説明

シート収納装置及びこれを用いた画像形成システム

【課題】上流側の画像形成装置などから搬出されるシートを高速で整然と正しい姿勢で所定の位置に積載収納することが可能なシート収納装置を提供する。
【解決手段】排紙口とトレイに排紙ローラと距離を隔てて反転ローラを配置し、排紙口から排紙されるシートの排紙パスを過ぎる上下方向に揺動可能にキック部材を設けてシフト手段でその姿勢を制御する。このシフト手段はキック部材を排紙パス上方に退避した待機姿勢と、シートの上に荷重を乗せて係合した係合姿勢と、シートとともにトレイ上に落下した作動姿勢との間で姿勢制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置などから送られたシートを排紙口の下流側に配置した載置トレイに集積するシート収納装置及び、これを用いた画像形成システムに係わり、連続して搬出されるシートを迅速(高速収納)に所定の位置に積み重ねて集積することが可能なシート収納装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のシート収納装置は画像形成装置から搬出されたシートを排紙口の下流側に配置した積載トレイに集積し、このトレイに積載収納するスタック装置、あるいはトレイ上に部揃えしたシート束を綴じ合わせて後処理した後に下流側のスタックトレイに収納する後処理装置として知られている。
その排紙機構は、排紙口の下方に段差を形成して載置トレイを設け、排紙口の排紙ローラからシートをトレイ上に落下させて収納している。そしてこのトレイにはシート後端を突き当て規制する規制ストッパと、これに向けて落下したシートを移送する掻込みローラ(整合ローラ;以下同様)と反転ローラを配置している。掻込みローラは排紙口の直下に、反転ローラは排紙方向前方に配置している。
【0003】
また、排紙口には排紙センサが設けられ、シート先端を検出した信号から所定の送り時間の後に反転ローラをトレイ上方に退避した位置からトレイ上に降下させると共に、排紙方向に回転している。その後、シート後端が排紙口を通過するとセンサからの信号で反転ローラを排紙反対方向に回転し、シート後端を掻込みローラに送り込んでいる。
掻込みローラに送り込まれたシートは、その後端を突き当てストッパに突き当て規制される。この位置にはステープラ装置(綴じ装置)などの後処理装置が配置されている。そして後処理されたシート束は積載トレイの下流側に配置されたスタックトレイに収納される。
【0004】
このような排紙構造では排紙口からシート後端をトレイ上に落下させて収納する際に、シート後端が排紙口を通過したタイミングでトレイ上に強制的に落下させるキック機構が設けられている。
これはシート後端が排紙ローラに引っ掛かった状態で滞留ジャムを発生しないことと、シート後端の落下が遅れてトレイ上の掻込みローラに折れ曲がって喰い込まれることを防止するためである。
【0005】
従来例えば特許文献1には、排紙口に反転ローラを上下揺動可能に支持するアーム状支持部材を配置し、この部材にシート後端を強制的に落下させるキック部材を設けている。
そしてシート後端が排紙口を通過した段階で反転ローラを上方の待機位置から下方のシート係合位置に降下させ、シートを排紙反転方向にスイッチバック搬送する。これと同時にキック部材でシート後端を掻込みローラのニップ間隙に案内する。
【0006】
また、特許文献2には、排紙口にキック部材と昇降する反転ローラを配置し、この反転ローラとキック部材を別々に上下動動させる機構が開示されている。
同文献のキック部材は軸支点を中心に揺動するアームの先端部で、シート後端をキックするように構成されている。このキック部材の基端部には回転カムが設けられ作動ソレノイドで、この回転カムを回転することによってキック段部材を上下に揺動するようになっている。
【0007】
特許文献3には、排紙口にシート後端を下方のトレイ上の掻き込み回転体に向けて強制的に落下させるレバー機構が開示されている。
このキック部材(アシストアーム)を排紙パスの上方に退避にした待機位置からトレイ上の掻き込み回転体にシート後端を落下させるように揺動する回転カムが開示されている。そして回転カムには、駆動モータが連結され、排紙口に設けられたセンサでシート先端を検知し、このシート後端が排紙口を通過したタイミングでキック部材を降下させている。このキック部材の作動タイミングは、モータ(トレイ上に昇降するモータと兼用している)の駆動タイミングで行っている。
【0008】
上述のいずれの装置も排紙口にシートを強制的に落下させるキック部材を設け、シート後端が排紙口を通過したタイミングでキック部材を上方の待機位置からトレイ上に降下させシート後端を強制的に落下させている。
このとき特許文献1の装置は、キック部材を上下昇降する反転ローラと一体に構成し、両部材が同時にトレイ上に位置するようになっている。また特許文献2及び特許文献3の装置は、反転ローラの昇降機構とは別にキック部材を作動ソレノイドや駆動モータで上下動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−073805号公報
【特許文献2】特開2002−264560号公報
【特許文献3】特開2007−168965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の機構を用いると反転ローラとキック部材は同時にシートを排紙口からトレイ上に叩くように動作するため、シートの姿勢が大きく崩れることがあり、このローラとキック部材が同時にシートに作用する不揃い整列は既に収納されている下層のシートにも及ぶことがある。
特許文献2及び3の機構を用いると反転ローラとキックローラは別々に(異なるタイミングで)トレイ上に降下し、反転ローラでシート先端をトレイ上の最上シートに係合させた後にシート後端をキック部材で落下させて掻込みローラに喰え込ませる。シート後端が掻込みローラに喰えこまれたタイミングでキック部材は上昇して、後続するシートの妨げとならないように経路上方に退避する。
【0011】
従来はキック部材の上下動制御を排紙口に配置したセンサの検出信号で行っている。例えば特許文献1の装置は排紙経路に配置されたセンサでシートの先端を検知し、その検知信号を基準にシート先端が反転ローラの位置に到達する見込み時間の後に反転ローラとキック部材を待機位置からトレイ上に降下させている。
このため反転ローラがトレイ上に降下したとき、シート先端はまだローラ位置に到達していない(未到達)不具合と、或いはシート先端がローラ位置を大きくオーバーラン(過搬送)しているなどのタイミングズレが起きる。
この未到達は排紙ローラとシートの滑り搬送による遅れが、また過搬送は反転ローラの作動遅れ(駆動モータの起動遅れなど)が原因する。特許文献2の装置も同様の不具合が生ずる。
【0012】
また、特許文献1の装置ではキック部材をトレイ上の作動位置から上方の退避位置に復帰させる際に、反転ローラと一体に同時上昇するためこのキック部材を後続するシートの搬出のために排紙口から退避させるタイミングと、反転ローラでシートを規制ストッパに移送するタイミングが狂うことがある。
このため従来は、先行するシートと後続する次シートの間に十分な間隔を設けて連続搬送している。これによる稼働効率の低下も装置の高効率化の妨げとなっている。
また特許文献3の装置も、排紙口でシート後端を強制的に落下させるキック部材を駆動モータの回転でタイミング制御している。このモータ制御のタイミングはシートセンサからの検知信号を基準にしている。
【0013】
このように排紙口のキック部材を回転カム、作動ソレノイドなどで上下動させるときにはシートの搬送遅れ、キック部材の作動遅れなどのタイミングズレが必ず発生する。
従来はこのようなタイミングズレを考慮して比較的低いスピードでシートを搬出している。そして後続するシートの間隔は機体差、使用途上で生ずるガタつきなどを考慮して充分間隔を広げて搬出している。これらの配慮は画像形成、或いは後処理処理スピードの効率低下を招いている。
【0014】
本発明は、上流側の画像形成装置などから搬出されるシートを高速で整然と正しい姿勢で所定の位置に積載収納することが可能なシート収納装置の提供を課題としている。
更に本発明は、画像形成から後処理までの一連の動作を高速に処理することが可能な画像形成システムの提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため本発明は、排紙口とトレイに排紙ローラと距離を隔てて反転ローラを配置し、排紙口から排紙されるシートの排紙パスを過ぎる上下方向に揺動可能にキック部材を設けてシフト手段でその姿勢を制御する。このシフト手段はキック部材を排紙パス上方に退避した待機姿勢と、シートの上に荷重を乗せて係合した係合姿勢と、シートとともにトレイ上に落下した作動姿勢との間で姿勢制御することを特徴としている。
その作用は、シートが排紙ローラと反転ローラにニップされた状態でキック部材を待機姿勢から係合姿勢に移動し、この状態でシート後端を排紙ローラから離脱させる。するとキック部材の重さでシート後端はトレイ上に強制的に落下させられることなり、シートの後端残りによるジャム、掻込みローラによる先端折れなどの問題を解決することが出来る。
【0016】
順次シートを搬出する排紙口と、前記排紙口の下流側に段差を形成して配置され、排紙口から落下するシートを載置する載置トレイと、前記排紙口に配置された排紙ローラと、
前記載置トレイ上のシートと係合する作動位置と上方に退避した退避位置との間で昇降可能な反転ローラと、前記排紙口から落下したシートを載置トレイの所定位置に整合する整合ローラと、前記排紙ローラと反転ローラとの間に配置され、排紙口から搬出されたシート後端を下方に位置する整合ローラに向けて強制的に落下させるキック部材とを備える。
【0017】
前記キック部材は、前記排紙口から前記昇降にローラに移送されるシートの上方に退避する待機姿勢と、前記排紙ローラと整合ローラそれぞれにニップされたシートの上に荷重負荷を及ぼす係合姿勢と、前記排紙ローラから離脱したシート後端を強制的に落下させる作動姿勢との間で揺動するように構成する。
このキック部材には、前記待機姿勢から係合姿勢に変位させるシフト手段が連結されていると共に、このシフト手段には、前記キック部材を、前記待機姿勢に保持すると共に前記作動姿勢から待機姿勢に変位させる係合部を設ける。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、排紙口から搬出されるシートの排紙パスに交差する上下に揺動可能にキック部材を配置し、シートが上流側の排紙ローラと下流側の反転ローラにニップされた状態で、キック部材を上方の待機位置からシートの上にその荷重を作用させるように係合させ、シート後端がローラから離脱したときキック部材の重さでシート後端を強制的に落下させるようにしたものであるから以下の効果を奏する。
【0019】
排紙口から搬出されるシートは後端がローラから離脱すると、キック部材の重さでトレイ上の堆積シートの上に落下するから、ローラ周面に引っ掛かることなく確実にトレイ上に落下する。このため後続する反転ローラのバック搬送でシート後端がジャムを引き起こすことがない。
【0020】
これと共に、シート後端が反り返るようにカールしていてもキック部材で整合ローラ(後述の掻込みローラ)に案内されるからシート先端が排紙ローラで先端折れ(後端折れ)を引き起こすことがない。
これと共に、キック部材はシフト手段で排紙口から搬出されるシートの上方に退避した退避位置と搬出されるシートの上に係合した(乗りかかる)係合姿勢と、トレイ上の作動位置から待機位置に復帰する動作も、反転ローラ昇降動作と関係なく最適タイミングで待機位置に復帰させることが出来、後続するシートの搬出間隔を短く設定して稼働効率を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係わる画像形成システムを組み込んだコンピュータネットワークを示す。(a)はそのシステム構成図であり、(b)は画像形成システムの一形態(ユニット一体化構成)を、(c)はこの形態と異なる形態(スタンドアロン構成)を示す。
【図2】図1のシステムにおける画像形成装置と後処理装置の全体構成を示す説明図。
【図3】図2の後処理装置におけるシート排紙機構の説明図。
【図4】図2の装置におけるキック機構の説明図であり、(a)は詳細構成の説明図を示し、(b)はキック部材の構成図。
【図5】図2の排紙機構におけるシフト手段の構成説明図、(a)はカム機構を用いたシフト手段の形態を、(b)はレバー機構を用いたシフト手段の形態を、(c)は歯車機構用いた手段の形態を示す。
【図6】図2の後処理装置における排紙動作状態の説明図であり、(a)はシート先端を検知した状態の説明図を示し、(b)はシート先端が排出された状態の説明図。
【図7】図2の後処理装置における排紙動作状態の説明図であり、(c)はキック部材が係合姿勢の状態を示し、(d)はキック部材が作動姿勢の状態の説明図。
【図8】図2の後処理装置における排紙動作状態の説明図であり、(e)はシート後端が掻込みローラから規制ストッパに到達する状態を示し、(f)はキック部材を作動位置から待機位置に復帰させる状態の説明図。
【図9】図2の装置におけるスタックトレイの昇降機構の説明図。
【図10】(a)は整合手段の構成説明図を示し、(b)はパンチユニットの構成説明図。
【図11】図2の後処理装置における制御部の説明用ブロック図。
【図12】図2の後処理装置におけるシート排紙動作のタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面に示す好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。本発明は、順次送られるシートを積載収納するシート収納装置Bと、これを備えた画像形成システムSに関する。図1はコンピュータネットワークの出力端末としての画像形成システムを示す。
【0023】
画像形成システムSは、シート上に画像を形成する画像形成装置Aと、画像形成されたシートを収納するシート収納装置Bを組み込んだ後処理装置Cで構成されている。この画像形成システムSは図1(b)に示すように共通の装置ハウジングに画像形成装置Aと、後処理装置Cが組み込まれたユニット構造で構成される。
或いは、同図(c)に示すように画像形成装置A、後処理装置Cそれぞれ別のハウジングに組み込まれたスタンドアロン構造で構成される。図1(a)に示すPCはコンピュータ装置であり、FAはファクシミリ装置、SCはスキャナ装置である。
【0024】
なお、後処理装置Cは、順次搬出されるシートを積載して収納するスタック装置、或いは搬出されたシートに後処理を施した後に、これを積載収納する後処理装置として構成される。
以下画像形成装置Aで画像形成したシートを後処理装置Cで部揃え集積して綴じ処理した後、スタックトレイに収納する画像形成システムSとして本発明を詳述する。
【0025】
[画像形成システム]
図2に画像形成システムSを示す。このシステムは画像形成装置Aと後処理装置Cで構成され、後処理装置Cにシート収納機構(装置)Bが内蔵されている。各装置は装置ハウジング10に一体的に組み込まれている。また、画像形成装置Aは画像形成ユニットA1と画像読取ユニットA2で構成されている。
【0026】
画像形成ユニットA1は、給紙部11と画像形成部12と排紙部13で構成され、装置ハウジング(外装ケーシング)10に組み込まれている。給紙部11は単一若しくは複数の給紙カセット11a、11bで構成され、各カセットには、サイズの異なるシートが収納可能に構成され、シートを繰り出す給紙ローラ14と、シートを1枚ずつ分離する分離手段(分離爪、分離ローラなど)が設けられている(不図示)。給紙カセット11a、11bは装置ハウジング10に出し入れ自在に装備されている。
【0027】
給紙部11から繰り出されたシートは給紙経路15に案内され、この経路にはシートを一時的に待機させるレジストローラ16が設けられている。この給紙経路15には大容量カセットを付設し、搬送されるシートをレジストローラ16に案内する構成、或いは手差しシートを給送する手差しトレイを付設することも可能である。
【0028】
画像形成部12は、給紙部11の上方に配置され、レジストローラ16から送られたシートに画像形成する。画像形成機構は、インクジェット印刷、オフセット印刷、インクリボン印刷など種々の印字機構が採用可能である。図示の画像形成部12は静電式画像形成機構を示している。感光ドラム9には、その外周に印字ヘッド17と現像器18とクリーナ19が配置されている。
印字ヘッド17はレーザ発光、LED発光など光ビームの発光器で構成され、感光ドラム上に潜画像を形成する。この潜画像に現像器18でトナーインクを付着する。ドラム表面に付着されたトナーインクは、レジストローラ16から繰出されたシートにチャージャ20で転写する。
【0029】
図示の装置はカラー画像形成機構を示し、YMCK4つのドラム(9Y,9M,9C,9K)に形成されたトナーインクは転写ベルト21に転写され、画像合成される。この転写ベルト21に転写された画像インクが転写チャージャ20でシート上に転写される。転写チャージャ20を備えた排紙経路22には定着器23が設けられ、シート上に転写された画像を加熱定着する。排紙経路22は画像形成部12からシートを排紙口24に搬出する。
なお排紙口24aは、排紙経路22から後処理装置(ユニット)Cに向けてシートを搬出する排紙口を、図示24bは後述する循環経路(デュープレックス経路)25のスイッチバックパスにシートを搬出する排紙口を示している。
【0030】
装置ハウジング10には、画像形成部12から排紙口24にシートを案内する排紙経路22が設けられている。これと共に排紙経路22から送られたシートを表裏反転させてレジストローラ16に再送する循環経路(デュープレックス経路)25が配置されている。この排紙経路22と循環経路25で排紙部13が構成されている。
なお、後述する後処理装置Cを備えない装置構成の場合には排紙口24の下流側にシートを積載収納する排紙トレイ(不図示)を配置する。
【0031】
図2の装置は、画像形成ユニットA1の上方に画像読取ユニットA2が配置されている。画像読取ユニットA2は原稿画像を載置するプラテンと、プラテン上の原稿に光を照射して反射光を光電変換するスキャナ機構が内蔵されている。
特に図2の装置は画像形成部12、排紙部13、画像読取ユニットA2の順に上方に配置している。そして画像形成ユニットA1のフレーム強度で排紙部(後述する後処理装置C)と画像読取ユニットA2を支えている。
【0032】
なお、図2において図示26(26a、26b、26c)は排紙経路22に配置されたシートの搬送ローラであり、図示しない駆動モータに連結されている。
【0033】
[後処理装置]
後処理装置Cは図2にその全体構成を、図3に要部の拡大構造を示す。後処理装置Cは、画像形成装置Aから送られたシートに後処理を施した後、スタックトレイ40に収納する。
後処理手段としてはシートにファイル穴を穿孔するパンチユニット、部揃え集積したシートを綴じ合わせるステープルユニット、シートにスタンプを捺印するスタンプユニット、画像形成されたシートを折り合わせる折り処理ユニットなどが知られ、装置仕様に応じて適宜組み合わせて構成される。
図2の装置には、シートを綴じ処理するステープルユニット28とパンチユニット27が組み込まれている。以下その構成について説明する。
【0034】
図3に示す実施形態では後処理装置Cは画像形成装置Aのハウジング内に形成されている排紙エリアに内蔵するように組み込まれている。このため後処理装置Cには外装ケーシングは備えられていない(後処理装置Cに画像形成装置Aとは別の外装ケーシングを装備しても良い)。このユニットフレームには、搬出経路29と処理トレイ35とスタックトレイ40が配置されている。
【0035】
搬出経路29は画像形成装置Aの排紙経路22に連なる経路構成で、搬出口(以下排紙口という)29aを有している。この搬出経路29は装置ハウジング10を略水平方向に横断する直線経路で構成されている。
この搬出経路29の下流側には排紙口29aと段差dを形成して処理トレイ35が配置されている。また、搬出経路29の入口部にはパンチユニット27が配置され、順次搬入されるシートにファイル穴を穿設する。
【0036】
またこの搬出経路29にはシートを下流側に搬送する経路搬送手段(搬送ローラ)30と排紙口29aの近傍に排紙ローラ31とシート検知センサS1が配置されている。
【0037】
排紙口29aと処理トレイ35との間には段差dが形成され、排紙口29aの排紙ローラ31からシート後端を処理トレイ上に落下させて収納する。排紙ローラ31と処理トレイ35との間には処理トレイ上に搬入したシートの搬送方向を反転する反転ローラ36と、処理トレイ上に進入したシートを位置規制ストッパ37に突き当てる掻込みローラ(整合回転体;以下同様)38が配置されている。
処理トレイ35の下流側にはスタックトレイ40が配置され、処理トレイ35で後処理されたシート(束)を収納する。この処理トレイ35にシートを排出する排紙機構と、後処理されたシートを収納するスタック機構を順次説明する。
【0038】
[排紙機構]
排紙口29aから搬出されたシートは、処理トレイ35とスタックトレイ40でブリッジ状に支持するように構成されている。これはシートの先端部をスタックトレイ40で、後端部を処理トレイ35で支持することによって処理トレイ35を小型コンパクトに構成するためである。この処理トレイ35は、単独でシートを載置する形状(寸法)に構成しても良い。
【0039】
排紙口29aと処理トレイ35とは段差dを隔てて上下に間隔をあけて配置されている。この段差dは処理トレイ上への積載量を大容量とするためと、処理トレイ上にシートを整列させる機構(後述の掻込みローラ38、紙押さえガイド)の配置スペースを確保するためである。
また処理トレイ35はシートの全体を支持する寸法形状ではなくシートの後端部のみを支持する形状に構成してある。これは排紙口29aからのシートを、その先端部はスタックトレイ40で、その後端部は処理トレイ35でブリッジ支持する構造を採用している。このためスタックトレイ40は積載方向に上下動し、処理トレイ35は所定の位置に固定されている。
【0040】
処理トレイ35には、シート後端部に(先端部であってもよい)位置規制ストッパ37が配置してある。この位置規制ストッパ37で整列されたシートに後処理を施すステープルユニット28が配置されている。
また処理トレイ35には排紙直交方向にシートを幅寄せして整合するシート側面整合手段39が配置されている。その構造はすでに知られた方法を採用すればよく、例えばシート側面に一対の整合板を設けこの整合板をシート先端に接近移動することによってセンター基準で位置合わせすることができる。
【0041】
処理トレイ35の上方には、その略中央部に排紙口29aと排紙ローラ31が配置され、排紙口29aの前方(下流側)に距離L(排紙ローラとの間隔)を隔てて反転ローラ36が配置されている。また排紙口29aの直下(おおよその位置)に掻込みローラ38が配置されている。
【0042】
反転ローラ36は排紙口29aの下流側に配置されること、処理トレイ上の最上シートと係合すること、搬入シートを反転方向に移送すること、及び排紙口29aから処理トレイ35に至るシートの経路から退避した待機位置で待機可能であることが求められる。
このため反転ローラ36は回転するローラ、ベルトなどの回転体で構成され、処理トレイ上方の待機位置Wpと処理トレイ上のシートと係合する作動位置Apとの間で昇降自在に構成される。
【0043】
そして反転ローラ36はシートを排紙方向に移送し、シート後端が排紙ローラ31を離脱した段階で排紙反対方向に移送すること(スイッチバックローラ構造)が求められる。
反転ローラ36の異なる構造としては、排紙口29aからシートが処理トレイ上に進入する間はトレイ上方に待機した状態に位置し、シート後端が排紙ローラ31を通過した直後に処理トレイ上のシートと係合する位置に降下するようにしてもよい。そしてこの作動位置Apでシートを排紙反転方向に移送するように回転することも出来る(反転ローラ構造)。
従って前者のスイッチバックローラ構造では反転ローラ36は正逆転モータに連結され、後者の反転ローラ構造では反転ローラ36は一方向回転モータに連結される。
【0044】
このように排紙口29aの前方で処理トレイ上にシートを搬送する反転ローラ36を配置したのは、処理トレイ上に搬入したシートを排紙反対方向に給送して後処理位置に整列させるためである。
またこれと共に処理トレイ35で後処理を施すことなく下流側のスタックトレイ40にシートを案内するときには、排紙ローラ31から送られたシートをスタックトレイ40に引き継ぎ搬送するローラ回転体が必要となる(ストレート排紙モードの時)。
【0045】
上記反転ローラ36は図4示すように装置フレームに軸支部36xを設け、この支軸を中心に揺動自在のアーム部材41を設ける。このアーム部材41にはローラ42が回転可能に支持され、ローラには図示しないが伝動ベルトで軸支部36xの駆動スリーブ(不図示)の回転を伝達する。この駆動スリーブは軸支部36xに遊嵌され、スリーブに直接正逆転モータM1の回転が伝達されるようになっている。
またアーム部材41は、軸支部36xに揺動可能に軸支持され出来ると共に作動モータM2に連結されている。そして作動モータM2の一方向回転でアーム部材41は処理トレイ上方に回転し、反対方向回転で処理トレイ下方に回転するようにクラッチ機構(不図示)が内蔵されている。
【0046】
アーム部材41のクラッチ機構について説明すると、例えば軸支部36xに遊嵌されているスリーブにバネクラッチを巻回する。そしてこのバネクラッチを緊縮側に回転、例えば反時計回転(ccw)するとスリーブは作動モータM2の回転と一体に回転し、アーム部材41は作動位置Apから待機位置Wpに揺動回転する。
また、バネクラッチを弛緩側に回転、例えば時計回転(cw)するとスリーブとアーム部材41は遊嵌状態に噛み合う。これによって反転ローラ36は、その自重で待機位置Wpから作動位置Apに降下する。
【0047】
上述の排紙ローラ31と反転ローラ36のレイアウト関係について説明する。排紙ローラ31は排紙口29aに配置された一対のローラ対で構成され、その一方には駆動モータが連結されている。反転ローラ36は処理トレイ上に、排紙ローラ31と距離Lを隔てて配置されている。この間隔Lは搬送するシートの搬送方向長さより短く設定されている。
反転ローラ36は上方の待機位置Wpと下方の作動位置Apの間で上下昇降自在に配置されるが、待機位置Wpは排紙口29aから排紙されるシートの進行を妨げない位置に設定されている。また作動位置Apは処理トレイ上に堆積されるシートの最上シート(排紙口29aから搬入されたシートの上)に配置される。
以下説明の都合上「反転ローラ位置」とは処理トレイ上でシートと係合する反転ローラの係合点を指す。
【0048】
この場合、反転ローラ36は待機位置Wpから作動位置Apに降下した後にローラを排紙方向に回転起動するか、またはローラを排紙方向に回転した状態で待機位置Wpから作動位置Apに降下するか、いずれかの方法を採用する。
前者の場合は反転ローラ36がシートに接するとき、停止した状態であるためシートに皺、スキュなどが生ずる恐れがない。また後者の場合はシートに接したとき反転ローラ36はすでに回転しているので高速な排紙動作が可能となる。
【0049】
上述の反転ローラ36と対向する処理トレイ側に従動ローラ43が配置されている。この従動ローラ43は反転ローラ36の周面と処理トレイ上のシートを挟んで係合する位置に配置されている。
特に図示の装置は、図4に示すように、処理トレイ平面(紙載面35a)の角度と直交する方向n−nと角度θだけ傾いている。これは処理トレイ上に積載されたシート束を従動ローラ43と反転ローラ36でスタックトレイ側に搬出するときシート束を上方にそり上げるためである。
これによって処理トレイ35からスタックトレイ40にシート束を搬出する際に搬送力を強めることができる。
【0050】
[シート後端キック機構]
上述の排紙ローラ31と反転ローラ36との間にはシートを安定して案内するガイド機構が必要となる。このガイド機構はシート先端を排紙ローラ位置から反転ローラ位置に案内するガイド機能と、シート後端が排紙ローラ31に引っ掛かることがないようにシート後端を処理トレイ側に落下させる機能と、後述する掻込みローラ38にシート後端を案内する機能が必要となる。
【0051】
[掻込みローラ機構]
処理トレイ35には反転ローラ36でシートを処理トレイ上に搬入するのと同時に、このシートを所定の位置規制ストッパ37に突き当てて位置決めする必要がある。このため排紙ローラ31と処理トレイ35の間の段差dには掻込みローラ38が配置されている。
この掻込みローラ38は、処理トレイ上の最上シートと接して位置規制ストッパ37に移送する。この掻込みローラ38は無端ベルトなどの回転体で構成し、処理トレイ上のシートの積載量に応じて最上シートを一定の圧力で押圧する。
【0052】
このため掻込みローラ38は、処理トレイ上のシートと積載量に応じて上下動するように揺動自在に支持され、図示のものは排紙ローラ(従動ローラ)31bの回転軸31xに揺動可能に軸受支持したブラケット44に掻込みローラ38が支持されている。掻込みローラ38には、駆動モータM3(不図示)が連結されている。
この掻込みローラ38には、排紙ローラ(従動ローラ)31bから回転力を駆動伝達することも可能であるが図示のものは排紙ローラ31bとは異なる駆動モータM3で掻込みローラ38を回転駆動している。
【0053】
掻込みローラ38は処理トレイ上に集積されたシートを後処理後にスタックトレイ40側に移送する。このとき掻込みローラ38の回転方向を反対方向に回転する必要があり、このためには排紙ローラ31bを排紙反対方向に回転しなければならない。
そこで排紙ローラ31bの回転駆動モータと掻込みローラ38の駆動モータM3を個別に設けることによって掻込みローラ38で後処理後のシートを処理トレイ35から搬出する排紙動作の最中に後続するシートを排紙ローラ31bで排紙口29aから処理トレイ上に送り出すことができる。
【0054】
[キック機構]
排紙口29aと反転ローラ36との間には、排紙口29aからのシートを反転ローラ位置に案内するガイド機構と、排紙口29aから掻込みローラ38にシート後端を案内するガイド機構が必要となる。
特に排紙口29aと処理トレイ35との間に大きな段差を有する排紙機構にあってはシート後端が処理トレイ上に落下するときに排紙ローラ31の周面に引っ掛かってシートジャムを引き起こすことがある。
【0055】
そこで図示の装置は排紙口29aと反転ローラ36との間に次の構造からなるキック機構を配置している。図4にその構造を詳細に示す。
【0056】
キック機構の説明の前に排紙口29aから処理トレイ上に搬出されるシートの動作について説明する。
排紙口29aから搬出されるシート先端は、排紙ローラ対31a、31bから搬送力を受けて処理トレイ上の反転ローラ36の作動位置Ap(このとき反転ローラ36は待機位置Wpであるため係合予定位置)に向かって繰り出される。
その後、このシート先端が作動位置Apを通過すると反転ローラ36が降下してシートに搬送力を付与する。この状態でシートは排紙ローラ対31a、31bと反転ローラ36、それぞれにニップされ搬送力が付与される。そしてシート後端が排紙口29aを通過するとこのシート後端は処理トレイ上の積載シートの上に落下する。
シート後端が処理トレイ上に落下した後、反転ローラ36の逆回転(バックフィード)で掻込みローラ38に進入し、両ローラの搬送作用で位置規制ストッパ37に突当規制される。
【0057】
このような排紙機構でシート後端が排紙ローラ31の周面に引っ掛かってジャムを引き起こすことと、シート後端が折れ曲がって掻込みローラ38に挟まれてシートの後端折れを引き起こす不具合が生ずる。
これと同時にシート後端が外部から風などの影響を受けるとことを考慮すると緩慢な落下運動でシートを集積することとなり集積効率を著しく低下させる。
これらの不具合を解決するために本発明は排紙口29aと反転ローラ36の間に次の機構のキック機構50を配置している。
【0058】
このキック機構は図4に示すように装置フレームに回動可能に揺動アーム部材50から構成されるキック部材を配置する。
以下の具体的な構造を説明する時には揺動アーム部材と言い、その全体を示すときにはキック部材という。この揺動アーム部材50は排紙パスラインPLと交差するように上方の待機姿勢Faと、下方の作動姿勢Fcとの間で往復動するように構成される。
装置フレームに揺動アーム部材50の基端部50xは軸支部36xで揺動可能に支持され、軸支部36xは前述した反転ローラ36のアーム部材41の軸支部36xと共通の軸に遊嵌カラー51を介して揺動可能に支持されている。これは装置を簡素化するためで反転ローラ36の支持軸と異なる支軸に支持しても良い。
【0059】
この揺動アーム部材50には軸支部36xを介して先端アーム部50aと後端アーム部50bが形成される。先端アーム部50aは排紙パスラインPLの上方に退避した待機姿勢Fa(図4実線)と、排紙パスラインPLを通過するシートの上に係合する係合姿勢Fb(図4鎖線)と、排紙パスライン下方の処理トレイ上に位置する作動姿勢Fc(図4破線)との間で揺動可能に構成されている。
【0060】
図4(b)に示すように先端アーム部50aには第1ガイド面(第1ガイド部材)Gaと第2ガイド面(第2ガイド部材)Gbが形成してある。
第1ガイド面Gaは先端アーム部材50aが待機姿勢Faのとき、排紙口29aから反転ローラ36の作動位置Apに向けて排紙パスラインPLに沿ってシートを案内する。
また、第2ガイド面Gbは先端アーム部材50aが処理トレイ上の作動姿勢Fcの状態でシートを掻込みローラ38に案内する。
【0061】
なお、上述の第1第2ガイド面Ga、Gbは、第1ガイド面のガイド長さ(図4Ga)に対し第2ガイド面のガイド長さ(図4Gb)を長く(Ga<Gb)に設定してある。
これは排紙口29aから反転ローラ36に案内するシートは、その先端を下流側の反転ローラ(正しくは作動位置Ap)の方向に案内すれば良いため、比較的短いガイド長さに設定してある(同時にこのガイド長さを短く設定することによって装置の小型が図れる)。
これに対し、第2ガイド面Gbは処理トレイ上にループ状に湾曲したシートを下流側に位置する掻込みローラ38に送り込む必要がある。
【0062】
つまり反転ローラ36でシートを位置規制ストッパ37の方向にバックフィードするとき、シート後端が掻込みローラ38に喰え込まれないでこのローラから搬送力を受けられないことがある。このときにはシート後端は掻込みローラ38の手前(反転ローラ側)でループ状に湾曲して先端折れ状態で掻込みローラ38に進入する不具合が発生する。
そこで第2ガイド面Gbを第1ガイド面Gaより長く設定することによってシート後端が大きくループ状に変形するのを第2ガイド面Gbで規制し、シート後端が掻込みローラ38の下にスムーズに進入する。
【0063】
また、先端アーム部50aは、排紙パスラインPLと交差するように上方の待機姿勢Faから下方の作動姿勢Fcに変位する。このとき第1ガイド面Ga1が、排紙口29aから離脱したシートの後端を処理トレイ上に堆積したシートの上に強制的に落下させる。
このためキック部材50はシート後端が排紙口29aを通過した直後にタイムラグなくシート後端を強制的に処理トレイ上に落下させる機能と、シート後端を掻込みローラ38にスムーズに案内する機能を上述の第1第2ガイド面Ga、Gbが果たしている。
【0064】
上記第1ガイド面Gaは待機姿勢Faに保持されるキック部材50に排紙パスラインPLに沿った方向に配置されている。また、第2ガイド面Gbは作動姿勢Fcの時、処理トレイ上に集積されている最上シートと排紙口29aから落下したシート後端との間に傾斜した角度(図示β角度)で構成される。
図示の第2ガイド面Gbは湾曲した扇形形状に形成されている。揺動アーム部材50の後端部50bには後述するシフト手段52と係合する受動係合部50cが設けてあり、図示のものは板状の舌片で構成している。
【0065】
上記キック部材50と排紙ローラ31と反転ローラ36の位置関係について説明する。
排紙ローラ31と反転ローラ36は先に説明したようにシートの搬送方向長さより短い位置に配置されている。図4に示すローラ間隔Lは最小サイズシートの搬送方向長さより短く設定されている。
これによって排紙口29aから送られたシートは必ず排紙ローラ31と反転ローラ36の両方にニップされた状態が形成される。
【0066】
上記キック部材50は排紙ローラ31と反転ローラ36の間に配置され、両ローラ間にニップされたシートの上にその重さをかけるように係合する係合姿勢Fbに設定される。この係合姿勢Fbは前述の待機姿勢Faと作動姿勢Fcの間に設定される(図4Fb:鎖線状態)。
【0067】
この係合姿勢Fbの時、シートには排紙ローラ31のニップ力と、キック部材50の重量と、反転ローラ36のニップ力が作用し、排紙ローラ31と反転ローラ36の搬送力で排紙方向に移動する。このときキック部材50の重量がシートを処理トレイ上に垂れ下がらせるように作用すると搬送不良を起こす。
そこで排紙ローラ31のニップ力(ローラ圧×摩擦係数)と反転ローラ36のニップ力(ローラ圧×摩擦係数)に比較し、両者のニップ力よりキック部材50の重量(質量×重力)が小さくなるように設定してある。
【0068】
また反転ローラ36の周速度は排紙ローラ31の周速度より大きくなるように設定され、同時に反転ローラ36がシートに作用する圧力は排紙ローラ31がシートに作用する圧力より小さく設定されている。
このような力関係で、排紙口29aから搬出されるシートは排紙ローラ31の周速度で規制され、反転ローラ36はシート先端を引っ張るように滑り搬送する。そしてキック部材50はこの力関係にあるシートを撓ませ(弛ませない)ない程度の重さで構成されている。
【0069】
[シフト手段の構成]
上述のキック部材50を待機姿勢Faと作動姿勢Fcとの間で往復動するシフト手段52の構成について説明する。図5(a)は前述の揺動アーム部材50をカム機構で待機位置Faと作動位置Fcとの間を往復動させる形態を、同図(b)は揺動アーム部材50をレバー機構で往復動させる形態を、同図(c)は揺動アーム部材50を歯車機構で往復動させる形態をそれぞれ示す。
【0070】
図5(a)に示すカム機構は、揺動アーム部材の基端部50xにはカム係合片53が設けてあり、このカム係合片53はカムフォロアーとして図示の形状に形成されている。このカム係合片53と係合する位置に回転カム55が配置されている。図示の回転カム55は装置フレームに回動可能に支軸で支持され、扇形形状のカム面を有している。
この回転カム55には前述の作動モータM2(反転ローラを昇降する作動モータを兼用しているが、独立したモータでカムを回転させても良い)が連結してあり、図示しないポジションセンサとセンサフラグで回転角度位置を検出できるように構成されている。上記作動モータM2は予め設定された角度θで揺動運動する正逆転モータで構成され、軸支部36xと、回転カム55に駆動を伝達している。
【0071】
そして回転カム55は図示実線位置のホールドポジションHpと、図示破線位置のウエイティングポジションUpで静止するように制御される(後述の制御手段参照)。
回転カム55がホールドポジションHpのときにはキック部材50は待機姿勢Faに位置決めされ、ウエイティングポジションUpのときにはキック部材50はフリーとなり係合姿勢Fb若しくは作動姿勢Fcとなる。
【0072】
回転カム55には姿勢保持カム面55aと、シフトカム面55bが形成されている。上記姿勢保持カム面55aがカム係合片53と係合するホールドポジションHpでは揺動アーム部材50を待機姿勢Faに保持している。
またこのホールドポジションHpから図示θ角度時計方向に回転したウエイティングポジションUpではカム面55aとカム係合片53は非係合状態となる。
【0073】
そしてウエイティングポジションUpから図示反時計方向にθ角度回転するとシフトカム面55bがカム係合片53を所定角度回転させて同図実線の状態にシフトする。このように回転カム55にはキック部材50を待機姿勢Faから係合姿勢Fbに変位させる働きと、作動位置Fcに位置するキック部材50(同図破線状態)を待機姿勢Faにシフトする働きを備え、キック部材50が係合姿勢Fbの時には、回転カム55の角度位置に関係なく自由に揺動させる非係合状態を形成するようになっている。
【0074】
図5(b)のシフト手段について説明する。先の実施形態と同様にキック部材50が構成され、軸支部36xとカム係合部50cが形成されている。
このカム係合部50cに対向する位置の装置フレームに作動レバー54が回動可能に軸56で取り付けられている。この作動レバー54は装置フレームに基端部54aを軸56で回動可能に支持され、先端部54bはカム係合部50cと係合するように配置されている。
【0075】
図示状態において作動レバー54を反時計方向に1回転すると、カム係合部50cは点線状態から実線状態に、時計方向に所定角度β角度回転する。するとこのカム係合部50cを一体に有するキック部材50は作動姿勢Fcから待機姿勢Faに変位する。作動レバー54の軸56には図示しないシフトモータM5(例えばパルスモータ)が連結されている。
そしてパルスモータで所定角度作動レバー54を回転すればキック部材50は待機姿勢Faから非係合姿勢、次いで作動姿勢Fc(点線状態)に変位する。
尚、作動レバー54のシフトモータは、図示しないポジションセンサとフラグによって図5(b)実線のホールドポジションHpと破線のウエイトポジションUpとの間で作動レバー54を回転させるように設定されている。
【0076】
また後述する制御装置は、作動レバー54を図示反時計方向に回転させホールドポジションHpとウエイトポジションUpで一時的に停止し、排紙動作のタイミングに応じてこれらの停止位置から回転を開始するように構成されている。
したがって作動レバー54はホールドポジションHpでキック部材50を待機姿勢Faに保持し、ウエイトポジションUpまで回転する間はキック部材50を係合姿勢Fbに位置させる。またウエイトポジションUpからホールドポジションHpに回転するとキック部材50を作動姿勢Fcから待機姿勢Faに変位することとなる。
【0077】
図5(c)のシフト手段について説明する。前述のシフト手段52と同様にキック部材50には軸支部36xが形成されている。この軸支部36xには従動歯車57がキック部材50と一体に形成されている。
この従動歯車57に噛合する歯欠けギア58が装置フレームに軸支持され、図示しないシフトモータM6で回転するようになっている。
【0078】
そこでこの歯欠けギア58を図示反時計方向に回転すると歯欠け部58aが従動歯車57と非係合となると、キック部材50はその自重で自由落下する状態となる。
このようにシフト手段52はキック部材50を待機姿勢Faから係合姿勢Fbに変位にさせる作用と、作動姿勢Fcから待機姿勢Faに変位させる作用とを備え、キック部材50が係合姿勢Fbの時には非係合状態となるようにカム手段55、レバー手段54、歯車手段58で構成される。
【0079】
[排紙動作の説明]
上述した排紙機構における排紙動作を説明する。図6(a)は搬出経路29にシートが搬入された状態を示す。画像形成装置Aの排紙口24から後処理装置Cの搬出経路29に送られたシートは、この経路に配置された経路搬送ローラ30で搬出口(排紙口)29aに向かって送られる
このときシート先端をシート検知センサS1で検知する。このシートが搬送される状態では反転ローラ36は待機位置Wpに保持され、同時にキック部材50は待機姿勢Faに保持されている。このキック部材50の位置保持はシフト手段52の駆動負荷、ロック機構などで位置保持される。
【0080】
図6(b)は搬出経路29の搬出口(排紙口)29aからシートが処理トレイ上に搬出された初期状態を示す。搬出経路29から送られたシートは搬出口29a(排紙口以下同様)からその先端が反転ローラ36の作動位置Ap(処理トレイ上のシートと係合する位置)に向かって送られる。
このとき後述する制御手段はシート先端が作動位置Apを通過する見込み時間(排紙センサでシート先端を検知した時を基準に所定の遅れ時間;タイマT1)が経過した段階で反転ローラ36を待機位置Wpから作動位置Apに降下させる。この動作は作動モータM2(昇降モータ)の回転とクラッチ(例えばバネクラッチ)で行う。
このとき制御手段は、作動モータM2の制御と前後して(反転ローラ36が作動位置Apに到達する前、又は後)正逆転モータM1を正方向に回転駆動する。これによって反転ローラ36はシートの排紙方向図6左方向に移動する。この状態(反転ローラの下降と正方向回転)を破線で示す。
【0081】
図7(c)は、キック部材50を待機姿勢Faから係合姿勢Fbにシフトした状態を示す。この作動タイミングは後述する制御手段が排紙センサの先端検知信号から所定の遅延時間(タイマ時間T2)の経過後に設定され、反転ローラ36の下降動作から若干遅れた好適の時間である。キック部材50を待機姿勢Faから作動姿勢Fcにシフトする動作はシフト手段52の駆動手段(シフトモータM4〜M6)を制御する(図5(a)(b)(c)参照)。
するとキック部材50はその自重で排紙パスライン上のシートに係合する。このときシートには先端側に反転ローラ36のニップ力が、後端側に排紙ローラ対31のニップ力が作用している。この両ニップ力はキック部材50の荷重負荷に勝る力関係に設定されているためキック部材50が係合したことによってシートがズレ落ちることがない。
【0082】
次に図7(d)は、シート後端が排紙ローラ対31から離脱した状態を示す。ローラニップ部から離脱するとシート後端は処理トレイ上の既に堆積しているシートの上に落下する。
このときシートにはキック部材50が係合姿勢Fbで係合している。この係合姿勢Fbは先に説明したように支持軸35xを中心にキック部材50が自由落下する状態である。このためシート後端は強制的に強い力で処理トレイ上の積載シートの上に落下させられることとなる。
【0083】
従ってシート後端が排紙ローラ対31の周面に引っ掛かった状態となってもこのシートは強制的に落下する。これによってシート後端の引っ掛かりによるシートジャムを防止することが可能となる。
尚、掻込みローラ38は、後述するタイミングチャートのように排紙ローラ31とは異なる駆動モータM3(正逆転モータ)で排紙方向同図反時計方向に回転している。これと共に反転ローラ36はシート後端が処理トレイ上に落下した見込み時間の経過の後、反転方向(バックフィート)に回転する。
【0084】
このような排紙動作によって、シートは排紙口29aから処理トレイ上方に搬出され、シート後端が排紙ローラ31を通過した直後に強制的に処理トレイ35の集積シート上に落下する。このシート後端の落下収納と時間的に前後して(同時タイミングが好ましい)反転ローラ36を逆転してシートの搬送方向を反転する(シートのバックフィート)。
【0085】
シート後端が掻込みローラ38と処理トレイ上の最上シートの間に食え込まれると、掻込みローラ38の回転でシートは位置規制ストッパ37に送られる。位置規制ストッパ37に送られたシートは後述する幅寄せ整合機構で幅方向の位置が修正される。
この状態を図8(e)に示すが、掻込みローラ38で位置規制ストッパ37に位置決めされたシートは、幅寄せ整合機構で整合される。
【0086】
図8(f)は処理トレイ上に部揃え集積されたシートに後処理を施された後に、この処理後のシート(束)を下流側のスタックトレイ40に搬出する状態を示す。
処理トレイ上に部揃え集積されたシートは位置規制ストッパ37に位置決めされ、この位置に配置されているステープルユニット28によって綴じ処理される。綴じ処理後には処理トレイ上のシート束は反転ローラ36と従動ローラ43の排紙方向回転によって下流側のスタックトレイ40に繰出される。
【0087】
[整合機構]
図10(a)に示す整合機構をについて説明する。処理トレイ35には掻込みローラ38で位置規制ストッパ37に突き当てられたシートを幅方向に位置合わせする幅寄せ整合機構が設けられている。この機構はシートをセンター基準又は片側サイド基準で位置合わせする。
図示の片側サイド基準を例えに説明すると、シートの一側縁側に固定規制面32が設けてある。この固定規制面32に掻込みローラ38を挟んで反対側に可動の整合板33が配置され、幅方向に移動可能に構成されている。この整合板33には図示しない整合モータMに連結されたタイミングベルト34が連結されている。
【0088】
この構成によって整合モータMを正逆転するとタイミングベルト34が所定ストロークで往復動手段し、このベルトに固定された整合板33が固定規制面32に接近及び離反する。この待機位置と幅寄せ位置との間の往復移動でシートを規制面32を基準に幅寄せ整合する。
後述する制御手段はこの整合モータMを、シート後端を前述の排紙センサ(シート検知センサ)S1で検出した検出信号から所定の遅延時間(タイマT3)の経過したとき、待機位置(図示実線位置)の整合板33を幅寄せ位置(図示破線位置)に移動する。シートを所定位置に移動した後、整合板33は待機位置に復帰する。
【0089】
[パンチユニットの構成]
搬出経路29には、シート搬入部C1にパンチユニット27が配置されている。その構造について説明する。パンチユニット27はパンチ部27aとダイ部27bと屑ボックス27cで構成される。
パンチ部27aは複数のパンチ部材が上下移動可能に軸支持され、カム機構でシート経路に突出するように上下移動する。この経路をはさんで穿孔穴を有するダイ部27bが配置されている。また屑ボックス27cはダイ部27bの下方に配置されている。
【0090】
[スタックトレイの構成]
上述の処理トレイ35にはその下流側にスタックトレイ40が設けられている。図9に従って説明する。ユニットフレームには、シートを積載方向上下方向にガイドレール46が固定され、このガイドレール46にスタックトレイ40が昇降可能に嵌合支持されている。
図示47はスライドコロである。このスタックトレイ40には上下一対のプーリ48pに懸架された歯付きベルト48に固定されている。歯付きベルト48は、歯付きプーリ48pに連結された昇降モータM8によって上下動する。
尚、昇降モータM8には。エンコーダ60とエンコードセンサ60sが設けてあり、スタックトレイ40の上下動差をコントロールする。
【0091】
上記スタックトレイ40には更に、下限センサS2とレベルセンサ(不図示)が配置されている。下限センサS2はスタックトレイ40の最下位置を検知し、トレイ上にシートの満杯した状態を検出する。またレベルセンサは、トレイ上の最上シートの高さ位置を検出する。
【0092】
[後処理動作の説明]
上述のように排紙口29aから処理トレイ35上に搬出されたシートは、順次上方に積み上げられて部揃え集積される。その後、後述する制御手段は、次の動作を実行する。
処理トレイ上に部揃え集積されたシートは位置規制ストッパ37に位置決めされこの位置に配置されているステープルユニット28によって綴じ処理される。綴じ処理後には処理トレイ上のシート束は反転ローラ36と従動ローラ43の排紙方向回転によって下流側のスタックトレイ40に繰出される。
【0093】
なお本発明にあって、反転ローラ36は排紙方向に対し同一方向とその反対方向に正逆転するローラの駆動方法を示したが、この反転ローラ36を排紙方向のみに回転させる駆動方法にすることも可能である。
この場合には掻込みローラ38をタイミングベルトなどのフレキシブル回転部材で構成することが好ましい。
【0094】
[制御構成]
図2に示す画像形成システムSの制御構成について図11に従って説明する。画像形成装置Aには制御CPU70が設けられ、この制御CPU70には動作プログラムを記憶したROM71と、制御データを記憶したRAM72が接続されている
そして制御CPU70には給紙制御部73と画像形成制御部74と、排紙制御部75が設けられている。これと共に制御CPU70には表示手段77と、入力手段76を備えたコントロールパネル78が接続されている。
【0095】
また、上記制御CPU70は、「プリントアウトモード」と「後処理モード」を選定するように構成されている。「プリントアウトモード」は画像形成したシートを仕上げ処理することなくスタックトレイ40に収納する。
また「後処理モード」は画像形成したシートを部揃え集積し、綴じ処理した後にスタックトレイ40に収納する。本発明に係わるシート収納装置Bはこの後処理装置Cに内蔵されている。
【0096】
後処理装置Cには、後処理制御CPU80が設けられ、制御プログラムを記憶したROM81と制御データを記憶したRAM82が接続されている。そしてこの制御CPU80には画像形成装置Aの制御部からシートサイズ情報と、排紙指示信号と、後処理モードとプリントアウトモードのモード設定コマンドが転送される。
【0097】
後処理制御CPU80は、画像形成されたシートに穿孔処理を施すパンチ制御部83と、処理トレイ35にシートを部揃え集積する集積動作制御部84と、綴じ処理制御部85と、スタック制御部86が設けられている。
【0098】
[動作説明]
上述の画像形成装置Aの制御CPU70はROM71に記憶された画像形成プログラムに従って以下の画像形成動作を実行する。同様に上述の後処理装置Cの後処理制御CPU80はROM81に記憶された後処理プログラムに従って以下の後処理動作を実行する。
【0099】
「画像形成動作」
制御CPU70は、「片面印刷モード」が選択されたときには設定されたサイズのシートを給紙カセット11a(11b)から操出し、レジストローラ16に給送する。これと前後して制御CPU70は転写ベルト21に所定の画像データに従って画像を形成する。
この画像データは図示しないデータ記憶部に記憶されているか、若しくは画像形成装置Aに連結された外部装置から転送される。
【0100】
そこで制御CPU70は転写ベルト21に形成したトナー画像をレジストローラ16から送られたシートにチャージャ20で転写し、その下流側の定着器23で定着する。その後、制御CPU70は画像形成したシートを排紙経路22に送り、前述の後処理装置Cに転送する。
【0101】
また、制御CPU70は、「両面印刷モード」が選択されたときには、上述の動作を実行してシートの片面に画像形成して排紙経路22に送る。このとき制御CPU70は後処理装置Cに次の動作を実行させる。
後処理装置Cの後処理制御CPU80は、排紙経路22にシート先端が到達したセンサの検出信号で、ガイドフラッパ22fを図2実線位置に、シフトする。これによって排紙経路22に送られたシートは、排紙経路22から搬出経路29に送られる。
【0102】
この経路切換え制御と同時に後処理制御CPU80はシート先端が搬出経路29から処理トレイ35に搬入されると反転ローラ36を待機位置Wpから作動位置Apに移動し、同時にこの反転ローラ36を回転する。すると処理トレイ35に搬入されたシートは反転ローラ36の回転で処理トレイ35に沿って下流側に送られる。
【0103】
次に後処理制御CPU80は排紙センサS1でシート後端を検出するとこのシート後端がガイドフラッパ22fを通過したタイミングで、このフラッパ22fを図2破線位置に移動し、同時に搬出経路29の排紙ローラ31を逆回転する。
するとシートは搬送方向を反転し、排紙経路22に後退移動(スイッチバック移動)する。このスイッチバック移動でシートは反転経路25に送られる。
【0104】
そこで画像形成装置Aの制御CPU70は反転経路25に送られたシートを、この経路で表裏反転させてレジストローラ16に送る。これと前後して制御CPU70は裏面画像を転写ベルト21に形成し、チャージャ20でシートの裏面に画像形成して、排紙経路22に搬出する。
【0105】
[タイミングチャート]
次に図12に示すタイミングチャートに従って上述の排紙動作について説明する。装置電源をONすると制御CPU70はイニシャライズ動作を実行する。この動作は予め準備された制御プログラムに従って初期状態に設定する。
次に、オペレータはコントロールパネル78で画像形成条件と後処理仕上げ条件などのモードを設定する。
【0106】
画像形成装置Aは、設定された条件に従ってシート上に画像を形成し排紙口24から搬出する。この排紙動作の前に制御CPU70は後処理制御CPU80に排紙指示信号を発する。この信号を受けて後処理制御CPU80は搬出経路29の排紙ローラ31と掻込みローラ38を回転駆動する。
各ローラの回転方向はシートを移送する方向であり、排紙ローラ31は正逆転モータM7、掻込みローラ38は駆動モータM3を回転駆動する。
【0107】
この各ローラの回転で画像形成装置Aから送られたシートは搬出経路29を進む。搬出経路29を進み排紙センサS1で先端を検知する。排紙センサS1でシート先端を検出した信号基準にタイマT1とタイマT2とタイマT3を起動する。
タイマT1はシート先端が反転ローラ位置を通過する見込み時間に設定され、制御手段(後処理制御CPU80:以下同様)は反転ローラ36を待機位置Wpから作動位置Apに降下させる。
タイマT2はシート先端が反転ローラ位置を通過する時間の前後に設定され、この時間が経過すると制御手段80は反転ローラ36を正方向に回転する。なおタイマ時間T2は時間T1より早く設定するか遅く設定する。
【0108】
早く設定する時には反転ローラ36が処理トレイ上に降下する前に回転を開始し、遅く設定する時には反転ローラ36が処理トレイに降下した後に回転を開始する。
タイマT3はシートが反転ローラ36と排紙ローラ31の両方にニップされた状態で排紙センサS1の検知信号からの見込み時間に設定されている。この時間経過時に制御手80段は、キック部材50を待機姿勢Faから係合姿勢Fbに移行する。この動作はシフト手段52のシフトモータM4(M5、M6)で実行する。
【0109】
次に制御手段80はシート後端が排紙センサS1を通過した時間を基準にタイマT4、T5、T6を起動する。
タイマT4はシート後端が排紙ローラ31を通過する見込み時間に設定され、反転ローラ36を逆方向(排紙反対方向)に回転する。この間キック部材50は、シートが排紙ローラ31から離れるのと同時に待機姿勢Faから作動姿勢Fcに処理トレイ上に落下する。
このときシート後端を強制的に処理トレイ上に堆積されっているシートの上に落下させる。
【0110】
タイマT5は、シート後端の検知信号から(キック部材50が作動姿勢Fcに位した変位した見込み時間の後)キック部材50を作動姿勢Fcから待機姿勢Faに復帰させる。この動作はシフト手段52のシフトモータM4の回転によって実行する。
タイマT6は、シート後端の検知からシート後端が掻込みローラ38に喰え込まれる見込み時間に設定され、この時間経過後に反転ローラ36を作動位置Apから待機位置Wpに移動する。これと共にローラの回転を停止する。
タイマT7は、シート後端位置からシート後端が位置規制ストッパ37に突き当てられる見込み時間に設定され、その経過後、シート側面整合手段39の幅寄せ動作を実行する。この動作は幅寄せモータによって行う。
【0111】
次に制御手段80は画像形成装置Aからジョブ終了信号を受けると、最後のシートが処理トレイ上に集積された見込み時間の経過後に後処理動作を実行する。後処理動作は、ステープルユニット28のドライバユニットを駆動する。
次に制御手段80は後処理手段の動作終了信号を受けて処理トレイ上の処理済みシートを下流側に搬出する。このため制御手段80は、反転ローラ36を待機位置Wpから作動位置Apに降下し、同時に反転ローラ36を正回転方向に回転する。
これによって従動ローラ43との間にニップされたシート(束)は下流側のスタックトレイ40に搬出される。
【符号の説明】
【0112】
A 画像形成装置
C 後処理装置
Fa 待機姿勢
Fb 係合姿勢
Fc 作動姿勢
Ga 第1ガイド面(第1ガイド部材)
Gb 第2ガイド面(第2ガイド部材)
29 搬出経路
29a 搬出口(排紙口)
31 排紙ローラ
31b 排紙ローラ(従動ローラ)
31x 回転軸
35 処理トレイ
35a 紙載面
36 反転ローラ
36x 軸支部
37 位置規制ストッパ
38 掻込みローラ(整合回転体)
40 スタックトレイ
41 アーム部材
43 従動ローラ
50 揺動アーム部材(キック部材)
50a 先端アーム部
50b 後端アーム部
50c 受動係合部(カム係合部)
52 シフト手段
53 カム係合片
54 作動レバー
55 回転カム
58 歯欠けギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次シートを搬出する排紙口と、
前記排紙口の下流側に段差を形成して配置され、排紙口から落下するシートを載置する載置トレイと、
前記排紙口に配置された排紙ローラと、
前記載置トレイ上のシートと係合する作動位置と上方に退避した退避位置との間で昇降可能であって、シート搬送方向を切り替える反転ローラと、
前記排紙口から落下したシートを載置トレイの所定位置に整合する整合ローラと、
前記排紙ローラと反転ローラとの間に配置され、排紙口から搬出されたシート後端を下方に位置する整合ローラに向けて強制的に落下させるキック部材と、
を備え、
前記キック部材は、
前記排紙口から前記反転ローラに移送されるシートの上方に退避する待機姿勢と、
前記排紙ローラと前記反転ローラそれぞれにニップされたシートの上に荷重負荷を及ぼす係合姿勢と、
前記排紙ローラから離脱したシート後端を強制的に落下させる作動姿勢と、
の間で揺動するように構成され、
このキック部材には、前記待機姿勢から係合姿勢に変位させるシフト手段が連結されていると共に、
このシフト手段には、
前記キック部材を、前記待機姿勢に保持すると共に前記作動姿勢から待機姿勢に変位させる係合部が設けられていることを特徴とするシート収納装置。
【請求項2】
前記シフト手段は、
前記キック部材と駆動モータとの間に配置されたカム手段で構成され、
このカム手段は、キック部材を待機姿勢に保持する待機カム面と、
キック部材を前記作動姿勢から待機姿勢に変位するシフトカム面と、
を有すると共に、
このカム手段とキック部材とは前記係合姿勢のときには互いに非係合状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート収納装置。
【請求項3】
前記キック部材の荷重負荷が及ぼすシートの落下力に比べ、
前記排紙ローラと反転ローラがシートに付与するニップ力の方が大きく設定され、
前記排紙ローラと反転ローラそれぞれにニップされた状態のシートは、前記キック部材の荷重によって弛まないようになっていることを特徴とする請求項1に記載のシート収納装置。
【請求項4】
前記反転ローラと、排紙ローラとは、シートの搬送長さより短い間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシート収納装置。
【請求項5】
前記載置トレイには、前記反転ローラと係合する位置に従動ローラが設けられ、
この反転ローラと従動ローラとは、相互の圧接方向がシートの排紙方向上流側に傾くように傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート収納装置。
【請求項6】
前記キック部材は第1のガイド面と第2のガイド面を有するアーム部材で構成され、
前記第1ガイド面は、前記排紙口から前記反転ローラに向けてシートを案内する略直線形状に形成され、
前記第2ガイド面は、トレイ上に落下したシートを前記掻き込みローラに案内する略湾曲形状に形成され、
この第1ガイド面と第2ガイド面とは案内するシートの搬送方向が反対方向であることを特徴とする請求項5に記載のシート収納装置。
【請求項7】
前記反転ローラは、
前記載置トレイ上の最上シートと係合するローラ回転体と、
このローラ回転体をシートの排紙方向と排紙反対方向に正逆転するローラ駆動手段と、
前記ローラ回転体を載置トレイ上のシートと係合する作動位置と退避位置との間で昇降するローラ昇降手段と、
で構成され、
前記載置トレイには反転ローラと係合する位置に従動ローラが配置され、
この反転ローラと従動ローラでシートをニップしてスタックトレイに排出し、
前記整合ローラは、
前記反転ローラから送られたシートを排紙反対方向に移送する整合ローラ駆動手段と、
を備え、
前記ローラ昇降手段は、
前記キック部材の揺動位置を制御するカム手段のカム駆動手段と、
共通の駆動モータで
構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項8】
前記排紙ローラには、排紙ローラ駆動手段が連結され、
この排紙ローラ駆動手段と前記整合ローラ駆動手段とは、共通の駆動モータで
構成されている特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項9】
前記載置トレイには、後処理手段が配置されていると共に、その下流側にはスタックトレイが配置され、
前記排紙口から送られたシートを載置トレイに一時的に積載して後処理した後に、処理後のシートをスタックトレイに収納するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項10】
前記反転ローラと整合ローラとは、
前記排紙口から搬出されたシートを、その搬送方向を反転して後処理位置に集積するように前記載置トレイに配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項11】
シート上に画像形成する画像形成部と、
前記画像形成部からのシートを部揃え集積して後処理する後処理部と、
を備え、
前記後処理部は請求項1乃至10のいずれか1項に記載の構成を備えていることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−82529(P2013−82529A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223042(P2011−223042)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】