説明

シート剥離装置および剥離方法ならびにシート貼付装置

【課題】簡易な構造で接着シートを確実に剥離することができるシート剥離装置および剥離方法ならびにシート貼付装置を提供すること。
【解決手段】シート剥離装置2は、帯状の剥離シートRLに仮着された原反Rを繰り出す繰出手段4と、繰り出された原反Rの剥離シートRLを折り曲げる折曲端縁52を有して繰り出し方向下流側の接着シートSの先端縁S1を剥離シートRLから剥離して繰り出し方向に突出させる剥離板5とを備える。繰出手段4は、接着シートSが剥離された剥離シートRLを所定張力で引っ張る張力付与手段7を有する。張力付与手段7は、接着シートSの先端縁S1が折曲端縁52を通過する際に、所定張力よりも大きい増大張力を剥離シートRLに付与し、接着シートSの先端縁S1を剥離シートRLから剥離可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート剥離装置および剥離方法ならびにシート貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の剥離シートの一方の面に接着シートが仮着された原反を繰り出し、繰り出された原反の剥離シートから接着シートを剥離する剥離装置および貼付装置において、剥離シートに対する接着シートの仮着力が強い場合に、当該接着シートを確実に剥離シートから剥離するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、剥離シートに仮着された接着シートは、打ち抜き装置の打抜刃によって当該接着シートの外縁の接着剤が剥離シートの内部まで入り込んでいる。このため、当該接着シートの先端縁が剥離シートから剥離しにくい。
そこで、特許文献1に記載の剥離装置は、予め幅方向に二分割された剥離シートに仮着された接着シートを剥離シートから剥離するものであり、剥離シートを剥離プレートの傾斜縁で斜めに折り返して繰出方向に対して横方向に方向転換させることで、剥離シートから接着シートを剥離するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−143290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の剥離装置では、2つの剥離シートをそれぞれ別々の方向に方向転換させるため、剥離シートを繰出方向に対して左右方向に送り出すことになり、その後も剥離シートを複数回にわたって方向転換させる必要があるため、装置の構造が複雑化し、装置全体が大型化してしまうという不都合や、予め幅方向に二分割された剥離シートが採用された原反しか対応ができないという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、簡易な構造で接着シートを確実に剥離することができるシート剥離装置および剥離方法ならびにシート貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート剥離装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離するシート剥離装置であって、前記原反を繰り出す繰出手段と、繰り出された前記原反の前記剥離シートを折り曲げる折曲端縁を有して繰り出し方向下流側の前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離して繰り出し方向に突出させる剥離手段とを備え、前記繰出手段は、前記接着シートが剥離された前記剥離シートを所定張力で引っ張る張力付与手段を有し、この張力付与手段は、前記接着シートの先端縁が前記折曲端縁を通過する際に、前記所定張力よりも大きい増大張力を前記剥離シートに付与し、前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離可能に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明のシート剥離装置において、前記張力付与手段は、前記接着シートの先端縁が繰り出し方向に突出しない異常状態において、前記接着シートの引き戻しを行い、前記接着シートの繰り出しを再度行うことが好ましい。
また、本発明のシート剥離装置において、前記剥離シートから前記接着シートの先端縁が剥離されたか否かを検出する検出手段を備えていることが好ましい。
【0008】
本発明のシート剥離方法は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離するシート剥離方法であって、前記原反を繰り出し、繰り出された前記原反の剥離シートを所定張力で引っ張りながら折曲端縁で折り曲げ、前記接着シートの先端縁が前記折曲端縁を通過する際に、前記所定張力よりも大きい増大張力を前記剥離シートに付与し、前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離することを特徴とする。
【0009】
一方、本発明のシート貼付装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離し、剥離した接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置であって、前記原反を繰り出す繰出手段と、繰り出された前記原反の前記剥離シートを折り曲げる折曲端縁を有して繰り出し方向下流側の前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離して繰り出し方向に突出させる剥離手段と、前記剥離した接着シートを前記被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記繰出手段は、前記接着シートが剥離された前記剥離シートを所定張力で引っ張る張力付与手段を有し、この張力付与手段は、前記接着シートの先端縁が前記折曲端縁を通過する際に、前記所定張力よりも大きい増大張力を前記剥離シートに付与し、前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明によれば、接着シートの先端縁が剥離手段の折曲端縁を通過する際に、張力付与手段は剥離シートを引っ張る所定張力よりも大きい増大張力を剥離シートに付与し、剥離シートを当該増大張力で引っ張る。これにより、接着シートの先端縁が増大張力により剥離シートから簡単に剥離され、接着シートを剥離シートから確実に剥離させることができる。また、従来例のように、剥離シートを繰り出し方向に対して左右方向に送り出したりする必要がないため、装置の構造を簡略化することができる上、予め幅方向に二分割された剥離シートが採用された原反でなくとも対応が可能となる。従って、簡易な構造で剥離シートから接着シートを確実に剥離することができる。
【0011】
本発明において、張力付与手段は、接着シートの先端縁が繰り出し方向に突出しない異常状態において、接着シートの引き戻しを行ってから、再度繰り出しを行う。これにより、剥離シートに所定張力よりも大きい増大張力を加える回数を減らし、剥離シートが切断されるリスクを低減できる。
また、本発明において、接着シートの先端縁が剥離シートから剥離されずに、折曲端縁で折り曲げられたことを検出手段により検出されると、この異常状態において、張力付与手段は、剥離シートを引っ張る所定張力よりも大きい増大張力を剥離シートに付与するので、接着シートの先端縁が剥離シートから剥離され易くなり、接着シートが剥離されずに剥離シートが繰り出されることなく、接着シートを剥離シートから確実に剥離することができる。
【0012】
本発明において、支持手段が基材シート側から接着シートを吸引支持し、移動手段が支持手段で吸引支持した接着シートを支持手段とともに移動するので、剥離シートから剥離されるまで接着シートが支持手段で吸引支持され続け、接着シートを確実に剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図2】図1のシート貼付装置の動作説明図。
【図3】図2に続くシート貼付装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態における明示のない例えば、上、下、左、右という方向を示す表現は、全て図1を基準に用いられている。
図1に示すように、本実施形態のシート貼付装置1は、帯状の剥離シートRLの一方の面に仮着された接着シートSを剥離シートRLから剥離するするとともに、剥離した接着シートSを被着体Wに貼付するものである。ここで、接着シートSは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが積層されて構成されるとともに、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLの一方の面に仮着された原反Rとして予め準備されている。
【0015】
シート貼付装置1は、原反Rの剥離シートRLから接着シートSを剥離するシート剥離装置2と、剥離した接着シートSを被着体Wに押圧して貼付する押圧手段3とを備えている。
シート剥離装置2は、原反Rを繰り出す繰出手段4と、繰り出された原反Rの剥離シートRLを折り返すことで当該剥離シートRLから接着シートSを剥離する剥離手段としての剥離板5と、剥離した接着シートSを検出する検出手段としてのセンサ6と、剥離シートRLを所定張力で引っ張る張力付与手段7とを備えている。
【0016】
繰出手段4は、その全体がフレーム8に支持されている。この繰出手段4は、剥離シートRLに仮着された接着シートSをロール状に巻回して支持する支持ローラ41と、原反Rを案内するガイドローラ42Aと、駆動機器としての回動モータ43によって駆動するブレーキローラ44と、ブレーキローラ44との間に原反Rを挟み込むピンチローラ45と、接着シートSが剥離された剥離シートRLを案内するガイドローラ42Bと、駆動機器としての回動モータ46によって駆動する駆動ローラ47と、駆動ローラ47との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ48と、図示しない駆動機器によって剥離シートRLを回収する回収ローラ49とを備えている。なお、回動モータ43,46は、それぞれの出力軸の回転速度や回転トルクを図示しない制御手段によって制御可能に設けられている。
【0017】
剥離板5は、原反Rを剥離シートRL側から案内するガイド面51と、剥離シートRLを折り曲げる折曲端縁52とを備えている。
センサ6は、投受光タイプの光電センサであり、接着シートSの先端縁S1が剥離シートRLから剥離されたか否かを検出する。すなわち、センサ6は、図1に示すように、接着シートSの先端縁S1が剥離シートRLから剥離されて、剥離板5の折曲端縁52からシート繰出方向Cに所定寸法、突出した状態を検出する。そして、センサ6は、接着シートSの先端縁S1を検出した場合(正常状態)には検出信号を、また非検出の場合、つまり、接着シートSの先端縁S1が剥離板5の折曲端縁52からシート繰出方向Cに突出せずに、折曲端縁52で折り曲げられた場合(異常状態)には非検出信号を、図示しない制御手段に出力する。制御手段は、センサ6から入力された信号に基づいて、回動モータ43,46の回転速度や回転トルクの制御を実行する。
【0018】
張力付与手段7は、回動モータ43および回動モータ43によって駆動するブレーキローラ44と、回動モータ46および回動モータ46によって駆動する駆動ローラ47とを有して構成される。この張力付与手段7は、ブレーキローラ44および駆動ローラ47を同期して駆動させることで、ブレーキローラ44および駆動ローラ47に剥離シートRLを所定張力で引っ張らせて、原反Rを繰出方向Aまたは引き戻し方向B(図3(C)参照)に搬送可能に設けられている。
【0019】
押圧手段3は、図示しない複数の吸引口を有して当該吸引口によって基材シートBS側から接着シートSを吸引支持する支持手段としての吸着盤31と、図示しないフレームに支持された移動手段であり駆動機器としての直動モータ32と、この直動モータ32のスライダ33に設けられ、その出力軸35が吸着盤31の上面部に固定された駆動機器としての直動モータ34とを備えている。
【0020】
以上のシート貼付装置1において、剥離シートRLから接着シートSを剥離するとともに、剥離した接着シートSを被着体Wに貼付する手順について説明する。
先ず、図1に示すように、原反Rをシート貼付装置1に通紙し、繰出手段4が回動モータ43,46を駆動してブレーキローラ44および駆動ローラ47を回転させることによって原反Rを繰出方向Aへ搬送する。このとき、張力付与手段7は、駆動ローラ47を介して剥離シートRLを繰出方向Aへ引っ張る力F1が、ブレーキローラ44を介して剥離シートRLを引き戻し方向Bへ引っ張る力F2より大きくなるように(F1>F2)、制御手段によって、回動モータ43,46の回転速度やトルクが制御される。これにより、ブレーキローラ44と駆動ローラ47との間に位置する剥離シートRLに所定張力T1が付与されつつ、原反Rが繰出方向Aへ搬送される。
繰出方向Aへ搬送された原反Rは、図2(A)に示すように、剥離板5のガイド面51に沿って繰出方向Aに案内され、その後、接着シートSの先端縁S1が折曲端縁52に達する。
【0021】
接着シートSの先端縁S1が折曲端縁52を通り過ぎ、接着シートSが剥離シートRLから剥離されずに、図2(B)に示すように、接着シートSの先端縁S1が折曲端縁52で折り曲げられた異常状態となると、センサ6は、接着シートSの先端縁S1を検出できないため、非検出信号を制御手段に出力する。非検出信号が制御手段に入力されると、張力付与手段7は、回動モータ43,46を駆動してブレーキローラ44および駆動ローラ47を逆回転させることによって原反Rを引き戻す。このとき、張力付与手段7は、駆動ローラ47を介して剥離シートRLを繰出方向Aへ引っ張る力F1が、ブレーキローラ44を介して剥離シートRLを引き戻し方向B(図3(C)参照)へ引っ張る力F2より小さくなるように(F1<F2)、制御手段によって、回動モータ43,46の回転速度やトルクが制御される。これにより、ブレーキローラ44と駆動ローラ47との間に位置する剥離シートRLに戻り張力T2(T1=T2)が付与されつつ、原反Rが引き戻し方向Bへ搬送される。このとき、戻り張力T2を所定張力T1よりも大きくしてもよい(T2>T1)。
そして、図3(C)に示すように、接着シートSの先端縁S1が折曲端縁52の繰出方向上流側まで引き戻される。次に、張力付与手段7は、ブレーキローラ44を介して剥離シートRLを引き戻し方向Bへ引っ張る力F3が(F3>F2)を付与しつつ、駆動ローラ47を介して剥離シートRLを繰出方向Aへ引っ張る力F1(F1>F3)を付与する。これにより、ブレーキローラ44と駆動ローラ47との間に位置する剥離シートRLに増大張力T3(T3>T1)が付与されつつ、原反Rが繰出方向Aへ搬送される。
以上のようにして、張力付与手段7は、接着シートSの繰り出しおよび引き戻しを実行し、図3(D)に示すように、接着シートSが剥離シートRLから剥離されると、接着シートSの先端縁S1がシート繰出方向Cに突出した状態となってセンサ6により検知される。この状態で、図1の実線で示すように、原反Rの繰り出し動作が一旦停止され、スタンバイ状態となる。なお、増大張力T3によって接着シートSが剥離シートRLから剥離されない場合は、再度原反Rを引き戻し方向Bへ搬送し、増大張力T3を付与して原反Rを繰出方向Aへ搬送してもよく、接着シートSが剥離シートRLから剥離されるまでこの動作を複数回繰り返してもよい。さらに、増大張力T3で接着シートSが剥離シートRLから剥離されない場合は、増大張力T3よりもさらに大きな増大張力T4を付与して原反Rを繰出方向Aへ搬送してもよい。
【0022】
次に、被着体Wがコンベア等の搬送路CV上を搬送されてくると、図示しないセンサによって検知されて、被着体Wは、剥離板5に対して図1の図面視で左下の所定位置で停止する。被着体Wが停止したことが確認されると、シート貼付装置1は、吸着盤31の図示しない吸引口で吸引を行い、上記同様に回動モータ43,46で原反Rに所定張力T1を付与しながら接着シートSを繰り出す。この時、接着シートSは、先端縁S1が剥離シートRLから剥離した状態となっているため、剥離シートRLから簡単に剥離され、折曲端縁52を通り過ぎた時点で剥離シートRLから確実に剥離されて吸着盤31の吸引によって吸着保持される。
【0023】
この際、押圧手段3は、図1中二点鎖線で示すように、吸着盤31が接着シートSを吸着保持した状態で、直動モータ32を駆動して、原反Rの繰出速度と同じ速度でシート繰り出し方向Cに吸着盤31を移動させるため、剥離シートRLから剥離されるまで接着シートSが吸着盤31で保持され続け、これにより接着シートSがより確実に剥離されるようになる。
【0024】
そして、吸着盤31が、図1に二点差線で示すように、被着体W上の所定位置まで移動すると、直動モータ34が吸着盤31を下方に向かって下降させ、接着シートSの接着剤層ADの面を被着体Wに当接させて、接着シートSを被着体Wに押圧して貼付する。
以上のようにして接着シートSを被着体Wに貼付したら、シート貼付装置1は、吸着盤31による接着シートSの吸着保持を解除してから、直動モータ34によって吸着盤31を上昇させるとともに、各部を初期位置に復帰させる。これにより、剥離された接着シートSの被着体Wへの貼付が完了する。
【0025】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、シート貼付装置1は、接着シートSの先端縁S1が剥離板5の折曲端縁52で折り曲げられて、シート繰出方向Cに突出しない異常状態において、剥離シートRLを引っ張る所定張力T1より大きい増大張力T3を剥離シートRLに付与する張力付与手段7を備えるので、接着シートSの先端縁S1が増大張力T3によって剥離シートRLから簡単に剥離され、接着シートSを剥離シートRLから確実に剥離させることができる。また、剥離シートRLを繰り出し方向に対して左右方向に送り出したりする必要がないため、シート貼付装置1の構造を簡略化することができる。
【0026】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0027】
前記実施形態では、回動モータ43およびブレーキローラ44と、回動モータ46と駆動ローラ47により剥離シートRLに加わる所定張力T1より大きい増大張力T3に変動させていたが、例えば、支持ローラ41を駆動機器としての回動モータで駆動する構成とし、支持ローラ41と駆動ローラ47との間に回転速度差やトルク差を与えて剥離シートRLに加わる張力を変動させてもよい。
【0028】
前記実施形態では、接着シートSが剥離シートRLから剥離されない異常状態において、剥離シートRLに加わる張力を変動させていたが、接着シートSの先端縁S1が折曲端縁52に到達する前の所定位置から所定張力T1より大きい増大張力T3を常に付与する構成としてもよい。
また、接着シートSの先端縁S1が折曲端縁52を通過する際にのみ剥離シートRLに増大張力T3を付与する構成としてもよい。これにより、増大張力T3で剥離シートRLを引っ張る時間を短くして、剥離シートRLが切断してしまうリスクを低減させることができる。なお、前記実施形態のように異常状態のときにだけ増大張力T3で剥離シートRLを引っ張ることで、増大張力T3で剥離シートRLを引っ張る回数を減らして、剥離シートRLが切断してしまうリスクをさらに低減させることができる。
【0029】
前記実施形態では、剥離板5によって剥離シートRLから剥離される接着シートSを吸着盤31で一旦保持し、吸着盤31で保持した接着シートSを被着体Wに押圧して貼付する押圧手段3を示したが、押圧手段としては、例えば、吸着盤31で保持した接着シートSを圧縮エアで吹き飛ばして被着体に貼付する所謂エアジェットタイプのものとしてもよい。また、前記実施形態では、直動モータ32によって吸着盤31を接着シートSの繰出方向に移動させたが、直動モータ32を採用することなく、吸着盤31を折曲端縁52の下流側(図1中二点鎖線で示す位置)に固定しておく構成としてもよい。さらに、折曲端縁52の左方に押圧ローラを配置して、被着体Wの搬送に伴って接着シートSを当該押圧ローラで押圧して貼付するように構成してもよい。
【0030】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0031】
また、前記実施形態では、被着体Wおよび接着シートSを具体的に例示していないが、本発明のシート剥離装置および剥離方法では、被着体Wおよび接着シートSの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、被着体Wが適宜な物品(例えば、段ボールケースや樹脂容器等)であって、接着シートSがラベルであってもよく、被着体Wが半導体ウェハであって、接着シートSが保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。この際、半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このような半導体ウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、被着体Wが光ディスクの基板であって、接着シートSが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、被着体Wとしては、ガラス板、鋼板、樹脂板等や、その他の板状部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 シート貼付装置
2 シート剥離装置
3 押圧手段
4 繰出手段
5 剥離板(剥離手段)
6 センサ(検出手段)
7 張力付与手段
31 吸着盤(支持手段)
32 直動モータ(移動手段)
52 折曲端縁
AD 接着剤層
BS 基材シート
R 原反
RL 剥離シート
S 接着シート
S1 先端縁
W 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離するシート剥離装置であって、
前記原反を繰り出す繰出手段と、
繰り出された前記原反の前記剥離シートを折り曲げる折曲端縁を有して繰り出し方向下流側の前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離して繰り出し方向に突出させる剥離手段とを備え、
前記繰出手段は、前記接着シートが剥離された前記剥離シートを所定張力で引っ張る張力付与手段を有し、この張力付与手段は、前記接着シートの先端縁が前記折曲端縁を通過する際に、前記所定張力よりも大きい増大張力を前記剥離シートに付与し、前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離可能に設けられていることを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
前記張力付与手段は、前記接着シートの先端縁が繰り出し方向に突出しない異常状態において、前記接着シートの引き戻しを行い、前記接着シートの繰り出しを再度行うことを特徴とする請求項1に記載のシート剥離装置。
【請求項3】
前記剥離シートから前記接着シートの先端縁が剥離されたか否かを検出する検出手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート剥離装置。
【請求項4】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離するシート剥離方法であって、
前記原反を繰り出し、
繰り出された前記原反の剥離シートを所定張力で引っ張りながら折曲端縁で折り曲げ、前記接着シートの先端縁が前記折曲端縁を通過する際に、前記所定張力よりも大きい増大張力を前記剥離シートに付与し、前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離することを特徴とするシート剥離方法。
【請求項5】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から前記接着シートを剥離し、剥離した接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置であって、
前記原反を繰り出す繰出手段と、
繰り出された前記原反の前記剥離シートを折り曲げる折曲端縁を有して繰り出し方向下流側の前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離して繰り出し方向に突出させる剥離手段と、
前記剥離した接着シートを前記被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記繰出手段は、前記接着シートが剥離された前記剥離シートを所定張力で引っ張る張力付与手段を有し、この張力付与手段は、前記接着シートの先端縁が前記折曲端縁を通過する際に、前記所定張力よりも大きい増大張力を前記剥離シートに付与し、前記接着シートの先端縁を前記剥離シートから剥離させることを特徴とするシート貼付装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−126416(P2012−126416A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278420(P2010−278420)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】