説明

シート処理装置及び画像形成システム

【課題】常に高い後端揃え精度を得ることができるようにすること。
【解決手段】シートPを搬送する中綴じ搬送ローラと、搬送されるシートPをガイドする下搬送経路を形成する第1及び第2の搬送ガイド板80,81と、シート束PBを揃えるシート後端揃え部と、揃えられたシート束PBに対して所定の処理を施す中綴じステープラ、紙折りプレート及び紙折り板と、を備えたシート処理装置であって、前記シート後端揃え部が、シート後端を突き当てて整合する突き当て面64bと、当該突き当て面64bに突き当てられたシートPの当該突き当て面PBからの落下を防ぐ両側面とを含むシート後端揃え部材64と、シート後端揃え部材を下搬送経路と平行な方向へ移動させる搬送ベルト及び駆動モータと、後端揃え部材64をシートPの表面に対してほぼ垂直な方向に揺動させるステッピングモータ84及び回転ベルトと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像形成システムに係り、特に搬入されてきた用紙、転写紙、印刷紙、OHPシートなどのシート状記録媒体(本明細書では、「シート」と称す)に対して所定の処理を施すシート処理装置、及びこのシート処理装置と複写機、プリンタ、ファクシミリ、デジタル複合機などの画像形成装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたレーザプリンタやカラー画像複写機等の画像形成装置においては、一般に、パソコンあるいは画像入力装置から入力された画像データをレーザ等により露光して感光体ドラム等の像坦持体に対して静電潜像を形成する。次いで、現像装置によりトナーを現像した後にシートに転写し、その後、加熱ローラ方式の定着装置によってトナーをシートに溶融させて画像を定着させ、排紙させるように構成されている。なお、画像形成装置自体は、電子写真方式の他に液滴吐出方式(例えば、インクジェット)、熱転写方式などの公知の作像エンジンが使用され、画像形成が行われる。
【0003】
このような画像形成装置に対して、ステープル(綴じ)、パンチ穴あけ、ソート丁合い、製本、折り等の後処理を実行させる装置を接続させて作業の自動化を図ったシート処理装置も提供されている。このような画像形成装置で画像記録されたシートの後処理を行うシート処理装置は、画像形成後のシートに対して処理を行うため、シート後処理装置と称されている。以下、本明細書ではシート後処理装置として説明する。
【0004】
シート後処理装置において、シート整合手段は製品品質の向上の面で、必要不可欠である。特にシート束の折り処理、綴じ処理、及び排紙の際にシート整合手段が用いられている。シート整合手段には、シートの搬送方向を整合するもの、及びシートの搬送方向と直交する方向(以下、シート幅方向とも称す。)を整合するものある。そのうち、シート搬送方向を整合するものとしてシートの後端を揃える揃え部材が知られている。シートの後端を揃える部材としては、一般にシート後端を突き当てる基準フェンス(後端基準フェンス)が知られているが、この他に、シート搬送経路を上下に動き、シート後端を整合する後端揃え部材も知られている。
【0005】
このようなシート搬送経路を上下に動き、シート後端を整合する後端揃え部材としては、例えば特許文献1(特開2003−081512号公報)記載の発明が知られている。この文献には、シート束の上下方向の整合性を向上させるため、シートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段より搬送されたシートを積載する略垂直に構成されたシート積載面と、前記シート積載面の略垂直方向下側端部に位置し、前記シート積載面上のシートが突き当たるシート突き当て基準面と、前記シート突き当て基準面を上下方向に移動させる移動手段と、を有し、シート積載動作中又は動作後に、前記シート積載面上にシートが積載された状態で前記シート突き当て基準面の上下往復移動動作を1回以上行うことを特徴とするシート処理装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の発明では、前記のようにシート積載面上にシートが積載された状態でシート突き当て基準面の上下往復移動動作を1回以上行うようになっており、この整合動作は基準面の上下往復移動動作に限られる。すなわち、公知の後端整合手段は、後端揃え部材がシート搬送経路を上下にしか動かすことができないので、後端揃え部材によるシート後端揃え精度が悪い場合があり、常時、高い後端揃え精度を得ることができるわけではなかった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、常に高い後端揃え精度を得ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、シートを搬送する搬送手段と、搬送されるシートをガイドする搬送経路を形成する搬送ガイド手段と、シートを揃える揃え手段と、前記揃え手段によって揃えられたシート束に対して所定の処理を施す処理手段と、を備えたシート処理装置であって、前記揃え手段が、シート後端を突き当てて整合する突き当て面と、当該突き当て面に突き当てられたシートの当該突き当て面からの落下を防ぐ両側面とを含む後端揃え手段と、前記後端揃え手段を前記搬送経路と平行な方向へ移動させる移動手段と、前記後端揃え手段をシート面に対してほぼ垂直な方向に揺動させる揺動手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、常に高い後端揃え精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置とシート後処理装置とからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。
【図2】実施例1における中折り中綴じ部の後端揃え部の正面図である。
【図3】図2におけるシート後端揃え部の拡大斜視図である。
【図4】図2におけるシート後端揃え部の構成を示す正面図である。
【図5】図2においてシート搬送ガイド板を右側面から見た側面図である。
【図6】図2におけるシート搬送ガイド板をシート後端揃え部材とともに右側面から見た側面図である。
【図7】図2におけるシート搬送ガイド板の他の例をシート後端揃え部材とともに右側面から見た側面図である。
【図8】シート後端揃え部材の揺動動作を示す動作説明図である。
【図9】シート後処理装置と画像形成装置からなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図10】実施例1における揺動制御を含むシート後処理制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図11】実施例2における中折り中綴じ部の後端揃え部の正面図である。
【図12】実施例2におけるシート搬送ガイド板の構成を示す斜視図である。
【図13】図11におけるシート後端揃え部の分解斜視図である。
【図14】図11におけるC−C線断面図である。
【図15】実施例2におけるシート後端揃え部材の揺動動作を示す動作説明図である。
【図16】実施例2における揺動制御を含むシート後処理制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図17】実施例3における凸部を複数設けた例を示す図である。
【図18】実施例3における凸部を複数設けた他の例を示す図である。
【図19】実施例4における揺動動作時のシート受け入れ部の両側面とシート束との接触状態を示す図である。
【図20】実施例5における揺動制御を含むシート後処理制御の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、シート束を整合させる際、シート後端揃え部材を従来の上下移動(シート面に平行な方向)に加え、シート表裏(シート面に垂直な)方向にも揺らすことができるようにしたことを特徴とする。これにより、シート又はシート束後端がシート後端揃え位置まで落ちやすくなり、常に、シート後端が後端揃え部材に突き当たり、高い揃え精度を得ることができる。
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同等と見なせる各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置PRとシート後処理装置FRとからなる画像形成システムの概略構成を示す図である。
【0014】
画像形成装置PRはシートに対して画像形成エンジンにより画像を形成し、画像が形成されたシートをシート後処理装置FRに搬出する。具体的には、画像形成装置PRは、シートに画像を形成する機能を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、印刷機、あるいはこれらの機能が複合された複合機のいずれかからなる。これらの機能を有する画像形成装置については、公知のものであり、この画像形成装置の機能は本願発明の要旨ではないので、ここでは説明を省略する。
【0015】
シート後処理装置FRは、シート後処理装置PRからシートPを受け入れる導入経路1と、導入経路1から分岐する3つの経路、すなわちプルーフトレイ6へ向かう上搬送経路2と、シフト処理や端綴じ、2箇所綴じ処理を行うストレート搬送経路3と、中綴じ・折り処理を行う下搬送経路4とを有する。
【0016】
導入経路1には入口ローラ10、入口センサ13が配置されている。入口センサ13はシートPがシート後処理装置FR内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流にはシート穿孔ユニット19が配置され、画像形成装置PRからの指示に基づいてシートPにパンチ孔を穿孔する。シート穿孔ユニット19の下流には、第1の搬送ローラ11が配置され、これを経て上搬送経路2へとシートPは搬送され、上排紙ローラ30からプルーフトレイ6に排紙される。導入経路1の終端部の分岐部に位置する分岐爪7は切り替え動作により上搬送経路2、ストレート搬送経路3、下搬送経路4へシートの搬送方向を仕分ける。
【0017】
ストレート搬送経路3の最下流側には第2の搬送ローラ対12が配置され、この搬送ローラ対12によりステープルトレイ21及び排紙トレイ5へとシートPは搬送される。ストレート搬送経路3には図示しない駆動モータ及び駆動機構によって正逆方向に駆動される排紙ローラ対26,27及び排紙センサ28が配置され、ソートモード時は、シフト機構を有する第2の搬送ローラ対12が図示しない駆動モータ及び駆動機構により、搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動することによってシートPは一定量シフトし、排紙ローラ対26,27により排紙トレイ5に排紙され、排紙トレイ5に順次スタックされていく。
【0018】
なお、排紙ローラ対26,27はステープルトレイ21の排紙トレイ5への排出口部に設けられ、対となる駆動側の排紙ローラ26と排紙従動ローラ27とによってシートP又はシート束PBを挟持して排出する構造となっている。この対構造では、排紙従動ローラ27を備えた排出ガイドの排紙ローラ26に対する接離動作で、シートP又はシート束PBを挟持して排出可能な閉状態と挟持しない開状態とを選択的に取り得るようになっており、シートPのシフト動作が完了した後、シートPを挟持し、搬送力を付与して排紙する。
【0019】
排紙口上方付近には、フィラー40が設けられており、スタックされたシートP又はシート束PBの中央付近位置の上面に先端が接触するようにフィラー40の根元側が揺動自在に支持されている。フィラー40の根元付近には、フィラー40の先端の高さ位置を検知する図示しない上面検知センサが設けられ、フィラー40の根元の位置を検知することによりスタックシートPの紙面高さを検知している。
【0020】
排紙トレイ5上の積載枚数の増大によりシートの高さが上昇するに従って、上面検知センサがオンすると、後述の図18に示すシート後処理装置FRのCPU(制御部)FR1(図9参照)は、排紙トレイ5を上下動させる図示しない駆動モータを駆動制御して排紙トレイ5を下降させる。排紙トレイ5が下降し、上面検知センサがオフすると、下降を停止させる。この動作を繰り返し、排紙トレイ5が規定のトレイ満杯高さまで達すると、シート後処理装置FRのCPU_FR1から画像形成装置PRのCPU(制御部)に停止信号を出し、画像形成装置PRのCPUは、この停止信号に基づいて画像形成動作を停止させるとともに、システム全体の動作も停止させる。
【0021】
ストレート搬送経路3の最下流側にはステープルトレイ21が設けられている。ステープルトレイ21の終端位置にはシート後端に沿ってシート搬送方向と直交する方向(シート幅方向)に移動し、綴じ処理を行うステープラ50が配置されている。ステープルトレイ21の上面には、シート搬送方向と直交する方向に近接離間動作し、シート幅方向を整合する整合部材としてのジョガーフェンス22,23が設けられている。ステープルトレイ21の最下流側の端部にはシートの後揃えの基準となる基準フェンス24,25が配置されている。また、ステープルトレイ21の上部には、振り子運動を行ってシートに接触してシートPを移動させ、シート後端を基準フェンス24,25に突き当てることによってシートの搬送方向を整合する戻しローラ41が設けられている。さらに、ステープルトレイ21から上方に突出し、ステープルされたシート束を排紙ローラ対26,27方向に移動させる放出爪29も設けられている。
【0022】
このように構成されたシート後処理装置FRでは、ストレート搬送経路3に搬送されてきたシートPはステープルトレイ21上に排出され、ジョガーフェンス22,23によってシートの幅方向の位置が揃えられる。また、戻しローラ41によって基準フェンス24,25にシート後端を突き当て、シート束の縦方向位置が揃えられる。このようにして揃えられたシート束PBは、端綴じモード時にはステープラ50がシート幅方向に移動し、シート束PBの下縁部の予め設定された位置が綴じられる。そして、排紙ローラ26,27がシート束をニップして搬送力を付与し、シート束PBは排紙トレイ5上に排紙される。
【0023】
下搬送経路4には第1ないし第3の中綴じ搬送ローラ61,62,63、中綴じステープラ51、紙折りプレート71、紙折りストッパ64、紙折り板72、及び中折り排紙ローラ73が設けられている。シート束は中綴じ位置まで搬送され、シートの中央で綴じ処理される。そして、第2及び第3の中綴じ搬送ローラ62,63により紙折り部の紙折りストッパ64に搬送され、紙折りブレード71、紙折り板72により中折りされ、中折り排紙ローラ73によって中綴じ排紙トレイ9に放出される。
【0024】
下搬送経路4へのシートP搬送時には、シートPがストレート搬送経路3を通過し、シート先端検知センサ14でシート先端を検知し、シート後端が下搬送経路4の分岐部を通過する時間を待って、分岐爪8が切り替わる。分岐爪8が切り替わると、第2の搬送ローラ対12が逆回転をし、シートPをスイッチバックさせて下搬送経路4へと搬送する。
【0025】
なお、中折り中綴じ部60は、本実施例では、第3の中綴じ搬送ローラ63、紙折りストッパ64、紙折りブレード71、紙折り板72、及び中折り排紙ローラ73を含む。
【実施例1】
【0026】
図2は実施例1における中折り中綴じ部60の後端揃え部の正面図、図3は図2におけるシート後端揃え部89の拡大斜視図である。実施例1において、中折り中綴じ部60の下搬送経路4は、第1及び第2の搬送ガイド板80,81、中綴じ搬送ローラ対63、搬送ベルト82、搬送ベルト82を駆動する駆動モータ82a、及びシート後端揃え部材64を備えている。
【0027】
第1及び第2の搬送ガイド板80,81は、ほぼ垂直方向に平行に配置された一対の板材からなり、中綴じ搬送ローラ対63が第1及び第2のシート搬送ガイド板80,81の中綴じステープラ51の下方に設けられ、第1及び第2の搬送ガイド板80,81の内側と通ってシートPの搬送が可能となっている。搬送ベルト82は、第1の搬送ガイド板80の図1において内側に当該第1の搬送ガイド板80とほぼ平行に垂直な方向に設けられ、下端の駆動モータ82aによって駆動される。
【0028】
シート後端揃え部89は、図3からも分かるようにシート後端揃え部材64、シート揺動補助部材83及び揺動軸83aからなり、搬送ベルト82に取り付けられて搬送ベルト82と一体に移動する。搬送ベルト82は下側の駆動プーリ82bと上側の従動プーリ82cとの間に掛け回され、駆動プーリ82bを駆動モータ82aによって駆動することにより、シート後端揃え部89は搬送ベルト82の移動に伴って上下方向に移動する。
【0029】
シート後端揃え部材64には結合部64aが設けられ、シート揺動補助部材83には軸受け83bが設けられている。結合部64aと軸受け83bは揺動軸83aと嵌め合いによって結合されている。この場合、結合部64aと揺動軸83aは締まり嵌めで、軸受け83bと揺動軸83aは隙間嵌めとなっている。また、シート後端揃え部材64のチャネル形の内側の底面は、シート後端が突き当たり、シート搬送方向を整合するシート後端突き当て面64bとなっている。
【0030】
図4はシート後端揃え部89の構成を示す正面図である。同図は図3に示した斜視図の各部が組み合わされ、駆動機構によってシート後端揃え部材が駆動される状態を示す。シート後端揃え部材64、揺動軸83a、シート揺動補助部材83の関係は前述の通りであり、シート後端揃え部材64を揺動させるためにステッピングモータ84と回転ベルト74がさらに設けられている。回転ベルト74はステッピングモータ84の回転軸と揺動軸83aの間に掛け渡され、ステッピングモータ84の正逆回転によって揺動軸83aが同方向に回転駆動され、この回転駆動に伴って揺動軸83aと結合部64aが一体に揺動し、これに応じてシート後端揃え部材64が揺動する。
【0031】
他方、シート揺動補助部材83には、図3に示すように搬送ベルト82の内側に設けられた搬送歯82dと噛み合う噛み合い歯83cが噛み合い溝83dの内側に形成されている。そして、噛み合い歯83cが搬送歯82dに噛み合うことによってシート揺動補助部材83及びシート後端揃え部材64は搬送ベルト82と一体に上下方向に移動する。また、シート後端揃え部材64を水平位置で停止させることができるように、HPセンサ75が設けられている。
【0032】
図5は図2においてシート搬送ガイド板を右側面から見た側面図である。シート搬送ガイド板80,81には、垂直方向に2本のスリットHが設けられている。図6に示すように、シート後端揃え部材64が揺動した場合でも、シート後端揃え部材64はこのスリットHを通って、シート搬送ガイド板80,81の背後側から前面を横切った状態で位置することができる。これにより、シート搬送ガイド板80,81によって形成されるシート搬送路内にシート後端突き当て面64bが位置し、当該シート後端突き当て面64bにシート後端を突き当てることができる。その際、シート後端揃え部材64が揺動しても、シート搬送ガイド板80,81と干渉することはない。なお、図6はシート後端揃え部材64とともにシート搬送ガイド板80を右側面から見た側面図である。
【0033】
図7はスリットHの他の例を示すシート搬送ガイド板80を右側面から見た側面図である。図7に示した例では、シート搬送ガイド板80は幅広のスリットHが1本設けられており、スリットHをシート搬送ガイド板80,81の裏面側から表面側に通過できるだけのシート搬送ガイド板80,81の幅方向の長さが大寸のシート後端揃え部材64が配置されている。スリットH及びシート後端揃え部材64はシート幅の中央基準で配置され、シート束PBがシート後端揃え部材64から落ちることないように、最小シート幅程度の長さを持っている。
【0034】
このようにスリットHの形状は、シート後端揃え部材64の形状によって適宜設定される。図7の例では、シート後端揃え部材64がシート幅方向に長寸に形成されているので、スリット幅を大きくしている。他方、図6の例では、シート搬送ガイド板80にシート幅方向が小寸のスリットHが2本形成され、その各々のスリットHに当該スリットHのスリット幅を通過できるシート揃え部材64がそれぞれ配置されている。図6の例では、スリットH及びシート後端揃え部材64は最小サイズのシートの両下端部が突き当たり、当該シートを積載することができる位置に配置されている。その際、2つのシート後端揃え部材64はシート幅の中央を対称軸として対称に配置される。
【0035】
図8はシート後端揃え部材64の揺動動作を示す動作説明図である。同図(a)は、シート後端揃え部材が図示反時計回り方向に揺動しているときの状態を示す。この状態では、ステッピングモータ84が反時計回り方向(図示R1方向:CCW方向)の回転動作(以下、CCW動作と称する。)を行っている。なお、CCWはCounterclockwiseの略である。この動作は、ステッピングモータ84が規定パルス数の回転により回転ベルト74を介して揺動軸83aが規定パルス数までCCW方向に回転することにより行われる。この回転により、シート後端揃え部材64はCCW方向に傾き(矢印D1方向)、シート後端揃え部材64の右側面64cがシート束PBの一方の面(裏面)を叩く。
【0036】
図8(b)は図8(a)の状態からシート後端揃え部材64が時計回り方向(図示R2方向:CW方向)に動作しているときの状態を示す。すなわち、ステッピングモータ84が時計回り方向の動作(以下、CW動作と称する。)を行うと、図8(a)の状態から図(b)の状態へ移行する。ステッピングモータ84がCW方向に規定パルス数回転すると、その回転駆動力が回転ベルト74を介して揺動軸83aに伝達され、揺動軸83aが前記規定パルス数に応じた角度だけ回転し、シート後端揃え部材64はその回転した角度に応じて時計回り方向(図示R2方向)に傾き(矢印D2方向)、シート後端揃え部材64の左側面64dがシート束PBの他方の面(表面)を叩く。
【0037】
図8(c)は図8(b)の状態からシート後端揃え部材64が反時計回り方向(図示R1方向)に動作しているときの状態を示す。すなわち、ステッピングモータ84がCCW動作を行うと、その回転駆動力が回転ベルト74を介して揺動軸83aに伝達され、揺動軸83aが前記規定パルス数に応じた角度だけ回転する。その際、規定パルス数がシート後端揃え部材64が水平位置となるまでのパルス数に設定されているので、当該パルス数CCW動作を行うことにより、シート後端揃え部材64は反時計回り方向(矢印R1方向)に傾き(矢印D2方向)、図8(d)に示すようにシート後端揃え部材64のシート後端突き当て面64bが水平な状態となる。
【0038】
図8(d)はHPセンサ75が位置検知を行い、シート後端揃え部材64が水平位置で停止したときの状態を示す。シート後端揃え部材64のシート後端突き当て面64bは水平位置、すなわち、シート後端突き当て面64bが紙折りプレート71の移動方向に対し、平行になる位置で停止しており、ここをホームポジションとして動作する。
【0039】
本実施例におけるシート後端揃え動作では、図8(a)と図8(b)に示す動作を繰り返してシート束PBを表裏方向に揺動させ、同時にシート後端揃え部89を上下方向に搬送するという動作を並行して行う。この2つの動作を同時に行うことにより、シート束PBの下端、表面、裏面をシート後端揃え部材64のシート後端突き当て面64b、左側面64d及び右側面64cで叩き、シート束PBの後端を整合することができる。シート後端揃え動作が終了し、折り動作を行うときには、シート後端揃え部材64は図8(d)に示す水平状態となっている。この状態になると、紙折りプレート71はシート後端突き当て面64bと平行に進出し、折り動作を行うことができる。
【0040】
このような揺動制御を含むシート後処理制御はシート後処理装置FRの制御回路によって実行される。図9はシート後処理装置FRと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。シート後処理装置FRはCPU_FR1、I/OインターフェイスFR2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU_FR1には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネルPR1の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイスPR2を介して入力され、CPU_FR1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU_FR1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイスFR2を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU_FR1が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
【0041】
また、図9におけるシート後処理装置FRの制御は画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置PRの操作パネルPR1から行われる。これにより、画像形成装置PRからはシート後処理装置FRへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、シート後処理装置FRの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザに通知される。
【0042】
図10は実施例1における揺動制御を含むシート後処理制御の制御手順を示すフローチャートである。
【0043】
この制御手順では、シート後端揃え部89が搬送ベルト82を駆動する駆動モータ82aによってシート束揃え位置まで移動し(ステップS101)、第3の中綴じ搬送ローラ63によって搬送されたシートPがシート後端揃え部材64に積載される(ステップS102)。シートPは1枚ずつ搬送されてくるので、本実施例では、最終的に1部のシート束PBとなって積載される。
【0044】
シート束PBが積載された後、一定時間経過すると(ステップS103)、ステッピングモータがCCW動作し、規定パルス数動作した後(ステップS104)、今度はCW動作を規定パルス数行う(ステップS105)。これらのCCW動作及びCW動作を予め設定された回数αとなるまで繰り返す。同タイミングで、駆動モータ82aによって、シート後端揃え部89を上下へβ回となるまで繰り返す。なお、ステップS105,S106におけるnはCW/CCW動作回数、αは規定回数。mは上下動回数 βは規定回数である。規定回数揺動後、ホームポジション位置で停止し(ステップS107)、シート束PBの折り動作を開始する(ステップS108)。
【実施例2】
【0045】
実施例2は実施例1におけるステッピングモータ84を省略し、駆動モータ82aによるシート後端揃え部89の上下動を利用してシート後端揃え部材64の揺動動作を可能とした例である。
【0046】
図11は実施例2における中折り中綴じ部60の後端揃え部の正面図である。なお、図中C−C線は切断線である。図11自体は図2と切断線を除いて同一であるが、シート後端揃え部89の構成とシート搬送ガイド板80の形状が異なる。図12は実施例2におけるシート搬送ガイド板80の構成を示す斜視図である。
【0047】
図12において、シート搬送ガイド板80にはスリットHと平行に、かつ、スリットHに隣接した位置にシート揺動ガイドLが設けられている。シート揺動ガイドLは揺動部Jと搬送部Iを備え、揺動部Jには凸部Tが設けられている。なお、図12では、シート揺動ガイドLはシート搬送ガイド板80の図において裏面側に設けられている。
【0048】
図13は図11におけるシート後端揃え部89の分解斜視図である。シート後端揃え部89は図3に示した実施例1と異なり、水平方向にも揺動軸83aが移動可能な軸受け83eが設けられている。さらに揺動軸83aはシート後端揃え部材64に設けられた軸受け64eに対しても挿通され、隙間嵌めとして回転可能に前記軸受け64eに支持されている。
【0049】
シート後端揃え部材64はさらに、接続部分90と揺動部分91を有し、バネ85が搬送部分90側を常に図示右側へ弾発し、図示時計回り方向にモーメントが発生するようにシート揺動補助部材83に取り付けられている。揺動部分91には略円柱形の外面を有する上凸部92と下凸部93が若干の間隔をおいて並設されている。また、ここでは、シート後端揃え部材64のシートを積載する部分をシート受け入れ部86と称する。
【0050】
図14は図11に示した切断線C−Cで断面した断面図である。図14において、バネ85はシート揺動補助部83とシート後端揃え部材64の間に装着され、両者が互いに離れる方向に弾性力を付与している。また、シート搬送ガイド板80のスリットHと平行にシート後端揃え部材64の接続部分90がスリットHを通過する形で存在し、スリットHがない部分に揺動部分91をシート搬送ガイド板80に接するようにして持っている。なお、図14では、図12に示したものとスリットHとシート揺動ガイドLの関係が逆になっている。
【0051】
図15は実施例2におけるシート後端揃え部材64の揺動動作を示す動作説明図である。図15では図12に示した揺動部Jでシート後端揃え部89が揺動するときのシート後端揃え部材64の揺動部分91、シート搬送ガイド板80の凸部T、シート搬送ガイド板81、シート後端揃え部材64のシート受け入れ部86の動作を抽出して示している。なお、図15(b)ないし(f)については、煩雑を避けるため参照符号は省略しているが、各部は図15(a)に付した参照符号に対応する。
【0052】
図15(a)はシート後端揃え部89を揺動部Jに対して上方へ移動させたときの状態を示す。この状態では、揺動部分91に形成された上凸部92がシート揺動ガイド線Lの凸部T方向へ移動し、上凸部92が凸部Tへバネ85の反発力によって接触し、乗り越えようとしている。
【0053】
この状態からさらに上方(矢印D3方向)に上凸部92が右側へ押されながら移動すると、揺動軸83aを軸にシート受け入れ部86は反時計回り方向(矢印R1方向)に傾いていく。この位置からさらに上方に移動し、図15(b)に示すように、シート後端揃え部89の上凸部92が凸部Tの頂点を過ぎた位置にくると、シート受け入れ部86は時計回り方向(図示R2方向)に傾く。この状態からさらに上昇し、図15(c)に示すように下凸部93がほぼ凸部Tの頂点に達する位置では、シート受け入れ部86は時計回り方向(矢印R2方向)にさらに傾いている。
【0054】
シート後端揃え部89を揺動部Jに対し下側へ移動させる際は、この逆の手順で動作することになる。すなわち、図15(d)に示すように、図15(c)の状態からシート後端揃え部89を下側へ移動させると、シート後端揃え部89の上凸部92が凸部Tの頂点を過ぎた位置にあることは図15(b)と同様である。しかし、下方向(矢印D4方向)の移動であることから、シート受け入れ部86は反時計回り方向(矢印R1方向)に傾きながら移動する。
【0055】
この状態からさらに下降すると、図15(e)に示すようにシート後端揃え部89の上凸部92がほぼ凸部Tの頂点にあるという点は図15(a)と同じであるが、下方向の移動であることから、シート受け入れ部86は時計回り方向(矢印R2方向)に傾きながら移動する。そこで、図15(b)から図15(e)に示した上下方向の移動動作を規定回数繰り返すと、規定回数分のシート揺動動作を行うことができる。
【0056】
シート揺動動作を終了させる場合には、図15(d)の状態からシート後端揃え部89を下方(矢印D4方向)に移動させ、図15(f)の停止位置で停止させる。この状態では、シート後端揃え部材64のシート後端突き当て面64bは水平な状態となり、実施例1と同様にシート後端突き当て面64bが紙折りプレート71の移動方向に対し、平行となっている。
【0057】
シート後端揃え部材64が図15(f)の位置にあるとき、揺動軸83aはバネ85によって図示右側へ負荷をかけられており、負荷により、シート揺動補助部83の軸受け83eの最も右側の位置に位置している。また、図15(a)から図15(e)の動作時には、揺動軸83aは軸受け83eをバネ85によって弾性力を付与された状態で水平(図示左右)方向へ移動することができる。このようにして、上凸部92と下凸部93が凸部Tを乗り越えるときの揺動軸83aの水平方向の移動の逃げを確保している。
【0058】
図16は実施例2における揺動制御を含むシート後処理制御の制御手順を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS101からステップS103の処理は図10に示した実施例1の処理と同様である。ステップS103で最終シートPがシート後端揃え部材64に積載された後、駆動モータ82aを動作させ、搬送ベルト82を介し、シート後端揃え部材64が凸部Tを乗り越えるように上下動させる(ステップS201,S202)。これにより、図15に示したシート後端揃え部材64の揺動動作が実行される。上下動を規定回数繰り返し、シート後端揃え部材64の揺動動作を終えた後(ステップS203:YES)、図15(f)に示す停止位置(シート折り位置)に停止させ(ステップS107)、シート束PBの折り動作を開始する(ステップS108)。
【0060】
その他、特に説明しない各部は実施例1と同様に構成され、同様に機能するので、重複する説明は省略する。
【実施例3】
【0061】
実施例3は実施例2における凸部Tを複数設けた例である。
【0062】
図17及び図18は実施例2において図15に示した動作説明図に対応するもので、実施例2における凸部Tを凸形状の異なる第1及び第2の2種の凸部T1,T2とし、第1及び第2の凸部T1,T2をシート揺動ガイドLの上下方向に所定間隔離して直列に配置している。
【0063】
図17は図12の揺動部Jにおいて、凸部Tの高さが異なる第1及び第2の凸部T1,T2をシート搬送ガイド板80に設けた例である。図17の上側にある第1の凸部T1は下側にある第2の凸部T2に対し、2倍の高さを持ち、シート受け入れ部86もこの高さに比例して傾く。すなわち、高さに比例した揺動幅を有する。
【0064】
図18は図12の揺動部Jにおいて、凸部Tの傾斜角度が異なる第1及び第2の凸部T1,T2をシート搬送ガイド板80に設けた例である。図18の上側にある第1の凸部1T1は下側にある第2の凸部T2に対し、半分の移動距離で同じ量の揺動をすることができ、揺動速度を2倍にすることができる。
【0065】
その他、特に説明しない各部は実施例1及び2と同様に構成され、同様に機能するので、重複する説明は省略する。
【実施例4】
【0066】
実施例4はシート受け入れ部86の両側面の形状をシート搬送経路外側へと湾曲させた例である。
【0067】
図19は揺動動作時におけるシート受け入れ部86の両側面とシート束PBとの接触状態を示す図である。このうち同図(a)ないし(c)はシート受け入れ部86の両側面の形状をシート搬送経路外側へと湾曲させたときの状態を示し、同図(d)ないし(f)は実施例2及び3におけるシート受け入れ部86の同じ傾きにおける状態を示している。
【0068】
図19(d)及び(f)において破線の丸印で示す部分θではシート束PBはシート後端揃え部材64のエッジと接触し、シート後端揃え部材64が揺動する際にエッジで叩いている。このようにエッジがシート表面を叩くと、シート表面に傷を作りやすい。それに対し、図19(a)及び(c)に示したようにシート受け入れ部86の両側面を外側へ湾曲させた断面形状とすると、シート受け入れ部86がシート束PBを叩く際も、破線の丸印で示す部分θが丸みを帯びた曲面となっているので、シート表面にエッジの角が当たることがなく、シート表面への傷つきを防止することができる。
【0069】
その他、特に説明しない各部は実施例1ないし3と同様に構成され、同様に機能する。
【実施例5】
【0070】
実施例1及び2では、最終シートが搬送されてから揺動動作を行っていた。しかし、積載されるシート枚数が多くなると、シート間の摩擦力が大きくなり、揃え動作が良好に行われない場合があり得る。そこで、本実施例5では、シート後端揃え部材64にシートが1枚あるいは予め設定された枚数積載されるごとに、揺動動作を行ってシート後端の整合を行うようにした。
【0071】
図20は、実施例5における揺動制御を含むシート後処理制御の制御手順を示すフローチャートである。シート後端揃え部89のシート後端揃え部材64を揺動させる機構自体は、実施例2又は3と同様であり、実施例2における図16のフローチャートとは制御手順が異なるだけである。
【0072】
図10において、この制御手順では、シート後端揃え部89が搬送ベルト82を駆動する駆動モータ82aによってシート束揃え位置まで移動し(ステップS101)、第3の中綴じ搬送ローラ63によって搬送されたシートPがシート後端揃え部材64に積載される(ステップS102)。
【0073】
シートPのシート後端揃え部材64への積載を、シートPが積載枚数l=γとなるまで繰り返す(ステップS301:NO)。図20において、lはシートPの新規あるいは揺動動作後の積載枚数、γは規定枚数(予め設定された枚数)である。そして、規定枚数γに達したら(ステップS301:YES)、シート後端揃え部材64を上下に動かし(ステップS)302,S303)、このシート揺動動作を規定回数o=ηとなるまで繰り返す(ステップS304:NO)。なお、oは上下動作回数、ηは規定回数である。上下動作が規定回数繰り返された後(ステップS304:YES)、新規積載枚数l=0及び上下動作回数o=0としてリセットする(ステップS305)。上記動作を最終シートが積載されるまで動作を繰り返す(ステップS306:NO)。そして、最終シートが積載されたら(ステップS306:YES)、実施例2と同じく、シート揺動動作を行い(ステップS201,S202)、揺動動作を終えた後(ステップS203:YES)、シート折り位置へ移動させ(ステップS107)、シート折り動作を行う(ステップS108)。
【0074】
このようにシート後端揃え部材64へのシート束PBの積載完了後にシート揺動動作を行う場合より、シートPを1枚あるいは規定枚数が積載されたらシート揺動動作を行うという制御を行うことにより、シート後端揃え精度を向上させることができる。
【0075】
その他、特に説明しない各部は実施例1及び2と同様に構成され、同様に機能する。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0077】
1)従来、シート後端揃え部89の上下動だけでシート束PBの揃え動作を実行していたが、シート後端揃え部89のシート後端揃え部材64(後端揃え手段)を揺動させ、シート束PBにシート面に対して垂直な方向から変動する力を与え、従来に比べてシート束後端を突き当て面64bに突き当てることを促すことができるので、シート束PBの後端揃え精度を向上させることが可能となる。
【0078】
2)実施例1に示したように搬送ベルト82及び駆動モータ82a(第1の駆動手段)によって、シート揺動補助部材83(移動手段)に搭載されたシート後端揃え部材64(後端揃え部材)と、シート後端揃え部材64を揺動させるためにステッピングモータ84及び回転ベルト74(第2の駆動手段)とが連動して上下に移動し、シート後端揃え部89の可動範囲内でシート揺動動作を行うことができるので、シートサイズに拘わらず、シート後端揃え精度の向上を図ることができる。
【0079】
3)実施例2に示したように上下のシート後端揃え部材64側に設けた上下の凸部92,93(第2の突起)と、シート搬送ガイド板80側に設けた揺動部J、凸部T(第1の突起)を利用して揺動動作を行わせるので、駆動源が1つで良く、省エネルギ化を図ることができる。
【0080】
4)シート搬送ガイド板80側に設けた第1及び第2の凸部T1,T2の高さ方向の大きさによって、揺動幅を変化させることができるので、シートサイズごとに最適な揺動幅で揺動させることが可能となる。
【0081】
5)シート搬送ガイド板80側に設けた第1及び第2の凸部T1,T2の傾斜角度によって、揺動速度を変化させることができるので、シートサイズごとに最適な揺動速度で揺動させることが可能となる。これにより、シート後端揃え部89の上下移動距離、速度の変化を伴うことなく揺動速度を変化させることができる。
【0082】
6)シート後端揃え部材64の両側面が外側へ湾曲しているので、シートPを叩く際、シート表面及び裏面にシート後端揃え部材64のエッチが接触することがなくなり、シート表面、裏面への傷つきを防止することができる。
【0083】
7)シート後端揃え部材64がシートの最小サイズ内でシート後端が突き当たる位置に複数設けられているので、シート整合時にシート束重心が中央からずれないようにシートを保持することができる。さらに、シート保持可能なシート後端部材64を1つ使用する場合に比べて駆動モータ82aによって移動させる重量を軽くすることできるので、駆動源の省エネルギ化を図ることが可能となる。
【0084】
8)シート後端揃え部材64の揺動動作終了後には、突き当て面64bが水平になるように構成しているので、シート綴じあるいは折り動作前にシート後端揃え部材64の突き当て面64bが斜めになっていることに起因するシート後端揃えずれを防ぐことができる。
【0085】
9)シートPを1枚ないし規定枚数ごとに揺動させてシート後端揃え部材64の突き当て面64bに突き当てるので、最終シートが積載されて1部のシート束が積載された後のみ揺動させる場合に比べて、シート枚数が多い場合に特にシート後端揃え精度を向上させることができる。
【0086】
10)これらのことから、本実施形態によれば、常に高い後端揃え精度を得ることができる。
【0087】
なお、特許請求の範囲におけるシートは実施形態では符号Pに、搬送手段は第1ないし第3の中綴じ搬送ローラ61,62,63に、搬送経路は下搬送経路4に、搬送ガイド手段は第1及び第2の搬送ガイド板80,81に、揃え手段はシート後端揃え部89に、シート束は符号PBに、処理手段は中綴じステープラ51、紙折りプレート71及び紙折り板72に、後端揃え手段はシート後端揃え部材64に、移動手段はシート揺動補助部材83に、揺動手段はステッピングモータ84、回転ベルト74及び揺動軸83aで連結されている機構、あるいは揺動部J、凸部T、第1及び第2の凸部T1,T2、上下の凸部92,93、シート処理装置はシート後処理装置FRに、第1の駆動手段は搬送ベルト82及び駆動モータ82aに、第2の駆動手段はステッピングモータ84及び回転ベルト74に、第1の突起は凸部T1に、第2の突起は上下の凸部92,93に、回転機構は揺動軸83a及び軸受け83eに、支持手段は軸受け83eに、複数の突起は第1及び第2の凸部T1,T2に、画像形成システムはシート後処理装置FR及び画像形成装置PRからなるシステムに、それぞれ対応する。
【0088】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
4 下搬送経路
51 中綴じステープラ
61,62,63 中綴じ搬送ローラ
64 シート後端揃え部材
71 紙折りプレート
72 紙折り板
74 回転ベルト
80,81 搬送ガイド板
82 搬送ベルト
82a 駆動モータ
83 シート揺動補助部材
83a 揺動軸
83e 軸受け
84 ステッピングモータ
89 シート後端揃え部
92 上凸部
93 下凸部
FR シート後処理装置
J 揺動部
P シート
PB シート束
PR 画像形成装置
T,T1,T2 凸部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2003−081512号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
搬送されるシートをガイドする搬送経路を形成する搬送ガイド手段と、
シートを揃える揃え手段と、
前記揃え手段によって揃えられたシート束に対して所定の処理を施す処理手段と、
を備えたシート処理装置であって、
前記揃え手段が、
シート後端を突き当てて整合する突き当て面と、当該突き当て面に突き当てられたシートの当該突き当て面からの落下を防ぐ両側面とを含む後端揃え手段と、
前記後端揃え手段を前記搬送経路と平行な方向へ移動させる移動手段と、
前記後端揃え手段をシート面に対してほぼ垂直な方向に揺動させる揺動手段と、
を備えたこと
を特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート処理装置であって、
前記移動手段を駆動する第1の駆動手段と、
前記揺動手段を駆動する第2の駆動手段と、
を備え、
前記第2の駆動手段は前記移動手段に搭載され、
前記第1の駆動手段によって移動した位置で、前記第2の駆動手段によって前記揺動手段が揺動駆動されること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項3】
請求項1記載のシート処理装置であって、
前記前記移動手段によって移動する軌跡に沿って前記搬送ガイド手段に設けられた第1の突起と、
前記シート後端揃え手段に設けられ、当該シート後端揃え手段が移動する際に前記第1の突起に乗り上げて所定角度回転する第2の突起を含む回転機構と、
を備え、
前記揺動手段は、前記移動手段によって前記後端揃え手段を前記第1の突起を挟んで往復動させることにより前記後端揃え手段を揺動させること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項4】
請求項3記載のシート処理装置であって、
前記回転機構が前記後端揃え手段の水平方向の移動を許容する支持手段を含むこと
を特徴とするシート後処理装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載のシート処理装置であって、
前記第1の突起が複数位置に設けられ、
前記複数位置の突起が、高さ又は傾斜角度が前記設けられた位置によってそれぞれ異なること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記後端揃え手段の前記両側面の開放端側が、搬送経路の外側に湾曲した形状に形成されていること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記移動手段及び前記揺動手段を駆動し、シート下端、シート表面、シート裏面の3方向から1回以上前記突き当て面上に積載されたシート束を揺動させること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記後端揃え手段がシートの最小サイズ内でシート後端が突き当たる位置に複数設けられ、
前記揺動手段は、これらの後端揃え手段を同時に揺動させること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシート処理装置であって、
前記揺動手段は、前記後端揃え手段に1枚以上の予め設定された枚数が積載される度に前記後端揃え手段を揺動させること
を特徴とするシート処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシート処理装置を備えていることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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