説明

シートベルト装置用タング及びシートベルト装置

【課題】ショルダ側からラップ側へのウェビングの移動を防止又は抑制でき、しかも、このような移動を防止又は抑制した状態でウェビングに対して局所的な荷重を作用させないシートベルト装置用タング及びシートベルト装置を得る。
【解決手段】シートベルト装置用タング10は、ウェビング32の張力で回動ピース52が回動すると、回動ピース52の押圧部60がウェビング32を第1掛け回し部70と第2掛け回し部72との間に押し込んで第1掛け回し部70と第2掛け回し部72とにウェビング32を掛け回す。これにより、ウェビング32の屈曲角度の総和が増加して、ウェビング32に付与される摩擦抵抗が大きくなる。このため、ショルダウェビング48がラップウェビング50側へ移動することを防止又は効果的に抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートベルト装置を構成するシートベルト装置用タング及びこのようなタングを備えるシートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されたシートベルト装置用タング(特許文献1では「ベルト舌部」と称している)は、その本体部分(特許文献1では「舌部本体部」と称している)がウェビング(特許文献1では「ベルトウェッビング」と称している)の幅方向を軸方向とする軸周りに湾曲しており、その内側に湾曲した板状の曲げ及び締め付け要素が設けられている。
【0003】
車両が急減速することで乗員の身体がウェビングを前方に押圧し、これにより、ウェビングの張力が増加すると、この張力によって曲げ及び締め付け要素がタングの本体部分の内側を摺動する。このように摺動した曲げ及び締め付け要素は、ウェビングを厚さ方向一方の側から押圧し、これにより、曲げ及び締め付け要素がタングにおける本体部分の上バーとでウェビングをクランプする。このようにウェビングがクランプされることによって、タングよりもウェビングの基端側の部分がタングよりも先端側へ移動することを抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−525909の公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェビングがクランプされた状態のままウェビングに張力が付与されると、ウェビングにおいてクランプされた部分に局所的な荷重が作用するため、このような荷重に耐えうるような強度を予めウェビングに付与しなくてはならない。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、ショルダ側からラップ側へのウェビングの移動を防止又は抑制でき、しかも、このような移動を防止又は抑制した状態でウェビングに対して局所的な荷重を作用させないシートベルト装置用タング及びシートベルト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係るシートベルト装置用タングは、バックルに挿し込み可能な挿込部と、ウェビングが掛け回されることで前記ウェビングを折り返す折り返し支持部と、前記ウェビングの厚さ方向一方の側に設けられて前記ウェビングが側方を通過する第1掛け回し部と、前記ウェビングの厚さ方向一方の側に設けられると共に、前記ウェビングの長手方向に第1掛け回し部に対向して設けられて、前記ウェビングが側方を通過する第2掛け回し部と、前記ウェビングを介して前記第1掛け回し部及び前記第2掛け回し部とは反対側に設けられて、前記ウェビングの張力が所定の大きさ以上の場合に前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間へ向けて移動して、前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間に前記ウェビングを押し込み、前記第1掛け回し部及び前記第2掛け回し部に前記ウェビングを掛け回すと共に、前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間に入り込んだ状態で前記第1掛け回し部との間隔及び前記第2掛け回し部との間隔の各々が前記ウェビングの厚さ寸法以上になるように設定された押圧手段と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載の本発明に係るシートベルト装置用タングでは、シートに着座した乗員の身体にウェビングが掛け回された状態でバックルに挿込部が挿し込まれて、挿込部がバックルに保持される。これにより乗員の身体に対するウェビングの装着状態になる。この状態では、折り返し支持部にウェビングが掛け回されて折り返される。この折り返し部分よりもウェビングの長手方向先端側はラップウェビングとして乗員の腰部を拘束し、折り返し部分よりもウェビングの長手方向基端側はショルダウェビングとして乗員の胸部や肩部を拘束する。
【0009】
このウェビングの装着状態で、例えば、車両が急減速し、これにより、乗員の身体が車両前方側へ慣性移動すると、ウェビングが乗員の身体により車両前方側へ引っ張られてウェビングの張力が増加する。このようにウェビングの張力が増加すると、ウェビングを介して第1掛け回し部及び第2掛け回し部とは反対側に設けられた押圧手段が第1掛け回し部と第2掛け回し部との間へ向けて移動する。このように移動した押圧手段はウェビングを押圧して第1掛け回し部と第2掛け回し部との間に押し込む。
【0010】
これにより、ウェビングは第1掛け回し部、押圧手段、及び第2掛け回し部の各々に掛け回される。このように、第1掛け回し部、押圧手段、及び第2掛け回し部の各々にウェビングが摺接することで第1掛け回し部、押圧手段、及び第2掛け回し部の各々とウェビングとで摩擦が生じ、ショルダウェビング側からラップウェビング側へのウェビングの移動が防止又は抑制される。
【0011】
しかも、このように、押圧手段が第1掛け回し部と第2掛け回し部との間にウェビングを押し込むことで、第1掛け回し部及び第2掛け回し部の双方へウェビングを掛け回すことができ、折り返し支持部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度に更に第1掛け回し部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度や、第2掛け回し部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度、そして押圧手段でのウェビングの押圧位置よりも基端側に対する先端側の屈曲角度が加わり、ウェビングの屈曲角度の総和を増加させることができる。これにより、ウェビングが受ける摩擦抵抗を大きくできる。
【0012】
また、押圧手段が第1掛け回し部と第2掛け回し部との間に入り込んだ状態では、押圧手段と第1掛け回し部との間隔及び押圧手段と第2掛け回し部との間隔の各々はウェビングの厚さよりも大きい。このため、押圧手段に押圧されたウェビングが第1掛け回し部と第2掛け回し部との間に入り込んでも、ウェビングが第1掛け回し部や第2掛け回し部と押圧手段とにクランプされることがない。このため、上記のようにショルダウェビング側からラップウェビング側へのウェビングの移動が防止又は抑制された状態でも、ウェビングに局所的に大きな荷重が付与されることがない。
【0013】
請求項2に記載の本発明に係るシートベルト装置用タングは、請求項1に記載の本発明において、一部が前記押圧手段としての押圧部とされて他の一部が前記折り返し支持部とされ、所定の大きさ以上の張力が付与された前記ウェビングによって前記折り返し支持部が引っ張られることで移動する可動部材と、前記可動部材を前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間へ移動可能に支持し、移動する前記可動部材を前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間へ案内するガイド手段と、を備えている。
【0014】
請求項2に記載の本発明に係るシートベルト装置用タングでは、可動部材の一部が押圧手段としての押圧部とされて他の一部が折り返し支持部とされる。この可動部材はガイド手段によって支持され、折り返し支持部に所定の大きさ以上の張力が付与されたウェビングによって折り返し支持部が引っ張られると、可動部材がガイド手段に案内されて押圧部が第1掛け回し部と第2掛け回し部との間に移動して、ウェビングを第1掛け回し部と第2掛け回し部との間に押し込み、ウェビングを第1掛け回し部と第2掛け回し部とに掛け回す。
【0015】
このように、可動部材に折り返し支持部と押圧部とを設定することで、ウェビングから折り返し支持部に付与された引っ張り力で直接押圧部を移動させることができる。
【0016】
請求項3に記載の本発明に係るシートベルト装置は、長尺帯状のウェビングと、シートの側方に設けられたバックルと、前記ウェビングの厚さ方向一方の側で第1掛け回し部と第2掛け回し部とが前記ウェビングの長手方向に対向するように設けられると共に、前記ウェビングを介して前記第1掛け回し部及び前記第2掛け回し部とは反対側に設けられた押圧手段が前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間へ向けて移動することにより前記押圧手段が前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間に前記ウェビングを押し込んで前記第1掛け回し部及び前記第2掛け回し部に前記ウェビングを掛け回すと共に、前記押圧手段が前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間に入り込んだ状態で前記押圧手段と前記第1掛け回し部との間隔及び前記押圧手段と前記第2掛け回し部との間隔の各々が前記ウェビングの厚さ寸法以上になるように設定されて、前記バックルに装着可能に設けられると共に前記ウェビングが折り返されるタングと、を備えている。
【0017】
請求項3に記載の本発明に係るシートベルト装置では、シートに着座した乗員の身体にウェビングが掛け回された状態でタングがバックルに挿し込まれて、バックルにタングが保持される。これにより乗員の身体に対するウェビングの装着状態になる。この状態では、タングの折り返し支持部にウェビングが掛け回されて折り返される。この折り返し部分よりもウェビングの長手方向先端側はラップウェビングとして乗員の腰部を拘束し、折り返し部分よりもウェビングの長手方向基端側はショルダウェビングとして乗員の胸部や肩部を拘束する。
【0018】
このウェビングの装着状態で、例えば、車両が急減速し、これにより、乗員の身体が車両前方側へ慣性移動すると、ウェビングが乗員の身体により車両前方側へ引っ張られてウェビングの張力が増加する。このようにウェビングの張力が増加すると、ウェビングを介して第1掛け回し部及び第2掛け回し部とは反対側に設けられた押圧手段が第1掛け回し部と第2掛け回し部との間へ向けて移動する。このように移動した押圧手段はウェビングを押圧して第1掛け回し部と第2掛け回し部との間に押し込む。
【0019】
これにより、ウェビングは第1掛け回し部、押圧手段、及び第2掛け回し部の各々に掛け回される。このように、第1掛け回し部、押圧手段、及び第2掛け回し部の各々にウェビングが摺接することで第1掛け回し部、押圧手段、及び第2掛け回し部の各々とウェビングとで摩擦が生じ、ショルダウェビング側からラップウェビング側へのウェビングの移動が防止又は抑制される。
【0020】
しかも、このように、押圧手段が第1掛け回し部と第2掛け回し部との間にウェビングを押し込むことで、第1掛け回し部及び第2掛け回し部の双方へウェビングを掛け回すことができ、折り返し支持部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度に更に第1掛け回し部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度や、第2掛け回し部よりもウェビングの基端側に対する先端側の屈曲角度、そして押圧手段でのウェビングの押圧位置よりも基端側に対する先端側の屈曲角度が加わり、ウェビングの屈曲角度の総和を増加させることができる。これにより、ウェビングが受ける摩擦抵抗を大きくできる。
【0021】
また、押圧手段が第1掛け回し部と第2掛け回し部との間に入り込んだ状態では、押圧手段と第1掛け回し部との間隔及び押圧手段と第2掛け回し部との間隔の各々はウェビングの厚さよりも大きい。このため、押圧手段に押圧されたウェビングが第1掛け回し部と第2掛け回し部との間に入り込んでも、ウェビングが第1掛け回し部や第2掛け回し部と押圧手段とにクランプされることがない。このため、上記のようにショルダウェビング側からラップウェビング側へのウェビングの移動が防止又は抑制された状態でも、ウェビングに局所的に大きな荷重が付与されることがない。
【発明の効果】
【0022】
以上、説明したように、本発明に係るシートベルト装置用タング及びシートベルト装置では、ショルダ側からラップ側へのウェビングの移動を防止又は抑制でき、しかも、このような移動を防止又は抑制した状態でウェビングに対して局所的な荷重を作用させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの構成を概略的に示す側面断面図である。
【図2】ウェビング装着状態を示す図1に対応した側面断面図である。
【図3】車両急減速時にウェビングが乗員の身体に押圧された状態を示す図1に対応した側面断面図である。
【図4】カバーの要部を拡大した斜視図である。
【図5】第1の実施の形態に係るシートベルト装置用タングを含むシートベルト装置の全体構成を概略的に示す正面図である。
【図6】第2の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図7】第2の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの構成を概略的に示す側面断面図である。
【図8】ウェビング装着状態を示す図6に対応した側面断面図である。
【図9】車両急減速時にウェビングが乗員の身体に押圧された状態を示す図6に対応した側面断面図である。
【図10】第3の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図11】第3の実施の形態に係るシートベルト装置用タングの構成を概略的に示す側面断面図である。
【図12】ウェビング装着状態を示す図10に対応した側面断面図である。
【図13】車両急減速時にウェビングが乗員の身体に押圧された状態を示す図10に対応した側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を図1から図13の各図に基づき説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するに際して、説明している実施の形態や変形例よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0025】
<第1の実施の形態の構成>
図1には第1の実施の形態に係るシートベルト装置用タング10(以下、タング10と称する)の構成が概略的な側面図により示されている。
【0026】
これらの図に示されるように、タング10はタング本体12を備えている。タング本体12は金属平板の打ち抜きや曲げ加工により形成された芯金14を備えている。芯金14には平板状の挿込部16が形成されている。この挿込部16には係合孔18が形成されており、例えば、バックル20のラッチが係合孔18に入り込むように係合する。これにより、バックル20に対するタング10の装着状態になる。
【0027】
挿込部16の基端部からは連続して第1湾曲部22が形成されている。この第1湾曲部22は挿込部16の厚さ方向一方の側へ向けて開口し、他方へ向けて張り出すように湾曲している。この第1湾曲部22の挿込部16とは反対側の端部からは連続して第2湾曲部24が形成されている。第2湾曲部24は第1湾曲部22とは反対側へ向けて開口するように湾曲しており、その先端は第1湾曲部22の中間部と対向している。これらの第1湾曲部22及び第2湾曲部24の外周部は合成樹脂材により形成されたモールド26によって被覆されている。
【0028】
また、第1湾曲部22と第2湾曲部24との間には第1ウェビング通過孔28が形成されている。第1ウェビング通過孔28は長手方向が第1湾曲部22や第2湾曲部24の幅方向に沿ったスリット状に形成されている。第1ウェビング通過孔28の長手方向寸法は本タング10と共にシートベルト装置30(図5参照)を構成するウェビング32の幅寸法よりも僅かに大きく設定されていると共に、幅寸法はウェビング32の厚さ法よりも僅かに大きく設定されている。
【0029】
また、第1湾曲部22における第1ウェビング通過孔28よりも挿込部16側には第2ウェビング通過孔34が形成されており、この第2ウェビング通過孔34の内周部もモールド26に被覆されている。内周部がモールド26に被覆された状態での第1湾曲部22の幅方向に沿った第2ウェビング通過孔34の開口寸法はウェビング32の幅寸法よりも十分に大きく設定されていると共に、内周部がモールド26に被覆された状態での第1湾曲部22の湾曲方向に沿った第2ウェビング通過孔34の開口寸法はウェビング32よりも十分に大きく設定されている。
【0030】
ウェビング32はその長手方向基端側から第1ウェビング通過孔28を通過して第2ウェビング通過孔34を通過している。図5に示されるように、タング10よりもウェビング32の長手方向基端側はシート38を介してバックル20とは反対側に設けられたウェビング巻取装置40のスプールに係止されている。このウェビング巻取装置40のスプールから車両の上方に引き出されたウェビング32は、例えば、車両のセンターピラーの上端部近傍に設けられたショルダアンカ42にて下方へ折り返されている。ショルダアンカ42よりもウェビング32の先端側は上記のようにタング10の第1ウェビング通過孔28及び第2ウェビング通過孔34を通過し、その先端はシート38を介してバックル20とは反対側で車体やシート38の骨格部分に固定されたアンカプレート44に係止されている。
【0031】
シート38に着座した乗員46の身体にウェビング32が掛け回された状態でタング10がバックル20に装着されることにより、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態となる。この状態でウェビング32においてショルダアンカ42とタング10との間の部分はショルダウェビング48とされて乗員46の肩部や胸部を拘束し、タング10とアンカプレート44との間の部分はラップウェビング50とされ、主に乗員46の腰部を前方から拘束する。
【0032】
一方、図1に示されるように、第1湾曲部22の内側には可動部材としての回動ピース52が設けられている。回動ピース52は全体的に第1湾曲部22の曲率半径方向内側の所定位置を曲率の中心として湾曲している。第1湾曲部22に施されたモールド26のうち、回動ピース52の曲率半径方向外方を向く面と対向する面はガイド手段としてのガイド面54とされており、その曲率の中心は回動ピース52の曲率の中心に略等しくなるように湾曲している。
【0033】
回動ピース52の曲率半径方向外方を向く面と、第1湾曲部22に施されたモールド26の曲率半径方向内方を向く面とは互いに摺接しており、ガイド面54に案内されて回動ピース52がその曲率中心周りに回動できるようになっている。また、回動ピース52の周方向長さは第1湾曲部22における第1ウェビング通過孔28と第2ウェビング通過孔34との間の長さよりも十分長く設定されている。図4に示されるように、ガイド面54の内周面における幅方向両端部近傍からは保持手段としてのシェアピン56がガイド面54の半径方向内方へ突出形成されており、このシェアピン56に対応して回動ピース52の幅方向両端部には位置決め溝58が形成されている。
【0034】
位置決め溝58にシェアピン56が入り込んだ状態では、ガイド面54に沿った回動ピース52の回動が規制される。この状態では、ガイド面54の第1ウェビング通過孔28側の端部である押圧手段としての押圧部60は第1ウェビング通過孔28よりも第1湾曲部22側に位置している。また、この状態では、ガイド面54の第2ウェビング通過孔34側の端部である折り返し支持部62は、その側方をウェビング32が通過できる程度まで第2ウェビング通過孔34と重なっている。
【0035】
図5に示されるように、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態では、折り返し支持部62にウェビング32が掛け回された状態でウェビング32が折り返される。すなわち、この折り返し支持部62におけるウェビング32の折り返し部分よりもウェビング32の基端側がショルダウェビング48となり、先端側がラップウェビング50となる。
【0036】
一方、図4に示されるように、芯金14における第1湾曲部22及び第2湾曲部24に対応した部分には、芯金14の幅方向側方からカバー64が装着される。カバー64は厚さ方向が芯金14の幅方向に沿った側壁66を備えている。この側壁66において芯金14の幅方向内方を向く面にはガイド手段としてのガイドリブ68が形成されている。ガイドリブ68はその曲率の中心が上述した回動ピース52の曲率の中心に略等しくなるように湾曲しており、その曲率半径方向外側の面は回動ピース52の曲率半径内側の面に摺接する。すなわち、回動ピース52がその曲率半径方向外方からはガイド面54が摺接して曲率半径方向内方からはガイドリブ68が摺接する。これにより、回動ピース52の不用意な変位が規制されるようになっている。
【0037】
また、図1に示されるように、上述した第1ウェビング通過孔28の第2湾曲部24側の縁部は第1掛け回し部70とされており、第2湾曲部24の第1掛け回し部70の反対側の端は第2掛け回し部72とされている。ガイド面54及びガイドリブ68に案内されて回動ピース52が第2湾曲部24側へ回動した際の回動軌跡は第1掛け回し部70と第2掛け回し部72との間を通過する。
【0038】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0039】
本タング10はバックル20に装着されていない状態(更に言えば、タング10がバックル20側へ引っ張られていない状態)では、図5におけるショルダアンカ42とアンカプレート44との間をウェビング32が直線的に通過しており、ショルダアンカ42とアンカプレート44との間にタング10が位置している。この状態では、図1に示されるように、第1ウェビング通過孔28及び第2ウェビング通過孔34をウェビング32が直線的に通過しており、ウェビング32は回動ピース52の折り返し支持部62や押圧部60、更には、第1掛け回し部70や第2掛け回し部72にも掛け回されていない。
【0040】
乗員46の身体にウェビング32が装着される際には、シート38に着座した乗員46によってタング10がバックル20側へ引っ張られる。これにより、ウェビング巻取装置40からウェビング32が引き出されると共に、回動ピース52の折り返し支持部62や第2ウェビング通過孔34の回動ピース52とは反対側の縁部にウェビング32が掛け回されてウェビング32が折り返し支持部62や第2ウェビング通過孔34の回動ピース52とは反対側の縁部にて折り返される。この状態で、図2に示されるように、バックル20にタング10の挿込部16が挿し込まれ、係合孔18にバックル20のラッチが係合することでバックル20へのタング10の装着状態となり、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態になる。
【0041】
これにより、ウェビング32により乗員46の身体が拘束される。この状態では、ウェビング32における折り返し支持部62よりも基端側に対して先端側が図2のθ1の角度で屈曲し、更に、ウェビング32における第2ウェビング通過孔34の縁部よりも基端側に対して先端側が図2のθ2の角度で屈曲する。したがって、この状態では、これらの屈曲角度の総和(θ1+θ2)に応じた摩擦が折り返し支持部62や第2ウェビング通過孔34の縁部が付与され、この摩擦がウェビング32の長手方向に沿ったタング10の相対的な移動の抵抗になる。
【0042】
この状態で、車両が急減速状態になると乗員46の身体は車両前方側へ慣性移動しようとする。車両前方側へ慣性移動しようとする乗員46の身体は、その腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧し、胸部や肩部がウェビング32のショルダウェビング48を車両前方側へ押圧する。このようにしてウェビング32に荷重が付与されることで、ウェビング32の折り返し支持部62における折り返し部分が折り返し支持部62を押圧して回動ピース52を回動させようとする。更に、ウェビング32に付与された荷重が所定の大きさを超え、これにより、回動ピース52における位置決め溝58の内周縁がシェアピン56をせん断する。
【0043】
これにより、回動ピース52の周方向移動の規制が解消される。この状態でウェビング32が折り返し支持部62を押圧し、折り返し支持部62がガイド面54やガイドリブ68に案内されて移動すると、回動ピース52の押圧部60がウェビング32を押圧し、図3に示されるように、ウェビング32を第1掛け回し部70と第2掛け回し部72との間に押し込む。
【0044】
この状態では、第1ウェビング通過孔28の第2湾曲部24側の内周縁にウェビング32が掛け回されて、ウェビング32における第1ウェビング通過孔28の内周縁よりも基端側に対して先端側が図3のθ3の角度で屈曲する。次いで、回動ピース52の押圧部60にウェビング32が掛け回されて、ウェビング32における押圧部60よりも基端側に対して先端側が図3のθ4の角度で屈曲する。
【0045】
さらに、第2掛け回し部72にウェビング32が掛け回されて、ウェビング32における第2掛け回し部72よりも基端側に対して先端側が図3のθ5の角度で屈曲する。次いで、回動ピース52の折り返し支持部62にウェビング32が掛け回されて、ウェビング32における折り返し支持部62よりも基端側に対して先端側が図3のθ6の角度で屈曲する。さらに、第2ウェビング通過孔34の回動ピース52とは反対側の縁部にウェビング32が掛け回されて、ウェビング32における第2ウェビング通過孔34の縁部よりも基端側に対して先端側が図3のθ7の角度で屈曲する。
【0046】
このように、回動ピース52の押圧部60がウェビング32を第1掛け回し部70と第2掛け回し部72との間に押し込んだ状態でのウェビング32の屈曲角度の総和(θ3+θ4+θ5+θ6+θ7)は、回動ピース52の押圧部60がウェビング32を第1掛け回し部70と第2掛け回し部72との間に押し込む前のウェビング32の屈曲角度の総和(θ1+θ2)よりも大きい。このため、タング10からウェビング32に付与される摩擦抵抗は回動ピース52の押圧部60がウェビング32を第1掛け回し部70と第2掛け回し部72との間に押し込む前よりも大きくなる。これにより、車両前方側へ慣性移動しようとする乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧しても、ショルダウェビング48がラップウェビング50側へ移動することを防止又は効果的に抑制できる。
【0047】
しかも、上記のように、本実施の形態は、回動ピース52の押圧部60がウェビング32を第1掛け回し部70と第2掛け回し部72との間に押し込むことでウェビング32の屈曲角度の総和を増大させ、これによりショルダウェビング48のラップウェビング50側への移動を防止又は抑制する構成であり、タング10の構成によってウェビング32をクランプする構成ではない。このため、ウェビング32に対して局所的に大きな荷重を付与することがない。
【0048】
<第2の実施の形態の構成>
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0049】
図6には本実施の形態に係るシートベルト装置用タング90(以下、タング90と称する)の構成がタング90を部分的に破断した概略的な分解斜視図により示されており、図7にはタング90の構成の概略が側面断面図によって示されている。
【0050】
これらの図に示されるように、タング90はタング本体92を備えている。タング本体92は金属平板の打ち抜きや曲げ加工により形成された芯金94を備えている。芯金94は挿込部16を備えており、この挿込部16の基端部からは連続して枠部96が形成されている。枠部96は挿込部16の厚さ方向に貫通した外周形状及び内周形状が矩形の枠状に形成されている。また、芯金94はガイド部98を備えている。ガイド部98は枠部96に対して挿込部16の厚さ方向に沿った側方に形成されている。ガイド部98はその本体部分の角棒形状に形成されており、その長手方向はウェビング32の幅方向に沿っている。ガイド部98の本体部分の長手方向両端部からは枠部96へ向けて接続脚が延出されており、これらの接続脚が枠部96に繋がっている。
【0051】
以上の構成のガイド部98や枠部96にはモールド26が施されており、このようにモールド26が施された枠部96においてガイド部98を介して挿込部16とは反対側の部分は第1掛け回し部100とされ、ガイド部98を介して第1掛け回し部100とは反対側の部分は第2掛け回し部102とされている。
【0052】
また、ガイド部98及びガイド部98の周囲を覆うモールド26における枠部96側の面は、ガイド手段としての平面状のガイド面104とされている。ガイド面104は第1掛け回し部100との対向方向に対して枠部96側へ傾斜している。このガイド面104の側方には、可動部材としてのスライドピース106がガイド面104に接した状態で設けられている。スライドピース106におけるウェビング32の幅方向に沿った両端部には位置決め孔108が形成されている。これらの位置決め孔108に対応して枠部96を覆うモールド26からはシェアピン110が突出形成されている。シェアピン110は位置決め孔108の内側に入り込んでおり、ガイド面104に沿ったスライドピース106の移動を規制している。
【0053】
位置決め孔108の挿込部16側の端部は折り返し支持部112とされており、位置決め孔108における折り返し支持部112とは反対側の端部は押圧手段としての押圧部114とされている。この押圧部114におけるスライドピース106の厚さ方向に沿った寸法は、この折り返し支持部112におけるスライドピース106の厚さ方向に沿った寸法よりも小さく、スライドピース106を介してガイド部98とは反対側を通過したウェビング32が直線的に折り返し支持部112と押圧部114とに接すると、折り返し支持部112と押圧部114との間でウェビング32の長手方向はガイド面104に沿ったスライドピース106のスライド方向よりも第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との対向方向に傾斜する。
【0054】
<第2の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0055】
本タング90はバックル20に装着されていない状態(更に言えば、タング90がバックル20側へ引っ張られていない状態)では、図7における枠部96とガイド部98との間をウェビング32が直線的に通過しており、ショルダアンカ42とアンカプレート44との間にタング90が位置している。この状態では、図7に示されるように、ウェビング32は第1掛け回し部100や第2掛け回し部102、更には、スライドピース106やガイド部98にも掛け回されていない。
【0056】
乗員46の身体にウェビング32が装着される際には、シート38に着座した乗員46によってタング90がバックル20側へ引っ張られる。これにより、ウェビング巻取装置40からウェビング32が引き出されると共に、スライドピース106の折り返し支持部112及びガイド部98を被覆するモールド26の外周部にウェビング32が掛け回されてウェビング32が折り返される。この状態で、図8に示されるように、バックル20にタング90の挿込部16が挿し込まれ、係合孔18にバックル20のラッチが係合することでバックル20へのタング90の装着状態となり、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態になる。これにより、ウェビング32により乗員46の身体が拘束される。
【0057】
この状態で、車両が急減速状態になり、乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧し、胸部や肩部がウェビング32のショルダウェビング48を車両前方側へ押圧することでウェビング32の折り返し支持部112における折り返し部分が折り返し支持部112を押圧すると、スライドピース106における位置決め孔108の内周縁がシェアピン110をせん断する。これにより、スライドピース106のスライド規制が解消される。
【0058】
この状態でウェビング32が折り返し支持部112を押圧し、スライドピース106がガイド面104に案内されて移動すると、スライドピース106の押圧部114がウェビング32を押圧し、図9に示されるように、ウェビング32を第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との間に押し込む。この状態では、ウェビング32が更に第1掛け回し部100や第2掛け回し部102、更には、スライドピース106の押圧部114に掛け回される。
【0059】
これにより、前記第1の実施の形態に係るタング10と同様にウェビング32の屈曲角度の総和が、スライドピース106の押圧部114によりウェビング32が第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との間に押し込まれる前よりも増加し、タング90からウェビング32に付与される摩擦抵抗がスライドピース106の押圧部114がウェビング32を第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との間に押し込む前よりも大きくなる。これにより、車両前方側へ慣性移動しようとする乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧しても、ショルダウェビング48がラップウェビング50側へ移動することを防止又は効果的に抑制できる。
【0060】
しかも、上記のように、本実施の形態は、スライドピース106の押圧部60がウェビング32を第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との間に押し込むことでウェビング32の屈曲角度の総和を増大させ、これによりショルダウェビング48のラップウェビング50側への移動を防止又は抑制する構成であり、タング90の構成によってウェビング32をクランプする構成ではない。このため、ウェビング32に対して局所的に大きな荷重を付与することがない。
【0061】
<第3の実施の形態の構成>
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0062】
図10には本実施の形態に係るシートベルト装置用タング140(以下、タング140と称する)の構成が概略的な斜視図により示されており、図11にはタング140の構成の概略が側面断面図によって示されている。
【0063】
これらの図に示されるように、タング140はタング本体142を備えている。タング本体142は金属平板の打ち抜きや曲げ加工により形成された芯金144を備えている。芯金144は枠部96及びガイド部98を備えている点で前記第2の実施の形態に係るタング90と同じであるが、本実施の形態に係るタング140ではガイド部98の本体部分が枠部96側の所定位置を曲率の中心として湾曲している。
【0064】
また、タング140は可動部材としての回動ピース146備えている。回動ピース146は芯金144を被覆するモールド26を成形するにあたり、モールド26を構成する合成樹脂材によってガイド部98の周囲を被覆することで形成されている。この回動ピース146の第2掛け回し部102側の端部が折り返し支持部150とされ、回動ピース146の第1掛け回し部100側の端部が押圧手段としての押圧部152とされている。
【0065】
この回動ピース146にはウェビング32の幅方向に沿って貫通したガイド手段としてのガイド孔154が形成されている。このガイド孔154におけるガイド部98の通過位置よりも第2掛け回し部102側にはガイド孔154が形成されている。ガイド孔154はガイド部98の曲率の中心と略同じ位置を曲率の中心として湾曲している。
【0066】
また、ガイド孔154におけるガイド部98の厚さ方向に沿った寸法はガイド部98よりも短く設定されており、ガイド孔154におけるガイド部98の厚さ方向に沿った両端面は、ガイド部98の厚さ方向両端面よりも内側に位置している。ガイド孔154のガイド部98側で回動ピース146を構成する合成樹脂材がガイド部98に干渉することで、ガイド孔154側へガイド部98が移動するようなタング本体142に対する回動ピース146の相対移動を規制している。
【0067】
<第3の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0068】
本タング140はバックル20に装着されていない状態(更に言えば、タング140がバックル20側へ引っ張られていない状態)では、図11における枠部96と回動ピース146との間をウェビング32が直線的に通過しており、ショルダアンカ42とアンカプレート44との間にタング140が位置している。この状態では、ウェビング32は第1掛け回し部100や第2掛け回し部102、更には、回動ピース146にも掛け回されていない。
【0069】
乗員46の身体にウェビング32が装着される際には、シート38に着座した乗員46によってタング140がバックル20側へ引っ張られる。これにより、ウェビング巻取装置40からウェビング32が引き出されると共に、回動ピース146の折り返し支持部150にウェビング32が掛け回されてウェビング32が折り返される。この状態で、図12に示されるように、バックル20にタング140の挿込部16が挿し込まれ、係合孔18にバックル20のラッチが係合することでバックル20へのタング140の装着状態となり、乗員46の身体に対するウェビング32の装着状態になる。これにより、ウェビング32により乗員46の身体が拘束される。
【0070】
この状態で、車両が急減速状態になり、乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧し、胸部や肩部がウェビング32のショルダウェビング48を車両前方側へ押圧することでウェビング32の折り返し支持部150における折り返し部分が折り返し支持部150を押圧すると、ガイド部98によってガイド孔154の内周部が強制的に削がれてガイド孔154側へガイド部98が移動するように回動ピース146が第1掛け回し部100側へ回動する。
【0071】
このように回動ピース146が第1掛け回し部100側へ回動すると、回動ピース146の押圧部152がウェビング32を押圧し、図13に示されるように、ウェビング32を第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との間に押し込む。この状態では、ウェビング32が更に第1掛け回し部100や第2掛け回し部102、更には、回動ピース146の押圧部152に掛け回される。
【0072】
これにより、前記第1の実施の形態に係るタング10と同様にウェビング32の屈曲角度の総和が、回動ピース146の押圧部152によりウェビング32が第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との間に押し込まれる前よりも増加し、タング140からウェビング32に付与される摩擦抵抗は、回動ピース146の押圧部152がウェビング32を第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との間に押し込む前よりも大きくなる。これにより、車両前方側へ慣性移動しようとする乗員46の腰部がウェビング32のラップウェビング50を車両前方側へ押圧しても、ショルダウェビング48がラップウェビング50側へ移動することを防止又は効果的に抑制できる。
【0073】
しかも、上記のように、本実施の形態は、回動ピース146の押圧部60がウェビング32を第1掛け回し部100と第2掛け回し部102との間に押し込むことでウェビング32の屈曲角度の総和を増大させ、これによりショルダウェビング48のラップウェビング50側への移動を防止又は抑制する構成であり、タング140の構成によってウェビング32をクランプする構成ではない。このため、ウェビング32に対して局所的に大きな荷重を付与することがない。
【符号の説明】
【0074】
10 シートベルト装置用タング
12 タング本体
16 挿込部
20 バックル
30 シートベルト装置
32 ウェビング
52 回動ピース(可動部材)
54 ガイド面(ガイド手段)
60 押圧部(押圧手段)
62 折り返し支持部
68 ガイドリブ(ガイド手段)
70 第1掛け回し部
72 第2掛け回し部
90 シートベルト装置用タング
92 タング本体
100 第1掛け回し部
102 第2掛け回し部
104 ガイド面(ガイド手段)
106 スライドピース(可動部材)
112 折り返し支持部
114 押圧部(押圧手段)
140 シートベルト装置用タング
142 タング本体
146 回動ピース(可動部材)
150 折り返し支持部
152 押圧部(押圧手段)
154 ガイド孔(ガイド手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックルに挿し込み可能な挿込部と、
ウェビングが掛け回されることで前記ウェビングを折り返す折り返し支持部と、
前記ウェビングの厚さ方向一方の側に設けられて前記ウェビングが側方を通過する第1掛け回し部と、
前記ウェビングの厚さ方向一方の側に設けられると共に、前記ウェビングの長手方向に第1掛け回し部に対向して設けられて、前記ウェビングが側方を通過する第2掛け回し部と、
前記ウェビングを介して前記第1掛け回し部及び前記第2掛け回し部とは反対側に設けられて、前記ウェビングの張力が所定の大きさ以上の場合に前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間へ向けて移動して、前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間に前記ウェビングを押し込み、前記第1掛け回し部及び前記第2掛け回し部に前記ウェビングを掛け回すと共に、前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間に入り込んだ状態で前記第1掛け回し部との間隔及び前記第2掛け回し部との間隔の各々が前記ウェビングの厚さ寸法以上になるように設定された押圧手段と、
を備えるシートベルト装置用タング。
【請求項2】
一部が前記押圧手段としての押圧部とされて他の一部が前記折り返し支持部とされ、所定の大きさ以上の張力が付与された前記ウェビングによって前記折り返し支持部が引っ張られることで移動する可動部材と、
前記可動部材を前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間へ移動可能に支持し、移動する前記可動部材を前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間へ案内するガイド手段と、
を備える請求項1に記載のシートベルト装置用タング。
【請求項3】
長尺帯状のウェビングと、
シートの側方に設けられたバックルと、
前記ウェビングの厚さ方向一方の側で第1掛け回し部と第2掛け回し部とが前記ウェビングの長手方向に対向するように設けられると共に、前記ウェビングを介して前記第1掛け回し部及び前記第2掛け回し部とは反対側に設けられた押圧手段が前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間へ向けて移動することにより前記押圧手段が前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間に前記ウェビングを押し込んで前記第1掛け回し部及び前記第2掛け回し部に前記ウェビングを掛け回すと共に、前記押圧手段が前記第1掛け回し部と前記第2掛け回し部との間に入り込んだ状態で前記押圧手段と前記第1掛け回し部との間隔及び前記押圧手段と前記第2掛け回し部との間隔の各々が前記ウェビングの厚さ寸法以上になるように設定されて、前記バックルに装着可能に設けられると共に前記ウェビングが折り返されるタングと、
を備えるシートベルト装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−60112(P2013−60112A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199897(P2011−199897)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】