説明

シートベルト装置

【課題】緊急時においてジャミングの発生を抑えることのできるシートベルト装置を提供することを目的としている。
【解決手段】シートベルト装置100は、乗員を座席に拘束する帯状のウェビング104と、ウェビング104を通す通過孔118を有するスルーアンカ108と、スルーアンカ108を車室内のセンタピラー116に車両前後方向へ回転可能に取り付ける軸部材120と、を備える。スルーアンカ108は、センタピラー116に対してスルーアンカ108が傾けられるよう軸部材120の径D1よりも幅広な部分を含む軸受孔128を有し、シートベルト装置100はさらに、筒状であって軸部材120を内部に通してセンタピラー116とスルーアンカ108とに接して設置されるカラー部材122であって、スルーアンカ108からの荷重を受けて塑性変形可能なカラー部材122を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェビングを使用して乗員を座席に拘束するシートベルト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の座席にはシートベルト装置が設置されている。シートベルト装置は、車両に急停止や衝突などによって大きな減速度が作用した際に、慣性力による乗員の前方への飛出しを防ぐための安全装置である。シートベルト装置は、帯状のウェビングを利用して乗員を座席に拘束する。ウェビングは、その根元側が座席横に設置されたリトラクタに収納されている。一方、ウェビングの先端側はリトラクタから上方へ引き出されていて、車室内の側壁に配置されたスルーアンカを通って下方へ折り返され、フロア付近のアンカプレートに固定されている。
【0003】
上記のスルーアンカとアンカプレートとの間のウェビングには、乗員装着用のタングプレートが通されている。乗員は、タングプレートを引っ張ってウェビングをリトラクタから引き出し、このタングプレートを座席の反対側(車両中央側)に配置されたバックルに差し込む。これによって乗員の肩から反対側の腰にかけて、および腰まわりがウェビングに拘束され、シートベルト装置の装着が完了する。
【0004】
上記説明した肩および腰の左右を固定するいわゆる3点式シートベルト装置において、ジャミング(jamming)と呼ばれる現象の発生が以前から懸念されている。ジャミングとは、ウェビングにシワが寄ってスルーアンカの通過孔の片側の端で詰まってしまう現象である。ジャミングは、ウェビングがリトラクタに急激に巻き取られたり引き出されたりしたときに生じやすい。そこで現在では、ジャミングを防ぐための様々な技術が提案されている。
【0005】
例えば特許文献1には、プリテンショナ機構(緊急時に作動する自動巻取機構)が作動した場合においてジャミングの発生を防ぐことのできるウェビング挿通部材(スルーアンカ)が記載されている。このスルーアンカでは、車両への取付用のボルトを通すための取付孔を、ウェビングが通る通過孔に対して、車両前後方向に片寄らせて設けている。これによって、ウェビングがプリテンショナ機構によって急に引き込まれた際に、ウェビングによるスルーアンカの引張りを相殺し、スルーアンカが傾いてしまうことを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−1577号公報
【発明の概要】
【0007】
特許文献1に記載されている通り、プリテンショナ機構がウェビングを巻き取ることによってスルーアンカに加えられる力は、ほぼ車両前後方向におけるものであると考えられる。しかし、実際の緊急時において、乗員を支えることによってウェビングおよびスルーアンカに加わる力は車両前後方向だけではない。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような課題に鑑み、緊急時においてジャミングの発生を抑えることのできるシートベルト装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかるシートベルト装置の代表的な構成は、乗員を座席に拘束するシートベルト装置であって、帯状のウェビングと、ウェビングを通す通過孔を有するスルーアンカと、スルーアンカを車室内の側壁に車両前後方向へ回転可能に取り付ける軸部材と、を備え、スルーアンカは、軸部材を通す軸受孔であって、車両上方から見て側壁に対してスルーアンカが傾けられるよう軸部材の径よりも幅広な部分を含む軸受孔を有し、当該シートベルト装置はさらに、筒状であって軸部材を内部に通して側壁とスルーアンカとに接して設置されるカラー部材であって、スルーアンカからの荷重を受けて塑性変形可能なカラー部材を備えることを特徴とする。
【0010】
上記スルーアンカは通常時にはカラー部材によって支えられていて、従来のスルーアンカと同じように側壁に沿った安定した姿勢を保っている。しかし、緊急時に乗員から負荷を受けることによって例えばウェビングが車両斜め前方へ強く引っ張られると、スルーアンカから過度の荷重を受けることでカラー部材は塑性変形を起こす。これによって、スルーアンカは引っ張られた方向へ向くように姿勢を変更することが可能になる。また、カラー部材は塑性変形することによって緩衝材の役目をし、ウェビングが急に引き出された際の衝撃を乗員に伝えることなく吸収することができる。そして、この姿勢変更によって、ウェビングが通過孔の隅に片寄るおそれは低くなる。したがって、ジャミングの発生を抑えることが可能になる。
【0011】
上記のスルーアンカは、乗員によるウェビングの引張り方向へスルーアンカの車内側が向くよう側壁に対して傾くとよい。このように、スルーアンカが緊急時にウェビングの引張り方向に追従して傾くことでウェビングのシワや片寄りを防ぐことができ、ジャミングの発生を効率よく抑えることができる。
【0012】
上記のカラー部材は合成樹脂製であるとよい。成形容易な合成樹脂製であれば、カラー部材を上述した過度の荷重がかかった際に塑性変形を起こすような強度にも容易に設計することが可能である。
【0013】
上記のカラー部材は、スルーアンカ側の端部をテーパ形状にする傾斜面を有するとよい。言い換えると、カラー部材はスルーアンカ側に角を持たないような形状になっていて、この構成によってスルーアンカの円滑な姿勢変更を可能にしている。
【0014】
上記のスルーアンカは、軸受孔と軸部材との間に取り付けられる変形可能なスペーサ部材をさらに備えてもよい。このスペーサ部材を備えることで、通常時においては、軸受孔が幅広であっても軸部材はスルーアンカを安定した姿勢に支えることができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明にかかるシートベルト装置の他の代表的な構成は、乗員を座席に拘束するシートベルト装置であって、帯状のウェビングと、ウェビングを通す通過孔を有するスルーアンカと、スルーアンカを車室内の側壁に車両前後方向へ回転可能に取り付ける軸部材と、を備え、スルーアンカは、軸部材を通す軸受孔であって、車両上方から見て側壁に対してスルーアンカが傾けられるよう軸部材の径よりも幅広な部分を含む軸受孔を有し、当該シートベルト装置はさらに、共に筒状であって、軸部材を内部に通して側壁とスルーアンカとの間に配置される第1カラー部材と、第1カラー部材を覆うように配置される第2カラー部材とを備え、第1カラー部材は外周に沿って溝部を有し、第2カラー部材は内径が第1カラー部材との間に隙間が形成できる程度に大きく、溝部に向かって突出して第2カラー部材がスルーアンカに接した状態で溝部にはまるフック部を有し、第2カラー部材は、スルーアンカからの荷重を受けるとフック部が溝部から外れることで姿勢を変更可能であることを特徴とする。
【0016】
上記構成によっても、緊急時において、スルーアンカはウェビングの引っ張られた方向へ向くように姿勢を変更することが可能になる。したがって、姿勢変更によってウェビングが通過孔の隅に片寄るおそれが低くなるため、ジャミングの発生を抑えることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、緊急時においてジャミングの発生を抑えることのできるシートベルト装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態にかかるシートベルト装置を例示した図である。
【図2】図1のスルーアンカ付近の詳細図である。
【図3】図2(a)のA−A断面図である。
【図4】図1のスルーアンカがとりえる各姿勢を例示した図である。
【図5】第2実施形態にかかるシートベルト装置を例示した図である。
【図6】図5(a)のB−B断面に対応してスルーアンカの各姿勢を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかるシートベルト装置100を例示した図である。なお、図1を含めた以下の図面では、車両幅方向をX軸、車両前後方向をY軸、車両上下方向をZ軸で示している。
【0021】
図1に例示するように、シートベルト装置100は、座席102に備えられた安全装置であって、帯状のウェビング104を使用して乗員を座席102に拘束する。ウェビング104は、根元側がリトラクタ106に巻き取られていて、先端側は上方のスルーアンカ108を通って下方へ折り返されてアンカプレート110に固定されている。スルーアンカ108とアンカプレート110との間にはタングプレート112が備えられていて、このタングプレート112を乗員がバックル114に挿し込むことで装着状態となる。
【0022】
スルーアンカ108は側壁の一部であるセンタピラー116に取り付けられている。スルーアンカ108には通過孔118が設けられていて、この通過孔118をウェビング104が通っている。スルーアンカ108は軸部材120によってセンタピラー116に取り付けられていて、軸部材120を中心にして車両前後方向に回転するように動くことができる。
【0023】
図2は、図1のスルーアンカ108付近の詳細図である。図2(a)は、スルーアンカ108付近を車両後方から見た斜視図である。図2(a)に例示するように、本実施形態の特徴として、スルーアンカ108とセンタピラー116との間において、軸部材120の周囲にはカラー部材122が取り付けられている。カラー部材122はスルーアンカ108およびセンタピラー116に接していて、通常時の姿勢のスルーアンカ108を支えている。
【0024】
図2(b)は、図2(a)のスルーアンカ108付近の分解図である。図2(b)に例示するように、カラー部材122は筒状の部材であり、材質に合成樹脂が用いられている。カラー部材122のスルーアンカ側の端部には傾斜面124が形成されていて、テーパ(先細り)形状になっている。軸部材120はスペーサ部材132aとスルーアンカ108の軸受孔128を通り、さらにスペーサ部材132aとカラー部材122の内側を通って、センタピラー116の取付孔130へと固定される。
【0025】
図3は、図2(a)のA−A断面図である。本実施形態では、軸受孔128は、軸部材120の径D1よりも幅広に設定されている。この構成によって、軸受孔128と軸部材120との間には隙間が形成されている。なお、軸受孔128は少なくとも軸部材120の径D1よりも幅広な部分を含んでいればよい。
【0026】
上記の構成であると、本来であれば軸部材120に対してのスルーアンカ108の姿勢は不安定になってしまう。そこで本実施形態では、軸受孔128のフランジ121とスルーアンカ108との間、およびスルーアンカ108とカラー部材122との間にスペーサ部材132a・132bを取り付けている。これによって軸部材120と軸受孔128との隙間は塞がれていて、通常時においてスルーアンカ108は安定かつ円滑に動くことが可能になっている。スペーサ部材132a・132bの材質には例えば合成樹脂などの変形可能な素材が用いられていて、特にカラー部材122よりも強度が低く変形しやすい構成に設定されているとよい。スルーアンカ108はさらに、車外側に接触しているカラー部材122によっても支えていて、これらによって通常時のスルーアンカ108の姿勢は安定している。そして、緊急時のように強い負荷が発生したときのみ、以下に説明するような姿勢をとることが可能になっている。
【0027】
図4は、図1のスルーアンカ108がとりえる各姿勢を例示した図である。図4では、スルーアンカ108を車両上方から見た状態で例示していて、X軸は車両幅方向を表わし、Y軸は車両前後方向を表わしている。
【0028】
図4(a)には通常時のスルーアンカ108の姿勢を例示している。このように、通常時のスルーアンカ108は、カラー部材122に支えられることによって、軸部材120に略垂直に交差するような姿勢、言い換えるとセンタピラー116に沿った姿勢となっている。
【0029】
図4(a)の通常時の姿勢において、車両に緊急事態が発生すると、シートベルト装置100は乗員の慣性による前方への飛出しを防ぐよう働く。その際、ウェビング104には乗員の身体を支えるための負荷がかかり、ウェビング104はスルーアンカ108から車室内の斜め前方(図中左斜め下方)へと強く引っ張られる。このとき、図示は省略するが、従来のスルーアンカであれば、軸部材120を中心とした車両前後方向(図中Y軸左右方向)への回転のみしかできないため、ウェビング104が通過孔118(図2(a)参照)の前側の端119に寄り集まってジャミングが生じてしまうおそれがある。そこで、当該シートベルト装置100では、上記説明したカラー部材122を備えた構成によって、姿勢を変更することが可能となっている。
【0030】
図4(b)は、緊急時におけるスルーアンカ108の姿勢を例示した図である。図4(b)に例示するように、ウェビング104が強い負荷によって車室内の斜め前方(図中左斜め下方)へ引っ張られると、スルーアンカ108の軸受孔128(図3参照)は軸部材120の径D1よりも幅広なため、スルーアンカ108にはウェビング104の引張り方向へ追従しようとする負荷が発生する。この負荷はスペーサ部材132a(スペーサ部材132b)を変形させ、さらにスルーアンカ108を介してカラー部材122へと伝わる。その際の負荷が過度なものであると、カラー部材122は塑性変形を起こし、圧縮させられる。これによって、スルーアンカ108は車両前方へ向かってその後端側がセンタピラー116から離れるように、言い換えるとスルーアンカ108の車内側面108aが引張り方向(図中左斜め下方)へ向くようにして傾くことが可能になる。この姿勢によって、ウェビング104が通過孔118(図2(a))の端119に片寄るおそれは低くなるため、ジャミングの発生が防止できる。
【0031】
スルーアンカ108が姿勢変更する際、カラー部材122が塑性変形することによって緩衝材の役目をし、ウェビング104が急に引き出された際の衝撃を乗員に伝えることなく吸収することができる。また、スルーアンカ108の急激な姿勢変更が防止できるため、ジャミングの防止効果が向上する。
【0032】
本実施形態では、カラー部材122のスルーアンカ側は角が省略されて傾斜面124が形成されているため、より円滑な姿勢変更が可能になっている。また、本実施形態ではカラー部材122の材質に合成樹脂性を用いていて、過度の荷重がかかった際にのみ塑性変形を起こすような強度のカラー部材122であっても容易に設計することが可能になっている。
【0033】
なお、カラー部材122には、塑性変形が起きる際にガイドとなるような任意の形状の切り欠き(図示省略)をその周囲に設けてもよい。このような切り欠きを設けることで、例えば切り欠きが形成された側にカラー部材122が倒れるように塑性変形するなど、塑性変形が起きる際の方向などを制御することが可能になる。また、カラー部材122のスルーアンカ108との接触する部位の変形前の角度は任意に設計変更可能であり、スルーアンカ108はセンタピラー116に対して当初から所定の角度を持って設置されていてもよい。
【0034】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態にかかるシートベルト装置200を例示した図である。図5(a)は、図2(b)に対応したシートベルト装置200の分解図である。このシートベルト装置200は、第1カラー部材202および第2カラー部材204の2つの部材を備える点において、図2(b)に例示した1つのカラー部材122のみを備えた第1実施形態のシートベルト装置100と異なっている。
【0035】
第1カラー部材202と第2カラー部材204は、共に筒状の部材である。まず、第1カラー部材202は、軸部材120を内部に通してセンタピラー116とスルーアンカ108との間に配置される。第1カラー部材202のスルーアンカ側の外周面206には、外周に沿って溝部208が設けられている。そして、第1カラー部材202を覆うように第2カラー部材204が配置される。
【0036】
図5(b)は、図5(a)の第2カラー部材204を背面側から見た図である。図5(b)に例示するように、第2カラー部材204の内周面210にはフック部212a〜212cが設けられている。これらフック部212a〜212cは、図5(a)の第1カラー部材202の溝部208に向かって突出している。
【0037】
図6は、図5(a)のB−B断面に対応してスルーアンカ108の各姿勢を例示した図である。図6においても、X軸は車両幅方向を表わし、Y軸は車両前後方向を表わしている。
【0038】
図6(a)は、図5(a)のB−B断面図である。図6(a)に例示するように、フック部212a〜212cは、第2カラー部材204がスルーアンカ108に接した状態で溝部208にはまるよう設けられている。この状態において、第1カラー部材202はセンタピラー116に接し、第2カラー部材204はスルーアンカ108に接しているため、スルーアンカ108は支えられて通常時の姿勢を保っている。
【0039】
ここで、第2カラー部材204の内径D2は、第1カラー部材202の外形D3に比べて、この第1カラー部材202との間に隙間が形成できる程度に大きく設定されている。この状態からフック部212a〜212cが溝部208から外れると、図6(b)のようにスルーアンカ108の姿勢変更が可能になる。
【0040】
図6(b)は緊急時におけるスルーアンカ108の姿勢を例示した図である。図6(b)に例示するように、乗員によってウェビング104が強く引っ張られてスルーアンカ108に負荷が発生すると、第2カラー部材204が押圧されてそのフック部212a〜212cが、第1カラー部材202の溝部208から外れる。これにより、第2カラー部材204は、第1カラー部材202および軸部材120に対して姿勢が傾く。したがって、スルーアンカ108はウェビング104の引張り方向(図中左斜め下方)へ向かってその後端側がセンタピラー116から離れるように、言い換えると車内側面108aが引張り方向へ向くようにして傾くことが可能になる。これらの構成によっても、ウェビング104が通過孔118の隅に片寄るおそれが低くなるため、ジャミングの発生を抑えることが可能である。
【0041】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
【0042】
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、ウェビングを使用して乗員を座席に拘束するシートベルト装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
100・200 …シートベルト装置、102 …座席、104 …ウェビング、106 …リトラクタ、108 …スルーアンカ、108a …車内側面、110 …アンカプレート、112 …タングプレート、114 …バックル、116 …センタピラー、118 …通過孔、119 …端、120 …軸部材、122 …カラー部材、124 …傾斜面、128 …軸受孔、130 …取付孔、132a・132b …スペーサ部材、202 …第1カラー部材、204 …第2カラー部材、206 …外周面、208 …溝部、210 …内周面、212a・212b・212c …フック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を座席に拘束するシートベルト装置であって、
帯状のウェビングと、
前記ウェビングを通す通過孔を有するスルーアンカと、
前記スルーアンカを車室内の側壁に車両前後方向へ回転可能に取り付ける軸部材と、を備え、
前記スルーアンカは、前記軸部材を通す軸受孔であって、車両上方から見て前記側壁に対して該スルーアンカが傾けられるよう該軸部材の径よりも幅広な部分を含む軸受孔を有し、
当該シートベルト装置はさらに、筒状であって前記軸部材を内部に通して前記側壁とスルーアンカとに接して設置されるカラー部材であって、前記スルーアンカからの荷重を受けて塑性変形可能なカラー部材を備えることを特徴とするシートベルト装置。
【請求項2】
前記スルーアンカは、乗員による前記ウェビングの引張り方向へ該スルーアンカの車内側面が向くよう前記側壁に対して傾くことを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
【請求項3】
前記カラー部材は合成樹脂製であることを特徴とする請求項1または2に記載のシートベルト装置。
【請求項4】
前記カラー部材は、前記スルーアンカ側の端部をテーパ形状にする傾斜面を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシートベルト装置。
【請求項5】
前記スルーアンカは、前記軸受孔と前記軸部材との間に取り付けられる変形可能なスペーサ部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシートベルト装置。
【請求項6】
乗員を座席に拘束するシートベルト装置であって、
帯状のウェビングと、
前記ウェビングを通す通過孔を有するスルーアンカと、
前記スルーアンカを車室内の側壁に車両前後方向へ回転可能に取り付ける軸部材と、を備え、
前記スルーアンカは、前記軸部材を通す軸受孔であって、車両上方から見て前記側壁に対して該スルーアンカが傾けられるよう該軸部材の径よりも幅広な部分を含む軸受孔を有し、
当該シートベルト装置はさらに、共に筒状であって、前記軸部材を内部に通して前記側壁とスルーアンカとの間に配置される第1カラー部材と、該第1カラー部材を覆うように配置される第2カラー部材とを備え、
前記第1カラー部材は外周に沿って溝部を有し、
前記第2カラー部材は内径が前記第1カラー部材との間に隙間が形成できる程度に大きく、前記溝部に向かって突出して該第2カラー部材が前記スルーアンカに接した状態で該溝部にはまるフック部を有し、
前記第2カラー部材は、前記スルーアンカからの荷重を受けると前記フック部が溝部から外れることで姿勢を変更可能であることを特徴とするシートベルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−32062(P2013−32062A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168277(P2011−168277)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(503358097)オートリブ ディベロップメント エービー (402)
【復代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
【Fターム(参考)】