両端部にL字状の一対の係止爪10m,10nがそれぞれ設けられている。
【0032】
図5(a)に示すように、ベルトハンガ11は、ベース10の上下方向壁10aに対向する側と反対側の面に一対の円弧状の段差11a,11bが形成されている。これらの段差11a,11bにより、ベルトハンガ11のこの面の車両前後方向両端部11c,11dが中央部11eより高く形成されている。また、図5(b)に示すように、ベルトハンガ11は、ベース10の上下方向壁10aに対向する側の面にも一対の円弧状の段差11f,11gが形成されている。これらの段差11f,11gにより、ベルトハンガ11のこの面の車両前後方向両端部11h,11iが中央部11jより高く形成されている。更に、図2に示すように、ベルトハンガ11の下端部にも、一対の段差11k,11mが形成されている。これらの段差11k,11mにより、ベルトハンガ11の下端部の車両前後方向両端部11n,11oが中央部11pより高く形成されている。そして、車両前後方向前側の段差11a,11f,11kが連続して形成されるとともに、車両前後方向後側の段差11b,11g、11mが連続して形成される。
【0033】
シートベルト3がベルトハンガ11に掛けられたベルト装着時には、シートベルト3は中央部11e,11j,11pに位置するようにされている。これにより、シートベルト3はベルトハンガ11に対して車両前後方向に相対移動したとき、それぞれ段差11a,11f,11kに当接するか、あるいは段差11b,11g,11mに当接することで、それ以上の車両前後方向の移動が阻止される。
【0034】
図5(a)に示すように、車両前方向側端部11cには凹部11qが設けられているとともに、車両後方向端部11dには凹溝11rが設けられている。ベルトハンガ11が図3(a),(b)に示す収納位置Cに設定されたとき、ベース10の各係止爪10m,10nの水平先端部の一部または全部が嵌入するようになる(図3(b)に点線で、係止爪10nの水平先端部が凹溝11rに嵌入されることが図示されている)。その場合、車両前方向側端部11cの凹部11qより下部部分11c1は、ベルトハンガ11が図2に示すベルト係合操作位置Dと図3(a),(b)に示す収納位置Cとの間で移動するとき、ベース10の係止爪10mの水平先端部に干渉しないようにされている。
【0035】
ベース10の各係止爪10m,10nの水平先端部がそれぞれ凹部11qおよび凹溝11rに嵌入した状態では、シートベルト3はベルトハンガ11に対して仮に段差11a,11f,11kおよび段差11b,11g,11mを乗り越えて車両前後方向に相対移動したとしても、各係止爪10m,10nのいずれかに当接することで、それ以上の車両前後方向の移動がより一層阻止される。
【0036】
図5(b)に示すように、車両後方向側端部11iの上部には、係合凹部11sが形成されているとともに、車両前方向側の段差11fの上端部には係合溝11tが形成されている。ベルトハンガ11が収納位置Cに設定されたとき、一方のパウル13の係止爪13aが係合凹部11s内に進入してベルトハンガ11をラッチするとともに、他方のパウル14の係止爪14aが係合溝11t内に進入してベルトハンガ11をラッチするようになる。
【0037】
更に、車両後方向側端部11iには押圧部11uが形成されている。この押圧部11uは、ベルトハンガ11が収納位置Cの方へ移動してきたとき、パウル13の被押圧部13bに当接してこの被押圧部13bを下方に押圧することで、非ラッチ位置Bにある両パウル13,14をラッチ位置Aの方へ回転させるようになっている。
【0038】
そして、ベルトハンガ11は収納位置Cでは、その長手方向中心線βがほぼ上下方向に向いた鉛直状態となるとともに、低い位置でかつ乗員4から離れた位置となる。一方、ベルトハンガ11はベルト係合操作位置Dでは、ベルトハンガ11の長手方向中心線βがほぼベルトガイドアンカー5の方(つまり、乗員4の方)へ向いて傾斜するとともに、ベルトハンガ11は収納位置Cより高い位置でかつ乗員4の方に接近した位置となる。これにより、ベルトハンガ11はベルト係合操作位置Dでは、乗員4によるシートベルト3のベルト掛け操作がし易い位置に設定された状態となる。より具体的には、ベルトハンガ11がベルト係合操作位置Dに設定されたとき、その長手方向中心線βは、車両の左右方向の水平線に対して30°ないし60°の角度で傾斜するようにする。その場合、この長手方向中心線βの傾斜角は、ベルトガイドアンカー5の位置およびベルト係合操作位置Dに設定されたベルトハンガ11の位置の相互関係に基づいて、前述の角度範囲で設定するようにする。これにより、シートベルト操作具8によりシートベルト3がベルトガイドアンカー5を通して、ベルト係合操作位置Dにあるベルトハンガ11の方へ引き出されるとき、シートベルト操作具8よりベルトガイドアンカー5側のシートベルト3cとベルトアンカー3a側のシートベルト3dとの間の中心線γがベルトハンガ11の長手方向中心線βとほぼ一致するようになる。
【0039】
図2および図3(a),(b)に示すように、アーム12はその一端部がベルトハンガ11に相対回転不能に固定されているとともに、その他端部がベース10側に回転可能にかつ上下方向に移動可能に支持されている。図6(a)に示すように、このアーム12は、アーム本体12aと、このアーム本体12aに固定されるカバー12bとからなる。なお、図6(a)には、ベルトハンガ11が図示省略されている。
【0040】
アーム本体12aには、そのカバー側面に凹部12cが形成されている。この凹部12c内には、円形の貫通孔12dが穿設されている。また図6(b)に示すように、アーム本体12aには、そのベース側面に貫通孔12dをほぼ中心にほぼ円形状の凹部12eが形成されている。更に、アーム本体12aのこのベース側面には、アーム本体12aの長手方向とほぼ直交する方向に周方向溝12fが形成されている。そして、凹部12eと周方向溝12fとが長手方向溝12gで連通している。
【0041】
図6(a)に示すように、アーム本体12aには、アーム回転制御パウル24が凹部12c内に位置して回転軸12hを中心に回転可能に支持されている。図6(c)に示すように、このアーム回転制御パウル24はその一端部に係止爪24aを有するとともにその他端部にほぼ円筒状の軸支部24bを有している。更にアーム回転制御パウル24は係止爪24aと軸支部24bとの間に、被押圧部24cが突設されている。
【0042】
軸支部24bは、アーム本体12aに立設された回転軸12hに嵌合されて回転可能に
支持される。また、被押圧部24cは、図6(b)に示すアーム本体12aの凹部12cと周方向溝12fとを連通するガイド孔12iを貫通してアーム本体12aのベース10側に突出している。ガイド孔12iは、回転軸12hを中心とする円の円弧に形成されている。そして、アーム回転制御パウル24はパウル付勢スプリング25により、図6(a)において常時反時計回りに付勢されている。
【0043】
アーム12は、アーム支持部材26に回転可能に支持される。図6(a)および図7に示すようにアーム支持部材26は上下方向に長いほぼ直方体に形成されている。このアーム支持部材26の左右両側面には、それぞれ上下方向に延びる一対の断面矩形状のガイド溝26a,26bが形成されている。一方、ベース10の上下方向壁10aの車両前後方向後端面に上下方向に形成された長溝10fの左右両側壁には、一対の断面矩形状のガイド突条10g,10hがそれぞれ形成されている。そして、アーム支持部材26は長溝10f内に収容され、一対のガイド溝26a,26bがそれぞれ対応するガイド突条10g,10hに摺動可能に嵌合支持されている。したがって、アーム支持部材26は長溝10f内をガイド突条10g,10hに案内されて上下移動可能にされている。
【0044】
アーム支持部材26のアーム側面には、アーム支持軸26cが立設されている。このアーム支持軸26cは、円柱状の大径軸26c1とこの大径軸26c1に同心の円柱状の小径軸26c2とから段付きに形成されている。小径軸26c2の外周面には、軸方向に延びる細長い切り欠き溝26c3が形成されている。この切り欠き溝26c3には、アーム回転制御パウル24の係止爪24aが係合可能になっている。すなわち、アーム回転制御パウル24はパウル付勢スプリング25により、その係止爪24aが切り欠き溝26c3に係合する方向に常時付勢されている。
【0045】
アーム12とアーム支持部材26との間には、アーム12を図3(b)および図6(a)において時計回りに常時付勢するアーム付勢手段が設けられている。図6(a)および図7に示すように、このアーム付勢手段はコイル状のねじりスプリング27から構成されている。
【0046】
アーム12、アーム支持部材26およびねじりスプリング27の組み付け時、ねじりスプリング27のコイル部27aがアーム支持軸26cの大径軸26c1およびアーム12の凹部12eにそれぞれ嵌合されるとともに、アーム支持軸26cの小径軸26c2がアーム12の貫通孔12dを貫通して、カバー12bの軸受け部12b1に回転可能に支持される。このとき、ねじりスプリング27の一端部27bがアーム支持部材26に形成されたスプリング支持孔26dに嵌入支持され、また、ねじりスプリング27の他端部27cが長手方向溝12gに嵌合支持される。そして、ねじりスプリング27のねじりばね力で、前述のようにアーム12が時計回りに常時付勢される。
【0047】
そして、アーム回転制御パウル24の係止爪24aが切り欠き溝26c3に係合することで、アーム12は時計回りの回転が阻止される。また、アーム回転制御パウル24の係止爪24aが切り欠き溝26c3から離脱することで、アーム12は時計回りの回転が可能にされる。図3(a),(b)に示すシートベルト操作具8が収納位置Cにあるときは、アーム回転制御パウル24の係止爪24aが切り欠き溝26c3に係合し、また、図2に示すシートベルト操作具8がベルト係合操作位置Dにあるときは、アーム回転制御パウル24の係止爪24aが切り欠き溝26c3から離脱するようになっている。
【0048】
ベース10の長溝10fの底部とアーム支持部材26の下面との間には、アーム支持部材26を常時上方に付勢するアーム支持部材付勢スプリング28が縮設されている。アーム支持部材付勢スプリング28の付勢力で、ベルトハンガ11がラッチ解除されたとき、アーム支持部材26、アーム12およびベルトハンガ11が一体に上動するようになる。
【0049】
図6(a)に示すように、ベース10の車両前後方向後端面の上部には、アーム回転制御パウル24を作動するパウル作動手段10iが設けられている。このパウル作動手段10iはほぼ円弧状の突条から形成されている。そして、アーム支持部材26、アーム12およびベルトハンガ11が一体に上動して行ったとき、ベース10側に突出したアーム回転制御パウル24の被押圧部24cがパウル作動手段10iの下端10i1に当接するようになっている。被押圧部24cとパウル作動手段10iとの当接後、更に、アーム支持部材26、アーム12およびベルトハンガ11が上動することで、アーム回転制御パウル24が回転軸12hを中心に回転する。これにより、係止爪24aが切り欠き溝26c3から離脱し、アーム12およびベルトハンガ11がねじりスプリング27の付勢力で大径軸26c1を中心に図6(a)において時計回りに回転可能状態となる。
【0050】
アーム12の更なる上動でアーム回転制御パウル24が所定量回転すると、被押圧部24cがパウル作動手段10iの下端10i1から外れ、アーム12およびベルトハンガ11が時計回りに回転するようになる。このとき、被押圧部24cがパウル作動手段10iの外周側面10i2にガイドされながら、アーム12が回転するようになっている。そして、アーム12がベース10の車両前後方向後端に設けられた円弧状のストッパ10jに当接することで、アーム12の時計回りのそれ以上の回転が阻止され、アーム12がこの回転位置に位置決めされる。アーム12のこの回転位置では、ベルトハンガ11は、図2に示すベルト係合操作位置Dに設定される。
【0051】
図8は、本発明に係るシートベルト操作具の実施の形態の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるVIIIB−VIIIB線に沿う部分拡大断面図である。
図8(a)に示すように、この例のシートベルト操作具8は、略二等辺三角形状に形成された本体8a(本発明の支持部に相当)を有している。シートベルト操作具8は単にシートベルト3を引き出すために用いられるものであり、車両の緊急時における乗員の慣性移動によりシートベルト3に加えられる大きな荷重を受けない。したがって、シートベルト操作具8は強度部材で構成する必要はなく、例えば樹脂や軽量金属等の平板状の薄肉軽量材から形成される。これにより、シートベルト操作具8の重量は小さくなり、従来の公知のタングの重量より1/8ないし1/4の重量となる。また、シートベルト操作具8の重量が小さくなることから、ストッパ9も軽量材で形成可能となる。このように、シートベルト操作具8およびストッパ9の各重量が小さいので、これらのシートベルト操作具8およびストッパ9によるシートベルト3に加えられる荷重も小さくなる。
【0052】
本体8aの略二等辺三角形状の頂部8bには、ひも(ストラップ)状の操作部材8c(本発明の操作部に相当)が一体に取り付けられている。この操作部材8cは、柔らかで曲げやすくかつ細長く形成されるとともに、その両端部が頂部8bに固定されてループ形状にされる。その場合、操作部材8cは、布、皮、軽金属や樹脂等の軽量材から糸状、帯状、あるいは鎖状に形成される。そして、操作部材8cの操作時に、乗員4は指を操作部材8cのループ形状部に掛けるか、あるいは操作部材8cを手で把持するかすることにより、この操作部材8cを引っ張るようになっている。
【0053】
本体8aにはシートベルト3が摺動可能に挿通される細長いベルト挿通孔8dが設けられている。そして、シートベルト操作具8の操作によるシートベルト3の引出し時に、ベルトガイドアンカー5から延びてきたシートベルト3は、このベルト挿通孔8の挿通部分で屈曲(あるいは湾曲)されて、ベルトアンカー3aの方へ延びるようになっている。すなわち、シートベルト操作具8の、ベルト挿通孔8dに関して操作部材8c側と反対側の部分がベルト引出し部8e(本発明のベルト屈曲部に相当)とされている。このベルト引出し部8eは、シートベルト3をベルトガイドアンカー5の方向とベルトアンカー3aの方向にV字状に屈曲させつつ、シートベルトリトラクタ2から引き出すようになっている

【0054】
ベルト挿通孔8dは、その長手方向と直交する方向の幅がシートベルト3の厚みより大きくかつシートベルト3の厚みの1.5倍以下に設定するのが好ましい。これにより、シートベルト操作具8の操作によるシートベルト3の引出し時に、シートベルト3のねじれが防止される。また、シートベルト操作具8の操作部材8cが、シートベルト3の非装着時に車室側(つまり、乗員側に)位置するように取り付けられている。したがって、シートベルト3はベルトハンガ11にねじられることなく掛けられるようになる。
【0055】
ベルト挿通孔8dは、その長手方向中央部が操作部材8c側と反対側に凸となる湾曲した細長い形状に形成されている。ベルト挿通孔8dのこの形状はベルト挿通孔8dの全体である必要はなく、ベルト挿通孔8dを形成するベルト引出し部8eの端縁8fが、その長手方向中央部で操作部材8c側と反対側に凸となる湾曲した形状であればよい。このようにベルト挿通孔8dの形状が設定されることで、シートベルト3の屈曲部3bは、その幅方向両側縁部でベルト引出し部8eに当接し、その幅方向中央部でベルト引出し部8eに当接するか当接しても軽く当たるだけとなる。したがって、シートベルト3とベルト引出し部8eとの間の摺動抵抗が小さくなり、シートベルト操作具8の引っ張り操作時、シートベルト操作具8はシートベルト3に対してよりスムーズに摺動するようになる。
【0056】
図8(b)に示すように、ベルト引出し部8eは、その端縁8fからベルトガイドアンカー5側の面8gが本体8aの表面8a1に対してベルト引出し部8eの内側に凹むテーパ面とされているとともに、その端縁8fからベルトアンカー3a側の面8hが本体8aの裏面8a2に対してベルト引出し部8eの内側に凹むテーパ面とされている。そして、ベルト引出し部8eの2つのテーパ面8g,8hは所定の角度θ(°)で互いに傾斜して形成されている。この角度θ(°)は、シートベルト3のベルトガイドアンカー5側のシートベルト3cとベルトアンカー3a側のシートベルト3dとのなす開き角度がベルトハンガ11にシートベルト3をスムーズにかつ容易に掛けられる大きさとなるように、ベルト係合保持装置7のベルトハンガ11のサイズ(特に、厚み)に応じて設定されている。
【0057】
具体的には、シートベルト3の屈曲部3bから一側のシートベルト3(図示例では、シートベルト3d)の長さが約30mmの位置でこの一側のシートベルト3に直交する方向で距離が約30mm以上の位置に他側のシートベルト3(図示例では、シートベルト3c)が位置するように、角度θ(°)は45°以上に設定されるのが好ましい。角度θ(°)が45°以上に設定されることで、両側のシートベルト3ベルトが、通常使用されると推定されるサイズの係合保持具7のベルトハンガ11にスムーズにかつ容易に掛けられるようになる。
【0058】
また、ベルト挿通孔8dの長手方向の両端部近傍における本体8aの左右両端部8i1,8i2は湾曲形状に形成されている。これにより、仮にシートベルト操作具8が車体の内装部材に衝突したとき、内装部材の損傷が防止される。
【0059】
なお、ベルト挿通孔8dは、前述の例と逆方向に湾曲した細長い形状に形成することもできる。この場合には、シートベルト3の屈曲部3bは、その幅方向中央部でベルト引出し部8eに当接し、その幅方向両端部でベルト引出し部8eに当接するか当接しても軽く当たるだけとなり、ベルト引出し部8eとシートベルト3との間の摺動抵抗が小さくなる。また、ベルト挿通孔8dは直線状に形成することもできる。この場合には、ベルト引出し部8eとシートベルト3との間の摺動抵抗は、前述の湾曲したベルト挿通孔8dに比べて若干大きくなる。
【0060】
次に、このように構成されたこの例のシートベルト装置1のベルト装着およびベルト装
着解除の作動について説明する。
ベルト非装着時(ベルト非使用時)には、シートベルト3がシートベルトリトラクタ2に巻き取られて、図1に二点鎖線で示すようにベルトアンカー3aとベルトガイドアンカー5との間のシートベルト3はほぼ直線状にされている。このとき、シートベルト操作具8はストッパ9により、車両シート6に着座した乗員4が手で把持しやすい位置(図1に二点鎖線で示す位置)に保持される。また、ベルトハンガ11は、ラッチ位置Aにある両パウル13,14によってラッチされて図3(a)および(b)に示すベース10に収納位置Cに保持されてほぼ上下方向に向いた状態となっている。
【0061】
更に、図9(I)(a)に示すようにアーム回転制御パウル24の係止爪24aがアーム支持軸26cの切り欠き溝26c3に係合している。このとき、図9(II)(a)に示すようにアーム回転制御パウル24の被押圧部24cは、アーム12のガイド孔12iの一端側の初期位置にある。
【0062】
この状態で、乗員が車両シート6に着座してシートベルト3を装着するために、まず、解除ボタン22を押す。これにより、両パウル13,14が図4(a)において時計回りに回転し、両パウル13,14の係止爪13a,14aが上方かつ右方へ移動する。すると、アーム支持部材付勢スプリング28の付勢力で、アーム支持部材26、アーム12およびベルトハンガ11がガイド突条10g,10hにガイドされつつ係止爪13a,14aの上動に応じて上方へ移動する。このとき、係止爪24aが切り欠き溝26c3に係合した状態が維持されるので、アーム12およびベルトハンガ11は回転しない。
【0063】
両パウル13,14の回転で、両パウル13,14の被押圧部13b,14bがベルトハンガ11側に接近してくるが、ベルトハンガ11の押圧部11uが上動するので、被押圧部13bはベルトハンガ11の移動領域に進入したときには、押圧部11uに干渉することはない。
【0064】
直線αがパウル回転軸15の中心15aより上方に位置すると、両パウル13,14はベルトハンガ11の上方への押圧力に関係なく、引っ張りばね17の付勢力で非ラッチ位置Bの方へ回転して第2ストッパ部10eに当接して停止することで、セルフラッチ解除する。これにより、係止爪13a,14aがシートベルト操作具8の移動領域から完全に脱出し、アーム支持部材26、アーム12およびベルトハンガ11が両パウル13,14に邪魔されなく上動する。このとき、両パウル13,14は引っ張りばね17の付勢力によってベース10の第2ストッパ部10eに当接した非ラッチ位置Bに保持される。アーム12の更なる上動で、図9(I)(b)に示すように被押圧部24cがパウル作動手段10iの下端10i1に当接する。このときまで、図9(II)(b)に示すように被押圧部24cはガイド孔12iの一端側の初期位置に維持される。
【0065】
被押圧部24cのパウル作動手段10iへの当接後アーム12の更なる上動で、アーム回転制御パウル24が回転軸12hを中心に図9(I)(b)において時計回り(図9(II)(b)において反時計回り)に回転開始する。このアーム回転制御パウル24の回転により、図9(I)(c)に示すように係止爪24aが切り欠き溝26c3から離脱する。このとき、図9(II)(c)に示すように被押圧部24cはガイド孔12iにガイドされて初期位置から移動する。
【0066】
係止爪24aが切り欠き溝26c3から離脱しても、被押圧部24cがパウル作動手段10iの下端10i1に当接している間は、ねじりスプリング27で付勢されているアーム12は回転しない。被押圧部24cがパウル作動手段10iの下端10i1から外れると、アーム12がねじりスプリング27の付勢力で図9(II)(c)において時計回りに回転する。このとき、被押圧部24cはパウル作動手段10iの外周側面10i2にガイ
ドされる。また、被押圧部24cがパウル作動手段10iの下端10i1から外れた時点で、アーム支持部材26の上動が停止する。これにより、切り欠き溝26c3は係止爪24aが係合可能な位置に保持される。アーム12がストッパ10jに当接すると、アーム12の回転が阻止され、ベルトハンガ11が図2に示すベルト係合操作位置Dに設定される。このベルトハンガ11のベルト係合操作位置Dでは、ベルトハンガ11は、前述のようにほぼベルトガイドアンカー5の方向に傾斜するとともに、乗員4がシートベルト3を掛けやすい位置に設定される。更に、ベルトハンガ11のベルト係合操作位置Dでは、ベルトハンガ11の車両前方側が開放される。
【0067】
次いで、乗員が指をシートベルト操作具8の操作部材8cのループ形状部に掛けるか、あるいは操作部材8cを手で把持するかして、この操作部材8cをベルト係合保持装置7の方へ引っ張る。これにより、シートベルト3がシートベルトリトラクタ2から引き出される。そして、図10(a)に示すように操作部材8cによって形成されたシートベルト3の屈曲部3bを境とする両側のシートベルト3の間にベルトハンガ11が位置するように、シートベルト3をベルトハンガ11に車両前方側から嵌合して掛ける。このとき、シートベルト操作具8のベルト引出し部8eの角度θ(°)が前述のように設定されているので、シートベルト3はベルトハンガ11にスムーズにかつ容易に掛けられる。しかも、ベルトハンガ11がほぼベルトガイドアンカー5の方へ向いているとともに、シートベルト3を掛けやすい位置に設定されているので、シートベルト3は更に一層容易に掛けられる。こうして、シートベルト3がベルトハンガ11の所定位置に係合される。
【0068】
次に、乗員は手でベルトハンガ11を下方に押す。すると、このベルトハンガ11に対する乗員による下方への押圧力で、アーム12が図9(I)(d)において反時計回りに回転する。したがって、ベルトハンガ11も同方向に回転する。このベルトハンガ11の回転にともなって、ベルトハンガ11に掛けられたシートベルト3が更に引き出される。被押圧部24cがパウル作動手段10iの外周側面10i2から外れると、アーム回転制御パウル24がパウル付勢スプリング25の付勢力で図9(I)(c)において反時計回りに回転する。切り欠き溝26c3が係止爪24aの係合可能な位置に保持されているので、図9(I)(b)に示すようにアーム回転制御パウル24の係止爪24aが切り欠き溝26c3に係合する。これによりアーム12は回転不能になるともに、図10(b)に示すように、ベルトハンガ11はほぼ上下方向に向いた状態となる。
【0069】
乗員によるベルトハンガ11の更なる下方への押圧で、アーム支持部材26、アーム12およびベルトハンガ11が一体にアーム支持部材付勢スプリング28の付勢力に抗して下動する。このベルトハンガ11の下動により、ベルトハンガ11に掛けられたシートベルト3は更に引き出される。
【0070】
ベルトハンガ11の下動で、ベルトハンガ11の押圧部11uがパウル13の被押圧部13aに当接した後、ベルトハンガ11の更なる下動で、両パウル13,14が図4(b)において反時計回りに回転する。両パウル13,14の回転で、直線αがパウル回転軸15の中心15aより下方に位置すると、両パウル13,14はベルトハンガ11の下方への押圧力に関係なく、引っ張りばね17の付勢力でラッチ位置Aの方へ回転して第1ストッパ部10dに当接して停止することで、セルフラッチする。その後、乗員はベルトハンガ11から手を離すと、ベルトハンガ11は解放されかつアーム支持部材付勢スプリング28の付勢力で若干上動して係止爪13a,14aに当接し、図3(a),(b)および図10(c)に示すようにシートベルト3を係合保持した状態でラッチされた収納位置Cとなる。このとき、解除ボタン22がベース10から若干突出するようになる。更に、ベルトハンガ11が解放されることで、余分に引き出されたシートベルト3がシートベルトリトラクタ2によって巻き取られてシートベルト3のスラックが除去され、シートベルト3は乗員4に小さな力でフィットする。
【0071】
これにより、シートベルト3が乗員4に装着され、ベルトハンガ11の下端部(つまり、シートベルト3の屈曲部)を境にしてベルトガイドアンカー5側のシートベルト3がショルダーベルトとして乗員4の肩および胸等の上半身を拘束可能となり、ベルトハンガ11の下端部よりベルトアンカ3a側のシートベルト3がラップベルトとして乗員4の腰等の下半身を拘束可能となる。したがって、車両に通常走行時の減速度より大きな減速度が作用した緊急時には、従来の三点式シートベルト装置と同様にシートベルトリトラクタ2がシートベル3の引出しを阻止する。これにより、慣性移動しようとする乗員4がシートベルト3によって拘束される。このとき、シートベルト3は乗員の慣性力で前方へ押圧されて移動しようとするが、前述の段差11a,11f,11kおよび係止爪10mにより、シートベルト3の前方移動が阻止され、シートベルト3がベルトハンガ11から外れることはない。そして、シートベルト3からの大きな力がこれらの段差11a,11f,11kおよび係止爪10mにより強固に支持される。
【0072】
シートベルトの装着を解除するために、乗員が解除ボタン22を押すと、前述と同様にベルトハンガ11が収納位置Cからベルト係合操作位置Dに設定される。乗員は前述と同様にシートベルト操作具8を操作してシートベルト3をベルトハンガ11から外す。その後、乗員はシートベルト操作具8を離すことで、シートベルト3がシートベルトリトラクタ2に巻き取られ、シートベルト3およびシートベルト操作具8は図1に二点鎖線で示す非装着位置(非使用位置)となる。
そして、乗員は再びベルトハンガ11を下方に押圧することで、前述と同様にベルトハンガ11を収納位置Cにラッチする。
【0073】
この例のシートベルト操作具8によれば、タングレスのシートベルト装置1においてシートベルト3の装着のため、シートベルト操作具8を乗員により引っ張ることで、シートベルト3をシートベルトリトラクタ2から引き出してベルトハンガ11に容易に掛けることが可能となる。これにより、ベルト装着操作時でのシートベルト3の取扱い性を向上することができる。
【0074】
特に、シートベルト操作具8の操作部材8cが車室側(乗員側)に位置するようにされることで、シートベルト3をねじることなくベルトハンガ11に掛けることができる。更に、シートベルト操作具8のベルト挿通孔8dの長手方向と直交する方向の幅を、シートベルト3の厚みより大きくかつシートベルト3の厚みの1.5倍以下に設定することで、シートベルト3のねじりをより一層効果的に抑制することができる。
【0075】
また、シートベルト操作具8のベルト引出し部8eの端縁8fを挟む両側の面8g,8hがなす角度θ(°)を45°以上の所定の角度に設定しているので、シートベルト操作具8を把持してシートベルト3をベルトハンガ11に掛ける際、端縁8fで屈曲される屈曲部3bの両側のシートベルト3の間隔を、通常のシートベルト装置1に想定されるベルトハンガ11の大きさより大きくすることが可能となる。これにより、シートベルト3をベルトハンガ11により一層容易に掛けることができる。
【0076】
しかも、ベルトハンガ11がベルト係合操作位置Dではほぼベルトガイドアンカー5の方向に向くとともに、シートベルト3が掛けやすい位置に設定されるので、シートベルト3のベルトハンガ11へのベルト掛け操作を更に一層容易に行うことが可能となる。また、ベルトハンガ11が収納位置Cではほぼ上下方向となるので、収納時のベルトハンガ11の車両シート6の左右方向への突出が抑制される。これにより、ベルト係合保持装置7を設けるための車両左右方向のスペースを効果的に小さくできる。
【0077】
更に、シートベルト操作具8は、車両の緊急時に乗員の慣性によりシートベルト3から
大きな力を加えられないので、強度部材として構成しなくても済ませることができる。これにより、シートベルト操作具8を樹脂等の軽量材で構成することができ、シートベルト操作具8の重量を効果的に軽減できる。
【0078】
更に、シートベルト操作具8の操作部材8cを、布、皮、軽金属や樹脂等の軽量材から糸状、帯状、あるいは鎖状に形成されることで、シートベルト操作具8を簡単な構造で安価に形成することはできる。更に、シートベルト操作具8の操作部材8cをループ形状に形成することで、ベルト装着操作時でのシートベルト3の取扱い性を更に効果的に向上することができる。
【0079】
更に、シートベルト操作具8を用いることで、シートベルト3の引出し時にシートベルト3を直接把持しないで済むようになる。これにより、シートベルト3の汚れを抑制することができる。
【0080】
図11は、本発明の実施の形態の他の例におけるシートベルト操作具を部分的に示す図である。
前述の図8に示す例では、シートベルト操作具8の操作部材8を本体8aに着脱不能に固定しているが、この例のシートベルト操作具8では、操作部材8を本体8aに着脱可能に取り付けている。すなわち、図11(a)に示すように、シートベルト操作具8の本体8aの頂部8bに、円筒状の取付部8jが一体に設けられている。図11(b)に示すように、この取付部8jの内孔の内周面には、軸方向断面がほぼ三角形状の環状の係止突起8kが形成されている。
【0081】
また、ひも(ストラップ)状の操作部材8cは操作部材支持具8mに支持されている。図11(b)に示すように、この操作部材支持具8mは、小径部8m1と大径部8m2とから段付きに形成されている。操作部材8cは大径部8m2に支持されている。小径部8m1は取付部8jの内孔内に嵌合可能になっている。この小径部8m1の外周面には、小径部8m1が取付部8jに嵌合されたとき弾性的に係合する軸方向断面がほぼ三角形状の環状の係止溝8nが形成されている。そして、図11(b)に二点鎖線で示すように小径部8m1が取付部8jに、小径部8m1と大径部8m2との間の段部が取付部8jの端に当接するまで嵌入されたとき、係止溝8nが係止突起8kに係合するようになっている。その場合、挿入されてきた小径部8m1が係止突起8kに当接した後、更にこの小径部8m1が挿入されることで係止突起8kが拡大するように弾性変形し、係止溝8nと係止突起8kとが係合する。
【0082】
このときの係止溝8nと係止突起8kとの係合力は、シートベルト3の装着のためにシートベルト3がシートベルトリトラクタ2から引き出されるときの乗員4による操作部材8cの引っ張り力では係止溝8nと係止突起8kとの係合が解除されない大きさに設定されるが、シートベルト3の装着のための操作部材8cの引っ張り力より大きな力では係止溝8nと係止突起8kとの係合が解除される大きさに設定されている。したがって、操作部材支持具8mは操作部材8cを交換するために乗員4により引き抜き可能になっている。この例のシートベルト操作具8の他の構成およびこのシートベルト操作具8を用いたシートベルト装置1の構成は、いずれも前述の例と同じである。
【0083】
この例のシートベルト操作具8によれば、シートベルト操作具8のひも状の操作部材8cを本体8aに着脱可能に取り付けることで、操作部材8cのみを種々容易に換えることができる。したがって、乗員4は好みの操作部材8cを本体8aに簡単に取り付けることができるので、シートベルト3の装着に対する乗員4の意欲を効果的に向上することができる。しかも、操作部材8cが着脱可能となるので、操作部材8cが汚れても、容易に新しい操作部材8cと交換することができる。この例のシートベルト操作具8の他の作用効
果およびこのシートベルト操作具8を用いたシートベルト装置1の作用効果は、いずれも前述の例と同じである。
【0084】
なお、前述の実施の形態の各例では、いずれもシートベルト操作具8をシートベルト3に摺動可能に支持するものとしているが、本発明のシートベルト操作具はこれらに限定されるものではない。例えば、前述の各例における操作部材8cをシートベルト操作具8として、シートベルト3に直接取り付け支持させることもできる。その場合には、操作部材8cは、シートベルト3を装着する際に乗員4の操作がし易い位置に取り付けるようにする。
【0085】
一方、本発明のシートベルト操作具8を用いたタングレスのシートベルト装置1によれば、シートベルトリトラクタ2のベルト巻取力をタングを用いたシートベルト装置に比べて小さくすることができる。これにより、乗員によるシートベルト3の装着性をより一層向上することができる。しかも、乗員によるシートベルトリトラクタ2からのシートベルト3の引出し力を低減することができることから、シートベルト3の装着操作時の取扱い性を、前述のシートベルト操作具8による良好な取扱い性に相俟って更に一層向上することができる。しかも、シートベルトリトラクタ2のベルト巻取り力が小さいことから、シートベルト装着状態での乗員4の快適性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のシートベルト操作具およびシートベルト装置は、自動車等の車両に装備され、シートベルトにより乗員を拘束するシートベルト装置において、タングを用いないタングレスのシートベルト装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の一例を模式的に示す図である。
【図2】図1に示すシートベルト装置に用いられるベルト係合保持装置のベルト掛け可能状態を示す斜視図である。
【図3】(a)はベルト係合保持装置の収納状態を示す正面図、(b)はその右側面図である、
【図4】(a)はラッチ位置のパウルを模式的に示す図、(b)は非ラッチ位置のパウルを模式的に示す図である。
【図5】(a)はベルトハンガを正面側からみた斜視図、(b)はベルトハンガを裏面側からみた斜視図である。
【図6】(a)はベースおよびアームを示す分解斜視図、(b)はアーム本体を示す斜視図、(c)はアーム回転制御パウルを示す斜視図である。
【図7】アーム支持部材をベースに組み付けた状態の断面図である。
【図8】(a)は本発明に係るシートベルト操作具の実施の形態の一例を示す斜視図、(b)は(a)におけるVIIIB−VIIIB線に沿う部分拡大断面図である。
【図9】本発明に係るシートベルト装置におけるアームの挙動を説明する図である。
【図10】(a)ないし(c)はシートベルトをベルトハンガに係合するための説明図である。
【図11】(a)は本発明に係るシートベルト操作具の実施の形態の他の例を示す斜視図、(b)は(a)におけるXIB−XIB線に沿う部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1…シートベルト装置、2…シートベルトリトラクタ、3…シートベルト、3a…ベルトアンカー、7…ベルト係合保持装置、8…シートベルト操作具、8a…本体、8c…操作部材、8d…ベルト挿通孔、8e…ベルト引出し部、8j…取付部、8k…係止突起、8m…操作部材支持具、8n…係止溝、9…ストッパ、10…ベース、10g,10h…ガイド突条、10i…パウル作動手段、10j…ストッパ、11…ベルトハンガ、12…アーム、13,14…パウル、13a,14a…係止爪、13b,14b…被押圧部、15…パウル回転軸、22…解除ボタン、24…アーム回転制御パウル、24a…係止爪、24c…被押圧部、25…パウル付勢スプリング、26…アーム支持部材、26a,26b…ガイド溝、26c…アーム支持軸、26c3…切り欠き溝、27…ねじりスプリング、28…アーム支持部材付勢スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定されたベルト係合保持装置に掛けられて緊急時に前記ベルト係合保持装置で係合保持されることで乗員を拘束するシートベルトを、操作するシートベルト操作具であって、
前記シートベルトに支持される支持部と、この支持部に一体に設けられかつ前記乗員によって操作される操作部とを有し、
前記乗員によって前記操作部が操作されることで、前記シートベルトを引き出すとともに前記ベルト係合保持装置に掛けることを特徴とするシートベルト操作具。
【請求項2】
前記支持部は前記シートベルトに摺動可能に支持されることを特徴とする請求項1記載のシートベルト操作具。
【請求項3】
前記支持部は前記シートベルトが摺動可能に挿通される細長いベルト挿通孔を有することを特徴とする請求項2記載のシートベルト操作具。
【請求項4】
前記ベルト挿通孔は湾曲して形成されることを特徴とする請求項3記載のシートベルト操作具。
【請求項5】
前記支持部は前記シートベルトの引出し時にこのシートベルトを所定の屈曲角で屈曲させるベルト屈曲部を有し、
前記ベルト屈曲部は、前記シートベルトの前記ベルト係合保持装置へのベルト掛け操作時での、前記シートベルトの屈曲角がベルト係合保持装置のサイズに応じて設定されるように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載のシートベルト操作具。
【請求項6】
前記操作部は、布、皮、軽金属や樹脂等の軽量材から糸状、帯状、あるいは鎖状に形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1記載のシートベルト操作具。
【請求項7】
前記操作部はループ形状にされることを特徴とする請求項6記載のシートベルト操作具。
【請求項8】
前記操作部は前記支持部に着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1記載のシートベルト操作具。
【請求項9】
緊急時に乗員を拘束するシートベルトと、このシートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタと、前記シートベルトが掛けられて緊急時に前記シートベルトを係合保持するベルト係合保持装置とを少なくとも備えたタングレスのシートベルト装置において、
前記シートベルトを操作するシートベルト操作具を備え、
前記シートベルト操作具が請求項1ないし8のいずれか1記載のシートベルト操作具であることを特徴とするシートベルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−279955(P2009−279955A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131013(P2008−131013)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】